説明

挿入層状ケイ酸塩

挿入層状ケイ酸塩は層状ケイ酸塩およびこの層状ケイ酸塩のケイ酸塩層間に吸蔵される挿入剤を含む。この挿入剤の量は少なくとも約20Åのケイ酸塩層間の平均層間間隔をもたらすのに有効なものである。この挿入剤はここに記載される式IからVIIから選択される式を有する。挿入層状ケイ酸塩は、これをマトリックス媒体と混合し、および分散粒子組成物を形成するのに十分なエネルギーを加えることによって剥離させることができる。包装用フィルム、例えば、食品包装用フィルムがこの分散粒子組成物を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は挿入層状ケイ酸塩および挿入層状ケイ酸塩から剥離した(exfoliated)ケイ酸塩小板を含む分散粒子組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
挿入粘土は四級アンモニウム系挿入剤を用いて作製することができる。しかしながら、幾つかの最終用途、例えば、食品接触性物質においては、四級アンモニウム系挿入剤の使用に対する政府機関の認可を得ることが困難であり得る。さらに、四級アンモニウム系挿入剤は、この四級アンモニウム系挿入剤を組み込むマトリックス媒体の処理に望ましい処理滞留時間および温度で、許容し得ないほど多量の分解を示すことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1以上の実施形態では前述の問題の1つ以上に取り組むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
挿入層状ケイ酸塩は層状ケイ酸塩およびこの層状ケイ酸塩のケイ酸塩層間に吸蔵された(sorbed)挿入剤を含む。挿入剤の量は少なくとも約20Åのケイ酸塩層間の平均層間間隔をもたらすのに有効である。この挿入剤は下記式IからVIIから選択される式を有する。
【0005】
挿入層状ケイ酸塩は、これをマトリックス媒体と混合し、分散粒子組成物を形成するのに十分なエネルギーを加えることによって剥離させることができる。包装フィルム、例えば食品包装フィルムがこの分散粒子組成物を含むことができる。
【0006】
本発明のこれらの、および他の目的、利点および特徴は、本発明の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解され、およびこの真価が認められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
挿入層状ケイ酸塩は複数のケイ酸塩層を含む層状ケイ酸塩を含む。少なくとも1種類の挿入剤がこれらのケイ酸塩層間に、少なくとも約20Åのケイ酸塩層間の平均層間間隔をもたらすのに有効な量で吸蔵される。
【0008】
層状ケイ酸塩
挿入層状ケイ酸塩は層状ケイ酸を含む。この層状ケイ酸塩(すなわち、葉状ケイ酸塩(phyllosilicate))は天然のものであっても合成的に誘導されたものであってもよい。例示的な層状ケイ酸塩には以下が含まれる。
【0009】
1.天然粘土、例えば、スメクタイト粘土、例えば、ベントナイト粘土(例えば、モンモリロナイト、ヘクトライド)、雲母、バーミキュライト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコアイト、およびサポナイト;
2.層状ポリケイ酸(例えば、層状ケイ酸)、例えば、カネマイト、マカタイト、イレライト、オクトシリケート、マガディアイト、およびケニヤアイト;並びに
3.合成粘土、例えば、合成ケイ酸塩、合成雲母、合成サポナイト、合成ラポナイト、および合成ヘクトライト。
【0010】
層状ケイ酸塩は複数のケイ酸塩層を含み、すなわち、層間距離が可変である複数の積層したケイ酸塩シートもしくは層を有する層状構造を含む。例えば、層状ケイ酸塩は、2つの四面体ケイ酸塩層に挟まれた酸化アルミニウムを含む中央八面体層によって代表される、2:1層構造を有することができる。この酸化物のアルミニウムはマグネシウム、鉄、クロム、マンガン、もしくはリチウムのいずれかで置換することもできる。置換が異なる電荷のイオン間で生じるとき、過剰の負電荷がケイ酸塩構造の対応部分に発生することがある。この過剰の負電荷は、このケイ酸塩の領域と会合する陽イオン、例えば、Na+によって消費され得る。層状ケイ酸塩の層は、この層状ケイ酸塩が、例えば水中で、膨潤性であるように、互いに対して乱層構造であり得る。ケイ酸層の平均厚みは少なくともほぼ以下のいずれかであり得:3、5、8、10、15、20、30、40、および50Å;および多くともほぼ以下のいずれかであり得る。60、50、45、35、25、20、15、12、10、8、および5Å。例えば、多くの層状ケイ酸塩は8から11Åの範囲をとるケイ酸層厚を有する。
【0011】
挿入剤を挿入する前の相対湿度60%での層状ケイ酸塩の平均層間間隔は少なくともほぼ以下のいずれかであり得:1、2、3、4、5、6、8、および10Å;および多くもとほぼ以下のいずれかであり得る。20、15、10、8、6、5、3、および2Å。
【0012】
層状ケイ酸塩(挿入層状ケイ酸塩を含む)の平均層間間隔(すなわち、ギャラリー間隔)は、この層状ケイ酸塩の代表的な試料の剥離していない(non−exfoliated)隣接層の内面間距離を指す。層間間隔は、当分野において公知のように、当分野において一般に許容される標準粉末広角X線回折技術をブラッグ則式と組み合わせて用いることによって算出することができる。
【0013】
有用な層状ケイ酸塩は様々な企業から入手可能であり、これには、Nanocor、Inc.、Southern Clay Products、Kunimine Industries、Ltd.、Elementis Pigments、およびRheoxが含まれる。
【0014】
挿入剤
挿入層状ケイ酸塩は、挿入層状ケイ酸塩のケイ酸塩層間に吸蔵される、少なくとも1種類の挿入剤を含む。この文脈における「吸蔵される」という用語は、共有結合なしに(例えば、吸着および/もしくは吸収によって)層状ケイ酸塩内に包含されることを意味する。ケイ酸層間に吸蔵される挿入剤は、イオン性複合体形成、静電的複合体形成、キレート化、水素結合、イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、およびファン・デル・ワース力の1つ以上によってケイ酸塩層の内面に保持され得る。
【0015】
挿入剤は以下の式のいずれか1つ以上を有することができる。
【0016】
【化6】



【0017】
はアシル基、例えば、少なくとも8、10、12、14、および16炭素原子のいずれか;並びに/もしくは多くとも30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、および10炭素原子を有するアシル基を表し得る。このアシル基は分岐していてもいなくてもよい。このアシル基は飽和であっても不飽和(例えば、1、2、3、もしくは少なくとも4つのいずれかの不飽和単位を有する。)であってもよい;
はアルキル基、例えば、少なくとも8、10、12、14、および16炭素原子のいずれか;並びに/もしくは多くとも30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、および10炭素原子のいずれかを有するアルキルを表し得る。このアルキル基は分岐していてもいなくてもよい;
はアルケニル基、例えば、少なくとも8、10、12、14、および16炭素原子のいずれか;並びに/もしくは多くとも30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、および10炭素原子のいずれかを有するアルケニル基を表し得る。このアルケニル基は分岐していてもいなくてもよい;
はアルカジエニル基、例えば、少なくとも8、10、12、14、および16炭素原子のいずれか;並びに/もしくは多くとも30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、および10炭素原子のいずれかを有するアルカジエニル基を表し得る。このアルカジエニル基は分岐していてもいなくてもよい。
【0018】
は、例えば、少なくとも8、10、12、14、および16炭素原子のいずれか;並びに/もしくは多くとも30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、および10炭素原子のいずれかを有する、炭素鎖基(分岐もしくは非分岐)を表すことができ、この炭素鎖基はヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、アリール基(例えば、フェニル基もしくはトリル基)、および式
【0019】
【化7】

(「Ar」はアリール基を表す。RおよびRは、各々独立に、水素、アシル基、アルキル基、もしくはアルケニル基を表し得る。)
を有するアリールメチル基の各々から選択される1つ以上のペンダントもしくは末端基を組み込む。
【0020】
はH、−CH、−CHCHのいずれかおよびRによって表される基のいずれかを表し得る。
【0021】
は下記式:
【0022】
【化8】


のいずれか1つ以上から選択されるオキシル化基を表し得る。上記式において、「n」は少なくとも以下の値のいずれか、2、4、5、6、8、10および/もしくは多くとも以下の値のいずれか、6、8、10、12であり得;例えば、「n」は4から12の範囲をとり得る。上記式において、「x」は少なくとも以下の値のいずれか、4、5、6、8、10および/もしくは多くとも以下の値のいずれか、6、8、10、12、13、14であり得;例えば、「x」は5から13の範囲をとり得る。上記式において、「y」は0、1、2、および3のいずれかから選択される値;もしくはこれらのあらゆる組み合わせを有することができる(例えば、「y」は1および3のいずれかから選択することができる。)。
【0023】
、RおよびRは、各々独立に、H、−CH、−CHCH
【0024】
【化9】

のいずれかもしくはRおよびRによって表される基のいずれかを表すことができる。R、RおよびRのうちの1つのみ、少なくとも1つ、2つのみ、多くとも2つ、少なくとも2つ、3つのみ、および多くとも3つのいずれかがHであり得る。
【0025】
分岐R基は、2個を上回る炭素を有する(例えばエチル基)、もしくは1個を上回る炭素を有する(例えばメチル基)あらゆる分岐(すなわちペンダント基)を欠いていてもよい。
【0026】
基は使用が期待されるマトリックス媒体と適合するものであり得る。この意味において、挿入剤のR基は、吸蔵された挿入剤を有するケイ酸塩小板のマトリックス媒体中での分散を、これらの小板がマトリックス媒体中で沈殿しないコロイド状分散が形成され得るように、促進することができる。
【0027】
上記式Iを有する例示的挿入剤には、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル(すなわち、2,2−ビス−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールの脂肪酸エステル)、例えば、ペンタエリスリトールモノステアレート(「PEMS」)、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジベヘネート、ペンタエリスリトールトリベヘネート、ペンタエリスリトールモノオレエート、ペンタエリスリトールジオレエート、ペンタエリスリトールトリオレエート、ペンタエリスリトールリシノリエート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールジラウレート、およびペンタエリスリトールトリラウレートが含まれる。上記式Iを有する他の例示的挿入剤はペンタエリシチルステアロール(すなわち、2−(ヒドロキシメチル)−2−[(オクタデシロキシ)メチル]−1,3−プロパンジオール);2−(ヒドロキシメチル)−2−[(4−シクロヘキサンブチレート)メチル]−1,3−プロパンジオール;および2−(ヒドロキシメチル)−2−[(4−フェニルブチレート)メチル]−1,3−プロパンジオールである。
【0028】
上記式IIを有する例示的挿入剤には、1−ヒドロキシ−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)オクタデカン;1−ヒドロキシ−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)テトラデカン;および1−ヒドロキシ−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ドデカンが含まれる。上記式IIIを有する例示的挿入剤には、2−(ヒドロキシメチル)−2−[(オクタデシルアミノ)メチル]−1,3−プロパンジオールおよびN−トリス(ヒドロキシメチル)メチルステアラミドが含まれる。上記式IVを有する例示的挿入剤には、2−(ヒドロキシメチル)−2−[(オクタデシルチオ)メチル]−1,3−プロパンジオールが含まれる。上記式Vを有する例示的挿入剤には、2−(ヒドロキシメチル)−2−[(14−ヒドロキシ−3,6,9,12−テトラオキサデカノイル)メチル]−1,3−プロパンジオールが含まれる。
【0029】
上記式VIを有する例示的挿入剤には、ステロイルクエン酸、2−(オクタデカノキシ)−1,2,3−プロパントリカルボン酸、2−(4−フェニルブタノキシ)−1,2,3−プロパントリカルボン酸、およびステアリルシトレートが含まれる。
【0030】
上記式を有する化合物を合成するための適切な方法は当業者に公知であり、例えば、Advanced Organic Chemistry,3rd Ed.、Jerry March、John Wiley & Sons、New York、1985(これは参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。)に見出すことができる。
【0031】
挿入剤は非イオン性挿入剤、すなわち、例えば層状ケイ酸塩の挿入においてイオンを形成もしくは交換する傾向にない挿入剤であってもよい。
【0032】
挿入層状ケイ酸塩のケイ酸塩層間の平均層間間隔は少なくともほぼ以下のいずれか、20、30、40、50、60、70、80、および90Åであり得;並びに/もしくは多くともほぼ以下のいずれか、100、90、80、70、60、50、40、30、25Åであり得る。ケイ酸塩層間に吸蔵される少なくとも1種類の挿入剤の量は、前述のケイ酸塩層間の平均層間間隔のいずれかをもたらすのに有効なものであり得る。挿入層状ケイ酸塩の平均層間間隔の測定は60%の相対湿度で行うことができる。
【0033】
100重量部の層状ケイ酸塩あたりの挿入層状ケイ酸塩に吸蔵される少なくとも1種類の挿入剤の量は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれかであり得る。5、10、20、30、50、70、90、110、150、200、および300重量部。
【0034】
挿入剤の配合物
挿入層状ケイ酸塩に吸蔵される少なくとも1種類の挿入剤の量(すなわち、上述の量のいずれか)は上述の挿入剤のいずれかの1つのみ、少なくとも1つ、2つのみ、少なくとも2つ、多くとも2つ、3つのみ、多くとも3つ、および少なくとも3つのいずれかを含み得る。
【0035】
挿入層状ケイ酸塩は、100重量部の層状ケイ酸塩あたり、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれか、5、10、20、30、50、70、90、110、150、200、および300重量部の、挿入層状ケイ酸塩に吸蔵される(上述のものから選択される)第1挿入剤を含むことができる。挿入層状ケイ酸塩は、100重量部の層状ケイ酸塩あたり、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれか、0、5、10、20、30、50、70、90、110、150、200、および300重量部の、挿入層状ケイ酸塩に吸蔵される(上述のものから選択され、および第1挿入剤とは異なる。)第2挿入剤を含むことができる。挿入層状ケイ酸塩は、100重量部の層状ケイ酸塩あたり、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれか、0、5、10、20、30、50、70、90、110、150、200、および300重量部の、挿入層状ケイ酸塩に吸蔵される(上述のものから選択され、および第1および第2挿入剤とは異なる。)第3挿入剤を含むことができる。
【0036】
第1挿入剤の、挿入層状ケイ酸塩中の(上述のものから選択される。)挿入剤の総量に対する重量比は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれかであり得る。1:20、1:15、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、15:1、および20:1。
【0037】
第2挿入剤の、挿入層状ケイ酸塩中の(上述のものから選択される。)挿入剤の総量に対する重量比は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれかであり得る。1:20、1:15、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、15:1、および20:1。
【0038】
第3挿入剤の、挿入層状ケイ酸塩中の(上述のものから選択される。)挿入剤の総量に対する重量比は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれかであり得る。1:20、1:15、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、15:1、および20:1。
【0039】
第1挿入剤の第2挿入剤に対する比は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、これらの挿入剤の重量に基づく以下の重量比のいずれかであり得る。1:20、1:15、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、15:1、および20:1。第1挿入剤の第3挿入剤に対する比は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、これらの挿入剤の重量に基づく以下の重量比のいずれかであり得る。1:20、1:15、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、15:1、および20:1。
【0040】
第1、第2および第3挿入剤は式IからVIIのいずれかを有する上記挿入剤のいずれかから選択することができ、式中、R、R、およびRの1つ、多くとも1つ、少なくとも1つ、2つ、多くとも2つ、少なくとも2つ、3つ、および多くとも3つのいずれかは、各々独立に、H、−CH、−CHCH、−C−CH、および
【0041】
【化10】

