説明

捕虫器

【課題】誘引した虫が吸引力のとどかない部分へ止まったり飛来し続けることを防ぎ、確実に吸引、捕獲することのできる捕虫器を提供する。
【解決手段】吸引口1hを通して本体1外部へ誘引光を発する誘引光源21と、誘引光源21によって吸引口付近1h、31hの吸引領域に誘引された捕獲対象虫を吸引する吸引手段と、吸引手段によって吸引された捕獲対象虫を捕獲する捕獲網5を具備する。他の筒内部分よりも小さい断面の狭部吸引領域が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培の圃場等の屋外、或いは植物栽培ハウスや工場内等の屋内に設置して、羽アブラムシ、コナジラミ、ヤガ、アザミウマ、ハエなどの飛翔性の小虫を捕らえる捕虫器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昆虫に対して誘引させる光を発生する光源と、この光源によって誘引されてきた昆虫を反射し滑落させる反射板と、該反射板の下方に設けた昆虫殺傷捕獲手段とを具備する防虫器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ただし、この反射板は、忌避光を周囲に反射すると共に吸引されてきた昆虫を下方の昆虫殺傷捕獲手段へ滑落させるように傾斜させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−229997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記従来の捕虫器では、裏側が光源の光が届かずに死角部分となり、裏側面付近を飛来したり裏側面に止まってしまっていた。このため、確実に誘引した虫を確実に捕獲することができなかった。
【0005】
また同様に、本体の下部においても吸引の効果が届かずに、誘引されてきた虫が止まってしまい、確実に誘引した虫を確実に捕獲することができなかった。
【0006】
そこで本発明は、誘引した虫が吸引の効果の届かない部分へ止まったり、吸引の効果の届かない領域へ飛来し続けることを防ぎ、誘引虫を確実に吸引、捕獲することのできる捕虫器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明では下記(1)〜(10)の手段を講じている。
(1)本発明の捕虫器は、誘引した捕獲対象の虫を吸引して捕獲する捕虫器であって、
捕獲対象虫を内部へ吸引するための吸引口(具体的には端部吸引口1h及び側部吸引口31h)を一端側に設けた筒状の本体1と、
前記吸引口の内側乃至外側近傍であって本体1の平面視内側に固定され、吸引口を通して本体1外部へ誘引光を発することで捕獲対象の虫を吸引口付近へ誘引する誘引光源21と、
本体1の内部に固定され、誘引光源21によって吸引口付近の外部吸引領域A4に誘引されてきた捕獲対象虫を本体1の他端側へ吸引する吸引手段4と、
前記本体1の他端側の先部に固定され、捕獲対象虫を捕獲する捕獲網5を具備してなる。そして、本体1の内部であって高さ方向の一部分に、他の筒内部分よりも小さい断面の狭部吸引領域A5が形成され、
吸引手段4による吸引気流が、この狭部吸引領域A5を通って捕獲網5から他端側へ排出されることを特徴とする。
【0008】
すなわち、本体1内に形成された狭部吸引領域A5は、筒軸に対する垂直断面積が筒内全体の垂直断面積よりも狭く且つ筒内全体高さよりも短い。この狭部吸引領域A5を本体1の高さ方向の一部に有することで、本体1内を流通する吸引気流の流速が狭部吸引領域A5で大きくなり、気流の巻き込みによって捕獲対象虫を確実に吸引することができる。
【0009】
(2)前記捕虫器において、本体1の内部には、誘引光源21を蛍光管発光させるための安定器22が配置され、この安定器は本体の内筒形状よりも小径かつ筒長よりも短い長さの柱状体からなり、安定器22が安定器保持アームによって本体1と略同軸上に保持されることで、安定器22の周囲側部に前記狭部吸引領域A5が形成されることが好ましい。
【0010】
すなわち前記狭部吸引領域A5は、筒状の本体1の内部に柱状の安定器が略同軸上に配置されることで安定器22の周囲に形成される。筒状の本体1の内部を通る吸引気流は、安定器の保持位置を通るときに狭い断面を通るため、安定器22の周囲でその前後よりも高速の気流となる。これにより、安定器22の天面及び底面の周囲で気流の巻き込みが発生し、誘引された捕獲対象虫が本体1の内部で捕獲されずに留まるのを防ぎ、吸引口付近の捕獲対象虫を捕獲網5まで確実に吸引することができる。
【0011】
(3)前記捕虫器において、本体1のうち、吸引口周りであって吸引手段による外部吸引領域A4と重なる範囲が、捕獲対象虫を誘引しうる誘引色に塗布された誘引色領域A3となっており、かつ、吸引口周りであって吸引手段による外部吸引領域A4と重ならない範囲が、誘引色と異なる非誘引色に塗布された非誘引色領域A1となっていることを特徴とする。
【0012】
