説明

捲回型電池、その製造方法および製造装置

【課題】電極板を捲回した後に扁平プレスを行っても、割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる捲回型電池、その製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】捲回型電池において、正極板10および負極板20のうちで一方または双方の電極板は、扁平プレスによって形成される扁平体200の屈曲部Bとなる部位の電極活物質層であって内周面側の短辺方向に沿って形成される溝状の溝状部13aと、扁平プレスによって形成される扁平体200の屈曲部Bとなる部位の電極活物質層であって外周面側の短辺方向に沿って形成される切込部11aまたは溝状部とのうちで一方または双方を有する。この構成によれば、内周面側および外周面側のうち一方または双方に溝状部13a等を形成することで、従来よりは電極板(特に電極活物質層)の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも正極板,負極板,セパレータを備える捲回型電池と、当該捲回型電池を製造する製造方法および捲回型電池の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、渦巻き状に巻回された電極は、表裏両面に縦方向に沿って、0.5〜2.0mmの等間隔をおいて電極の厚みの1/10〜1/3の深さからなる複数の筋溝を有し、電極表面側の筋溝と裏面側の筋溝とは位相を異ならせた電池用電極に関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。この電池用電極は、三次元的に連続した空間を有する帯状の金属多孔体と、その空間内に充填された活物質とからなる。特許文献1の図3に示すように、電極を渦巻き状に捲回する場合には、複数の筋溝が作用して電極の割れ,ヒビ,切断等の不具合を防止できる。
【0003】
また、正極集電体層の一面に設けられた正極活物質層が、複数の凹部により一定間隔ごとに複数の活物質層単位に分割されるように構成された正極と、当該正極を搭載した電池に関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献2を参照)。正極集電体層のうちの凹部に対応する部分を支点とし、活物質層単位どうしが当たる程度の湾曲角度までは湾曲可能になるので、正極を搭載した電池のフレキシブル特性が向上する。
【0004】
さらに、集電体の少なくとも一箇所以上に、正極合剤塗料または負極合剤塗料の厚みが薄くなる箇所を塗布形成する第一の工程、および正極合剤塗料または負極合剤塗料が乾燥された後、所定厚みにプレスされ、正極板または負極板の少なくとも一箇所以上に活物質密度が小さい箇所を形成する第二の工程を経て、電極板の活物質密度を電極群の内周面と外周面で部分的に小さい構成とした非水系二次電池に関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−154506号公報
【特許文献2】特開2002−343340号公報
【特許文献3】特開2009−181833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術を適用して、電極を捲回した後にプレスして扁平状に形成する際、屈曲部では曲率半径が大きく変化するために電極の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じる場合がある。すなわち、筋溝は電極の厚みの1/10〜1/3ほどしかないので、屈曲部の内周面側では圧縮に伴う割れ,ヒビ,切断等が生じ、屈曲部の外周面側では伸長に伴う割れ,ヒビ,切断等が生じる。
【0007】
また特許文献2の技術を適用しても、正極を捲回した後にプレスして扁平状に形成する際の湾曲角度は大きく、特に最内周の正極は90度よりも遙かに大きな湾曲角度になる。このような湾曲角度となるようにプレスすると活物質層単位どうしが当たるため、正極活物質層の割れ,ヒビ,切断等が生じる。
【0008】
