説明

振動触覚ハプティック効果を発生させるための共振装置を制御するためのシステムおよび方法

【課題】共振装置を制御するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】アクチュエータを制動するための1つの方法は、アクチュエータを駆動するように構成された第1アクチュエータ信号であって、アクチュエータとほぼ共振する第1周波数を有する第1アクチュエータ信号を生成し、第1アクチュエータ信号をアクチュエータに伝送することを含む。該方法はまた、第1周波数とは約180度位相がずれた第2周波数を有する第2アクチュエータ信号であって、アクチュエータに対する制動力を生じるように構成された第2アクチュエータ信号を生成し、第2アクチュエータ信号をアクチュエータに伝送することをも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「共振装置を制御するシステム及び方法(Systems and Methods for Controlling a Resonant Device)」と称する2004年11月30日に出願した米国特許仮出願第60/631,649号、および「共振装置を制御するシステム及び方法(Systems and Methods for Controlling a Resonant Device)」と称する2004年12月8日に出願した米国特許仮出願第60/634,212号から優先権を主張し、両方の内容全体を参照によって本書に援用する。
【0002】
技術分野
本発明は、一般的にハプティックフィードバック装置の制御に関する。本発明はさらに詳しくは、共振装置を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
背景
電子装置製造者は、ユーザ向けの豊富なインタフェースを製造しようと努めている。従来の装置は、ユーザにフィードバックを提供するために視覚的および聴覚的合図を使用している。一部のインタフェース装置では、運動感覚フィードバック(例えば能動的および抵抗性フィードバック)および/または触覚フィードバック(例えば振動、質感、および熱)もユーザに提供され、より一般的には集合的に「ハプティックフィードバック」として知られる。ハプティックフィードバックは、ユーザインタフェースを増強しかつ簡素化するキューを提供することができる。特に、振動効果または振動触覚ハプティック効果は、合図を提供して、特定の事象についてユーザの注意を喚起する合図を電子装置のユーザに提供するのに、あるいはシミュレーションまたは仮想環境内でより大きい感覚的没入を生み出すために現実的なフィードバックを提供するのに、有用であり得る。
【0004】
例えば、携帯電話機は一般的に、着信電話呼を知らせる聴覚的および視覚的合図を装備している。視覚的合図は通常、点滅灯を含む。聴覚的合図は通常、一連のトーン、合成音楽、または最近ではデジタル録音された音楽を含む。しかし、場合によっては、そのような視覚的および聴覚的合図は、携帯電話機のユーザには有用でないかもしれない。例えば映画館内のユーザは一般的に電話機の可聴リンガを無音にし、また電話機をポケットに入れ、視覚的合図を見ることはできない。そのような場合、振動触覚ハプティック効果が望ましい。
【0005】
さらに、高度に設定可能かつ特徴的な振動触覚ハプティック効果が望ましい場合がある。例えば携帯電話機は一般的に、特定の番号からの着信電話呼を識別するために、ユーザが特定のトーンまたはメロディをユーザに割り当てることができる。ユーザは、異なる友人、職場用、および家族用に異なる着信音を持ち得る。聴覚的合図のそのような差別化により、ユーザは、着信電話呼があることだけでなく、その呼が誰から発信されたかをも即座に認識することができる。しかし、上述の通り、多くの状況において、そのような差別化は標準的な携帯電話機では不可能である。そのような電話機は一般的に、着信電話呼を知らせる1連の単純化された振動を持つだけであり、差別可能な振動触覚ハプティック効果を効率的かつ効果的に生成するための機構を持たない。
【0006】
概要
本発明は、共振装置を制御するためのシステムおよび方法を提供する。本発明の1つの実施形態は、アクチュエータとほぼ共振する第1周波数を有する第1アクチュエータ信号を生成することを含む、アクチュエータを制動するための方法を提供する。第1アクチュエータ信号は、アクチュエータを駆動するように構成される。該方法はさらに、第1アクチュエータ信号をアクチュエータに伝送することを含む。該方法は次に、第1周波数とは約180度位相のずれた第2周波数を有する第2アクチュエータ信号を生成するためのステップを含む。第2アクチュエータ信号は、アクチュエータに対する制動力を生じるように構成される。該方法はさらに、第2アクチュエータ信号をアクチュエータに伝送することを含む。別の実施形態では、コンピュータ可読媒体がそのような方法を実行するためのコードを含む。
【0007】
これらの例示的実施形態は、本発明を限定または定義するためではなく、その理解を助けるために実施例を提供するために掲げるものである。例示的実施形態について、詳細な説明の部で論じ、そこに本発明のさらなる詳細を提示する。本発明の様々な実施形態によって提示される利点は、本明細書を検討することによって、より深く理解することができる。
【0008】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面に照らして読んだときに、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の共振装置を制御するためのシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態のアクチュエータを制動するための方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態の信号発生器の構成部品を示すブロック図である。
【図4】振動触覚ハプティック効果エンベロープを使用してシミュレートした低周波、および本発明の一実施形態で振動触覚ハプティック効果エンベロープより高い周波数を持つ共振アクチュエータを表わす2つのグラフを示す。
【図5】本発明の一実施形態における信号発生器の回路図である。
【図6】共振アクチュエータを駆動する信号の反転を示すグラフ、および該信号によって駆動される第1共振アクチュエータの運動と、本発明の一実施形態で制動することなく静止状態に戻ることのできる第2共振アクチュエータの運動との間の比較を示すグラフを示す。
【0010】
詳細な説明
本発明の実施形態は、共振装置を制御するためのシステムおよび方法を提供する。
【0011】
共振装置の例示的制御
本発明の一実施形態では、携帯電話機は振動を発生するための共振システムを有する。共振システムは共振アクチュエータを備え、アクチュエータを作動および制動するために共振システムに信号を送るプロセッサによって制御される。例えば携帯電話機が着信呼を検出すると、それは駆動信号を生成してアクチュエータをその共振周波数で駆動して振動を発生させ、それによって携帯電話機のユーザに着信呼を知らせる。次いで、振動を停止するために、携帯電話機は、共振周波数で位相が駆動信号とは約180度ずれた制動信号を生成して、アクチュエータを制動し、振動を停止させる。
【0012】
アクチュエータを順に作動および制動することにより、携帯電話機は多種多様な振動触覚ハプティック効果を発生することができる。例えば着信呼は、3回の短く強い振動を高速で連続して発生することができる。携帯電話機はまた、振動触覚ハプティック効果が着信音の低周波つまり低音部と一致するように、着信音と同期した振動触覚効果を発生することもできる。振動触覚ハプティック効果は、ユーザが振動を通して着信音の低音部を感じることができるように、着信音と同調して再生することができる。
