説明

捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具

【課題】 捨て基板からなる取り外し治具を使用するから、特別な構造の取り外し治具を必要とせず、構造が簡単でありコストダウンを図れ、キャドで設計できて製作が容易で量産化が可能であり、より一層のコストダウンを図れ、IC部品の回りのチップ部品等を熱風で損傷させることを防ぐことができる。
【解決手段】 基板1の余った部分の捨て基板3にIC部品4に対応した形状のホール5が形成され、捨て基板3はミシン目2により基板1から切り離され、IC部品4がホール5内に位置するように捨て基板3が基板1上に配置され、捨て基板3の上側からホール5内に熱風が当てられることにより、IC部品4の端子部4aの半田6が溶融されてIC部品4が取り外し可能になるように構成され、捨て基板3のホール5の縁部からIC部品4の端子部4aまで若干の間隔aが開けられるようにホール5が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に半田付けされたIC部品の端子部に熱風を当てて半田を溶かすことにより前記IC部品を前記基板から取り外すためのIC部品の取り外し治具に関し、特に捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板の試作時等には、必要に応じてIC部品を剥がす必要がある。従来は、ブロワでIC部品の端子部の半田に熱風を当てて剥がすようにしているが、IC部品の端子部が多いために剥がし難く、しかも、IC部品の回りのチップ部品等を熱風の熱で損傷させてしまいがちであるという問題があった。
【0003】
第1の従来技術を図4(a)(b)(c)(d)に示す。この従来の半田付けされたIC部品の取り外し・取り付け治具は、図4(a)(b)(c)(d)に示すように、IC部品105のリード101の外周を囲みこの周りの部品を熱から保護するヒートガード113とヒートガード113の内側対角線上に設けられたIC部品支え部112とIC部品105の上に載置されIC部品105を熱から保護するヒートシンク114を具備したIC部品取り外し治具111を実現する。さらに、この治具111のIC部品支え部112の下面に位置合わせ用ガイドピン115を設けて基板116のガイド穴118に挿入することで治具ごとIC部品105の位置決めを容易化するようにしたIC部品取り付け治具111を実現する。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、これにおいては、IC部品取り付け治具111は、1つずつ手作りであると共に構造が複雑であるから、コスト高になるという問題があった。また、他のIC部品に対しては対応することができないという問題があった。
【0005】
第2の従来技術を図5に示す。この従来の半導体パッケージの交換治具は、図5に示すように、交換治具201の内周面(先端形状)が、交換すべき半導体パーケージ203aの外周面に位置する接続端子より外方に位置するように設計され、交換治具201の内部に設けられた吸引ノズル202aの先端部分に吸引孔が設けられ、この吸引ノズル202aは、外郭ノズルと内郭ノズルとからなる2重構造を有し、外郭ノズルと内郭ノズルが相対的に上下動が可能である。(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
ところが、これにおいては、半導体パッケージ203aに合わせた特別の構造の交換治具201を必要とすると共に構造が複雑であるために、コスト高になるという問題があった。
【特許文献1】特開平9−260834号公報
【特許文献2】特開2000−183515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、捨て基板からなる取り外し治具を使用するから、特別な構造の取り外し治具を必要とせず、構造が簡単でありコストダウンを図れ、キャドで設計しておくことができて製作が容易で量産化が可能であり、より一層のコストダウンを図ることができ、IC部品の回りのチップ部品等を熱風で損傷させることを防ぐことができる捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、請求項1に記載の発明は、基板に半田付けされたIC部品の端子部に熱風を当てて半田を溶かすことにより前記IC部品を前記基板から取り外すためのIC部品の取り外し治具において、基板の余った部分の捨て基板に前記IC部品に対応した形状のホールが形成され、前記捨て基板はミシン目により前記基板から切り離され、前記IC部品が前記ホール内に位置するように前記捨て基板が基板上に配置され、前記捨て基板の上側から前記ホール内に熱風が当てられることにより、前記IC部品の端子部の半田が溶融されて前記IC部品が取り外し可能になるように構成され、前記捨て基板の前記ホールの縁部から前記IC部品の端子部まで若干の間隔が開けられるように前記ホールが形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、基板に半田付けされたIC部品の端子部に熱風を当てて半田を溶かすことにより前記IC部品を前記基板から取り外すためのIC部品の取り外し治具において、基板の余った部分の捨て基板に前記IC部品に対応した形状のホールが形成され、前記捨て基板は前記基板から切り離され、前記IC部品が前記ホール内に位置するように前記捨て基板が基板上に配置され、前記捨て基板の上側から前記ホール内に熱風が当てられることにより、前記IC部品の端子部の半田が溶融されて前記IC部品が取り外し可能になるように構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記捨て基板には、基板上の複数のIC部品と対応する形状の複数のホールが形成されている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、IC部品に対応した形状のホールを有する捨て基板を用いて、このホール内に熱風を当てることによって、ホール内のIC部品の端子部の半田を溶融してIC部品を取り外すようにしているから、このように捨て基板を用いることによって、特別な構造の取り外し治具を必要とせず、構造が簡単でありコストダウンを図ることができる。