吸引手段による外部吸引領域A4と重なる範囲とは、少なくとも図2の正面視ないし側面視において外部視認される外部吸引領域A4と重なる本体1上部の範囲、及び図3の平面視において外部視認される外部吸引領域A4と重なる本体1上部の捕虫器の範囲であって、下部の捕獲網5を除く上部の範囲を言う。正面視ないし側面視にわたる周面視位置から平面視位置にかけて連続的に外部吸引領域A4と重なる本体1上部の範囲は、すべて外部吸引領域A4となる。この領域を誘引色領域A3として、例えば黄色に有色塗布すると共に、これ以外の領域を非誘引色領域A1として、例えば黄色以外の色に有色塗布することで、光誘引領域A2と外部吸引領域A4とを重ねることができ、さらにこれらの領域それぞれに誘引色領域A3を重ねることができる。
【0013】
(4)前記記載の捕虫器において、非誘引色が、捕獲対象虫の誘引作用及び捕獲対象虫の忌避作用のいずれも有さない中間色であることが好ましい。ここで本発明にいう中間色とは忌避作用をも有さない色であって、例えば黒、白色等の無彩色が挙げられる。
【0014】
(5)前記記載の捕虫器において、誘引色及び非誘引色は共に、捕獲対象虫以外の他の忌避対象虫を忌避する忌避作用を有することが好ましい。
【0015】
つまり誘引色領域は、捕獲対象虫に対して誘引効果を有すると共に、忌避対象虫に対して忌避効果を有する。また非誘引色領域は、捕獲対象虫に対して誘引効果を有さないものであると共に、少なくとも忌避対象虫に対して忌避効果を有する。
【0016】
(6)前記(1)ないし(5)のいずれか記載の捕虫器において、本体1の上部からさらに上方へ突出して、誘引光源21の少なくとも上方を覆う構成材からなる覆設手段3を具備し、
この構成材間を通って、捕獲対象虫が吸引孔から吸引されると共に、誘引光源21が誘引光を外部へ露光することが好ましい。
【0017】
(7)前記いずれか記載の捕虫器において、覆設手段3は、本体を上端側へ延長する円筒板の構成材からなる側囲板31であって、
前記吸引孔が、側囲板31の上端側の先部に設けられた端部吸引孔1hと、側囲板31の周面に沿って等間隔に設けられた複数の側部吸引孔31hとから構成され、
誘引光源21は、この側囲板31の内部に固定されることで側方を囲われるとともに、平面視及び正面視にてそれぞれ端部吸引孔1h及び側部吸引孔31hを窓として外部へ露出し、誘引光を露光するものであることが好ましい。
【0018】
(8)前記(6)または(7)記載の捕虫器において、覆設手段として、誘引光源21の上方に、筒状の内側面内を横断して固定された上覆板32を具備してなり、
誘引光源21は、この上覆板32によって上方を覆われることが好ましい。
【0019】
上覆板32は発光体の上側を覆って保護する保護具であると共に、本体1或いは側囲板31の上側の形状を保持して変形を防ぐ補強具である。上覆板32は例えば、外形よりも一回り小さな多角形孔を有した多角形板からなり、筒内側面を対角線状に亘ることで、本体1の上側の形状を効率的に補強する。覆設手段が側囲板31と上覆板32とからなる場合は、上覆板32は例えば側囲板31の上端側の先部に固定される。
【0020】
(9)前記(7)または(8)記載の捕虫器において、本体の上端側かつ側囲板31の下端側であって誘引光源21の下方に、筒状の側囲板31内部または筒状の本体1内部を塞ぐように固定された上部保護網61を具備してなり、
上部保護網61は、捕獲対象虫が通過しかつ捕獲対象虫よりも大きな非捕獲対象虫が遮られる大きさの網目からなることが好ましい。
【0021】
このような上部保護網61により、非捕獲対象虫が本体内部へ誤って侵入するのを防ぐことができる(後述の実施例2(図7)、実施例3(図8)参照)。非捕獲対象虫よりも大きい非捕獲対象虫が飛来する状況で使用するとき、誤侵入を防ぐことで本体吸引部等の保護をすることができる。また特にこの非捕獲対象虫がミツバチのような農業栽培に必要な益虫であるときに有用である。
【0022】
また誘引光源や上覆板の取り付け/取り外しの際に、上部保護網が内部侵入を保護することで、誤ってこれらが本体内に落下することを防ぐことができる。特に上部保護網が、弾性機能を有する網線で構成されたものであれば、落下衝突時にその弾性機能によって落下の衝撃を緩衝することができる。
【0023】
(10)前記(1)ないし(9)記載の捕虫器は、誘引光源21を保持する光源保持アーム21aを具備し、光源保持アーム21aによる誘引光源21の保持高さを調整することのできる保持高さ調整手段を具備してなり、保持高さ調整手段は、側面視にて少なくとも誘引光源21の下縁の一部が露出した状態、ないし誘引光源21の下縁の全てが隠れた状態に調整可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
上記手段により、誘引した虫が吸引の効果の届かない部分へ止まったり、吸引の効果の届かない領域へ飛来し続けたりすることを防ぎ、誘引虫を確実に吸引、捕獲することのできる捕虫器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1の捕虫器の使用状態を示す斜視説明図である。
