説明

振動波アクチュエータの駆動装置、及びその制御方法

【課題】 電気−機械エネルギー変換部を有する振動体と、該電気−機械エネルギー変換部に交流電圧を印加することで該振動体に発生する振動によって移動する移動体を有する振動波アクチュエータの駆動装置であって、駆動回路効率を含めた振動波アクチュエータ駆動装置の効率を常に最適な状態に保つことを可能とする。
【解決手段】 振動波アクチュエータの個体差、環境変動、負荷変動によって異なる振動体の内部損失の差を該振動体の振動振幅の変化によって検知し、該交流電圧と振動体に発生する振動間の位相差を予め内部損失に応じて設定された位相差目標に追従するように該交流電圧の周波数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
超音波振動を利用したアクチュエータの駆動装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動波アクチュエータを効率良く駆動するための方法として交流印加電圧と振動体の振動間の位相差が所定の値になるように交流印加電圧の周波数を制御する方法が一般的である。
【0003】
この位相差を振動体の共振周波数での位相差となるように交流印加電圧の周波数を制御することで振動体を最大振幅近傍で振動させることが出来る。
【0004】
特開平03-239168号公報では振動波アクチュエータの効率を最適にするように駆動周波数を制御しており、上記振動体の振動周波数を反共振周波数に制御すると効率が良いとしている。
【0005】
特開平11-215859号公報では温度に応じた位相差目標値を予め設定しておき温度に応じて位相差目標値を切り替え、上記交流電圧と振動体の振動間の位相差が位相差目標値に追従するように駆動周波数を制御している。
【0006】
特許第2689435号公報では移動体の速度を所定の速度目標値に制御するように位相差目標値を増減し、上記交流電圧と振動体の振動間の位相差が位相差目標値に追従するように駆動周波数を制御している。
【0007】
特開平01-50771号公報では所定の負荷のもとで最適効率を与える位相差を検出する最適位相検出手段を有し、所定の動作前に予め最適位相差を計測する動作を行って最適位相差を求め、所定の動作の際には電流又は機械腕電流と電圧間の位相差が最適位相差になるように駆動周波数を制御している。
【特許文献1】特開平03-239168号公報
【特許文献2】特開平11-215859号公報
【特許文献3】特許第2689435号公報
【特許文献4】特開平01-50771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
振動波アクチュエータ駆動装置の消費電力を下げるには振動波アクチュエータの駆動効率のみではなく、駆動回路を含む駆動装置全体の効率を上げる対策が必要である。一方適当な位相差目標値を設定すれば電気−機械エネルギー変換部に印加する交流電圧と振動体の振動間の位相差をある条件で最大効率となるように駆動周波数を制御することが可能である。しかし振動波アクチュエータは、電気−機械エネルギー変換部に印加する交流電圧の振幅や振動波アクチュエータの個体差、又環境や負荷変動等によって振動体の内部損失が変化する特性を有している。そのため、振動体の内部損が変化に応じて駆動回路の力率が変化するため最大効率となる位相差が変化してしまう。この様な特性変化に対して常に最大効率とするには変化に応じて位相差目標値を変更する必要がある。これに対し特開平11-215859号公報では温度変化に対し最適な位相差目標値を予め測定してルックアップテーブル等を用意しておくことで温度変化に対して常に最適な位相差目標値を設定している。しかしこの方法では別途温度センサが必要なことや、個体差に対応するには個々の振動波アクチュエータ毎に異なるルックアップテーブルを用意する必要があり製造工程で個々の調整が必要であった。又特開平01-50771号公報では最適な位相差を求めるシーケンスを動作前に行うことで常に最適な位相差目標値を設定している。しかし起動直前や電源投入後等に準備動作が必要であるため、起動時間が長くなることや準備動作の為の電力負担が余分にかかると言う問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第1の手段は、所望の周波数の信号を発生する発振部と、該所望の周波数の信号を増幅して直接又はインピーダンス整合素子を介して前記電気−機械エネルギー変換部に印加する交流電圧を出力する増幅部と、前記振動体の振動に応じた振動検出信号を出力する振動検出部と、前記振動体の振動振幅に応じた値である振動振幅検出信号を出力する振動振幅検出部と、前記振動検出信号と前記交流電圧との間の位相差に応じた値を検出して位相差信号を出力する位相差検出部と、該位相差信号と振動振幅検出信号を入力とする予め決められたルックアップテーブル又は関数によって求められた位相差目標値の偏差を求めて第1の偏差信号を出力する第1の偏差演算部と、第1の偏差信号の出力がほぼ0となるように前記発振部の周波数を設定する周波数設定部を有することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するための第2の手段は、前記振動振幅検出信号を入力とすると共に前記増幅部の状態に応じた値を入力とする2次元の特性を有する前記ルックアップテーブル又は関数を有することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するための第3の手段は、前記移動体の速度を検出して速度信号を出力する速度検出部と、該速度信号と速度目標値の偏差を求めて第2の偏差信号を出力する第2の偏差演算部と、第2の偏差信号の出力がほぼ0となるように前記増幅部の状態を設定する状態設定部を有することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するための第4の手段は、所望の周波数の信号を発生する発振部と、該所望の周波数の信号を増幅して直接又はインピーダンス整合素子を介して前記電気−機械エネルギー変換部に印加する交流電圧を出力する増幅部と、該増幅部に電力を供給する電力制御部と、前記振動体の振動に応じた振動検出信号を出力する振動検出部と、前記振動体の振動振幅に応じた値である振動振幅検出信号を出力する振動振幅検出部と、前記振動検出信号と前記交流電圧との間の位相差に応じた値を検出して位相差信号を出力する位相差検出部と、該位相差信号と振動振幅検出信号を入力とする予め決められたルックアップテーブル又は関数によって求められた位相差目標値の偏差を求めて第1の偏差信号を出力する第1の偏差演算部と、第1の偏差信号の出力がほぼ0となるように前記発振部の周波数を設定する周波数設定部を有することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するための第5の手段は、前記振動振幅検出信号を入力とすると共に前記電力制御部の状態に応じた値を入力とする2次元の特性を有する前記ルックアップテーブル又は関数を有することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するための第6の手段は、前記移動体の速度を検出して速度信号を出力する速度検出部と、該速度信号と速度目標値の偏差を求めて第2の偏差信号を出力する第2の偏差演算部と、第2の偏差信号の出力がほぼ0となるように前記電力制御部の状態を設定する状態設定部を有することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するための第7の手段は、所望の周波数の信号を発生する発振部と、該所望の周波数の信号を増幅して直接又はインピーダンス整合素子を介して前記電気−機械エネルギー変換部に印加する交流電圧を出力する増幅部と、前記振動体の振動に応じた振動検出信号を出力する振動検出部と、前記振動体の振動振幅に応じた値である振動振幅検出信号を出力する振動振幅検出部と、前記振動検出信号と前記交流電圧との間の位相差に応じた値