説明

振り分け搬送コンベア装置

【課題】搬送ベルトに脱落や捻れが生じ難く、振り分け作動時における搬送ベルトの斜行角度を可及的に大きくなし得て、装置のコンパクト化が図れる振り分け搬送コンベア装置を提供する。
【解決手段】搬入端側テールローラ210と、搬出端側テールローラ220と、該両テールローラに掛け廻されて巻装された複数本の搬送ベルト230aと、該搬出側テールローラをその下流側に並設されている複数の搬送コンベアの搬入端に向けて平行に対向させて選択的に振り分け作動させる振り分け作動部3とを備えて、所定間隔を空けて搬送する物品を該搬出端の下流側に並設された複数の搬送コンベアの搬入端に適宜に振り分けて搬送する振り分け搬送コンベア装置であって、前記搬送ベルト230aには、断面台形状を呈した台形ベルトが採用され、前記両テールローラには、その外周面に該台形ベルトの形状に対応した台形溝211,221が形成された滑り性の良い樹脂製のものが採用されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送する物品を下流側に並設された複数の搬送路に振り分けて分配する、振り分け搬送コンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンベア上を所定の間隔を空けて一列に搬送される被搬送物を、その下流側に並設された複数の搬送路に適宜に振り分けて分配供給するようにした振り分け搬送コンベアとして、特開2006−21916号公報にて提案されている振り分けコンベア装置が知られている。
【0003】
当該提案の振り分けコンベア装置は、コンベヤフレームに丸ベルトを複数本平行に巻装して構成されたものであり、コンベヤフレームの機長方向の一端を支点として他端を水平方向に揺動した時に、そのコンベヤフレームが平面視で平行四辺形状に変形するようになっている。
【0004】
即ち、上記コンベヤフレームは、矩形状に形成した左・右フレームの機長方向の少なくとも上端部を、それぞれ溝付きテールローラを介して形状変形可能に連結構成してある。そして、上記左・右フレームの間にはモータで駆動する溝付き駆動プーリを配置し、その溝付き駆動プーリ及び上記溝付きテールローラに亘って丸ベルトを巻装している。
【0005】
また、コンベヤフレームは架台上に機長方向の一方端を回動可能に軸支して、他端側を水平揺動可能に支持しており、揺動手段によるコンベヤフレームの平行四辺形への変形に追従して上記複数本の丸ベルトも間隔を維持して平行に揺動し、丸ベルトが安定して走行し得るようになしている。
【0006】
つまり、コンベヤフレームを平行四辺形リンクとして構成することで、当該コンベヤフレームを左右に振って平行四辺形状に変形させても、その機長方向両端で上記丸ベルトを支持するローラの軸芯は平行を維持し、もって振分けコンベヤ装置の前後に配置される搬送コンベヤの端縁に対して平行状態を維持し得るようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−21916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記提案の振り分けコンベアでは、左右のフレームと前後端のテールローラとを回動自在に連結して平行四辺形リンクを構成しているので、左右のフレームを揺動させると、前後端のテールローラの軸芯はその平行度を保ちつつ左右に移動するようになっているが、前後の両テールローラが相対的に左右に変位した状態になっていると、それら両テールローラに巻装されている各丸ベルトは、その両テールローラに形成されている溝部に対して斜めに係合して斜行することになる。つまり、丸ベルトはその溝部内への出入り部分において、当該溝部の内面に対して斜行方向側の内面に片当たりした状態となる。 このため、当該片当たり状態で丸ベルトを旋回駆動させると、丸ベルトが溝部を乗り越えて脱落してしまう虞があった。また、当該脱落を生じないとしても、この丸ベルトには溝部との片当たり部分に捻り力が作用して捻れが発生するので、この捩れに起因して搬送中の物品にズレが発生してしまうことがあった。そして、当該捩れによる搬送物品のズレは丸ベルトの斜行角度が大きい程、顕著に顕れやすくなる。即ち、斜行角度を小さくして搬送物品のズレの発生を抑制しようとすると、必然的に機長を大きく設定しなければならないので、装置のコンパクト化が図り難く大型化してしまう。