さらに特許文献3の技術では、間欠塗工の制御(第一の工程)だけでなく、活物質密度の変更制御(第二の工程)もまた並行して行わなければならないので、塗工速度を向上させることが困難である。電極板を捲回してプレスすることにより扁平体とする場合には、周回数(「捲数」や「層数」等とも呼ぶ。以下同じである。)に応じて曲率半径が変化する。第二の工程では当該曲率半径に応じて活物質密度を変更する制御を行う必要があり、その後の工程では正確な間隔で電極を切断しなければならない。そのため、不良品となる確率が高くなり、歩留まりが悪化する。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、電極板を捲回した後にプレスして扁平状に形成しても、電極板の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる捲回型電池、その製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、それぞれが帯状の集電体上に電極活物質層を形成した正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に介在させる絶縁性のセパレータとを備え、前記正極板,前記負極板および前記セパレータを積層して捲回し、当該捲回して形成される捲回体を扁平状にプレスする扁平プレスによって得られる扁平体(すなわち扁平状の電極体)を有する捲回型電池において、前記正極板および前記負極板のうちで一方または双方の電極板は、前記扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって内周面側の短辺方向に沿って形成される溝状の溝状部と、前記扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって外周面側の短辺方向に沿って形成される切込部または前記溝状部とのうちで一方または双方を有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、内周面側の電極活物質層には溝状部が形成され、外周面側の電極活物質層には切込部または溝状部が形成された電極板を用い、捲回と扁平プレスが行われて捲回型電池が構成される。扁平プレスを行っても、内周面側の溝状部は電極活物質層が圧縮されるのを防止し、外周面側の切込部や溝状部は電極活物質層が伸長されるのを防止する。内周面側および外周面側のうち一方または双方に形成することで、従来よりは電極板(特に電極活物質層)の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。
【0012】
なお、「集電体」は導電性の材料(物質を含む。以下同じである。)で帯状(長尺シート状)に形成されるが、板厚は任意である。「セパレータ」は正極板と負極板とが接触するのを防止する部材であって、例えば絶縁性の板材や固体電解質などを含む。「電極活物質層」は合剤層とも呼び、正極活物質層と負極活物質層とでは材料が異なる。正極活物質層は、例えばリチウムイオンなどの軽金属イオンを吸蔵・離脱することが可能な金属硫化物、金属酸化物または高分子化合物などの材料で構成される。負極活物質層は、例えばリチウム(Li)やナトリウム(Na)などの軽金属、これらの軽金属を含む合金または軽金属を吸蔵・離脱することが可能な材料などで構成される。「溝状部」の断面形状は任意であるが、扁平プレス工程によって扁平状に形成される点を考慮すると端面に向かって開口する形状(例えばV字形状,U字形状,箱形状等)が望ましい。「短辺方向」は、集電体の長辺方向と交差する幅方向であって、かつ、面に沿う方向を意味する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記溝状部および前記切込部のうちで一方または双方は、不等間隔(「非等間隔」とも呼ぶ。以下同じである。)で形成されることを特徴とする。電極板を捲回し続けると(周回が増えると)、形成する溝状部や切込部における曲率半径も変化する。よって、溝状部や切込部の相互間に生じる引張力を一定値以下に抑えるには不等間隔で形成するのが望ましい。この構成によれば、溝状部や切込部を不等間隔で形成するので、溝状部や切込部の相互間における引張力が一定値以下に抑えられる。したがって、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、それぞれが帯状の集電体上に電極活物質層を形成した正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に介在させる絶縁性のセパレータとを備える捲回型電池を製造する捲回型電池の製造方法において、前記正極板,前記負極板および前記セパレータを積層して捲回する捲回工程と、前記捲回工程によって形成される捲回体を扁平状にプレスする扁平プレス工程と、前記捲回工程よりも前に行われ、前記正極板および前記負極板のうちで一方または双方の電極板に対し、前記扁平プレス工程によって形成される扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって内周面側の短辺方向に沿って溝状の溝状部を形成する内周面側加工工程と、前記扁平プレス工程によって形成される扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって外周面側の短辺方向に沿って切り込む切込部または前記溝状部を形成する外周面側加工工程とのうちで一方または双方の加工工程とを有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、電極活物質層に溝状部が形成される。