説明

振幅判定値設定方法

【課題】 伝送系における群遅延及び電界強度の低下などによりディジタル映像信号に歪みが生じた場合でも、デコードエラーの発生率を低く抑えることのできる振幅判定値設定方法を提供する。
【解決手段】 所定の期間、入力信号を2値化およびデコードして、デコードデータのエラーの数をカウントすると、振幅判定値に対して、所定のステップ値で終了値に近づくように演算処理を行い、振幅判定値を更新する振幅判定値更新ステップと、開始値から終了値まで所定のステップ値で振幅判定値を変更しながら取得した、振幅判定値を各値とした場合のエラーの数より、エラーの数が最小となる振幅判定値を最適な振幅判定値として選択する振幅判定値選択ステップとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振幅判定値設定方法に関し、特に、映像信号を正しい値に2値化することのできるスライスレベルを算出する振幅判定値設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリアル伝送を用いてデータを伝送する方式として、映像信号の垂直帰線期間に文字放送のデータを伝送する文字放送がある。
【0003】
文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号は、現在、全世界の各地域において伝送されている。文字放送には、文字放送のデータが重畳されている重畳ラインや、伝送クロックの周波数が異なる複数の種類のものがあり、各地域で異なった種類のものが用いられている。
【0004】
文字放送のアナログ映像信号(図11、S140参照)は、水平帰線期間の始まりを示す水平同期信号Aと、カラー再生のためのカラーバースト信号Bと、基準波形であり、信号を2値判定する際に用いるスライスレベルを設定するためのクロック・ラン・イン(以下、CRIと称す)信号Cと、文字放送の種類を示すフレーミングコード信号Dと、伝送する文字放送のデータを含んだテキストデータ信号Eと、を有する信号である。以下、CRI信号Cに基づきスライスレベルの設定を行う期間をCRI検出期間、フレーミングコード信号Dを受信する期間をフレーミングコード期間、テキストデータ信号Eを受信する期間をテキストデータ期間、と称す。
【0005】
また、文字放送シリアルデータのデータ単位は8ビットであり、このうちの1ビットは、デコードエラーの有無を判断するために付加されるパリティビットである。文字放送では、デコードしたデータの各データ単位に「1」が奇数ビット含まれるか否かに基づいてデコードエラーの有無の判定を行う方式を採用しているので、各8ビットのうち奇数ビットが「1」となるデータを伝送している。このため、実際のデータが「1」を偶数ビットしか含まない場合は、パリティビットを「1」とすることにより、各データ単位の奇数ビットが「1」となるようにしている。
【0006】
このようなアナログ映像信号に重畳された文字を表示する際には、まず、受信したアナログ映像信号をデータスライス装置により2値化し、伝送クロックで文字放送のデータを抜き取ることにより、文字放送シリアルデータを抽出している。
【0007】
以下、図10を参照しながら、従来のデータスライス装置の構成および動作について説明する。
図10に示すように、従来のデータスライス装置500は、映像信号入力端子110を介して入力される、文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号S110を、ディジタル映像信号S120に変換するA/D変換器120と、ディジタル映像信号S120に基づいて、CRI検出期間であることを示すCRI検出範囲信号S312を生成するCRI検出部130と、ディジタル映像信号S120よりノイズを除去し、ディジタル映像信号S140を出力するローパスフィルタ(以下、LPFと称す)140と、CRI検出期間に入力されるディジタル映像信号S140に基づきスライスレベルを設定するスライスレベル算出部510と、スライスレベル算出部510で設定したスライスレベルを用いて、ディジタル映像信号S140を2値化するデータスライス部220と、2値化したシリアルのデータをパラレルデータに変換してデコード処理を行い、デコードデータS230を映像信号出力端子190よりデータスライス装置500外部に出力するデコード回路230と、を有する。
【0008】
CRI検出部130は、ディジタル映像信号S120より、垂直同期信号S131aと水平同期信号S131bとを分離する同期分離回路131と、垂直同期信号S131aおよび水平同期信号S131bに基づいて、CRI信号Cの検出期間である所定のラインおよび位置を示すCRI検出範囲信号S132を出力するCRI検出範囲信号生成回路132と、を有する。
【0009】
スライスレベル算出部510は、CRI検出期間にディジタル映像信号S140より立ち下がりを検出すると、立ち下がり検出パルスS151を出力する立下がり検出回路151と、立ち下がり検出パルスS151よりディジタル映像信号S140の周波数を算出し、周波数データS152を出力する周波数算出回路152と、この周波数データS152を、予め保持している文字放送方式のCRI信号Cの周波数データと比較し、所定の文字放送方式に対応した周波数データS152が出力される期間に、周波数判定ゲートパルスS153を出力する周波数判定回路153と、立ち下り検出パルスS151より所定の文字放送方式の立ち下がりに対応したパルスを抽出し、周波数判定パルスS154を出力するCRI判定回路154と、を有する。また、スライスレベル算出部510は、CRI検出期間にディジタル映像信号S140の振幅の最大値と最小値とを検索し、最大値検索データS155aおよび最小値検索データS155bを出力する最大/最小検索回路155と、周波数判定パルスS154をロードパルスとして、最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとからディジタル映像信号S140の振幅の平均値を算出し、これをスライスレベルデータS511としてデータスライス部220に出力する平均算出回路511と、を有する。
【0010】
データスライス部220は、スライスレベルデータS511を用いて閾値判定することにより、ディジタル映像信号S140を2値化し、2値化データS221を抜き取り回路222に出力する2値化回路221と、抜き取りパルス生成回路162が生成する抜き取りパルスS162のタイミングで2値化データS221から文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS222を出力する抜き取り回路222と、を有する。
【0011】
次に、以上のように構成された従来のデータスライス装置500における動作について、図面を参照しながら説明する。
従来のデータスライス装置500の動作を示すタイミング図を図11に示す。図11において、図10と同一または相当する部分には同一符号を付してある。また、Aは水平同期信号、Bはカラーバースト信号、CはCRI信号、Dはフレーミングコード信号、Eはテキストデータ信号、T31〜T36はディジタル映像信号S140が変化した時刻である。
【0012】
文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号S110が映像信号入力端子110を介して入力されると、A/D変換器120はサンプリングクロックfs(MHz)でサンプリングしたアナログ映像信号S110をディジタル信号に変換し、ディジタル映像信号S120をCRI検出部130とLPF140とに出力する。すると、LPF140は、ディジタル映像信号S120よりノイズを除去したディジタル映像信号S140を、スライスレベル算出部510と、データスライス部220とに出力する。図11には、アナログ映像信号S110をA/D変換し、ノイズを除去したディジタル映像信号S140の例を示している。また、図11において、ディジタル映像信号S140上に示した黒丸は、アナログ映像信号S110をサンプリングクロックfsでディジタル映像信号S120(S140)に変換した信号である。
【0013】
時刻T31において、水平同期信号Aと垂直同期信号とを含んだディジタル映像信号S120がCRI検出部130に入力されるので、同期分離回路131は、ディジタル映像信号S120から垂直同期信号S131aと水平同期信号S131bとを分離する。
【0014】
次に、CRI検出範囲信号生成回路132は、垂直同期信号S131aおよび水平同期信号S131bに基づいてCRI信号Cの開始位置(時刻T32)および終了位置を求め、CRI検出期間に、CRI検出範囲信号S132を立ち下がり検出回路151と最大/最小検索回路155とに出力する。
【0015】
CRI検出範囲信号S132が出力されている期間のうちの所定の期間、スライスレベル算出部510には、ディジタル映像信号S140としてCRI信号Cが入力されるので、スライスレベル算出部510は、CRI検出範囲信号S132が出力されている期間、CRI信号Cに基づいてスライスレベルの算出処理を行う。すなわち、CRI検出範囲信号S132がスライスレベル算出部510に入力されている間、立下り検出回路151はディジタル映像信号S140の位相の変化を判定する。また、最大/最小検索回路155は、ディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索し、最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとを出力する。
【0016】
時刻T33において、立下り検出回路151は、CRI信号Cの最初の立ち下がりを検出し、立ち下り検出パルスS151を周波数算出回路152とCRI判定回路154とに出力する。
【0017】
時刻T34において、立下り検出回路151は、CRI信号Cの2番目の立ち下がりを検出し、立ち下り検出パルスS151を周波数算出回路152とCRI判定回路154とに出力する。
【0018】
すると、周波数算出回路152は、時刻T33および時刻T34において検出した立ち下り検出パルスS151より、CRI信号Cの周波数を算出し、周波数データS152を周波数判定回路153に出力する。周波数判定回路153は、この周波数データS152に基づいて、立下り検出回路151において検出した立ち下がりが、所定の文字放送方式に対応した信号であるか判定する。例えば、ノイズによる立ち下がりが検出された場合、周波数データS152は文字放送方式とは異なる周波数となっているので、周波数判定回路153は、所定の文字放送方式に対応していない周波数データであると判断する。周波数データS152が所定の文字放送方式の周波数である場合、周波数判定回路153は、周波数判定ゲートパルスS153をCRI判定回路154に出力する。
【0019】
次に、この周波数判定ゲートパルスS153に基づいて、CRI判定回路154は、立ち下り検出パルスS151が文字放送方式に対応したパルスであるか判定する。周波数判定ゲートパルスS153が出力されている期間の立ち下り検出パルスS151が、文字放送のCRI信号Cに対応しているので、該当するパルスを抽出し、周波数判定パルスS154を平均算出回路511に出力する。
【0020】
平均算出回路511は、周波数判定パルスS154をロードパルスとして、最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとをサンプリングし、CRI信号Cの平均値を算出する。そして、算出した平均値をスライスレベルデータS511として、データスライス部220に出力する。ここで、スライスレベルデータS511に基づき設定したスライスレベルSLV10は、時刻T35以降にフレーミングコード信号Dおよびテキストデータ信号Eを2値化する際に用いることができる、適当なスライスレベルとなっている。
【0021】
時刻T35において、フレーミングコード信号Dを含んだディジタル映像信号S140がデータスライス部220に入力されると、2値化回路221は、スライスレベルデータS511で閾値判定することにより、ディジタル映像信号S140を「0」または「1」に2値化し、2値化データS221を生成する。そして、抜き取り回路222において、抜き取りパルス生成回路162が出力する抜き取りパルスS162で、2値化データS221から文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS222を出力する。デコード回路230は、この抜き取りシリアルデータS222をパラレルデータに変換し、フレーミングコードを取得する。
【0022】
時間T36において、テキストデータ信号Eを含んだディジタル映像信号S140がデータスライス部220に入力されると、フレーミングコード信号Dと同様に、2値化回路221は、スライスレベルデータS511を用いてディジタル映像信号S140を2値化することにより、2値化データS221を生成する。そして、抜き取り回路222において、抜き取りパルスS162で、2値化データS221から文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS222を、デコード回路230に出力する。デコード回路230は、この抜き取りシリアルデータS222をパラレルデータに変換し、フレーミングコードに示された文字放送の種類に応じたデコード処理を行い、デコードデータS230を映像信号出力端子190より出力する。
映像信号出力端子190より出力されたデコードデータは、図示しない表示回路に転送され、文字として表示される。
【特許文献1】特開2001−313912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、映像信号入力端子110より入力されるアナログ映像信号S110は、伝送系における群遅延及び電界強度の低下などによる歪みを有することがある。従来のデータスライス装置は、この歪みによるノイズの影響を受けてしまうので、スライスレベル算出部510において算出されるスライスレベルデータS511の精度が低下し、最適なスライスレベルデータS511を算出することができない。その結果、2値化回路221はディジタル映像信号S140を誤った値に2値化してしまうので、2値化データS221のデコード処理において、デコードエラーの発生率が高くなってしまう。
【0024】
以下に、歪んだアナログ映像信号S110が入力された場合の、従来のデータスライス装置500の動作を、図面を参照しながら説明する。
図12に、群遅延及び電界強度の低下などにより歪んだアナログ映像信号S110が入力された場合の、従来のデータスライス装置500の動作を示す。図12において、図11と同一または相当する部分には同一符号を付してある。また、T41〜T46はディジタル映像信号が変化した時刻である。
【0025】
