説明

振分装置

【課題】 低コストで、振分アームが正常に動作しているか否かを目視で確認することが容易になる振分装置を提供する。
【解決手段】 振分コンベヤ3の側方に配置された駆動軸21,22を中心に揺動可能に構成され、揺動動作することにより振分コンベヤ3から所定の物品を排除する振分アーム6,7と、各振分アーム6,7に装着され、各振分アーム6,7が揺動動作するべき時に点灯するように構成されたLED8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量選別機や異物検査装置等とともに用いられる振分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポテトチップス、キャンデー、畜産物、農産物、海産物等の物品を計量して包装し、市場に出荷する生産工場の計量包装システム(生産ライン)には、例えば、組合せ秤等の計量機器と、包装機と、検査装置(X線異物検出装置、金属検出機、重量選別機等)と、箱詰め装置とが備えられている。
【0003】
このようなシステム(生産ライン)において、異物検査装置や重量選別機等には、その後段に、異物検査装置の検査結果や重量選別機の選別結果に応じて物品を振り分けるための振分装置が設けられている。振分装置としては、例えば、搬送ライン上で順次搬送されてくる物品を搬送ラインから排除するために、一端部が回動可能に軸支され、揺動動作する振分アームを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、さらに、振分アームの動作の確認を行うために、振分アームを含む所定の撮像範囲を撮影する撮像手段と、この撮像手段によって撮影された監視画像に基づいて、検査装置の判定結果に応じた振分けが確実に行われたか否かを判定する画像処理手段とを有する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−148248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような振分装置において、ある1つの振分アームに着目すれば、その1つの振分アームは物品が搬送されてくるたびに常に動作するわけではないので、振分アームが正常に動作したか否かを目視で確認するのは難しい。例えば、後の工程等において、良品中に不良品が発見されることにより、不良品が振分けられなかった等、あとから振分アームの動作不良がわかることがある。また、特許文献1に開示された構成では、高価な撮像手段及び画像処理手段が必要であり、コストが高くなる。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、低コストで、振分アームが正常に動作しているか否かを目視で確認することが容易になる振分装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の振分装置は、物品の搬送経路の側方に配置された支持軸を中心に揺動可能に構成され、揺動動作することにより前記搬送経路から所定の物品を排除する振分アームと、前記振分アームまたはその近傍に設けられ、前記搬送経路から所定の物品を排除するために前記振分アームが揺動動作するべき時に点灯するように構成された発光手段とを備えている。
【0009】
この構成によれば、振分アームまたはその近傍に設けられた発光手段が点灯することにより振分アームが揺動動作するべき時であることを使用者に報知することができる。すなわち、振分アームが揺動動作するべき時に発光手段が点灯するため、使用者は発光手段が点灯したときに振分アームを見ることにより、その振分アームが正常に動作しているか否かを目視で確認することが容易になる。したがって、動作不良が生じたときの振分アームの動作状態を目視で確認することが容易になる。
【0010】
また、前記振分アームを揺動動作させる駆動源となるモータと、前記モータの駆動電流を検出する電流検出手段とをさらに備え、前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時に点灯し、かつ前記電流検出手段により検出される電流値に応じて点灯色を変えるように構成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、使用者は発光手段の点灯色から振分アームの駆動系統の調整状態を知ることができ、同駆動系統の調整等のメンテナンスの要、不要を判断することができる。
【0012】