を検出して位相差信号を出力する位相差検出部と、該位相差信号と振動振幅検出信号を入力とする予め決められたルックアップテーブル又は関数によって求められた位相差目標値の偏差を求めて第1の偏差信号を出力する第1の偏差演算部と、前記移動体の速度を検出して速度信号を出力する速度検出部と、該速度信号と速度目標値の偏差を求めて第2の偏差信号を出力する第2の偏差演算部と、前記第1の偏差信号と該第2の偏差信号を入力してどちらを出力するか選択判断し第3の偏差信号として出力する選択手段と、該第3の偏差信号の出力がほぼ0となるように記発振部の周波数を設定する周波数設定部を有することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するための第8の手段は、所望の周波数の信号を発生する発振部と、該所望の周波数の信号を増幅して直接又はインピーダンス整合素子を介して前記電気−機械エネルギー変換部に印加する交流電圧を出力する増幅部と、該増幅部に電力を供給する電力制御部と、前記振動体の振動に応じた振動検出信号を出力する振動検出部と、前記振動体の振動振幅に応じた値である振動振幅検出信号を出力する振動振幅検出部と、前記振動検出信号と前記交流電圧との間の位相差に応じた値を検出して位相差信号を出力する位相差検出部と、該位相差信号と振動振幅検出信号を入力とする予め決められたルックアップテーブル又は関数によって求められた位相差目標値の偏差を求めて第1の偏差信号を出力する第1の偏差演算部と、前記移動体の速度を検出して速度信号を出力する速度検出部と、該速度信号と速度目標値の偏差を求めて第2の偏差信号を出力する第2の偏差演算部と、前記第1の偏差信号と該第2の偏差信号の大きさを比較して比較信号を出力する比較手段と、該比較信号に応じて該第1の偏差信号と該第2の偏差信号のどちらかを選択して第3の偏差信号を出力する選択手段と、該第3の偏差信号の出力がほぼ0となるように記発振部の周波数を設定する周波数設定部を有することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するための第9の手段は、前記交流電圧と前記振動体の振動との間の位相差を検出する位相差検出ステップと、前記振動振幅を検出する振幅検出ステップと、前記振動振幅を予め決められたルックアップテーブル又は関数に入力して位相差目標値を求める位相差目標値設定ステップと、前記位相差と該位相差目標値の偏差を演算して第1の偏差を求める位相差偏差演算ステップと、該位相差偏差がほぼ0となるように前記周波数指令を設定する周波数設定ステップを有することを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するための第10の手段は、前記増幅部の状態に応じた値によって前記ルックアップテーブル又は関数を変更する関数変更ステップを有することを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するための第11の手段は、前記移動体の速度を検出する速度検出ステップと該移動体の速度と速度目標値の偏差を演算して第2の偏差を求める速度偏差演算ステップと、該第2の偏差がほぼ0になるように前記増幅部の状態を設定する状態設定ステップを有することを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するための第12の手段は、前記交流電圧と前記振動体の振動との間の位相差を検出する位相差検出ステップと、前記振動振幅を検出する振幅検出ステップと、前記振動振幅を予め決められたルックアップテーブル又は関数に入力して位相差目標値を求める位相差目標値設定ステップと、前記位相差と該位相差目標値の偏差を演算して第1の偏差を求める位相差偏差演算ステップと、該位相差偏差がほぼ0となるように前記周波数指令を設定する第1の周波数設定ステップと前記電力制御部の入力電力又は出力電力を検出する電力検出ステップと該入力電力又は該出力電力を所定の電力に制御又は所定の制限電力内に制御する電力制御ステップとを有することを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するための第13の手段は、前記電力制御部の状態に応じた値によって前記ルックアップテーブル又は関数を変更する関数変更ステップを有することを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決するための第14の手段は、前記移動体の速度を検出する速度検出ステップと該移動体の速度と速度目標値の偏差を演算して第2の偏差を求める速度偏差演算ステップと、該第2の偏差がほぼ0になるように前記電力制御部の状態を設定する状態設定ステップを有することを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決するための第15の手段は、前記移動体の速度を検出する速度検出ステップと該移動体の速度と速度目標値の偏差を演算して第2の偏差を求める速度偏差演算ステップと前記第1の偏差と該第2の偏差を入力してどちらを選択するか判定する選択判定ステップと選択判定ステップの結果に応じて該第1の偏差と該第2の偏差のいずれかを選択して第3の偏差を設定する偏差選択ステップと、該第3の偏差がほぼ0になるように前記周波数指令を設定する第2の周波数設定ステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
第1の発明によれば、環境・個体差・負荷条件等で異なる振動体の内部損失に応じて変化する振動振幅の値に応じて電気−機械エネルギー変換部へ印加する交流電圧と振動体の振動の位相差の目標値を設定することで駆動回路を含む効率を常に高く保つことが出来る。
【0025】
第2の発明によれば、増幅部の状態に応じた値によって位相差の目標値を補正することで駆動回路の条件が変更された場合でも駆動回路を含む効率を常に高く保つことが出来る。
【0026】
第3の発明によれば、駆動周波数制御によって駆動回路を含む効率を常に高く保ちつつ増幅部の状態を制御することで効率を常に高く保ちつつ速度制御を行うことが出来る。
【0027】
第4の発明によれば、回路込みの電力を制御することで、振動波アクチュエータの速度を許容電力内で最も高い状態に保つことが出来る。
【0028】
第5の発明によれば、電力制御部の状態に応じた値によって位相差の目標値を補正することで許容電力が変更された場合でも振動波アクチュエータの速度を許容電力内で最も高い状態に保つことが出来る。
【0029】
第6の発明によれば、駆動周波数制御によって駆動回路を含む効率を常に高く保ちつつ電力制御部の状態を制御することで効率を常に高く保ちつつ速度制御を行うことが出来る。
【0030】
第7の発明によれば、位相差偏差を示す第1の偏差信号と速度偏差を示す第2の偏差信号の大きさの比較結果に応じて選択した結果によって発振部の周波数を制御することで加減速時には速度制御を行いつつ効率又は最大速度を最も高い状態に保つことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0032】
