説明

振動吸収装置

【課題】 主系固有振動数を自動的に的確に推定するとともに、動吸振器ばね定数を最適値に自動調整できる振動吸収装置を提供する。
【解決手段】 正弦波の推力指令を発生する手段と、変位センサの出力に所定の比例定数を乗じた推力指令を発生する手段と、変位センサの出力の微分値に比例した推力指令を発生する手段と、これらの推力指令を加算してアクチュエータに出力する手段と、正弦波の周波数を可変する手段と、正弦波の位相と加速度センサからの出力される信号の位相差を検出し、位相差が所定の設定値になったときの正弦波の周波数から主系部の固有振動数を推定する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動吸収装置に関し、特に、機械装置の振動抑制に用いて好適な振動吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、制振装置として補助質量を用いた動吸振器が知られている。こうした動吸振器は、補助質量の慣性力を反力として制振対象である主系質量に付与することにより、主系質量の振動を抑えるものである。一般的に、動吸振器には、機械的なばね要素および減衰要素(ダンパ)を備えたパッシブ型と、アクチュエータの駆動力を用いて動吸振器のばね特性や減衰特性を能動的に制御することにより制振を行うアクティブ型とがある。
【0003】
ここで、アクティブ型の動吸振器は、補助質量、アクチュエータおよび主系質量のうち少なくとも一方の状態(例えば、変位、速度、加速度等)を検出するセンサが備えられ、センサの検出信号に基づいて、動吸振器が最適なばね特性や減衰特性を有するようにアクチュエータを駆動して主系質量の振動を抑制する(例えば、特許文献1参照。)。理想的な無減衰1自由度振動系に対する従来の調整方法は、図10に示すように、動吸振器質量m1と主系質量m0との質量比μと主系固有振動数ω0、動吸振器質量m1に応じて、動吸振器質量m1のばね定数k1の最適値と動吸振器減衰定数c1の最適値を求めることで実現される。
【特許文献1】特許第3398634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の調整方法においては、適切な動吸振器を与えるために、質量比と主系の固有振動数を正確に計測し、その値に基づいて、動吸振器のばね定数、減衰定数を厳密に設定することが必要となるが、主系の質量や固有振動数は、それ自体測定が困難な場合がある。また、仮に、各定数を設定したとしても、従来は、その値が最適値であるか否かの検証方法が明確ではなかった。さらに、経年変化による剛性変動や質量変動が生じた場合には、質量や固有振動数を再度測定して動吸振器の再調整を行う必要があり、特に、主系の設置場所や姿勢によっては、質量や剛性の変動に対応することが困難であるという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題を鑑みてなされたものであり、主系固有振動数を自動的に的確に推定するとともに、動吸振器ばね定数を最適値に自動調整できる振動吸収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために本発明は、以下の事項を提案している。
請求項1に係る発明は、主系部と動吸振器間に推力を発生するアクチュエータと、該主系部と動吸振器間の相対変位を検出する変位センサと、該主系部の絶対加速度を検出する加速度センサと、前記アクチュエータが発生する推力を制御する制御部とを備えた振動吸収装置であって、前記制御部が、正弦波の推力指令を発生する正弦波発生手段と、前記変位センサの出力に所定の比例定数を乗じた推力指令を発生する変位対応推力指令発生手段と、前記変位センサの出力の微分値に比例した推力指令を発生する速度対応推力指令発生手段と、前記正弦波発生手段、変位対応推力指令発生手段および速度対応推力指令発生手段から発生する推力指令を加算して前記アクチュエータに出力する推力指令出力手段と、前記正弦波の周波数を可変する周波数可変手段と、前記正弦波の位相と前記加速度センサからの出力される信号の位相差を検出し、該位相差が所定の設定値になったときの前記正弦波の周波数から前記主系部の固有振動数を推定する固有振動数推定手段を備えたことを特徴とする振動吸収装置を提案している。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された振動吸収装置について、前記所定の比例定数が、前記動吸振器の固有振動数が前記主系部の固有振動数の範囲の上限周波数の2倍以上、または下限周波数の1/2以下となるような動吸振器剛性が得られる値であることを特徴とする振動吸収装置を提案している。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された振動吸収装置について、前記固有振動数推定手段が、前記加速度センサからの出力される信号の位相が前記正弦波の位相に対して、90度遅れ、あるいは270度遅れになったときに、前記正弦波の周波数を前記主系部の固有振動数と推定することを特徴とする振動吸収装置を提案している。