また、前記振分アームを揺動動作させる駆動源となるモータと、前記モータの駆動電流を検出する電流検出手段とをさらに備え、前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時に前記電流検出手段により検出される電流値に応じて予め定められた数字を点灯表示するように構成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、使用者は発光手段に点灯表示される数字から振分アームの駆動系統の調整状態を知ることができ、同駆動系統の調整等のメンテナンスの要、不要を判断することができる。
【0014】
また、前記振分アームが揺動動作したことを検出する動作検出手段をさらに備え、前記振分アームが揺動動作するべき時に前記動作検出手段が前記振分アームが揺動動作したことを検出しなかったときに、前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時とは点灯状態を異ならせて点灯するように構成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、振分アームが揺動動作するべき時に振分アームが揺動動作したことを動作検出手段により検出されなかった場合に、発光手段が振分アームが揺動動作するべき時とは点灯状態を異ならせて点灯することにより、振分アームの動作不良を使用者に報知することができる。
【0016】
また、前記振分アームを揺動動作させる駆動源となるエアーシリンダをさらに備え、前記動作検出手段は、前記エアーシリンダが動作したことを検出することにより前記振分アームが揺動動作したことを検出するように構成されていてもよい。
【0017】
また、前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時に連続点灯し、前記振分アームが揺動動作するべき時に前記動作検出手段が前記振分アームが揺動動作したことを検出しなかったときに点滅点灯するように構成されていてもよい。
【0018】
この構成により、使用者は、発光手段が振分アームが揺動動作するべき時であることを報知しているのか、振分アームの動作不良を報知しているのかを容易に判別できる。
【0019】
また、前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時に第1の色で点灯し、前記振分アームが揺動動作するべき時に前記動作検出手段が前記振分アームが揺動動作したことを検出しなかったときに前記第1の色とは異なる第2の色で点灯するように構成されていてもよい。
【0020】
この構成により、使用者は、発光手段が振分アームが揺動動作するべき時であることを報知しているのか、振分アームの動作不良を報知しているのかを容易に判別できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上に説明した構成を有し、振分装置において、低コストで、振分アームが正常に動作しているか否かを目視で確認することが容易になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施形態の振分装置を用いた重量選別機を上方から視た概略構成を示す模式図であり、(b)は、同振分装置を用いた重量選別機を側方から視た概略構成を示す模式図である。
【図2】(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の振分装置の振分アームの駆動構成の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の振分装置を用いた重量選別機の概略構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は、本発明の第2の実施形態の振分装置の一方の振分アームの駆動部の概略構成を示す図であり、(b)は、同振分装置の他方の振分アームの駆動部の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の振分装置を用いた重量選別機の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態の振分装置を用いた重量選別機を上方から視た概略構成を示す模式図であり、図1(b)は、同振分装置を用いた重量選別機を側方から視た概略構成を示す模式図である。図2(a)、(b)は、同振分装置の振分アームの駆動構成の一例を示す模式図である。また、図3は、同振分装置を用いた重量選別機の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