捲回工程で電極板を捲回し、さらに扁平プレス工程で電極板をプレスしても、電極活物質層に形成された溝状部によって電極活物質層が圧縮するのを防止する。したがって、電極板(特に内周面側の電極活物質層)の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。なお、「内周面側加工工程」および「外周面側加工工程」の双方を行う場合には、並行して行ってもよく、前後して順番に行ってもよい。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記加工工程を行う以後、前記溝状部または前記切込部の形成に伴って生じる加工屑を除去する加工屑除去工程を有することを特徴とする。この構成によれば、溝状部や切込部の加工中または加工後に加工屑が除去されるので、電極板の相互間に加工屑が挟まるなどで電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記加工工程は、それぞれ前記集電体上に前記電極活物質層を形成してからプレスする前までの期間(以下では「プレス前期間」と呼ぶ。)、当該プレス後から所定形状に切断する前までの期間(以下では「切断前期間」と呼ぶ。)、当該切断してから捲回する前までの期間(以下では「捲回前期間」と呼ぶ。)のうちで一以上の期間内に行うことを特徴とする。この構成によれば、内周面側加工工程はプレス前期間、切断前期間および捲回前期間のうちで一以上の期間内に行う。すなわち一の期間内で行ってもよく、複数(二または三)の期間内で行ってもよい。外周面側加工工程についても同様である。内周面側加工工程では溝状部を確実に形成し、外周面側加工工程では切込部または溝状部を確実に形成することができる。複数の期間内で行う場合には、同一箇所(その一部分を含む)を加工することで溝状部や切込部の形成を確実にし、異なる箇所を加工することで溝状部や切込部の形成箇所を増やすことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記加工工程は、前記扁平体における所定周回までの部位に対応する前記電極板に対し、前記溝状部または前記切込部を形成することを特徴とする。所定周回(「捲数」とも呼ぶ。以下同じである。)までの部位では曲率半径が小さいため、何ら措置を施さなければ電極板(特に電極活物質層)の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じる可能性がある。この構成によれば、所定周回までの部位に対応する電極板(具体的には電極活物質層)に対して溝状部または切込部を形成するので、電極板の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。「所定周回」は集電体および電極活物質層の各厚さによって異なるが、例えば1〜3[回]である。
【0019】
請求項7に記載の発明は、前記加工工程は、前記扁平体における所定の曲率半径以下となる部位に対応する前記電極板に対し、前記溝状部または前記切込部を形成することを特徴とする。所定の曲率半径以下となる部位では、何ら措置を施さなければ電極板(特に電極活物質層)の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じる可能性がある。この構成によれば、所定の曲率半径以下となる部位に対応する電極板(具体的には電極活物質層)に対して溝状部または切込部を形成するので、電極板の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。「所定の曲率半径」は集電体および電極活物質層の各厚さによって異なるが、例えば0〜600[μm]である。
【0020】
請求項8に記載の発明は、前記加工工程は、前記溝状部または前記切込部を不等間隔で形成することを特徴とする。電極板を捲回し続けると(周回数が増えると)、形成する溝状部や切込部における曲率半径も変化する。捲回時以降で溝状部や切込部の相互間に生じる引張力を一定値以下に抑えるには不等間隔で形成するのが望ましい。この構成によれば、内周面側加工工程では溝状部を不等間隔で形成し、外周面側加工工程では切込部または溝状部を不等間隔で形成する。そのため、溝状部や切込部の相互間における引張力が一定値以下に抑えられるので、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、前記加工工程は、前記扁平体の屈曲部にかかる曲率半径に基づいて前記溝状部または前記切込部を形成する間隔を変化させることを特徴とする。この構成によれば、捲回時以降で溝状部や切込部の相互間における引張力が分散され一定値以下に抑えられるので、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、前記加工工程は、前記扁平体の屈曲部にかかる中心点から放射状に伸ばした仮想線と前記電極板とが交差する位置の前記電極板に対し、前記溝状部または前記切込部に形成することを特徴とする。この構成によれば、曲率半径に応じた溝状部や切込部を形成するので、捲回時以降で溝状部や切込部の相互間における引張力が均一化され、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。「仮想線」は任意の線分を設定でき、直線に限らず、曲線や折れ線等を含む。