更に、この捨て基板からなる取り外し治具は、キャドで設計しておくことができるから、製作が容易で量産化が可能であり、この点においてもより一層のコストダウンを図ることができる。また、IC部品が捨て基板のホール内で熱風を当てられることにより、熱風が基板上の他の部分まで影響を及ぼすことがないから、IC部品の回りのチップ部品等を熱風で損傷させることを防ぐことができる。しかも、IC部品の端子部と捨て基板のホールの縁部との間に若干の間隔が開けられているから、熱風をこのホールに当てた際にホール内のIC部品の端子部全体に熱風が行き届き、IC部品の端子部の半田を確実に溶かすことができ、IC部品を正確に取り外すことができる利点がある。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、IC部品に対応した形状のホールを有する捨て基板を用いて、このホール内に熱風を当てることによって、ホール内のIC部品の端子部の半田を溶融してIC部品を取り外すようにしているから、このように捨て基板を用いることによって、特別な構造の取り外し治具を必要とせず、構造が簡単でありコストダウンを図ることができる。更に、この捨て基板からなる取り外し治具は、キャドで設計しておくことができるから、製作が容易で量産化が可能であり、この点においてもより一層のコストダウンを図ることができる。また、IC部品が捨て基板のホール内で熱風を当てられることにより、熱風が基板上の他の部分まで影響を及ぼすことがないから、IC部品の回りのチップ部品等を熱風で損傷させることを防ぐことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、捨て基板に基板上の複数のIC部品と対応する形状のホールが形成されているから、基板上の複数のIC部品を複数のホール内に配置してそれぞれのホール内に熱風を当てることによって、1枚の捨て基板で基板上の複数のIC部品を取り外すことができる。また、基板上の異なる形状の複数のIC部品に対応した形状の複数のホールを捨て基板に形成しておくことにより、異なる形状の複数のIC部品の取り外しを1枚の捨て基板で行うことができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具の実施の形態について、図を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は第1実施形態の捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具における捨て基板がミシン目を介して基板に設けられている状態を示す平面図、図2は第1実施形態の捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具で基板上のIC部品を取り外すときの状態を示し、(a)はその部分平面、(b)はその断面図である。
【0016】
この第1実施形態の捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具は、図1に示すように、基板1の隅部にミシン目2を介して捨て基板3が設けられている。この捨て基板3には、後述するIC部品4の方形の形状に対応した方形のホール5が形成されている。この捨て基板3はミシン目2で割られて単体の捨て基板3になる。
【0017】
図2(a)に示すように、基板1には方形のIC部品4がその端子部4aを半田付けされた状態で実装されている。このIC部品4を取り外すには、図2(b)にも示すように、IC部品4が捨て基板3のホール5に入り込むようにして捨て基板3が基板3の表面に配置されていて、この捨て基板3のホール5に熱風を当てることにより、IC部品4の端子部4aを基板3の表面に固定している半田6が熱風で溶融され、この状態でピンセット等でIC部品4を取り外すようになっている。また、図2(a)に示すように、捨て基板3のホール5の縁部からIC部品4の端子部まで若干の間隔a(約0.5mm〜1mm)が開けられるようにホール5が捨て基板3に形成されている。
【0018】
従って、この第1実施形態によれば、IC部品4の取り外し治具として捨て基板3を用いることによって、特別な構造の取り外し治具を必要とせず、構造が簡単でありコストダウンを図ることができる。更に、この捨て基板3からなる取り外し治具は、キャドで設計しておくことができるから、製作が容易で量産化が可能であり、この点においてもより一層のコストダウンを図ることができる。また、IC部品4が捨て基板3のホール5内で熱風を当てられることにより、熱風が基板1上の他の部分まで影響を及ぼすことがないから、IC部品4の回りのチップ部品等を熱風で損傷させることを防ぐことができる。しかも、IC部品4の端子部4aと捨て基板3のホール5の縁部との間に若干の間隔a(約0.5mm〜1mm)が開けられているから、熱風をこのホール5に当てた際にホール5内のIC部品4の端子部4aの全体に熱風が行き届き、IC部品4の端子部4aの半田6を確実に溶かすことができ、IC部品4を正確に取り外すことができる利点がある。