【0013】
この実施例は、本書で論じる一般的に主題を読者に紹介するために掲げるものである。本発明はこの実施例に限定されない。以下の節では、共振装置を制御するためのシステムおよび方法の様々な実施形態について説明する。
【0014】
共振装置の制御
本書に提示する本発明の実施形態は、アクチュエータの運動がもはや望ましくなくなると、迅速に共振アクチュエータを減速するために使用される。反転駆動信号(駆動信号とは約180度位相のずれた信号)をアクチュエータに印加することにより、アクチュエータは振動質量の運動に抵抗し、介在の無い場合より速く振動を停止させる。アクチュエータを能動的に制動することにより、本発明は、アクチュエータを介在無しに単に静止状態に戻させるだけである場合に可能であるよりずっと「明確」に感じる振動パターンを生成することができる。したがって、能動的制動は、知覚可能なハプティック帯域幅を顕著に増大する。
【0015】
例えば、本発明の一実施形態における共振アクチュエータ駆動型ハンドヘルド装置の振動軌跡により増強された音楽の可聴部は、スネアドラムの連打を増強するために必要な高速パルスをよりうまく生成することができる。テンポの速いピアノソロの振動軌跡もまた、変化する強度の持続する振動というよりむしろ区別できる楽音のように感じる。幾つかのジャンルの多くの音楽的フラリッシュは、本書に記載する発明の様々な実施形態を用いて生成することのできる、高度のアクチュエータ制御を必要とする韻律で発生する。したがって、本発明の実施形態の利点は、より魅力的で心地よいハプティック効果を生成するために、アクチュエータの制動を用いて、振動するアクチュエータを迅速に停止することである。
【0016】
今、図面を参照すると、幾つかの図を通して類似の番号は類似の要素を指している。図1は、本発明の一実施形態でアクチュエータを制動するためのシステム100を示すブロック図である。システム100は信号発生器101を備える。以下をはじめ、それらに限らず、信号発生器101として使用することのできる多くの種類の信号発生器がある。
【0017】
デジタル/アナログ(D/A)変換、
(a)高いサンプリングレートを持つもの、または
(b)低いサンプリングレートおよびフィルタリング機能付きのもの、
フィルタリング機能付きパルス幅変調(「PWM」)、
アナログ発振器、
振幅制御および反転入力/出力(「I/O」)線を持つPWM、および
調整可能な周波数を持つPWM。
【0018】
D/A変換器は、共振装置を装置の共振周波数で駆動するために使用することができる。基本駆動信号は、装置の略共振周波数の正弦波とすることができる。D/A変換器の利用可能なサンプリングレートが、平滑な正弦波を確実にするのに充分高くない場合、オーディオノイズを低減するために、受動フィルタリングを使用して駆動信号を平滑化することができる。
【0019】
一部の共振装置は、方形波信号で駆動される場合に著しいオーディオノイズを発生する。ノイズを低減するために、あまり高くない周波数成分を有する正弦波信号を使用することができる。他の共振装置はあまりオーディオノイズを発生せず、方形波信号によって駆動することができる。これらの装置の場合、駆動信号は共振方形波とすることができるので、信号発生器を簡素化することができる。
【0020】
一部の実施形態では、帯域通過フィルタを用いて、所望の周波数の方形波の成分を抽出することが有利であるかもしれない。そのような実施形態では、方形波信号と略同一周波数の正弦波を抽出することが有利であるかもしれない。フィルタは、サンプリング周波数の問題および量子化の問題を回避するために、受動または能動部品により物理的に実現することができる。ソフトウェアでの同一正弦波信号の生成は、より高い出力分解能のみならず、より高いサンプリング周波数をも必要とする場合がある。
【0021】
他の実施形態では、双方向PWM信号を使用して共振装置を駆動することができる。共振装置を駆動する信号の振幅は、共振周波数で駆動しながらPWM信号の「オン」時間を制御することによって、変調することができる。必要ならば、フィルタリングを使用して、この信号の方形性を平滑化することもできる。
【0022】
駆動信号を生成するための代替的方法は、アナログ発振器を使用するものであり、ここで発振器は略共振周波数に設定することができる。駆動信号の振幅は、利用可能なD/A変換器および増幅器により制御することができる。
【0023】
本発明の一実施形態では、振幅制御およびI/O反転線を持つPWMを使用する回路を使用してPWM信号を生成し、共振アクチュエータを駆動し、信号の振幅を制御することができる。PWM信号は共振アクチュエータの共振周波数に設定される。そのような実施形態では、振幅制御は増幅器に接続された第2PWMにより達成され、第2PWMは変調信号を生成し、変調信号のパルス幅を変化させることにより、第1および第2アクチュエータ信号の振幅を制御する。
【0024】
上述した実施形態では、I/O反転線は、反転信号を伝送することにより、信号の反転を制御するために使用される。例えば反転信号がローのとき、PWM信号は共振アクチュエータに渡される。反転信号がハイのとき、スイッチで共振アクチュエータのリードを逆転して、PWM信号を効果的に反転させることができる。他の実施形態では、信号は、異なる信号源に切り替えること、または論理ゲートを用いて駆動信号を反転することをはじめ、それらに限定されず、他の方法によって反転させることができる。このようにして、共振アクチュエータを制動するために、1つの外部制御線を使用してPWM信号を適切な時間に反転させることができる。
【0025】
一実施形態では、レベルシフトして双方向信号を生成することのできる単一のPWM信号のみを利用することができる。そのような実施形態では、振幅は部分的に、デューティサイクルを変動することによって制御される。フル振幅は、PWM信号が共振アクチュエータの共振周波数に設定されたときに達成され、50%デューティサイクルのPWM信号を生成する。共振アクチュエータの帯域通過性のため、50%デューティサイクルとは異なる信号では、結果的に低振幅の振動が発生する。振動の振幅制御もまた、PWM駆動周波数を変動することによって達成することができる。
【0026】
上述した実施形態における振幅変調技術は、PWM信号を共振アクチュエータに伝送する前に、帯域通過フィルタにPWM信号を通過させる必要があるかもしれない。帯域通過フィルタは個別の構成部品により作成することができ、共振装置が共振周波数と一致する駆動信号を有することを確実にするのに役立つ。駆動信号の振幅は、上述の通り、PWMの変形を通して制御することができる。
【0027】
一実施形態では、信号発生器101は単数または複数のプロセッサを備えることができる(図示せず)。プロセッサは、プロセッサに結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)のようなコンピュータ可読媒体を備える。プロセッサは、振動触覚ハプティック効果を発生させるために1つまたはそれ以上のコンピュータプログラムを実行するなど、メモリに格納されたコンピュータ実行可能なプログラム命令を実行する。そのようなプロセッサは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および状態機械を含むことができる。そのようなプロセッサはさらに、PLCのようなプログラム可能な電子装置、プログラム可能な割込みコントローラ(PIC)、プログラム可能な論理デバイス(PLD)、プログラム可能な読出し専用メモリ(PROM)、電子的にプログラム可能な読出し専用メモリ(EPROMまたはEEPROM)、または他の同様のデバイスを含む。
【0028】