図1は第1の実施例の構成を示すブロック図で、1は後述する振動波アクチュエータの振動体を構成する圧電体で1−a、1−b、1−dはこの圧電体を構成する複数の電極を表している。2は90°位相の異なる2相の交流電圧を発生する発振部、3はこの交流電圧を所定の増幅率で増複する増幅部、4、5は後述する振動波アクチュエータを構成する圧電体とのインピーダンス整合をとるためのインダクタ素子、6は電極1−aに印加される交流電圧と電極1−dから出力される上記振動体の振動に応じた交流信号間の位相差を検出する位相差検出部、7は電極1−dから出力される上記振動体の振動振幅に応じた振動振幅信号を出力する振動振幅検出部、8は振動振幅信号に応じた位相差目標値を予め決められたルックアップテーブルから求めて出力する位相差目標値設定部、9は位相差目標値と位相差検出部6の出力する位相差との偏差を演算して位相差偏差値を出力する位相差偏差演算部、10は位相差偏差値をほぼ0とするように発振部2の出力周波数を設定する周波数設定部である。図2及び図3に振動型アクチュエータの構成を示す。図2において11は一つ以上の弾性部材で構成された弾性体、12は弾性体11に不図示の加圧手段で加圧接触されたロータ、13は弾性体11に接着され、ロータ12との間に挟まれている摩擦材、14はロータ中心に接続された回転軸、1は弾性体11に接着された圧電体であり弾性体11と圧電体1からなる振動体15を構成している。圧電体1は図3に示す形状で表面が複数の電極に分割されている。またこの電極は2つの駆動用電極グループ(電極1−a、電極1−b)とセンサ電極(電極1−c、電極1−d)と空き電極(電極1−e)からなっており、以下それぞれ電極1−aをA相、電極1−bをB相と呼びこれらが駆動用圧電素子電極1−cをS1相、電極1−dをS2相と呼びこれらが振動検出用圧電素子である。空き電極1−e及び弾性体11は通常グランド電位に接続される。S1相1−cはA相1−aと同じ位置的位相関係に配置されておりA相1−aに交流電圧を印加することによって加振される定在性の振動を検出するように配置されており、S2相1−dはA相1−aとB相1−bの中間の位置に配置されているため、A相1−aとB相1−bの合成波の振動を検出するように配置されている。図2に示す振動波アクチュエータは、このA相1−aとB相1−bに時間的位相差が90度の交流電圧を印加することで弾性体11に進行性の振動波を発生させ、この振動の力を弾性体11に摩擦材13を介して加圧接触しているロータ12へ摩擦力を介して伝達し、回転軸14を回転するように構成されている。このような振動波アクチュエータは、2つの交流電圧を印加することでロータ12と弾性体11が相対的に回転する。図4は振動波アクチュエータの駆動周波数と回転速度及び交流印加電圧と振動体15の振動との位相差の関係を示す図である。回転速度は実線で示しており位相差は一点鎖線と鎖線で示している。位相差を2本示しているのは振動検出のためにA相1−aとB相1−bの中間に配置されたS2相1−dを用いているためである。S2相1−dの出力信号は回転方向により約90°ずれた位相差となるため一点鎖線(正転)と鎖線(逆転)で示している。駆動周波数を振動体15の共振周波数Frより高い周波数から掃引していくと振動体15の共振周波数に近付くに従って振動波アクチュエータの回転速度が増加する。又、共振周波数Frを超えると急速に停止する特性を有している。位相差については共振周波数を超えても増加して行き飽和する傾向を示している。
【0033】
では以下に図1の動作について説明する。図1のブロック図で示す振動波アクチュエータの駆動装置は基本的にはA相1−aに印加される交流電圧とS2相1−dからの出力信号間の位相差を決められた位相差目標値に追従するように発振部2の出力周波数を制御する構成となっている。上記したようにS2相1−dを用いて振動体15の振動を検出しているため、回転方向によって90°異なる位相差目標値が設定されており、回転方向が変化しても同じ負荷条件であればほぼ同じ回転速度で逆方向に回転するようになっている。例えば共振周波数Frの近傍で速度制御しようとするなら回転方向に応じて位相差目標値を45°か135°に設定すれば良い。位相差検出部6の出力する位相差出力が位相差目標値より大きな場合は位相差偏差演算部9の出力する位相差偏差値が正の値となる。それに応じて周波数設定部10は発振部2の出力信号の周波数を高くしてゆき位相差偏差値を0に近付けていく。逆の場合は発振部2の出力信号の周波数を低くしてゆき位相差偏差値を0に近付けていく。位相差偏差値の絶対値が大きい場合には発振部2の出力信号の周波数変化が速く、位相差偏差値の絶対値が小さい場合には発振部2の出力信号の周波数変化が遅くなり位相差検出部6の出力する位相差出力が位相差目標値にスムースに近付いてゆく。図5は振動波アクチュエータの駆動周波数と回転速度及び増幅部3の効率を示す図である。実線が回転速度、鎖線が増幅部3の効率を示している。この図より増幅部3の効率は振動体15の共振周波数より高い周波数で最大効率を示していることがわかる。これは振動体15のアドミタンス特性が振動周波数と共に変化することやインピーダンス整合素子であるインダクタ4、インダクタ5による電気的共振の影響等によって増幅部3の最大力率を与える周波数が決まる為である。従って、振動波アクチュエータ駆動装置の消費電力を低く抑えつつ振動波アクチュエータの回転速度を出来るだけ高くすると言う高度な要求に対し単純に振動体15の共振周波数となるように発振部2の出力周波数を設定するだけでは要求を実現できないことがわかる。つまり消費電力を低く抑えることと回転速度を高くすることは相反する命題であり両立することが出来ないためである。そのためこの相反する命題の重み付けによって様々な対応が考えられる。例えば効率が最も高くなるように発振部2の出力周波数を設定する方法について考えて見る。振動波アクチュエータの負荷条件が変化しない場合には振動体15の振動振幅はほぼ振動波アクチュエータの消費電力の平方根に比例して変化する。そこで増幅部3と振動波アクチュエータの消費電力を加えたものを消費電力Aとしてこの平方根と振動体15の振動振幅の比(以下効率指数と呼ぶ)について考えてみる。効率指数は消費電力Aと振動体15の振動振幅の2乗の比としても良い。図6はある負荷条件での周波数と振動振幅及び効率指数の関係を示しす図である。実線は振動振幅を示しており図5の回転速度と同様の特性を示している。鎖線は効率指数を示しており共振周波数Frより高い周波数で最大となっている。次に負荷条件や環境変化によって振動体15の等価内部損失が変化した場合について考える。振動体15の等価内部損が変化すると増幅部3の力率が変化するので効率指数が最大となる周波数やそのときの振動体15の振動振幅も変化すると考えられる。そこで振動体15の等価内部損の増加と共に減少していく効率指数最大位置での振動体15の振動振幅とその際の位相差検出部6の出力する電極1−aに印加される交流電圧と電極1−dから出力される振動体15の振動との間の位相差を予め求めておく。そしてこの関係から位相差目標値設定部8のルックアップテーブルを構築しておく。そうすれば振動体15の振動振幅に応じて効率指数を最大とするための位相差目標値を求めることが可能となる。
【0034】
図7はこの関係を示すルックアップテーブルをグラフ化すると共に内部損失の異なる振動波アクチュエータの特性を示す図である。ルックアップテーブルは関数で表すことも可能であるから振動振幅の関数として演算して求める方式としても良い。実線はルックアップテーブルの特性を示し、鎖線は等価内部損失の少ない振動波アクチュエータの特性、一点鎖線は等価内部損失の多い振動波アクチュエータの特性を示している。振動体15の振動振幅が増加するに従って位相差目標値が増加する傾向になっている。このルックアップテーブルを用いて位相差目標値を振動振幅に応じて変化させていくと最終的に振動体15の振動振幅は実線で示す位相差目標値と各振動波アクチュエータの特性との交点の振動振幅になるように周波数が制御される。つまり内部損失の少ない振動波アクチュエータの場合は上記交流電圧と振動体15の振動との間の位相差はPH1に制御されその結果振動振幅はS1となる。又内部損失の多い振動波アクチュエータの場合は上記交流電圧と振動体15の振動との間の位相差はPH2に制御されその結果振動振幅はS2となる。ここで位相差は信号の極性や基準をどちらにするかによって増減方向が逆転するので振動体15の振動振幅が増加するに従って位相差目標値が減少する傾向となる場合もあることは当然である。又上記効率指数は振動振幅と電力の関係から求めているが振動振幅の代わりに回転速度やA相1−aあるいはB相1−bへの流入電流又は印加電圧に応じた値としても良い。その場合位相差目標値のルックアップテーブルの入力変数として振動振幅の代わりに回転速度やA相1−aあるいはB相1−bへの流入電流又は印加電圧に応じた値で代用したものを使用しても同等の効果が得られることは当然である。また本実施例ではまた効率指数を単に増幅部3の効率とする場合やいくつかの効率について重み付けした関数としても良い。また位相差目標値に上限下限を設けても良い。また振動振幅領域毎に異なる条件でテーブルを構成しても良い。その場合振動振幅に対する位相差目標値の変化が途中で不連続に成る場合や、増加傾向であったものが不連続点で一旦減少する場合もあるが連続領域内で同じ方向に変化するものであれば良い。図8に不連続の場合の例を示す。また本実施例ではインピーダンス整合をとるためのインダクタ素子を用いているがこれがない場合でも同様の効果が期待できることは当然である。また本実施例では位相差検出部6でA相1−aに印加される交流電圧とS2相1−dから出力される上記振動体の振動に応じた交流信号間の位相差を検出したがインダクタ素子4又はインダクタ素子5の両端の電圧の位相差を求めても同様の効果が期待できることは当然である。
