説明

挿通補助具およびカテーテル

【課題】分割されたガイドワイヤルーメンを有するカテーテルへガイドワイヤを挿通させる際の作業性を向上させることが可能な挿通補助具およびカテーテルを提供する。
【解決手段】ガイドワイヤ25が挿通される第1ガイドワイヤ用ルーメン27と、前記第1ガイドワイヤ用ルーメン27の略延長線上に設けられて前記ガイドワイヤ25が挿通される第2ガイドワイヤ用ルーメン28とを有するカテーテル1に離脱可能に装着されて、前記ガイドワイヤ25の挿通を補助する挿通補助具50であって、前記第1ガイドワイヤ用ルーメン27と第2ガイドワイヤ用ルーメン28との間を覆い、前記ガイドワイヤ25が挿通可能な挿通補助ルーメン26を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管、脈管、消化器官等の体腔内あるいは管腔内に挿入して、各種診断を行うのに用いられる診断用のカテーテル、および当該カテーテルにガイドワイヤを挿通するための挿通補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
心筋梗塞等の原因となる血管狭窄部の治療では、カテーテルにより経皮的に患部の治療を行う手術手法が用いられている。この手術手法には、先端にバルーンを有する拡張カテーテルで狭窄部を押し広げる方法、ステントと呼ばれる金属の管を留置する方法、ロータブレータと呼ばれる器具により砥石やカッターの回転で狭窄部を切除する方法など、種々の方法が存在し、狭窄部の性状や患者の状態にあわせて好ましい方法が選択される。
【0003】
診断用のカテーテルは、主にこのような血管狭窄部の経皮的な治療の際に、狭窄部の性状を観察し、治療手段を選択するための判断の一助として用いられ、また、治療後の状態の観察にも用いられている。
【0004】
診断用のカテーテルとしては、たとえば、超音波検出器によりセンシングを行う超音波カテーテルや、低干渉光を利用した光断層イメージング装置等がある。
【0005】
これらのうち、超音波カテーテルは、心臓の冠状動脈等の曲がりくねった箇所まで挿入する必要があるので、挿入の際には、先にガイドワイヤを患部まで挿入しておき、このガイドワイヤに沿わせて進ませている。このため、超音波カテーテルの先端には、ガイドワイヤを挿通させ、ガイドワイヤに従って移動するためのルーメン(以下、ガイドワイヤルーメンと称する)が設けられている。
【0006】
超音波検出器により超音波を発生する方向にガイドワイヤルーメンが存在すると、超音波検出器による映像の取得が妨げられるため、ガイドワイヤルーメンは、一般的に、超音波検出器の位置よりも生体内挿入方向の先端側にのみ設けられている。
【0007】
また、生体の映像を取得するための超音波検出器は、生体内へのカテーテルの挿入をできるだけ少なくするために、可能な限り超音波カテーテルの先端に設けることが望ましい。したがって、超音波検出器よりも先端側に設けられるガイドワイヤルーメンは、必然的に軸方向の長さを短くする必要がある。
【0008】
このため、操作性が悪くなり、カテーテルが思うようにガイドワイヤに沿って進まないといった問題がある。そこで、例えば特許文献1では、ガイドワイヤルーメンを、超音波検出器よりも先端側だけでなく、後端側にも設けたカテーテルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4065167号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載のカテーテルは、ガイドワイヤルーメンが超音波検出器の先端側と後端側の2つに分かれて存在するため、医療現場において、非常に細径な2つのガイドワイヤルーメンにガイドワイヤを挿通することは容易ならざる作業である。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、分割されたガイドワイヤルーメンを有するカテーテルへガイドワイヤを挿通させる際の作業性を向上させることが可能な挿通補助具およびカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の挿通補助具は、ガイドワイヤが挿通される第1ガイドワイヤ用ルーメンと、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンの略延長線上に設けられて前記ガイドワイヤが挿通される第2ガイドワイヤ用ルーメンとを有するカテーテルに離脱可能に装着されて、前記ガイドワイヤの挿通を補助する挿通補助具であって、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンと第2ガイドワイヤ用ルーメンとの間を覆い、前記ガイドワイヤが挿通可能な挿通補助ルーメンを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明の挿通補助具は、第1ガイドワイヤ用ルーメンと第2ガイドワイヤ用ルーメンの間を覆ってガイドワイヤが挿通可能な挿通補助ルーメンを有するため、使用者が一方のガイドワイヤ用ルーメンにガイドワイヤを挿入するだけで、2つのガイドワイヤ用ルーメンにガイドワイヤを挿通することができ、作業性を向上させることができる。さらに、挿通補助具は特別な道具を用いずともカテーテルに離脱可能に装着されるため、術者が手術現場でガイドワイヤを挿通した後に容易に除去することができる。
【0014】
前記挿通補助ルーメンの、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンまたは第2ガイドワイヤ用ルーメンと近接する内壁の少なくとも一方が、近接する前記第1ガイドワイヤ用ルーメンまたは第2ガイドワイヤ用ルーメンの内壁の延長線上または延長線よりも外側に位置するようにすれば、近接する第1ガイドワイヤ用ルーメンまたは第2ガイドワイヤ用ルーメンから挿通補助ルーメンにガイドワイヤの先端が移動する際に、ガイドワイヤが挿通補助ルーメンの内壁に引っ掛かることなしに円滑に挿入される。