アナログ映像信号S110が映像信号入力端子110を介して入力されると、A/D変換器120はアナログ映像信号S110をディジタル信号に変換し、ディジタル映像信号S120をCRI検出部130とLPF140とに出力する。すると、LPF140は、ディジタル映像信号S120よりノイズを除去したディジタル映像信号S140を、スライスレベル算出部510とデータスライス部220とに出力する。図12には、歪んだアナログ映像信号S110をA/D変換し、ノイズを除去したディジタル映像信号S140の例を示している。また、C’は、CRI検出範囲信号S132が出力されている期間に生じる、LPF140で除去できないノイズである。LPF140によってノイズ除去を行っても、ディジタル映像信号S140が歪んでいるのは、LPF140においても除去できないノイズの影響によるものである。また、図12において、ディジタル映像信号S140上に示した黒丸は、アナログ映像信号S110をサンプリングクロックfsでディジタル映像信号S120(S140)に変換した信号である。
【0026】
時刻T41において、水平同期信号Aと垂直同期信号とを含んだディジタル映像信号S120がCRI検出部130に入力されるので、同期分離回路131は、ディジタル映像信号S120から垂直同期信号S131aと水平同期信号S131bとを分離する。
【0027】
時刻T42において、CRI検出範囲信号生成回路132は、垂直同期信号S131aおよび水平同期信号S131bに基づいてCRI信号Cの開始位置および終了位置を求め、CRI検出期間に、CRI検出範囲信号S132を出力する。
【0028】
CRI検出範囲信号S132が入力されている間、スライスレベル算出部510において、CRI信号Cに基づきスライスレベルの算出を行う。すなわち、CRI検出範囲信号S132がスライスレベル算出部510に入力されている間、立下り検出回路151はディジタル映像信号S140の位相の変化を判定する。また、最大/最小検索回路155は、ディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索する。
【0029】
時刻T43において、立下り検出回路151は、ディジタル映像信号S140のノイズC’の立ち下がりをCRI信号Cの立ち下がりとして誤検出し、立ち下り検出パルスS151を生成する。
【0030】
また、時刻T44においても、立下り検出回路151は、ディジタル映像信号S140のノイズC’の立ち下がりをCRI信号Cの立ち下がりとして誤検出し、立ち下り検出パルスS151を生成する。
【0031】
すると、周波数算出回路152は、時刻T43および時刻T44において検出した立ち下り検出パルスより、ディジタル映像信号S140の周波数を算出し、周波数データS152を出力する。周波数判定回路153は、この周波数データS152に基づいて、立下り検出回路151において検出した立ち下がりが、所定の文字放送方式に対応した信号であるか判定する。図12に示したディジタル映像信号140のように、ノイズC’の立ち下がりの間隔がCRI信号Cの立ち下がりの間隔と一致している場合、周波数判定回路153は、ノイズC’の周波数を所定の文字放送方式に対応した周波数であると誤判定してしまい、周波数判定ゲートパルスS153をCRI判定回路154に出力する。さらに、この周波数判定ゲートパルスS153に基づいて、CRI判定回路154は、立ち下り検出パルスS151が文字放送に対応したパルスであると誤判定し、周波数判定パルスS154を出力する。
【0032】
平均算出回路511は、この周波数判定パルスS154をロードパルスとして最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとをサンプリングし、CRI信号CのノイズC’の平均値を算出する。そして、算出した平均値をスライスレベルデータS511として、データスライス部220に出力する。ノイズC’を用いて算出したスライスレベルデータS511に基づいて設定したスライスレベルSLV11は、歪みのないCRI信号Cを用いて設定したスライスレベルSLV10より低いレベルとなる。
【0033】
時刻T45および時刻T46において、CRI信号Cが検出される。立下り検出回路151は、時刻T45においてCRI信号Cの最初の立ち下がりを、時刻T46においてCRI信号Cの2番目の立ち下がりを検出し、立ち下り検出パルスS151を出力する。また、最大/最小検索回路155は、ディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索し、最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとを出力する。ここで、図12に示したディジタル映像信号S140は、CRI信号Cの最小値よりノイズC’の最小値が小さいので、最小値検索データS155bはCRI信号Cによって更新されることなく、ノイズC’の最小値が継続して出力される。
【0034】
時刻T45および時刻T46に検出した立ち下り検出パルスにより周波数算出回路152が算出した周波数は、文字放送方式に対応した周波数であるので、周波数判定パルスS154が平均算出回路511に入力される。平均算出回路511は、この周波数判定パルスS154をロードパルスとして、最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとをサンプリングし、ディジタル映像信号S140の平均値を算出する。そして、算出した平均値をスライスレベルデータS511として、データスライス部220に出力する。
【0035】
ところが、最小値検索データS155bはノイズC’の最小値であるので、スライスレベルデータS511に基づいて設定したスライスレベルSLV12は、最適なレベルより低いものとなってしまう。その結果、2値化回路221においては、最適なレベルより低い値のスライスレベルデータを用いて2値化するので、フレーミングコード信号Dおよびテキストデータ信号Eを誤った値に2値化してしまう可能性がある。このため、2値化データS221を抜き取りパルスS162で抜き取った抜き取りシリアルデータS222を、デコード回路230においてデコード処理するとデコードエラーが発生する可能性がある。
【0036】
また、スライスレベルの算出処理を行うのが、CRI検出期間内のみであるため、CRI信号C以降のディジタル映像信号S140の信号形状が変化した場合、スライスレベルデータが不適切なものとなってしまう。その結果、2値化回路221において誤った値に2値化してしまうので、デコードエラーの発生確率が高くなる。
【0037】
また、伝送系における波形の歪みを補正するために、波形等価フィルタを使用すると、その回路規模が大きいので、データスライス装置の回路規模を増大させてしまう。
【0038】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、伝送系における群遅延及び電界強度の低下などによりディジタル映像信号に歪みが生じた場合でも、デコードエラーの発生率を低く抑えることのできる振幅判定値設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
上記の課題を解決するために、本発明にかかる振幅判定値設定方法は、シリアルで伝送されるデータを含んだ入力信号が所望する信号であるか判定するための振幅判定値に、開始値を設定する開始値設定ステップと、所定の期間、上記振幅判定値に基いて、上記入力信号の振幅が所望の信号であるか判定し、所望の信号を検出する信号検出ステップと、所望の信号を検出すると、該検出された信号に基づき、上記入力信号を2値化するためのスライスレベルデータを算出するスライスレベルデータ算出ステップと、上記入力信号を、上記スライスレベルデータにより2値化して2値化信号に変換する2値化ステップと、上記2値化信号より上記データを抜き取ったシリアルデータをデコードし、デコードデータを生成するデコードステップと、上記デコードデータのエラーの数をカウントし、上記振幅判定値と該エラーの数とを記憶するエラー数取得ステップと、所定の期間、上記入力信号を2値化およびデコードして、上記デコードデータのエラーの数をカウントすると、上記振幅判定値に対して、所定のステップ値で終了値に近づくように演算処理を行い、上記振幅判定値を更新する振幅判定値更新ステップと、開始値から終了値まで所定のステップ値で上記振幅判定値を変更しながら取得した、上記振幅判定値を各値とした場合のエラーの数より、エラーの数が最小となる振幅判定値を最適な振幅判定値として選択する振幅判定値選択ステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明にかかる振幅判定値設定方法によれば、シリアルで伝送されるデータを含んだ入力信号が所望する信号であるか判定するための振幅判定値に、開始値を設定する開始値設定ステップと、所定の期間、上記振幅判定値に基いて、上記入力信号の振幅が所望の信号であるか判定し、所望の信号を検出する信号検出ステップと、所望の信号を検出すると、該検出された信号に基づき、上記入力信号を2値化するためのスライスレベルデータを算出するスライスレベルデータ算出ステップと、上記入力信号を、上記スライスレベルデータにより2値化して2値化信号に変換する2値化ステップと、上記2値化信号より上記データを抜き取ったシリアルデータをデコードし、デコードデータを生成するデコードステップと、上記デコードデータのエラーの数をカウントし、上記振幅判定値と該エラーの数とを記憶するエラー数取得ステップと、所定の期間、上記入力信号を2値化およびデコードして、上記デコードデータのエラーの数をカウントすると、上記振幅判定値に対して、所定のステップ値で終了値に近づくように演算処理を行い、上記振幅判定値を更新する振幅判定値更新ステップと、開始値から終了値まで所定のステップ値で上記振幅判定値を変更しながら取得した、上記振幅判定値を各値とした場合のエラーの数より、エラーの数が最小となる振幅判定値を最適な振幅判定値として選択する振幅判定値選択ステップと、を備えたもの、としたので、振幅判定値を、上記ディジタル信号の信号形状に適した値に更新することにより、信号形状に適した振幅判定値を用いて所望の信号を検出し、上記スライスレベルデータを算出することができるので、ディジタル信号の歪みが変化する場合でも、デコードエラーの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定するものではない。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1によるデータスライス装置、およびデータスライス方法について、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1は、本実施の形態1に係るデータスライス装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように本実施の形態1によるデータスライス装置100は、映像信号入力端子110を介して入力される、文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号S110を、ディジタル映像信号S120に変換するA/D変換器120と、ディジタル映像信号S120に基づいて、クロック・ラン・イン(以下、CRIと称す)検出期間であることを示すCRI検出範囲信号S132を出力するCRI検出部130と、ディジタル映像信号S120よりノイズを除去し、ディジタル映像信号S140を出力するローパスフィルタ(以下、LPFと称す)140と、CRI信号Cに基づきスライスレベルおよびスライスレベルのオフセットを算出し、基準スライスレベル、および基準スライスレベルにオフセットを設けた上側スライスレベルと下側スライスレベルとを設定するスライスレベル算出部150と、スライスレベル算出部150で設定した各スライスレベルを用いてディジタル映像信号S140を2値化するデータスライス部160と、2値化したシリアルの各データをパラレルデータに変換し、文字放送の種別に応じた誤り訂正などのデコード処理を行うデコード回路170と、デコードした各データよりエラーが含まれていないデータを選択して映像信号出力端子190より出力するデータ選択部180と、を有する。
【0043】
CRI検出部130は、ディジタル映像信号S120より、垂直同期信号S131aと水平同期信号S131bとを分離する同期分離回路131と、垂直同期信号S131aおよび水平同期信号S131bに基づいて、CRI信号Cの検出期間である所定のラインおよび位置を示すCRI検出範囲信号S132を出力するCRI検出範囲信号生成回路132と、を有する。
【0044】
スライスレベル算出部150は、CRI検出期間にディジタル映像信号S140より立ち下がりを検出すると、立ち下り検出パルスS151を出力する立下り検出回路151と、立ち下り検出パルスS151よりディジタル映像信号S140の周波数を算出し、周波数データS152を出力する周波数算出回路152と、この周波数データS152を、予め保持している文字放送方式のCRI信号Cの周波数データと比較し、所定の文字放送方式に対応した周波数データS152が出力される期間に、周波数判定ゲートパルスS153を出力する周波数判定回路153と、立ち下り検出パルスS151より所定の文字放送方式の立ち下がりに対応したパルスを抽出し、周波数判定パルスS154を出力するCRI判定回路154と、を有する。また、スライスレベル算出部150は、CRI検出期間にディジタル映像信号S140の振幅の最大値と最小値とを検索し、最大値検索データS155aおよび最小値検索データS155bを出力する最大/最小検索回路155と、周波数判定パルスS154をロードパルスとして、最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとからディジタル映像信号S140の振幅および振幅の平均値を算出し、平均値を基準スライスレベルデータS156a、振幅を振幅検出データS156b、として出力する平均/振幅算出回路156と、振幅検出データS156bよりオフセット値を算出し、基準スライスレベルデータS156aにオフセットを持たせた上側スライスレベルデータS157aと下側スライスレベルデータS157bとを算出するスライスレベルオフセット値算出回路157と、を有する。
【0045】
データスライス部160は、上側スライスレベルデータS157aおよび基準スライスレベルデータS156a、下側スライスレベルデータS157bのそれぞれを用いて閾値判定することにより、ディジタル映像信号S140を2値化し、2値化データS161a〜S161cを抜き取り回路163に出力する2値化回路161と、抜き取りパルス生成回路162が生成する抜き取りパルスS162のタイミングで2値化データS161a〜S161cのそれぞれから文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS163a〜S163cを出力する抜き取り回路163と、を有する。
【0046】
データ選択部180は、デコード回路170が出力したデコードデータS170a〜S170cがデコードエラーを有するか判定し、デコードエラーのないデコードデータを示すデコードデータ選択信号S181を出力するエラー検出回路181と、デコードデータ選択信号S181に基づき、デコードデータS170a〜S170cよりデコードエラーのないデコードデータを選択し、最終デコードデータS182を映像信号出力端子190より装置外部に出力するデコードデータ選択回路182と、を有する。