【0009】
これらの発明によれば、正弦波発生手段により発生する正弦波と変位対応推力発生手段により発生する変位センサの出力に所定の比例定数を乗じた推力と速度対応推力発生手段により発生する変位センサの出力の微分値に比例した推力が推力出力手段により加算されてアクチュエータに供給される。このとき、周波数可変手段が正弦波の周波数を可変し、固有振動数推定手段が、正弦波の位相に対する加速度センサからの出力される信号の位相差を検出して、その位相差が90度遅れ、あるいは270度遅れになったときの正弦波の周波数を主系部の固有振動数と推定する。なお、このとき、変位センサの出力に乗じる比例定数は、動吸振器の固有振動数が主系部の固有振動数の範囲の上限周波数の2倍以上、または下限周波数の1/2以下となるような動吸振器剛性が得られる値であることが望ましい。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載された振動吸収装置について、前記制御部が、前記所定の比例定数を変化させ、前記動吸振器の固有振動数を可変する固有振動数可変手段と、前記周波数可変手段により、前記正弦波の周波数を前記固有振動数推定手段により得られる前記主系部の推定固有振動数近傍で変化させ、前記加速度センサから得られる信号の周波数特性を取得する周波数特性取得手段と、該周波数特性取得手段により得られた周波数特性において、極小値に対応する周波数が前記主系部の固有振動数となるように、前記所定の比例定数を決定する同調手段をさらに備えたことを特徴とする振動吸収装置を提案している。
【0011】
この発明によれば、固有振動数可変手段が変位センサの出力に乗じる比例定数を変化させることにより、動吸振器の固有振動数を可変する。周波数特性取得手段は、正弦波の周波数を固有振動数推定手段により得られる主系部の固有推定振動数近傍で変化させることにより、加速度センサから得られる信号の周波数特性を取得する。そして、同調手段は、得られた周波数特性において、極小値に対応する周波数が主系部の固有振動数となるように、変位センサの出力に乗じる比例定数を決定する。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載された振動吸収装置について、前記制御部が、前記所定の比例定数を変化させ、前記動吸振器の固有振動数を可変する固有振動数可変手段と、前記周波数可変手段により、前記正弦波の周波数を前記固有振動数推定手段により得られる前記主系部の推定固有振動数近傍で変化させ、前記加速度センサから得られる信号と前記正弦波との位相差を取得する位相差取得手段と、前記加速度センサから得られる信号の位相が前記正弦波の位相に対して、270度遅れおよび90度遅れとなる前記正弦波の周波数を記憶する記憶手段と、該記憶された270度遅れのときの前記正弦波の周波数と90度遅れのときの前記正弦波の周波数との周波数の差が最小となるように、前記所定の比例定数を決定する同調手段をさらに備えたことを特徴とする振動吸収装置を提案している。
【0013】
この発明によれば、固有振動数可変手段が変位センサの出力に乗じる比例定数を変化させることにより、動吸振器の固有振動数を可変する。位相差取得手段は、正弦波の周波数を固有振動数推定手段により得られる主系部の固有推定振動数近傍で変化させ、加速度センサから得られる信号と正弦波との位相差を取得する。記憶手段は、加速度センサから得られる信号の位相が正弦波の位相に対して、270度遅れおよび90度遅れとなる正弦波の周波数を記憶し、同調手段が記憶された270度遅れのときの正弦波の周波数と90度遅れのときの正弦波の周波数との周波数の差が最小となるように、変位センサの出力に乗じる比例定数を決定する。
【0014】
請求項6に係る発明は、主系部と動吸振器間に推力を発生するアクチュエータと、該主系部と動吸振器間の相対変位を検出する変位センサと、該主系部の絶対加速度を検出する加速度センサと、前記アクチュエータが発生する推力を制御する制御部とを備えた振動吸収装置であって、前記制御部が、正弦波の推力指令を発生する正弦波発生手段と、前記変位センサの出力に比例する推力指令を発生する変位対応推力指令発生手段と、前記変位センサの出力の微分値に所定の比例定数を乗じた推力指令を発生する速度対応推力指令発生手段と、前記正弦波発生手段、変位対応推力指令発生手段および速度対応推力指令発生手段から発生する推力指令を加算して前記アクチュエータに出力する推力指令出力手段と、前記正弦波の周波数を可変する周波数可変手段と、前記正弦波の位相と前記加速度センサからの出力される信号の位相差を検出し、該位相差が所定の設定値になったときの前記正弦波の周波数から前記主系部の固有振動数を推定する固有振動数推定手段と、前記所定の比例定数を変化させ、前記動吸振器の減衰を可変する減衰可変手段と、前記周波数可変手段により、前記正弦波の周波数を前記固有振動数推定手段により得られる前記主系部の推定固有振動数近傍で変化させ、前記加速度センサから得られる信号の周波数特性を取得する周波数特性取得手段と、前記周波数特性の曲線構造が所定の凹凸形状となるように前記所定の比例定数を決定する減衰調整手段と、を備えたことを特徴とする振動吸収装置を提案している。