【0009】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送ベルトに脱落や捻れが生じ難く、もってその斜行角度を可及的に大きくなし得て、装置のコンパクト化を図ることができる振り分け搬送コンベア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明では、搬入端側テールローラと、搬出端側テールローラと、該両テールローラに掛け廻されて巻装された複数本の搬送ベルトと、該搬出側テールローラをその下流側に並設されている複数の搬送路の搬入端に向けて平行に対向させて選択的に振り分け作動させる振り分け作動部とを備えて、所定間隔を空けて搬送する物品を該搬出端の下流側に並設された複数の搬送路の搬入端に適宜に振り分けて搬送する振り分け搬送コンベア装置にあって、該搬送ベルトには、断面台形状を呈した台形ベルトを採用し、前記両テールローラには、その外周面に該台形ベルトの形状に対応した台形溝が形成された樹脂製のものを採用して構成する。
【0011】
ここで、前記テールローラの台形溝は、その底部側の内側面が台形ベルトの側面形状に相応して該台形ベルトに当接する溝幅に傾斜形成されている一方、その開口側の内側面は台形ベルトの側面から離間する傾斜面あるいは湾曲面に形成されている構成となし得る。
【0012】
また、前記振り分け作動部は、前記搬出側テールローラを回転自在に支持するとともに、該搬出側テールローラの回転軸芯方向に沿って往復直線移動可能に設けられた可動フレームと、該可動フレームを往復直線移動自在に支持する固定フレームと、該固定フレームと該可動フレームとの間に介在されて該可動フレームを作動させる作動機構とを備え、該可動フレームには、設該搬送ベルトが掛け廻されて該ベルトの張力を所定値に保つテンションローラが該搬出側テールローラの近傍に取り付けられ、該テンションローラにも前記台形溝が形成されている構成となし得る。
【発明の効果】
【0013】
上記構成に係る本発明の振り分け搬送コンベア装置によれば、 搬送ベルトに断面形状が台形状を呈する台形ベルトを採用し、この台形ベルトが掛け回される搬入側と搬出側との両テールローラ、及びテンションローラとには、その台形ベルトの断面形状に対応した台形溝を形成して、当該台形溝内に台形ベルトを挿入係合させるようにしているので、台形ベルトは所定のテンションを付与されて旋回駆動されると、楔効果により台形溝内に嵌入して食い込んでいくので、当該台形溝から台形ベルトが脱落してしまうことが可及的に防止されるようになるばかりか、当該台形ベルトは台形溝内への出入り部分において、この台形溝の両内側面に確実に当接して、その一方の内側面への片当たりが生じなくなるので、当該台形ベルトにはこれを回転させて捻りを生じさせるような回転力が作用しなくなる。このため、台形ベルトに捻れが発生することを防止できるようになり、もって搬送物品にズレが生じることを可及的に防止できるようになる。
【0014】
また、搬入側テールローラと搬出側テールローラとの相対的な左右への変位に基づいた、搬送ベルトの斜行角度が大きくなっても、台形ベルトの脱落及び捻れの発生は可及的に防止されるので、振り分け搬送コンベアの搬送長(機長)を可及的に短縮化させることが可能となり、装置のコンパクト化が図れるようになる。
【0015】
また、上記台形溝は、その底部側の内側面が台形ベルトの側面形状に相応して台形ベルトに当接する溝幅に傾斜形成されている一方、その開口側の内側面は台形ベルトの側面から離間する傾斜面あるいは湾曲面に形成されている構成とすれば、溝の内側面とベルト側面との接触面積を少なくして摩擦抵抗を小さくなし得、もってベルトが溝の内側面に沿って這い上がろうとしても滑って落ちるようになり、当該脱落を可及的に防止できるようになる。さらに、溝上部の傾斜によってベルトが正常な位置に誘導されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る振り分け搬送コンベア装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す振り分け搬送コンベア装置の振り分けコンベア部の縦断面図である。