【実施例2】
【0035】
図9は第2の実施例の構成を示すブロック図で、16は振動波アクチュエータの不図示のロータ12の回転速度に応じた周波数のパルス信号を出力するロータリーエンコーダ、17はロータリーエンコーダ16の出力するパルス信号の周波数を検出してロータ12の回転速度を検出する速度検出部、18は速度検出部17の出力するロータ12の回転速度に応じた値と所定の速度目標値の偏差を求めこれが0になるように増幅部3の増幅率を設定する増幅率設定部である。ここで言う増幅率とは増幅部3の入出力間の実効値の比のことであり、振幅の変化による増幅の他に波形の変化による実質的な増幅を含むものである。本実施例では増幅部3はハーフブリッジ回路で構成され発振部2から入力される3〜5V程度のパルス信号を40Vのパルス信号に振幅を変換すると共に増幅率設定部18からの設定信号によって40Vのパルス信号のパルス幅を変化させ実質的に増幅率を変化させている。又上記第1の実施例では位相差目標値設定部8の入力は振動振幅検出部7の出力する振動体15の振動振幅に応じた値のみであったが本実施例では増幅率設定部18の出力する増幅部3の増幅率に応じた値も入力し、振動体15の振動振幅と増幅部3の増幅率双方に応じて位相差目標値を設定している。その他の構成は実施例1とほぼ同じなので説明は省略する。実施例1では増幅部3の実質的な増幅率の変化が無いため、振動体15の等価内部損失に応じて回路込みの効率が良い状態に制御されるだけであった。そのため回転速度のバラツキが大きかった。そこでこれを解決する為に本実施例ではロータ12の回転速度を検出し、これを速度目標値に制御するために増幅部3の増幅率と言う状態を変化させている。これによって効率を良い状態に保ちつつロータ12の回転速度を所定の速度目標値に制御することが可能となった。ここで増幅部3の増幅率が変化した場合、上記効率指数がどうなるか考えてみる。増幅部3の出力する交流電圧の振幅が実質的に増大した場合A相1−a、B相1−bに印加される交流電圧の振幅も増大する。従って振動体15を同じ周波数で振動させた場合の振動振幅が増大するため同じ振動振幅で比較した場合の振動周波数はより共振周波数から離れた周波数となる。そのためA相1−aに印加される交流電圧とS2相1−dから出力される振動体15の振動の位相差が減少し、実施例1で用いたものと同じルックアップテーブルでは対応出来ないことがわかる。そこで本実施例では増幅部3の状態に応じて複数のルックアップテーブルを用意することでこれに対応している。図10は振動振幅をS1,S2,…Sn、増幅部3の増幅率をC1,C2,…Cnとした場合の位相差目標値を(PH1,1),(PH1,2),…(PH1,n)…(PH2,1),(PH2,2),…(PH2,n),…,…,(PHn,1),(PHn,2),…(PHn,n)とする2次元のルックアップテーブルを示している。こうすることで振動振幅と増幅率から即座に位相差目標値を求めている。また第1の実施例と同様に位相差目標値のルックアップテーブルの入力変数として振動振幅の代わりに回転速度やA相1−aあるいはB相1−bへの流入電流又は印加電圧に応じた値で代用したものを使用しても同等の効果が得られることは当然である。また本実施例ではインピーダンス整合をとるためのインダクタ素子を用いているがこれがない場合でも同様の効果が期待できることは当然である。また本実施例では位相差検出部6でA相1−aに印加される交流電圧とS2相1−dから出力される上記振動体の振動に応じた交流信号間の位相差を検出したがインダクタ素子4又はインダクタ素子5の両端の電圧の位相差を求めても同様の効果が期待できることは当然である。
【実施例3】
【0036】
図11は第3の実施例の構成を示すブロック図で、19は増幅部3に入力する電力を制御する電力制御部である。又上記実施例では振動検出用の電極をS2相1−dを用いていたが本実施例ではS1相1−cを用いている。S1相1−cの出力信号とA相1−aに印加される交流電圧間の位相差はロータ2の回転方向で変化することがないので同じ位相差目標値を用いることが出来る。又電力制御部19は電力制御部の入力電力を制御するようにしても良い。その他の構成は上記実施例とほぼ同じ構成なので説明は省略する。本実施例では電力を許容電力を超えないように増幅部3の電源電圧を制御している。そのため許容電力以下で最も高速にロータ12を回転させることが可能となる。位相差目標値設定部8のルックアップテーブルは許容電力での振動振幅に対する位相差目標値が設定されており、許容電力内では増幅部3へ供給する電源電圧が所定の上限電圧で固定されている。図12は振動振幅と増幅部3へ供給される電源電圧と増幅部3へ出力される電力及び位相差と位相差目標値の関係を示す図で、振動周波数を高周波側から振動体15の共振周波数へ近づけていった場合の特性を示している。上図の実線が電源電圧、鎖線が電力を示しており、下図の実線はA相1−aに印加される交流電圧とS1相1−cから出力される振動体15の振動に応じた信号間の位相差、鎖線は位相差目標値を示している。振動体15の振動振幅がSAを超えるまでは電源電圧がVOmaxに固定されており、増幅部3へ出力される電力が一旦減少してから増加する傾向となっている。振動振幅がSAを超えると増幅部3へ出力される電力が許容電力POmaxで固定され電源電圧が減少していっている。また許容電力POmaxで固定された振動振幅がSA以上ではA相1−aに印加される交流電圧とS1相1−cから出力される振動体15の振動に応じた信号間の位相差が位相差目標値のグラフと交差しており、この交差位置の振動振幅S1になるように位相差がPH1に制御される。図13は振動周波数と増幅部3へ供給される電源電圧と増幅部3へ出力される電力及び位相差とロータ12の回転速度の関係を示す図である。許容電力POmaxで制限された領域で上記振動振幅S1となる振動周波数F1ではロータ12の回転速度が最大と成るVE1になっている。上記位相差が位相差目標値PH1になるように発振部2の出力信号の周波数は制御されるため振動周波数はF1となる。従ってロータ12の回転速度は許容電力POmax内で最大の回転速度VE1となる。また図14は第3の実施例の第2の構成を示すブロック図で、実施例2と同様にしてロータ12の回転速度を検出して所定の速度目標値に制御する構成としたものである。20は速度検出部17の出力するロータ12の回転速度に応じた値と所定の速度目標値の偏差を求めこれが0になるように電力制御部19の許容電力又は電力目標値を設定する電力設定部である。又上記第2の実施例では位相差目標値設定部8の入力は振動振幅検出部7の出力する振動体15の振動振幅に応じた値と増幅率設定部18の出力する増幅部3の増幅率に応じた値であったが本実施例では増幅部3の増幅率の代わり電力制御部19の許容電力又は電力目標値を入力し、振動体15の振動振幅と電力制御部19の許容電力又は電力目標値双方に応じて位相差目標値を設定している。これにより実施例2と同様にロータ12の回転速度を所定の速度に制御しつつ効率を高く保つことが出来る。図15は第3の実施例の第3の構成を示すブロック図で第3の実施例の第2の構成の一部をCPU21で置き換えたものである。置き換えたのは電力設定部20と周波数設定部10でありこれらの処理がCPU21内でソフト的に動作するようになっている。