【0015】
前記挿通補助ルーメンの内壁の少なくとも一部が、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンまたは第2ガイドワイヤ用ルーメンの内壁の延長線上または延長線よりも内側に位置するようにすれば、挿通補助ルーメンから第1または第2ガイドワイヤ用ルーメンへガイドワイヤの先端が移動する際に、ガイドワイヤの先端が第1または第2ガイドワイヤ用ルーメンの内壁に引っ掛かることなしに円滑に挿入される。
【0016】
前記カテーテルの外壁のうち前記第1ガイドワイヤ用ルーメンを規定する第1外壁、第2ガイドワイヤ用ルーメンを規定する第2外壁、および前記カテーテルの本体チューブの外壁の少なくとも1つに係合し、前記カテーテルから離脱可能とすれば、挿通補助ルーメンを適正な位置に配置することができる。
【0017】
互いに対向する面を備えて近接離間可能に設けられ、前記対向する面の少なくとも一方に対向溝が形成され、当該対向溝の少なくとも一部により前記挿通補助ルーメンを規定する第1挟持部材および第2挟持部材と、前記第1挟持部材および第2挟持部材が互いに近接する方向へ付勢力を与える弾性部材と、を有するようにすれば、第1挟持部材と第2挟持部材の間に挿通補助ルーメンを形成することができ、かつ挿通補助具をカテーテルに対して着脱可能とすることができる。
【0018】
前記カテーテルに係合する筒状部材であり、前記カテーテルから離脱可能に変形または破壊される離脱部を有するようにすれば、筒状部材の内部に挿通補助ルーメンを形成することができ、かつ挿通補助具をカテーテルから離脱させることができる。
【0019】
前記第1ガイドワイヤ用ルーメンおよび第2ガイドワイヤ用ルーメンの互いに離れたガイドワイヤ挿通用の開口の少なくとも一方に連通し、前記開口から離れるにつれて拡開する案内部を有するようにすれば、第1ガイドワイヤ用ルーメンおよび第2ガイドワイヤ用ルーメンに対してガイドワイヤを容易に挿入することができ、作業性を向上させることができる。
【0020】
前記ガイドワイヤが挿通される第1ガイドワイヤ用ルーメンと、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンの略延長線上に設けられて前記ガイドワイヤが挿通される第2ガイドワイヤ用ルーメンと、を有するカテーテルを、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンと第2ガイドワイヤ用ルーメンとの間を覆い、前記ガイドワイヤが挿通可能な挿通補助ルーメンを形成するように、前述のいずれかの挿通補助具が装着されたカテーテルとすれば、使用者が一方のガイドワイヤ用ルーメンにガイドワイヤを挿入するだけで、2つのガイドワイヤ用ルーメンにガイドワイヤを挿通することができ、作業性を向上させることができる。さらに、挿通補助具はカテーテルに離脱可能に装着されるため、ガイドワイヤを挿通した後に容易に除去することができる。
【0021】
前記挿通補助具が装着された状態で包装されるようにすれば、包装から取り出すだけで、第1または第2ガイドワイヤ用ルーメンにガイドワイヤを挿通可能な状態となり、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る超音波カテーテルを示す平面図である。
【図2】第1実施形態に係る超音波カテーテルの先端部の一部を示す断面図である。
【図3】シース先端部およびシース本体部の接続部位付近を示す断面図である。
【図4】挿通補助具を示す平面図である。
【図5】挿通補助具を開いた際を示す平面図である。
【図6】挿通補助具を示す斜視図である。
【図7】挿通補助具の一方の挟持部材を示す部分斜視図である。
【図8】図6の8−8線に沿う断面図である。
【図9】包装された超音波カテーテルを示す平面図である。
【図10】超音波カテーテルにガイドワイヤを挿通する際の断面図であり、(A)は挿通補助ルーメン挿通の際、(B)は挿通補助ルーメン挿通の後を示す。
【図11】第2実施形態に係る超音波カテーテルの先端部を示す断面図である。
【図12】第3実施形態に係る超音波カテーテルの先端部を示す断面図である。
【図13】第4実施形態に係る超音波カテーテルの先端部を示す平面図である。
【図14】図13の14−14線に沿う断面図である。
【図15】第4実施形態に係る超音波カテーテルにおいて挿通補助具を取り外す際を示す平面図である。
【図16】第4実施形態に係る超音波カテーテルにおいて挿通補助具を取り外した際を示す断面図である。
【図17】第4実施形態に係る超音波カテーテルの挿通補助具の変形例を示す平面図である。
【図18】図17の18−18線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されて、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
<第1実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る超音波カテーテル1は、図1に示すように、体腔等の生体内に挿入されるシース2と、使用者が操作するために体腔内に挿入されず使用者の手元側に配置されるハブ3と、ガイドワイヤ25の挿通を容易にするための挿通補助具50とにより構成される。
【0025】
シース2は、シース先端部21と、シース本体部22とを有する。シース先端部21にシース本体部22の一端が接続され、さらにシース本体部22の他端にハブ3が接続されている。