のいずれかを表す。例えば、第1、第2および/もしくは第3挿入剤は、R、RおよびRの1つ、多くとも1つ、少なくとも1つ、2つ、多くとも2つ、少なくとも2つ、3つ、および多くとも3つのいずれかをHとして有することができる。さらなる例として、第1、第2および/もしくは第3挿入剤は、R、RおよびRの1つ、多くとも1つ、少なくとも1つ、2つ、多くとも2つ、少なくとも2つ、3つ、および多くとも3つのいずれかがHである式Iの構造を有することができる。例えば、第1、第2および/もしくは第3挿入剤はペンタエリスリトールの一、二、もしくは三脂肪酸エステルのいずれかであり得る。例えば、第1挿入剤がペンタエリスリトールの一脂肪酸エステル(例えば、PEMS)であってもよく、第2挿入剤がペンタエリスリトールの二脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールジステアレート)であってもよく、および第3挿入剤がペンタエリスリトールの三脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールトリステアレート)であってもよい。
【0042】
挿入剤の別の例示的配合物は、ペンタエリスリトールの二脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールジステアレート)である第1挿入剤およびペンタエリスリトールの三脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールトリステアレート)である第2挿入剤を第3挿入剤なしに含む。挿入剤のさらの別の例示的配合物は、ペンタエリスリトールの二脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールジステアレート)である第1挿入剤およびペンタエリスリトールの三脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールトリステアレート)である第2挿入剤を第3挿入剤なしに含む。挿入剤のさらに別の例示的配合物は、ペンタエリスリトールの一脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールジステアレート)である第1挿入剤およびペンタエリスリトールの二脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールトリステアレート)である第2挿入剤を第3挿入剤なしに含む。
【0043】
オニウム官能性を有する挿入剤
挿入層状ケイ酸塩は、本質的に、オニウム官能性を含む挿入剤を含有しなくともよい。挿入ケイ酸塩は、本質的に、以下の化合物のいずれか1種類、もしくはすべて、もしくはいかなる組み合わせをも含まなくてよい。アンモニウム化合物、四級アンモニウム化合物、三級アンモニウム化合物、二級アンモニウム化合物、一級アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、四級ホスホニウム化合物、三級ホスホニウム化合物、二級ホスホニウム化合物、一級ホスホニウム化合物、アルソニウム化合物、スチボニウム化合物、オキソニウム化合物およびスルホニウム化合物。
【0044】
挿入層状ケイ酸塩が本質的に含まなくともよい例示的アンモニウム化合物には以下のいずれか1種類もしくはあらゆる組み合わせが含まれる。アルキルアンモニウム化合物、例えば、テトラメチルアンモニウム化合物、ヘキシルアンモニウム化合物、ブチルアンモニウム化合物、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム化合物、ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルメチルアンモニウム化合物、オクタデシルトリメチルアンモニウム化合物、オクタデシルベンジルジメチルアンモニウム化合物、ヘキシルベンジルジメチルアンモニウム化合物、ベンジルトリメチルアンモニウム化合物、ブチルベンジルジメチルアンモニウム化合物、テトラブチルアンモニウム化合物、ドデシルアンモニウム化合物、ジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム化合物、およびポリアルコキシル化アンモニウム化合物。
【0045】
挿入層状ケイ酸塩が本質的に含まなくともよい例示的ホスホニウム化合物には以下のいずれか1種類もしくはあらゆる組み合わせが含まれる。アルキルホスホニウム化合物、例えば、テトラブチルホスホニウム化合物、トリオクチルオクタデシルホスホニウム化合物、テトラオクチルホスホニウム化合物、オクタデシルトリフェニルホスホニウム化合物。
【0046】
挿入層状ケイ酸塩は、本質的には、前の3つの段落に列挙される化合物のいずれかもしくはすべてから選択される化合物を含むいかなる挿入剤をも含まなくてよい。
【0047】
インターカラント充填剤
挿入層状ケイ酸塩は、層状ケイ酸塩のケイ酸塩層間に分散する少なくとも1種類のインターカラント充填剤(intercalant fill agent)を含むことができる。ここで用いられる場合、「インターカラント充填剤」は実質的に挿入剤それ自体としては作用しないが、むしろ1種類以上の挿入剤(例えば、上述の挿入剤)と共に作用し、このインターカラント充填剤を含有しない類似の匹敵する挿入層状ケイ酸塩系に対して挿入層状ケイ酸塩のケイ酸塩層間の平均層間間隔を増加させる。インターカラント充填剤はケイ酸塩層間のギャラリー内に空間を確保し、挿入剤の長鎖部分の横たわろうとする傾向を妨害できる(したがって、長炭素鎖部分の拡張を促進してギャラリーの間隔を支持する)ものと信じられる。
【0048】
インターカラント充填剤は、R、RおよびRの少なくとも2つ、好ましくは3つすべてがRまたはRによって表される基のいずれかを表す、上記式IからVIIによって記述される1種類以上の化合物から選択することができる。
【0049】
例えば、インターカラント充填剤は、R、RおよびRの各々を独立にアシル基、アルキル基、アルケニル基およびアルカジエニル基のいずれかを表すものとして有することができる。これらの基は、例えば、少なくとも8、10、12、14、および16炭素原子のいずれか;並びに/もしくは多くとも30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、および10炭素原子のいずれかを有することができる。例えば、インターカラント充填剤は、ペンタエリスリトールのテトラエステル、例えばペンタエリスリトールの四脂肪酸エステル、例えばペンタエリスリトールテトラステアレート、1−オクタデシル−2,2−ビス(オクタデコイルメチル)オクタデカン、N−トリス(オクタデコイルメチル)メチルステアラミド、およびステロイルヘキシルシトレートであり得る。
【0050】
上記式を有する化合物の適切な合成方法は当業者に公知であり、例えば、Advanced Organic Chemistry,3rd Ed.,Jerry March,John Wiley & Sons,New York,1985(これは参照により前に組み込まれた。)に見出すことができる。
【0051】
挿入層状ケイ酸塩は、ペンタエリスリトールのテトラエステル並びに以下のいずれかの1つのみ、少なくとも1つ、2つのみ、少なくとも2つ、多くとも2つ、3つのみおよび多くとも3つのいずれか、ペンタエリスリトールのモノエステル、ペンタエリスリトールのジエステル、およびペンタエリスリトールのトリエステルから選択される少なくとも1種類のインターカラント充填剤を含むことができる。例えば、挿入層状ケイ酸塩はペンタエリスリトールのテトラエステル(例えば、ペンタエリスリトールテトラステアレート)およびペンタエリスリトールのトリエステル(例えば、ペンタエリスリトールトリステアレート)を含むことができる。ペンタエリスリトールのテトラエステルの他のペンタエリスリトールエステルの総量に対する重量比は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下の重量比のいずれかであり得る。1:20、1:15、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、15:1、および20:1。
【0052】
上記少なくとも1種類のインターカラント充填剤の総量の上記挿入層状ケイ酸塩中の少なくとも1種類の挿入剤の総量に対する比は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下の重量比のいずれかであり得る。1:20、1:15、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、15:1、および20:1。
【0053】
100重量部の層状ケイ酸塩あたりの、挿入層状ケイ酸塩のギャラリー中に分散する少なくとも1種類のインターカラント充填剤の量は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれかであり得る。5、10、20、30、50、70、90、110、150、200、および300重量部。
【0054】
挿入層状ケイ酸塩のギャラリー中に分散する少なくとも1種類のインターカラント充填剤の量(すなわち、上述の量のいずれか)は、上述のインターカラント充填剤のいずれかの1つのみ、少なくとも1つ、2つのみ、少なくとも2つ、多くとも2つ、3つのみ、多くとも3つ、および少なくとも3つのいずれかを含むことができる。
【0055】
挿入層状ケイ酸塩は、100重量部の層状ケイ酸塩あたり、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれか、5、10、20、30、50、70、90、110、150、200、および300重量部の、挿入層状ケイ酸塩のギャラリー中に分散する第1インターカラント充填剤を含むことができる。挿入層状ケイ酸塩は、100重量部の層状ケイ酸塩あたり、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれか、0、5、10、20、30、50、70、90、110、150、200、および300重量部の、挿入層状ケイ酸塩のギャラリー中に分散する(第1インターカラント充填剤とは異なる。)第2インターカラント充填剤を含むことができる。挿入層状ケイ酸塩は、100重量部の層状ケイ酸塩あたり、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれか、0、5、10、20、30、50、70、90、110、150、200、および300重量部の、挿入層状ケイ酸塩のギャラリー中に分散する(第1および第2インターカラント充填剤とは異なる。)第3インターカラント充填剤を含むことができる。
【0056】
挿入層状ケイ酸塩の製造
挿入層状ケイ酸塩を製造するには、層状ケイ酸塩を挿入剤(および、場合により、インターカラント充填剤)と混合し、層状ケイ酸塩のケイ酸塩層間の層間空間内への挿入剤の包接(すなわち、吸蔵)を達成する。このように行うにあたり、生じる挿入層状ケイ酸塩を親有機性(すなわち、疎水性)とし、有機マトリックス媒体への誘引の強化を示すことができる。
【0057】
挿入層状ケイ酸塩の製造において、まず、挿入剤(および任意のインターカラント充填剤)を、担体、例えば1種類以上の溶媒、例えば水および/もしくは有機溶媒、例えばエタノールを含む担体と混合し、挿入剤を担体中に分散もしくは可溶化することができる。次に、この挿入剤/担体配合物を層状ケイ酸塩と混合することができる。この代わりに、層状ケイ酸塩を担体と混合してスラリーを形成し、そこに挿入剤(および任意のインターカラント充填剤)を添加することもできる。その上、挿入剤(および任意のインターカラント充填剤)を、担体の恩恵を受けることなしに、層状ケイ酸塩と直接混合することもできる。さらに、第1工程において、挿入剤を層状ケイ酸塩と混合して挿入層状ケイ酸塩を製造し、次にこれを、第2工程において、インターカラント充填剤と混合することができる。熱、圧力、高剪断混合、超音波空洞化、およびマイクロ波放射の1つ以上を上述の系のいずれかに加えることによって挿入を強化することができる。
【0058】
層状ケイ酸塩のケイ酸塩層間の層間空間内の挿入剤の包接は隣接するケイ酸塩層間の層間間隔を増加させる。これは、以下で考察されるように、層状ケイ酸塩のタクトイド構造を破壊してマトリックス媒体中での挿入層状ケイ酸塩の分散性を強化し得る。
【0059】
ケイ酸塩層間に吸蔵される挿入剤はケイ酸塩層間の層間間隔を−挿入剤を吸蔵する前の間隔に対して−少なくともほぼ以下のいずれか、5、6、7、8、10、12、14、15、18、20、30、40、50、60、70、80、および90Åだけ;並びに/もしくは多くとも以下のいずれか、100、90、80、70、60、50、40、30、25、20、18、15、12、10、8、および7Åだけ増加させるのに有効な量および/もしくはタイプであり得る。
【0060】
ケイ酸塩層間のギャラリー中に分散するインターカラント充填剤と共にケイ酸塩層間に吸蔵される挿入剤は、ケイ酸塩層間の層間間隔を−分散されるインターカラント充填剤と共に挿入剤を吸蔵する前の間隔に対して−少なくともほぼ以下のいずれか、5、6、7、8、10、12、14、15、18、20、30、40、50、60、70、80、および90Åだけ;並びに/もしくは多くとも以下のいずれか、100、90、80、70、60、50、40、30、25、20、18、15、12、10、8、および7Åだけ増加させるのに有効な量および/もしくはタイプであり得る。
【0061】
挿入層状ケイ酸塩をさらに処理し(もしくは層状ケイ酸塩を挿入前に処理して挿入層状ケイ酸塩を形成することができる。)、マトリックス媒体中での分散および/もしくは剥離を補助し、並びに/または生じるポリマー/ケイ酸塩界面の強度を改善することができる。例えば、挿入層状ケイ酸塩(もしくは挿入層状ケイ酸塩を形成する挿入前の層状ケイ酸塩)を表面活性剤もしくは反応性種で処理し、マトリックス媒体との相溶性を強化することができる。多くの層状ケイ酸塩で、ケイ酸塩層は表面シラノール官能性で終止する。非極性マトリックスとのより高い相溶性には、これらの表面をより疎水性にすることが望ましいものであり得る。これを達成する方法の1つは、有機シラン反応体(例えば、シランカップリング剤)、例えば、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等を用いて表面を修飾する(例えば、ケイ酸塩層の端部に存在する官能基を反応させる。)ことである。
【0062】
その上、例として、挿入層状ケイ酸塩に相溶化剤、例えば、ワックス、ポリオレフィンオリゴマー、もしくは極性基を有するポリマーをさらに挿入することもできる。例示的な相溶化剤ワックスには、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリエチレン酢酸ビニルワックス、ポリエチレンアクリル酸ワックス、ポリプロピレンワックス、モンタンワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、蜜蝋、およびマレイン酸化ワックスが含まれる。マレイン酸化ワックスの例には、無水マレイン酸修飾オレフィンオリゴマーもしくはポリマー、および無水マレイン酸修飾酢酸ビニルエチレンオリゴマーもしくはポリマーが含まれる。オリゴマーもしくはポリマーは無水不飽和カルボン酸で修飾(例えば、グラフト化)して(すなわち、無水物修飾オリゴマー)無水物官能性を取り込むことができ、これはこのオリゴマーもしくはポリマーの接着特性を促進もしくは強化する(すなわち、修飾されたオリゴマーもしくはポリマーの挿入層状ケイ酸塩との相溶性を促進もしくは強化する)。無水不飽和カルボン酸の例には、無水マレイン酸、無水フマル酸、および無水不飽和融合環カルボン酸が含まれる。無水物修飾ポリマーは、当分野において公知のように、グラフト化もしくは共重合によって製造することができる。有用な無水物修飾オリゴマーもしくはポリマーは、無水物基を(この修飾ポリマーの重量を基準にして)少なくともほぼ以下のいずれか、0.1%、0.5%、1%、および2%;並びに/もしくは多くともほぼ以下のいずれか、10%、7.5%、5%、および4%の量で含み得る。
【0063】
あるいは、挿入層状ケイ酸塩は有機シラン試薬(例えば、シランカップリング剤)を実質的に含まず、もしくは相溶化剤、例えば、上で考察されるもののいずれか1種類以上を実質的に含んでいなくてもよい。
【0064】
挿入層状ケイ酸塩は、少なくともほぼ以下のいずれか、360、380、390、395、400、405、410、420、430、および440℃;並びに/もしくは多くともほぼ以下のいずれか、380、390、395、400、405、410、420、430、440、および450℃のピーク分解温度を有し得る。挿入層状ケイ酸塩は、少なくともほぼ以下のいずれか、200、210、220、230、240、250、および280℃;並びに/もしくは多くともほぼ以下のいずれか、220、230、240、250、280、および300℃の分解開始温度を有し得る。ピーク分解温度および分解開始温度は、毎分20℃の走査速度で室温から800℃までアルゴンパージされた雰囲気中で作動し、および重量損失分析の一次導関数を利用する、試料の熱重量分析(TGA)によって決定することができる。このような分析に有用なTGA機器は、TA Instruments,Inc.から入手可能なTGA Q50モデルである。
【0065】
分散粒子組成物
挿入層状ケイ酸塩を剥離させ、マトリックス媒体中に分散する剥離したケイ酸塩小板を含む複数の分散粒子を含む分散粒子組成物を形成することができる。これらの分散粒子は前に考察されているタイプの吸蔵された挿入剤を有するケイ酸塩小板を含むことができる。
【0066】
マトリックス媒体は1種類以上のポリマー、例えば1種類以上の熱可塑性ポリマー、例えば、ポリオレフィン、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、イオノマー、ビニルプラスチック、ポリアミド、ポリエステル、およびポリスチレンから選択される1種類以上のポリマーを含むことができる。
【0067】
マトリックス媒体は1種類以上のエネルギー硬化性ポリマー前駆体、例えば、多官能性アクリレートもしくはメタクリレート、チオール−エン系、エポキシ/アミンもしくはエポキシポリオール系、並びにポリウレタン前駆体、例えばイソシアネートおよびポリオールから選択される1種類以上のエネルギー硬化性前駆体を含むことができる。
【0068】
マトリックス媒体は、塗料、コーティング、ニス、グリース、化粧品、もしくは医薬賦形剤(局所もしくは内部のいずれか)の形成において有用な1種類以上の化合物を含むことができる。
【0069】
ポリオレフィン
マトリックス媒体は1種類以上のポリオレフィンを含むことができる。例示的なポリオレフィンには、エチレンホモ−およびコ−ポリマーおよびプロピレンホモ−およびコ−ポリマーが含まれる。「ポリオレフィン」という用語にはオレフィンから誘導されるモノマー単位を少なくとも50モル%含むコポリマーが含まれる。エチレンホモポリマーには、高密度ポリエチレン(「HDPE」)および低密度ポリエチレン(「LDPE」)が含まれる。エチレンコポリマーには、エチレン/α−オレフィンコポリマー(「EAO」)、エチレン/不飽和エステルコポリマー、およびエチレン/(メタ)アクリル酸が含まれる。(本出願において用いられる「コポリマー」は2つ以上のタイプのモノマーから誘導されるポリマーを意味し、ターポリマー等を含む。)
【0070】
EAOはエチレンおよび1種類以上のα−オレフィンのコポリマーであり、このコポリマーはエチレンをモルパーセンテージ含有率の大部分として有する。このコモノマーには、1種類以上のC−C20α−オレフィン、1種類以上のC−C12α−オレフィン、および1種類以上のC−Cα−オレフィンが含まれ得る。有用なα−オレフィンには、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0071】
例示的なEAOには以下の1つ以上が含まれる。1)例えば0.926から0.94g/cm3の密度を有する中密度ポリエチレン(「MDPE」);2)例えば0.926から0.94g/cm3の密度を有する直鎖中密度ポリエチレン(「LMDPE」);3)例えば0.915から0.930g/cm3の密度を有する直鎖低密度ポリエチレン(「LLDPE」);4)例えば0.915g/cm3未満の密度を有する極低もしくは超低密度ポリエチレン(「VLDPE」および「ULDPE」)、および5)均質EAO。有用なEAOにはほぼ以下のいずれかを下回る密度を有するものが含まれる。0.925、0.922、0.92、0.917、0.915、0.912、0.91、0.907、0.905、0.903、0.9、および0.898グラム/立方センチメートル。他に指示されない限り、ここでのすべての密度はASTM D1505に従って測定される。
【0072】
ポリエチレンポリマーは不均一であっても均一であってもよい。当分野において公知のように、不均一ポリマーは分子量および組成分布に比較的広範な変動を有する。不均一ポリマーは、例えば通常のチーグラー・ナッタ触媒で調製することができる。
【0073】
他方、均一ポリマーは、典型的には、メタロセンもしくは他の単一部位触媒を用いて調製する。このような単一部位触媒は、典型的には、唯一のタイプの触媒部位を有し、これが重合から生じるポリマーの均一性の基礎であるものと信じられる。均一ポリマーは不均一ポリマーとは構造的に異なり、均一ポリマーは鎖内のコモノマーの比較的均一な配列、すべての鎖における配列分布のミラーリング、およびすべての鎖の長さの類似性を示す。結果として、均一ポリマーは比較的狭い分子量および組成分布を有する。均一ポリマーの例には、Exxon Chemical Company(Baytown、TX)からEXACT商標で入手可能なメタロセン触媒直鎖均一エチレン/α−オレフィンコポリマー樹脂、Mitsui Petrochemical CorporationからTAFMER商標で入手可能な直鎖均一エチレン/α−オレフィンコポリマー樹脂、およびDow Chemical CompanyからAFFINITY商標で入手可能な長鎖分岐メタロセン触媒均一エチレン/α−オレフィンコポリマー樹脂が含まれる。
【0074】
別の例示的エチレンコポリマーはエチレン/不飽和エステルコポリマーであり、これはエチレンおよび1種類以上の不飽和エステルモノマーのコポリマーである。有用な不飽和エステルには、1)エステルが4から12個の炭素原子を有する、脂肪族カルボン酸のビニルエステル、および2)エステルが4から12個の炭素原子を有する、アクリルもしくはメタクリル酸のアルキルエステル(集合的に、「アルキル(メタ)アクリレート」)が含まれる。
【0075】
モノマーの第1の(「ビニルエステル」)基の代表的な例には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、および2−エチルヘキサン酸ビニルが含まれる。ビニルエステルモノマーは4から8個の炭素原子、4から6個の炭素原子、4から5個の炭素原子、および、好ましくは4個の炭素原子を有することができる。
【0076】
モノマーの第2の(「アルキル(メタ)アクリレート」)基の代表的な例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、および2−エチルヘキシルメタクリレートが含まれる。アルキル(メタ)アクリレートモノマーは4から8個の炭素原子、4から6個の炭素原子、および、好ましくは4から5個の炭素原子を有することができる。
【0077】
エチレン/不飽和エステルコポリマーの不飽和エステル(すなわち、ビニルエステルもしくはアルキル(メタ)アクリレート)コモノマー含有率は、このコポリマーの重量を基準にして、約6から約18重量%、および約8から約12重量%の範囲をとり得る。エチレン/不飽和エステルコポリマーの有用なエチレン含有率には以下の量が含まれる。このコポリマーの重量を基準にして、少なくとも約82重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約88重量%、約94重量%未満、約93重量%未満および約92重量%未満。
【0078】
エチレン/不飽和エステルコポリマーの代表的な例には、エチレン/メチルアクリレート、エチレン/メチルメタクリレート、エチレン/エチルアクリレート、エチレン/エチルメタクリレート、エチレン/ブチルアクリレート、エチレン/2−エチルヘキシルメタクリレートおよびエチレン/酢酸ビニルが含まれる。
【0079】
別の有用なエチレンコポリマーはエチレン/(メタ)アクリル酸であり、これはエチレンおよびアクリル酸、メタクリル酸もしくはこの両者のコポリマーである。
【0080】
有用なプロピレンコポリマーには、1)プロピレンが重量%含量の大多数を占める、例えば、15重量%未満、6重量%未満および少なくとも約2重量%のエチレンコモノマー含有率を有するプロピレンおよびエチレンのコポリマーである、プロピレン/エチレンコポリマー(「EPC」)、並びに2)プロピレンが重量%含量の大多数を占めるプロピレン/ブテンコポリマーが含まれる。
【0081】
EVOH
エチレン/ビニルアルコールコポリマー(「EVOH」)が別の有用な熱可塑性物質である。EVOHは約32モル%、もしくは少なくともほぼ以下の値のいずれか、20モル%、25モル%、および30モル%のエチレン含有率を有することができる。EVOHはほぼ以下の値のいずれかを下回るエチレン含有率を有することができる。50モル%、40モル%、および33モル%。当分野において公知のように、EVOHはエチレン/酢酸ビニルコポリマーを、例えば、少なくともほぼ以下の値のいずれかの加水分解の程度:50%、85%および98%までケン化もしくは加水分解することによって誘導することができる。
【0082】
イオノマー
別の有用な熱可塑性物質はイオノマーであり、これはエチレンおよび、金属イオン、例えばナトリウムもしくは亜鉛によって部分的に中和されたカルボン酸基を有する、エチレン性不飽和モノカルボン酸のコポリマーである。有用なイオノマーには、このイオノマー中の酸基の約10%から約60%を中和するのに十分な金属イオンが存在するものが含まれる。カルボン酸は、好ましくは、「(メタ)アクリル酸」−これはアクリル酸および/もしくはメタクリル酸を意味する−である。有用なイオノマーには、少なくとも50重量%および、好ましくは少なくとも80重量%のエチレン単位を有するものが含まれる。有用なイオノマーには1から20重量パーセントの酸単位を有するものも含まれる。有用なイオノマーは、例えば、Dupont Corporation(Wilmington、DE)からSURLYN商標で入手可能である。
【0083】
ビニルプラスチック
有用なビニルプラスチックには、塩化ポリビニル(「PVC」)、塩化ビニリデンポリマー(「PVdC」)、およびポリビニルアルコール(「PVOH」)が含まれる。塩化ポリビニル(「PVC」)は塩化ビニル含有ポリマーもしくはコポリマー−すなわち、塩化ビニル(CH=CHCl)から誘導される、少なくとも50重量パーセントのモノマー単位および、その上、場合により、例えば酢酸ビニルから誘導される、1種類以上のコモノマー単位を含むポリマーを指す。1種類以上の可塑剤をPVCと配合して樹脂を軟化させ、並びに/もしくは柔軟性および処理性を強化することができる。この目的に有用な可塑剤は当分野において公知である。
【0084】
別の例示的なビニルプラスチックは塩化ビニリデンポリマー(「PVdC」)であり、これは塩化ビニリデン含有ポリマーもしくはコポリマー−すなわち、塩化ビニリデン(CH=CCl)から誘導されるモノマー単位および、その上、場合により、塩化ビニル、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、および(メタ)アクリル酸のC−C12アルキルエステル(例えば、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート)の1種類以上から誘導されるモノマー単位を含むポリマーを指す。ここで用いられる場合、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸および/もしくはメタクリル酸の両者を指し;並びに「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの両者を指す。PVdCの例には以下の1種類以上が含まれる。塩化ビニリデンホモポリマー、塩化ビニリデン/塩化ビニルコポリマー(「VDC/VC」)、塩化ビニリデン/メチルアクリレートコポリマー(「VDC/MA」)、塩化ビニリデン/エチルアクリレートコポリマー、塩化ビニリデン/エチルメタクリレートコポリマー、塩化ビニリデン/メチルメタクリレートコポリマー、塩化ビニリデン/ブチルアクリレートコポリマー、塩化ビニリデン/スチレンコポリマー、塩化ビニリデン/アクリロニトリルコポリマー、および塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマー。
【0085】
有用なPVdCには、少なくとも約75、多くとも約95、および多くとも約98重量%の塩化ビニリデンモノマーを有するものが含まれる。有用なPVdC(例えば、ラテックスエマルジョンコーティングによって適用されるようなもの)には、少なくともほぼ5%、10%、および15%のいずれかの−並びに/もしくは多くともほぼ25%、22%、20%、および15重量%のいずれかの−塩化ビニリデンモノマーを含むコモノマーを有するものが含まれる。
【0086】
PVdCを含む層は熱安定化剤(例えば、塩化水素スカベンジャー、例えば、エポキシド化ダイズ油)および潤滑性処理助剤(例えば、1種類以上のポリアクリレート)を含むこともできる。
【0087】
ポリアミド
有用なポリアミドには、1種類以上のジアミンと1種類以上の二酸との重縮合によって形成することができるタイプおよび/もしくは1種類以上のアミノ酸の重縮合によって形成することができるタイプおよび/もしくは環状ラクタムの開環によって形成されるタイプのものが含まれる。有用なポリアミドには脂肪族ポリアミドおよび脂肪族/芳香族ポリアミドが含まれる。
【0088】
ポリアミドを製造するための代表的な脂肪族ジアミンには式:
N(CHNH
(式中、nは1から16の整数値を有する)を有するものが含まれる。代表的な例には、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミンが含まれる。代表的な芳香族ジアミンには、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエタンが含まれる。代表的なアルキル化ジアミンには、2,2−ジメチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、および2,4,4 トリメチルペンタメチレンジアミンが含まれる。代表的な脂環式ジアミンにはジアミノジシクロヘキシルメタンが含まれる。他の有用なジアミンには、ヘプタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等が含まれる。
【0089】
ポリアミドを製造するための代表的な二酸には、一般式:
HOOC−Z−COOH
(式中、Zは少なくとも2個の炭素原子を含む二価脂肪族もしくは環状基を表すものである)によって表すことができるジカルボン酸が含まれる。代表的な例には、脂肪族ジカルボン酸、例えば、アジピン酸、セバシン酸、オクタデカン二酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、およびグルタミン酸;並びに芳香族ジカルボン酸、例えば、イソフタル酸およびテレフタル酸が含まれる。
【0090】
1種類以上の上記ジアミンと1種類以上の上記二酸との重縮合反応生成物が有用なポリアミドを形成し得る。1種類以上のジアミンと1種類以上の二酸との重縮合によって形成することができるタイプの代表的なポリアミドには、脂肪族ポリアミド、例えば、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(「ナイロン−6,6」)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(「ナイロン−6,10」)、ポリ(ヘプタメチレンピメラミド)(「ナイロン−7,7」)、ポリ(オクタメチレンスベラミド)(「ナイロン−8,8」)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(「ナイロン−6,9」)、ポリ(ノナメチレンアゼラミド)(「ナイロン−9,9」)、ポリ(デカメチレンアゼラミド)(「ナイロン−10,9」)、ポリ(テトラメチレンジアミン−co−シュウ酸)(「ナイロン−4,2」)、n−ドデカン二酸およびヘキサメチレンジアミンのポリアミド(「ナイロン−6,12」)、ドデカメチレンジアミンおよびn−ドデカン二酸のポリアミド(「ナイロン−12,12」)が含まれる。
【0091】
代表的な脂肪族/芳香族ポリアミドには、ポリ(テトラメチレンジアミン−co−イソフタル酸)(「ナイロン−4,I」)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(「ナイロン−6,I」)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(「ナイロン−6,T」)、ポリ(2,2,2−トリメチルヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(m−キシレンアジパミド)(「ナイロン−MXD,6」)、ポリ(p−キシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド)、およびポリアミド−MXD,Iが含まれる。
【0092】
1種類以上のアミノ酸の重縮合によって形成することができるタイプの代表的なポリアミドには、ポリ(4−アミノ酪酸)(「ナイロン−4」)、ポリ(6−アミノヘキサン酸)(「ナイロン−6」もしくは「ポリ(カプロラクタム)」)、ポリ(7−アミノヘプタン酸)(「ナイロン−7」)、ポリ(8−アミノオクタン酸)(「ナイロン−8」)、ポリ(9−アミノノナン酸)(「ナイロン−9」)、ポリ(10−アミノデカン酸)(「ナイロン−10」)、ポリ(11−アミノウンデカン酸)(「ナイロン−11」)、およびポリ(12−アミノドデカン酸)(「ナイロン−12」もしくは「ポリ(ラウリルラクタム)」)が含まれる。
【0093】
代表的なコポリアミドには、前記ポリアミドのいずれかの製造に用いられるモノマーの組み合わせに基づくコポリマー、例えば、ナイロン−4/6、ナイロン−6/6、ナイロン−6/9、ナイロン−6/12、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミドコポリマー(「ナイロン−6,6/6」)、ヘキサメチレンアジパミド/カプロラクタムコポリマー(「ナイロン−6/6,6」)、トリメチレンアジパミド/ヘキサメチレンアゼラミドコポリマー(「ナイロン−トリメチル6,2/6,2」)、ヘキサメチレンアジパミド−ヘキサメチレン−アゼラミドカプロラクタムコポリマー(「ナイロン−6,6/6,9/6」)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレン−イソフタラミド(「ナイロン−6,6/6,I」)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフタラミド(「ナイロン−6,6/6,T」)、ナイロン−6,T/6,I、ナイロン−6/MXD,T/MXD,I、ナイロン−6,6/6,10、およびナイロン−6,I/6,Tが含まれる。
【0094】
通常の命名法は、典型的には、コポリマーの名称においてコポリマーの主要構成要素をスラッシュ(「/」)の前に列挙する。しかしながら、本出願においては、スラッシュの前に列挙される構成要素は、このようなものと明確に識別されない限り、必ずしも主要構成要素ではない。例えば、本出願がこの逆を明確に注記しない限り、「ナイロン−6/6,6」および「ナイロン−6,6/6」は同じタイプのコポリアミドを指すものとみなすことができる。
【0095】
ポリアミドコポリマーはこのコポリマー中の最も支配的なポリマー単位(例えば、コポリマー、ナイロン−6,6/6におけるポリマー単位としてのヘキサメチレンアジパミド)を以下のいずれか、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、および少なくとも約90%、並びに前記値のいずれかの間の範囲(例えば、約60から約80%)の範囲をとるモルパーセンテージで含むことができ、このコポリマー中の2番目に最も支配的なポリマー単位(例えば、コポリマー、ナイロン−6,6/6におけるポリマー単位としてのカプロラクタム)を以下のいずれか、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、および前記値のいずれかの間の範囲(例えば、約20から約40%)の範囲をとるモルパーセンテージで含むことができる。
【0096】
有用なポリアミドには、食品との直接接触および/もしくは食品包装フィルムにおける使用について所望の使用条件で管理統制機関(例えば、米国食料医薬品庁(U.S. Food and Drug Agency))による認可を受けているものが含まれる。
【0097】
ポリエステル
有用なポリエステルには、1)多官能性カルボン酸と多官能性アルコールとの縮合、2)ヒドロキシカルボン酸の重縮合、および3)環状エステル(例えば、ラクトン)の重合によって製造されるものが含まれる。
【0098】
例示的な多官能性カルボン酸(およびこれらの誘導体、例えば、無水物もしくはメチルエステルのような単純エステル)には、芳香族ジカルボン酸および誘導体(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート)並びに脂肪族ジカルボン酸および誘導体(例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタミン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートエステル、アジピン酸ジメチル)が含まれる。有用なジカルボン酸には上でポリアミド項において考察されたものも含まれる。当業者に公知のように、ポリエステルは多官能性カルボン酸の無水物およびエステルを用いて生成することができる。
【0099】
例示的な多官能性アルコールには、二価アルコール(およびビスフェノール)、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリ(テトラヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、1,4−ヒドロキノン、およびビスフェノールAが含まれる。
【0100】
例示的なヒドロキシカルボン酸およびラクトンには、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ピバロラクトン、およびカプロラクトンが含まれる。
【0101】
有用なポリエステルにはホモポリマーおよびコポリマーが含まれる。これらは上で論じられた1種類以上の構成要素から誘導することができる。例示的なポリエステルには、ポリ(エチレンテレフタレート)(「PET」)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(「PBT」)、およびポリ(エチレンナフタレート)(「PEN」)が含まれる。ポリエステルがテレフタル酸から誘導されるマー単位(mer unit)を含む場合、このポリエステルの二酸成分のマー含有率(モル%)は少なくともほぼ以下のいずれかであり得る。70、75、80、85、90、および95%。
【0102】
ポリエステルは熱可塑性物質であってもよい。フィルムのポリエステル(例えば、コポリエステル)は非晶質であってもよく、または、例えば、少なくともほぼ、もしくは多くともほぼ、以下の重量パーセンテージのいずれか、10、15、20、25、30、35、40、および50%の結晶度を伴って、部分的に結晶性(半結晶性)であってもよい。
【0103】
ポリスチレン
マトリックス媒体はポリスチレンを含むことができる。例示的なポリスチレンにはスチレンホモ−およびコ−ポリマーが含まれる。ポリスチレンは実質的にアタクチックであっても、シンジオタクチックであっても、アイソタクチックであってもよい。「ポリスチレン」という用語には、スチレンから誘導されるモノマー単位を少なくとも50モル%含むコポリマーが含まれる。スチレンはアルキルアクリレート、無水マレイン酸、イソプレンもしくはブタジエンと共重合させることができる。イソプレンおよびブタジエンとのスチレンコポリマーはさらに水素化することができる。
【0104】
エネルギー硬化性ポリマー前駆体
マトリックス媒体は1種類以上のエネルギー硬化性ポリマー前駆体を含むことができる。エネルギー硬化性ポリマー前駆体は熱および/もしくは放射線(例えば、光)の形態にあるエネルギーの適用による硬化ポリマーへの変形を目的とする化合物(例えば、モノマーもしくはオリゴマー)であり、開始剤および/もしくは触媒を含んでいてもよい。生じるエネルギー硬化ポリマーは熱硬化性ポリマーであっても熱可塑性ポリマーであってもよい。単一のエネルギー硬化性ポリマー前駆体を反応させてポリマーを形成することができ、もしくは2種類以上のエネルギー硬化性ポリマー前駆体を共に反応させてポリマーを形成することもできる。エネルギー硬化性ポリマー前駆体は多官能性、すなわち、硬化の際に架橋ポリマーを形成するのに適合していてもよい。エネルギー硬化性化学反応は熱、触媒相互作用、放射線(例えば、光)、もしくはエネルギー硬化性ポリマー前駆体の混合、または前記機構のいずれか2種類以上の組み合わせ(例えば、二重硬化機構)によって誘導することができる。
【0105】
有用なエネルギー硬化性ポリマー前駆体には、以下のポリマーの1つ以上の前駆体である1種類以上のエネルギー硬化性ポリマー前駆体が含まれ得る。ポリエステル樹脂(例えば、アルキド樹脂)、アリル樹脂(例えば、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマレエート、およびジアリルクロレンデート)、アミノ樹脂(例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、およびこれらのホルムアルデヒドとのコポリマー)、エポキシ樹脂、フラン樹脂、フェノール樹脂(例えば、フェノール−アラルキル樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)、ポリアクリルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、およびアクリルアミド樹脂。
【0106】