図16はこの動作を示すフローチャートである。最初に初期動作として発振部2の周波数Fを初期周波数F0に設定すると共に電力制御部19の電力目標値POを初期電力目標値PO0に設定する。これによって増幅部3に電力が供給され振動体15が初期周波数で加振され振動振幅が増加していく。次のステップで位相差偏差演算部9の出力である位相差偏差PHdを入力しこれが0となるように位相差偏差PHdにゲインG1を乗じた量だけ発振部2の周波数Fを変更する。次に速度検出部17からの速度VEiを入力し所定の速度目標値VE0との速度偏差VEdを求める。次に速度偏差VEdが0になるように速度偏差VEdゲインG2を乗じた量だけ電力制御部19の電力目標値POを変更する。このような動作を繰り返すことで所定の速度目標値でロータ12を回転させつつ消費電力を最も低い状態に保つことが出来る。又実施例2のように位相差目標値設定部8のルックアップテーブルを増幅部3の増幅率に応じて設定し、CPU21で電力制御部19の電力目標値POを設定する代わりに増幅部3の増幅率を設定するように構成しても良いことは当然である。また本実施例では速度偏差VEdの積分結果に応じて電力目標値を設定する積分制御としたが、速度偏差VEdに応じた値を更に加えることで比例積分制御としたり各種フィルタによる位相補償を加えても良いことは当然である。また上記実施例と同様に位相差目標値のルックアップテーブルの入力変数として振動振幅の代わりに回転速度やA相1−aあるいはB相1−bへの流入電流又は印加電圧に応じた値で代用したものを使用しても同等の効果が得られることは当然である。また本実施例ではインピーダンス整合をとるためのインダクタ素子を用いているがこれがない場合でも同様の効果が期待できることは当然である。また本実施例では位相差検出部6でA相1−aに印加される交流電圧とS2相1−dから出力される上記振動体の振動に応じた交流信号間の位相差を検出したがインダクタ素子4又はインダクタ素子5の両端の電圧の位相差を求めても同様の効果が期待できることは当然である。
【実施例4】
【0037】
図17は第4の実施例の第1の構成を示すブロック図で、22は不図示の定在波型振動波アクチュエータの圧電体、23は圧電体22への公知の機械腕電流を検出して圧電体22の振動を検出する振動検出部、24は交流電圧を発生する発振部、25は発振部24の出力する交流信号の電力を増幅する電力変換部である。上記実施例では2相の交流電圧を振動波アクチュエータに印加していたが本実施例では圧電体のみからなる定在波型の振動波アクチュエータに1相の交流電圧を印加している。また回転出力ではなく直線的に不図示の移動体が移動する構成となっている。そのため速度情報は回転速度ではなく速度としている。電力変換部25の状態はCPU21からの設定信号によって入力電力、出力電力、増幅率、出力電流、出力電圧等様々な状態を設定することが可能となっている。その他の構成については上記実施例とほぼ同じなので説明を省略する。CPU21は上記実施例における様々な演算を代行出来ると共にルックアップテーブルを内部記憶領域に確保出来るので条件に応じた高度な判断による目標設定が可能である。図18は第4の実施例の第1の制御方法を示すフローチャートである。最初に初期設定ステップとして発振部2の周波数Fを初期周波数F0に設定すると共に電力変換部25の電源電圧又は出力電圧振幅VOを初期電圧VO0に設定している。これによって電力変換部25に電力が供給され圧電体22が初期周波数で加振され振動振幅が増加していく。次は検出ステップで、位相差検出部6の出力する位相差検出値PHi、速度検出部17の出力する速度検出値VEiを入力する。そして速度検出値VEiに対応する圧電体22の振動振幅検出値Siを関数f1によって算出している。関数f1は1次から3次程度の線形な関数であるが上記実施例のようにルックアップテーブルとしても良い。次は演算ステップで位相差目標値PHsを振動振幅検出値Siを関数f2に入力することによって求め、位相差目標値PHsから位相差検出値PHiを減算し位相差偏差PHdを求めている。そして次は設定ステップで位相差偏差PHdにゲインG1を乗じた量だけ発振部2の周波数Fを変更している。このような動作を繰り返すと振動振幅検出値Siが序所に大きくなって行き、それに伴って位相差目標値PHsも大きくなって行く。そして更に振動振幅Siが大きくなって行くと序所に位相差目標値PHsの変化に位相差検出値PHiが近付いて行く。そして最終的には位相差偏差PHdは0となり、出力電圧振幅VOがVO0の状態において最も効率の高い駆動状態が実現する。図19は第4の実施例の第2の制御方法を示すフローチャートである。上記第1の制御方法では不図示の定在波型アクチュエータの速度の制御は行っていなかったが第2の制御方法では第1の制御方法と同様に周波数を制御することで効率の良い駆動状態を実現する一方で電力変換部25の出力電圧振幅VOを変化させることで速度制御を行っている。最初に初期設定ステップとして発振部2の周波数Fを初期周波数F0に設定と電力変換部25の出力電圧振幅VOを初期電圧VO0に、初期速度目標値VEsをVE0に設定している。これによって電力変換部25に電力が供給され圧電体22が初期周波数で加振され振動振幅が増加していく。次の検出ステップでは位相差検出部6の出力する位相差検出値PHi、速度検出部17の出力する速度検出値VEiを入力し、圧電体22の振動振幅Siを関数f1に速度検出値VEiを入力することによって算出している。次の演算ステップでは位相差目標値PHsを振動振幅検出値Siと出力電圧振幅VOを関数f2に入力することによって求めている。この場合関数f2は2変数の関数又は2次元のルックアップテーブルとなっている。また位相差目標値PHsから位相差検出値PHiを減算し位相差偏差PHdを求め、速度指令VEsから速度検出値VEiを減算し速度偏差VEdを求めている。そして次の設定ステップでは位相差偏差PHdにゲインG1を乗じた量だけ発振部2の周波数Fを変更し駆動周波数を効率最大の周波数に制御し、更に速度偏差VEdにゲインG2を乗じた量だけ電力変換部25の出力電圧振幅VOを変更している。このような動作を繰り返すと電力変換部25の出力電圧振幅VOが序所に大きくなって行き、速度偏差VEdが最終的に0となり速度が速度目標値VEsに制御される。速度目標値が変化した場合でもこのような制御方法によれば速度を速度目標値に追従させながら効率を最良の状態とすることが出来る。また本実施例で振動検出部23は圧電体22に流入する機械腕電流を検出することで圧電体22の振動を検出したが、圧電体22に不図示の振動検出用の電極を設け、その出力信号を用いても良い。また振動を検出する為のセンサとしては歪みゲージや非接触の光学的な変位センサ等がありこれらのセンサを用いても良い。また本実施例では圧電体22の振動振幅検出値Siの検出方法として速度検出値VEiに対応する圧電体22の振動振幅検出値Siを求めるための関数f1によって算出したが、直接振動検出部23の出力信号の振幅を検出しても良い。その場合外付け回路として振動振幅検出の為の回路が必要である。また本実施例ではインピーダンス整合をとるためのインダクタ素子を用いているがこれがない場合でも同様の効果が期待できることは当然である。また上記例では速度検出値VEiを関数f1に入力して振動振幅検出値Siを関数f1(VEi)より求めてから位相差目標値PHsを関数f2(Si)で求めた。しかしこれを簡略するために直接速度検出値VEiの関数f2(f1(VEi))又は関数f2(f1(VEi),VO)として位相差目標値PHsを求めても良い。図20は第4の実施例の第2の構成を示すブロック図で、第1の構成では位相差検出部6は圧電体22に流入する機械腕電流と圧電体22に印加される交流電圧との間の位相差を検出していたが第2の構成ではインダクタ素子4の両端の交流電圧間の位相差を検出している。また26は圧電体22に印加される交流電圧の振幅検出値Vaiを出力するための振幅検出部である。圧電体22に印加される交流電圧の振幅はインダクタ素子4の影響でこの交流電圧の周波数が圧電体22の共振周波数に近付くにつれて振幅が減少して行く特性を持っている。そのため交流電圧の周波数の範囲を限定すれば圧電体22に印加される交流電圧の振幅を検出するためのセンサーとして利用出来る。そこで第1の構成で位相差目標値をf2(f1(VEi))のようにして求めていたが第2の構成ではf2(f1(VAi))によって位相差目標値を求めている。このようにして振動振幅を速度や圧電体22に印加される交流電圧振幅や流入する交流電流の振幅等から求めることが出来ることは公知の技術であるから、それに対応する位相差目標値の為の関数やルックアップテーブルが構成出来ることは当然である。