【0047】
次に、以上のように構成されるデータスライス装置100の動作について、図面を参照しながら説明する。
図2は、群遅延及び電界強度の低下などにより歪んだアナログ映像信号S110が入力された場合の、データスライス装置100の動作を示すタイミング図である。図2において、図1と同一または相当する部分には同一符号を付してある。また、Aは水平同期信号、Bはカラーバースト信号、CはCRI信号、Dはフレーミングコード信号、Eはテキストデータ信号、T1〜T8は、ディジタル映像信号S140が変化した時刻である。
【0048】
文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号S110が映像信号入力端子110を介して入力されると、A/D変換器120は、サンプリングクロックfs(MHz)でサンプリングしたアナログ映像信号S110をディジタル信号に変換する。このサンプリングクロックfsとしては、例えば、このデータスライス装置100の動作クロックが用いられる。A/D変換器120においてデジタル信号に変換されたディジタル映像信号S120は、CRI検出部130とLPF140とに出力される。すると、LPF140は、ディジタル映像信号S120よりノイズを除去したディジタル映像信号S140を、スライスレベル算出部150と、データスライス部160とに出力する。図2には、歪んだアナログ映像信号S110をA/D変換し、ノイズを除去したディジタル映像信号S140の例を示している。また、C’は、CRI検出範囲信号S132が出力されている期間に生じる、LPF140で除去できないノイズである。LPF140によってノイズ除去を行っても、ディジタル映像信号S140が歪んでいるのは、LPF140においても除去できないノイズの影響によるものである。また、図2において、ディジタル映像信号S140上に示した黒丸は、アナログ映像信号S110をサンプリングクロックfsでディジタル映像信号S120(S140)に変換した信号である。
【0049】
時刻T1において、水平同期信号Aと垂直同期信号とを含んだディジタル映像信号S120がCRI検出部130に入力されるので、同期分離回路131は、ディジタル映像信号S120から垂直同期信号S131aと水平同期信号S131bとを分離する。
【0050】
次に、CRI検出範囲信号生成回路132は、垂直同期信号S131aおよび水平同期信号S131bに基づいてCRI信号Cの開始位置および終了位置を求め、CRI検出期間に、CRI検出範囲信号S132を立ち下がり検出回路151と最大最小検索回路155とに出力する。ここで、CRI検出範囲信号生成回路132は、図2に示すように、CRI信号Cの開始前の所定の時間(時刻T2)からCRI信号Cの終了後の所定の時間まで継続して、CRI検出範囲信号S132を出力してもよい。
【0051】
CRI検出範囲信号S132が出力されている期間のうちの所定の期間、スライスレベル算出部150には、ディジタル映像信号S140としてCRI信号Cが入力されるので、スライスレベル算出部150は、CRI検出範囲信号S132が出力されている期間、CRI信号Cに基づいてスライスレベルの算出処理を行う。すなわち、CRI検出範囲信号S132がスライスレベル算出部150に入力されている間、立下り検出回路151はディジタル映像信号S140の位相の変化を判定する。また、最大/最小検索回路155は、ディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索し、最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとを出力する。
【0052】
時刻T3において、立下り検出回路151は、ディジタル映像信号S140のノイズC’の立ち下がりをCRI信号Cの立ち下がりとして誤検出し、立ち下り検出パルスS151を生成する。また、時刻T4においても、立下り検出回路151は、ノイズC’の立ち下がりをCRI信号Cの立ち下がりとして誤検出し、立ち下り検出パルスS151を生成する。
【0053】
すると、周波数算出回路152は、時刻T3および時刻T4において検出した立ち下り検出パルスS151より、ディジタル映像信号S140の周波数を算出し、周波数データS152を出力する。周波数判定回路153は、この周波数データS152に基づいて、立下り検出回路151において検出した立ち下がりが、所定の文字放送方式に対応した信号であるか判定する。図2に示したディジタル映像信号S140のように、ノイズC’の立ち下がりの間隔がCRI信号Cの立ち下がりの間隔と一致している場合、周波数判定回路153は、ノイズC’の周波数を所定の文字放送方式に対応した周波数であると誤判定してしまい、周波数判定ゲートパルスS153をCRI判定回路154に出力する。
【0054】
次に、この周波数判定ゲートパルスS153に基づいて、CRI判定回路154は、立ち下り検出パルスS151が文字放送方式に対応したパルスであるか判定する。この場合は、ノイズC’の立ち下がりの間隔がCRI信号Cの立ち下がりの間隔と一致しているので、CRI判定回路154は、立ち下り検出パルスS151は文字放送に対応したパルスであると誤判定し、周波数判定パルスS154を平均/振幅算出回路156に出力する。
【0055】
平均/振幅算出回路156は、この周波数判定パルスS154をロードパルスとして、最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとをサンプリングし、ディジタル映像信号S140の平均値と振幅とを算出する。そして、算出した平均値を基準スライスレベルデータS156aとして、スライスレベルオフセット値算出回路157とデータスライス部160とに出力し、振幅を振幅検出データS156bとして、スライスレベルオフセット値算出回路157に出力する。
【0056】
ディジタル映像信号S140が「0」から「1」に変化する変化点近傍に、わずかな位相のずれやレベルのオフセットが生じている場合、2値化回路161では、この信号を誤った値に2値化してしまう可能性がある。これを回避するために、本実施の形態1によるデータスライス装置100においては、基準スライスレベルデータS156aの上側および下側にオフセットを設けたスライスレベルデータをも用いて、ディジタル映像信号S140を2値化する。オフセットは、CRI信号Cの振幅に対して所定の割合となる振幅であり、例えば振幅の20%と決定されている。スライスレベルオフセット値算出回路157は、予め決定した値により振幅検出データS156bを除算して、オフセット値を取得する。そして、基準スライスレベルデータS156aにオフセット値を加算した上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS156aからオフセット値を減算した下側スライスレベルデータS157bと、を出力する。図2に示すとおり、ノイズC’を用いて算出した基準スライスレベルデータS156aに基づき設定したスライスレベルSLV2、および上側スライスレベルデータS157aに基づき設定したスライスレベルSLV1、下側スライスレベルデータS157bに基づき設定したスライスレベルSLV3は、CRI信号Cを用いて設定する最適なスライスレベルより低く、ディジタル映像信号S140の2値化に用いることができない。なお、ディジタル映像信号S140に歪みがなく、時刻T3および時刻T4においてノイズC’の立ち下がりが検出されない場合、ここで説明した時刻T3および時刻T4における処理を行わず、次に説明する時刻T5の処理に移行する。
【0057】
時刻T5、T6において、CRI信号Cが検出される。立下り検出回路151は、時刻T5においてCRI信号Cの最初の立ち下がりを、時刻T6においてCRI信号Cの2番目の立ち下がりを検出し、立ち下り検出パルスS151を出力する。また、最大/最小検索回路155におけるディジタル映像信号S140の最大値および最小値の検索は、時刻T2より継続して行われているが、図2に示したディジタル映像信号S140は、CRI信号Cの最小値よりノイズC’の最小値が小さいので、最小値検索データS155bはCRI信号Cによって更新されることなく、ノイズC’の最小値が継続して出力される。
【0058】
時刻T5、時刻T6に検出した立ち下り検出パルスS151により周波数算出回路152が算出した周波数は、文字放送方式に対応した周波数であるので、CRI判定回路154は、生成した周波数判定パルスS154を平均/振幅算出回路156に入力する。平均/振幅算出回路156は、この周波数判定パルスS154をロードパルスとして、最大値検索データS155aと最小値検索データS155bとをサンプリングし、ディジタル映像信号S140の平均値と振幅とを算出する。そして、算出した平均値を基準スライスレベルデータS156aとして、スライスレベルオフセット値算出回路157とデータスライス部160とに出力し、振幅を振幅検出データS156bとしてスライスレベルオフセット値算出回路157に出力する。スライスレベルオフセット値算出回路157は、振幅検出データ156bよりオフセット値を算出し、基準スライスレベルデータS156aにオフセット値を加算した上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS156aからオフセット値を減算した下側スライスレベルデータS157bと、を出力する。ここで、最小値検索データS155bはノイズC’の最小値であるので、算出された基準スライスレベルデータS156aに基づいて設定するスライスレベルSLV5は、最適なスライスレベルより低いレベルとなっている。しかし、オフセットを設けたことにより、上側スライスレベルデータS157aに基づいて設定されるスライスレベルSLV4、または下側スライスレベルデータS157bに基づいて設定されるスライスレベルSLV6のいずれかが、時刻T7以降に、フレーミングコート信号Dおよびテキストデータ信号Eを2値化する際に用いることができる、適当なスライスレベルとなる。
【0059】
時刻T7において、フレーミングコード信号Dを含んだディジタル映像信号S140がデータスライス部160に入力されると、2値化回路161は、上側スライスレベルデータS157aで閾値判定することにより、ディジタル映像信号を「0」または「1」に2値化し、2値化データS161aを生成する。同様に、基準スライスレベルデータS156aでディジタル映像信号S140を2値化することにより2値化データS161bを生成し、下側スライスレベルデータS157bでディジタル映像信号S140を2値化することにより2値化データS161cを生成する。また、抜き取りパルス生成回路162は、各2値化データS161a〜S161cより文字放送のデータを抜き取る際にサンプリングクロックとして用いる抜き取りパルスS162を生成する。この抜き取りパルスS162は、文字放送の信号の伝送クロックと同じ周期であればよい。そして、抜き取り回路163において、抜き取りパルスS162で、2値化データS161aから文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS163aを出力する。同様に、抜き取りパルスS162で2値化データS161bより文字放送シリアルデータを抜き取ることにより、抜き取りシリアルデータS163bを出力し、抜き取りパルスS162で2値化データS161cより文字放送シリアルデータを抜き取ることにより、抜き取りシリアルデータS163cを出力する。デコード回路170は、抜き取りシリアルデータS163a〜163cをパラレルデータに変換し、フレーミングコードを検出する。
【0060】
時刻T8において、テキストデータ信号Eを含んだディジタル映像信号S140がデータスライス部160に入力されると、フレーミングコード信号Dと同様に、2値化回路161は、上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS156aと、下側スライスレベルデータS156bと、を用いてディジタル映像信号S140を2値化することにより、2値化データS161a〜S161cを生成する。例えば、ディジタル映像信号S140のポイントP1を、上側スライスレベルデータS157aにより2値化すると、2値化データS161aとして「0」が得られ、基準スライスレベルデータS156aおよび下側スライスレベルデータS156bにより2値化すると2値化データS161b、S161cとして「1」が得られる。ポイントP1のデータが「0」である場合、基準スライスレベルデータS156aのみで2値化すると正しいデータを得ることができない。このように、基準スライスレベルデータS156aを用いると誤った値に2値化してしまう場合であっても、上側スライスレベルデータS157aおよび下側スライスレベルデータS156bを用いることにより、正しい値をも得ることができる。そして、抜き取り回路163において、抜き取りパルスS162で、2値化データS161a〜S161cから文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS163a〜S163cを、デコード回路170に出力する。
【0061】
デコード回路170は、抜き取りシリアルデータS163a〜163cをパラレルデータに変換し、フレーミングコードに示された文字放送の種類に応じたデコード処理を行うことにより、生成したデコードデータS170a〜170cを、データ選択部180に出力する。
【0062】
デコードデータS170a〜S170cがデータ選択部180に入力されると、エラー検出回路181において、各デコードデータS170a〜S170cにおけるエラーの有無を判定する。すなわち、エラー検出回路181は、各データ単位のデコードデータS170aにおける「1」の数をカウントし、奇数ビットが「1」である場合に、デコードデータS170aにはデコードエラーは無いと判断する。同様に、エラー検出回路181は、各データ単位の「1」の数に基づき、デコードデータS170b、S170cにデコードエラーが無いか判断する。そして、デコードエラーのないデコードデータを指定したデコードデータ選択信号S181を出力する。ここで、エラー検出回路181は、まず、デコードデータS170bのデコードエラーの有無を判定し、これにデコードエラーがない場合は、デコードデータS170bを指定したデコードデータ選択信号S181を出力する。デコードデータS170bがデコードエラーを有する場合は、デコードデータS170a、S170cがデコードエラーを有するか判定し、デコードエラーのないものを指定する。また、デコードデータS170a〜S170cのすべてがデコードエラーを有する場合、これらのうちのいずれかを指定する。デコードデータ選択回路182は、このデコードデータ選択信号S181に基づいて、デコードデータS170a〜S170cからデコードエラーのないものを選択し、最終デコードデータS182を、映像信号出力端子190を介してデータスライス装置100の外部に出力する。
映像信号出力端子190より出力されたデコードデータは、図示しない表示回路に転送され、文字として表示される。
【0063】