例示的なエネルギー硬化性ポリマー前駆体には、(メタ)アクリレート(すなわち、メタクリレートおよび/もしくはアクリレート)、多官能性(メタ)アクリレート、チオール−エン系、およびマレイミドが含まれ得る。
【0107】
例えばポリウレタンポリマー前駆体に関する、例示的なエネルギー硬化性ポリマー前駆体には、ポリオールおよびポリイソシアネート(例えば、トルエンジイソシアネートおよびジフェニル−メタンジイソシアネート)が含まれ得る。
【0108】
ポリウレタンおよびエポキシ樹脂前駆体については、例えば、挿入層状ケイ酸塩を、より反応性の成分ではなく、ポリオール前駆体成分と混合し、早期の反応の最小化を補助することができる。
【0109】
さらなるマトリックス媒体
マトリックス媒体は以下のいずれかの1つ以上の配合において有用な1種類以上の化合物を含むことができる。コーティング(すなわち、塗料および/もしくはニス)、インク、グリース、化粧品、および医薬投与形態。
【0110】
マトリックス媒体は、コーティング(すなわち、塗料および/もしくはニス)溶媒、コーティング結合剤、およびコーティング樹脂から選択される1種類以上の物質を含むことができる。有用なコーティング溶媒、コーティング結合剤、およびコーティング樹脂は当業者に公知である;例えば、Paints and Coatings,Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Volume 24,pages 591−790(2003 Wiley−VCH)(この第591から790頁は参照により本明細書に組み込まれる)において考察されるものを参照のこと。例には、ミネラルスピリット、トルエン、および亜麻仁油が含まれる。
【0111】
マトリックス媒体はインク溶媒およびインク樹脂(例えば、インク結合剤および/もしくはインクビヒクル)から選択される1種類以上の物質を含むことができる。有用なインク溶媒およびインク樹脂は当業者に公知である;例えば、Leach and Pierce,The Printing Ink Manual(5th edition 1993)(これはこの全体が本明細書に組み込まれる。)において考察されているものを参照のこと。
【0112】
マトリックス媒体はグリース潤滑油およびグリースゲル化剤から選択される1種類以上の物質を含むことができる。有用なグリース潤滑油およびグリースゲル化剤は当業者に公知である;例えば、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Volume 15,pages 493−98(4th edition 1995)(この第493から98頁は参照により本明細書に組み込まれる。)において考察されているものを参照のこと。
【0113】
マトリックス媒体は化粧品の配合において有用な1種類以上の物質、例えば、脂質、皮膚軟化剤、湿潤剤、被膜形成剤、結合剤、表面活性剤および溶媒から選択される1種類以上の物質を含むことができる。有用な化粧用脂質、皮膚軟化剤、湿潤剤、被膜形成剤、結合剤、表面活性剤および溶媒は当業者に公知である;例えば、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Volume 7,pages 572−619(4th edition 1993)(この第572から619頁は参照により本明細書に組み込まれる。)、およびCTFA International Cosmetic Ingredient Handbook,2nd edition(CTFA Washington DC 1992)(これは参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。)において考察されているものを参照のこと。
【0114】
医薬投与形態の配合において有用な化合物には、医薬(例えば、医用)賦形剤(例えば、担体)が含まれる。マトリックス媒体は1種類以上の医薬賦形剤、例えば、内部医薬投与形態に適合し、および/もしくは外部医薬投与形態に適合する1種類以上の賦形剤を含むことができる。有用な医薬賦形剤は当業者に公知である;例えば、Pharmaceutical Dosage Forms、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Volume 25、pages 515−547(2003 Wiley−VCH)(この第515−547頁は参照により本明細書に組み込まれる。)において考察されているものを参照のこと。
【0115】
マトリックス媒体は水、水中油エマルジョン、および油中水エマルジョンのうちの1種類以上を含むことができる。
【0116】
分散粒子
分散粒子組成物中の分散粒子は少なくとも1つの寸法において約100nm未満の平均サイズを有することができる。これらの粒子は約10から約30,000の平均アスペクト比(すなわち、粒子の平均最大寸法の平均最小寸法に対する比)を有することができる。典型的には、挿入層状ケイ酸塩から剥離したケイ酸塩小板を含む粒子のアスペクト比は粒子の厚み(最小寸法)に対する長さ(最大寸法)と考えることができる。繊維形状を有する粒子については、アスペクト比は粒子の直径(最小寸法)に対する長さ(最大寸法)と考えることができる。
【0117】
分散粒子に有用なアスペクト比には少なくともほぼ以下の値のいずれか、10;20;25;200;250;1,000;2,000;3,000;および5,000;並びに多くともほぼ以下の値のいずれか、25,000;20,000;15,000;10,000;5,000;3,000;2,000;1,000;250;200;25;および20が含まれる。
【0118】
分散粒子は、透過型電子顕微鏡(「TEM」)画像からの見積もりで、少なくともほぼ以下の値のいずれか、0.5nm、0.8nm、1nm、2nm、3nm、4nm、および5nm;並びに多くともほぼ以下の値のいずれか、100nm、60nm、30nm、20nm、10nm、8nm、5nm、および3nmの最短寸法における平均サイズを有することができる。これらの粒子は、これらの粒子が分散されるマトリックス媒体の光学的透明性を維持するのに十分な小ささの平均寸法を有することができる。
【0119】
分散粒子組成物中に分散する剥離した粒子の量は、分散粒子組成物の重量を基準にして、少なくともほぼ以下の値のいずれか、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、および10重量%;並びに/もしくは多くともほぼ以下の値のいずれか、50、40、30、20、15、10、8、6、5、4、3、2、および1重量%であり得る。その上、分散粒子組成物中に分散する剥離した粒子の量は、100重量部のマトリックス媒体を基準にして、例えば、100重量部の上で考察される1種類以上のポリマーを基準にして、少なくともほぼ以下の値のいずれか、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、および10重量部;並びに/もしくは多くともほぼ以下の値のいずれか、100、80、60、50、40、30、20、15、10、8、6、5、4、3、2、および1重量部でもあり得る。
【0120】
分散粒子組成物は、この分散粒子組成物の重量を基準にして、少なくともほぼ以下のいずれか、50、60、70、80、90、95、および98重量%;並びに多くともほぼ以下のいずれか、99、98、95、90、80、70、および60重量%の、以下のいずれかを含むことができる。1)マトリックス媒体、または2)1種類以上のポリマー、または3)エネルギー硬化性ポリマー前駆体、または4)コーティング溶媒、コーティング結合剤、もしくはコーティング樹脂、または5)インク溶媒もしくはインク樹脂、または6)グリース潤滑油もしくはグリースゲル化剤、または7)化粧用脂質、化粧用皮膚軟化剤、化粧用湿潤剤、化粧用被膜形成剤、化粧用結合剤、化粧用表面活性剤、もしくは化粧用溶媒、または8)医薬賦形剤。
【0121】
これらの粒子は挿入層状ケイ酸塩から誘導されるケイ酸塩小板およびこれらのケイ酸塩小板に吸蔵される挿入剤を含むことができる。例示的な挿入剤は上で考察されている。分散粒子組成物はオニウム官能性を含む挿入剤、例えば、上で考察されるオニウム化合物のいずれか1つ、もしくはこのすべて、もしくはこのあらゆる組み合わせを本質的に含まなくてもよい。
【0122】
ケイ酸塩小板に吸蔵される挿入剤の量は、100重量部のケイ酸塩小板あたり、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれかであり得る。1、5、10、20、30、50、70、90、110、150、200、および300重量部。
【0123】
剥離した粒子は、小板の大アスペクト比のため、層状ケイ酸塩の個々のケイ酸塩層がイオン、静電、もしくはファン・デル・ワールス誘引により隣接層と有意に相互作用し、または密接に関連する系を形成するのに十分に接近することがもはやないときに生じる。剥離した層状ケイ酸塩はこの所在を失い、連続するマトリックス媒体中に比較的均一および無作為に分散することができる。マトリックス媒体中の分散は、層状ケイ酸塩の層間間隔がマトリックス媒体を構成する分子の回転の平均半径以上であるときに生じるものと信じられる。
【0124】
分散助剤を用いてマトリックス媒体中への挿入層状ケイ酸塩の剥離を強化することができる。例示的な分散助剤には、水、アルコール、ケトン、アルデヒド、塩素化溶媒、炭化水素溶媒、および芳香族溶媒の1つ以上が含まれ得る。
【0125】
分散粒子組成物の製造
挿入層状ケイ酸塩をマトリックス媒体中に剥離させ(例えば、部分的もしくは完全に)、分散粒子組成物を形成することができる。挿入層状ケイ酸塩の少なくとも一部が剥離するのに有効な条件下で挿入層状ケイ酸塩をマトリックス媒体に添加し、マトリックス媒体中に分散するケイ酸塩小板を含む粒子にすることができる。マトリックス媒体と混合する挿入層状ケイ酸塩の量は、100重量部のマトリックス媒体を基準にして、例えば、100重量部の上で考察されている1種類以上のポリマーを基準にして、少なくともほぼ以下のいずれか、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、および10重量部挿入層状ケイ酸塩;並びに/もしくは多くともほぼ以下の値のいずれか、100、80、60、50、40、30、20、15、10、8、6、5、4、3、2、および1重量部挿入層状ケイ酸塩であり得る。
【0126】
少なくともほぼ以下の量のいずれかの、マトリックス媒体に添加される挿入層状ケイ酸塩を、少なくとも1つの寸法において約100nm未満の平均サイズを有する剥離した粒子として分散させることができる。100重量部の添加された挿入層状ケイ酸塩あたり50、60、70、80、90、95、98、および99重量部の剥離した粒子。剥離したケイ酸塩粒子は層状ケイ酸塩の個々の層の平均厚みを有することができ、もしくは層状ケイ酸塩のほぼ10、5および3層のいずれかを下回る倍数の平均厚みを有し得る。TEM画像を用いて剥離した粒子の量およびサイズおよび特徴を見積もることができる。
【0127】
有効な剥離条件は、挿入層状ケイ酸塩およびマトリックス媒体の混合物への混合および/もしくは剪断エネルギーの付加が含まれ得る。マトリックス媒体中での挿入層状ケイ酸塩の剥離の処理変数には時間、温度、混合装置の外形、および剪断速度が含まれ、当業者に公知のように、一般には、これらの変数の均衡が必要とされる。これらの変数の均衡をとる上で、マトリックス媒体および/もしくは挿入剤の物理的減成もしくは分解を最小にしようとする要望を、例えば、処理の高温側および/もしくは処理中の選択された温度での時間の量を制限することによって考慮することができる。
【0128】
温度の上昇は、一般には、より多くの熱エネルギーをもたらして剥離を強化する。温度の低下は、剪断速度を増加させながら、混合物の粘性を低下させ得る。剪断速度の増加は、一般には、剥離を強化する。少なくともほぼ以下のいずれかの剪断速度を挿入層状ケイ酸塩およびマトリックス媒体の混合物に適用することができる。1秒−1、10秒−1、50秒−1、100秒−1、および300秒−1
【0129】
剪断を適用してマトリックス媒体中での挿入層状ケイ酸塩の剥離を達成するための説明的な方法もしくは系には、機械系、熱ショック、圧力変化および超音波が含まれる。流動性混合物は機械的方法、例えば、攪拌機、配合機、Banbury型混合機、Brabender型混合機、長時間連続(long continuous)混合機、注型機、および押出機の使用によって剪断することができる。二軸スクリュー押出機が、例えば、挿入層状ケイ酸塩と熱可塑性マトリックス媒体との混合に有用であり得る。熱ショック法は、混合物の温度を交互に上昇および下降させて熱的膨張および収縮を生じさせ、剪断を生じる内部応力を誘導することによって剪断を達成する。急激および交互の圧力変化を用いて混合物に剪断を適用することもできる。超音波法は、混合物の様々な部分を振動させて異なる位相で励起させる、空洞化もしくは共鳴性振動によって剪断を誘導する。
【0130】
有効な剥離条件はマトリックス媒体、例えば、1種類以上の熱可塑性ポリマーを含むマトリックス媒体の温度を上昇させ、挿入層状ケイ酸塩をマトリックス媒体に添加する前、その間もしくはその後のいずれかに、マトリックス媒体を機械系において合理的な速度で熱的に処理可能とすることを含み得る。処理の間、挿入層状ケイ酸塩およびマトリックス媒体の混合物は、例えば、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下の温度のいずれかであり得る。100℃、150℃、200℃、240℃、280℃、300℃、320℃、350℃、380℃、および400℃。挿入層状ケイ酸塩およびマトリックス媒体の混合物がこれらの温度のいずれかで滞留し得る滞留時間の量は、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下の時間のいずれかであり得る。2、4、5、8、10、12、15、および20分。
【0131】
剥離を生じさせるのに先立ち、摩砕、粉砕、ハンマーミル処理、ジェットミル処理、ボールミル処理、ふるいがけ、およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されるものではない、当分野において公知の方法によって層状ケイ酸塩のサイズを減少させ、層状ケイ酸塩の平均粒径を、例えば、ほぼ100、50、および20ミクロンのいずれかを下回り得るようにすることができる。
【0132】
挿入層状ケイ酸塩および分散粒子組成物の使用
分散粒子は、これらが分散するマトリックス媒体の物理的および/もしくは性能特性を強化するのに用いることができる。例えば、分散粒子は、これらの粒子を組み込むマトリックス媒体の弾性率、強度、衝撃堅牢性、透過性、流体力学的および表面接着特性の1つ以上を、これらの粒子を含まないマトリックス媒体に対して改善することができる。
【0133】
幾つかのタイプの製品は分散粒子組成物の組み込みから利益を得、例えば、性能特性を改善することができる。分散粒子組成物を含むことができる例示的製品には以下が含まれる。
【0134】
例えば、加圧、鋳造、および/もしくは熱形成によってさらに成形して有用な物体を形成することができるシートおよびパネル;
コーティング(すなわち、塗料および/もしくはニス);
潤滑剤、例えば食品級潤滑剤;
グリース;
パーソナルケア製品、例えば化粧品(例えば、制汗剤、脱臭剤、顔用化粧品、装飾的化粧品、歯磨き粉、シャンプー、石けん、スキン・コンディショナー、スキン・モイスチュアライザー、および日焼け止め剤);
医薬品、例えば局所薬用組成物(例えば、抗真菌組成物、抗菌組成物、麻酔剤、抗炎症組成物、疼痛軽減軟膏、および発疹/掻痒/刺激軟膏)および内部薬用組成物(例えば、ピル、錠剤、カプセル、粉末、および溶液);並びに
包装材料、例えば、包装フィルム(例えば、シュリンクフィルム、ストレッチフィルム、および食品包装フィルム)、ボトル、トレイ、および容器。
【0135】
包装フィルムは、上で考察される分散粒子組成物のいずれかを含む1つ以上の層を含むことができる。このフィルムは、期待される所与の用途に所望の特性(例えば、自由収縮、収縮張力、柔軟性、ヤング率、光学、強度、障壁)をもたらす限り、いかなる総厚みをも有することができる。このフィルムはほぼ以下のいずれかを下回る厚みを有することができる。20ミル、10ミル、5ミル、4ミル、3ミル、2ミル、1.5ミル、1.2ミル、および1ミル。このフィルムは少なくともほぼ以下のいずれかの厚みを有することもできる。0.25ミル、0.3ミル、0.35ミル、0.4ミル、0.45ミル、0.5ミル、0.6ミル、0.75ミル、0.8ミル、0.9ミル、1ミル、1.2ミル、1.4ミル、1.5ミル、2ミル、3ミル、および5ミル。
【0136】
このフィルムは単層であっても多層であってもよい。このフィルムは少なくとも以下の数の層のいずれかを含むことができる。1、2、3、4、5、6、7、8、および9。このフィルムは多くとも以下の数の層のいずれかを含むことができる。20、15、10、9、7、5、3、2、および1。「層」という用語は、このフィルムと同一の広がりを有し、および実質的に均一な組成を有する、区別できるフィルム構成要素を指す。フィルムの層のいずれもが少なくともほぼ以下のいずれかの厚みを有することができる。0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、および3ミル。フィルムの層のいずれもが多くともほぼ以下のいずれかの厚みを有することができる。20、10、5、2、1、および0.5ミル。フィルムの層のいずれもが、このフィルムの総厚みのパーセンテージとして、少なくともほぼ以下の値のいずれかの厚みを有することができる。1、3、5、7、10、15、20、30、40、50、60、70、80、および90%。フィルムの層のいずれもが、このフィルムの総厚みのパーセンテージとして、多くともほぼ以下の値のいずれかの厚みを有することができる。90、80、50、40、35、30、25、20、15、10、および5%。
【0137】
フィルムの1層は、層の重量を基準にして、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下の量の分散粒子組成物のいずれかを含むことができる。0.1、0.5、1、3、5、10、20、50、60、70、80、90、95、99、および100重量%。前述の量の分散粒子組成物のいずれかを含むフィルムの1層は、このフィルムの総厚みを基準にして、少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のパーセンテージのいずれかの厚みを有することもできる。90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、および5%。
【0138】
分散粒子組成物を含む層はフィルムの外層であってもよい。外層はフィルムの「外側層」(すなわち、このフィルムを組み込む包装の外側に面するのに適合し、もしくはこのように設計される外層)であってもよく、もしくはフィルムの「内側層」(すなわち、このフィルムを組み込む包装の内部に面するのに適合し、もしくはこのように設計される外層)であってもよい。このフィルムが1層のみを含む場合、この1層は「外層」とみなされ得る。分散粒子組成物を含む層はフィルムの内部(inner or interior)層であってもよい。フィルムの内部層はこのフィルムの2つの外層の間に存在する。
【0139】
例えば、フィルムの内部結合層(internal tie layer)、例えば、Grahらによって2003年6月2日に出願された米国特許出願第10/452892号(これは参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。)に開示されるものが上で考察されている分散粒子組成物を含むことができる。
【0140】
分散粒子組成物を含むフィルムは、物体、例えば、食品(例えば、コーヒー、ナッツ、スナック食品、チーズ、挽肉もしくは加工肉製品、新鮮な赤身肉製品、並びに、より具体的には、肉、例えば、鶏、ブタ、ウシ、ソーセージ、ラム、ヤギ、ウマ、および魚)を包装する(例えば、包む)ための包装(例えば、バッグもしくはケーシング)に形成することができる。
【0141】
包装はフィルムをそれ自体に封着することにより、もしくはフィルムを、その上もしくは中に配置され得る製品(例えば、食品)を支持する、支持構成要素(例えば、トレイ、カップ、もしくはタブ)に封着することによって形成することができる。封着は接着もしくは熱封着、例えば、バー、インパルス、高周波(「RF」)もしくは誘電封着によって行うことができる。適切な包装形状には、末端封着バッグ、側部封着バッグ、L字型封着バッグ、ポーチ、および縫製ケーシング(例えば、オーバーラップもしくはフィン型封着を形成することによる背部縫製チューブ)が含まれる。このような形状は当業者に公知である。支持構成要素(例えばトレイ)は上で考察される分散粒子組成物のいずれかを含むこともできる。支持構成要素は熱可塑性物質を含む熱形成織物も含み得る。
【0142】
包装は、分散粒子組成物を含むフィルムを別の基体に積層もしくは封着することによって形成することもできる。適切な基体には以下が含まれ得る。1)以下の物質の1種類以上を含むフィルム:ポリエステル(例えば、PET)、金属化ポリエステル(例えば、金属化PET)、PVdCコートPET、ポリプロピレン(例えば、2軸配向ポリプロピレンもしくはBOPP)、金属化BOPP、PVdC、およびコートBOPP、2)紙、3)ボール紙、および4)金属ホイル。1種類以上のポリマー層(このいずれかもしくはすべてが分散粒子組成物を含むことができる。)を上記基体のいずれかに押し出しコーティングすることによって複合包装構造を形成することもできる。
【0143】
また、例として、ひとたび分散粒子組成物を含むフィルムがチューブもしくはケーシング形状にされると、このチューブの一端を縛り、留め(例えば、金属クリップ)、もしくは封着することによって閉鎖することができる。次に、このチューブに残りの開放端を介して非調理食品(例えば、ソーセージエマルジョンもしくは他の流動性肉製品)を充填することができる。その後、残りの開放端を縛り、留め、もしくは封着することによって閉鎖し、食品を封入する包装を形成することができる。この充填手順は、例えば、当業者に公知の縦型製袋−充填−密封もしくは横型製袋−充填−密封プロセスによって行うことができる。
【0144】
分散粒子組成物を含むフィルムを含む包装内に封入された包装済み食品は、例えば、有効な量の時間並びに有効な温度および圧力で、この包装済み食品を液体湯浴に浸漬し、包装済み食品を蒸気に晒し、もしくは包装済み食品を熱風に晒すことにより、処理(例えば、調理、レトルト処理、もしくは低温殺菌)することができる。この晒すことにより、フィルムを熱収縮させる、包装を封入されている食品の周囲に緊密に収縮させ得る。包装済み食品は所定量の放射線、例えば、この包装済み食品を調理するのに有効なマイクロ波放射に晒すこともできる。食品が所望のレベルまで処理(例えば、調理もしくはレトルト処理)された後、包装済み食品を包装された形態で販売することができ、または包装を調理済み食品から外してこの食品をさらに処理するか、もしくは消費することができる。
【0145】
分散粒子組成物を含むフィルムは当分野において公知の熱可塑性フィルム形成法によって製造することができる。フィルムは、例えば、管状捕捉泡フィルム法(tubular trapped bubble film process)もしくは平坦フィルム(すなわち、流延フィルムもしくはスリットダイ)法を用いる、押出しもしくは同時押出しによって調製することができる。フィルムは押出しコーティングによって調製することもできる。あるいは、フィルムは様々な層を接着もしくは押出し積層することによって調製することもできる。これらの方法は当業者に公知である。これらの方法の組み合わせを用いることもできる。
【0146】
分散粒子組成物を含むフィルムは非配向性であってもよい。あるいは、分散粒子組成物を含むフィルムは、フィルムの透過性を低下させ、並びに/もしくは強度、光学、および耐久性を強化するため、機械(すなわち、長軸方向)、横軸方向のいずれか、もしくは両方向(すなわち、2軸配向)に配向していてもよい。フィルムの配向は分散粒子組成物のケイ酸塩小板の配向をも強化することができ、一般には、これらの小板全体にわたる主平面はフィルム全体にわたる主平面と実質的に平行である。フィルムは少なくとも一方向に少なくともほぼ以下の比のいずれか、2.5:1、3:1、3.5:1、および3.7:1;並びに/もしくは多くとも約10:1だけ配向し得る。
【0147】
分散粒子組成物を含むフィルムは非熱収縮性であってもよく−例えば、あらゆる方向に185°F(85℃)でほぼ以下のいずれかを下回る自由収縮を有し得る。4%、3%、1%、および0.5%。分散粒子組成物を含むフィルムは熱収縮性であってもよく(すなわち、収縮特性を有する。)、これは、ここで用いられる場合、フィルムが185°F(85℃)で少なくとも一方向に少なくとも約5%の自由収縮を有することを意味する。例えば、分散粒子組成物を含むフィルムは185°F(85℃)で機械もしくは横軸方向のいずれか(もしくは両方向)に少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれかの自由収縮を有し得る。7%、10%、15%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、および80%。さらに、このフィルムは、200°F、220°F、240°F、260°F、および280°Fのいずれかから選択される温度で測定される、前記自由収縮値のいずれかを有してもよい。
【0148】
このフィルムは両方向に等しくない自由収縮を有してもよい(すなわち、機械および横軸方向で自由収縮が異なる)。例えば、フィルムは機械方向に少なくとも40%の自由収縮(185°F)および横軸方向に少なくとも25%の自由収縮(185°F)を有することができる。フィルムは両方向に熱収縮特性を有さなくてもよい。例えば、フィルムは185°Fで一方向にほぼ以下のいずれかを下回る自由収縮を有してもよく:5%、4%、3%、2% および1%;もしくはフィルムは185°Fで一方向に0%の自由収縮を有してもよい。フィルムの自由収縮は、ASTM D 2732(これは参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。)に従って選択された熱を(すなわち、指定された温度露出で)施されたときの、10cm×10cmフィルム検体における寸法変化パーセントを測定することによって決定する。本出願における自由収縮へのすべての参照はこの基準に従って測定される。
【0149】
当分野において公知のように、熱収縮性フィルムは、このフィルムが非拘束状態である限り、熱の適用で収縮する。フィルムの収縮が−例えば、周囲でこのフィルムが収縮する包装済み製品によって−ある程度抑制される場合、熱の適用で熱収縮性フィルムの張力が増加する。したがって、熱に晒されてフィルムの少なくとも一部のサイズが減少している(非拘束)か、もしくは張力が増加している(拘束)熱収縮性フィルムは、熱収縮した(すなわち、熱収縮した(heat−contracted))フィルムとみなされる。
【0150】
分散粒子組成物を含むフィルムは、185°Fで少なくとも一方向に 少なくともほぼ、および/もしくは多くともほぼ、以下のいずれかの収縮張力を示し得る。100psi、150psi、175psi、200psi、225psi、250psi、275psi、300psi、325psi、350psi、400psi、450psi、500psi、550psi、および600psi。さらに、フィルムは、200°F、220°F、240°F、260°F、および280°Fのいずれかから選択される温度で測定される、前記収縮張力のいずれかを有することができる。フィルムは両方向に等しくない収縮張力を有してもよい(すなわち、機械および横軸方向で収縮張力が異なる)。フィルムは一方もしくは両方の方向に収縮張力を有さなくてもよい。収縮張力は指定された温度(例えば、185°F)でASTM D 2838(手順A)(これは参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。)に従って測定される。本出願における収縮張力へのすべての参照はこの基準によるものである。
【0151】
分散粒子組成物を含むフィルムはアニールもしくは熱設定して自由収縮を僅かに、実質的に、もしくは完全に減少させることができ;または、フィルムに高レベルの熱収縮性を持たせるため、ひとたび配向フィルムを急冷したら熱設定もしくはアニールを行わないことも可能である。
【0152】
外見の特徴
分散粒子組成物を含むフィルムが有する曇り特性は低いものであり得る。曇りは入射光の軸から2.5°を上回って散乱される透過光の測定である。曇りはフィルムの外側層に対して測定される。前に考察されるように、「外側層」はこのフィルムを含む包装の外側の領域に隣接するフィルムの外層である。曇りはASTM D 1003(これは参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。)の方法に従って測定される。本出願における「曇り」値へのすべての参照はこの基準によるものである。フィルムの曇りはほぼ以下の値のいずれか以下であり得る。30%、25%、20%、15%、10%、8%、5%、および3%。
【0153】
分散粒子組成物を含むフィルムは、外側層に対する測定で、少なくともほぼ以下の値のいずれかの光沢を有することができる。40%、50%、60%、63%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%。これらのパーセンテージは指定された角度で試料に当たる光の元の量に対する試料から反射される光の比を表す。本出願における「光沢」値へのすべての参照はASTM D 2457(角度60°)に従うものであり、これは参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。
【0154】
分散粒子組成物を含むフィルムは、このフィルムを通して包装された物品を視認できるように、(少なくとも非印刷領域において)透明であってもよい。「透明」は、このフィルムが入射光を透過し、散乱は無視でき、および吸収はほとんどなく、典型的な閲覧条件(すなわち、この物質の期待される使用条件)下でこのフィルムを通して物体(例えば、包装された物品もしくは印刷)を明瞭に見ることが可能であることを意味する。フィルムの透明度(すなわち、明瞭度)は、ASTM D1746に従う測定で、少なくともほぼ以下の値のいずれかであり得る。65%、70%、75%、80%、85%、および90%。
【0155】
プラスチックフィルムの光学特性の測定(全透過、曇り、明瞭度、および光沢の測定を含む。)は、Pike,LeRoy、「Optical Properties of Packaging Materials」Journal of Plastic Film & Sheeting、vol. 9、no. 3、pp. 173−80(July 1993)(この第173−80頁は参照により本明細書に組み込まれる。)において詳細に考察される。
【0156】
以下の例は本発明をさらに実証および説明する目的で提示されるものであり、いかなる関連においても限定するものと考えられるべきではない。他に指示されない限り、すべての部およびパーセンテージは重量基準である。
【0157】
(実施例1)
10.0グラムのモンモリロナイト(Cloisite Na+、Southern Clay Products)を10グラムの水と標準Coors乳鉢内で混合し、粘土/水スラリーを室温で形成した。4.21グラムの、商標Radiasurf 7174でのOleon Corporationからのペンタエリスリトールステアレートの配合物を二重ボイラーを用いて100℃に加熱した後、スラリーに添加した。このペンタエリスリトールステアレートの配合物(すなわち、Radiasurf 7174配合物)は、8.4モル%ペンタエリスリトールモノステアレート、33.0モル%ペンタエリスリトールジステアレート、43.5モル%ペンタエリスリトールトリステアレート、および15.2モル%ペンタエリスリトールテトラステアレートを含むものと信じられる。
【0158】
生じる混合物を乳鉢内で10分間、室温で手動配合し、挿入層状ケイ酸塩、すなわち、ペンタエリスリトールステアレート挿入モンモリロナイト粘土を形成した。この挿入層状ケイ酸塩を80℃のオーブン内で一晩乾燥させて摩砕し、325メッシュふるいを通してふるいがけして微粉末とした。
【0159】
生じる挿入層状ケイ酸塩(すなわち、PES挿入粘土)の平均層間間隔(すなわち、基本d−間隔)を、BEDE D1 X線回折計を用いて決定した。ペンタエリスリトールステアレート挿入粘土の代表的な試料を回折計による走査のために取り付けられたスライドグラス上に設置し、回折計を粉末回折モードで銅X線源(X線波長0.154nm)および0.5から20の2θ−オメガの掃引を用いて作動させた。層間間隔はブラッグ則、nλ=2d sinθを用いて算出し、式中、「n」=この回折ピークの順番、「λ」=波長、「d」=層間間隔(すなわち、基本d−間隔)、および「θ」=散乱角である。ペンタエリスリトールステアレート挿入粘土の回折パターンを図1に示す。このパターンは1.22°から1.30°の2θでの回折ピークもしくはショルダーを示し、そこから68から72Åの層状ケイ酸塩の平均層間間隔(すなわち、一次基本d−間隔)が算出された。
【0160】
図2は非挿入モンモリロナイト粘土の回折パターンを示す。このパターンは7.42°の2θにおける回折ピークを示し、これから、前述のように測定および算出される、11.9Åの挿入前モンモリロナイト粘土の平均層間間隔(すなわち、一次基本d−間隔)が算出された。このように、モンモリロナイトのケイ酸塩層間でのペンタエリスリトールステアレート挿入剤およびインターカラント充填剤の包接はケイ酸塩層の平均層間間隔を約56.1から約60.1Å増加させた。
【0161】
熱重量分析(TGA)を実施例1のペンタエリスリトールステアレート挿入モンモリロナイト粘土および以下に比較試料1として記載されるCloisite 20A挿入粘土について得た。用いたTGA機器はTA Instruments,Inc.製のTGA Q50モデルであり、これを室温から800℃まで毎分20℃の走査速度でアルゴンパージ雰囲気内で作動させた。図8は実施例1のペンタエリスリトールステアレート挿入モンモリロナイトについての重量損失の一次導関数のTGA結果を示す。図9は比較試料1についての重量損失の一次導関数のTGA結果を示す。実施例1のペンタエリスリトールステアレート挿入モンモリロナイトのピーク分解温度は399.94℃であり、これは比較試料1の挿入モンモリロナイトのピーク分解温度312.92℃より約87℃高かった。さらに、実施例1のペンタエリスリトールステアレート挿入モンモリロナイトの分解開始温度は比較例試料1よりも約50℃高かった。
【0162】
(実施例2)
250グラムのモンモリロナイト(Cloisite Na+、Southern Clay Products)を100グラムの水とHobart混合ボウルにおいて室温で混合し、粘土/水スラリーを形成した。105.25グラムの、実施例1のペンタエリスリトールステアレートの配合物を40℃に加熱した後、このスラリーに添加した。生じた混合物を、Hobartオーガー押出機を用いて室温で30分間、200rpmのローター回転速度で配合し、挿入層状ケイ酸塩、すなわち、ペンタエリスリトールステアレート挿入モンモリロナイト粘土を形成した。この挿入粘土を80℃のオーブン内で一晩乾燥させて摩砕し、325メッシュふるいを通してふるいがけしてペンタエリスリトールステアレート挿入モンモリロナイトの微粉末を得た。この挿入粘土の平均層間間隔を実施例1について上述されるように決定した。生じた挿入層状ケイ酸塩の一次d−間隔(すなわち、平均層間間隔)は53.4Åであった。これらの結果も下記表1に示す。
【0163】
比較試料1
商業的に入手可能なジメチル二脱水素獣脂四級アンモニウム挿入モンモリロナイト(Cloisite 20A)をSouthern Clay Productsから入手した。挿入剤の濃度は95meq/100g粘土(すなわち、約30重量%インターカラント)であった。この挿入粘土の平均層間間隔を実施例1について上述されるように決定した。Cloisite 20Aの回折パターンを図3に示す。このパターンは3.65°の2θに回折ピークを示し、これから24.2Åの層状ケイ酸塩の平均層間間隔が算出された。
【0164】
(実施例3)
実施例1のペンタエリスリトールステアレート挿入粘土を、Dow Corporationからの商品名Dowlex 2045の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)のマトリックス媒体と混合した。混合比は5重量%ペンタエリスリトールステアレート挿入粘土対95重量%LLDPEマトリックス媒体であった。この混合物を145℃で45分間、55rpmミキサー速度で作動するHaake Rheomix 600 Bowl Mixerを用いて配合し、実施例3の分散粒子組成物を形成した。生じた分散粒子組成物をCarverプレスを用いて2枚のガラス板の間で圧縮し、厚みが40から100ミクロンで変化する透明フィルムとした。
【0165】
実施例3の分散粒子組成物から実施例1について上述される方法を用いて広角X線回折パターンを得た。これを図4に示す。これらの結果は、PESが挿入された粘土のd−間隔に相当する1.22°から1.30°の2θでのピークもしくはショルダーが存在せず、およびフィルムが実質的に透明であったため、挿入層状ケイ酸塩が実質的に剥離したことを示した。
【0166】
(実施例4)
実施例1のペンタエリスリトールステアレート挿入粘土を、ExxonMobil Corporationからの商品名Escorene PP−4292のイソタクチックポリプロピレン(PP)のマトリックス媒体と混合した。混合比は5重量%ペンタエリスリトールステアレート挿入粘土対95重量%ポリプロピレン・マトリックス媒体であった。この混合物を170℃で45分間、50rpmミキサー速度で作動するHaake Rheomix 600 Bowl Mixerを用いて配合し、実施例4の分散粒子組成物を形成した。生じた分散粒子組成物をCarverプレスを用いて2枚のガラス板の間で圧縮し、厚みが40から100ミクロンで変化する透明フィルムとした。
【0167】
実施例1について上述される方法を用いて実施例4の分散粒子組成物について広角X線回折パターンを得た。これを図5に示す。これらの結果は、PESが挿入された粘土のd−間隔に相当する1.22°から1.30°の2θでのピークもしくはショルダーが存在せず、およびフィルムが実質的に透明であったため、挿入層状ケイ酸塩が実質的に剥離したことを示した。
【0168】
(実施例5)
実施例1のペンタエリスリトールステアレート挿入粘土を、Exxon Chemical Corporationからの商品名Escorene LD−761の、28重量%酢酸ビニルを有するエチレン/酢酸ビニル・コポリマー(EVA)のマトリックス媒体と混合した。混合比は5重量%ペンタエリスリトールステアレート挿入粘土対95重量%EVAマトリックス媒体であった。この混合物を155℃で45分間、60rpmミキサー速度で作動するHaake Rheomix 600 Bowl Mixerを用いて配合し、実施例5の分散粒子組成物を形成した。生じた分散粒子組成物をCarverプレスを用いて2枚のガラス板の間で圧縮し、厚みが40から100ミクロンで変化する透明フィルムとした。
【0169】
実施例1について上述される方法を用いて実施例5の分散粒子組成物について広角X線回折パターンを得た。これを図6に示す。これらの結果は、ペンタエリスリトールステアレートが挿入された粘土のd−間隔に相当する1.22°から1.30°の2θでのピークもしくはショルダーが存在せず、およびフィルムが実質的に透明であったため、挿入層状ケイ酸塩が実質的に剥離したことを示した。混合の剪断および/もしくはマトリックス媒体の反応性が幾らかのペンタエリスリトールステアレート挿入剤を置換もしくは分解して幾らかのケイ酸塩層を共に崩壊させ得るため、約6°での2θピークは幾らかの非挿入層状ケイ酸塩が存在していたことを示し得るものと仮定される。
【0170】
(実施例6)
実施例1のペンタエリスリトールステアレート挿入粘土を、BASF Corporationからの商品名Ultramid B35のナイロン−6ポリマー(PA6)のマトリックス媒体と混合した。混合比は5重量%ペンタエリスリトールステアレート挿入粘土対95重量%PA6マトリックス媒体であった。この混合物を210℃で45分間、50rpmミキサー速度で作動するHaake Rheomix 600 Bowl Mixerを用いて配合し、実施例6の分散粒子組成物を形成した。生じた分散粒子組成物をCarverプレスを用いて2枚のガラス板の間で圧縮し、厚みが40から100ミクロンで変化する透明フィルムとした。
【0171】
実施例1について上述される方法を用いて実施例6の分散粒子組成物について広角X線回折パターンを得た。これを図7に示す。これらの結果は、ペンタエリスリトールステアレートが挿入された粘土のd−間隔に相当する1.22°から1.30°の2θでのピークもしくはショルダーが存在せず、およびフィルムが実質的に透明であったため、挿入層状ケイ酸塩が実質的に剥離したことを示した。
【0172】
(実施例7から10)
以下の実施例7から10は、ペンタエリスリトールエステルの異なる配合物および以下に表1において記載される量を除いて、実施例2について上述される手順に従って行った。実施例7において用いたペンタエリスリトールエステルの配合物は、Oleon CorporationからRadiasurf 7156の商標で入手したペンタエリスリトールオレエートの配合物であった。実施例8において用いたペンタエリスリトールエステルの配合物は、Oleon CorporationからRadiasurf 7173の商標で入手したペンタエリスリトールステアレートの配合物であった。実施例9において用いたペンタエリスリトールエステルの配合物は、Oleon CorporationからRadiasurf 7514の商標で入手したペンタエリスリトールベヘネートの配合物であった。実施例10において用いたペンタエリスリトールエステルの配合物は、Oleon CorporationからRadiasurf 7176の商標で入手したペンタエリスリトールステアレートの配合物であった。各ペンタエリスリトール配合物の異なる次数のエステルの相対量は炭素−13核磁気共鳴によって決定した。これらを表1に報告する。挿入粘土の平均層間間隔は実施例1について上述されるように決定した。生じた挿入粘土のケイ酸塩間隔に相当する一次d−間隔を表1に報告する。
【0173】
【表1】