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の振動吸収装置について、前記減衰調整手段は、周波数特性の曲線構造が、前記主系部の推定固有振動数近傍を頂点として、下に凸から上に凸への境目の曲線構造となるように前記所定の比例定数を決定することを特徴とする振動吸収装置を提案している。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項6に記載の振動吸収装置について、前記減衰調整手段は、周波数特性の曲線構造が、前記主系部の推定固有振動数近傍で変曲点になるように前記所定の比例定数を決定することを特徴とする振動吸収装置を提案している。
【0017】
これらの発明によれば、正弦波発生手段により発生する正弦波と変位対応推力発生手段により発生する変位センサの出力に比例する推力と速度対応推力発生手段により発生する変位センサの出力の微分値に所定の比例定数を乗じた推力が推力出力手段により加算されてアクチュエータに供給される。周波数可変手段は、正弦波の周波数を可変し、固有振動数推定手段は、正弦波の位相と加速度センサからの出力される信号の位相差を検出し、その位相差が所定の設定値になったときの正弦波の周波数から主系部の固有振動数を推定する。減衰可変手段は、変位センサの出力の微分値に乗ずる比例定数を変化させて、動吸振器の減衰を可変する。周波数特性取得手段は、正弦波の周波数を固有振動数推定手段により得られる主系部の固有推定振動数近傍で変化させ、加速度センサから得られる信号の周波数特性を取得する。そして、減衰調整手段が周波数特性の曲線構造が所定の凹凸形状となるように所定の比例定数を決定する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、主系固有振動数を自動的に的確に推定するとともに、動吸振器ばね定数を最適値に自動調整できるという効果がある。また、本発明によれば、主系の質量比と主系の固有振動数を正確に計測できない場合でも動吸振器の調整が可能となるという効果がある。さらに、経年変化による剛性変動や質量変動が発生した場合にも再度自動調整を行うことにより簡単に最適値を設定することができ、主系の設置場所や姿勢により、質量や剛性が変動する場合においても、予め自動調整を行った値に切り替えることにより対応することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の振動吸収装置における基本構成は、図1に示すように、アクチュエータ1と、変位センサ2と、加速度センサ3と、制御部4と、動吸振器質量(m1)5と、主系質量(m0)6とからなっており、動吸振器質量5には、機械的な動吸振器剛性と機械的な動吸振器減衰が、主系質量6には、主系剛性と主系減衰が存在する。ここで、変位センサ2は、動吸振器質量5と主系間の相対変位を検出するセンサであり、加速度センサ3は、主系の絶対加速度を検出するセンサである。なお、各実施形態の差異は、制御部の機能によるものであるため、以下では、制御部の機能を中心に各実施形態について詳細に説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
本実施形態に係る制御部は、図2に示すように、微分器11と、加算器(推力出力手段)12と、固有振動数推定制御器(周波数可変手段、固有振動数推定手段)13と、正弦波発振器(正弦波発生手段)14と、位相差検出器15と、比較器16とから構成されている。
【0021】
微分器11は、変位センサ2からの出力信号を微分し、ゲイン項Cに供給する。加算器12は、正弦波発振器14からの出力信号と変位センサ2からの出力信号にゲイン項Kを乗じた出力信号と微分器11により変位センサ2からの出力信号を微分した信号にゲイン項Cを乗じた信号とを加算してアクチュエータ1に供給する。なお、ゲイン項Kは、電気的な動吸振器の剛性を決定し、ゲイン項Cは、電気的な動吸振器の減衰を決定する。
【0022】
固有振動数推定制御器13は、正弦波発振器14の正弦波周波数をコントロールし、比較器16からの比較結果に基づいて、主系の固有振動数を推定する。正弦波発振器14は、固有振動数推定制御器13等から与えられる振幅指令値、周波数指令値に基づいて、所望の正弦波を出力する。位相差検出器15は、加速度センサ3からの出力信号と正弦波発振器14からの出力信号の位相差を検出する。比較器16は、位相差検出器15から出力される位相差情報を予め設定された値と比較し、その比較結果を固有振動数推定制御器13に出力する。
【0023】
次に、本実施形態における処理動作について説明する。
まず、固有振動数推定制御器13は、正弦波発振器14に対して、正弦波の周波数を指定する。そして、加算器12は、正弦波発振器14からの出力信号と変位センサ2からの出力信号にゲイン項Kを乗じた出力信号と微分器11により変位センサ2からの出力信号を微分した信号にゲイン項Cを乗じた信号とを加算してアクチュエータ1に供給する。