【図3】振り分けコンベア部の搬出側テールローラ部分を拡大して示した平面図である。
【図4】振り分けコンベア部の搬出側テールローラ部分を拡大して示した側面図である。
【図5】振り分け作動部を拡大して示した平面図である。
【図6】振り分け作動部の搬出端位置切換作動機構を図5の裏面側から見た裏面図である。
【図7】図6中のVII―VII線矢視断面図である。
【図8】図6中のIIX―IIX線矢視断面図である。
【図9】図6中のIX―IX線矢視断面図である。
【図10】揺動作動機構を抽出して示したもので、同図(a)はその長手方向に沿った断面図、同図(b)は同図(a)中のb−b線部の矢視断面図、同図(c)は同図(a)中に示してあるカム溝の展開図である。
【図11】搬送ベルトの断面とこの搬送ベルトが係合する溝断面とを拡大して示した要部拡大断面図である。
【図12】図11における溝断面の変形実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図13】搬送ベルトと駆動側のテールローラの溝部との係合挿入側に配設されるベルトガイドを示す正面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る振り分け搬送コンベア装置に付いて、その好ましい実施の形態を添付図面を参照して詳述する。
【0018】
図1は本実施形態における振り分け搬送コンベア装置の全体構成を示す平面図である。図示するように、この振り分け搬送コンベア装置1は、その搬入端に所定間隔を空けて供給される物品wを、その搬出端の下流側に並設された複数の搬送コンベアA1〜A4に振り分けて搬送分配するようになっており、振り分け搬送コンベア部2と、この振り分け搬送コンベア部2の搬出端側を下流側の搬送コンベアA1〜A4の搬入端に向けて振り分け作動させる振り分け作動部3とを備えてなる。
【0019】
上記振り分け搬送コンベア部2は、図2の縦断面図にも示すように、当該振り分け搬送コンベア部2の一方端側の搬入端に設けられたテールローラ210と、その他方端側の搬出端に設けられたテールローラ220と、これら両テールローラ210,220間に掛け廻されて巻装された複数本の搬送ベルト230と、搬出側テールローラ220を回転自在に支持するとともに、当該搬出側テールローラ220の回転軸芯方向に沿って往復直線移動可能に設けられた可動フレーム240と、この可動フレーム240に取り付けられて搬出側テールローラ220の近傍に設けられるとともに、上記搬送ベルト230が掛け廻されてこの搬送ベルト230の張力を所定値に保つテンションローラ250とを有してなる。ここで、搬入側テールローラ210と搬出側テールローラ220、及びテンションローラ250とには、搬送ベルト230を係合挿入させるための溝部がそれらの外周面にそれぞれ凹設形成されている。
【0020】
また、上記搬入側テールローラ210には、その軸芯部に回転軸211が一体的に取り付けられており、この回転軸211は、物品wの搬送方向に沿ってその側方部に延設されている機枠4に支持されている。即ち、回転軸211は、機枠4を貫通して固定係止されている支持筒212の内部に挿通されて、この支持筒212に回転自在に軸支されている。また、この回転軸211は支持筒212内に挿通されて一端部が側方に延出され、その延出端211aは機枠4に組み付けられた支持枠213に更に回転自在に支持されている。また、回転軸211の延出部にはプーリー214が固定されていて、このプーリー214に巻回されたドライブベルト215を介して、その下方に設けられている駆動モータ(図示せず)によって回転駆動されるようになっている。
【0021】
また、上記搬出側テールローラ220は上記可動フレーム240に取り付けられている。なお、この可動フレーム240は上記振り分け作動部3の一部をも構成するものであり、当該振り分け作動部3については後に詳述する。
【0022】