【0174】
(実施例11から18)
ペンタエリスリトールエステルの異なる配合物の合成をペンタエリスリトールの直接エステル化によって行った。典型的な反応条件は、窒素の下で1:1モル比のペンタエリスリトールおよび対応カルボン酸を190から240℃で30分間、触媒としての0.2重量%酸化亜鉛と共に攪拌することである。水はディーン・スターク・トラップで除去した。冷却した生成物をテトラヒドロフランに溶解して濾過し、触媒および未反応ペンタエリスリトールを除去した。収率を表2に報告する。
【0175】
【表2】

【0176】
各配合物のエステル次数の分布をプロトンおよび炭素NMR分光分析の組み合わせによって定量した。これらのエステル配合物の特徴付けにGPCおよびLC/MSも用いた。各配合物のエステル次数の分布を表3に示す。
【0177】
実施例11から18の挿入層状ケイ酸塩の各々を製造するため、40.0gの精製モンモリロナイト(Cloisite Na+、Southern Clay Products)をボウルに入れた。手動で攪拌しながら、小石の硬度が得られるまで、約20gの水を滴下により添加した。表3で確認される量の選択された溶融ペンタエリスリトールエステルを攪拌しながらこの粘土に徐々に添加した。この粘土混合物を、75℃(より高温で溶融する挿入剤にはより高温を用いた)に加熱されたカム・ブレードを備える60cc Brabender混合チャンバに移した。混合物を100rpmで15分間処理した。生じる挿入層状ケイ酸塩は約20から約40%の有機物含有率を有した。
【0178】
生じた挿入層状ケイ酸塩の各々(実施例11から18)を80℃で一晩乾燥させ、摩砕して325メッシュふるいを通してふるいがけした。生じる挿入層状ケイ酸塩の平均層間間隔(すなわち、基本d−間隔)を実施例1におけるように決定した。これらの結果を以下で表3にまとめる。
【0179】
【表3】