【0026】
シース先端部21およびシース本体部22には、互いに連通する観察部用ルーメン23および24が設けられている。この観察部用ルーメン23,24は、シース2内に形成された中空の通路であり、シース本体部22からシース先端部21に亘って形成されている。
【0027】
観察部用ルーメン23,24内には、イメージングコア40が配置されている。このイメージングコア40は、体腔内組織に向けて超音波を送受信するための振動子ユニット41と、この振動子ユニット(観察部、超音波送受信部)41を先端に取り付けるとともに回転動力を伝達する駆動シャフト42と、振動子ユニット41に取り付けられる回転安定コイル43とを備える。
【0028】
振動子ユニット41は、図2に示すように、超音波を送受信する超音波振動子411と、超音波振動子411を収納する超音波振動子ハウジング412とを有して構成されている。
【0029】
超音波振動子411は、体内に向かって超音波を発生し、反射して戻ってきた超音波を受信することにより、患部の超音波断層像の形成を可能とする。超音波振動子ハウジング412は、凹形に形成されており、凹形の凹み部分に超音波振動子411を保持し、保護する。
【0030】
駆動シャフト42は、柔軟で、しかもハブ3において生成された回転の動力を振動子ユニット41に伝達可能な特性をもち、たとえば、右左右と巻き方向を交互にしている3層コイルなどの多層コイル状の管体で外径一定に構成されている。駆動シャフト42が回転の動力を伝達することによって、振動子ユニット41が観察部用ルーメン23の伸延方向を軸として回転するので、血管および脈管などの体腔内の患部を360度観察することができる。また、駆動シャフト42は、振動子ユニット41で検出された信号をハブ3に伝送するための信号線が内部に通されている。
【0031】
回転安定コイル43は、振動子ユニット41の先端に取り付けられ、イメージングコア40が回転したときに、振動子ユニット41が安定的に回転するためのガイドとなる。また、回転安定コイル43は、シース先端部21の先端に固定された金属コイル32に入り込むことができる。回転安定コイル43が金属コイル32に入り込むので、シース先端部21の先端において、イメージングコア40とシース2とが一体となり、超音波カテーテル1を生体内に挿入する際に折れ曲がりに強い構造となる。
【0032】
また、観察部用ルーメン23,24は、上記イメージングコア40を内蔵するほか、ハブ3のポート31から注入された超音波伝達液の通路の役割も果たす。ポート31から供給される超音波伝達液は、観察部用ルーメン23,24内を通ってシース先端部21まで、すなわち、シース2の基端側から先端側まで流動され充填される。
【0033】
超音波伝達液をシース2内に充填してから、シース2を体腔等に挿入することによって、超音波振動子411と血管壁との間に超音波伝達液が配され、超音波が超音波伝達液を介して患部まで伝達され患部から反射して戻ってくることが可能となる。超音波伝達液の存在により、振動子ユニット41は超音波による映像信号を取得することができる。超音波伝達液は、シース先端部21に設けられた排出口30から体内に排出される。このため、超音波伝達液には、人体に影響がない生理食塩水などが用いられる。
【0034】
シース先端部21には、X線造影マーカ29が設けられており、生体内挿入時にX線透視下で超音波カテーテルの先端位置が確認できるようになっている。
【0035】
シース先端部21には、さらに、ガイドワイヤ25を通すための通路としてガイドワイヤ用ルーメン26が設けられており、ガイドワイヤ用ルーメン26は、第1ガイドワイヤ用ルーメン27と、第2ガイドワイヤ用ルーメン28とから構成されている。
【0036】
第1ガイドワイヤ用ルーメン27は、超音波カテーテル1の生体内挿入方向の先端側に設けられ、第2ガイドワイヤ用ルーメン28は、後端側に、すなわち超音波カテーテル1の基端側に設けられている。第1ガイドワイヤ用ルーメン27および第2ガイドワイヤ用ルーメン28は、相互に接続はされていないが、互いに形成するガイドワイヤ用の通路が略一直線になるように配置されている。したがって、ガイドワイヤ25は、曲がることなく一直線にガイドワイヤ用ルーメン26を通ることができる。
【0037】
ガイドワイヤ25は、超音波カテーテル1を生体内に挿入する前に予め生体内の患部付近まで挿入され、超音波カテーテル1を患部まで導くために使用される。超音波カテーテル1は、ガイドワイヤ25に上記ガイドワイヤ用ルーメン26を通しながら患部まで導かれる。
【0038】
挿通補助具50は、超音波カテーテル1のシース先端部21に対して着脱可能となっており、装着することで、第1ガイドワイヤ用ルーメン27および第2ガイドワイヤ用ルーメン28を連通させることができる。
【0039】
次に、図2を参照して、本発明が適用されるシース2の先端付近の具体的な構造について説明する。
【0040】
図2に示すように、ガイドワイヤ用ルーメン26は、第1ガイドワイヤ用ルーメン27と第2ガイドワイヤ用ルーメン28との二つに分割して設けられている。シース先端部21の外周面には、第1ガイドワイヤ用ルーメン27を規定する第1外壁21Aと、第2ガイドワイヤ用ルーメン28を規定する第2外壁21Bとが形成されている。
【0041】
第1ガイドワイヤ用ルーメン27は、イメージングコア40の振動子ユニット41よりも超音波カテーテル1の生体内挿入方向の先端側に設けられ、第2ガイドワイヤ用ルーメン28は、後端側に設けられている。したがって、超音波の経路となるシース先端部21の外周面にガイドワイヤ用ルーメンが存在しないので、振動子ユニット41による超音波の送受信がガイドワイヤ用ルーメン26に妨げられることがない。