以上のように、本実施の形態1によるデータスライス装置100によれば、CRI信号Cの振幅と平均値とを算出し、平均値を基準スライスレベルデータS156a、振幅を振幅レベルデータS156bとして出力する平均/振幅算出回路156と、振幅レベルデータS156bに基づき算出したオフセット値を、基準スライスレベルデータS156aに加算した上側スライスレベルデータS157a、および基準スライスレベルデータS156aよりオフセット値を減算した下側スライスレベルデータS157bを算出するスライスレベルオフセット値算出回路157と、基準スライスレベルデータS156a、上側スライスレベルデータS157aおよび下側スライスレベルデータS157bを用いてディジタル映像信号S140を2値化する2値化回路161と、各2値化信号S161a〜S161cより文字放送シリアルデータを抜き取った抜き取りシリアルデータS163a〜S163cをデコードするデコード回路170と、各デコードデータS170a〜S170cからデコードエラーのないものを選択して出力するデコードデータ選択回路182と、を備えたので、群遅延及び電界強度の低下などによりディジタル映像信号S140に歪みが生じ、基準スライスレベルデータS156aのみで2値化すると誤った値に2値化してしまう場合であっても、いずれかのスライスレベルデータにより、正しい値に2値化することができ、その2値化データに基づくデコードデータをデコードデータ選択回路182により選択出力するので、デコードエラーの発生率を低く抑えることができる。さらに、複数のスライスレベルデータのいずれかにより正しい値に2値化することができるので、波形の歪みを補正するための波形等価フィルタが必要なくなり、データスライス装置の回路規模を縮小させることができる。
【0064】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2によるデータスライス装置について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態2に係るデータスライス装置200の構成を示すブロック図である。なお、図3において、図1に示すものと同一または相当する部分には同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
【0065】
図3に示すように本実施の形態2によるデータスライス装置200は、映像信号入力端子110を介して入力される、文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号S110を、ディジタル映像信号S120に変換するA/D変換器120と、ディジタル映像信号S120に基づいて、CRI検出期間であることを示すCRI検出範囲信号S312を生成するCRI検出部130と、ディジタル映像信号S120より所定の帯域のノイズを除去し、ディジタル映像信号S140を出力するLPF140と、ディジタル映像信号S140の振幅に基づき、検出した信号がCRI信号Cであるか判断し、CRI信号Cのみの最大値と最小値とを用いてスライスレベルを設定するスライスレベル算出部210と、スライスレベル算出部210で設定したスライスレベルを用いてディジタル映像信号S140を2値化するデータスライス部220と、2値化したシリアルのデータをパラレルデータに変換し、デコード処理を行ったデコードデータS230を映像信号出力端子190より出力するデコード回路230と、を有する。
【0066】
スライスレベル算出部210は、CRI検出期間にディジタル映像信号S140より立ち下がりを検出すると、立ち下り検出パルスS151を出力する立下り検出回路151と、立ち下り検出パルスS151よりディジタル映像信号S140の周波数を算出し、周波数データS152を出力する周波数算出回路152と、所定の文字放送方式に対応した周波数が算出される期間に、周波数判定ゲートパルスS153を出力する周波数判定回路153と、周波数判定ゲートパルスに基づいて、立ち下り検出パルスS151より所定の文字放送方式の立ち下がりに対応したパルスを抽出した周波数判定パルスS211a、および後述する振幅判定ゲートパルスS215に基づいて、立ち下り検出パルスS151より文字放送の信号の立ち下りパルス(CRI信号Cの立ち下りパルス)を抽出した振幅判定パルスS211b、を出力するCRI判定回路211と、を有する。また、スライスレベル算出部210は、CRI検出期間にディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検索し、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとを出力する最大/最小検索回路212と、周波数判定パルスS211aをロードパルスとして、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとからディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検出し、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを出力する最大/最小検出回路213と、後述する振幅判定回路215より出力される振幅判定ゲートパルスS215をロードパルスとして、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとから、ディジタル映像信号S140の振幅および振幅の平均値を算出し、平均値をスライスレベルデータS214a、振幅を振幅検出データS214bとして出力する平均/振幅算出回路214と、予め決定されたCRI振幅判定値に基づいて、振幅検出データS214bが所定の文字放送の信号の振幅を有するか判定し、CRI信号Cの振幅を有する期間に振幅判定ゲートパルスS215を出力する振幅判定回路215と、を有する。
【0067】
ここで、CRI判定回路211は、周波数判定ゲートパルスS153に基づいて、立ち下り検出パルスS151から所定の文字放送方式の信号の立ち下がりに対応したパルスを抽出し、周波数判定パルスS211aを最大/最小検索回路212と、最大/最小検出回路213とに出力する。この周波数判定パルスS211aは、図示しない遅延回路によって、最大/最小検出回路213が最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとを検出するのに必要な時間だけ遅延して、最大/最小検索回路212に対して入力される。また、CRI判定回路211は、振幅判定ゲートパルスS215が入力されると、この振幅判定ゲートパルスS215に基づいて、周波数判定パルスS211aからCRI信号Cの振幅を有する信号に基づくパルスを抽出し、振幅判定パルスS211bを出力する。
【0068】
最大/最小検索回路212は、ディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検索し、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとを出力する。そして、周波数判定パルスS211aが入力されると、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとを一旦リセットし、新たな期間の最大値と最小値とを検索し、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとを出力する。このようにして、最大/最小検索回路212は、周波数判定パルスS211aに基づいて、各周期の最大値と最小値とを検索する。
【0069】
平均/振幅算出回路214は、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとより、ディジタル映像信号S140の振幅および振幅の平均値を算出し、振幅を、振幅検出データS214bとして振幅判定回路215に出力する。そして、振幅検出パルスS211bが入力される時のみ、算出した平均値を、スライスレベルデータS214aとして2値化部220に出力する。また、次の周波数判定パルスS211aで新たな最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとより新平均値を算出すると、さらに新平均値とスライスレベルデータS214aとの平均値を算出し、この算出値によりスライスレベルデータS214aを更新する。
【0070】
振幅判定回路215には、振幅検出データS214bがCRI信号Cの振幅を有するものであるかを判定する際に判断基準として用いるCRI振幅判定値が、予め設定されている。振幅判定回路215は、このCRI振幅判定値を用いて、振幅検出データS214bがCRI信号Cの振幅を有するか判定し、CRI信号Cの振幅を有する期間に、振幅判定ゲートパルスS215をCRI判定回路211に出力する。
【0071】
データスライス部220は、スライスレベルデータS214aを用いて閾値判定することにより、ディジタル映像信号S140を2値化し、2値化データS221を抜き取り回路222に出力する2値化回路221と、抜き取りパルス生成回路162が生成する抜き取りパルスS162のタイミングで2値化データS221から文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS222を出力する抜き取り回路222と、を有する。
【0072】
次に、以上のように構成されるデータスライス装置200の動作について、図面を参照しながら説明する。
図4は、群遅延及び電界強度の低下などにより歪んだアナログ映像信号S110が入力された場合の、データスライス装置200の動作を示すタイミング図である。図4において、図3と同一または相当する部分には同一符号を付してある。また、T11〜T19は、ディジタル映像信号S140が変化した時刻である。
【0073】
文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号S110が映像信号入力端子110を介して入力されると、A/D変換器120はこれをディジタル信号に変換し、ディジタル映像信号S120をCRI検出部130とLPF140とに出力する。すると、LPF140は、ディジタル映像信号S120よりノイズを除去したディジタル映像信号S140を、スライスレベル算出部210と、データスライス部220とに出力する。
【0074】
時刻T11において、水平同期信号Aと垂直同期信号とを含んだディジタル映像信号S120がCRI検出部130に入力されるので、同期分離回路131は、ディジタル映像信号S120から垂直同期信号S131aと水平同期信号S131bとを分離する。
【0075】
次に、CRI検出範囲信号生成回路132は、垂直同期信号S131aおよび水平同期信号S131bに基づいてCRI信号Cの開始位置(時刻T12)および終了位置を求め、CRI検出期間に、CRI検出範囲信号S132を出力する。
【0076】
CRI検出範囲信号S132が入力されている間、スライスレベル算出部210はCRI信号Cに基づいてスライスレベルの算出処理を行うので、立下り検出回路151は、ディジタル映像信号S140の位相の変化を判定する。また、最大/最小検索回路212は、ディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索し、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとを、最大/最小検出回路213に出力する。
【0077】
時刻T13および時刻T14において、立下り検出回路151は、ディジタル映像信号S140のノイズC’の立ち下がりをCRI信号Cの立ち下がりとして誤検出し、立ち下り検出パルスS151を生成する。すると、周波数算出回路152は、時刻T13および時刻T14において検出した立ち下り検出パルスS151より、ディジタル映像信号S140の周波数を算出し、周波数データS152を出力する。周波数判定回路153は、この周波数データS152に基づいて、立下り検出回路151において検出した立ち下がりが、所定の文字放送方式に対応した信号であると誤判定し、周波数判定ゲートパルスS153をCRI判定回路211に出力する。この周波数判定ゲートパルスS153に基づいて、CRI判定回路211は、立ち下り検出パルスS151が文字放送方式に対応したパルスであると誤判定し、周波数判定パルスS211aを、最大/最小検索回路212と最大/最小検出回路213とに出力する。
【0078】
最大/最小検出回路213は、この周波数判定パルスS211aをロードパルスとして、時刻T13、T14間に検索された最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをサンプリングすることにより、ディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検出し、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを出力する。また、最大/最小検出回路213が最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをサンプリングした後、最大/最小検索回路212に周波数判定パルスS211aが入力されると、最大/最小検索回路212は、時刻T13、T14間に検索した最大値および最小値をリセットし、時刻T14以降のディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索する。平均/振幅算出回路214は、最大値検出データ213aと最小値検出データS213bとより、ディジタル映像信号S140の振幅を算出し、算出値を振幅検出データS214bとして振幅判定回路215に出力する。なお、この時には振幅検出パルスS211bが生成されていないので、スライスレベルデータS214aは出力されない。
【0079】
次に、振幅判定回路215において、予め設定されているCRI振幅判定値を用いて、振幅検出データS214bがCRI信号Cの振幅を有するか判定する。この場合、振幅検出データS214bはノイズC’より検出されたものであり、CRI信号Cより検出される振幅検出データより小さい値であるため、CRI振幅判定値の条件を満たさない。このため、振幅判定回路215は、この振幅検出データS214bがCRI信号Cの振幅を有さないと判定し、振幅判定ゲートパルスS215を生成しない。
【0080】
時刻T15および時刻T16において、CRI信号Cが検出される。立下り検出回路151は、時刻T15においてCRI信号Cの最初の立ち下がりを、時刻T16においてCRI信号Cの2番目の立ち下がりを、検出し、立ち下り検出パルスS151を出力する。この立ち下り検出パルスS151により周波数算出回路152が算出した周波数は、文字放送方式に対応した周波数であるので、周波数判定パルスS211aが最大/最小検索回路212と最大/最小検出回路213とに入力される。
【0081】