【0019】
図3は第2実施形態の捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具で基板上の複数のIC部品を取り外すときの状態を示す部分平面図である。
【0020】
この第2実施形態の捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具は、図3に示すように、基板1に実装された形状の異なるIC部品4、7に対応する形状のホール5、8が捨て基板3Aに形成されている。そして、ホール5内に方形のIC部品4が配置し、ホール8内に略長方形のIC部品7が位置するように、捨て基板3Aが基板1の表面に配置される。この状態で、捨て基板3Aのそれぞれのホール5、8内にブロワ等で熱風が当てられて、それぞれのIC部品4、7の端子部4a、7aの半田(図示略)が溶融されて、それぞれのIC部品4、7が取り外されるようになっている。
【0021】
従って、この第2実施形態によれば、捨て基板3Aのそれぞれのホール5、8内に熱風を当てることによって、1枚の捨て基板3Aで基板1上の2つのIC部品4、7を取り外すことができる。また、基板1上の異なる形状の2つのIC部品4、7に対応した形状の2つのホール5、8を捨て基板3Aに形成しておくことにより、異なる形状の2つのIC部品4、7の取り外しを1枚の捨て基板3Aで行うことができる利点がある。
【0022】
尚、上記した第2実施形態では、基板1に実装された2つのIC部品4、7に対応する形状の2つのホール5、8を有する捨て基板3Aについて説明したが、これに限らず、基板1に実装された3つ以上のIC部品に対応して捨て基板に3つ以上のホールを設けてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具における捨て基板がミシン目を介して基板に設けられている状態を示す平面図である。
【図2】第1実施形態の捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具で基板上のIC部品を取り外すときの状態を示し、(a)はその部分平面、(b)はその断面図である。
【図3】第2実施形態の捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具で基板上の複数のIC部品を取り外すときの状態を示す部分平面図である。
【図4】従来の半田付けされたIC部品の取り外し・取り付け治具を示し、(a)はその斜視図、(b)は(a)の面Aで切った断面図、(c)は(a)の面Bで切った断面図、(d)は(a)の取り付け治具の位置合わせ用ガイドピンを含む面Bで切った断面図である。
【図5】従来の半導体パッケージの交換治具の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 基板
2 ミシン目
3 捨て基板
3A 捨て基板
4 IC部品
4a 端子部
5 ホール
6 半田
7 IC部品
7a 端子部
8 ホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に半田付けされたIC部品の端子部に熱風を当てて半田を溶かすことにより前記IC部品を前記基板から取り外すためのIC部品の取り外し治具において、基板の余った部分の捨て基板に前記IC部品に対応した形状のホールが形成され、前記捨て基板はミシン目により前記基板から切り離され、前記IC部品が前記ホール内に位置するように前記捨て基板が基板上に配置され、前記捨て基板の上側から前記ホール内に熱風が当てられることにより、前記IC部品の端子部の半田が溶融されて前記IC部品が取り外し可能になるように構成され、前記捨て基板の前記ホールの縁部から前記IC部品の端子部まで若干の間隔が開けられるように前記ホールが形成されていることを特徴とする捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具。
【請求項2】
基板に半田付けされたIC部品の端子部に熱風を当てて半田を溶かすことにより前記IC部品を前記基板から取り外すためのIC部品の取り外し治具において、基板の余った部分の捨て基板に前記IC部品に対応した形状のホールが形成され、前記捨て基板は前記基板から切り離され、前記IC部品が前記ホール内に位置するように前記捨て基板が基板上に配置され、前記捨て基板の上側から前記ホール内に熱風が当てられることにより、前記IC部品の端子部の半田が溶融されて前記IC部品が取り外し可能になるように構成されていることを特徴とする捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具。
【請求項3】
前記捨て基板には、基板上の複数のIC部品と対応する形状の複数のホールが形成されている請求項2に記載の捨て基板を用いたIC部品の取り外し治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−210916(P2008−210916A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45025(P2007−45025)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】