【図2】実施例1の捕虫器およびその吸引領域を示す正面視説明図である。
【図3】実施例1の捕虫器およびその吸引領域を示す平面視説明図である。
【図4】実施例1の捕虫器を示す底面視説明図である。
【図5】図3に示す実施例1の捕虫器の一部詳細構造を省略した側面視A−A線断面説明図である。
【図6】実施例1の捕虫器の捕獲網、下部保護網等を分解した状態を示す斜視分解説明図である。
【図7】本発明の実施例2の捕虫器の使用状態を示す斜視説明図である。
【図8】本発明の実施例3の捕虫器の使用状態を示す斜視説明図である。
【図9】本発明の実施例4の捕虫器の正面視軸断面説明図である。
【図10】実施例4の捕虫器であって誘引光源21の保持高さを変えた各状態を示す正面視軸断面図である。
【図11】本発明の実施例5の捕虫器の使用状態を示す斜視説明図である。
【図12】実施例5の捕虫器およびその吸引領域を示す正面視説明図である。
【図13】実施例5の捕虫器およびその吸引領域を示す平面視説明図である。
【図14】実施例5の捕虫器の正面視軸断面説明図である。
【図15】実施例5の捕虫器であって誘引光源21の保持高さを変えた各状態を示す正面視軸断面図である。
【図16】実施例5の捕虫器の保持高さ調整手段を示す斜視分解説明図である。
【図17】実施例5とは別形態の保持高さ調整手段を示す斜視分解説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の最良の形態例を本発明の実施例として示す各図と共に説明する。図1〜図6は実施例1の、図7は実施例2の、そして図8は実施例3の捕虫器である。図9、図10は実施例4の捕虫器であり、図11ないし図16は実施例5の捕虫器である。そして図17は、保持高さ調整手段について実施例5とは別の形態例を示すものである。
【0027】
本発明の捕虫器は、基本的に、従来の上方のすり鉢状滑落反射板(部分円錐体)を取り除いたものであり、いずれの実施例においても少なくとも以下の各構成を具備する。
【0028】
・端部吸引孔1hを有する本体1
・捕獲対象虫に対して誘引光を発する誘引光源21を有する発光誘引手段2
・発光誘引手段2の誘引光源21を覆う覆設手段3
・本体上方の吸引孔付近から本体1内部へかけて外部吸引領域A4を有し、外部吸引領域A4内の捕獲対象虫を本体1内部の上部吸引領域A7から狭部吸引領域A5へ、さらに本体1下方の下部吸引領域A6へと吸引する吸引手段4
・進入防止機能を有する下部保護網62
・吸引した捕獲対象虫を捕虫する捕獲網5
【0029】
本発明の主な特徴として、下記A1〜A4に観念する捕虫器の周囲または外周面の各領域について、「正面、側面及び平面視における本体と外部吸引領域A4との重畳範囲をA3とし、かつ外部吸引領域A4との非重畳範囲を非誘引色領域A1としたこと」、或いは「正面、側面及び平面視における本体と誘引光領域A2との重畳範囲をA3とし、かつ誘引光領域A2との非重畳範囲を非誘引色領域A1としたこと」の2点が挙げられる。これらのうち少なくともいずれか1点以上を具備するものであれば相当の捕虫効果を有し、また両方具備するものであればさらに優れた捕虫効果を有する。
【0030】
A1:非誘引色に塗布した非誘引色領域A1
A2:発光手段2の誘引光が届く誘引光領域A2
A3:誘引色に塗布した誘引色領域A3
A4:吸引手段4の吸引力が届く外部吸引領域A4
【0031】
具体的には、外部吸引領域A4内にある、上部の黄色蛍光灯周辺具(円筒側板、上方板、光源保持アーム、安定器)を誘引色(黄色)に塗布すると共に、吸引領域以外の下部構造(本体円筒板、モーター、プロペラ、捕獲網、返し網等)を非誘引色、好ましくは忌避作用のない中間色(白或いは黒色)に塗布した。
【0032】
上記構成によれば、最も効果距離の長い発光手段で光誘引を行なうことができる。この際に、光誘引領域及びの周辺を除いた本体面を、非誘引色に塗布しており、光誘引領域の周囲への誘引による誘引の失敗を回避できる。
【0033】
また本体面のうち、吸引領域が正面ないし側面の垂直面視で本体と重なる部分のみを誘引色に塗布し、吸引領域ではない部分を非誘引色に塗布している。これにより、吸引領域以外への誘引による吸引捕獲の失敗を回避できる。このように、光誘引、吸引という2段階でそれぞれ誘引色塗布領域と非誘引色塗布領域との区別が意義を発揮して、誤誘引による本体への虫の回避溜着或いは回避漂溜を防ぎ、もって、誘引した捕獲対象虫を確実に吸引捕獲する。
【0034】
そして本発明の他の特徴として、本体1の内部には、筒軸に対する垂直断面積が筒内全体の垂直断面積よりも狭く且つ筒内全体高さよりも短い狭部吸引領域A5が形成される。すなわち下記A5〜A7に観念する本体1内部の各領域について、「下部にA6を設けてその上部にA5を設けたこと」、或いは「上部にA7を設けてその下部にA5を設けたこと」の2点が挙げられる。これらのうち少なくともいずれか1点を具備するものでれば本体1内の吸引気流が狭部吸引領域で加速されて相当の捕虫効果を有し、また両方具備するものであれば全体としてスムーズな吸引を行うことができ、さらに優れた捕虫効果を有する。