この重量選別機は、電装品収納ボックス5と、供給コンベヤ1と、ロードセル等からなる重量センサ4により支持された計量コンベヤ2と、振分アーム6、7を備えた振分コンベヤ3と、操作表示器10と、制御装置11とを備えている。また、振分コンベヤ3の両側には収納箱B1,B2が設けられている。本実施形態では、各振分アーム6、7にLED(発光ダイオード)8を装着している。
【0026】
各コンベヤ1〜3は、例えばベルトコンベヤによって構成されている。供給コンベヤ1は、例えば図示されないコンベヤによって順次搬送されてくる物品Wを受け取り、計量コンベヤ2へ移送する。計量コンベヤ2は、供給コンベヤ1によって搬送されてくる物品Wを受け取り、振分コンベヤ3へ移送する。物品Wが計量コンベヤ2上の所定位置に移送されてきたときに重量センサ4によって物品Wの重量が計量される。
【0027】
電装品収納ボックス5には、その前面の上部に操作表示器10が嵌め込まれるようにして取り付けられ、内部に制御装置11が収納されている。操作表示器10は、例えばタッチパネルディスプレイ等を用いて構成され、重量選別機の操作およびその運転条件情報の設定等を行うための入力手段と、物品の重量値、集計データ等をスクリーン(ディスプレイ画面)に表示する表示手段とを備えている。制御装置11は、操作表示器10からの信号を入力するとともに、操作表示器10へ表示するデータ等の信号を出力する。
【0028】
制御装置11は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成され、図3に示すように、CPU等からなる演算制御部11aと、RAM及びROM等のメモリを有し、運転条件情報及び運転用プログラム等を記憶する記憶部11bとを有している。そして、演算制御部11aが予め設定された運転条件情報を用いて運転用プログラムを実行することにより、制御装置11は重量選別機の全体の動作制御を行う。すなわち、制御装置11は、供給コンベヤ駆動回路12、計量コンベヤ駆動回路13及び振分コンベヤ駆動回路14のそれぞれを制御することにより、供給コンベヤ1、計量コンベヤ2及び振分コンベヤ3の駆動(動作)を制御する。また、電磁弁コントローラ16a、16bを制御することにより振分アーム6、7の駆動(動作)を制御し、LED駆動回路15を制御することにより2つの各LED8の点灯・消灯を制御する。
【0029】
また、制御装置11は、重量センサ4からのアナログ計量信号がA/D変換器9によってデジタル計量信号に変換されて入力されることにより、計量コンベヤ2上の物品Wの重量を取得し、この物品Wの重量が、予め設定された所定重量範囲内であると「適量品」と判定し、所定重量範囲の上限値を超えると「過量品」と判定し、所定重量範囲の下限値より少ないと「軽量品」と判定する。そして、制御装置11は、例えば、過量品と判定した物品を振分アーム6によって過量品収納箱B1に振り分け、軽量品と判定した物品を振分アーム7によって軽量品収納箱B2に振り分けるように、振分アーム6,7を制御する。この場合、適量品と判定した物品のみが、振分コンベヤ3を通過して、例えば、次の搬送コンベヤ(図示せず)へ搬送される。
【0030】
振分装置の一方の振分アーム6は、その一端部が、振分コンベヤ3の一方の側方に回動自在に設けられた駆動軸21に固定され、他方の振分アーム7は、その一端部が、振分コンベヤ3の他方の側方に回動自在に設けられた駆動軸22に固定されている。すなわち、各振分アーム6,7は、振分コンベヤ3の側方に配置された駆動軸21,22を中心に揺動可能に構成され、揺動動作することにより振分コンベヤ3上に出没して振分コンベヤ3から所定の物品Wを排除するためのものである。
【0031】
図2(a)、(b)に示すように、上端部に振分アーム6が取り付けられた駆動軸21は、下方に延びて枠体31の上面を貫通し、枠体31の内側で上下方向の2箇所に固定された一対の支持板33によって回動自在に支持されている。一対の支持板33の間で駆動軸21に固定された作動板35が設けられ、作動板35の先端部がリンク36を介してシリンダ37aのロッド38aに接続されている。シリンダ37aは枠体31の内側に固定された取り付け部材34に取り付けられている。図2(a)は、シリンダ37aのロッド38aが後退した状態であり、このとき振分アーム6は振分コンベヤ3上から退避した退避状態である。この状態からロッド38aが前進すると、振分アーム6は駆動軸21を中心に矢印A方向に揺動して、図2(b)に示すように振分コンベヤ3上に進出した進出状態になる(振分アーム6の進出動作)。振分アーム6が進出状態になると、物品は振分アーム6に沿って進行方向(矢印S方向)に向かって右側へ流され、収納箱B1(図1(a))へ収納される。また、振分アーム6の退避動作(進出状態から退避状態へ戻る動作)によって物品が右側へ押し出される場合もある。