【0180】
(実施例19から24)
ペンタエリスリトール脂肪酸エステルは、一般には、モノ、ジ、トリおよびテトラエステルの混合物として得られる。加えて、脂肪酸部分は様々な炭化水素鎖長の現実的混合物であり得る。
【0181】
実施例1のペンタエリスリトールステアレートエステルの商業的に入手可能な配合物(Oleon製Radiasurf(商標)7174)を無水エタノールから再結晶化し、第1画分(O−E−1と命名)および第2画分(O−E−2と命名)を得た。O−E−1は主としてペンタエリスリトールのテトラ−およびトリ−エステルであり、痕跡量のジ−エステルを伴っていた。O−E−2は主としてペンタエリスリトールのモノ−およびジ−エステルであり、痕跡量のトリ−エステルを伴っていた。O−E−1画分は54℃から58℃の融点を有した。O−E−2画分は53℃から56℃の融点を有した。
【0182】
実施例1のペンタエリスリトールステアレートエステルの商業的に入手可能な配合物(Oleon製Radiasurf(商標)7174)を60%エタノールおよび40%水の混合液からも再結晶化し、第1画分(O−E60−1と命名)および第2画分(O−E60−2と命名)を得た。O−E60−1は主としてペンタエリスリトールのテトラ−、トリ−およびジ−エステルであった。O−E60−2は主としてペンタエリスリトールのモノ−エステルであった。このようにして、434グラムのRadiasurf(商標)7174ペンタエリスリトールステアレートを再結晶化し、60℃から72℃の融点を有する、19.6グラムのペンタエリスリトールモノステアレート(収率4.5%)を得た。
【0183】
また、実施例1のペンタエリスリトールステアレートエステルの商業的に入手可能な配合物を、調製スケールのカラムクロマトグラフィーによって分離した。4.0×17.0cm Michel−Millerカラム(RTSI−240)に80g正常相シリカゲルを充填した。このカラムに、シリカゲルに予め吸着させた1gのエステルブレンドを負荷した。この混合物は、純粋ヘキサンから出発して11%酢酸エチルまで勾配をなし(約25mL画分、合計約830mL)、40%酢酸エチル/60%ヘキサンから100%酢酸エチルまでの第2勾配(約25mL画分、合計約1100mL)がこれに続く2工程溶媒勾配を用いるTLC、GPCおよびLC/MSによる決定で、4つの純粋エステル画分に分離された。以下の融点が得られた:ペンタエリスリトールテトラ−エステル、mp=64−69℃(O−Tetra−CCと命名);ペンタエリスリトールトリ−エステル、mp=52−57℃(O−Tri−CCと命名);ペンタエリスリトールジ−エステル、mp=60−65℃(O−Di−CCと命名);およびペンタエリスリトールモノ−エステル、mp=57−64℃(O−Mono−CCと命名)。
【0184】
実施例19から24の挿入層状ケイ酸塩および比較2の試料の各々を製造するため、40.0gの精製モンモリロナイト(Cloisite Na+、Southern Clay Products)をボウルに入れた。手動で攪拌しながら、小石の硬度が得られるまで、約20gの水を滴下により添加した。表4で確認される量の選択された溶融ペンタエリスリトールエステル(実施例19から24、比較2)またはペンタエリスリトールを攪拌しながらこの粘土に徐々に添加した。この粘土混合物を、75℃(より高温で溶融する挿入剤にはより高温を用いた)に加熱されたカム・ブレードを備える60cc Brabender混合チャンバに移した。混合物を100rpmで15分間処理した。生じる挿入層状ケイ酸塩は約20から約40%の有機物含有率を有した。
【0185】
生じる挿入層状ケイ酸塩(実施例19から24)、O−Tetra−CC(比較2)、およびペンタエリスリトール/粘土試料(比較3)の各々を80℃で一晩乾燥させ、摩砕して325メッシュふるいを通してふるいがけした。生じる挿入層状ケイ酸塩もしくは試料の平均層間間隔(すなわち、基本d−間隔)を実施例1におけるように決定した。これらの結果を表4において報告する。
【0186】
【表4】