即ち、図3は振り分け搬送コンベア部2の搬出側テールローラ220部分を拡大して示した平面図であり、図4は同様にその搬出側テールローラ220部分を拡大して示した側面図であるが、これらに図示するように、搬出側テールローラ220は、可動フレーム240の端板240aに立設固定された支軸242に支持アーム243を介して取り付けられている。この支持アーム243は搬出側テールローラ220の両端部に一対で設けられていて、搬出側テールローラ220の軸部を回転自在に軸支している。
【0023】
また、上記支軸242の軸端面には、支持アーム243を固定する固定ボルト242aが螺合されていて、この固定ボルト242aの締め付け力を緩めることで、当該支持アーム243と共に搬出端側テールローラ220を上方に向けて揺動移動させ得るようになっている。そして、この搬出側テールローラ220を上方に揺動移動させて跳ね上げることにより、搬送ベルト230の脱着交換等のメンテナンス作業を容易に行えるようにしている。
【0024】
また、上記可動フレーム240の端板240aには、環状の搬送ベルト230の戻り側部分を案内するガイドローラ260が支軸261を介して回転自在に取り付けられている。ここで、この図示例では、端板240aの反搬出端側の端部の下側面には、下方に突出されてブラケット262が一体的に設けられていて、このブラケット262に上記支軸261が立設固定されおり、その軸芯位置は搬出側テールローラ220よりも下方になっている(図4参照)。つまり、図2に示すように、ガイドローラ260は搬送ベルト230の戻り側部分よりも下側に位置してこれを押し上げるように当接している。
【0025】
また、図3と図4とに示すように、上記可動フレーム240の端板240aには、揺動アーム251を介してテンションローラ250が取り付けられている。ここで、当該揺動アーム251は、基端側揺動アーム251aと揺動端側揺動アーム251bとに2分割形成されており、これら両アーム251a,251bはボルト固定によって繋がれて一体化されている。そして、この一体化された揺動アーム51の基端部は、端板240aを貫通してこれに回転自在に軸支された回転軸621に固定装着されている。また、回転軸621は搬出側テールローラ220の軸心とほぼ同軸上の位置で端板240aに対して回転自在に軸支されている。なお、この回転軸621は後に詳述する揺動作動機構620の構成部材である。
【0026】
また、図4に示すように、基端側揺動アーム251aは上記回転軸621部分から斜め下方に向かって延び、その延出端に揺動端側揺動アーム251bが取り付けられていて、この揺動端側揺動アーム251bは略水平に延出されてガイドローラ260の近傍に至り、その延出端にテンションローラ250を回転自在に支持する支軸252が立設固定されている。テンションローラ250は筒体状をなしており、その内部に上記支軸252が挿通されて、この支軸252その外側に回転自在に支持されている。
【0027】
また、図1と図2とに示すように、搬送ベルト230の搬送側部と戻り側部との間には、その搬送側部の下方への弛みを抑制するための抑えローラー群231が設けられている。この抑えローラー群231は、当該図示例にあっては、7本のローラ231aからなっており、各ローラ231aは矩形のフレーム232内に納められて、これに回転自在に支持されていて、かつ、このフレーム232は一対の支持ステー233を介して機枠4に固定支持されている。
【0028】
なお、図1に示すように、搬入側テールローラ210の上流側には、搬送する物品wを当該搬入側テールローラ210に巻回されている搬送ベルト230上に供給する物品供給装置5が設けられている。ここで、この実施形態では当該物品供給装置5はハム原木からハムを所定厚さに切り出して、その切り出したハム切片を所定数ずつ重ねて、これを搬送物品wとして送り出すようにしたハムスライサー装置501となっている。また、このハムスライサー装置501は2基のハムスライサー501a,501bが並設されて構成されたものであり、各ハムスライサー501a,501bはハム原木の供給時に相互にバッファーとして機能するようになっている。即ち、各ハムスライサー501a,501bはハム原木の交換供給時に適宜に水平移動されて、その各搬出端が搬入側テールローラ210に対面されて位置合わせされるようになっている。
【0029】