【0032】
また、駆動軸22を回動させて振分アーム7を揺動させる構成も、振分コンベヤ3を挟んで対称になっている他は上記と同様の構成であり、枠体32の内側にシリンダ37bが取り付けられ、シリンダ37bのロッド38bが前進すると振分アーム7は図2(a)に示す退避状態から駆動軸22を中心に矢印B方向に揺動して進出状態になる(振分アーム7の進出動作)。振分アーム7が進出状態になると、物品は振分アーム7に沿って進行方向(矢印S方向)に向かって左側へ流され、収納箱B2(図1(a))へ収納される。また、振分アーム7の退避動作によって物品が左側へ押し出される場合もある。
【0033】
この重量選別機において、振分装置は、振分コンベヤ3と、振分アーム6,7と、各振分アーム6,7に装着されたLED8と、振分コンベヤ駆動回路14と、LED駆動回路15と、電磁弁コントローラ16a、16bと、電磁弁17a、17bと、エアーシリンダ37a、37bと、動作検出手段である動作確認センサ39a、39bと、振分コンベヤ駆動回路14とLED駆動回路15と電磁弁コントローラ16a、16bとを制御する制御装置11の一部等によって構成されている。
【0034】
本実施形態では、制御装置11は、重量センサ4によって計量された物品の重量に基づいて「過量品」と判定したときには、その物品を過量品収納箱B1に振り分けるために振分アーム6を動作させるための第1の駆動指令信号を電磁弁コントローラ16aへ出力するとともに、振分アーム6に取り付けられたLED8を点灯(発光)させるための第1の点灯指令信号をLED駆動回路15へ出力する。電磁弁コントローラ16aは、第1の駆動指令信号を入力すると、振分アーム6が進出動作した後、退避動作するように電磁弁17aを制御する。また、LED駆動回路15は、第1の点灯指令信号を入力すると、振分アーム6に取り付けられたLED8を所定の点灯時間の間、点灯させる。
【0035】
また、制御装置11は、「軽量品」と判定したときには、その物品を軽量品収納箱B2に振り分けるために振分アーム7を動作させるための第2の駆動指令信号を電磁弁コントローラ16bへ出力するとともに、振分アーム7に取り付けられたLED8を点灯(発光)させるための第2の点灯指令信号をLED駆動回路15へ出力する。電磁弁コントローラ16bは、第2の駆動指令信号を入力すると、振分アーム7が進出動作した後、退避動作するように電磁弁17bを制御し、LED駆動回路15は、第2の点灯指令信号を入力すると、振分アーム7に取り付けられたLED8を所定の点灯時間の間、点灯させる。
【0036】
LED駆動回路15が第1、第2の点灯指令信号を入力したときに、振分アーム6、7に取り付けられたLED8を点灯させる上記所定の点灯時間は、例えば、振分アーム6、7が正常動作時に進出動作の開始時点から退避動作の終了時点までに要する時間として予め設定された時間である。
【0037】
また、制御装置11は、「適量品」と判定したときには、上記第1、第2の駆動指令信号及び第1、第2の点灯指令信号を出力しない。すなわち、いずれの振分アーム6、7も退避状態のままで動作させず、いずれのLED8も点灯させない。
【0038】
また、本実施形態では、動作確認センサ39a、39bが設けられている。この動作確認センサ39a、39bは、それぞれ振分アーム6、7が動作したことを検出するためのものであり、ここでは、エアーシリンダ37a、37b内のピストンの動きを非接触で検出するセンサとして一般的に知られている近接センサを用いている。動作確認センサ39a、39bは、それぞれエアーシリンダ37a、37bのピストンの動きを検出したときに、制御装置11へ動作検出信号を出力する。
【0039】
制御装置11は、例えば、振分アーム6を動作させるために、第1の駆動指令信号を電磁弁コントローラ16aへ出力した後、上記所定の点灯時間内に動作確認センサ39aからの動作検出信号が入力されない場合には、振分アーム6が動作不良であると判定し、振分アーム6に取り付けられたLED8を点滅点灯させるための第1の点滅指令信号をLED駆動回路15へ出力する。LED駆動回路15では、第1の点滅指令信号を入力すると、振分アーム6に取り付けられたLED8を点滅点灯させる。また、振分アーム7を動作させるために、第2の駆動指令信号を電磁弁コントローラ16bへ出力した後、上記所定の点灯時間内に動作確認センサ39bからの動作検出信号が入力されない場合には、振分アーム7が動作不良であると判定し、振分アーム7に取り付けられたLED8を点滅点灯させるための第2の点滅指令信号をLED駆動回路15へ出力する。LED駆動回路15では、第2の点滅指令信号を入力すると、振分アーム7に取り付けられたLED8を点滅点灯させる。