【0187】
(実施例25)
挿入剤N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルステアラミドを、ディーン・スターク・トラップを用いて溶媒を除去する、エタノール水混合液における85から125℃での、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのステアリン酸での直接アミド化によって合成した。得られた生成物は白色固体であった。収率は54重量%、mp=89−101℃であった。この方法により、本質的に純粋なN−トリス(ヒドロキシメチル)メチルステアラミド(Tris−SAと命名)を得た。
【0188】
挿入層状ケイ酸塩を、上記実施例19から25について記載される手順に従うが、Tris−SAを挿入剤として用いて製造した。生じる実施例25の挿入層状ケイ酸塩を上記実施例19から24について記載されるように試験した。これらの結果を表4に報告する。
【0189】
(実施例26から39)
表5に示されるように、実施例2の挿入層状ケイ酸塩を様々なマトリックスポリマーと表5に示される重量%負荷レベルで混合し、26から39の分散粒子組成物を製造した。各々の混合物を145から210℃の範囲の温度で10分間、50rpmミキサー速度で作動するHaake Rheomix 600 Bowl Mixerを用いて配合した。生じた実施例26−39の分散粒子組成物の各々をCarverプレスを用いて2枚のガラス板の間で圧縮し、約100ミクロンの厚みを有する透明フィルムとした。次に、これらの分散粒子組成物の熱機械的特性を、RSA−11 Solids Analyzerを用いる動的機械的分析によって評価した。幅3mm×長さ30mmの寸法を有する、各々の分散粒子組成物のフィルムの試料を製造した。これらの試料、ASTM D 4065−89およびASTM 5026−90に概述される手順によって積載および評価した。温度は、熱的平衡を確実なものとするため各工程の後30秒遅らせる、3℃の増分で勾配をなしていた。環周波数(annular frequency)は22rad/秒であり、歪みは0.2%であった。貯蔵弾性率の結果を表5にまとめる。挿入層状ケイ酸塩なしのマトリックスポリマーも評価した(比較4から7)。
【0190】
【表5】