図5は振り分け作動部3を拡大して示した平面図である。この振り分け作動部3は、搬出端位置切換機構をなすものであって、上述の可動フレーム240を含んでおり、この可動フレーム240を搬出側テールローラ220の回転軸芯方向に沿って往復直線移動させることによって搬出側テールローラ220を、その下流側に並設された複数の搬送路、つまり複数の搬送コンベアA1〜A4の搬入端のそれぞれに選択的に対向させて、その所定位置に平行に位置決めして停止させるようになっている。
【0030】
また、図6は、上記振り分け作動部3の搬出端位置切換機構を図5の裏面側から見た図であり、図7は図6中のVII−VII線部の矢視断面図である。即ち、図5〜図7に示すように、前記振り分け作動部3は、前記可動フレーム240と、この可動フレーム240を往復直線移動自在に支持する固定フレーム320と、この固定フレーム320と上記可動フレーム240との間に介在されて当該可動フレーム240を往復直線作動させる作動機構340とを備えている。
【0031】
上記可動フレーム240は搬送方向に延びた端板240aと、この端板240aにおける反搬出端側の近傍部とその長手方向略中央部とにそれぞれ一端部が固定された2本のスライドロッド240b,240bと、これらのスライドロッド240b,240bの他端部間に掛け渡されて設けられたエンドプレート240cとを有して略矩形状に形成されている。また、上記エンドプレート240c側には、両スライドロッド240b,240b間に跨ってその上部側に、上記エンドプレート240c側から端板側に向けて所定長さに亘って延びる平板245が固定されて設けられている。
【0032】
固定フレーム320は、機枠4をなす側板401の両面を挟み込んで当該側板401に、例えばボルト等で締結固定される固定基板321と押さえ板322とを有している。そして、これらの固定基板321と押さえ板322及び機枠4の側板401とには、上記スライドロッド240b,240bが貫通挿通される貫通孔323が2つ同心上に開けられている。
【0033】
また、固定フレーム320は固定基板321に一体的に固定されて、機枠4の側方に延びる支持板324を有しており、この支持板324は上述の搬送コンベアとは反対側に向かって延びている。そして、この支持板324には、その延出方向に沿った両側部に補強板325が一対で一体的に起立されて取り付けられている。
【0034】
また、図8は図6中のIIX―IIX線矢視断面図、図9は図6中のIX―IX線矢視断面図であるが、これらの図8と図9とにも示すように、固定フレーム320の支持板324の下面と可動フレーム240の平板245の上面とには、これらの間に介在されて、スライドロッド240b,240bの延出方向に沿って延びるリニアガイド326が一対で設けられている。即ち、リニアガイド326の固定フレーム側部材326aは支持板324の下面に吊り下げられて一体的に固定されている一方、リニアガイド326の可動フレーム側部材326bは平板245の上面に一体的に固定されている。つまり、可動フレーム240はリニアガイド326によって往復直線移動自在に案内されつつ、支持板324側から吊り下げ支持されている。
【0035】
また、支持板324の下面側には、その延出端側の端部近傍に位置されて、作動機構340をなす駆動側プーリ342とこの駆動側プーリ342を正逆回転させる駆動モータ343とが、支持フレーム341を介して取り付けられており、当該駆動側プーリ342はスライドロッド243,243間の中央部に対応する位置に相応されて配置されている。そして、上記駆動側プーリ342と対をなす従動側プーリ344が、機枠4の側板401に近接して、支持板324の下面側に支持ステー345を介して取り付けられており、これらの駆動側プーリ342と従動側プーリ344とに掛け回されてタイミングベルト346が巻回装着されている。
【0036】
また、上記タイミングベルト346はその所定部分が、可動フレーム240の平板245に、上下一対の取付板246を介して上下に挟まれて取付固定されている。このため、駆動モータ343が所定回転量で正逆回転されると、可動フレーム240が所定ストロークで往復直線移動されることになる。従って、この可動フレーム240が往復直線移動されると、これに伴って、図1に仮想線で示してあるように、振り分け搬送コンベア部2の搬出側テールローラ220がその回転軸方向に沿って往復直線移動することになる。