そのようなプロセッサは、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサによって実行され、あるいはそれによって支援される通り、本書に記載するステップをプロセッサに実行させることのできる命令を格納することのできる媒体、例えばコンピュータ可読媒体を備えることができ、あるいはそれと通信することができる。コンピュータ可読媒体の実施形態は、ウェブサーバのプロセッサのようなプロセッサにコンピュータ可読命令を提供することのできる、電子的、光学的、磁気的、または他の格納装置または伝送装置を含むことができるが、それらに限定されない。媒体の他の例は、フロッピディスク、CD−ROM、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、構成プロセッサ、全ての光学媒体、全ての磁気テープ、もしくは他の磁気媒体、またはコンピュータプロセッサがそこから読み出すことのできるいずれかの他の媒体を含むが、それらに限定されない。また、様々な他の形のコンピュータ可読媒体が、ルータ、専用網もしくは公衆網、または他の伝送装置もしくはチャネルのようなコンピュータに命令を伝送または搬送することができる。記載のプロセッサおよびプロセシングは、1つまたはそれ以上の構造を取ることができ、1つまたはそれ以上の構造に分散させることができる。プロセッサは、本書に記載する1つまたはそれ以上の方法(または方法の一部分)を実行するためのコードを備えることができる。
【0029】
依然として図1を参照して、アクチュエータを制動するためのシステム100はさらに、共振アクチュエータ102を備える。一実施形態では、共振アクチュエータ102は、振動することのできる質量を備えることができる。質量の振動を発生させるための1つの方法は、発振を振動として感じることができるように、共振周波数で質量を発振させるものである。
【0030】
共振周波数はシステムの発振の固有周波数である。共振システムに合成波形が印加されると、共振システムは最初に合成波形に基づいて運動するが、入力波形が停止すると、共振システムはその運動を共振周波数に安定させる傾向がある。システムの共振周波数でシステムに印加されるエネルギは結果的に、他の入力周波数より大きい振幅の共振を引き起こす。振動を発生させる際に、共振システムをその固有周波数で駆動してその利得を利用することは有利であるかもしれない。
【0031】
振動が可能な様々なシステムは共振アクチュエータを含む。一般的な種類の共振アクチュエータは、リニア共振アクチュエータを含む。本発明の実施形態では、音声および振動の両方を生成することのできる多機能共振アクチュエータをはじめ、それに限らず、他の種類の共振アクチュエータも使用することができる。本発明の実施形態は、信号によって駆動することのできる適切なサイズの任意の種類の共振アクチュエータを使用することができる。
【0032】
共振システムのさらなる特徴は、本書で減衰時間と呼ぶ、システムが静止状態に戻るのに要する時間である。そのような減衰時間は、振動触覚ハプティック効果を発生する共振アクチュエータの能力に対する制限要因である。振動触覚ハプティック効果を、共振システムが妨害無く減衰するより速く停止しなければならない場合、該効果は生成することができないかもしれず、あるいは共振システムの減衰時間のため、該効果をアクチュエータによって正確に発生させることができないかもしれない。本発明の実施形態を実現することにより、アクチュエータが制動力無しで減速するより速いレートで減速されるように、アクチュエータに対する制動力を発生することが可能になる。制動速度が高くなると、より短く、より明確な振動触覚ハプティック効果を発生させることが可能になる。また、効果の間でアクチュエータを制動させるのに必要な時間を非常に短くして、複数の振動触覚ハプティック効果を発生させることも可能になる。
【0033】
信号発生器101は共振アクチュエータ102と連絡している。信号を伝送するように構成された任意の種類の通信リンクを使用することができ、それは回路;ネットワーク;802.11ワイヤレスイーサネット(登録商標)、無線周波数送受信、もしくはブルートゥースを含むがそれらに限定されないワイヤレス通信リンク;システムバス;USB;またはファイヤワイヤを含むが、それらに限定されない。
【0034】
信号発生器101は、第1および第2アクチュエータ信号を生成し、かつ第1および第2アクチュエータ信号を共振アクチュエータ102に伝送するように構成される。第1アクチュエータ信号は、共振アクチュエータ102の共振周波数と略同等の周波数を有し、アクチュエータ102を駆動するように構成される。第2アクチュエータ信号は、第1アクチュエータ信号のおおよその周波数および第1アクチュエータ信号とは約180度ずれた位相を有する。第2アクチュエータ信号は、アクチュエータ102に対する制動力を生じるように構成される。
【0035】
図1に示す実施形態では、ハウジング103は、アクチュエータを制動するためのシステム100と、プロセッサ104と、ディスプレイ105と、キーパッド106とを備える。ハウジング103は、例えば携帯電話機、携帯情報端末、または他の電子装置のハウジングとすることができる。図1の実施形態にはディスプレイ105およびキーパッド106が図示されているが、他の実施形態はディスプレイまたはキーパッドを含まなくてもよい。動作中に、携帯電話機103は振動触覚ハプティック効果を発生する必要があるかもしれない。プロセッサ104は信号発生器101にコマンドを送ることができる。一実施形態では、コマンドは振動触覚ハプティック効果エンベロープを含むことができる。他の実施形態では、コマンドは第1アクチュエータ信号を生成させるコマンドを含むことができる。さらに他の実施形態では、コマンドは第2アクチュエータ信号を生成させるコマンドを含むことができる。ここに列挙しないさらに他のコマンドを信号発生器に伝送することができる。プロセッサ104はディスプレイ105にコマンドを送ることもできる。コマンドを受け取ると、信号発生器101は第1および第2アクチュエータ信号を生成し、これらの信号を共振アクチュエータ102に伝送して振動触覚ハプティック効果を発生させることができる。
【0036】
本発明の一実施形態では、第1アクチュエータ信号は変調振幅を含み、第2アクチュエータ信号は、信号発生器101が生成することのできる略最大振幅で伝送される信号を含む。第1信号の変調振幅は、共振アクチュエータの加速に対する制御を可能にする。略最大振幅の第2アクチュエータ信号を使用すると、アクチュエータに対する略最大制動力が発生する。最大振幅は、アクチュエータの最大定格電圧を使用して信号を生成することによって発生する。そのような実施形態におけるアクチュエータの減速は、第2アクチュエータ信号がアクチュエータに伝送される持続時間によって調整することができる。この実施形態は、第1アクチュエータ信号の変調振幅および第2アクチュエータ信号の持続時間を使用してアクチュエータの加速を制御し、振動触覚ハプティック効果エンベロープの輪郭に密接に追従することができるように、振動触覚ハプティック効果エンベロープに関連して有利に使用することができる。
【0037】
前の実施形態と同様の別の実施形態では、第2アクチュエータ信号は代わりに変調振幅を持つことができ、それによりアクチュエータに対する制動力は、第2アクチュエータ信号の振幅を変動させることによって調整することができる。この実施形態は、前の実施例と同様に、第1アクチュエータ信号の変調振幅および第2アクチュエータ信号の振幅を使用してアクチュエータの加速を制御し、振動触覚ハプティック効果エンベロープの輪郭に密接に追従するように、振動触覚ハプティック効果エンベロープに関連して有利に使用することができる。振動触覚ハプティック効果エンベロープについては、以下の図4の説明でさらに詳述する。
【0038】