【0023】
請求項11に記載の発明は、前記加工工程は、断面がV字形状の前記溝状部を形成することを特徴とする。この構成によれば、溝状部をV字形状に形成するので、特に内周面側では電極活物質層どうしが当たり難くなる。よって電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0024】
請求項12に記載の発明は、前記加工工程は、前記V字形状をなす角度および深さのうちで一方または双方が内周側から外周側に向かって小さくなるように前記溝状部を形成することを特徴とする。内周側から外周側に向かって曲率半径が大きくなるにつれて、捲回する電極板の屈曲率が小さくなる。この構成によれば、V字形状をなす溝状部の角度が内周側から外周側に向かって小さくなるので、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止しながらも、外周側の電極板の剛性を高めることができる。溝状部の深さ(深度)を小さくする場合も同様である。
【0025】
請求項13に記載の発明は、それぞれが帯状の集電体上に電極活物質層を形成した正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に介在させる絶縁性のセパレータとを備える捲回型電池を製造する捲回型電池の製造装置において、前記正極板,前記負極板および前記セパレータを積層して捲回する捲回手段と、前記捲回手段によって形成される捲回体を扁平状にプレスする扁平プレス手段と、前記捲回手段よりも前に行われ、前記正極板および前記負極板のうちで一方または双方の電極板に対し、前記扁平プレス手段によって形成される扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって内周面側の短辺方向に沿って溝状の溝状部を形成する内周面側加工手段と、前記扁平プレス手段によって形成される扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって外周面側の短辺方向に沿って切り込む切込部または前記溝状部を形成する外周面側加工手段とのうちで一方または双方の加工手段とを有することを特徴とする。この構成によれば、請求項3に記載の発明と同様に、電極板(特に電極活物質層)の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。
【0026】
請求項14に記載の発明は、前記溝状部または前記切込部の形成に伴って生じる加工屑を除去する加工屑除去手段を有することを特徴とする。この構成によれば、請求項4に記載の発明と同様に、加工屑が除去されるので、電極板の相互間に加工屑が挟まるなどで電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】電極板の構成例を模式的に示す側面図である。
【図2】電極板の構成例を模式的に示す平面図である。
【図3】捲回型電池の第1製造方法を示すチャート図である。
【図4】加工工程の一例を示す側面図である。
【図5】溝状部や切込部を形成する部位の一例を模式的に示す側面図である。
【図6】溝状部や切込部の間隔を設定する例を示す側面図である。
【図7】溝状部の角度や深さを変化させる例を示す側面図である。
【図8】捲回工程の一例を示す側面図である。
【図9】扁平プレス工程の一例を示す側面図である。
【図10】扁平プレス後の扁平体を模式的に示す側面図である。
【図11】捲回型電池の第2製造方法を示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、各図は本発明を説明するために必要な要素を図示し、実際の全要素を図示してはいない。上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。「材料」には物質を含む。単に「電極板」と言う場合には、正極板および負極板のうちで一方または双方を意味する。
【0029】