【0191】
表5において特定されたマトリックスポリマー用のLLDPE、PP、EVA、およびPA6は、それぞれ、実施例3−6において特定されたこれらのポリマーと同じものであった。
【0192】
比較試料8
図10は、エチレン酢酸ビニルワックス(Honeywell Corporation、商品名A−C 400A)のマトリックス中に懸濁された30重量%の非挿入モンモリロナイト粘土を含めて製造された比較試料8の組成物の回折パターンを示す。このパターンは7.27°の2θに回折ピークを示し、これから12.2Åのモンモリロナイト粘土の平均層間間隔(すなわち、一次基本d−間隔)が算出され、これらは上述のように測定および算出された。
【0193】
ここに列挙されるあらゆる数値範囲は、あらゆる低値とあらゆる高値との間に少なくとも2単位の隔たりが存在するという条件で、低値から高値までのすべての値を1単位の増分で含む。例として、成分の量もしくは処理変数(例えば、温度、圧力、時間)の値が1から90、20から80、もしくは30から70のいずれか、または少なくとも1、20、もしくは30および/または多くとも90、80、もしくは70のいずれかの範囲をとり得ると明言される場合、15から85、22から68、43から51、および30から32に加えて、少なくとも15、少なくとも22、および多くとも32のような値が本明細書において明白に列挙されることが意図される。1未満である値については、1単位は適宜0.0001、0.001、0.01もしくは0.1とみなされる。これらは明確に目的とするものの例に過ぎず、列挙される低値および高値の間の数値のすべての可能な組み合わせが本出願において同様の方法で明示的に列挙されるものとみなされるべきである。
【0194】
上記説明は本発明の好ましい実施形態のものである。様々な変更および変化を特許請求の範囲に定義される本発明の精神およびより広範な態様から逸脱することなしになすことができ、これらは均等の原則を含む特許法の原理に従って解釈されるべきである。特許請求の範囲および特定の例、もしくは他に明白に示される場合を除いて、物質の量、反応条件、使用条件、分子量、および/もしくは炭素原子の数等を示す、この説明におけるすべての数的量は、本発明の最も広範な範囲を説明する上で「約」という単語によって修飾されるものと理解されるべきである。開示における事項もしくは特許請求の範囲における要素に対する、冠詞「a」、「an」、「the」、もしくは「前記(said)」を用いる単数でのすべての参照は、明白にこのように述べられていない限り、この事項もしくは要素を単数に限定するものと解釈されるべきではない。本出願において記載される定義および開示は、組み込まれる参照文献に存在し得るあらゆる矛盾した定義および開示を制御する。ASTM試験に対するすべての参照は、本出願の優先出願日の時点での、最も最近の、該時点で認可され、および公開されたバージョンのASTM試験に対するものである。このような公開されたASTM試験法の各々はこの参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】実施例1において考察される、ペンタエリスリトールステアレートの配合物が挿入されたモンモリロナイト粘土のX線回折パターン。
【図2】非挿入モンモリロナイト粘土のX線回折パターン。
【図3】比較1において考察される、ジメチル二水素化獣脂四球アンモニウム挿入モンモリロナイトが挿入されたモンモリロナイト粘土のX線回折パターン。
【図4】実施例3において考察される、直鎖低密度ポリエチレンのマトリックス媒体中に分散するペンタエリスリトールステアレートの配合物が挿入されたモンモリロナイト粘土のX線回折パターン。
【図5】実施例4において考察される、アイソタクチック・ポリプロピレンのマトリックス媒体中に分散するペンタエリスリトールステアレートの配合物が挿入されたモンモリロナイト粘土のX線回折パターン。
【図6】実施例5において考察される、エチレン/酢酸ビニル共重合体のマトリックス媒体中に分散するペンタエリスリトールステアレートの配合物が挿入されたモンモリロナイト粘土のX線回折パターン。
【図7】実施例6において考察される、ナイロン−6ポリマーのマトリックス媒体中に分散するペンタエリスリトールステアレートの配合物が挿入されたモンモリロナイト粘土のX線回折パターン。
【図8】実施例1のペンタエリスリトールステアレート配合物挿入モンモリロナイト粘土の熱重量分析(TGA)グラフ。
【図9】比較試料1のCloisite 20A挿入粘土について得られた熱重量分析(TGA)グラフ。
【図10】非挿入モンモリロナイト粘土のX線回折パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケイ酸塩層を含む層状ケイ酸塩;および
ケイ酸塩層間に少なくとも約20Åのケイ酸塩層間の平均層間間隔をもたらすのに有効な量で吸蔵されている少なくとも1種類の挿入剤
を含み、少なくとも1種類の挿入剤は以下から選択される式を有する、
【化1】