【0040】
本実施形態では、振分アーム6,7が動作しなければならないとき(動作するべき時)に、各振分アーム6,7に取り付けられたLED8を点灯させるようにしているため、使用者はLED8が点灯したときにそのLED8が取り付けられている振分アームを見ることにより、その振分アームが正常に動作しているか否かを目視で確認することが容易になる。したがって、動作不良が生じたときの振分アームの動作状態を目視で確認することが容易になる。
【0041】
また、動作確認センサ39a、39bを設け、振分アーム6,7が動作しなければならないときに、動作確認センサ39a、39bから動作検出信号が出力されない場合にLED8を点滅点灯させることにより、振分アーム6,7の動作不良を使用者に報知することができる。
【0042】
なお、本実施形態において、単色発光のLED8の代わりに、他の発光手段、例えば、電球や小型の液晶表示器などを用いてもよい。
【0043】
また、単色発光のLED8に代えて、例えば多色LEDランプ(いわゆる多色LED)を用い、振分アーム6,7が動作しなければならないときには、各振分アーム6,7に取り付けられた多色発光ダイオードを第1の色(例えば緑色)で点灯させるようにし、振分アーム6,7が動作しなければならないときに動作確認センサ39a、39bから動作検出信号が出力されない場合には、多色発光ダイオードを上記第1の色とは異なる第2の色(例えば赤色)で点灯させるようにしてもよい。この多色LEDランプの代わりに、異なる色を発光(点灯)する2つの発光手段、例えば、発光色の異なる2つのLEDや、点灯色の異なる2つの電球などを用いてもよい。
【0044】
上記のような、LED、多色LEDランプ、電球、小型の液晶表示器などは、従来技術の説明で述べた撮像手段及び画像処理手段に比べて低コストで済む。また、単色発光のLEDや多色LEDランプは、小型で長寿命である上、動いても故障しにくいため、揺動する振分アーム6,7に装着するのに適している。
【0045】
また、振分アーム6,7の動作不良を検出するために、動作確認センサ39a、39bとして、エアーシリンダ37a、37bのピストンの動きを検出するセンサを用いたが、これに限られない。例えば、光センサ等を用いて、振分アーム6,7が動作したときに振分コンベヤ3上から排除される物品を検出するように構成したものであってもよい。
【0046】
なお、本実施形態では、振分アーム6,7をエアーシリンダを用いて駆動するように構成したが、これに限られず、例えばモータあるいは電磁石を用いて駆動する公知の構成としてもよい。この場合、動作確認センサを設ける場合には、例えば、動作確認センサとして振分アーム6、7が動作したときに振分コンベヤ3上から排除される物品を検出できるセンサ、例えば光センサを用いればよい。例えば、図2(b)に示すように振分アーム6が動作したときに振分コンベヤ3上から排除される物品を検出するために、発光素子41及び受光素子42を有する光センサを設け、同様に、振分アーム7が動作したときに振分コンベヤ3上から排除される物品を検出するために、発光素子43及び受光素子44を有する光センサを設ければよい。
【0047】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の振分装置を用いた重量選別機の概略構成は、図1(a)、(b)に示す構成とほぼ同様である。
【0048】
第2の実施形態の振分装置は、第1の実施形態の振分装置とは、振分アームの駆動部の構成が異なり、モータによって振分アームが駆動されるように構成されている。また、振分アーム6,7には、単色発光のLED8に代えて多色LEDランプを装着している。
【0049】
図4(a)は、第2の実施形態の振分装置の一方の振分アーム6の駆動部の概略構成を示す図であり、図4(b)は、同振分装置の他方の振分アーム7の駆動部の概略構成を示す図である。
【0050】
図4(a)に示すように、上端部に振分アーム6が取り付けられた駆動軸21は、下方に延びて、モータ24aが取り付けられた減速ギヤ機構部29aに連結されている。同様に、図4(b)に示すように、上端部に振分アーム7が取り付けられた駆動軸22は、下方に延びて、モータ24bが取り付けられた減速ギヤ機構部29bに連結されている。減速ギヤ機構部29a、29bは、それぞれ複数のギヤによってモータ24a、24bの回転を減速して駆動軸21、22に伝達する公知の構成からなる。
【0051】
図5は、本実施形態の振分装置を用いた重量選別機の概略構成を示すブロック図であり、図3と同様のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