最大/最小検出回路213は、この周波数判定パルスS211aをロードパルスとして、時刻T15、時刻T16間に検索された最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをサンプリングすることにより、ディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検出し、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを出力する。また、最大/最小検索回路212は、周波数判定パルスS211aに基づいて、時刻T15、時刻T16間に検索した最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをリセットし、時刻T16以降のディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索する。平均/振幅算出回路214は、最大値検出データ213aと最小値検出データS213bとより、ディジタル映像信号の振幅を算出し、算出値を振幅検出データS214bとして振幅判定回路215に出力する。
【0082】
この振幅検出データS214bはCRI信号Cの振幅を有するので、振幅判定回路215は、振幅判定ゲートパルスS215をCRI判定回路211に出力する。すると、CRI判定回路211は振幅判定ゲートパルスS215に基づいて、周波数判定パルスS211aからCRI信号Cのパルスを抽出した振幅判定パルスS211bを出力する。振幅判定パルスS211bが入力されると、平均/振幅算出回路214は、算出したディジタル映像信号S140の振幅の平均値をスライスレベルデータS214aとしてデータスライス部220に出力する。ここで、スライスレベルデータS214aは、CRI信号CのノイズC’より検出した最大値検索データおよび最小値検索データを用いることなく、CRI信号Cの最大値検索データS212aおよび最小値検索データS212bを用いて算出したものである。このため、スライスレベルデータS214aに基づいて設定するスライスレベルSLV7は、時刻T17以降に、フレーミングコート信号Dおよびテキストデータ信号Eを2値化する際に用いることができる、適切なレベルとなっている。
【0083】
時刻T17において、立下り検出回路151はCRI信号Cの3番目の立ち下がりを検出し、立ち下り検出パルスS151を出力する。時刻T16および時刻T17に出力された立ち下り検出パルスS151により周波数算出回路152が算出した周波数は、文字放送方式に対応した周波数であるので、周波数判定パルスS211aが最大/最小検索回路212と最大/最小検出回路213とに入力される。
【0084】
最大/最小検出回路213は、この周波数判定パルスS211aを検出した最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを、平均/振幅算出回路214に出力する。そして、最大/最小検索回路212は、周波数判定パルスS211aに基づいて、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをリセットし、時刻T17以降の最大値および最小値を検索する。平均/振幅算出回路214は、最大値検出データ213aと最小値検出データS213bとより、ディジタル映像信号S140の振幅を算出し、算出値を振幅検出データS214bとして振幅判定回路215に出力する。
【0085】
この振幅検出データS214bはCRI信号Cの振幅を有するので、振幅判定回路215は振幅判定ゲートパルスS215をCRI判定回路211に出力し、CRI判定回路211は振幅判定ゲートパルスS215に基づいて、振幅判定パルスS211bを出力する。
【0086】
振幅判定パルスS211bが入力されると、平均/振幅算出回路214は、ディジタル映像信号S140の振幅の平均値を算出する。さらに、時刻T17において算出した平均値と、時刻T16において算出したスライスレベルデータと、の平均値を算出し、この算出値によりスライスレベルデータS214aを更新する。ここで、図4においては、時刻T6、時刻T7間のディジタル映像信号S140の最大値および最小値が、時刻T5、時刻T6間より小さい例を示しており、時刻T7において算出されたスライスレベルデータS214aに基づいて設定したスライスレベルSLV8は、スライスレベルSLV7より低いレベルになっている。
【0087】
また、時刻T18において、立下り検出回路151はCRI信号Cの4番目の立ち下がりを検出し、立ち下り検出パルスS151を出力する。この立ち下がりパルスと、最大/最小検索回路212において検索した最大値検索データS212aおよび最小値検索データS212bとに基づいて、スライスレベル算出部210は時刻T17において行った処理と同様の処理を行い、スライスレベルデータS214aを更新する。
【0088】
時刻T19においてCRI検出範囲信号S132が終了すると、スライスレベル算出部210はスライスレベルの算出処理を終了する。このため、時刻T19におけるスライスレベルデータS214aは、この時刻以降において変更されることのない、確定されたデータとなる。ここで、図4に示したように、時刻T7、時刻T8間のディジタル映像信号S140の最大値および最小値が、時刻T6、時刻T7間より低い場合、時刻T8において算出されたスライスレベルデータS214aに基づいて設定したスライスレベルSLV9は、スライスレベルSLV8より低いレベルになっている。
【0089】
また、時刻T19においてフレーミングコード信号Dを含んだディジタル映像信号S140がデータスライス部220に入力されると、2値化回路221は、スライスレベルデータS214aで閾値判定することにより、2値化データS221を生成する。そして、抜き取り回路222において、抜き取りパルス生成回路162が生成する抜き取りパルスS162で、2値化データS221から文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS222をデコード回路230に出力する。デコード回路230は、この抜き取りシリアルデータS222をパラレルデータに変換し、フレーミングコードを検出する。
【0090】
フレーミングコードの検出後、テキストデータ信号Eを含んだディジタル映像信号S140(図示しない)がデータスライス部220に入力されると、フレーミングコード信号Dと同様に、2値化回路221は、スライスレベルデータS214aを用いてディジタル映像信号S140を2値化することにより、2値化データS221を生成する。そして、抜き取り回路222において、抜き取りパルスS162で2値化データS221から文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS222をデコード回路230に出力する。デコード回路230は、抜き取りシリアルデータS222をパラレルデータに変換し、フレーミングコードに示された文字放送の種類に応じたデコード処理を行い、デコードデータS230を映像信号出力端子190を介してデータスライス装置200外部に出力する。
【0091】
以上のように、本実施の形態2によるデータスライス装置200によれば、平均/振幅算出回路214において算出した振幅検出データS214bがCRI信号Cの振幅を有するか判定する振幅判定回路215を備え、平均/振幅算出回路214は、振幅検出データS214bがCRI信号Cの振幅を有すると判定されたときにのみ、算出した平均値をスライスレベルデータS214aとして出力するので、伝送系における群遅延及び電界強度の低下による信号の歪みによって発生するノイズをCRI信号Cとして誤検出した場合であっても、そのノイズより算出した平均値を除外し、CRI信号Cのみの平均値に基づいてスライスレベルデータS214aを算出することができる。
【0092】
また、ノイズをCRI信号として誤検出した場合であっても、そのノイズに基づくスライスレベルデータの算出を行わないので、例えば、ヨーロッパで採用されているテレテキス方式のように、規格で決められた垂直帰線期間のラインにCRI信号が重畳されない文字放送の信号においても、ノイズに基づくスライスレベルデータの算出を抑制することができる。
【0093】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3によるデータスライス装置、データスライス方法、および振幅判定値設定方法について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態3に係るデータスライス装置300の構成を示すブロック図である。なお、図5において、図1および図3に示すものと同一または相当する部分には同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
【0094】
図5に示すように本実施の形態3によるデータスライス装置300は、映像信号入力端子110を介して入力される、文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号S110を、ディジタル映像信号S120に変換するA/D変換器120と、ディジタル映像信号S120に基づいて、CRI検出期間であることを示すCRI検出範囲信号S132を生成するCRI検出部130と、ディジタル映像信号S120よりノイズを除去し、ディジタル映像信号S140を出力するLPF140と、ディジタル映像信号S140の振幅に基づき、検出した信号がCRI信号Cであるか判断し、CRI信号Cのみの最大値と最小値とを用いてスライスレベルおよびスライスレベルのオフセットを算出し、基準スライスレベル、および基準スライスレベルにオフセットを設けた上側スライスレベルと下側スライスレベルとを設定するスライスレベル算出部310と、スライスレベル算出部310で設定した各スライスレベルを用いてディジタル映像信号S140を2値化するデータスライス部160と、2値化したシリアルの各データをパラレルデータに変換し、文字放送の種別に応じた誤り訂正などのデコード処理を行うデコード回路170と、デコードした各データよりエラーが含まれていないデータを選択して映像信号出力端子190より出力するデータ選択部320と、デコード回路170で検出されたエラーの数に基づいて、スライスレベル算出部310がディジタル映像信号S140の振幅を判定する時に用いる振幅判定値を設定し、最適振幅判定値S332を出力する振幅判定値設定部330と、を有する。
【0095】
スライスレベル算出部310は、CRI検出期間にディジタル映像信号S140より立ち下がりを検出すると、立ち下り検出パルスS151を出力する立下り検出回路151と、立ち下り検出パルスS151よりディジタル映像信号S140の周波数を算出し、周波数データS152を出力する周波数算出回路152と、所定の文字放送方式に対応した周波数が算出される期間に、周波数判定ゲートパルスS153を出力する周波数判定回路153と、立ち下り検出パルスS151より所定の文字放送方式の立ち下がりに対応したパルスを抽出した周波数判定パルスS211a、および後述する振幅判定ゲートパルスS312に基づいて文字放送のパルス(CRI信号C)を抽出した振幅判定パルスS211bを出力するCRI判定回路211と、を有する。また、スライスレベル算出部310は、CRI検出期間にディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検索し、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとを出力する最大/最小検索回路212と、周波数判定パルスS211aをロードパルスとして、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとからディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検出し、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを出力する最大/最小検出回路213と、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとから、ディジタル映像信号S140の振幅および振幅の平均値を算出し、平均値を基準スライスレベルデータS311a、振幅を振幅検出データS311b、CRI信号Cの振幅を振幅レベルデータS311cとして出力する平均/振幅算出回路311と、振幅レベルデータS311cよりオフセット値を算出し、基準スライスレベルデータS311aにオフセットを持たせた上側スライスレベルデータS157aと下側スライスレベルデータS157bとを算出するスライスレベルオフセット値算出回路157と、予め決定されたCRI振幅判定値または、振幅判定値設定部330より入力される最適振幅判定値S332に基づいて、振幅検出データS311bが、所定の文字放送の信号の振幅を有するか判定し、CRI信号Cの振幅を有する期間に振幅判定ゲートパルスS312を出力する振幅判定回路312と、を有する。
【0096】
ここで、平均/振幅算出回路311は、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとより、ディジタル映像信号S140の振幅および振幅の平均値を算出し、振幅を、振幅検出データS311bとして振幅判定回路312に出力する。そして、振幅検出パルスS211bが入力されている時のみ、算出した平均値を、基準スライスレベルデータS311aとして、スライスレベルオフセット値算出回路157と2値化部220とに出力する。また、振幅判定パルスS211bが入力された時に、算出した振幅を振幅レベルデータS311cとして、スライスレベルオフセット値算出回路157に出力する。
【0097】
また、平均/振幅算出回路311は、次の周波数判定パルスS211aで新たな最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとより新振幅および新平均値を算出すると、さらに新平均値と基準スライスレベルデータS311aとの平均値を算出し、算出値によりスライスレベルデータS311aを更新する。同様に、新振幅と振幅レベルデータS311cとの平均値を算出し、算出値により振幅レベルデータS311cを更新する。
【0098】
振幅判定回路312には、振幅検出データS311bがCRI信号Cの振幅を有するものであるかを判定する際に判断基準として用いるCRI振幅判定値が予め設定されている。振幅判定回路312は、CRI振幅判定値を用いて、振幅検出データS311bがCRI信号Cの振幅を有するか判定し、CRI信号Cの振幅を有する期間に、振幅判定ゲートパルスS312をCRI判定回路211に出力する。また、振幅判定値設定部330より最適振幅判定値S332が入力されると、最適振幅判定値S332によりCRI振幅判定値を更新し、更新したCRI振幅判定値を用いて、振幅検出データS311bの振幅を判定する。
【0099】
また、データ選択部320は、デコードエラーのないデコードデータを示すデコードデータ選択信号S321aに加えて、最終デコードデータS182にデコードエラーがあるかを示すエラー検出信号S321bを出力するエラー検出回路321と、デコードデータ選択信号S321aに基づき、デコードデータS170a〜S170cよりデコードエラーのないデコードデータを選択し、最終デコードデータS182を映像信号出力端子190より装置外部に出力するデコードデータ選択回路182と、を有する。