【0037】
なお、駆動モータ343は図示していない制御ユニットによって作動制御されるようになっており、当該駆動モータ343の回転量が、図1に仮想線で示してある搬送コンベアA1〜A4の搬入端の位置に合わせて制御されることで、搬出側テールローラ220が上記搬送コンベアA1〜A4の搬入端に対向した所定の搬出端位置に位置決めされて停止されることになる。
【0038】
ここで、上記のように、搬出側テールローラ220をその回転軸心方向に沿わせて往復直線移動させるようにすると、振り分け搬送コンベア部2の搬送長には、その往復直線移動量に応じた変化が生じてしまうことになる。即ち、搬出側テールローラ220の搬出端位置の切換に伴って、搬送ベルト230には、その弛み量(張力)に変化が生じてしまうことになる。
【0039】
そこで、本実施形態では、図1,図5,図6,図8〜図10に示してあるように、上記搬出側テールローラ220の搬出端位置の切換に伴って変化する搬送ベルト230の弛み量(張力)に応じて、前述したテンションローラ210の位置を切り替え、これにより搬送ベルト230の張力を所定値に保つようになしたテンションローラ位置切換手段6を設けるようにしている。
【0040】
即ち、このテンションローラ位置切換手段6は、前記テンションローラ210を上下に揺動自在に軸支して可動フレーム240に一体的に取り付けられた揺動アーム251と、この揺動アーム251を揺動作動させる揺動作動機構620とからなっている。
【0041】
ここで、この図示例における一態様の実施形態にあっては、当該揺動作動機構620は、揺動アーム251の揺動軸心に同軸に一体的に取り付けられて、可動フレーム240の端板241と一体となって往復直線移動する回転軸621と、この回転軸621の往復直線移動に伴わせて当該回転軸621を正逆に揺動回転させるカム機構640とが備えられてて構成されている。
【0042】
また、上記回転軸621は、可動フレーム240の端板241を貫通し、この端板241に対して軸方向への相対移動を規制されつつ摺動回転自在に軸支されている。そして、当該回転軸621は、更に固定フレーム320の固定基板321と押さえ板322、並びに機枠4の側板401をも貫通して、当該固定フレーム320の側部に沿って延設されている。そして、この延設長は可動フレーム240の往復移動ストローク値以上に設定されている。
【0043】
また、固定フレーム320には、回転軸621を摺動自在に軸支して、その長手方向への往復直線移動を案内する案内筒622が設けられている。ここで、この案内筒622の筒長は回転軸621の軸長よりも短くなっていて、回転軸621は当該案内筒622を貫通して突出するようになっている。また、案内筒622はその一端部側が固定フレーム320の固定基板321に軸受部材623を介して取付固定され、他端部側は固定フレーム320の補強板325に固定支持されて下方に垂下された取付固定板624に軸受部材623を介して取付固定されるようになっている。
【0044】
一方、上記カム機構640は、回転軸621の外周部に突出されて設けられたカムフォロワー642と、当該回転軸621の移動ストローク長より大きな全長を有して当該回転軸の外周面に対面して設けられた溝カム部材644とからなる。この溝カム部材644は回転軸621に対面する部位が、その回転軸621と中心を同一とする凹状の円弧面に形成されていて、この円弧面に上記カムフォロワー642を係合させるカム溝646が刻設形成されている。ここで、溝カム部材644はその両端部が、2つ設けられている上記軸受部材623,623の外周面に、それぞれボルト締結されて取付固定されるようになっている。なお、図10(a),(b)に示すように、案内筒622と溝カム部材644とには、それらの長手方向の中央部同士を繋いで、それらの強度を相互に補わせる連結補強部材645を設けておくことが望ましい。この図示例の連結補強部材645にあっては、その形状は周方向の一部に切欠部が形成されているC型のリング状を呈しており、その切欠部でカムフォロワー642との干渉を防止するようにしてある。