本実施形態の振分装置は、振分コンベヤ3と、振分アーム6,7と、各振分アーム6,7に装着された多色LEDランプ8Aと、振分コンベヤ駆動回路14と、LED駆動回路15Aと、DCモータコントローラ23a、23bと、DCモータ24a、24bと、直流電源25a、25bと、電流検出部26a、26bと、振分コンベヤ駆動回路14とLED駆動回路15AとDCモータコントローラ23a、23bとを制御する制御装置11の一部等によって構成されている。多色LEDランプ8Aには、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つのLEDが1つのパッケージに収納され多色発光が可能なもの(いわゆる多色LED)を用いればよい。
【0053】
また、各電流検出部26a、26bは、直流電源25a、25bからDCモータコントローラ23a、23bを介してDCモータ24a、24bへ供給されるモータ駆動電流(負荷電流)を検出するためのものであり、シャント抵抗27a、27b及びA/D変換器28a、28bを備えている。各モータ駆動電流は各シャント抵抗27a、27bの両端の電圧に変換されて検出される。各シャント抵抗27a、27bの両端の電圧が、A/D変換器28a、28bによってA/D変換され、制御装置11へ入力される。
【0054】
制御装置11は、重量センサ4によって計量された物品の重量に基づいて「過量品」と判定したときには、その物品を過量品収納箱B1に振り分けるために振分アーム6を動作させるための第1の駆動指令信号をDCモータコントローラ23aへ出力する。DCモータコントローラ23aは、制御装置11から第1の駆動指令信号を入力すると、振分アーム6が進出動作した後、退避動作するようにDCモータ24aを駆動制御する。このとき、電流検出部26aは、モータ駆動電流を検出し、その検出値を制御装置11へ出力する。制御装置11では、モータ駆動電流の検出値に応じた第1のLED制御信号をLED駆動回路15Aへ出力する。この第1のLED制御信号は、モータ駆動電流の検出値に応じた点灯色を示す情報を含む点灯指令信号である。LED駆動回路15Aは、入力される第1のLED制御信号に含まれる点灯色を示す情報に応じた点灯色で、振分アーム6に装着された多色LEDランプ8Aを点灯させる。すなわち、DCモータ24aの駆動電流の検出値に応じて多色LEDランプ8Aの点灯色が変化する。
【0055】
また、制御装置11は、重量センサ4によって計量された物品の重量に基づいて「軽量品」と判定したときには、その物品を過量品収納箱B2に振り分けるために振分アーム7を動作させるための第2の駆動指令信号をDCモータコントローラ23bへ出力する。DCモータコントローラ23bは、制御装置11から第2の駆動指令信号を入力すると、振分アーム7が進出動作した後、退避動作するようにDCモータ24bを駆動制御する。このとき、電流検出部26bは、モータ駆動電流を検出し、その検出値を制御装置11へ出力する。制御装置11では、モータ駆動電流の検出値に応じた第2のLED制御信号をLED駆動回路15Aへ出力する。この第2のLED制御信号は、モータ駆動電流の検出値に応じた点灯色を示す情報を含む点灯指令信号である。LED駆動回路15Aは、入力される第2のLED制御信号に含まれる点灯色を示す情報に応じた点灯色で、振分アーム7に装着された多色LEDランプ8Aを点灯させる。すなわち、DCモータ24bの駆動電流の検出値に応じて多色LEDランプ8Aの点灯色が変化する。
【0056】
また、制御装置11は、「適量品」と判定したときには、上記第1、第2の駆動指令信号及び第1、第2のLED制御信号を出力しない。すなわち、いずれの振分アーム6、7も退避状態のままで動作させず、いずれの多色LEDランプ8Aも点灯させない。
【0057】
本実施形態では、DCモータ24a、24bの駆動電流の検出値に応じて多色LEDランプ8Aの点灯色が変化するように、予め、モータの駆動電流の検出値と多色LEDランプ8Aの点灯色との関係が定められ、その関係が制御装置11の記憶部11bに記憶されている。
【0058】
モータの駆動電流の検出値と多色LEDランプ8Aの点灯色との関係は、例えば、予めモータ駆動電流値の範囲を複数例えば第1〜第5の5つの範囲に分割し、第1〜第5の各範囲に対して点灯色を決めておけばよい。例えば、第1〜第5の各範囲に対し、電流値の小さい方から順に、白色、青色、緑色、黄色、赤色というように、点灯色が決められている。制御装置11は、モータの駆動電流の検出値が第1〜第5のどの範囲に属するかを判定し、その判定した範囲に対応する点灯色を示す情報を含む第1、第2のLED制御信号を生成し出力する。