一実施形態では、第1および第2アクチュエータ信号の振幅の変調は、変調器を用いることによって達成することができる。そのような変調器は、第1および第2アクチュエータ信号を受け取り、信号発生器によって生成される変調信号に少なくとも部分的に基づいて第1および第2アクチュエータ信号を変調するように構成される。
【0039】
以上の実施例は例証であって、本発明の広さまたは範囲を限定するように意図されたものではない。実施形態は携帯電話機に限らず、携帯情報端末(PDA);ポータブルゲームシステムおよびコントローラを含むハンドヘルドゲーム装置;飛行シミュレータ、運転シミュレータ、医療手技シミュレータをはじめ、それらに限定されない仮想現実シミュレータ;またはリモートコントロール装置をはじめ、それらに限定されない他の装置が本発明を有利に使用することができる。さらに他の実施形態は、本発明のシステムおよび方法が組み込まれたドータボードまたはASICを含むことができる。
【0040】
さらに、アクチュエータの共振周波数より低い周波数の略周期的パルス、振幅掃引(マグスイープ)、出力信号の振幅を約0から最大振幅まで略線形的に増大させ、次いで約0まで略線形的に減少させる効果、または振動触覚ハプティックフィードバックをユーザに提供することのできるいずれかの他の振動触覚ハプティック効果をはじめ、それらに限らず、多種多様の振動触覚効果を発生することのできる多くの別の実施形態がある。
【0041】
図2は、本発明の一実施形態でアクチュエータを制動するための方法200を示すフローチャートである。該方法をここでは、図1のシステムに関連して説明する。しかし、該方法は、図1に示す以外の様々なシステムに実現することができる。該方法200はブロック201で開始され、ブロック206で終了する。図2に示す実施形態では、アクチュエータを制動するためのシステム100は、第1アクチュエータ信号202を生成する。第1アクチュエータ信号は、アクチュエータ102との略共振周波数を有し、アクチュエータ102を駆動するように構成される。他の実施形態では、アクチュエータを制動するためのシステム100は、プロセッサ104からコマンドを受け取り、効果を発生させる。一実施形態では、そのようなコマンドは単純であり、振幅のみを指定することができる。他の実施形態では、そのようなコマンドは複雑であり、振動触覚ハプティック効果エンベロープを指定し、アクチュエータを制動するためのシステム100に、発生させる1つまたはそれ以上の振動触覚ハプティック効果の適切な振幅および持続時間を決定させることができる。触覚ハプティック効果エンベロープのより詳細な説明は、図4に関連して記載する。さらに他の実施形態では、プロセッサ104は、フル効果エンベロープほど複雑ではないが、単なる振幅よりは複雑であるコマンドを指定することができる。また、他の実施形態は、アクチュエータを制動するためのシステム100によって行なわれた決定に基づいて、振動触覚ハプティック効果を発生させることができる。
【0042】
ひとたび第1アクチュエータ信号が発生すると202、アクチュエータを制動するためのシステム100は、第1アクチュエータ信号をアクチュエータ102に伝送する203。図示した実施形態では、第1アクチュエータ信号はアクチュエータ102に直接伝送される。他の実施形態では、信号はアクチュエータ102に到達する前に、他の構成部品またはシステムを通過することができる。例えば信号はフィルタを通過することができる。別の実施形態では、信号は増幅器または論理ゲートを通過することができる。さらなる実施形態では、第1アクチュエータ信号は、別の信号または複数の他の信号と合成することができる。さらなる他の実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0043】
図示した実施形態では、信号発生器101は第2アクチュエータ信号204をも生成する。一部の実施形態では、信号発生器101は、第2アクチュエータ信号を生成する前に、第1アクチュエータ信号を生成することができる。他の実施形態では、2つの信号は同時に発生することができる。さらなる実施形態では、第2アクチュエータ信号は、第1アクチュエータ信号が発生する前に発生することができる。
【0044】
第2アクチュエータ信号は、第1アクチュエータ信号のおおよその周波数および第1アクチュエータ信号とは約180度ずれた位相を有する。第2アクチュエータ信号は、アクチュエータ102に対する制動力を生じるように構成される。一部の実施形態では、アクチュエータを制動するためのシステム100に第2アクチュエータ信号を生成するように、別のプロセッサまたはシステムによって命令することもできる。例えばプロセッサ104は、第1アクチュエータ信号を生成させるコマンドを信号発生器101に伝送し、信号発生器101に第1アクチュエータ信号を生成させることができる。他の実施形態では、アクチュエータを制動するためのシステム100は、別のプロセッサまたはシステムからコマンドを受け取ることなく、第2アクチュエータ信号を生成することができる。アクチュエータを制動するためのシステム100が第2アクチュエータ信号を生成するように命令される実施形態では、コマンドは、例えば振幅のみを含む、非常に単純なものにすることができる。上述の実施例を続けると、プロセッサ104は、信号発生器101に第1アクチュエータ信号を生成するように命令した後、信号発生器101に第2アクチュエータ信号を生成するように命令して、信号発生器に第2アクチュエータ信号を生成させることができる。他の実施形態では、コマンドは、例えば効果エンベロープを含む、複雑なものにすることができる。さらに他の実施形態では、コマンドは、振幅より複雑であるが、効果エンベロープほどは複雑でないものにすることができる。
【0045】
アクチュエータを制動するためのシステム100がコマンドを受け取ることなく、第2アクチュエータ信号を生成する実施形態では、第2アクチュエータ信号を生成する決定は、振動触覚ハプティック効果の持続時間に少なくとも部分的に基づくことができる。他の実施形態では、決定は、振動触覚ハプティック効果の振幅に少なくとも部分的に基づくことができる。例えば一実施形態では、アクチュエータを制動するためのシステム100は、アクチュエータ102によって発生する振動触覚ハプティック効果の比較的小さい振幅に基づいて最大振幅より小さい振幅を有する第2アクチュエータ信号を生成するように決定することができる。さらに他の実施形態では、決定は、効果エンベロープに少なくとも部分的に基づくことができる。例えば一実施形態では、効果エンベロープは、振動の最大振幅から振動の中間振幅への変化を指定することができる。そのような実施形態では、アクチュエータを制動するためのシステム100は、比較的小さい振幅を有する第2アクチュエータ信号を生成して、アクチュエータに対し比較的小さい制動力を生じることができる。
【0046】
第2アクチュエータ信号204を生成した後、アクチュエータを制動するためのシステム100は第2アクチュエータ信号をアクチュエータ205に伝送する。図示した実施形態では、第2アクチュエータ信号はアクチュエータ102に直接伝送される。他の実施形態では、信号は、アクチュエータ102に到達する前に、他の構成部品またはシステムを通過することができる。例えば信号はフィルタを通過することができる。別の実施形態では、信号は増幅器または論理ゲートを通過することができる。さらに他の実施形態では、第2アクチュエータ信号は別の信号または複数の他の信号と合成することができる。さらなる他の実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0047】
図3は、本発明の一実施形態の信号発生器300の構成部品を示すブロック図である。図3に示す信号発生器300の実施形態は、矩形波発生器301と、信号反転器302と、フィルタ303と、増幅器304とを備える。信号発生器301は、アクチュエータ305の共振周波数に略同等の周波数を有する第1矩形波を生成するように構成される。