【0100】
振幅判定値設定部330は、エラー検出信号S321bより、所定の期間に検出されるデコードエラーの数をカウントし、エラー数カウントデータS331を生成するエラー数カウント回路331と、エラー数カウントデータS331に基づいて、CRI振幅判定値の最適値を決定し、最適振幅判定値S332をスライスレベル算出部310の振幅判定回路312に出力するコントローラ332と、を有する。
【0101】
ここで、コントローラ332は、CRI振幅判定値が各値である場合の、そのCRI振幅判定値に対するエラー数カウントデータの関係を保持している。この各CRI振幅判定値とエラー数カウントデータとの関係の例を、図6に示す。なお、各CRI振幅判定値とエラー数カウントデータとの関係を取得する方法は、後で詳述する。エラー数カウントデータS331が入力されると、コントローラ332は、各CRI振幅判定値とエラー数カウントデータとの関係より、エラー数がエラー数カウントデータS331である場合の最適なCRI振幅判定値を検索する。そして、検出した最適なCRI振幅判定値を、最適振幅判定値S332として振幅判定回路312に出力する。
【0102】
次に、以上のように構成されるデータスライス装置300の動作について、図面を参照しながら説明する。
図7は、群遅延及び電界強度の低下などにより歪んだアナログ映像信号S110が入力された場合の、データスライス装置300の動作を示すタイミング図である。図7において、図5と同一または相当する部分には同一符号を付してある。また、T21〜T29は、ディジタル映像信号S140が変化した時刻である。
【0103】
文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号S110が映像信号入力端子110を介して入力されると、A/D変換器120はこれをディジタル信号に変換し、ディジタル映像信号S120をCRI検出部130とLPF140とに出力する。すると、LPF140は、ディジタル映像信号S120よりノイズを除去したディジタル映像信号S140を、スライスレベル算出部310と、データスライス部160とに出力する。
【0104】
時刻T21において、水平同期信号Aと垂直同期信号とを含んだディジタル映像信号S120がCRI検出部130に入力されるので、同期分離回路131は、ディジタル映像信号S120から垂直同期信号S131aと水平同期信号S131bとを分離する。
【0105】
次に、CRI検出範囲信号生成回路132は、垂直同期信号S131aおよび水平同期信号S131bに基づいてCRI信号Cの開始位置(時刻T22)および終了位置を求め、CRI検出期間に、CRI検出範囲信号S132を出力する。
【0106】
CRI検出範囲信号S132が入力されている間、スライスレベル算出部310はCRI信号Cに基づいてスライスレベルの算出処理を行うので、立下り検出回路151は、ディジタル映像信号S140の位相の変化を判定する。また、最大/最小検索回路212は、ディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索し、最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとを、最大/最小値検出回路213に出力する。
【0107】
時刻T23および時刻T24において、立下り検出回路151は、ディジタル映像信号S140のノイズC’の立ち下がりをCRI信号Cの立ち下がりとして誤検出し、立ち下り検出パルスS151を生成する。すると、周波数算出回路152は、時刻T23および時刻T24において検出した立ち下り検出パルスS151より、ディジタル映像信号S140の周波数を算出し、周波数データS152を出力する。周波数判定回路153は、この周波数データS152に基づいて、立下り検出回路151において検出した立ち下がりが、所定の文字放送方式に対応した信号であると判定し、周波数判定ゲートパルスS153をCRI判定回路211に出力する。この周波数判定ゲートパルスS153に基づいて、CRI判定回路211は、立ち下り検出パルスS151が文字放送方式に対応したパルスであると判定し、周波数判定パルスS211aを、最大/最小検索回路212と最大/最小検出回路213とに出力する。
【0108】
最大/最小検出回路213は、この周波数判定パルスS211aをロードパルスとして、時刻T23、T24間に検索された最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをサンプリングすることにより、ディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検出し、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを出力する。また、最大/最小検索回路212は、周波数判定パルスS211aに基づいて、時刻T23、T24間に検索した最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをリセットし、時刻T24以降のディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索する。平均/振幅算出回路311は、最大値検出データ213aと最小値検出データS213bとより、ディジタル映像信号S140の振幅を算出し、算出値を振幅検出データS311bとして振幅判定回路312に出力する。なお、この時には振幅検出パルスS211bが生成されていないので、スライスレベルデータS311aや振幅レベルデータS311cは出力されない。
【0109】
次に、振幅判定回路312において、予め設定されているCRI振幅判定値を用いて、振幅検出データS311bがCRI信号Cの振幅を有するか判定する。この場合、振幅検出データS311bがノイズC’より検出されたものであり、CRI信号Cより検出される振幅検出データより小さい値であるため、CRI振幅判定値の条件を満たさない。このため、振幅判定回路312は、この振幅検出データS311bがCRI信号Cの振幅を有さないと判定し、振幅判定ゲートパルスS312を生成しない。
【0110】
時刻T25および時刻T26において、CRI信号Cが検出される。立下り検出回路151は、時刻T25においてCRI信号Cの最初の立ち下がりを、時刻T26においてCRI信号Cの2番目の立ち下がりを検出し、立ち下り検出パルスS151を出力する。この立ち下り検出パルスS151により周波数算出回路152が算出した周波数は、文字放送方式に対応した周波数であるので、周波数判定パルスS211aが最大/最小検索回路212と最大/最小検出回路213とに入力される。
【0111】
最大/最小検出回路213は、この周波数判定パルスS211aをロードパルスとして、時刻T25、時刻T26間に検索された最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをサンプリングすることにより、ディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検出し、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを出力する。また、最大/最小検索回路212は、周波数判定パルスS211aに基づいて、時刻T25、時刻T26間に検索した最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをリセットし、時刻T26以降のディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索する。平均/振幅算出回路311は、最大値検出データ213aと最小値検出データS213bとより、ディジタル映像信号の振幅を算出し、算出値を振幅検出データS311bとして振幅判定回路312に出力する。
【0112】
振幅判定回路312は、この振幅検出データS311bがCRI信号Cの振幅を有すると判定し、振幅判定ゲートパルスS312をCRI判定回路211に出力する。すると、CRI判定回路211は振幅判定ゲートパルスS312に基づいて、周波数判定パルスS211aからCRI信号Cのパルスを抽出した振幅判定パルスS211bを、平均/振幅算出回路311に出力する。
【0113】
振幅判定パルスS211bが入力されると、平均/振幅算出回路311は、算出したディジタル映像信号S140の振幅の平均値を基準スライスレベルデータS311aとしてスライスレベルオフセット値算出回路157とデータスライス部160とに出力し、振幅を振幅レベルデータS311cとしてスライスレベルオフセット値算出回路157に出力する。スライスレベルオフセット値算出回路157は、振幅レベルデータS311cよりオフセット値を算出し、基準スライスレベルデータS311aにオフセット値を加算した上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS311aからオフセット値を減算した下側スライスレベルデータS157bと、を出力する。
【0114】
時刻T27において、立下り検出回路151はCRI信号Cの3番目の立ち下がりを検出し、立ち下り検出パルスS151を出力する。時刻T26および時刻T27に出力された立ち下り検出パルスS151により周波数算出回路152が算出した周波数は、文字放送方式に対応した周波数であるので、周波数判定パルスS211aが最大/最小検索回路212と最大/最小検出回路213とに入力される。
【0115】
最大/最小検出回路213は、この周波数判定パルスS211aをロードパルスとして検出した最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを、平均/振幅算出回路311に出力する。そして、最大/最小検索回路212は、周波数判定パルスS211aに基づいて最大値検索データS212aと最小値検索データS212bとをリセットし、時刻T27以降の最大値および最小値を検索する。平均/振幅算出回路311は、最大値検出データ213aと最小値検出データS213bとより、ディジタル映像信号S140の振幅を算出し、算出値を振幅検出データS311bとして振幅判定回路312に出力する。
【0116】
この振幅検出データS311bはCRI信号Cの振幅を有するので、振幅判定回路312は振幅判定ゲートパルスS312をCRI判定回路211に出力し、CRI判定回路211は振幅判定ゲートパルスS312に基づいて、振幅判定パルスS211bを出力する。
【0117】
振幅判定パルスS211bが入力されると、平均/振幅算出回路311は、ディジタル映像信号S140の振幅の平均値を算出する。さらに、時刻T27において算出した平均値と、時刻T26において算出した基準スライスレベルデータと、の平均値を算出し、この算出値により基準スライスレベルデータS311aを更新する。さらに、時刻T27におけるディジタル映像信号S140の振幅と、時刻T26において算出した振幅レベルデータS311cと、の平均値を算出し、この算出値により振幅レベルデータS311cを更新する。そして、スライスレベルオフセット値算出回路157は、振幅レベルデータS311cより算出したオフセット値に基づいて、上側スライスレベルデータS157aと下側スライスレベルデータS157bとを算出する。
【0118】
また、時刻T28において、立下り検出回路151はCRI信号Cの4番目の立ち下がりを検出し、立ち下り検出パルスS151を出力する。この立ち下がりパルスと、最大/最小検索回路212において検索した最大値検索データS212aおよび最小値検索データS212bとに基づいて、スライスレベル算出部310は時刻T27において行った処理と同様の処理を行い、基準スライスレベルデータS311aと、上側スライスレベルデータS157a、下側スライスレベルデータS157bと、を出力する。
【0119】
時刻T29においてCRI検出範囲信号S132が終了すると、スライスレベル算出部310はスライスレベルの算出処理を終了する。このため、時刻T29における基準スライスレベルデータS311a、および上側スライスレベルデータS157a、下側スライスレベルデータS157bは、この時刻以降において変更されることのない、確定されたデータとなる。
【0120】
また、時刻T29において、フレーミングコード信号Dを含んだディジタル映像信号S140がデータスライス部160に入力されると、2値化回路161は、上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS311aと、下側スライスレベルデータS157bとを用いて、ディジタル映像信号S140を2値化し、2値化データS161a〜S161cを生成する。そして、抜き取り回路163において、抜き取りパルス生成回路162が生成する抜き取りパルスS162で、2値化データS161a〜S161cから文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS163a〜S163cをデコード回路170に出力する。デコード回路170は、これらの抜き取りシリアルデータS163a〜163cをパラレルデータに変換し、フレーミングコードを検出する。
【0121】
テキストデータ信号Eを含んだディジタル映像信号S140がデータスライス部160に入力されると、フレーミングコード信号Dと同様に、2値化回路161は、上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS311aと、下側スライスレベルデータS157bと、を用いてディジタル映像信号S140を2値化することにより、2値化データS161a〜S161cを生成する。そして、抜き取り回路163において、抜き取りパルスS162で、2値化データS161a〜S161cから文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS163a〜S163cを、デコード回路170に出力する。すると、デコード回路170は、抜き取りシリアルデータS163a〜163cをパラレルデータに変換し、フレーミングコードに示された文字放送の種類に応じたデコード処理を行い、デコードデータS170a〜S170cをデータ選択部320に出力する。
【0122】
デコードデータS170a〜S170cがデータ選択部320に入力されると、エラー検出回路321は、デコードデータS170a〜S170cよりデコードエラーを検出する。そして、エラー検出回路321は、デコードデータS170a〜S170cのうちデコードエラーのないデコードデータを示すデコードデータ選択信号S321aを出力する。デコードデータS170a〜S170cのすべてがデコードエラーを有する場合、デコードデータ選択信号S321aとして、いずれかのデコードデータが指定される。デコードデータ選択回路182は、このデコードデータ選択信号S321aに基づいて、デコードデータS170a〜S170cからデコードエラーの無いものを選択し、最終デコードデータS182として出力する。エラー検出回路321は、最終デコードデータS182がデコードエラーを有するか判定し、デコードエラーを有する場合、エラー検出信号S321bを振幅判定値設定部330に出力する。