【0059】
DCモータ24a、24bの駆動電流は、それぞれ振分アーム6,7の駆動軸21、22を回転させるのに要するトルクと比例し、トルクが大きくなると増加する。したがって、モータ駆動電流が上記第1〜第3の範囲(白色、青色、緑色点灯)の場合、振分アームが正常に動作している範囲とし、第4の範囲(黄色点灯)の場合、振分アームは動作しているが、動作しにくい状態になっている範囲であり、第5の範囲(赤色点灯)の場合、振分アームが正常に動作していない範囲として決めておけば、使用者は多色LEDランプ8Aの点灯色から振分アームの駆動系統の調整等のメンテナンスの要、不要を判断することができる。
【0060】
なお、本実施形態の場合、2つの振分アーム6、7を同時に動作させることは無いので、2つのDCモータコントローラ23a、23bを例えば1つの直流電源(25a)に並列接続するようにしてもよい。この場合、直流電源(25a)及び電流検出部(26a)がそれぞれ1個あればよい。
【0061】
本実施形態では、振分アーム6,7が動作しなければならないときに、各振分アーム6,7に取り付けられた多色LEDランプ8Aを点灯させるようにしているため、使用者は多色LEDランプ8Aが点灯したときにその多色LEDランプ8Aが取り付けられている振分アームを見ることにより、その振分アームが正常に動作しているか否かを目視で確認することが容易になる。したがって、動作不良が生じたときの振分アームの動作状態を目視で確認することが容易になる。さらに、多色LEDランプ8Aの点灯色から振分アームの駆動系統の調整状態を知ることができ、同駆動系統の調整等のメンテナンスの要、不要を判断することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、モータ駆動電流の検出値が含まれる第1〜第5の各範囲に応じて点灯色を変化させるようにしたが、モータ駆動電流の検出値に応じてより緻密に点灯色を変化させるようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態においても、動作確認センサを設け、振分アーム6,7が動作しなければならないときに、動作確認センサから動作検出信号が出力されない場合に多色LEDランプ8Aを特定の色で例えば点滅点灯させることにより、振分アーム6,7の動作不良を使用者に報知することができる。この場合、動作確認センサとして、例えば、光センサ等を用いて、振分アーム6,7が動作したときに振分コンベヤ3上から排除される物品を検出するように構成すればよい。
【0064】
なお、本実施形態では、発光手段として多色LEDランプ8Aを用いたが、小型の液晶表示器等を用いてもよい。また、数字を表示可能な小型の液晶表示器またはLED表示器等を用いて、色を変える代わりに、モータの駆動電流の大きさに応じて予め定められた数字を表示するように構成してもよい。例えば、電流値の範囲(0から予想される駆動電流の最大値までの範囲)を複数例えば10個の範囲に分割し、その分割された各範囲の小さい方から順に、0から9までの数値(数字)を割り当てておき、制御装置11が、モータの駆動電流の検出値が上記10個のうちのどの範囲に属するかを判定し、判定結果の範囲に割り当てられた数値(数字)を表示するようにしてもよい。この場合、振分アームが動作しなければならないときに、表示器に数字が点灯表示され、使用者は点灯表示された数字の値から振分アームの駆動系統の調整等のメンテナンスの要、不要を判断することができる。また、この場合において、振分アームを動作させるときの最初の短時間にのみ表示器の表示面全面を点灯させるようにしてもよい。これにより、振分アームが動作するべきときであることが使用者によりわかりやすくなる。
【0065】
上記のような、多色LEDランプ、小型の液晶表示器、LED表示器などは、従来技術の説明で述べた撮像手段及び画像処理手段に比べて低コストで済む。また、多色LEDランプは、小型で長寿命である上、動いても故障しにくいため、揺動する振分アーム6,7に装着するのに適している。
【0066】
なお、上記第1、第2の実施形態では、LED8や多色LEDランプ8Aなどの発光手段を各振分アーム6,7に直接装着するようにしているが、それぞれ対応する振分アーム6,7の近傍に設けられるようにしてもよい。例えば、人間が発光手段を見たときにその視野内に同発光手段に対応する振分アームが入り、その動作を確認できればよい。
【0067】
また、上記第1、第2の実施形態において、制御装置11は、必ずしも単独の制御装置で構成される必要はなく、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働して重量選別機の動作を制御するよう構成されていてもよい。