【0048】
信号反転器302は、第1矩形波と略同一周波数、および第1矩形波とは約180度ずれた位相を有する第2矩形波を生成するように構成される。信号反転器302はさらに、使用可能または使用不能のいずれかに設定される。信号反転器302が使用不能状態になると、信号反転器は第2矩形波を生成せず、第1矩形波だけがフィルタ303に伝送される。一部の実施形態では、第1矩形波は反転されずに信号反転器302を通過する。他の実施形態では、第1矩形波は信号反転器302を迂回し、フィルタ303に直接伝送される。信号反転器302が作動すると、それは第2矩形波を生成し、第2矩形波だけがフィルタ303に伝送される。
【0049】
一実施形態では、信号反転器302は、第1矩形波および論理状態を受け取りかつ第2矩形波を出力するように構成された排他的ORゲート(「XORゲート」)を備える。論理状態は0または1の値を持つことができる。論理状態の値はさらに、ローまたはハイと記述することもできる。一部の実施形態では、ロー値は0の値に対応し、ハイ値は1の値に対応する。他の実施形態では、ロー値は1の値に対応し、ハイ値は0の値に対応する。本実施形態では、XORゲートは第1矩形波および論理状態を受け取る。論理状態が0である場合、XORゲートは、第1矩形波と略同一周波数、および第1矩形波と略同一位相を有する第2矩形波を生成する。信号反転器302は次いで第2矩形波をフィルタ303に伝送する。論理状態が1である場合、XORゲートは、第1矩形波と略同一周波数、および第1矩形波とは約180度ずれた位相を有する第2矩形波を生成する。信号反転器302は次いで第2矩形波をフィルタ303に伝送する。本発明の一部の実施形態は、フィルタを含まない。そのような実施形態では、信号反転器302は第2矩形波を増幅器304に伝送することができる。他のそのような実施形態では、信号反転器302は第2矩形波を信号発生器300の別の構成部品に伝送することができる。
【0050】
フィルタ303は信号反転器302と連絡しており、フィルタ303は、矩形波を矩形波と略同一の周波数および位相の略正弦波に変換するように構成される。フィルタ303は、プロセッサ、D/A変換器、または電子回路をはじめ、それらに限らず、多種多様な構成部品を使用して作成することができる。
【0051】
信号発生器300の増幅器304は、少なくとも部分的にフィルタ303の出力に基づいて増幅信号を生成するように構成され、かつさらに共振アクチュエータ305を駆動するように構成される。一部の実施形態では、増幅器304は演算増幅器を含むことができる。さらなる実施形態では、増幅器304はプロセッサを含むことができる。さらに他の実施形態では、増幅器304は電子回路を含むことができる。当業者は、少なくとも部分的にフィルタの出力に基づいて増幅信号を生成するように構成され、かつさらにアクチュエータ305を駆動するように構成された、本書に記載しない実施形態に精通するようになるであろう。
【0052】
アクチュエータを駆動するために略正弦波を生成することのできる信号発生器が容易に入手できない場合に、図3に示すような実施形態を使用すると有利であるかもしれない。略正弦波を生成することのできる信号発生器を利用できない一部の実施形態では、他の構成部品を利用して矩形波を生成することができ、次いで、例えば帯域通過フィルタを使用して、それを略正弦波に変換することができる。例えば携帯電話機は、矩形波を生成することができるが、略正弦波を生成できないかもしれない。抵抗器およびコンデンサを備えた比較的単純な帯域通過フィルタを追加することにより、矩形波を略正弦波に変換することができ、それを次に増幅器に通過させて、アクチュエータを駆動するように構成されたアクチュエータ信号を生成するか、あるいはアクチュエータに対する制動力を生成することができる。
【0053】
本発明のさらなる実施形態は、フィルタ303を含まなくてもよい。例えば共振アクチュエータ305が矩形波を用いて駆動することができ、あるいはフィルタを通さない信号の方が共振アクチュエータ305を駆動するのに適している一部の実施形態では、フィルタを使用しなくてもよい。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態の振動触覚ハプティック効果エンベロープ(「エンベロープ」)およびエンベロープより高い周波数を持つ共振アクチュエータを使用した低周波のシミュレーションを表わす2つのグラフ400、401を示す。共振装置は、システムの特性に従って狭帯域の周波数で動作するように設計される。これは、この技術をユーザの視点から実施可能にするために必要な出力応答の著しい増幅をもたらす。
【0055】
しかし、システムを常時共振駆動することは、装置で表示することのできる振動触覚ハプティック効果のダイナミックレンジを制限する。したがって、特定のアクチュエータ共振周波数を所望の振動触覚ハプティック効果の範囲に変換するエンベロープが望ましいかもしれない。エンベロープは、所望の振動触覚ハプティック効果の周波数のみならず、それらの波形をも考慮に入れることができる。
【0056】
一実施形態では、振動触覚ハプティック効果は、自動車のエンジンの振動をシミュレートするように構成された振動を含むことができる。エンジン速度エンベロープは、アイドル速度でエンジンをシミュレートするように、低周波低振幅エンベロープを含むことができる。エンジン速度エンベロープはさらに、高RPMで動作するエンジンをシミュレートするように、高周波高振幅エンベロープを含むことができる。エンジン速度エンベロープはさらに、エンベロープの周波数および振幅が増大する加速をシミュレートするエンベロープ、あるいはエンベロープの周波数および振幅が減少する減速をシミュレートするエンベロープをはじめ、それらに限らず、他のエンベロープを含むことができる。
【0057】
エンベロープはアクチュエータの共振周波数を変化させない。代わりに、アクチュエータを共振駆動する信号の振幅を周期的に変動させることによって、共振周波数より低い周波数をシミュレートすることができる。さらに、アクチュエータを共振駆動する信号の最大振幅を変動させることによって、エンベロープの振幅を変動させることができる。例えばグラフ400は、共振アクチュエータの共振周波数より低い周波数を有する略正弦波のエンベロープ402を示す。グラフ401は、アクチュエータの振動の振幅がエンベロープ402に追従するように変調されるときの、共振アクチュエータの振動を示す。エンベロープ402は変動振幅の波を表わしており、それは次いで、グラフ401に示すように、アクチュエータの振動の振幅を変動することによって生成される。
【0058】
グラフ401は、低振幅からより高い振幅に急激に増大しかつ低振幅に戻る、アクチュエータ応答の振幅を示す。アクチュエータの運動がハプティックエンベロープに追従するように、アクチュエータの運動を発生させるために、第1および第2アクチュエータ信号を使用して、アクチュエータを駆動および制動することができる。図示した実施形態では、第1アクチュエータ信号は、少なくとも部分的に振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく振幅または持続時間を含み、第2アクチュエータ信号は少なくとも部分的に振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく振幅または持続時間を含む。第1アクチュエータ信号はアクチュエータを共振駆動し、それによりアクチュエータを加速させる。第1信号の振幅または持続時間は、アクチュエータの振動がハプティックエンベロープに追従するように、アクチュエータの加速または定常運動を制御するために使用することができる。第2アクチュエータ信号はアクチュエータを制動し、それによりアクチュエータをハプティックエンベロープに追従するように減速させる。第2信号の振幅または持続時間は、アクチュエータの振動がハプティックエンベロープに追従するように、アクチュエータの減速を制御するために使用することができる。制動信号およびアクチュエータに対するその効果のより詳細な説明は、以下で図6に関連して取り上げる。