【0024】
ここで、変位センサ2からの出力信号にゲイン項Kを乗じた出力信号は、機械的な動吸振器の剛性と合わせた動吸振器剛性となり、ゲイン項Kを正から負の調整範囲で調整することにより、動吸振器剛性をコントロールすることができる。また、微分器11により変位センサ2からの出力信号を微分した信号にゲイン項Cを乗じた出力信号は、機械的な動吸振器の減衰と合わせた動吸振器減衰となり、これもゲイン項Cを正から負の調整範囲で調整することにより、動吸振器減衰をコントロールすることができる。
【0025】
なお、動吸振器の固有振動数は、主系の固有振動数の存在範囲よりも十分に高く、あるいは十分に低くなるように動吸振器剛性を設定する。具体的には、ゲイン項Kを動吸振器の固有振動数が主系部の固有振動数の範囲の上限周波数の2倍以上、または下限周波数の1/2以下となるような動吸振器剛性が得られる値に設定することが望ましい。また、動吸振器の減衰は、主系の振動が大きくなりすぎないように、ごく少量与えることが望ましい。
【0026】
固有振動数推定制御器13は、正弦波発振器14に対して、主系の固有振動数の存在範囲内において、その下限値から段階的に周波数を高くするよう(あるいは、上限値から段階的に周波数を低くするよう)指示する。このとき、位相差検出器15は、設定周波数ごとに、加速度センサ3からの出力信号と正弦波発振器14からの出力信号の位相差を検出し、比較器16は、位相差検出器15から出力される位相差情報が−90度遅れ、あるいは−270度遅れであるか否かを検出し、その結果を固有振動数推定制御器13に出力する。
【0027】
固有振動数推定制御器13は、比較器16から−90度遅れ、あるいは−270度遅れを検出した旨の信号を入力したときは、正弦波発振器14に対する周波数の変更指示を停止して、そのときの周波数を主系の固有振動数と推定する。なお、比較器16における比較値は、動吸振器の固有振動数を主系の固有振動数の存在範囲よりも十分に高くした場合には、−90度遅れとし、動吸振器の固有振動数を主系の固有振動数の存在範囲よりも十分に低くした場合には、−270度遅れとする。
【0028】
図7は、動吸振器固有振動数を主系固有振動数よりも十分高くした場合と、十分低くした場合の正弦波相対加振力から主系絶対加速度への伝達関数の計算例を示している。なお、本図において、太線は、動吸振器固有振動数を主系固有振動数よりも十分高くした場合、鎖線は、動吸振器固有振動数を主系固有振動数よりも十分低くした場合、細線は、主系のみの場合を示している。
【0029】
本図から主系の絶対加速度が相対加振力よりも90度遅れもしくは270度遅れになる周波数を主系固有振動数の推定値として求めてみると、主系の真の固有振動数2.494kHzに対して、動吸振器固有振動数を高くした場合の推定値は、2.372kHz、低くした場合の推定値は2.484kHzと非常に近い値の推定ができていることがわかる。なお、動吸振器固有振動数を低くした場合には、主系の真の固有振動数により精度よく推定を行うことができるが、相対加振時にストロークが大きくなる場合がある。一方、動吸振器固有振動数を高くした場合には、動吸振器質量の影響で主系の真の固有振動数によりやや低めの推定値となるが、相対加振時にストロークを小さくすることができる。
【0030】
<第2の実施形態>
本実施形態は、周波数に対する絶対加速度のゲイン特性から動吸振器剛性を設定するものであり、本実施形態に係る制御部は、図3に示すように、微分器11と、加算器12と、正弦波発振器14と、剛性設定制御器(固有振動数可変手段、周波数特性取得手段、同調手段)21と、振幅検出器22と、微分器23とから構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付した要素については、同様の機能を有するものであるから説明は省略する。
【0031】
剛性設定制御器21は、電気的な動吸振器剛性を設定するものであり、第1の実施形態で求めた主系の固有振動数を中心とした周波数の範囲で正弦波発振器14に対する周波数を可変して、主系の絶対加速度の周波数特性を求め、主系固有振動数で極小値となるように動吸振器剛性を設定する。振幅検出器22は、加速度センサ3の出力に対して、その振幅を検出するものであり、微分器23は、振幅検出器22で検出された振幅を周波数で微分するものである。
【0032】
次に、本実施形態における処理動作について説明する。
剛性設定制御器21は、初期値として所定の電気的な動吸振器剛性としてゲイン項Kを設定する。次に、主系の固有振動数を中心とした周波数の範囲で正弦波発振器14に対する周波数を決定し、正弦波発振器14からの出力信号と変位センサ2からの出力信号にゲイン項Kを乗じた出力信号と微分器11により変位センサ2からの出力信号を微分した信号にゲイン項Cを乗じた信号とを加算してアクチュエータ1に供給する。
【0033】