【0042】
なお、ハブ3を操作することにより、駆動シャフト42を介して振動子ユニット41を観察部用ルーメン23内で前後させて広範囲に生体内を観察することもできる。この場合、振動子ユニット41が前後に移動して観察する範囲分第1ガイドワイヤ用ルーメン27と第2ガイドワイヤ用ルーメン28との間を隔てれば、超音波の送受信が妨げられない。
【0043】
また、ガイドワイヤ用ルーメン26は、観察部用ルーメン23とは同軸ではなく、略並行に別個に設けられている。したがって、ガイドワイヤ25とイメージングコア40が同一ルーメン内を通らないので、ガイドワイヤ25が湾曲することなく、円滑にガイドワイヤ用ルーメン26を通ることができる。
【0044】
ガイドワイヤ用ルーメン26が超音波カテーテル1の先端部だけでなく、基端側にも延びているため、ガイドワイヤ25と超音波カテーテル1とが安定的に協動し、ガイドワイヤ25に沿ってシース2を生体内に挿入する際に、シース2を挿入する力が、シース2の挿入方向先端に伝わりやすく、超音波カテーテル1の操作性を向上させることができる。
【0045】
さらに、患部の観察が終了して、超音波カテーテル1を生体内から抜き取る際にも、ガイドワイヤ25とシース先端部21とが長く平行に沿っているので、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の後方でガイドワイヤ25が折れ曲がることがなく、これにより生体内を損傷することがない。
【0046】
また、ガイドワイヤ用ルーメン26が、第1ガイドワイヤ用ルーメン27と第2ガイドワイヤ用ルーメン28との二つにより構成されているので、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の長さを第2ガイドワイヤ用ルーメン28よりも短くしても、シース2の先端付近で適当にガイドワイヤ25をシース2に沿わせることができる。したがって、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の長さを短くすることによって、イメージングコア40の振動子ユニット41をシース2の最先端部に近づけることができ、患部の観察を適切にすることができる。
【0047】
次に、図3を参照して、本発明が適用されるシース2のシース先端部21およびシース本体部22の接続部位付近の具体的な構造について説明する。
【0048】
図3はシース先端部およびシース本体部の接続部位付近の構造を示す図である。
【0049】
シース先端部21は、シース本体部22に比較して柔軟に形成されている。したがって、シース本体部22とシース先端部21との接続部位には、硬さの違いを補強する構造が設けられている。
【0050】
図3に示すように、シース本体部22は、外壁に樹脂チューブ221、その内部に金属チューブ222、さらにその内部に樹脂チューブ211が固定されている。シース先端部21の外壁は、シース本体部22から伸延する同一の樹脂チューブ211と同体に形成されており、シース本体部22から形成されている観察部用ルーメン24と同様の通路である観察部用ルーメン23が形成されるほか、ガイドワイヤ25を通すためのガイドワイヤ用ルーメン26も形成されている。
【0051】
シース本体部22では、チューブが三層になっており、金属チューブ222も含まれるので、樹脂チューブ221だけのシース先端部21に比較して硬い。したがって、シース本体部22とシース先端部21とをそのまま接続すれば、硬さの違いから、該接続部位においてシース2の折れ曲がりが発生する可能性がある。シース先端部21とシース本体部22との硬さの中間くらいの固さの補強体を介してシース先端部21とシース本体部22とを接続すれば、接続部位における折れ曲がりを防止することができる。
【0052】
このような補強体としては、たとえば、図3に示す補強体223がある。補強体223は、樹脂チューブ211が嵌挿され、超音波カテーテル1の生体内挿入方向の後端側で樹脂チューブ221に嵌挿される。補強体223は、樹脂チューブ211および樹脂チューブ221に接着剤等により固定され、さらに金属チューブ222とも当接されて接着される。
【0053】
次に、図4〜8を参照して、本発明が適用される挿通補助具50の具体的な構造について説明する。
【0054】
挿通補助具50は、互いに近接離間可能な第1挟持部材51および第2挟持部材52と、第1挟持部材51および第2挟持部材52に連結される第1押圧部材53および第2押圧部材54と、弾性部材55とにより構成される。
【0055】
第1押圧部材53および第2押圧部材54は、枢着部57にて互いに回動可能に連結される。第1押圧部材53および第2押圧部材54の各々は、枢着部57を挟んで屈曲して形成されており、一端が第1,第2挟持部材51,52と回動可能に係合し、他端が力を作用させるための押圧部531,541となっている。
【0056】
弾性部材55は、第1押圧部材53および第2押圧部材54の押圧部531,541の内側に沿って固定され、枢着部57の近傍でコイル状に屈曲したばね部材である。弾性部材55は、第1押圧部材53および第2押圧部材54が互いに接近する方向へ移動するように第1押圧部材53および第2押圧部材54を付勢している。なお、弾性部材55の形態は、コイル状のばね部材に限定されず、板ばねやゴム等の他の形態も適用できる。
【0057】
第1挟持部材51および第2挟持部材52は、図6,7に示すように、互いに対向する面に第1対向溝511および第2対向溝521が形成されている。第1,第2対向溝511,521は、対称的な形状で形成されており、第1挟持部材51および第2挟持部材52が接することで、シース先端部21の外壁と接してシース先端部21を覆うように保持する。なお、図7,8では、説明の便宜のために第1挟持部材51のみを示し、第1挟持部材51と対称形状である第2挟持部材52については、第1挟持部材51の対応する部位に括弧書きで符号を示して省略する。