【0035】
A5:本体1内部で狭くなった狭部吸引領域A5
A6:本体1内下部で吸引する下部吸引領域A6
A7:本体1内上部で吸引する上部吸引領域A7
【実施例1】
【0036】
以下、実施例とともに各部を詳述する。実施例1の捕虫器は従来の上部すり鉢状の滑落反射板(部分円錐体)を取り除いたものであり、発光誘引手段2、側囲板31、及び上覆板32が、少なくとも外部に面した外表面をそれぞれ誘引色領域とすると共に、残りの本体1、吸引手段4、捕獲網5、下部保護網62、および吊り下げ機構7が、少なくとも外部に面した外表面をそれぞれ非誘引色領域とする。これらはそれぞれ別部品、別塗装されることで、塗り分け塗装の手間が省け、修理、交換、清掃といったメンテナンスの作業性に富むものとなる。
【0037】
(本体1)
端部吸引孔1hを有する本体1は、縦型筒体からなり、図1のような吊り下げフック71、吊り下げ紐72によって吊り下げ設置される。内部には発光誘引手段の少なくとも一部と吸引手段を有する。また上部には側囲板が連結固定され、下部には下部保護網及び捕獲網が取り外し可能に連結固定される。筒体は実施例1のような円筒からなるものでもよく、また四角形、五角形をはじめとする略多角形の筒外形、筒内形を有するものでも良い。また設置状態を図1のような鉛直縦方向の設置にするほか、使用状態に応じて吸引領域を斜めに向けて設置したり、略水平方向に向けて設置しても良い。
【0038】
(発光誘引手段2)
発光誘引手段2は、少なくとも捕獲対象虫に対して誘引光を発する誘引光源21を、本体又は側囲板のいずれかの内部に固定されたものとして有する。実施例では誘引光源21たる円形の蛍光管と、この蛍光管を着脱可能に保持する保持枠21aと、円形蛍光管の下方に配置された、蛍光管用の円柱状の安定器22と、安定器22を本体上部ないし側囲板下部の高さに保持固定する安定器保持アーム22aとから構成される。安定器は安定器本体及びグローランプを内部収容すると共に、電源コード9が外部へ接続される。
【0039】
(覆設手段3)
覆設手段3は、誘引光源21(蛍光管)の少なくとも上方を覆って筒状の本体1の上方端部に固定される。誘引光源21を保護し、不要な外部接触による破損を防ぐものである。覆設手段3は表裏面共に誘引色領域A3として誘引色に塗布される。
【0040】
(側囲板31と上覆板32)
実施例1ないし4の覆設手段2は、誘引光源21(蛍光管)の側周を円筒状に取り囲む側囲板31と、誘引光源21(蛍光管)上方を覆う上覆板32とからなる。側囲板31は、複数の側部吸引孔31hを高さ方向中央位置に等間隔に有する。
【0041】
(誘引光源21)
誘引光源21は、管部分の表面が誘引色に塗装された円形の蛍光管からなり、水平管軸として、一本が一段、或いは異径の複数本が複数段設置される。
【0042】
光源保持アーム21aは円柱状の安定器22の上部の複数箇所からそれぞれ複数本が上方へ延出し、それぞれ先端に弯曲部分を有した板状体である。先端の弯曲部分が蛍光管に着脱可能に外嵌する。安定器保持アーム22aは円柱状の安定器22の下部から放射状に延出した略水平板であり、固定具22pによって本体1又は側囲板31の内側面へリベット固定される。
【0043】
(側囲板31)
側囲板31は、本体1の上端から先方向へ延長するようにして本体1上部へ連結固定された円筒側板からなる。側囲板31の固定高さは、誘引光源21の設置高さと同一であり、誘引光源2の側周を取り囲んで誘引光源2の外部接触による破損を保護するものとなっている。実施例では下部が連結具によって本体1上部へリベット固定され、高さ方向中央に複数個の側周吸引孔31hを有し、上端に三角形上の上覆板が水平固定されて補強される。
【0044】
(側部吸引孔31h)
側部吸引孔31hは、側部囲板の円筒側面に沿って等間隔にかつ同一高さに形成された、複数の横長の長円形孔からなる。この長円形孔の高さ方向中央位置に誘引光源が設置固定される。側部吸引孔31hはこのほか、鉛直に伸びる棒状の縦桟で区切られて形成された複数の略矩形孔など、任意の形状として得ることができる。また同一高さではなく、側囲板の上部寄り、下部寄りへと互い違いに高さを変えて形成されたものとしても良い。
【0045】
(側部吸引孔31h(誘引光を遮る部分の外部吸引領域A4化について)
側部吸引孔31hにより、側囲板31の側周を囲うようにして外部吸引領域A4が形成される(図2、3)とともに、側部吸引孔31hを窓として部分露出する誘引光源21により、光誘引領域A2が形成される。このため、外部吸引領域A4と光誘引領域A2とが、正面ないし側面視にて重なった状態となる。
【0046】