【実施例5】
【0038】
本実施例のシステム構成は実施例4と同じでありシステム構成については説明を省略する。図21は第5の実施例の第1の制御方法を示すフローチャートである。最初に初期設定ステップとして発振部2の周波数Fを初期周波数F0に、電力変換部25の電源電圧又は出力電圧振幅VOを初期電圧VO0に、電力変換部25に入力される電力の初期電力目標値POsをPO0に設定している。これによって電力変換部25に電力が供給され圧電体22が初期周波数で加振され振動振幅が増加していく。次は検出ステップで、位相差検出部6の出力する位相差検出値PHi、速度検出部17の出力する速度検出値VEiを入力する。そして速度検出値VEiに対応する圧電体22の振動振幅検出値Siを関数f1によって算出している。そして更に電力変換部25の入力電力値検出値POiを計測して入力している。次の演算ステップでは位相差目標値PHsを振動振幅検出値Siと入力電力検出値POiを関数f2に入力することによって求めている。この場合関数f2は2変数の関数又は2次元のルックアップテーブルとなっている。次に位相差目標値PHsから位相差検出値PHiを減算し位相差偏差PHdを求めている。そして速度検出値VEiを関数f3に入力して不図示の定在波型アクチュエータの速度に応じて予め決められた電力目標値POsを求めている。そして更に電力目標値POsから検出した入力電力検出値POiを減算し電力偏差POdを求めている。そして次の設定ステップでは位相差偏差PHdにゲインG1を乗じた量だけ発振部2の周波数Fを変更し駆動周波数を効率最大の周波数に制御し、そして更に電力偏差POdにゲインG2を乗じた量だけ電力変換部25の出力電圧振幅VOを変更している。このような動作を繰り返すことで電力変換部25の入力電力を所定の値に制御しつつ不図示の定在波型アクチュエータの駆動状態を効率を高い状態に保つことが可能となり、電力目標値POsにおいて最も速度検出値VEiを高い状態に制御することが可能となる。図22は第5の実施例の第2の制御方法を示すフローチャートである。上記第1の制御方法では不図示の定在波型アクチュエータの速度のフィードバック制御は行っていなかったが第2の制御方法では第1の制御方法と同様に周波数を制御することで効率の良い駆動状態を実現する一方で電力変換部25の電源電圧VOを変化させることで速度制御を行っている。最初に初期設定ステップとして発振部2の周波数Fを初期周波数F0に、電力変換部25の電源電圧VOを初期電圧VO0に、電力変換部25に入力される電力の初期電力目標値POsをPO0に、初期速度目標値VEsをVE0に設定している。これによって電力変換部25に電力が供給され圧電体22が初期周波数で加振され振動振幅が増加していく。次の検出ステップでは位相差検出部6の出力する位相差検出値PHi、速度検出部17の出力する速度検出値VEiを入力し、速度検出値VEiを関数f1に入力することによって圧電体22の振動振幅検出値Siを算出している。そして更に電力変換部25の入力電力検出値POiを検出している。次の演算ステップでは振動振幅検出値Siと入力電力検出値POiを関数f2に入力することによって位相差目標値PHsを求めている。この場合関数f2は2変数の関数又は2次元のルックアップテーブルとなっている。次に位相差目標値PHsから位相差検出値PHiを減算し位相差偏差PHdを求め、そして速度指令VEsから速度検出値VEiを減算し速度偏差VEdを求めている。そして速度偏差VEdにゲインG3を乗じた量だけ電力目標値POsの値を変更して電力目標値POsを求め、電力目標値POsから検出した入力電力検出値POiを減算し電力偏差POdを求めている。そして次の設定ステップでは位相差偏差PHdにゲインG1を乗じた量だけ発振部2の周波数Fを変更し駆動周波数を効率最大の周波数に制御すると共に速度偏差VEdにゲインG2を乗じた量だけ電力変換部25の電源電圧VOを変更している。このような動作を繰り返すと電力変換部25の電源電圧VOが序所に大きくなって行き、電力目標値POsも大きくなって行く。そして速度偏差VEdが最終的に0となり、速度が速度目標値VEsに制御される。速度目標値が変化した場合でもこのような制御方法によれば速度を速度目標値に追従させながら効率を最良の状態とすることが出来る。また上記例では速度検出値VEiを関数f1に入力して振動振幅検出値Siを関数f1(VEi)より求めてから位相差目標値PHsを関数f2(Si,POi)で求めた。しかしこれを簡略するために直接速度検出値VEiの関数f2(f1(VEi),POi)として位相差目標値PHsを求めても良い。
【実施例6】
【0039】
本実施例のシステム構成は実施例4と同じでありシステム構成については説明を省略する。図23は第6の実施例の制御方法を示すフローチャートである。最初に初期設定ステップとして発振部2の周波数Fを初期周波数F0に設定すると共に電力変換部25の出力電圧振幅VOを初期電圧VO0に設定する。そして更に電力変換部25に入力される電力の初期電力目標値POsをPO0に設定し初期速度目標値VEsをVE0に設定している。これによって電力変換部25に電力が供給され圧電体22が初期周波数で加振され振動振幅が増加していく。次の検出ステップでは位相差検出部6の出力する位相差検出値PHi、速度検出部17の出力する速度検出値VEiを入力し、速度入力VEiを関数f1に入力して圧電体22の振動振幅検出値Siを算出している。関数f1は1次から3次程度の線形な関数で表すことが可能であるが上記実施例のようにルックアップテーブルを用いても良い。そして更に電力変換部25の入力電力検出値POiを計測して入力している。次の演算ステップでは位相差目標値PHsを振動振幅検出値Siと出力電圧振幅VOを関数f2に入力することによって求めている。この場合関数f1は2変数の関数又は2次元のルックアップテーブルとなっている。次に位相差目標値PHsから位相差検出値PHiを減算し位相差偏差PHdを求め、速度検出値VEiを関数f3に入力して不図示の定在波型アクチュエータの速度に応じて予め決められた電力目標値POsを求めている。そして電力目標値POsから検出した入力電力検出値POiを減算し電力偏差POdを求め、そして速度指令VEsから速度検出値VEiを減算し速度偏差VEdを求めている。次は選択判断ステップで位相差偏差PHdと速度偏差VEdの大きさを比較して小さい方の偏差を選択している。ここで位相差偏差PHdと速度偏差VEdは異なる単位を有する偏差情報なので比較する際には適当な値を一方の偏差に乗じてから比較するように調整されている。本例では速度偏差VEdにゲインG4を乗じてから比較判断している。次が設定ステップで選択判断ステップの結果に応じて異なる対応となっている。位相差偏差PHdが小さい場合は位相差偏差PHdにゲインG1を乗じた量だけ発振部2の周波数Fを変更し、速度偏差VEdにゲインG4を乗じた値が小さい場合は速度偏差VEdにゲインG2を乗じた量だけ発振部2の周波数Fを変更している。そして更に電力偏差POdにゲインG3を乗じた量だけ電力変換部25の出力電圧振幅VOを変更している。こうすることで、速度目標値VEsが大きすぎて駆動周波数が効率最大の周波数を超えて圧電体22の共振周波数近付く場合には効率の良い位相差目標値PHsによって位相差検出値PHiが制限される。また、速度目標値が小さく駆動装置全体の効率が高くなくとも駆動出来る場合には速度目標値VEsによって速度検出値VEiが制御される。このような動作を繰り返すことで電力変換部25の入力電力を所定の値に制御しつつ、不図示の定在波型アクチュエータの加減速時には速度制御を行い、速度目標値VEsが大きすぎて速度検出値VEiが到達出来ない場合には出来るだけ速い速度となるように駆動状態を効率を高い状態に保つことが可能となっている。また上記選択判断ステップでは1つの条件で選択を切り替えていたが複数の条件を用いても良い。また条件にヒステリシスを設けることでハンチングを抑える構成としても良いことは当然である。また上記例では速度検出値VEiを関数f1に入力して振動振幅検出値Siを関数f1(VEi)より求めてから位相差目標値PHsを関数f2(Si,VO)で求めた。しかしこれを簡略するために直接速度検出値VEiの関数f2(f1(VEi),VO)として位相差目標値PHsを求めても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の実施例の構成を示すブロック図。