【0058】
第1挟持部材51の第1対向溝511には、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の外側の第1外壁21Aを保持する先端溝513と、第2ガイドワイヤ用ルーメン28の外側の第2外壁21Bを保持する基端溝514と、先端溝513と基端溝514の間に形成される連結溝515とが形成されている。また、第2挟持部材52の第2対向溝521には、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の外側の第1外壁21Aを保持する先端溝523と、第2ガイドワイヤ用ルーメン28の外側の第2外壁21Bを保持する基端溝524と、先端溝523と基端溝524の間に形成される連結溝525とが形成されている。第1,第2挟持部材51,52の互いに対向する連結溝515,525は、図6,8に示すように、第1,第2挟持部材51,52が接して組み合わさることで、第1ガイドワイヤ用ルーメン27と第2ガイドワイヤ用ルーメン28の間を覆って、ガイドワイヤ25が挿通可能な挿通補助ルーメン56を構成する。
【0059】
挿通補助ルーメン56の内壁の先端側は、先端溝513,523に向って拡開する第1テーパ部561が形成され、内壁の先端側の端部である第1端部562が、先端溝513,523に保持されるシース先端部21に形成された第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の延長線よりも外側に位置している(図8参照)。これにより、第1ガイドワイヤ用ルーメン27から挿通補助ルーメン56へガイドワイヤ25を挿通させる場合に、ガイドワイヤ25の先端を挿通補助ルーメン56の内壁の端部に引っ掛けることなく滑らかに挿通させることができる。
【0060】
なお、ガイドワイヤ25を挿通補助ルーメン56の第1端部562に引っ掛けることなく滑らかに挿通させるには、第1端部562を、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の延長線よりも外側に位置させるのではなく、延長線上に配置させてもよい。
【0061】
また、第1テーパ部561の基端側(テーパが縮径している側)は、先端溝513,523に保持されるシース先端部21に形成された第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の延長線よりも内側に位置している(図8参照)。すなわち、挿通補助ルーメン56の少なくとも一部が、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の延長線よりも内側に位置されている。これにより、ガイドワイヤ25を第2ガイドワイヤ用ルーメン28から挿通補助ルーメン56を介して第1ガイドワイヤ用ルーメン27へ挿通させる場合において、ガイドワイヤ25を第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の端部に引っ掛けることなく滑らかに挿通させることができる。
【0062】
なお、ガイドワイヤ25を第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の端部に引っ掛けることなく滑らかに挿通させるには、挿通補助ルーメン56の少なくとも一部を、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の延長線よりも内側に位置させるのではなく、延長線上に配置させてもよい。
【0063】
また、挿通補助ルーメン56の内壁の基端側も先端側と同様に、基端溝514,524に向って拡開する第2テーパ部563が形成され、内壁の基端側の端部である第2端部564が、第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の延長線よりも外側に位置している。これにより、第2ガイドワイヤ用ルーメン28から挿通補助ルーメン56へガイドワイヤ25を挿通させる場合に、ガイドワイヤ25の先端を挿通補助ルーメン56の内壁の端部に引っ掛けることなく滑らかに挿通させることができる。
【0064】
なお、ガイドワイヤ25の先端を挿通補助ルーメン56の第2端部564に引っ掛けることなく滑らかに挿通させるには、第2端部564を、第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の延長線よりも外側に位置させるのではなく、延長線上に配置させてもよい。
【0065】
また、第2テーパ部563の先端側(テーパが縮径している側)は、基端溝514,524に保持されるシース先端部21に形成された第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の延長線よりも内側に位置している。すなわち、挿通補助ルーメン56の少なくとも一部が、第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の延長線よりも内側に位置している。これにより、ガイドワイヤ25を第1ガイドワイヤ用ルーメン27から挿通補助ルーメン56を介して第2ガイドワイヤ用ルーメン28へ挿通させる場合において、ガイドワイヤ25を第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の端部に引っ掛けることなく滑らかに挿通させることができる。
【0066】