すなわち、従来のようなすり鉢状の(部分錐体の)反射板を取り外し、かわりに略垂直の円筒側面を有する側囲板31を、誘引光源21の側方を囲うように設けた。この側囲板31は本体1と略同一内径の円筒板からなり、本体1の円筒側面を上方へ延長させるように固定される。また側囲板31には側部吸引孔31hを設け、吸引力が届かない遮光領域を無くすこととした。つまり、誘引光源21の側方を囲う側囲板31によって遮光されると、理論上は誘引光の届かない非誘引領域が誘引光領域A2の直近に発生するのであるが、この誘引光領域A2の直近の非誘引領域を、側部吸引孔31hによってすべて吸引力が届く領域とした。特に実施例の側部吸引孔は、長円状の横長扁平形状をしているため、側囲板31外面のうち、側部吸引孔の周りには、吸引力の巻き込みの気流が生じて、側囲板で覆われた外面部分を確実に外部吸引領域A4とすることができる。
【0047】
(上覆板32)
上覆板32は、側囲板31の上端にて上覆板固定具によって側囲板31の内側面に水平固定される。ただし実施例1の上覆板32は、吊り下げフック71を上覆板固定具としている。
【0048】
実施例1の上覆板32は、平面視略三角形の外形の水平板からなり、外形よりひと周り小さい平面視三角形の孔を有する。板面が略水平となるように側囲板31の上端に沿って固定される。この上覆板32が側囲板31の内側を亘って蛍光管の上方に固定されることで、蛍光管の上部を保護すると共に、側囲板の形状を保持する補強具としてなる。上覆板32の他の形態として、複数本の棒/板状体を、側囲板の内部へ多角形状/対角線状に組み込んでなるものとしても良い。
【0049】
(吸引手段4)
吸引手段4は、安定器ボックスの下部に接して吊設固定されたモーター43と、本体の中央軸に沿って伸びるモーター43の回転軸42と、回転軸に固定された回転羽根41とによって構成される。モーター電源は上部の安定器ボックス内から供給され、安定器ボックス内へは外部接続された電源コード9から電源供給される。
【0050】
回転羽根41の下端は本体の下端よりも高い位置に固定され、回転羽根が本体よりも下方へ突出しないようになっている。また回転羽根の下方であって本体の下端付近には本体内部を下方から覆うようにして下部保護網62が固設される。
【0051】
(捕獲網5)
捕獲網5は、捕集用の外網を構成する外網袋51と、その内側に固定されて返し内網を構成する内網筒52と、これらの上端の内外にそれぞれ設けられた着脱構造53とから構成される。
【0052】
外網袋51は捕獲対象虫を捕虫しうる小網目の方形網袋である。具体的には、2枚の矩形網板の三方同士を縫合固定して、上端口部が本体1を覆囲する大きさに形成された角型の袋からなり、複数個たる2つの下角部分と2つの下角部分で結ばれた下辺部分とを有する。この下角部分側或いは下辺部分は、編み板同士で比較的小さな狭角を形成するため、捕虫が集まりやすいものとなっている。これら下角部分側或いは下辺部分によって捕虫による大きな目詰まりの発生を抑止している。また外網袋51の少なくとも表面が、捕獲対象虫に対して誘引作用も忌避作用も有さない中間色に塗布されている。下方へ向かって内傾斜した外網袋を通して吸引風が本体1下方から外部へ拡散排出される。
【0053】
内網筒52は捕獲対象虫が通過しうる中網目の部分円錐状の網筒であり、外網袋51内に下方傾斜の返し面を形成することで、一旦捕獲された捕獲対象虫が上部へ上がって本体内へ逃げないようにするものである。具体的には、上端口部が本体1を覆囲する大きさでかつ外網袋51の上端口部の内側に沿う大きさに形成されると共に、下端に向かって小径となると共に、下端に筒孔を有する。筒孔の径は上端口部の径の三分の一ないし二分の一であり、吸引手段による吸引空気が排出される際に、最も風量の大きい中心部分となっている。下方へ向かって内傾斜した内網筒52を通して吸引風の中心を除く周部が、本体1下方から外部放射方向へ拡散排出される。
【0054】
着脱構造53として、外網袋51の上部内面と内網筒52の上部外面、及び、内網筒52の上部内面と本体1の下部外面、或いは、外網袋51の上部内面と本体1の下部外面、及び、外網袋51の上部内面と内網筒52の上部外面は、いずれもそれぞれ第一構造53aと第二構造53bを有する。第一構造53aの面と第二構造53bの面とが互いに対向して着脱可能に面接着或いは掛止接着される。着脱構造53は第一構造53aと第二構造53bとからなる面ファスナーのほか、基材に固定形成された接着層の接着面と被着面とからなる接着構造、掛止構造と被掛止構造とからなる掛止構造、係着具を介して互いに係着される一対の係着構造からなるラインファスナー構造等、任意の着脱機構を採用することができる。
【0055】
(下部保護網62)
本体下部であって吸引手段たる回転羽根及び回転軸の下方には、回転羽根及び回転軸といった高速回転部品との接触を防ぐ下部保護網を備える。具体的には、本体筒内と同じ円形外形の網体を、筒状の本体下端であって保護網との境界付近に貼り付けて水平に固定する。
【0056】