【図2】振動型アクチュエータの構成図。
【図3】振動型アクチュエータの圧電素子の電極構造を示す図。
【図4】振動波アクチュエータの駆動周波数と回転速度及び交流印加電圧と振動体15の振動との位相差の関係を示す図。
【図5】振動波アクチュエータの駆動周波数と回転速度及び増幅部3の効率を示す図。
【図6】所定負荷条件での周波数と振動振幅及び効率指数の関係を示す図。
【図7】振動振幅と振動振幅に応じて効率指数を最大とするための位相差目標値との関係と振動振幅に応じた内部損失の異なる振動波アクチュエータの特性を示す図。
【図8】振動振幅領域毎に異なる振動振幅と位相差目標値との関係を有する不連続な特性の例を示す図。
【図9】第2の実施例の構成を示すブロック図。
【図10】2次元のルックアップテーブルの例を示す図。
【図11】第3の実施例の構成を示すブロック図。
【図12】振動振幅と増幅部3へ供給される電源電圧と増幅部3へ出力される電力及び位相差と位相差目標値の関係を示す図。
【図13】振動周波数と増幅部3へ供給される電源電圧と増幅部3へ出力される電力及び位相差とロータ12の回転速度の関係を示す図。
【図14】第3の実施例の第2の構成を示すブロック図。
【図15】第3の実施例の第3の構成を示すブロック図。
【図16】第3の実施例の第3の構成のCPU21の動作を説明するフローチャート。
【図17】第4の実施例の第1の構成を示すブロック図。
【図18】第4の実施例の第1の制御方法を示すフローチャート。
【図19】第4の実施例の第2の制御方法を示すフローチャート。
【図20】第4の実施例の第2の構成を示すブロック図。
【図21】第5の実施例の第1の制御方法を示すフローチャート。
【図22】第5の実施例の第2の制御方法を示すフローチャート。
【図23】第6の実施例の制御方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0041】
1、22 圧電体
2、24 発振部
3 増幅部
4、5 インダクタ素子
6 位相差検出部
7 振動振幅検出部
8 位相差目標値設定部
9 位相差偏差演算部
10 周波数設定部
11 弾性体
12 ロータ
13 摩擦材
14 回転軸
15 振動体
16 ロータリーエンコーダ
17 速度検出部
18 増幅率設定部
19 電力制御部
20 電力設定部
21 CPU
23 振動検出部
25 電力変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電気−機械エネルギー変換部を有する振動体と、該電気−機械エネルギー変換部に交流電圧を印加することで該振動体に発生する振動によって移動する移動体を有する振動波アクチュエータの駆動装置であって、
希望の周波数の信号を発生する発振部と、該希望の周波数の信号を増幅して直接又はインピーダンス整合素子を介して前記電気−機械エネルギー変換部に印加する交流電圧を出力する増幅部と、前記振動体の振動に応じた振動検出信号を出力する振動検出部と、前記振動体の振動振幅に応じた値である振動振幅検出信号を出力する振動振幅検出部と、前記振動検出信号と前記交流電圧との間の位相差又は前記インピーダンス整合素子の両端の電圧の位相差に応じた値を検出して位相差信号を出力する位相差検出部と、該位相差信号と所定の位相差目標値の偏差を求めて第1の偏差信号を出力する第1の偏差演算部と、第1の偏差信号の出力がほぼ0となるように前記発振部の周波数を設定する周波数設定部を有し、
前記位相差目標値は振動振幅検出信号を入力とする予め決められたルックアップテーブル又は関数によって求められることを特徴とする振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項2】
前記位相差目標値は前記振動振幅検出信号の増加によって増加あるいは減少のいずれか一方に変化することを特徴とする請求項1に記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項3】
前記振動振幅に応じた値は前記移動体の速度又は前記電気−機械エネルギー変換部に流入する電流又は前記インピーダンス整合素子と前記電気−機械エネルギー変換部の接続部の電圧に応じた値であることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項4】
前記ルックアップテーブル又は関数は、前記振動振幅検出信号を入力とすると共に前記増幅部の状態に応じた値を入力とする2次元の特性を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項5】
前記移動体の速度を検出して速度信号を出力する速度検出部と、該速度信号と速度目標値の偏差を求めて第2の偏差信号を出力する第2の偏差演算部と、第2の偏差信号に応じて第2の偏差信号をほぼ0とするように前記増幅部の状態を設定する状態設定部を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項6】
少なくとも電気−機械エネルギー変換部を有する振動体と、該電気−機械エネルギー変換部に交流電圧を印加することで該振動体に発生する振動によって移動する移動体を有する振動波アクチュエータの駆動装置であって、
希望の周波数の信号を発生する発振部と、該希望の周波数の信号を増幅して直接又はインピーダンス整合素子を介して前記電気−機械エネルギー変換部に印加する交流電圧を出力する増幅部と、該増幅部に電力を供給する電力制御部と、前記振動体の振動に応じた振動検出信号を出力する振動検出部と、前記振動体の振動振幅に応じた値である振動振幅検出信号を出力する振動振幅検出部と、前記振動検出信号と前記交流電圧との間の位相差又は前記インピーダンス整合素子の両端の電圧の位相差に応じた値を検出して位相差信号を出力する位相差検出部と、該位相差信号と所定の位相差目標値の偏差を求めて第1の偏差信号を出力する第1の偏差演算部と、第1の偏差信号の出力がほぼ0となるように前記発振部の周波数を設定する周波数設定部を有し、
前記位相差目標値は振動振幅検出信号を入力とする予め決められたルックアップテーブル又は関数によって求められることを特徴とする振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項7】
前記位相差目標値は前記振動振幅検出信号の増加によって増加あるいは減少のいずれか一方に変化することを特徴とする請求項6に記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項8】
前記振動振幅に応じた値は前記移動体の速度又は前記電気−機械エネルギー変換部に流入する電流又は前記インピーダンス整合素子と前記電気−機械エネルギー変換部の接続部の電圧に応じた値であることを特徴とする請求項6、又は請求項7に記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項9】
前記電力制御部は該電力制御部への入力電力又は該電力制御部からの出力電力を所定の電力に制御することを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項10】