[式中:
は、
1)少なくとも8個の炭素原子を有するアシル基;
2)少なくとも8個の炭素原子を有するアルキル基;
3)少なくとも8個の炭素原子を有するアルケニル基;
4)少なくとも8個の炭素原子を有するアルカジエニル基;および
5)少なくとも8個の炭素原子を有する炭素鎖基、
のいずれかを表し、前記炭素鎖基はヒドロキシル、カルボキシル、エポキシ、イソシアネート、アリールおよびアリールメチルから選択される1つ以上のペンダントまたは末端基を組み込み、前記アリールメチル基は式
【化2】

を有し、式中、「Ar」はアリール基を表し、並びにRおよびRは、独立に、水素、アシル基、アルキル基またはアルケニル基を表し;
はH、−CH、−CHCHまたはRによって表される基のいずれかを表し;
は、
【化3】


から選択される式を有するオキシル化基を表し、式中、「n」は2から12の範囲をとり、「x」は4から14の範囲をとり、および「y」は0から3の範囲をとり;並びに
、RおよびRは、R、R、およびRの少なくとも1つがHであるという条件で、各々独立に、H、−CH、−CHCH
【化4】

またはRおよびRによって表される基のいずれかを表す。]
挿入層状ケイ酸塩。
【請求項2】
少なくとも1種類の挿入剤が式Iを有する、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項3】
少なくとも1種類の挿入剤が式IIを有する、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項4】
少なくとも1種類の挿入剤が式IIIを有する、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項5】
少なくとも1種類の挿入剤が式IVを有する、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項6】
少なくとも1種類の挿入剤が式Vを有する、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項7】
少なくとも1種類の挿入剤が式Vを有し、およびRが、
【化5】


から選択される式を有するオキシル化基を表す、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項8】
少なくとも1種類の挿入剤が式VIを有する、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項9】
少なくとも1種類の挿入剤が式VIIを有する、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項10】
が分岐鎖である、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項11】
が非分岐鎖である、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項12】
がアシル基である、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項13】
がアルキル基である、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項14】
、RおよびRの各々が水素である、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項15】
、RおよびRのうちの2つのみが水素である、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項16】
、RおよびRのうちの1つのみが水素である、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項17】
少なくとも1種類の挿入剤がペンタエリスリトールのエステルを含む、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項18】
少なくとも1種類の挿入剤がペンタエリスリトールの脂肪酸エステルを含む、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項19】
少なくとも1種類の挿入剤がペンタエリスリトールのモノエステルを含む、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項20】
少なくとも1種類の挿入剤がペンタエリスリトールのジエステルを含む、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項21】
少なくとも1種類の挿入剤がペンタエリスリトールのトリエステルを含む、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項22】
挿入剤がペンタエリスリトールモノステアレートを含む、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項23】
挿入剤がクエン酸のエステルを含む、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項24】
挿入剤がクエン酸の脂肪酸エステルを含む、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項25】
挿入剤がクエン酸ステアリルを含む、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項26】
アンモニウム化合物を含む挿入剤を本質的に含有しない、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項27】
オニウム官能性を含む挿入剤を本質的に含有しない、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項28】
吸蔵される挿入剤の量が100重量部の層状ケイ酸塩あたり少なくとも約5重量部である、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項29】
ケイ酸塩層間に吸蔵される第1および第2挿入剤を、少なくとも約20Åのケイ酸塩層間の平均層間間隔をもたらすのに有効な量で含み、
第1および第2挿入剤は互いに異なり;並びに
第1および第2挿入剤は、各々独立に、式IからVIIから選択される式によって表される、
請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項30】
第2挿入剤の第1挿入剤に対する重量比が少なくとも約1:20である、請求項29の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項31】
ケイ酸塩層間に吸蔵される第1および第2挿入剤を、少なくとも約20Åのケイ酸塩層間の平均層間間隔をもたらすのに有効な量で含み、
第1および第2挿入剤は互いに異なり;並びに
第1および第2挿入剤は、各々独立に、式Iによって表される、
請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項32】
ケイ酸塩層間に吸蔵される第1、第2および第3挿入剤を、少なくとも約20Åのケイ酸塩層間の平均層間間隔をもたらすのに有効な量で含み、
第1、第2および第3挿入剤は互いに異なり;並びに
第1、第2および第3挿入剤は、各々独立に、式IからVIIから選択される式によって表される、
請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項33】
第2挿入剤の第1挿入剤に対する重量比が少なくとも約1:20であり;および
第3挿入剤の第1挿入剤に対する重量比が少なくとも約1:20である、
請求項32の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項34】
ケイ酸塩層間に吸蔵される第1、第2および第3挿入剤を、少なくとも約20Åのケイ酸塩層間の平均層間間隔をもたらすのに有効な量で含み、
第1、第2および第3挿入剤は互いに異なり;並びに
第1、第2および第3挿入剤は、各々独立に、式Iによって表される、
請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項35】
ケイ酸塩層間の平均層間間隔が少なくとも約30Åである、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項36】
層状ケイ酸塩がベントナイト粘土である、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項37】
少なくとも約360℃のピーク分解温度を有する、請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項38】
ケイ酸塩層間に分散する少なくとも1種類のインターカラント充填剤をさらに含み、
前記少なくとも1種類のインターカラント充填剤は式IからVIIから選択される式によって表され、前記少なくとも1種類のインターカラント充填剤についてR、RおよびRの少なくとも2つは、各々独立に、RおよびRによって表される基のいずれかを表し、ただし、R、RおよびRの少なくとも1つは水素であるという条件がない、
請求項1の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項39】
少なくとも1種類のインターカラント充填剤について、R、R、およびRの各々は、独立に、RおよびRによって表される基のいずれかを表す、請求項38の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項40】
インターカラント充填剤がペンタエリスリトールのテトラエステルである、請求項38の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項41】
インターカラント充填剤がペンタエリスリトールの四脂肪酸エステルである、請求項38の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項42】
少なくとも1種類のインターカラント充填剤の総量の、挿入層状ケイ酸中の少なくとも1種類の挿入剤の総量に対する比が少なくとも約1:20である、請求項38の挿入層状ケイ酸塩。
【請求項43】
約0.1から約100重量部の請求項1から42のいずれかの挿入層状ケイ酸塩を100重量部のマトリックス媒体と混合して混合物を形成すること;並びに
前記混合物に、100重量部のマトリックス媒体あたり少なくとも約0.1重量部の剥離粒子を含む分散粒子組成物を形成するのに十分なエネルギーを加えること、
を含む、層状ケイ酸塩を剥離させる方法。
【請求項44】
剥離粒子が最短寸法に多くとも約100nmの平均寸法を有する、請求項43の方法。
【請求項45】
マトリックス媒体がポリオレフィン、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、イオノマー、ビニルプラスチック、ポリアミド、ポリエステルおよびポリスチレンから選択される1種類以上のポリマーを含む、請求項43の方法。
【請求項46】
マトリックス媒体が1種類以上のエネルギー硬化性ポリマー前駆体を含む、請求項43の方法。
【請求項47】
マトリックス媒体がコーティング溶媒、コーティング結合剤、およびコーティング樹脂から選択される1種類以上の物質を含む、請求項43の方法。
【請求項48】
マトリックス媒体がインク溶媒およびインク樹脂から選択される1種類以上の物質を含む、請求項43の方法。
【請求項49】
マトリックス媒体がグリース潤滑油およびグリースゲル化剤から選択される1種類以上の物質を含む、請求項43の方法。
【請求項50】
マトリックス媒体が化粧用脂質、化粧用皮膚軟化剤、化粧用湿潤剤、化粧用被膜形成剤、化粧用結合剤、化粧用表面活性剤および化粧用溶媒から選択される1種類以上の物質を含む、請求項43の方法。
【請求項51】
マトリックス媒体が1種類以上の医薬賦形剤を含む、請求項43の方法。
【請求項52】
マトリックス媒体が水中油エマルジョンおよび油中水エマルジョンから選択されるエマルジョンを含む、請求項43の方法。
【請求項53】
約1から約10重量部の請求項1の挿入層状ケイ酸塩を100重量部のマトリックス媒体と混合することを含む、請求項43の方法。
【請求項54】
100重量部のマトリックス媒体あたり少なくとも約1重量部の剥離した粒子を含む分散粒子組成物を形成するのに十分なエネルギーを混合物に加えることを含む、請求項43の方法。
【請求項55】
少なくとも約50重量%のマトリックス媒体;および
少なくとも約0.1から多くとも約50重量%の、マトリックス媒体中に分散している粒子、
を含み、
前記粒子は最短寸法に多くとも約100nmの平均サイズを有し、
前記粒子は、
ケイ酸塩小板、および
ケイ酸塩小板に吸蔵される挿入剤
を含み、
前記挿入剤は請求項1の式IからVIIから選択される式を有する
分散粒子組成物。
【請求項56】
マトリックス媒体がポリオレフィン、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、イオノマー、ビニルプラスチック、ポリアミド、ポリエステルおよびポリスチレンから選択される1種類以上のポリマーを含む、請求項55の分散粒子組成物。
【請求項57】
請求項55の分散粒子組成物を含む包装;および
前記包装内に封入されている食品、
を含む包装済み食品。
【請求項58】
マトリックス媒体が1種類以上のポリマーを含み、前記1種類以上のポリマーは熱可塑性である、請求項55の分散粒子組成物を含む包装用フィルム。
【請求項59】
請求項58の包装用フィルムを含む包装内に食品を封入することを含む食品の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−521752(P2008−521752A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544566(P2007−544566)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/043741
【国際公開番号】WO2006/060716
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(500256772)クライオバック・インコーポレイテツド (25)
【Fターム(参考)】