なお、ガイドワイヤ25を第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の端部に引っ掛けることなく滑らかに挿通させるには、挿通補助ルーメン56の少なくとも一部を、第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の延長線よりも内側に位置させるのでなく、延長線上に配置させてもよい。
【0067】
次に、本実施形態に係る超音波カテーテル1の挿通補助具50の作用を説明する。
【0068】
超音波カテーテル1は、図9に示すように、挿通補助具50が装着された状態で袋Bに包装され、滅菌処理された状態で使用者に提供される。したがって、使用者が袋Bから超音波カテーテル1を取り出した状態で、既に挿通補助具50が装着されているため、このまま挿通補助具50を利用してガイドワイヤ25を第1,第2ガイドワイヤ用ルーメン27,28に挿通させることができる。
【0069】
第1ガイドワイヤ用ルーメン27の先端側からガイドワイヤ25を挿通させる場合には、図10(A)に示すように、まず第1ガイドワイヤ用ルーメン27の先端側から、ガイドワイヤ25を挿入する。ガイドワイヤ25は第1ガイドワイヤ用ルーメン27内を移動し、挿通補助具50の挿通補助ルーメン56に達する。このとき、挿通補助ルーメン56の内壁の先端側に第1テーパ部561が形成され、内壁の先端側の第1端部562が、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の延長線よりも外側に位置しているため、ガイドワイヤ25を挿通補助ルーメン56の内壁の端部に引っ掛けることなく滑らかに挿通させることができる。
【0070】
さらに、挿通補助ルーメン56内のガイドワイヤ25を進めると、図10(B)に示すように、ガイドワイヤ25が第2ガイドワイヤ用ルーメン28に達する。このとき、挿通補助ルーメン56の少なくとも一部が、第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の延長線よりも内側に位置しているため、ガイドワイヤ25を第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の端部に引っ掛けることなく滑らかに挿通させることができる。さらにガイドワイヤ25を進めると、ガイドワイヤ25が第2ガイドワイヤ用ルーメン28から基端側へ抜け出す。次に、図5に示すように、第1,第2押圧部材53,54の押圧部531,541同士を、互いに近づくように指で押圧し、第1,第2挟持部材51,52を離間させる。この後、挿通補助具50をシース先端部21から取り外し、ガイドワイヤ25の挿通が完了する。
【0071】
なお、本実施形態では、挿通補助ルーメン56の両端に、第1テーパ部561および第2テーパ部563が設けられるため、第2ガイドワイヤ用ルーメン28からガイドワイヤ25を挿通させる場合でも、同様にガイドワイヤ25を滑らかに挿通させることが可能である。なお、ガイドワイヤ25を挿通する方向が一方側に決まっている場合には、挿通補助ルーメン56に第1テーパ部561および第2テーパ部563の一方のみが形成されるだけでもよい。また、かならずしも、第1テーパ部561および第2テーパ部563が設けられなくてもよい。
【0072】
<第2実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る超音波カテーテルは、図11に示すように、挿通補助具の挿通補助ルーメン61の形状が、第1実施形態の超音波カテーテル1と異なる。
【0073】
第2の実施形態に係る超音波カテーテルの挿通補助具60は、挿通補助ルーメン61の先端側の内壁面が、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の延長線上に位置し、挿通補助ルーメン61の基端側の内壁面が、第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の延長線上に位置する。このような挿通補助具60によれば、2つに分割された第1,第2ガイドワイヤ用ルーメン27,28が設けられても、ガイドワイヤ25を第1ガイドワイヤ用ルーメン27および第2ガイドワイヤ用ルーメン28へ連続して滑らかに挿通させることができる。
【0074】
なお、本明細書中の”延長線上に位置”とは、差異がガイドワイヤ25の径を基準として小さく、ガイドワイヤ25を挿通する際に引っ掛かりがほとんど生じない程度である場合を含んでいる。差異の大きさは、例えばガイドワイヤ25の半径以下であれば、ガイドワイヤ25の先端の形状に沿って、差異によって生じる段差をガイドワイヤ25が滑らかに移動することができる。
【0075】
また、挿通補助ルーメン61が、第1ガイドワイヤ用ルーメン27および第2ガイドワイヤ用ルーメン28とできるだけ隙間なく連続して形成されることがより好ましい。挿通補助ルーメンと、第1ガイドワイヤ用ルーメン27および第2ガイドワイヤ用ルーメン28との間の隙間が狭いほど、ガイドワイヤ25をより滑らかに移動させることができる。
【0076】
なお、他の構造については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
<第3実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る超音波カテーテルは、図12に示すように、挿通補助具70の第1ガイドワイヤ用ルーメン27に対して先端側に、ガイドワイヤ25を第1ガイドワイヤ用ルーメン27へ案内する案内部71が形成される点で、第1実施形態の超音波カテーテル1と異なる。
【0078】