【0059】
図示した実施形態では、第1および第2アクチュエータ信号は順次アクチュエータに伝送され、ハプティックエンベロープに密接に追従するアクチュエータ応答を生成する。したがって、アクチュエータの共振振動の振幅を変動することにより、広範囲の振幅を有するアクチュエータの共振周波数より低い周波数を生成することができる。上述の実施例は本発明の実施例のさらなる利点を示し、それは、制動時間の減少のみならず、適切な制動信号をアクチュエータに印加することにより、エンベロープによって表わされる所望の振動触覚ハプティック効果の形状に非常に密接に追従するアクチュエータ応答を生成する能力が増大することでもある。
【0060】
上述の通り、エンベロープは、アクチュエータによって発生する振動触覚ハプティック効果の「形状」または「感覚」を定義する関数である。エンベロープは、多種多様な振動触覚効果を記述することができる。例えば、上述の通り、1つの実施形態は、共振アクチュエータの共振周波数より低い周波数を有する略周期的信号を含むことができる。他の実施形態は、一定のおよび/または変化する振幅および/または周波数を有する振動触覚効果を記述する非周期的または任意のエンベロープを含むことができる。
【0061】
図5は、本発明の一実施形態の信号発生器の回路図500である。図5に示す駆動回路は、低コスト無フィルタ高効率(約1.1〜1.3ワット)の音声増幅器512に基づく。増幅器512は、実現コストを最小化するために、バッテリ電圧514から直接電力を供給することができる。
【0062】
一実施形態では、駆動回路は4つの制御信号、つまりENABLE505、(極性)INVERT504、PWM_FREQ502、およびPWM_MAG503を使用する。
【0063】
ENABLE505信号はアクティブハイである。ローの場合、音声増幅器512は使用不能になる。ハイ状態で、音声増幅器512は使用可能になる。
【0064】
INVERT504信号は、PWM_FREQ502の位相を反転することによってアクチュエータを停止するために使用される。それは通常、0の論理値に設定されるが、運動を停止させる必要のある期間だけ、1の論理値に切り替えられる。それを長く1の論理値に設定したままにすると、逆位相で運動が開始される。INVERT504信号のタイミングは、アクチュエータを制動するためのシステム100によって計算され、適用することができる。他の実施形態では、INVERT504信号のタイミングは、プロセッサによって計算され、適用することができる。
【0065】
PWM_FREQ502信号は、アクチュエータの固有共振周波数に設定することができる。動作中に、PWM_FREQ502デューティサイクルは50%に設定することができる。周波数は、アクチュエータの特定共振周波数に従って設定することができる。アクチュエータの共振周波数は、許容差内に収まることができる。したがって、この許容差が高すぎると、振動のレベルは装置毎に著しく異なることがあり得る。
【0066】
PWM_MAG503信号は、PWM_FREQ502より高いスイッチング周波数に設定される。20KHzの周波数は静音動作を提供することができる。他の実施形態では、他の動作周波数を使用することができる。アクチュエータのリードに印加することのできる電圧のレベルは、PWM_MAG503のデューティサイクルに比例して変動することができる。
【0067】
XORゲート506、507および2.3V RMSを必要とするアクチュエータに1.8ボルトの電源を仮定すると、電圧利得は1であり、デューティサイクルに適合される。例えば75%のデューティサイクルは、モータの最大出力の75%を表わす。電圧利得は、抵抗器508C対508Aおよび抵抗器508D対508Bの整合する比を選択することによって調整される。他の実施形態では、利得が1を超える場合、アクチュエータの仕様を考慮して、最大デューティサイクルは100%未満とすることができる。
【0068】
一実施形態では、回路は固有周波数の高調波をフィルタに通さず、その結果準方形波が生じ、アクチュエータに供給されるエネルギが増大する。そのような実施形態では「振動」利得は、正弦波形であった場合から増大する。
【0069】
XORゲート506、507も同じ1.8V電源から電力を供給されるので、XORゲート506、507の論理レベルは、信号発生器501の1.8ボルト論理レベルと両立する。INVERT504、PWM_FREQ502、およびPWM_MAG503信号はXORゲート506、507を直接駆動する。ENABLE505信号もまた同じ1.8Vの論理レベルである。他の実施形態では、論理レベルは、論理ソースとの両立性を確実にするようにシフトする必要があるかもしれない。
【0070】
XORゲート506は、音声増幅器512bの+入力用の信号を生成する。該信号は方形波であり、INVERT504を1の論理状態に設定することによって反転させることができ、あるいはINVERT504を0の論理状態に設定することによって、変調することなく伝送させることができる。
【0071】
XORゲート507は、音声増幅器512cの−入力用の信号を生成する。これは約20kHzの可変デューティサイクル矩形波である。パルスの極性は、他のXORゲート506の出力に対して反転される。
【0072】
XORゲート506、507によって形成される信号は、増幅器512のために高周波成分を低減するためにフィルタに通される。抵抗器510a、510b、およびコンデンサ511b、511cは、低域通過フィルタを形成する。コンデンサ515は増幅器512の減結合をもたらす。コンデンサ509は増幅器の内部回路に減結合をもたらす。
【0073】
図示した実施形態では、信号発生器501は、パルス幅変調を用いて矩形波PWM_REQ502およびPWM_MAG503を生成する。他の実施形態は、リプルカウンタ、D/A変換器、発振器、ADC、またはプロセッサをはじめ、それらに限らず、他の方法を用いて矩形波を生成することができる。PWM_FREQ502は、アクチュエータの固有共振周波数に設定することができる。動作中、パルス幅変調のデューティサイクルは50%に設定することができる。PWM_MAG503はPWM_FREQ502より高い周波数に設定することができる。20KHzの周波数は、静音動作を提供することができる。他の実施形態では、他の動作周波数を使用することができる。アクチュエータに印加することのできるアクチュエータ信号の振幅は、PWM_MAG503のデューティサイクルに比例して変動することができる。図6は、共振アクチュエータを駆動する信号602の反転を表わすグラフ600、および本発明の一実施形態で信号602によって駆動される第1共振アクチュエータ604の運動と、制動することなく静止状態に戻ることのできる第2共振アクチュエータ605の運動との間の比較を表わすグラフ601を示す。グラフ600は、共振アクチュエータを駆動するように構成された信号602を示す。信号602は、アクチュエータとの略共振周波数を持つ矩形波である。時間が1秒にほぼ等しいときに、信号602は反転する603。信号602の反転603は、結果的に信号602の位相を約180度変化させる一方、反転した信号はアクチュエータの略共振周波数を維持する。
【0074】