前記ルックアップテーブル又は関数は前記振動振幅検出信号を入力とすると共に前記電力制御部の状態に応じた値を入力とする2次元の特性を有することを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項11】
前記移動体の速度を検出して速度信号を出力する速度検出部と、該速度信号と速度目標値の偏差を求めて第2の偏差信号を出力する第2の偏差演算部と、第2の偏差信号に応じて第2の偏差信号をほぼ0とするように前記電力制御部の状態を設定する状態設定部を有することを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項12】
前記移動体の速度を検出して速度信号を出力する速度検出部と、該速度信号と速度目標値の偏差を求めて第2の偏差信号を出力する第2の偏差演算部と、前記第1の偏差信号と該第2の偏差信号を入力してどちらを選択するか判定し選択した信号を第3の偏差信号として出力する選択手段を有し、前記周波数設定部は該第3の偏差信号をほぼ0になるように前記発振部の周波数を設定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか、又は、請求項6〜請求項10のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置。
【請求項13】
少なくとも電気−機械エネルギー変換部を有する振動体と、該電気−機械エネルギー変換部に交流電圧を印加することで該振動体に発生する振動によって移動する移動体と該交流電圧の周波数を周波数指令に従って設定する発振部と発振部の出力を増幅し直接又はインピーダンス整合素子を介して前記電気−機械エネルギー変換部に前記交流電圧を印加する増幅部を有する振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法であって、
前記交流電圧と前記振動体の振動との間の位相差又は前記インピーダンス整合素子の両端の電圧の位相差を検出する位相差検出ステップと、前記振動体の振動振幅に応じた値を検出する振幅検出ステップと、前記振動振幅を予め決められたルックアップテーブル又は関数に入力して位相差目標値を求める位相差目標設定ステップと、前記位相差と該位相差目標値の偏差を演算して第1の偏差を求める位相差偏差演算ステップと、該位相差偏差がほぼ0となるように前記周波数指令を設定する周波数設定ステップを有することを特徴とする振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項14】
前記位相差目標値は前記振動振幅検出信号の増加によって増加あるいは減少のいずれか一方に変化することを特徴とする請求項13に記載の振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項15】
前記振動振幅に応じた値は前記移動体の速度又は前記電気−機械エネルギー変換部に流入する電流又は前記インピーダンス整合素子と前記電気−機械エネルギー変換部の接続部の電圧に応じた値であることを特徴とする請求項13、又は請求項14に記載の振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項16】
前記増幅部の状態に応じた値によって前記ルックアップテーブル又は関数を変更する関数変更ステップを有することを特徴とする請求項13〜請求項15のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項17】
前記移動体の速度を検出する速度検出ステップと該移動体の速度と速度目標値の偏差を演算して第2の偏差を求める速度偏差演算ステップと、該第2の偏差がほぼ0になるように前記増幅部の状態を設定する状態設定ステップを有することを特徴とする請求項13〜請求項16のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項18】
少なくとも電気−機械エネルギー変換部を有する振動体と、該電気−機械エネルギー変換部に交流電圧を印加することで該振動体に発生する振動によって移動する移動体と該交流電圧の周波数を周波数指令に従って設定する発振部と発振部の出力を増幅し直接又はインピーダンス整合素子を介して前記電気−機械エネルギー変換部に前記交流電圧を印加する増幅部と該増幅部へ電力を供給する電力制御部と前記振動体の振動を検出する振動検出部と前記交流電圧と該振動検出部の出力信号との間の位相差に応じた値を検出する位相差検出部と前記振動体の振動振幅に応じた値を検出する振動振幅検出部とを有する振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法であって、
前記交流電圧と前記振動体の振動との間の位相差又は前記インピーダンス整合素子の両端の電圧の位相差を検出する位相差検出ステップと、前記振動体の振動振幅に応じた値を検出する振幅検出ステップと、前記振動振幅を予め決められたルックアップテーブル又は関数に入力して位相差目標値を求める位相差目標設定ステップと、前記位相差と該位相差目標値の偏差を演算して第1の偏差を求める位相差偏差演算ステップと、該位相差偏差がほぼ0となるように前記周波数指令を設定する第1の周波数設定ステップと前記電力制御部の入力電力又は出力電力を検出する電力検出ステップと該入力電力又は該出力電力を所定の電力に制御又は所定の制限電力内に制御する電力制御ステップとを有することを特徴とする振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項19】
前記位相差目標値は前記振動振幅検出信号の増加によって増加あるいは減少のいずれか一方に変化することを特徴とする請求項18に記載の振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項20】
前記振動振幅に応じた値は前記移動体の速度又は前記電気−機械エネルギー変換部に流入する電流又は前記インピーダンス整合素子と前記電気−機械エネルギー変換部の接続部の電圧に応じた値であることを特徴とする請求項18、又は請求項19に記載の振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項21】
前記電力制御部の状態に応じた値によって前記ルックアップテーブル又は関数を変更する関数変更ステップを有することを特徴とする請求項18〜請求項20のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項22】
前記移動体の速度を検出する速度検出ステップと該移動体の速度と速度目標値の偏差を演算して第2の偏差を求める速度偏差演算ステップと、該第2の偏差がほぼ0になるように前記電力制御部の状態を設定する状態設定ステップを有することを特徴とする請求項18〜請求項21のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。
【請求項23】
前記移動体の速度を検出する速度検出ステップと該移動体の速度と速度目標値の偏差を演算して第2の偏差を求める速度偏差演算ステップと前記第1の偏差と該第2の偏差を入力してどちらを選択するか判断する選択判断ステップと選択判断ステップの結果に応じて該第1の偏差と該第2の偏差のいずれかを選択して第3の偏差を設定する偏差選択ステップと、該第3の偏差がほぼ0になるように前記周波数指令を設定する第2の周波数設定ステップを有することを特徴とする請求項13〜請求項16のいずれか、又は、請求項18〜請求項21のいずれかに記載の振動波アクチュエータの駆動装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−131117(P2009−131117A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306048(P2007−306048)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】