挿通補助具70の案内部71は、先端側に拡開するテーパ状に形成されている。案内部71の基端側は、第1ガイドワイヤ用ルーメン27が開口するシース先端部21と接しており、案内部71の基端側の内壁が、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の内壁の延長線上もしくは延長線よりも内側に形成されている。このような挿通補助具70によれば、第1ガイドワイヤ用ルーメン27へガイドワイヤ25を挿入する際に、非常に細径な開口である第1ガイドワイヤ用ルーメン27へ、ガイドワイヤ25を容易に挿入することができる。
【0079】
なお、このような案内部71を、挿通補助具70の第2ガイドワイヤ用ルーメン28に対する基端側に形成することにより、第2ガイドワイヤ用ルーメン28へのガイドワイヤ25の挿入を容易にすることもできる。
【0080】
なお、他の構造については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
<第4実施形態>
本発明の第4の実施形態に係る超音波カテーテルは、図13,14に示すように、挿通補助具80が、シース先端部21を囲む1つの部材で形成される点で、第1実施形態の超音波カテーテルと異なる。
【0082】
挿通補助具80は、筒状の部材であり、第1ガイドワイヤ用ルーメン27および第2ガイドワイヤ用ルーメン28の間を覆い、内壁面の一部が挿通補助ルーメン81を形成する。挿通補助具80の先端側端部には、先端側から基端側へ延びる複数の切り込み部82(離脱部)が形成されている。なお、切り込み部82の数は限定されない。挿通補助具80の先端側端部には、各々の切り込み部82の間に、使用者が指で摘むための摘み部83が形成される。
【0083】
挿通補助具80は、本実施形態では、使用者に提供される状態で既にシース先端部21に取り付けられているが、使用者が自らシース先端部21の先端側から被せるように取り付ける形態であってもよい。
【0084】
次に、第4実施形態に係る超音波カテーテル1の挿通補助具80の作用を説明する。
【0085】
超音波カテーテルは、挿通補助具80が装着された状態で袋に包装されて使用者に提供されるため、まず超音波カテーテルを袋から取り出す。
【0086】
この後、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の先端側からガイドワイヤ25を挿入する。ガイドワイヤ25は第1ガイドワイヤ用ルーメン27内を移動し、挿通補助具80の挿通補助ルーメン81に達する。
【0087】
さらに、挿通補助ルーメン81内のガイドワイヤ25を基端方向へ進めると、ガイドワイヤ25が第2ガイドワイヤ用ルーメン28に達して、ガイドワイヤ25が第2ガイドワイヤ用ルーメン28内に挿入される。このとき、第1ガイドワイヤ用ルーメン27および第2ガイドワイヤ用ルーメン28の間に挿通補助ルーメン81が形成されているため、ガイドワイヤ25がルーメンから飛び出すことなく導かれて、第2ガイドワイヤ用ルーメン28内へ良好に挿入される。さらにガイドワイヤ25を進めると、ガイドワイヤ25が第2ガイドワイヤ用ルーメン28から基端側へ抜け出す。
【0088】
次に、挿通補助具80の摘み部83を指で摘み、図15に示すように、基端側へ移動させる。これにより、切り込み部82に沿って挿通補助具80が破壊または変形させ、さらに基端側まで引き裂くように完全に破壊させると、図16に示すように、挿通補助具80の先端側から基端側にまで至るスリット状の破壊部85が形成される。この後、破壊部85を開くようにして挿通補助具80をシース先端部21から取り外し、ガイドワイヤ25の挿通が完了する。
【0089】
本実施形態では、第1実施形態のような2分割された部材51,52および弾性部材55を必要としないため、超音波カテーテルを大型化させることなく、かつ低コストで提供できる。また、摘み部83が複数形成されているため、破壊部85の位置や大きさを調整することがきる。また、摘み部83を引くことで破壊部85がうまく形成されない場合にも、他の摘み部83を用いて改めて破壊部85を形成することができる。
【0090】
なお、破壊または変形される離脱部を、挿通補助具80の外周面から内周面まで貫通する切り込み部82ではなく、挿通補助具80の外周面または内周面に形成されて反対面まで貫通しない溝部の形態や、切り込み部と溝を組み合わせた形態で設けてもよい。また、切り込み部82(または溝部)は、挿通補助具80の基端側から先端側へ向って形成されてもよく、または、先端側から基端側へ至るまで全長に亘って形成されてもよい。切り込み部が先端側から基端側へ至るまで全長に亘って形成される際には、引き裂いて破壊する必要がなく、切り込み部を開くように変形させるだけで挿通補助具を取り外すことができる。また、挿通補助具80が高引裂性を有する材料により形成されていれば、離脱部に、切り込み部や溝部をかならずしも設けなくてもよい。
【0091】
また、摘み部83は、使用者が摘みやすいように、端部が外周面側へ屈曲して形成されてもよい。また、ガイドワイヤ25を、第1ガイドワイヤ用ルーメン27の先端側からだけでなく、第2ガイドワイヤ用ルーメン28の基端側からも挿通することもできる。
【0092】
図17は第4実施形態に係るカテーテルの挿通補助具90の変形例を示すが、挿通補助具90の内壁面に、第1実施形態における挿通補助ルーメン56と略同形状の挿通補助ルーメン91を形成することもできる。このような形態とすれば、第1実施形態と同様に、ガイドワイヤ25を第1,第2ガイドワイヤ用ルーメン28へ滑らかに挿通することができる。または、第2実施形態における挿通補助ルーメン61と略同形状の挿通補助ルーメンを形成してもよい。