下部保護網62は、捕獲対象虫よりも大きな格子状の網目を有する。すなわち、捕獲の対象虫が通過しうると共に、保護網の交換者の手指等が入らないだけの大きさの網目を有し、保護網の取り外し時ないし取り付け時の怪我や事故を予防する。
【0057】
また下部保護網62自体を非誘引色或いは中間色に塗布することで、非吸引領域の非誘引色化を効果的に果たすことができる。なお実施例1は上部保護網を有さない。
【0058】
(吊り下げ機構について)
本発明の捕虫器は、吊り下げ機構によって吊り下げて設置される。吊り下げ機構は、吊り下げフック状のピン及び吊り下げ紐からなる。
【0059】
(使用方法)
実施例1の捕虫器は、本体上部に取り付けた誘引光源21によって虫を誘引し、誘引した虫を本体1内部の回転羽根41の回転によって吸い込んで、本体1下方から外部へ吸引空気を排出し、本体下部に取り付けた捕獲網5の外網袋51内に捕集する(図2の太矢印参照)。外網袋51及び逃避防止用としてその内側に取り付けられる円錐型の内網筒52は、着脱構造53によって本体1から取り外して、捕獲した虫の除去や洗浄を行なうことができる。
【0060】
(誘引光領域A2)
誘引光領域A2は保持高さ調整手段によって、図10のような側面視において、誘引光源21の中央高さが側部吸引孔31hの中心にあって誘引光源21の下縁が露出した状態(a)、誘引光源21の中央高さが側部吸引孔31hの下縁と重なって誘引光源21の上半分のみが露出した状態(b)、或いは、誘引光源21の中央高さが側部吸引孔31hの下縁よりも下方に位置して誘引光源21の下縁が隠れた状態(c)のいずれかの状態に調整される。本実施例では光源保持アーム21aの長さを三種類用意し、交換していずれかの種類のものを使用することで保持高さを調整するものとしている。これにより誘引光領域A2すなわち誘引光の拡がり具合を変えることができる。
【0061】
(本体1内の吸引気流の流れ)
本体1内の吸引気流は、なお安定器22の天面22Tよりも上部の上部吸引領域A7から、安定器22の周囲側部の狭部吸引領域A5から、安定器22の下部の下部吸引領域A6に流れ込む。このとき狭部吸引領域A5からの吸引気流は下部吸引領域A6世も気流通過断面が小さいため、気流の流速が高い状態から巻き込むように本体1下部へ流れ込む。
【実施例2】
【0062】
図7に示す実施例2の捕虫器は、実施例1の上覆板32と異なる形状の上覆板32が設けられる。また実施例1の構成に加えて、上部保護網6が設けられる。具体的には、上覆板32が、三枚の厚手の細板を組み合わせ、三つの長辺を一つ置きに有した平面視略五角形の垂直板からなる。垂直板の短辺部は側囲板31の内周面に接して吊り下げフック71によって固定される。
【0063】
また発光体の下方であって安定器の周側部に、ドーナツ盤状の上部保護網が水平固定される。その他の主な構成は実施例1と同様である。
【0064】
(上部保護網61について)
端部吸引孔、側部吸引孔の付近には、捕獲の対象虫よりも大きな捕獲対象外の虫(益虫)の進入を防ぐ上部保護網61を備える。具体的には例えば、本体筒内と同じ円形外形の網体を、測囲板の内側面及び安定器の上面に貼り付けることで、側部吸引孔の下端に沿って水平に固定する。
【0065】
上部保護網61は、捕獲対象虫よりも大きな格子状の網目を有する。すなわち、捕獲の対象虫が通過しうると共に、捕獲対象外である益虫が通過しえないだけの大きさの網目を有し、これによって本体上部へ飛来した益虫の通過を遮ることで、益虫を保護する。また上部保護網自体を誘引色に塗布することで、平面視における吸引領域の誘引色化を効果的に果たすことができる。
【実施例3】
【0066】
図8に示す実施例3の捕虫器は、吊り下げ機構に変えて支架機構を有する。支架機構は、本体1の下部にてそれぞれ放射状に突出固定された複数の架台係止部81と、架台掛止部81に上部掛止されて本体1を支える架台82とからなる。
【0067】
また発光体の下方であって安定器の周側部に、円盤状の上部保護網61が固定される。上覆板32は実施例2と同様、三長辺を有した平面視略五角形の垂直板からなる。垂直板の短辺部は側囲板31の内周面に接して固定具32pによってリベット固定される。その他の主な構成は実施例2と同様である。
【実施例4】
【0068】
図9,10に示す実施例4の捕虫器は、安定器22の天板22tの位置が本体1の上縁よりも下方となるように配置することで、本体1内に上部吸引領域A7を形成したものである。また光源保持アーム21aについて、下部の伸長部分の長さが異なる複数種類のいずれかを選択して使用することで、図10(a)(b)(c)のように誘引光源21の保持高さを可変式にしたものである。垂直板の短辺部は側囲板31の内周面に接して固定具32pによってリベット固定される。下部保護網62、上部保護網61は設置されていない。
【0069】
実施例4では、誘引光源21を保持する光源保持アーム21aを具備し、光源保持アーム21aによる誘引光源21の保持高さを調整することのできる保持高さ調整手段を具備してなる。保持高さ調整手段は、側面視にて少なくとも誘引光源21の下縁の一部が露出した状態、ないし誘引光源21の下縁の全てが隠れた状態に調整可能である。