加速度センサ3からの出力は、振幅検出器22に入力され、その振幅が検出される。検出された振幅情報は、微分器23で微分され、剛性設定制御器21に入力される。剛性設定制御器21は、正弦波発振器14に与えた周波数fと微分器23から得られるdA/dfとを対にして、主系固有振動数で極小値になっているか否かを確認し、なっていれば、先に設定したゲイン項Kを電気的な動吸振器剛性とし、なっていなければ、ゲイン項Kを徐々に上げる、あるいは下げて、上記測定を継続して、主系固有振動数で極小値となるようなゲイン項Kの値を決定する。
【0034】
図4は本実施形態の変形例を示すものである。本実施形態は、周波数に対する絶対加速度の位相特性から動吸振器剛性を設定するものであり、制御部は、図4に示すように、微分器11と、加算器12と、正弦波発振器14と、位相差検出器15と、剛性設定制御器(位相差取得手段、記憶手段、同調手段)31と、比較器32、33とから構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付した要素については、同様の機能を有するものであるから説明は省略する。
【0035】
剛性設定制御器31は、電気的な動吸振器剛性を設定するものであり、第1の実施形態で求めた主系の固有振動数を中心とした周波数の範囲で正弦波発振器14に対する周波数を可変して、正弦波出力波形に対する加速度センサ3からの出力波形の位相差を位相差検出器15により検出し、その位相差が270度遅れおよび90度遅れとなる正弦波周波数の周波数の差が最小となるような動吸振器剛性を設定する。比較器32、33は、位相差検出器15からの位相差情報を270度遅れあるいは90度遅れの設定値と比較して、その結果を剛性設定制御器31に出力する。
【0036】
次に、本実施形態における処理動作について説明する。
剛性設定制御器31は、初期値として所定の電気的な動吸振器剛性としてゲイン項Kを設定する。次に、主系の固有振動数を中心とした周波数の範囲で正弦波発振器14に対する周波数を決定し、正弦波発振器14からの出力信号と変位センサ2からの出力信号にゲイン項Kを乗じた出力信号と微分器11により変位センサ2からの出力信号を微分した信号にゲイン項Cを乗じた信号とを加算してアクチュエータ1に供給する。
【0037】
加速度センサ3からの出力は、位相差検出器15に入力され、正弦波発振器14からの出力信号との位相差が検出される。検出された位相差は、比較器32、33それぞれに入力され、その位相差が270度遅れあるいは90度遅れであるか否かが判定される。剛性設定制御器31は、まず、位相差が270度遅れとなる正弦波周波数を求め、次いで、位相差が90度遅れとなる正弦波周波数を求めて、そのときの周波数差を格納する。そして、ゲイン項Kの値を徐々に上げる、あるいは下げて、上記測定を継続して、上記周波数差が最小となるゲイン項Kの値を求める。
【0038】
図8は、動吸振器の固有振動数が主系の固有振動数に近い場合に、動吸振器の剛性を変化させて正弦波相対加振力と主系絶対加速度との伝達関数を示したものである。この図からわかるように、主系固有振動数の近傍に2つのピークができており、動吸振器の剛性が最適に調整されている場合には、次のような特徴が現れる。1)主系の固有振動数が2つのピークの中間に位置し、主系固有振動数で絶対加速度は極小値となる。2)2つのピーク同士の周波数間隔が最も近くなるため、絶対加速度の極性が正に反転する周波数同士の間隔も最小となる。
【0039】
したがって、この性質から、主系固有振動数において絶対加速度が極小値をとるような動吸振器剛性の設定または主系固有振動数を挟んだ周波数範囲において絶対加速度の極性が正に反転する周波数の幅が最小となるような動吸振器剛性の設定を行えば、動吸振器剛性を最適化することができることがわかる。
【0040】
<第3の実施形態>
本実施形態は、主系固有振動数を中心とした周波数範囲で、動吸振器減衰をパラメータとして相対加振を行い絶対加速度の周波数特性を取得し、主系固有振動数推定値を中心とした周波数特性の曲線構造から動吸振器減衰定数を設定するものであり、本実施形態に係る制御部は、図5に示すように、微分器11と、加算器12と、正弦波発振器14と、減衰設定制御器(固有振動数推定手段、減衰可変手段、周波数特性取得手段、減衰調整手段)41と、振幅検出器42と、2階微分器43とから構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付した要素については、同様の機能を有するものであるから説明は省略する。
【0041】
減衰設定制御器41は、電気的な動吸振器減衰を設定するものであり、第1の実施形態で求めた主系の固有振動数を中心とした周波数の範囲で正弦波発振器14に対する周波数を細かく可変して、その周波数と主系の絶対加速度の2階微分値を格納し、主系固有振動数の近傍で絶対加速度の周波数特性が変曲点を有するかあるいは極性反転が生ずる動吸振器減衰を設定する。振幅検出器42は、加速度センサ3の出力に対して、その振幅を検出するものであり、2階微分器43は、振幅検出器22で検出された振幅を周波数で2階微分するものである。
【0042】
次に、本実施形態における処理動作について説明する。