【0093】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、上記実施の形態では、本発明を超音波カテーテルに適用する場合について説明したが、他の診断用カテーテルに適用することもできる。たとえば、光干渉トモグラフィー(OCT)を利用した診断用カテーテルに適用することができる。OCTでは、生体に測定光を入射し、生体内で散乱、吸収、あるいは反射、屈折して戻った光に基づいて、生体を観察することができる。
【0094】
また、第3実施形態の案内部71を、他の実施形態に適用してもよい。また、ガイドワイヤ25を滑らかに挿通できるように、第1実施形態においては、挿通補助ルーメン56のガイドワイヤ25が挿入される側の内壁の端部を、ガイドワイヤ25を挿通するガイドワイヤ用ルーメン26の内壁の延長線上または延長線よりも外側としているが、延長線よりも内側であってもよい。また、挿通補助ルーメン56の内壁の少なくとも一部が、第1ガイドワイヤ用ルーメン27または第2ガイドワイヤ用ルーメン28の内壁の延長線上または延長線よりも内側に位置するようにしているが、延長線よりも外側であってもよい。すなわち、ガイドワイヤ25を挿通する際に多少の引っ掛かりが生じる構成であっても、挿通補助ルーメンが設けられてさえいれば、ルーメン外にガイドワイヤ25が逸脱しないため、例えばガイドワイヤ25を進退動方向に揺することで、容易に挿通させることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 超音波カテーテル(カテーテル)、
21 シース先端部、
21A 第1外壁、
21B 第2外壁、
22 シース本体部、
25 ガイドワイヤ、
26 ガイドワイヤ用ルーメン、
27 第1ガイドワイヤ用ルーメン、
28 第2ガイドワイヤ用ルーメン、
50,60,70,80,90 挿通補助具、
51 第1挟持部材、
52 第2挟持部材、
55 弾性部材、
56,61,81,91 挿通補助ルーメン、
71 案内部、
82 切り込み部(離脱部)、
511,521 対向溝、
531,541 押圧部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤが挿通される第1ガイドワイヤ用ルーメンと、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンの略延長線上に設けられて前記ガイドワイヤが挿通される第2ガイドワイヤ用ルーメンとを有するカテーテルに離脱可能に装着されて、前記ガイドワイヤの挿通を補助する挿通補助具であって、
前記第1ガイドワイヤ用ルーメンと第2ガイドワイヤ用ルーメンとの間を覆い、前記ガイドワイヤが挿通可能な挿通補助ルーメンを有することを特徴とする挿通補助具。
【請求項2】
前記挿通補助ルーメンの、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンまたは第2ガイドワイヤ用ルーメンと近接する内壁の少なくとも一方は、近接する前記第1ガイドワイヤ用ルーメンまたは第2ガイドワイヤ用ルーメンの内壁の延長線上または延長線よりも外側に位置することを特徴とする請求項1に記載の挿通補助具。
【請求項3】
前記挿通補助ルーメンの内壁の少なくとも一部が、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンまたは第2ガイドワイヤ用ルーメンの内壁の延長線上または延長線よりも内側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の挿通補助具。
【請求項4】
前記カテーテルの外壁のうち前記第1ガイドワイヤ用ルーメンを規定する第1外壁、第2ガイドワイヤ用ルーメンを規定する第2外壁、および前記カテーテルの本体チューブの外壁の少なくとも1つに係合し、前記カテーテルから離脱可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の挿通補助具。
【請求項5】
互いに対向する面を備えて近接離間可能に設けられ、前記対向する面の少なくとも一方に対向溝が形成され、当該対向溝の少なくとも一部により前記挿通補助ルーメンを規定する第1挟持部材および第2挟持部材と、
前記第1挟持部材および第2挟持部材が互いに近接する方向へ付勢力を与える弾性部材と、を有することを特徴とする請求項4に記載の挿通補助具。
【請求項6】
前記カテーテルに係合する筒状部材であり、前記カテーテルから離脱可能に変形または破壊される離脱部を有することを特徴とする請求項4に記載の挿通補助具。
【請求項7】
前記第1ガイドワイヤ用ルーメンおよび第2ガイドワイヤ用ルーメンの互いに離れたガイドワイヤ挿通用の開口の少なくとも一方に連通し、前記開口から離れるにつれて拡開する案内部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の挿通補助具。
【請求項8】
前記ガイドワイヤが挿通される第1ガイドワイヤ用ルーメンと、前記第1ガイドワイヤ用ルーメンの略延長線上に設けられて前記ガイドワイヤが挿通される第2ガイドワイヤ用ルーメンと、を有するカテーテルであって、
前記第1ガイドワイヤ用ルーメンと第2ガイドワイヤ用ルーメンとの間を覆い、前記ガイドワイヤが挿通可能な挿通補助ルーメンを形成するように、請求項1〜7のいずれか1項に記載の挿通補助具が装着されたカテーテル。
【請求項9】
前記挿通補助具が装着された状態で包装されたことを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−45534(P2011−45534A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196683(P2009−196683)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】