まず、捲回型電池の基礎となる電極板の構成例について、図1および図2を参照しながら説明する。電極板の構成例について、側面図を模式的に図1に示し、平面図を模式的に図2に示す。図1(A)には捲回前の状態を示し、図1(B)には捲回後の状態を示し、図1(C)には扁平プレス後の状態を示す。図2(A)には捲回後の外周面を示し、図2(B)には捲回後の内周面を示す。
【0030】
捲回型電池の構成要素である電極体(後述する扁平体)は、帯状の電極板を捲回して渦巻き状にし、さらに扁平状にプレスすることで得られる。図1および図2は、見易くするために屈曲部を中心とする一部分を示す。本形態にかかる捲回型電池の正極板と負極板とは、正負が異なるに過ぎない。よって正極板を代表して説明し、負極板については正極板と異なる内容を説明する。
【0031】
図1(A)に示す正極板10は、帯状をなす正極集電体12の面上に正極活物質層11,13が形成される。正極集電体12は、導電性の材料(例えば金属や導電性プラスチック等)で帯状に形成される。厚さは製造する捲回型電池の仕様(例えば蓄電容量や外形寸法等)に合わせて設定され、例えば5〜300[μm]程度である。負極板については、正極板10と同じ厚さにしてもよく、異なる厚さにしてもよい。形状についても同様であり、例えば平板状,箔状,網状などが該当する。正極活物質層11は捲回後の外周面側に形成され、正極活物質層13は捲回後の内周面側に形成される。
【0032】
正極活物質層11,13は、例えばリチウムイオンなどの軽金属イオンを吸蔵・離脱することが可能な金属硫化物、金属酸化物または高分子化合物などの材料で構成される。なお図示しないが、負極板を構成する負極集電体の面上に形成される負極活物質層は、例えばリチウムやナトリウムなどの軽金属、これらの軽金属を含む合金または軽金属を吸蔵・離脱することが可能な材料などで構成される。
【0033】
扁平プレス後の屈曲部Bに対応する部位の正極板10には、溝状部または切込部が形成される。具体的には、正極活物質層11に切込部11a(あるいは溝状部)が形成され、正極活物質層13に溝状部13aが形成される。切込部11aおよび溝状部13aは正極活物質層の範囲内で形成され、正極集電体12には形成されない。
【0034】
上述した切込部11aや溝状部13aがそれぞれ形成された正極板10および負極板20の相互間に絶縁性のセパレータ30を介在させて捲回すると(図8を参照)、図1(B)に示す捲回体100が形成される。ただし、図1(B)には正極板10だけに着目した構成を示す。図1(A)の構成と比べると、捲回に伴って内周面側の溝状部13aの隙間が小さくなり、外周面側の切込部11aがV字状に広がっている。
【0035】
さらに上述した捲回体100を扁平プレスすると(図9を参照)、図1(C)に示すように扁平状の電極体として扁平体200が形成される。図1(C)は、図1(B)と同様に、正極板10だけに着目した構成を示す。図1(C)の構成と比べると、屈曲に伴って内周面側の溝状部13aは隙間がほとんど無くなり、外周面側の切込部11aの端面側がさらに広がる。扁平プレスによる屈曲では、溝状部13aが圧縮を回避(または吸収)し、切込部11aが伸長を回避(または吸収)する。そのため、正極活物質層11,13には割れ,ヒビ,切断等が生じることがない。このことは、正極板10と同様に負極板20に切込部や溝状部を形成して、捲回および屈曲を行う場合でも同様である。
【0036】
帯状の正極板10を平面的に見ると、図2に示すような構造になる。図2(A)と図2(B)とは、左右方向に反転させた状態である。電極板は、後述する切断工程(図3に示すステップS15,S23)によって板幅W(その他に板長,板厚等)で切断される。正極板10は、図2(A)の図面上側には正極活物質層11が形成されない部位があり、図2(B)の図面上側には正極活物質層13が形成されない部位がある。言い換えれば、正極集電体12のみの部位がある。当該正極集電体12のみの部位は、後述する扁平プレス工程(図3に示すステップS32)を行った後、正極集電体12どうしを電気的に接続して正極とするために用いる。負極板20の負極集電体22についても同様である。
【0037】
次に、正極板10,負極板20,セパレータ30などを積層して捲回型電池を製造する工程について、チャート図で示す図3を参照しながら説明する。図3に示す製造方法は、正極板10を形成する第1工程と、負極板20を形成する第2工程と、形成された正極板10および負極板20とともにセパレータ30を積層して捲回および扁平プレスを行う第3工程とに大きく分けられる。以下では、第1工程から第3工程の順番に説明する。
【0038】
(第1工程)正極板10の形成工程
まず、正極集電体12上に形成する正極活物質層11,13の混練物を作製する混練工程を行う〔ステップS10〕。混練物は、バインダ10a、正極活物質10b、導電材10c、溶媒10dなどを混ぜ合わせて液状またはペースト状にした物である。
【0039】