減衰設定制御器41は、初期値として所定の電気的な動吸振器減衰としてゲイン項Cを設定する。なお、ゲイン項Kには、第2の実施形態で求めた値を設定する。次に、主系の固有振動数を中心とした周波数の範囲で正弦波発振器14に対する周波数を決定し、正弦波発振器14からの出力信号と変位センサ2からの出力信号にゲイン項Kを乗じた出力信号と微分器11により変位センサ2からの出力信号を微分した信号にゲイン項Cを乗じた信号とを加算してアクチュエータ1に供給する。
【0043】
加速度センサ3からの出力は、振幅検出器42に入力され、その振幅が検出される。検出された振幅情報は、2階微分器43で2階微分され、減衰設定制御器41に入力される。減衰設定制御器41は、正弦波発振器14に与えた周波数fと2階微分器43から得られるdA/dfとを対にして、主系固有振動数近傍で変曲点になっているか、あるいは前回と比べて極性が反転しているか否かを確認し、なっていれば、先に設定したゲイン項Cを電気的な動吸振器減衰とし、なっていなければ、ゲイン項Cを徐々に上げる、あるいは下げて、上記測定を継続して、主系固有振動数近傍で変曲点となるようなゲイン項Cの値を決定する。なお、上記事項を動吸振器減衰を設定する際の判断基準としたのは、主系固有振動数近傍で曲線構造が上に凸の場合には、減衰が大きく、下の凸の場合には、減衰が小さいためである。
【0044】
図6は本実施形態の変形例を示すものである。本実施形態は、図5の方法に対して、観測する周波数を限定して主系固有振動数推定値を中心とした周波数特性の曲線構造から動吸振器減衰定数を設定するものであり、制御部は、図6に示すように、微分器11と、加算器12と、正弦波発振器14と、振幅検出器42と、減衰設定制御器51とから構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付した要素については、同様の機能を有するものであるから説明は省略する。
【0045】
減衰設定制御器51は、例えば、主系固有振動数とその値に対して、上側の周波数、下側の周波数を順次設定し、そのときの絶対加速度を検出して、その曲線構造から動吸振器減衰定数を設定する。具体的には、減衰設定制御器51は、初期値として所定の電気的な動吸振器減衰としてゲイン項Cを設定する。なお、ゲイン項Kには、第2の実施形態で求めた値を設定する。次に、主系の固有振動数を周波数として正弦波発振器14に設定し、正弦波発振器14からの出力信号と変位センサ2からの出力信号にゲイン項Kを乗じた出力信号と微分器11により変位センサ2からの出力信号を微分した信号にゲイン項Cを乗じた信号とを加算してアクチュエータ1に供給する。
【0046】
加速度センサ3からの出力は、振幅検出器42に入力され、その振幅が検出される。次に、減衰設定制御器51は、主系の固有振動数を周波数として正弦波発振器14に設定し、そのときの加速度センサ3からの出力振幅を検出する。さらに、減衰設定制御器51は、主系の固有振動数を周波数として正弦波発振器14に設定し、そのときの加速度センサ3からの出力振幅を検出し、設定した動吸振器減衰と検出された3つの振幅情報を対にして記憶する。そして、動吸振器減衰を変化させながら、上記の処理を続行し、主系固有振動数を中心として、その曲線構造が下に凸から上に凸への境目の曲線構造になるような動吸振器減衰を設定する。
【0047】
図9に示すように、動吸振器の剛性が最適に調整された場合と動吸振器の減衰を変化させた場合の正弦波相対加振力と主系絶対加速度の伝達関数に注目すると次の特徴がある。1)最適調整値よりも動吸振器減衰が小さい場合には、2つのピークが現れる。つまり、主系固有振動数を中心として、その曲線構造が下の凸となる。2)最適調整値よりも動吸振器減衰が大きい場合には、1つのピークが現れる。つまり、主系固有振動数を中心として、その曲線構造が上の凸となる。
【0048】
したがって、この特性を用いて、主系固有振動数推定値において、加速度曲線が下に凸から上に凸に変化する境目(2階微分値がゼロとなる、いわゆる変曲点)に動吸振器減衰を設定すれば、最適調整値の近似値を与えることができる。なお、図9において、太線は、最適減衰時の特性を、点線は、減衰が最適値の半分である場合の特性を、破線は、減衰が最適値の2倍である場合の特性を示している。
【0049】
ただし、主系固有振動数推定値が実際の値とずれがある場合や主系固有振動数と動吸振器固有振動数とが一致しない場合には、凸構造の中心(変曲点)が主系固有振動数推定値からずれる場合がある。しかし、本実施形態のように、主系固有振動数推定値近傍の周波数を細かく変化させて絶対加速度の周波数特性を取得し、その曲線構造を細かく確認して、下に凸か、上に凸か、その切り替わりかを判断する方法を用いることにより、凸構造の中心に多少のずれがあってもその判断に影響を与えることはない。
【0050】