【0068】
また、上記第1、第2の実施形態では、本発明の振分装置の一例として重量選別機に用いられ、振分アームを2つ備えた振分装置について説明したが、振分アームを1つ以上備えていれば、本発明を適用できる。例えば、X線異物検出装置あるいは金属検出機の後段に、振分アームを1つ備えた振分装置を設けた場合、X線異物検出装置あるいは金属検出機によって不良品と良品に判別され、不良品と判別された物品のみが振分アームによって振分コンベヤ上から排除される。また、コンベヤ長さが長い振分コンベヤの一方の側方に例えば3つ以上の振分アームが振分コンベヤの搬送方向に並んで配置された多段階重量選別機にも本発明を適用することができる。このような多段階重量選別機では、夫々異なる重量範囲ごとに定められる所定数の重量ランクが予め設定されており、物品の重量に該当する重量ランクを判定し、振分け装置によって重量ランク毎に予め定められた位置へ振り分けられる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明にかかる振分装置は、X線異物検出装置、金属検出機、重量選別機等とともに用いられ、振分アームの動作状態を目視で確認することが容易になる振分装置等として有用である。
【符号の説明】
【0070】
3 振分コンベヤ
6,7 振分アーム
8 LED
8A 多色LEDランプ
21、22 駆動軸
24a、24b DCモータ
37a、37b エアーシリンダ
39a、39b 動作確認センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送経路の側方に配置された支持軸を中心に揺動可能に構成され、揺動動作することにより前記搬送経路から所定の物品を排除する振分アームと、
前記振分アームまたはその近傍に設けられ、前記搬送経路から所定の物品を排除するために前記振分アームが揺動動作するべき時に点灯するように構成された発光手段とを備えた振分装置。
【請求項2】
前記振分アームを揺動動作させる駆動源となるモータと、
前記モータの駆動電流を検出する電流検出手段とをさらに備え、
前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時に点灯し、かつ前記電流検出手段により検出される電流値に応じて点灯色を変えるように構成された、請求項1に記載の振分装置。
【請求項3】
前記振分アームを揺動動作させる駆動源となるモータと、
前記モータの駆動電流を検出する電流検出手段とをさらに備え、
前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時に前記電流検出手段により検出される電流値に応じて予め定められた数字を点灯表示するように構成された、請求項1に記載の振分装置。
【請求項4】
前記振分アームが揺動動作したことを検出する動作検出手段をさらに備え、
前記振分アームが揺動動作するべき時に前記動作検出手段が前記振分アームが揺動動作したことを検出しなかったときに、前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時とは点灯状態を異ならせて点灯するように構成された、請求項1に記載の振分装置。
【請求項5】
前記振分アームを揺動動作させる駆動源となるエアーシリンダをさらに備え、
前記動作検出手段は、前記エアーシリンダが動作したことを検出することにより前記振分アームが揺動動作したことを検出するように構成された、請求項4に記載の振分装置。
【請求項6】
前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時に連続点灯し、前記振分アームが揺動動作するべき時に前記動作検出手段が前記振分アームが揺動動作したことを検出しなかったときに点滅点灯するように構成された、請求項4に記載の振分装置。
【請求項7】
前記発光手段は、前記振分アームが揺動動作するべき時に第1の色で点灯し、前記振分アームが揺動動作するべき時に前記動作検出手段が前記振分アームが揺動動作したことを検出しなかったときに前記第1の色とは異なる第2の色で点灯するように構成された、請求項4に記載の振分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−260704(P2010−260704A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114259(P2009−114259)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】