【0070】
(保持高さ調整手段)
保持高さ調整手段は、「誘引光源21の側面視露出量の変更によって上記誘引光領域A2を調節可能」としたものである。これによって光量を電気的に調節することなく、誘引光の拡がり方(拡散範囲)だけを変えて、捕虫効率を上げることができる。さらに誘引光の影響による栽培植物の徒長を防止することができる。その他の主な構成は実施例1と同様である。
【0071】
具体的には、誘引光源21を所定の高さに保持する光源保持アームを備え、これによる誘引光源21の保持高さを、端部吸引孔1hの側面視上縁または側部吸引孔31hの下縁と重なる位置の上方乃至下方の相互間で調整可能としている。
【実施例5】
【0072】
図11ないし図16に示す実施例5の捕虫器は、覆設手段として側囲板や上覆板の代わりに棒状の構成材からなる覆設網を用いており、上方から周囲にかける上半球に亘る領域を外部吸引領域A4としている。また実施例4と同様、安定器22の天板22tの位置が本体1の上縁よりも下方となるように配置することで、本体1内に上部吸引領域A7を形成したものである。
【0073】
(覆設網33)
実施例5の覆設手段2は、硬質棒状の構成材を略球冠状に張り巡らせた覆設網33からなり、誘引光源21(蛍光管)の側周から上方までを覆う。覆設網33は具体的には、上方位置のもの程、径が小さくなるように水平に並べられた環状の横棒331と、湾曲しながら縦方向に延びて中心軸から平面視放射状かつ等位相間隔に並べられた縦棒332とからなり、これらが格子状に交差するとともに交差部で固着されて全体として本体1の上方全体を曲面状に覆ってなる。上方に行くに従って縮径した曲面棒からなる一体型の保護網であるため、体裁が良く取り付けが比較的容易であると共に、簡易な構造でありながら強固に保護することができる。また外部への突出部を有さないため、取り付け後の作業者等への不要な引っかかり等が発生しにくい。
【0074】
また本体1の筒外面は非誘引色領域A1として白色に塗布され、筒内面は誘引色領域A3として黄色に塗布される。これと共に覆設網33、光源保持アーム21a、誘引光源21、及び安定器22の外面及び側周面がすべて誘引色領域A3として黄色に塗布される。これにより図11の斜視方向、図12の側面視方向、図13の平面視方向のいずれにおいても、本体1の上端側の上部吸引孔1h内へ捕獲対象虫を誘引するものとなっている。その他の主な構成は実施例4と同様である。
【0075】
(誘引光領域A2)
誘引光領域A2は保持高さ調整手段によって、図15のような側面視において、水平環状の誘引光源21が本体1よりも上方に保持されて誘引光源21の下縁がすべて露出した状態(a)、誘引光源21の高さ方向中央が本体1の上縁と重なって誘引光源21の上半分のみが露出した状態(b)、或いは、誘引光源21の上縁が本体1の上縁とほぼ重なって誘引光源21の下縁が隠れた状態(c)のいずれかの状態に調整される。
【0076】
本実施例では光源保持アーム21aについて、図16のように下部の伸長板部の長さを実施例1よりも長いものとすると共に、この伸長板部に、伸長方向に離間した保持枠固定穴210hを複数個設け、いずれかの保持枠固定孔210hを選択して固定ビス210bによって安定器側面の固定孔110hへ合わせて固定するものとしている。これにより栽培植物の種類や設置環境に応じて誘引光領域A2の範囲を容易にかつ確実に変えることができる。
【0077】
(本体1内の吸引気流の流れ)
本体1内の吸引気流は、安定器22の天面22Tよりも上部の上部吸引領域A7から、安定器22の周囲側部の狭部吸引領域A5を通って加速され、安定器22の下部の下部吸引領域A6に流れ込む。狭部吸引領域A5を本体1の高さ方向中央寄りに配置し、その上下に上部吸引領域A7および下部吸引領域A5を形成しているため、狭部吸引領域A5の上下位置(吸引気流の上流部及び下流部)で巻き込み様の乱流が発生し、本体1内部で気流のよどみが発生し難く、確実に下方へ吸引することができる。
【0078】
(保持高さ調整手段の別形態)
図17に、固定高さの調整手段について、実施例4や5とは異なる別形態例を示す。すなわち光源保持アーム21aについて、下部の伸長板部の長さを実施例1よりも長いものとすると共に、この伸長板部の内側面に、伸長方向下方に折れ曲がって伸びた保持枠固定片210tを設けると共に、安定器側面に縦方向に複数個の固定孔110hを配列し、任意の固定孔110h内へへ保持枠固定片210を挿入し係止させて固定する。また安定器22の固定孔110hの形成部分の内側には固定孔110hからの水等の浸入を防ぐ保護枠110pが設けられる。その他の主な構成は実施例4または5と同様である。
【0079】