【0123】
振幅判定値設定部330にエラー検出信号S321bが入力されると、エラー数カウント回路331は、所定の期間、エラー検出信号S321bよりデコードエラーの数をカウントする。そして、その期間が経過すると、デコードエラーの数のカウント結果であるエラー数カウントデータS331をコントローラ332に出力する。コントローラ332は、保持している各CRI振幅判定値とエラー数カウントデータとの関係より、デコードエラーの数がエラー数カウントデータS331である場合の最適なCRI振幅判定値を検出し、最適振幅判定値S332をスライスレベル算出部310に出力する。すると、振幅判定回路312は、この最適振幅判定値S332によりCRI振幅判定値を更新する。
【0124】
次に、データスライス装置300において、各CRI振幅判定値とエラー数カウントデータとの関係を取得する方法、および振幅判定回路312が保持するCRI振幅判定値を最適化する方法を、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0125】
このCRI振幅判定値の最適化処理は、例えば、電源立ち上げ時や受信チャンネルの切り替え時など信号形状が不明な時に、その時の信号形状に対して最適なCRI振幅判定値を設定するために実施するものである。
【0126】
まず、コントローラ332は、CRI振幅判定値に、所定の開始値を設定する。すなわち、コントローラ332は、開始値を最適振幅判定値S332として出力し、振幅判定回路312は、この最適振幅判定値S332をCRI振幅判定値として設定する。ここでは、大きな値から検索を開始した場合について説明する(ステップS801)。
【0127】
次に、スライスレベル算出部310は、ステップS801において設定したCRI振幅判定値を基準値として振幅を判定することにより、文字放送の振幅を有すると判定されたCRI信号Cを用いてスライスレベルを算出し、基準スライスレベルデータS311aと上側スライスレベルデータS157aと下側スライスレベルデータS157bとを出力する(ステップS802)。
【0128】
CRI検出期間が終了し、フレーミングコード信号Dが入力されると、データスライス部160は、ステップS802において算出した各スライスレベルデータを用いてフレーミングコード信号Dを2値化し、デコード回路170においてフレーミングコードを取得する。そして、テキストデータ信号Eが入力されると、データスライス部160は、ステップS802において算出した各スライスレベルデータを用いてテキストデータ信号Eを2値化し、デコード回路170は、各2値化データに対してデコード処理を行う。データ選択部320は、デコード処理されたデコードデータS170a〜S170cのうち、デコードエラーの無いものを選択し、最終デコードデータS182として出力する(ステップS803)。
【0129】
最終デコードデータS182がデコードエラーを有する場合、エラー検出回路321は、エラー検出信号S321bを出力するので、エラー数カウント回路331は、このエラー検出信号S321bよりエラーの数をカウントし、エラー数カウントデータS331を出力する。コントローラ332は、この時のCRI振幅判定値(最適振幅判定値S332)に対する、エラー数カウントデータS331を保持する(ステップS804)。
【0130】
次に、コントローラ332は、垂直同期信号単位で定められた所定の期間、テキストデータ信号Eを2値化およびデコードして、エラー数カウントデータS331を取得したか判断し、所定の期間、処理を行っていない場合はステップS802に戻る(ステップS805)。
【0131】
ステップS805において、所定の期間、処理を行ったと判断された場合、現在の最適振幅判定値S332が、所定の終了値であるか判断する(ステップS806)。
【0132】
現在の最適振幅判定値S332が終了値でない場合、コントローラ332は、現在の最適振幅判定値S332から所定のステップ値を減算する。そして、この最適振幅判定値S332を、振幅判定回路312に出力する。振幅判定回路312は、この最適振幅判定値S332によりCRI振幅判定値を更新する。そして、ステップS802に戻り、CRI信号Cを用いたスライスレベルの算出を行う(ステップS807)。
【0133】
一方、終了値まで最適振幅判定値S332を減算して処理を行った場合、コントローラ332は、取得した各CRI振幅判定値とエラー数との関係(図6参照)より、エラー数が最小となるCRI振幅判定値を選定し、これを最適振幅判定値S332として振幅判定回路312に出力する。振幅判定回路312は、この最適振幅判定値S332によりCRI振幅判定値を更新し、CRI振幅判定値の最適化処理を終了する(ステップS808)。
【0134】
以上のように、本実施の形態3によるデータスライス装置300によれば、保持しているCRI振幅判定値に基づいて、平均/振幅算出回路311において算出した振幅検出データS311bはCRI信号Cの振幅を有するものであるか判定する振幅判定回路312を備え、平均/振幅算出回路311は、振幅検出データS311bがCRI信号Cの振幅を有すると判定されたときにのみ、算出した平均値を基準スライスレベルデータ311a、振幅を振幅レベルデータS311cとして出力するので、CRI信号Cに近似した周期のノイズをCRI信号Cとして誤検出した場合であっても、ノイズより算出した平均値を除外して基準スライスレベルデータS311aを算出することができる。
【0135】
また、振幅レベルデータS311cに基づき算出したオフセット値を基準スライスレベルデータS311aに加算した上側スライスレベルデータS157a、および基準スライスレベルデータS311aよりオフセット値を減算した下側スライスレベルデータS157bを算出するスライスレベルオフセット値算出回路157を備えたので、伝送系における群遅延及び電界強度の低下などによりディジタル映像信号S140に歪みが生じ、基準スライスレベルデータS311aのみで2値化すると誤った値に2値化してしまう場合であっても、いずれかのスライスレベルデータにより、正しい値に2値化することができるので、デコードエラーの発生率をさらに低く抑えることができる。
【0136】
さらに、最終デコードデータS182に含まれるデコードエラーの数をカウントするエラー数カウント回路331と、デコードエラーの数に基づいて、CRI振幅判定値を変更するコントローラ332と、を備えたので、ディジタル映像信号S140の歪みが変化する場合においても、CRI振幅判定値を、その信号形状に適した値に更新することにより、信号形状に適したスライスレベルデータを算出することができるので、デコードエラーの発生率を更に低く抑えることができる。
【0137】
なお、本実施の形態3では、各CRI振幅判定値(最適振幅判定値S332)に対するエラー数カウントデータを取得する際に、最適振幅判定値S332の開始値を最大値とし、順次、最適振幅判定値S332よりステップ値を減算しながら、その最適振幅判定値に対するエラー数カウントデータS331を取得する、としたが、最適振幅判定値S332の開始値を最小値とし、順次、最適振幅判定値S332にステップ値を加算しながら、その最適振幅判定値に対するエラー数カウントデータS331を取得するようにしても、本実施の形態3と同様の効果が得られる。
【0138】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4によるデータスライス装置について、図面を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態4に係るデータスライス装置400の構成を示すブロック図である。なお、図9において、図5に示すものと同一または相当する部分には同一符号を付して、詳しい説明を省略する。
【0139】
図9に示すように、本実施の形態4によるデータスライス装置400は、デコード回路420を、デコードデータS420a〜S420cに加えて、抜き取りシリアルデータS163a〜S163cをデコードしている期間にデコードデータ検出期間ゲートパルスS420dを出力するようにし、最大/最小検索回路411を、CRI検出範囲信号S312またはデコードデータ検出期間ゲートパルスS420dが入力されている時に、ディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索し、最大値検索データS411aおよび最小値検索データS411bを出力するようにしたものである。さらに、スライスレベル算出回路410に、実施の形態3のスライスレベル算出回路310に加えて、抜き取りパルス生成回路162が生成する抜き取りパルスS162とデコードデータ検出期間ゲートパルスS420dとに基づいて、デコードデータのデータ単位間隔でデコードデータ単位パルスS412を出力するデコードデータ単位パルス生成回路412と、デコードデータ単位パルスS412が生成されていないときには周波数判定パルスS211aを、デコードデータ単位パルスS412が生成されている時にはデコードデータ単位パルスS412を、選択して、平均/振幅算出回路311に出力するパルス選択回路413と、を設けたものである。
【0140】
ここで、デコードデータ単位パルス生成回路412は、デコードデータ検出期間ゲートパルスS420dが入力されている期間、抜き取りパルスS162をカウントし、デコードデータのデータ単位間隔でデコードデータ単位パルスS412を生成する。例えば、デコードデータが8ビット単位で構成されている場合、デコードデータ単位パルス生成回路412は、抜き取りパルスS162をカウントし、8パルス間隔でデコードデータ単位パルスS412を生成する。
【0141】
次に、以上のように構成されるデータスライス装置400の動作について説明する。
文字放送シリアルデータが重畳されたアナログ映像信号S110が映像信号入力端子110を介して入力されると、A/D変換器120はこれをディジタル信号に変換し、ディジタル映像信号S120をCRI検出部130とLPF140とに出力する。すると、LPF140は、ディジタル映像信号S120よりノイズを除去したディジタル映像信号S140を、スライスレベル算出部410と、データスライス部160とに出力する。また、CRI検出部130は、ディジタル映像信号S120から分離した垂直同期信号S131aおよび水平同期信号S131bに基づいて、CRI検出範囲信号S132を生成し、スライスレベル算出部410に出力する。
【0142】
ディジタル映像信号S140とCRI検出範囲信号S132とが入力されると、スライスレベル算出部410はスライスレベルの算出を開始する。最大/最小検索回路411は、ディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索し、最大値検索データS411aおよび最小値検索データS411bを出力する。立ち下がり検出回路151は、ディジタル映像信号S140の最初の立ち下がりと2番目の立ち下がりとを検出し、立ち下り検出パルスS151を出力する。この立ち下り検出パルスS151より算出したディジタル映像信号S140の周波数は、所定の文字放送方式に対応した周波数なので、周波数判定回路153は、周波数判定ゲートパルスS153をCRI判定回路211に出力する。CRI判定回路211は、この周波数判定ゲートパルスS153と立ち下がり検出パルス151とに基づいて周波数判定パルスS211aを生成し、パルス選択回路413に出力する。この時、パルス選択回路413にはデコードデータ単位パルスS412が入力されていないので、パルス選択回路413は周波数判定パルスS211aを選択して、最大/最小検索回路411と最大/最小検出回路213とに出力する。
【0143】
最大/最小検出回路213は、この周波数判定パルスS211aをロードパルスとして、最大値検索データS411aと最小値検索データS411bとをサンプリングすることにより、ディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検出し、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを出力する。その後、最大/最小検索回路411は、検索したデータをリセットし、新たな期間に入力されるディジタル映像信号S140の、最大値および最小値を検索する。平均/振幅算出回路311は、最大値検出データ213aと最小値検出データS213bとより、ディジタル映像信号S140の振幅を算出し、算出値を振幅検出データS311bとして振幅判定回路312に出力する。
【0144】
この振幅検出データS311bはCRI信号Cの振幅を有するので、振幅判定回路312は振幅判定ゲートパルスS312を出力する。CRI判定回路211は、振幅判定ゲートパルスS312に基づいて、周波数判定パルスS211aからCRI信号Cのパルスを抽出した振幅判定パルスS211bを平均/振幅算出回路311に出力する。
【0145】
平均/振幅算出回路311は、振幅判定パルスS211bが入力されると、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとより算出したディジタル映像信号S140の振幅の平均値を、基準スライスレベルデータS311aとしてデータスライス部160に出力し、振幅を、振幅レベルデータS311cとしてスライスレベルオフセット値算出回路157に出力する。スライスレベルオフセット値算出回路157は、振幅レベルデータS311cよりオフセット値を算出し、基準スライスレベルデータS311aにオフセット値を加算した上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS311aからオフセット値を減算した下側スライスレベルデータS157bと、を出力する。
【0146】
立下り検出回路151において、CRI信号Cの次の立ち下がりが検出され立ち下がり検出パルスS151が生成されると、その立ち下がり検出パルスS151を用いて同様の処理を行い、平均/振幅算出回路311においてCRI信号Cの振幅と振幅の平均値と、を算出する。そして、平均/振幅算出回路311は、CRI信号Cの振幅の平均値と、前回算出した基準スライスレベルデータと、の平均値を算出し、この算出値により基準スライスレベルデータS311aを更新する。同様に、CRI信号Cの振幅と、前回算出した振幅レベルデータと、の平均値を算出し、この算出値により振幅レベルデータS311cを更新する。スライスレベルオフセット値算出回路157は、振幅レベルデータS311cよりオフセット値を算出し、基準スライスレベルデータS311aにオフセットを設けた上側スライスレベルデータS157aと下側スライスレベルデータS157bとを出力する。
【0147】