【0045】
また、図10(c)は上記カム溝646の展開図である。図示するように、このカム溝646は軸長方向に沿って延びており、そのカム溝長はカムフォロワー642の軸長方向への移動ストローク(=可動フレームの移動ストローク)に対応されている。そして、このカム溝646はその軸長方向の変位量に応じて、周面方向に滑らかにリフト変位されており、このリフト変位量が回転軸621の正逆揺動回転量となる。そして、この回転軸621の正逆回転量は、揺動アーム251の揺動角度量となって、図2中に仮想線で示してあるように、当該揺動アーム251の揺動端側に取り付けられたテンションローラ250が上下に揺動作動されることになる。即ち、このカム溝646のカムリフト曲線を、搬出側テールローラ220の搬出端位置の切換に伴って変化する搬送ベルトの弛み量(張力)に応じて形成することにより、搬送ベルト230の張力を所定値に保つことができるようになる。なお、上記案内筒622には上記カムフォロワー642の挿通溝622aがカム溝の形状に準じてそれよりも大きめに開口形成されている。
【0046】
また、上述の実施形態では、揺動作動機構620にはカム機構640を採用して、当該カム機640により揺動アーム251を介してテンションローラ250を上下に揺動させるようにしているが、当該カム機構に換えてサーボモータを採用することによってテンションローラ250を揺動作動させるようにしても良い。
【0047】
ところで、上述したように、搬出側テールローラ220をその回転軸心方向に沿って往復直線移動させて、搬入側テールローラ210に対して相対的に左右に変位させる様にしていると、搬送ベルト230は搬入側テールローラ210と搬出側テールローラ220との間で斜行することになる。これ故、搬送ベルト230に従来のような丸ベルトを使用して、そのベルト溝も丸ベルトに対応させて形成していると、脱落や捻れが生じてしまうことになる。
【0048】
そこで、本発明にあっては、図11の要部拡大断面図に示すように、搬送ベルト230には、その断面形状が台形状を呈した台形ベルト230aを採用するとともに、これに相応させて、搬出側と搬入側との両テールローラ210,220、及びテンションローラ250とには、その外周面に当該台形ベルト230aの形状に対応した台形溝211,221,251を形成した滑り性の良い樹脂製のものを採用するようにしている。また、この樹脂素材としてはポリアセタール等が適している。
【0049】
ここで、前記両テールローラ210,220、及びテンションローラ250の各台形溝211,221,250は、その底部側の内側面211a,221a,251aが所定深さdaに亘って台形ベルト230aの側面形状に相応されて、当該台形ベルト230aにその両内側面211a,221a,251aが当接する溝幅に傾斜形成されている一方、その開口側の内側面211b,221b,251bは所定深さdbに亘って台形ベルト230aの両側面から離間する傾斜面に形成されている。つまり、このように開口側の内側面211b,221b,251bを台形ベルト230aの両側面から離間する傾斜面に形成することによって、各溝部の開口幅を大きくして、台形ベルト230aの台形溝211,221,251内への入り込みを容易となし、かつその開口側の内側面211b,221b,251bを滑らせて、底部側の内側面211a,221a,251a間に確実に導いて、楔効果により台形溝211,221,250内にしっかりと嵌合嵌入させるようにしている。
【0050】
また、図12は搬入側と搬出側の両テールローラ210,220、及びテンションローラ250に凹設形成する台形溝211,221,251の変形実施形態を示した要部拡大断面図であり、上記開口側の内側面211b,221b,251bは、同図に示すように、溝内部に向けて突出する湾曲面に形成する様にしてもよい。更に、図示はしないが、当該台形溝211,221,251は、その底部側内側面を211a,221a,251aを当該溝部の全深さに亘って開口まで延長形成して、単一の傾斜面となしても良い。
【0051】