グラフ601は、2つの共振アクチュエータの運動を示す。第1アクチュエータの運動604は、信号602により第1アクチュエータを駆動することによって生成される。第2アクチュエータの運動605は、信号602と同様の信号(図示せず)によって生成されるが、第2アクチュエータを駆動する信号は反転せず、むしろそれは単に時間=1秒のときに停止され、共振アクチュエータを静止状態に戻させる。グラフ601で分かるように、第1アクチュエータの運動604および第2アクチュエータの運動605は、第1アクチュエータを駆動する信号602が第2アクチュエータを駆動する信号と非常に類似しているグラフ601の時間=1秒に至るまでの部分では、非常に類似している。
【0075】
時間=1秒のときに、第1アクチュエータを駆動する信号602は反転され603、第2アクチュエータを駆動する信号は停止される。グラフ601で分かるように、第1アクチュエータの運動604は、時間=1.05秒になる前に静止状態まで減少する。一方、第2アクチュエータの運動605は、時間=1.2秒までに停止していない。したがって、第1アクチュエータを駆動する信号602の反転603は結果的に、制動力が加えられない共振アクチュエータに比較して、共振アクチュエータの制動時間をかなり短縮させる。
【0076】
図示する信号602は単に、アクチュエータを駆動および制動するように構成された信号の代表的実施例にすぎない。本発明の他の実施形態は異なる信号を使用して、共振アクチュエータを駆動および制動することができる。例えば信号602は、反転された603後もその全振幅を維持し、アクチュエータを静止させるために要する持続時間だけアクチュエータに印加される。本発明の他の実施形態では、他の信号を使用することができる。例えば本発明の一実施形態では、共振アクチュエータを駆動する信号を反転させることができ、反転した信号はアクチュエータを駆動するために使用された信号より低い振幅を持つことができる。別の実施形態では、反転した信号は、アクチュエータを静止させるために必要な持続時間だけ共振アクチュエータに伝送しなくてもよい。例えば反転した信号は、共振アクチュエータの運動をハプティックエンベロープに一致させるために必要な持続時間だけ共振アクチュエータに伝送することができる。さらに別の実施形態では、反転した信号は、非反転信号より大きい振幅を持つことができる。
【0077】
総合
本発明の好適な実施形態を含む実施形態の上記説明は、単に例証および説明のために提示したものであって、全てを完全に網羅することや、開示した厳密な形態に本発明を限定することを意図したものではない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その多数の変形および応用が当業者には明瞭であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータを制動するための方法であって、
前記アクチュエータとの略共振周波数を有する第1アクチュエータ信号であって、前記アクチュエータを駆動するように構成された第1アクチュエータ信号を生成するステップと、
前記第1アクチュエータ信号を前記アクチュエータに伝送するステップと、
前記第1アクチュエータ信号のおおよその周波数および前記第1アクチュエータ信号とは約180度ずれた位相を有する第2アクチュエータ信号であって、前記アクチュエータに対する制動力を生じるように構成された第2アクチュエータ信号を生成するステップと、
前記第2アクチュエータ信号を前記アクチュエータに伝送するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1アクチュエータ信号が、前記アクチュエータに振動触覚ハプティック効果を発生させるように構成された、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1アクチュエータ信号を生成する前に振動触覚ハプティック効果エンベロープを生成するステップをさらに含み、前記第1アクチュエータ信号が少なくとも部分的に前記振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく変調振幅を含み、前記第2アクチュエータ信号が少なくとも部分的に前記振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく振幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記振動触覚ハプティック効果エンベロープが、前記第1および第2アクチュエータ信号より低い周波数を有する略周期的信号を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1アクチュエータ信号を生成する前に振動触覚ハプティック効果エンベロープを生成するステップをさらに含み、前記第1アクチュエータ信号が少なくとも部分的に前記振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく変調振幅を含み、前記第2アクチュエータ信号が少なくとも部分的に前記振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく持続時間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2アクチュエータ信号が最大振幅を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2アクチュエータ信号の振幅を変調するように構成された変調信号を生成するステップと、
前記第1および第2アクチュエータ信号の振幅が少なくとも部分的に前記変調信号に基づいて変化するように、前記第1および第2アクチュエータ信号を前記変調信号と合成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1アクチュエータ信号を生成するステップが、
前記アクチュエータとの略共振周波数を有する第1矩形波を生成するステップと、
第1矩形波に第1論理状態のデジタル信号との排他的論理和演算を行なうことによって、略同一周波数を有する第2矩形波を生成するステップと、
を含み、
前記第2アクチュエータ信号を生成するステップが、
前記デジタル信号を第2論理状態に変化させるステップと、
前記第1矩形波に第2論理状態の前記デジタル信号との排他的論理和演算を行なうことによって、前記第1アクチュエータ信号のおおよその周波数および前記第1アクチュエータ信号とは約180度ずれた位相を有する第3矩形波を生成するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1アクチュエータ信号を生成するステップが、
前記第2矩形波と略同一周波数の略正弦波を生成するように構成されたフィルタを通して前記第2矩形波を伝送するステップ
をさらに含み、
前記第2アクチュエータ信号を生成するステップが、
前記フィルタを通して前記第3矩形波を伝送するステップ
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1および第2アクチュエータ信号が各々略正弦波を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
アクチュエータと、
前記アクチュエータと連絡している信号発生器と、
を備えた、アクチュエータを制動するためのシステムであって、
前記信号発生器が、
前記アクチュエータとの略共振周波数を有し、前記アクチュエータを駆動するように構成された第1アクチュエータ信号を生成し、
前記第1アクチュエータ信号を前記アクチュエータに伝送し、
前記第1アクチュエータ信号のおおよその周波数および前記第1アクチュエータ信号とは約180度ずれた位相を有し、前記アクチュエータに対して制動力を発生するように構成された第2アクチュエータ信号を生成し、かつ