バインダ10aは、任意の結着剤を用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、ポリフッ化ビニリデンの変性体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリレート単位を有するゴム粒子結着剤などが該当する。なお、反応性官能基を導入したアクリレートモノマーや、アクリレートオリゴマーなどを混入してもよい。
【0040】
正極活物質10bは、例えばリチウムイオンなどの軽金属イオンを吸蔵・離脱することが可能な物質で構成される。具体的には、金属硫化物、金属酸化物または高分子化合物などが該当する。金属硫化物や金属酸化物には、例えば硫化チタン(TiS2)、硫化モリブデン(MoS2)、セレン化ニオブ(NbSe2)または酸化バナジウム(V25)などのリチウムを含有しないものが挙げられる。金属酸化物には、上記したリチウムを含有しない物質のほか、LixMOyなどで表されるリチウム複合酸化物が挙げられる。なお、Mは、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、Al、Co、Ni、Ti、Siのうちで一以上の金属元素、あるいはリン(P)やホウ素(B)などの非金属元素であり、二種以上組み合わせて用いてもよい。組成式の添字について、xは0.05≦x≦2.0の範囲内、yは2≦y≦4の範囲内でそれぞれ設定するのが望ましい。
【0041】
正極活物質10bは、特に高電圧・高エネルギー密度の確保およびサイクル特性を向上させるため、リチウム・コバルト複合酸化物やリチウム・ニッケル酸化物などのリチウム複合酸化物を用いるのが望ましい。上述した金属硫化物や金属酸化物などのうちで二種以上組み合わせて用いてもよい。正極活物質10bに用いる材料は、電池の種類や用途等に応じて任意に選択可能である。
【0042】
導電材10cは、例えばカーボンブラックなどのような導電性の材料を用いる。カーボンブラックは、BET法による比表面積が30[m2/g]以上の高比表面積のものを用いるのが望ましい。
【0043】
溶媒10dは、混練に適したものを用いる。例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの単独溶媒や、これらの溶媒のうちで二種以上を選択して混合させた混合溶媒などが該当する。
【0044】
ステップS10で作製した混練物を正極集電体12上に正極活物質層11,13として形成する塗工・乾燥工程を行う〔ステップS11〕。具体的には、混練物を正極集電体12上に塗工した後、所定温度下で乾燥させて固形化する。塗工は、例えば塗装,塗りつけ,吹きつけ等が該当する。正極活物質層11,13は、乾燥後に所定厚さ(例えば100〜300[μm])となるように塗工量を調整する。正極集電体12の厚さは、例えば10〜20[μm]程度である。こうして帯状の正極板10が形成される。
【0045】
ステップS11で形成された正極板10および負極板20のうちで一方または双方の電極板に対し、内周面側加工工程および外周面側加工工程を行う〔ステップS12〕。内周面側加工工程は、後述する扁平プレス工程によって形成される扁平体200の屈曲部Bとなる部位の電極活物質層であって、内周面側の短辺方向(幅方向)に沿って直線状かつ実線状に溝状部13aを形成する。外周面側加工工程は、上記電極活物質層であって外周面側の短辺方向(幅方向)に沿って直線状かつ実線状に切込部11a(または溝状部)を形成する。
【0046】
内周面側加工工程と外周面側加工工程とは、並行して行ってもよく、前後して順番に行ってもよい。並行して行う例を図4(A)に示し、前後して順番に行う例を図4(B)〜図4(D)に示す。図4(A)に示す加工例は、加工手段40によって電極板の両面で加工を行う。すなわち内周面側加工手段40bは正極活物質層13が形成された内周面側を加工し、外周面側加工手段40aは正極活物質層11が形成された外周面側を加工する。内周面側加工手段40bは溝状部13aを加工できる任意の手段を適用でき、外周面側加工手段40aは切込部11aや溝状部(例えば図4(D)に示す溝状部11c等)を加工できる任意の手段を適用できる。溝状部13a(および正極活物質層11に形成する溝状部)の加工には溝形成手段43を用い、切込部11aの加工には切込形成手段41を用いる。溝形成手段43は、例えば形削り盤やフライス盤などのように、溝加工が可能な工作機械を用いる。切込形成手段41は、例えば回転運動または往復運動によって切り込み加工が可能な工作機械や、レーザー加工機、ウォータージェット加工機(ウォーターカッター)などを用いる。
【0047】
図4(B)〜図4(D)に示す加工例は、平面台42に固定した電極板の片面ずつ加工を行う。例えば、まず外周面側の正極活物質層11が上面となるように正極板10を固定してから、図4(B)に示すように切込形成手段41で正極活物質層11に切込部11bを加工する。そして正極板10をひっくり返して固定した後、図4(C)に示すように溝形成手段43で正極活物質層13に溝状部13aを加工する。