また、図13は台形ベルト230aを駆動側のテールローラの係合挿入側に案内するためのベルトガイド270を示している。図示するようにこのベルトガイド270はL字型に屈曲形成された支持ステー271と、この支持ステー271の屈曲片271aに立設固定された7個のガイドローラ272とからなる。ガイドローラ272は台形ベルト230aのベルト幅に合わせて所定のピッチで上記屈曲片に支軸273を介して回転自在に軸支されており、その各ガイドローラ272,272間に台形ベルト230aが挿通されて、当該ベルトガイド270は駆動側のテールローラに対面してその係合挿入側に配設されるようになっている。即ち、図示する本実施形態では、図1及び図2に示すように、搬入側テールローラ210が駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される駆動側のテールローラとなっているため、当該ベルトガイド270は搬入側テールローラ210の近傍にこれに対面して固定配置されて、搬送ベルト230(台形ベルト230a)の戻り側部分を当該搬入側テールローラ210の台形溝内に案内するようになっている。そして、当該ベルトガイド270を設けることによって、斜行して戻ってくる台形ベルト230が台形溝の外側に乗り上がってしまうのを確実に防止するようにしている。
【符号の説明】
【0052】
1 振り分け搬送コンベア装置
2 振り分け搬送コンベア部
3 振り分け作動部
210 搬入端側テールローラ
211 台形溝
211a 底部側の内側面
211b 開口側内側面
220 搬出端側テールローラ
221 台形溝
221a 底部側の内側面
221b 開口側内側面
230 搬送ベルト
230a 台形ベルト
240 可動フレーム
250 テンションローラ
251 台形溝
251a 底部側の内側面
251b 開口側内側面
320 固定フレーム
340 作動機構
w 搬送物品
A1〜A4 搬送コンベア(下流側搬送路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入端側テールローラと、搬出端側テールローラと、該両テールローラに掛け廻されて巻装された複数本の搬送ベルトと、該搬出側テールローラをその下流側に並設されている複数の搬送路の搬入端に向けて平行に対向させて選択的に振り分け作動させる振り分け作動部とを備えて、所定間隔を空けて搬送する物品を該搬出端の下流側に並設された複数の搬送路の搬入端に適宜に振り分けて搬送する振り分け搬送コンベア装置であって、
前記搬送ベルトには、断面台形状を呈した台形ベルトが採用され、
前記両テールローラには、その外周面に該台形ベルトの形状に対応した台形溝が形成された樹脂製のものが採用されている、
ことを特徴とする振り分け搬送コンベア装置。
【請求項2】
前記テールローラの台形溝は、その底部側の内側面が台形ベルトの側面形状に相応して該台形ベルトに当接する溝幅に傾斜形成されている一方、その開口側の内側面は台形ベルトの側面から離間する傾斜面あるいは湾曲面に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の振り分け搬送コンベア装置。
【請求項3】
前記振り分け作動部が、
前記搬出側テールローラを回転自在に支持するとともに、該搬出側テールローラの回転軸芯方向に沿って往復直線移動可能に設けられた可動フレームと、
該可動フレームを往復直線移動自在に支持する固定フレームと、
該固定フレームと該可動フレームとの間に介在されて該可動フレームを作動させる作動機構とを備え、
該可動フレームには、該搬送ベルトが掛け廻されて該ベルトの張力を所定値に保つテンションローラが該搬出側テールローラの近傍に取り付けられており、該テンションローラにも前記台形溝が形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の振り分け搬送コンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−91893(P2012−91893A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238972(P2010−238972)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】