以上説明した通りであるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、要素変更、要素抽出、異なる要素同士の組み合わせ、代替物への置換ないし一部品等の部分的な使用も可能であり、その他種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 本体
1h 端部吸引孔
2 発光誘引手段
21 誘引光源
21a 光源保持アーム
210b 保持枠固定ビス
210h 保持枠固定孔
210t 保持枠固定片
210p 孔部保護枠
22 安定器
22a 安定器保持アーム
22p 安定器固定具
22t 安定器上板
3 覆設手段
31 側囲板
31h 側周吸引孔
31p 側囲板固定具
32 上覆板
32p 上覆板固定具
33 覆設網
4 吸引手段
41 回転羽根
42 回転軸
43 モーター
5 捕獲網
51 外網袋
52 内網筒
53 着脱構造
61 上部保護網
62 下部保護網
71 吊り下げフック
72 吊り下げ紐
81 架台係止部
82 架台
9 電源コード
A0 誘引光領域
A1 非誘引色領域
A3 誘引色領域
A4 吸引領域
A5 狭部吸引領域
A6 下部吸引領域
A7 上部吸引領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘引した捕獲対象の虫を吸引して捕獲する捕虫器であって、捕獲対象虫を内部へ吸引するための吸引口を一端側に設けた筒状の本体と、前記吸引口の近傍に固定され、吸引口を通して本体外部へ誘引光を発することで捕獲対象の虫を吸引口付近へ誘引する誘引光源と、誘引光源によって吸引口付近の外部吸引領域に誘引されてきた捕獲対象虫を本体の他端側へ吸引する吸引手段と、前記本体の他端側の先部に固定され、捕獲対象虫を捕獲する捕獲網を具備してなるものであって、本体の内部のうち高さ方向の一部分に、筒内断面形状よりも小さい断面の狭部吸引領域が形成され、吸引手段による吸引気流が、この狭部吸引領域を通って捕獲網から他端側へ排出されることを特徴とする捕虫器。
【請求項2】
本体の内部には、誘引光源を発光させるための安定器が配置され、この安定器は本体の内筒形状よりも小径かつ筒長よりも短い長さの柱状体からなり、安定器が安定器固定枠によって本体と略同軸上に保持されることで、安定器の周囲側部に前記狭部吸引領域が形成される請求項1記載の捕虫器。
【請求項3】
本体のうち、吸引口周りであって吸引手段による外部吸引領域と重なる範囲が、捕獲対象虫を誘引しうる誘引色に塗布された誘引色領域となっており、かつ、吸引口周りであって吸引手段による外部吸引領域と重ならない範囲が、誘引色と異なる非誘引色に塗布された非誘引色領域となっている請求項1又は2記載の捕虫器。
【請求項4】
非誘引色が、捕獲対象虫の誘引作用及び捕獲対象虫の忌避作用のいずれも有さない中間色である請求項3記載の捕虫器。
【請求項5】
誘引色及び非誘引色は共に、捕獲対象虫以外の他の忌避対象虫を忌避する忌避作用を有する請求項3記載の捕虫器。
【請求項6】
本体の上部からさらに上方へ突出して、誘引光源の少なくとも上方を覆う構成材からなる覆設手段を具備し、この構成材間を通って、捕獲対象虫が吸引孔から吸引されると共に、誘引光源が外部へ誘引光を露光する請求項1ないし5のいずれか記載の捕虫器。
【請求項7】
覆設手段は、少なくとも、本体を上端側へ延長する円筒板の構成材からなる側囲板を有してなり、前記吸引孔が、側囲板の上端側の先部に設けられた端部吸引孔と、側囲板の周面に沿って等間隔に設けられた複数の側部吸引孔とから構成され、誘引光源は、この側囲板の内部に固定されることで側方を囲われるとともに、平面視及び正面視にてそれぞれ端部吸引孔及び側部吸引孔を窓として外部へ露出し、誘引光を露光するものである請求項6記載の捕虫器。
【請求項8】
覆設手段は、誘引光源の上方に、筒状の内側面内を横断して固定された上覆板を有してなり、誘引光源は、この上覆板によって上方を覆われる請求6又は7記載の捕虫器。
【請求項9】
本体の上端側であって誘引光源の下方に、筒状の本体の内部を塞ぐように固定された上部保護網を具備してなり、
上部保護網は、捕獲対象虫が通過しかつ捕獲対象虫よりも大きな非捕獲対象虫が遮られる大きさの網目からなる請求項1ないし8のいずれか記載の捕虫器。
【請求項10】
誘引光源の保持高さを、少なくとも、側面視にて誘引光源の下縁の一部が露出した位置ないし下縁の全てが隠れた位置の間で調整することのできる保持高さ調整手段を具備する請求項1ないし9のいずれか記載の捕虫器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−239865(P2010−239865A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88576(P2009−88576)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(592181783)エヌビイテイ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】