また、観測する周波数を限定して、減衰定数毎に、観測する周波数における絶対加速度を検出し、主系固有振動数推定値を中心として、下に凸か、上に凸か、その切り替わりかを判断する方法を用いることにより、凸構造の中心に多少のずれがあっても、そのずれが小さい場合には、ほぼ真に近い曲線構造を検出することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、本発明においては、動吸振器質量と主系との相対変位を検出する変位センサを備えた例について説明したが、これに代えて、相対速度あるいは相対加速度を検出するセンサを用いてもよい。この場合には、センサから得られた値について演算処理や波形処理を行って、相対速度あるいは相対加速度を相対変位に変換する。
【0052】
また、本発明においては、主系の絶対加速度を検出する加速度センサを備えた例について説明したが、これに代えて、絶対変位あるいは絶対速度を検出するセンサを用いてもよい。この場合には、センサから得られた値について演算処理や波形処理を行って、絶対変位あるいは絶対速度を絶対加速度に変換する。
【0053】
第1および第2の実施形態においては、主系を1自由度の振動系として説明したが、主系は、多自由度系でもよい。この場合、動吸振器は、主系の固有振動数の1つを制振対象とする。なお、この制振対象となる固有振動数が最も低い場合には、制御アルゴリズムを変更する必要はないが、対象となる固有振動数よりも低い固有振動数がある場合には、制御アルゴリズムを変更する必要がある。つまり、第1の実施形態においては、絶対加速度が正弦波加振力と90+180*N度遅れ(もしくは270+180*N度遅れ)になるように調整する。また、第2の実施形態においては、動吸振器固有振動数を主系固有振動数近くに設定したときの主系固有振動数における相対加振力と絶対加速度との位相差は約−180−180*N度となり、絶対加速度の極性反転は、−270−180*N度と−90−180*N度で発生する。
【0054】
第2の実施形態においては、動吸振器剛性の設定について説明したが、予め、主系に取り付ける前の動吸振器に対し、相対変位に比例する力の比例ゲインと動吸振器固有振動数との関係を測定しておき、動吸振器固有振動数対相対変位に比例する力の比例ゲインの対応テーブルを作成する。なお、その際、動吸振器はスポンジ等で浮かせて測定を行う。そして、剛性設定時には、第1の実施形態で推定した主系固有振動数と動吸振器固有振動数とが一致するための値を作成したテーブルから直接取得する、あるいはテーブル値から内挿により求めるようにしてもよい。
【0055】
第3の実施形態においては、動吸振器減衰の設定について説明したが、主系固有振動数推定値と、その上側の周波数数点、その下側の周波数数点というように、観測する周波数を限定して主系絶対加速度の周波数特性を観測する場合、上側の周波数を動吸振器剛性を求める第2の実施形態で観測した主系固有振動数よりも高い周波数で絶対加速度の極性が反転する周波数の近傍の周波数に、下側の周波数を主系固有振動数よりも低い周波数で絶対加速度の極性が反転する周波数の近傍の周波数にしてもよい。この場合も、これらの周波数においては、それぞれの加速度がピーク値となるため、曲線構造の明瞭な変化が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の基本構成図である。
【図2】第1の実施形態における制御部の構成図である。
【図3】第2の実施形態における制御部の構成図である。
【図4】第2の実施形態における変形例の制御部の構成図である。
【図5】第3の実施形態における制御部の構成図である。
【図6】第3の実施形態における変形例の制御部の構成図である。
【図7】第1の実施形態における相対加振力と主系絶対加速度の伝達関数を示した図である。
【図8】第2の実施形態における相対加振力と主系絶対加速度の伝達関数を示した図である。
【図9】第3の実施形態における相対加振力と主系絶対加速度の伝達関数を示した図である。
【図10】従来の基本構成を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・アクチュエータ、2・・・変位センサ、3・・・加速度センサ、4・・・制御部、5・・・動吸振器質量、6・・・主系質量、11・・・微分器、12・・・加算器(推力出力手段)、13・・・固有振動数推定制御器(周波数可変手段、固有振動数推定手段)、14・・・正弦波発振器(正弦波発生手段)、15・・・位相差検出器、16・・・比較器、21・・・剛性設定制御器(固有振動数可変手段、周波数特性取得手段、同調手段)、22・・・振幅検出器、23・・・微分器、31・・・剛性設定制御器(位相差取得手段、記憶手段、同調手段)、32、33・・・比較器、41、51・・・減衰設定制御器(固有振動数推定手段、減衰可変手段、周波数特性取得手段、減衰調整手段)、42・・・振幅検出器、43・・・2階微分器、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主系部と動吸振器間に推力を発生するアクチュエータと、該主系部と動吸振器間の相対変位を検出する変位センサと、該主系部の絶対加速度を検出する加速度センサと、前記アクチュエータが発生する推力を制御する制御部とを備えた振動吸収装置であって、