前記第2アクチュエータ信号を前記アクチュエータに伝送する、
ように構成されて成るシステム。
【請求項12】
前記第1アクチュエータ信号が、振動触覚ハプティック効果を発生するように構成された、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号発生器がさらに、
振動触覚ハプティック効果エンベロープを受け取り、
少なくとも部分的に前記振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく変調振幅を含む前記第1アクチュエータ信号を生成し、
少なくとも部分的に前記振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく振幅を含む前記第2アクチュエータ信号を生成する
ように構成された、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記信号発生器がさらに、
振動触覚ハプティック効果エンベロープを受け取り、
少なくとも部分的に前記振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく振幅を含む前記第1アクチュエータ信号を生成し、
少なくとも部分的に前記振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく持続時間を含む前記第2アクチュエータ信号を生成する
ように構成された、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記振動触覚ハプティック効果エンベロープが、前記第1および第2アクチュエータ信号に関連付けられる周波数より低いエンベロープ周波数を有する略周期的信号を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記アクチュエータがリニア共振アクチュエータを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記アクチュエータおよび前記信号発生器を収容するように構成されたハウジングをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記ハウジングが携帯電話機ハウジングを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ハウジングが携帯情報端末ハウジングを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記信号発生器がプロセッサを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項21】
前記信号発生器が、
前記アクチュエータの共振周波数と略同等の周波数を有する第1矩形波を生成するように構成された矩形波発生器と、
信号反転器であって、
前記第1矩形波と略同一周波数および前記第1矩形波とは約180度ずれた位相を有する第2矩形波を生成し、かつ
使用可能または使用不能な状態にする、
ように構成された信号反転器と、
前記アクチュエータを駆動するように構成された増幅信号を生成するように構成された増幅器と、
を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項22】
前記信号発生器がさらに、
前記信号発生器と連絡しているフィルタであって、矩形波を前記第1矩形波と略同一の周波数および位相の略正弦波に変換するように構成されたフィルタ
をさらに備え、
前記増幅器がさらに、少なくとも部分的に前記フィルタの出力に基づいて前記アクチュエータを駆動するように構成された増幅信号を生成するように構成された、
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1信号発生器がパルス幅変調器を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1信号発生器がリプルカウンタを備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
第1および第2アクチュエータ信号を受け取り、かつ
前記信号発生器によって生成された変調信号に少なくとも部分的に基づいて前記第1および第2アクチュエータ信号を変調する
ように構成された変調器をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項26】
アクチュエータを制動するためのプログラムコードが符号化されたコンピュータ可読媒体であって、前記プログラムコードが、
前記アクチュエータの略共振周波数を有し、前記アクチュエータを駆動するように構成された第1アクチュエータ信号を生成するためのプログラムコードと、
前記第1アクチュエータ信号を前記アクチュエータに伝送するためのプログラムコードと、
前記第1アクチュエータ信号のおおよその周波数および第1アクチュエータ信号とは約180度ずれた位相を有し、前記アクチュエータに対する制動力を生じるように構成された第2アクチュエータ信号を生成するためのプログラムコードと、
前記第2アクチュエータ信号を前記アクチュエータに伝送するためのプログラムコードと、
を備えるコンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記第1アクチュエータ信号が、前記アクチュエータに振動触覚ハプティック効果を発生させるように構成された、請求項26に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項28】
前記第1アクチュエータ信号を生成する前に、振動触覚ハプティック効果エンベロープを生成するためのプログラムコードをさらに含み、前記第1アクチュエータ信号が、少なくとも部分的に振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく振幅を含み、かつ前記第2アクチュエータ信号が少なくとも部分的に前記振動触覚ハプティック効果エンベロープに基づく振幅を含む、請求項26に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記第1アクチュエータ信号を生成するためのプログラムコードが、
前記アクチュエータとの略共振周波数を有する第1矩形波を生成するためのプログラムコードと、
前記第1矩形波に第1論理状態のデジタル信号との排他的論理和を実行することにより、略同一周波数を有する第2矩形波を生成するためのプログラムコードと、
を含み、
前記第2アクチュエータ信号を生成するためのプログラムコードが、
デジタル信号を第2論理状態に変化させるためのプログラムコードと、
前記第1矩形波に第2論理状態のデジタル信号との排他的論理和を実行することにより、前記第1アクチュエータ信号のおおよその周波数および前記第1アクチュエータ信号とは約180度ずれた位相を有する第3矩形波を生成するためのプログラムコードと、
を含む、請求項26に記載のコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−20284(P2012−20284A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−183816(P2011−183816)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【分割の表示】特願2007−543623(P2007−543623)の分割
【原出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(399047149)イマージョン コーポレイション (57)
【Fターム(参考)】