フレーミングコード信号Dを含んだディジタル映像信号S140がデータスライス部160に入力されると、2値化回路161は、上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS311aと、下側スライスレベルデータS157bとを用いて、ディジタル映像信号S140を2値化し、2値化データS161a〜S161cを生成する。抜き取りパルス生成回路162は、生成した抜き取りパルスS162を、抜き取り回路163とデコードデータ単位パルス生成回路412とに出力し、抜き取り回路163は、抜き取りパルスS162で、2値化データS161a〜S161cから文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS163a〜S163cを出力する。デコード回路420は、これらの抜き取りシリアルデータS163a〜163cをパラレルデータに変換し、フレーミングコードを検出する。さらにデコード回路420は、デコード処理を行っている期間に、デコードデータ検出期間ゲートパルスS420dを、最大/最小検索回路411とデコードデータ単位パルス生成回路412とに出力する。
【0148】
最大/最小検索回路411にデコードデータ検出期間ゲートパルスS420dが入力されると、最大/最小検索回路411は、ディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索し、最大値検索データS411aおよび最小値検索データS411bを出力する。
【0149】
一方、デコードデータ単位パルス生成回路412に、抜き取りパルスS162とデコードデータ検出期間ゲートパルスS420dとが入力されると、デコードデータ単位パルス生成回路412は、抜き取りパルスS162をカウントし、データ単位間隔でデコードデータ単位パルスS412を出力する。すると、パルス選択回路413は、このデコードデータ単位パルスS412を選択し、最大/最小検出回路213と最大/最小検索回路411とに出力する。
【0150】
最大/最小検出回路213は、このデコードデータ単位パルスS412をロードパルスとして、最大値検索データS411aと最小値検索データS411bとをサンプリングすることにより、ディジタル映像信号S140の最大値と最小値とを検出し、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを出力する。また、最大/最小検索回路411にデコードデータ単位パルスS412が入力されると、最大/最小検索回路411は検索したデータをリセットし、新たな期間のディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索する。そして、平均/振幅算出回路311は、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bより算出したディジタル映像信号S140の振幅の平均値を基準スライスレベルデータS311aとしてスライスレベルオフセット値算出回路157とデータスライス部160とに出力し、振幅を振幅レベルデータS311cとしてスライスレベルオフセット値算出回路157に出力する。スライスレベルオフセット値算出回路157は、振幅レベルデータS311cよりオフセット値を算出し、基準スライスレベルデータS311aにオフセット値を加算した上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS311aからオフセット値を減算した下側スライスレベルデータS157bと、を出力する。
【0151】
テキストデータ信号Eを含んだディジタル映像信号S140がデータスライス部160に入力されると、フレーミングコード信号Dと同様に、2値化回路161は、上側スライスレベルデータS157aと、基準スライスレベルデータS311aと、下側スライスレベルデータS157bとを用いて、ディジタル映像信号S140を2値化し、2値化データS161a〜S161cを生成する。そして、抜き取り回路163において、抜き取りパルスS162で、2値化データS161a〜S161cから文字放送シリアルデータを抜き取り、抜き取りシリアルデータS163a〜S163cを出力する。デコード回路420は、抜き取りシリアルデータS163a〜163cをパラレルデータに変換し、フレーミングコードに示された文字放送の種類に応じたデコード処理を行い、デコードデータS420a〜S420cを出力する。さらにデコード回路420は、デコード処理を行っている期間に、デコードデータ検出期間ゲートパルスS420dを、最大/最小検索回路411とデコードデータ単位パルス生成回路412とに出力する。そして、デコードデータ選択回路182は、エラー検出信号S321bに基づいて、デコードデータS420a〜S420cよりデコードエラーのないものを選択し、最終デコードデータS182として出力する。エラー検出回路321は、この最終デコードデータS182よりエラーを検出すると、エラー検出信号S321bをエラー数カウント回路331に出力する。コントローラ332は、エラー検出信号S321bよりデコードエラーの数をカウントしたエラー数カウントデータS331に基づき、最適なCRI振幅判定値を検出し、最適振幅判定値S332をスライスレベル算出部410に出力する。すると、振幅判定回路312は、この最適振幅判定値S332によりCRI振幅判定値を更新する。
【0152】
一方、最大/最小検索回路411にデコードデータ検出期間ゲートパルスS420dが入力されると、最大/最小検索回路411は、テキストデータ信号Eを含んだディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索し、最大値検索データS411aおよび最小値検索データS411bを出力する。また、パルス選択回路413は、デコードデータ単位パルス生成回路412が出力するデコードデータ単位パルスS412を選択し、最大/最小検出回路213と最大/最小検索回路411とに出力する。最大/最小検出回路213は、このデコードデータ単位パルスS412をロードパルスとして最大値検索データS411aと最小値検索データS411bとをサンプリングし、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとを出力する。また、デコードデータ単位パルスに基づいて、最大/最小検索回路411は検索したデータをリセットし、新たな期間のディジタル映像信号S140の最大値および最小値を検索する。平均/振幅算出回路311は、最大値検出データS213aと最小値検出データS213bとに基づいて、基準スライスレベルデータS311aと振幅レベルデータS311cとを算出する。スライスレベルオフセット値算出回路157は、振幅レベルデータS311cより算出したオフセット値に基づいて、上側スライスレベルデータS157aと、下側スライスレベルデータS157bと、を算出する。
【0153】
そして、2値化回路161は、テキストデータ信号Eを含んだディジタル映像信号S140に基づき設定した基準スライスレベルデータS311a、および上側スライスレベルデータS157a、下側スライスレベルデータS157bを用いて、ディジタル映像信号S140を2値化し、2値化データS161a〜S161cを生成する。抜き取り回路163は、2値化データS161a〜S161cから文字放送シリアルデータを抜き取り、デコード回路420は、抜き取り回路163が出力する抜き取りシリアルデータS163a〜S163cに対してデコード処理を行い、デコードデータS420a〜S420cを出力する。そして、デコードデータ選択回路182は、エラー検出信号S321bに基づいて、デコードデータS420a〜S420cよりデコードエラーのないものを選択し、最終デコードデータS182として出力する。エラー検出回路321は、この最終デコードデータS182よりエラーを検出すると、エラー検出信号S321bをエラー数カウント回路331に出力する。コントローラ332は、エラー数カウント回路においてカウントしたエラー数カウントデータS331に基づいて、最適なCRI振幅判定値を検出し、最適振幅判定値S332をスライスレベル算出部410に出力する。すると、振幅判定回路312は、この最適振幅判定値S332によりCRI振幅判定値を更新する。
【0154】
以上のように、本実施の形態4によるデータスライス装置300によれば、最大/最小検索回路411を、CRI信号Cのみでなく、フレーミングコード信号Dおよびテキストデータ信号Eの最大値および最小値をも検索するようにし、CRI信号Cのみでなく、フレーミングコード信号Dおよびテキストデータ信号Eをも用いてスライスレベルの算出処理を行うようにしたことにより、CRI信号C以降の信号において信号の形状が変化した場合でも、その信号形状に対応したスライスレベルデータを算出することができるので、デコードエラーの発生率を更に低く抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明による振幅判定値設定方法は、振幅判定値を、ディジタル信号の信号形状に適した値に更新することにより、信号形状に適した振幅判定値を用いて所望の信号を検出し、スライスレベルデータを算出することができるので、ディジタル信号の歪みが変化する場合でも、デコードエラーの発生を抑制することができ、データスライス装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本実施の形態1に係るデータスライス装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態1に係るデータスライス装置に、減衰した信号が入力された場合の動作を示すタイミング図である。
【図3】本実施の形態2に係るデータスライス装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態2に係るデータスライス装置に、減衰した信号が入力された場合の動作を示すタイミング図である。
【図5】本実施の形態3に係るデータスライス装置の構成を示すブロック図である。
【図6】CRI振幅判定値を設定する際に用いる、CRI振幅判定値とエラー数との関係を表した図である。
【図7】本実施の形態3に係るデータスライス装置に、減衰した信号が入力された場合の動作を示すタイミング図である。
【図8】本実施の形態3に係るデータスライス装置において、CRI振幅判定値を設定する方法を説明するフローチャートである。
【図9】本実施の形態4に係るデータスライス装置の構成を示すブロック図である。
【図10】従来のデータスライス装置の構成を示すブロック図である。
【図11】従来のデータスライス装置に、正常な信号が入力された時の動作を示すタイミング図である。
【図12】従来のデータスライス装置に、減衰した信号が入力された場合の動作を示すタイミング図である。
【符号の説明】
【0157】
110 映像信号入力端子
S110 アナログ映像信号
120 A/D変換器
S120、S140 ディジタル映像信号
130 CRI検出部
131同期分離回路
S131a 垂直同期信号
S131b 水平同期信号
132 CRI検出範囲信号生成回路
S132 CRI検出範囲信号
140 LPF
150、210、310、410、510 スライスレベル算出部
151 立下り検出回路
S151 立下り検出パルス
152 周波数検出回路
S152 周波数データ
153 周波数判定回路
S153 周波数判定ゲートパルス
151、211 CRI判定回路
S154、S211a 周波数判定パルス
S211b 振幅判定パルス
155、212、411 最大/最小検索回路
155a、S212a、S411a 最大値検索データ
155b、S212b、S411b 最小値検索データ
213 最大/最小検出回路
S213a 最大値検出データ
S213b 最小値検出データ
156、214、311 平均/振幅算出回路
511 平均算出回路
S156a、S311a 基準スライスレベルデータ
S214a、S511 スライスレベルデータ
S156b、S214b、S311b 振幅検出データ
S311c 振幅レベルデータ
215、312 振幅判定回路
S215、S312 振幅判定ゲートパルス
412 デコードデータ単位パルス生成回路
S412 デコードデータ単位パルス
413 パルス判定回路
S413 平均/振幅算出単位判定パルス
157 スライスレベルオフセット値算出回路
S157a 上側スライスレベルデータ
S157b 下側スライスレベルデータ
160、220 データスライス部
161、221 2値化回路
S161a、S161b、S161c、S221 2値化データ
162 抜き取りパルス生成回路
S162 抜き取りパルス
163、222 抜き取り回路
S163a、S163b、S163c、S222 抜き取りシリアルデータ
170、230、420 デコード回路
S170a、S170b、S170c、S230、S420a、S420b、
S420c デコードデータ
S420d デコードデータ検出期間ゲートパルス
180、320 データ選択部
181、321 エラー検出回路
S181、S321a デコードデータ選択信号
S321b エラー検出信号
182 デコードデータ選択回路
S182 最終デコードデータ
S230 デコードデータ
190 映像信号出力端子
330 振幅判定値設定部
331 エラー数カウント回路
S331 エラー数カウントデータ
332 コントローラ
S332 最適振幅判定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアルで伝送されるデータを含んだ入力信号が所望する信号であるか判定するための振幅判定値に、開始値を設定する開始値設定ステップと、
所定の期間、上記振幅判定値に基いて、上記入力信号の振幅が所望の信号であるか判定し、所望の信号を検出する信号検出ステップと、
所望の信号を検出すると、該検出された信号に基づき、上記入力信号を2値化するためのスライスレベルデータを算出するスライスレベルデータ算出ステップと、
上記入力信号を、上記スライスレベルデータにより2値化して2値化信号に変換する2値化ステップと、
上記2値化信号より上記データを抜き取ったシリアルデータをデコードし、デコードデータを生成するデコードステップと、
上記デコードデータのエラーの数をカウントし、上記振幅判定値と該エラーの数とを記憶するエラー数取得ステップと、
所定の期間、上記入力信号を2値化およびデコードして、上記デコードデータのエラーの数をカウントすると、上記振幅判定値に対して、所定のステップ値で終了値に近づくように演算処理を行い、上記振幅判定値を更新する振幅判定値更新ステップと、
開始値から終了値まで所定のステップ値で上記振幅判定値を変更しながら取得した、上記振幅判定値を各値とした場合のエラーの数より、エラーの数が最小となる振幅判定値を最適な振幅判定値として選択する振幅判定値選択ステップと、
を備えたことを特徴とする振幅判定値設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−235987(P2007−235987A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107384(P2007−107384)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【分割の表示】特願2002−192954(P2002−192954)の分割
【原出願日】平成14年7月2日(2002.7.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】