前記制御部が、正弦波の推力指令を発生する正弦波発生手段と、前記変位センサの出力に所定の比例定数を乗じた推力指令を発生する変位対応推力指令発生手段と、前記変位センサの出力の微分値に比例した推力指令を発生する速度対応推力指令発生手段と、前記正弦波発生手段、変位対応推力指令発生手段および速度対応推力指令発生手段から発生する推力指令を加算して前記アクチュエータに出力する推力指令出力手段と、前記正弦波の周波数を可変する周波数可変手段と、前記正弦波の位相と前記加速度センサからの出力される信号の位相差を検出し、該位相差が所定の設定値になったときの前記正弦波の周波数から前記主系部の固有振動数を推定する固有振動数推定手段を備えたことを特徴とする振動吸収装置。
【請求項2】
前記所定の比例定数が、前記動吸振器の固有振動数が前記主系部の固有振動数の範囲の上限周波数の2倍以上、または下限周波数の1/2以下となるような動吸振器剛性が得られる値であることを特徴とする請求項1に記載された振動吸収装置。
【請求項3】
前記固有振動数推定手段が、前記加速度センサからの出力される信号の位相が前記正弦波の位相に対して、90度遅れ、あるいは270度遅れになったときに、前記正弦波の周波数を前記主系部の固有振動数と推定することを特徴とする請求項2に記載された振動吸収装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記所定の比例定数を変化させ、前記動吸振器の固有振動数を可変する固有振動数可変手段と、前記周波数可変手段により、前記正弦波の周波数を前記固有振動数推定手段により得られる前記主系部の推定固有振動数近傍で変化させ、前記加速度センサから得られる信号の周波数特性を取得する周波数特性取得手段と、該周波数特性取得手段により得られた周波数特性において、極小値に対応する周波数が前記主系部の固有振動数となるように、前記所定の比例定数を決定する同調手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載された振動吸収装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記所定の比例定数を変化させ、前記動吸振器の固有振動数を可変する固有振動数可変手段と、前記周波数可変手段により、前記正弦波の周波数を前記固有振動数推定手段により得られる前記主系部の推定固有振動数近傍で変化させ、前記加速度センサから得られる信号と前記正弦波との位相差を取得する位相差取得手段と、前記加速度センサから得られる信号の位相が前記正弦波の位相に対して、270度遅れおよび90度遅れとなる前記正弦波の周波数を記憶する記憶手段と、該記憶された270度遅れのときの前記正弦波の周波数と90度遅れのときの前記正弦波の周波数との周波数の差が最小となるように、前記所定の比例定数を決定する同調手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載された振動吸収装置。
【請求項6】
主系部と動吸振器間に推力を発生するアクチュエータと、該主系部と動吸振器間の相対変位を検出する変位センサと、該主系部の絶対加速度を検出する加速度センサと、前記アクチュエータが発生する推力を制御する制御部とを備えた振動吸収装置であって、
前記制御部が、正弦波の推力指令を発生する正弦波発生手段と、前記変位センサの出力に比例する推力指令を発生する変位対応推力指令発生手段と、前記変位センサの出力の微分値に所定の比例定数を乗じた推力指令を発生する速度対応推力指令発生手段と、前記正弦波発生手段、変位対応推力指令発生手段および速度対応推力指令発生手段から発生する推力指令を加算して前記アクチュエータに出力する推力指令出力手段と、前記正弦波の周波数を可変する周波数可変手段と、前記正弦波の位相と前記加速度センサからの出力される信号の位相差を検出し、該位相差が所定の設定値になったときの前記正弦波の周波数から前記主系部の固有振動数を推定する固有振動数推定手段と、前記所定の比例定数を変化させ、前記動吸振器の減衰を可変する減衰可変手段と、前記周波数可変手段により、前記正弦波の周波数を前記固有振動数推定手段により得られる前記主系部の推定固有振動数近傍で変化させ、前記加速度センサから得られる信号の周波数特性を取得する周波数特性取得手段と、前記周波数特性の曲線構造が所定の凹凸形状となるように前記所定の比例定数を決定する減衰調整手段と、
を備えたことを特徴とする振動吸収装置。
【請求項7】
前記減衰調整手段は、周波数特性の曲線構造が、前記主系部の推定固有振動数近傍を頂点として、下に凸から上に凸への境目の曲線構造となるように前記所定の比例定数を決定することを特徴とする請求項6に記載の振動吸収装置。
【請求項8】
前記減衰調整手段は、周波数特性の曲線構造が、前記主系部の推定固有振動数近傍で変曲点になるように前記所定の比例定数を決定することを特徴とする請求項6に記載の振動吸収装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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