【0048】
上述した手順とは逆順で加工してもよい。例えば、まず内周面側の正極活物質層13が上面となるように正極板10を固定してから、溝形成手段43で溝状部13aを加工する。そして正極板10をひっくり返して固定した後、図4(D)に示すように溝形成手段43で正極活物質層11に溝状部11cを加工する。
【0049】
また、上述した溝状部13aや切込部11aを形成する部位(位置)や形状(角度や深さ)について、図5〜図7を参照しながら説明する。図5には、溝状部や切込部を形成する部位の一例を模式的に側面図で示す。図6には、溝状部や切込部の間隔を設定する例を側面図で示す。図7には、溝状部の角度や深さを変化させる例を側面図で示す。
【0050】
図5は、所定周回や曲率半径に基づいて、溝状部や切込部を形成する部位の一例を斜線ハッチで示す。図5(A)には、扁平体200における所定周回(例えば1〜3[回])までであって、かつ、屈曲部Bに対応する電極板の部位A1を示す。図5(B)には、扁平体200における所定の曲率半径Rx(例えば0〜600[μm])以下であって、かつ、屈曲部Bに対応する電極板の部位A2を示す。
【0051】
図6は、扁平体200の屈曲部Bに対応する電極板に形成する溝状部や切込部の間隔を示す。図6(A)には、正極板10の外周面側である正極活物質層11に形成する切込部11aの間隔D1a,D1b,D1c,…を不等間隔(すなわち不均一)にし、内周面側である正極活物質層13に形成する溝状部13aの間隔D2a,D2b,D2c,D2d,…を不等間隔にする例を示す。なお、二点鎖線で示す切込部11aや溝状部13aは屈曲部Bの範囲外であるので、形成するか否かを問わない。
【0052】
図6(B)には、上述した間隔D1a,D1b,D1c,…や間隔D2a,D2b,D2c,D2d,…などの間隔を、扁平体200の屈曲部Bにかかる曲率半径に基づいて変化させる例を示す。曲率と曲率半径とは逆数の関係にあるので、曲率が大きくなれば曲率半径は小さくなり、曲率が小さくなれば曲率半径は大きくなる。そのため、溝状部13aや切込部11aを形成する間隔は、切込部11aや溝状部13aを形成する位置(以下では単に「形成位置」と呼ぶ。)の曲率に基づいて、屈曲部Bの中心点Prから形成位置までの半径R1,R2,R3,…(すなわち曲率半径)を求め、さらに当該曲率半径の比率に応じて間隔を設定する。例えば図6(A)に示す間隔D1a,D1b,D1cを式で表すと、「D1a:D1b:D1c=R1:R2:R3」のようになる。
【0053】
図6(C)には、屈曲部Bの中心点Prから放射状に伸ばした仮想線L1,L2,L3,…と正極板10とが交差する位置の正極板10に対し、溝状部13aや切込部11aを形成する例を示す。すなわち、仮想線L1と正極板10とが交差する位置P1a,P1b,P1c,…や、仮想線L2と正極板10とが交差する位置P2a,P2b,P2c,…、仮想線L3と正極板10とが交差する位置P3a,P3b,P3c,…などに対応する正極板10に形成する。正極板10は渦巻き状に捲回されるので、間隔D1a,D1b,D1c,…や間隔D2a,D2b,D2c,D2d,…などは不等間隔になる。
【0054】
図7には、V字形状をなす溝状部13aについて、角度や深さを内周側から外周側に向かって変化させて形成する例を示す。図7(A)には、屈曲部Bにかかる最内周の正極板10に形成する溝状部13aを示す。この溝状部13aは、角度θ1と深さD3とで形成されている。図7(B)には、外周側に向かって角度θ2を小さく(すなわちθ2<θ1)形成した溝状部13aの一例を示す。図7(C)には、外周側に向かって深さD4を浅く(すなわちD4<D3)形成した溝状部13aの一例を示す。図示しないが、外周側に向かって角度θ2と深さD4との双方を小さくして溝状部13aを形成してもよい。
【0055】
図3に戻って、内周面側加工工程および外周面側加工工程と並行して、あるいはこれらの加工工程を行った後、加工屑除去工程を行う〔ステップS13〕。内周面側加工工程や外周面側加工工程では加工時に加工屑が発生するので、加工屑除去工程を行って加工屑を除去する。加工屑の除去方法は任意である。例えば、液体(水や油等)で流したり、気体(空気や窒素等)で吹き飛ばしたり、掃除部材(ブラシやモップ等)を用いて掃き出したりなどの各種方法で行えばよい。
【0056】
その後、プレス機(例えばローラ等)によって正極板10をプレスするプレス工程〔ステップS14〕と、切断機によって正極板10を所定形状(板長,板厚,板幅等)に切断する切断工程〔ステップS15〕とを順不同で行う。こうして、溝状部13aや切込部11aを備えて捲回可能な正極板10が形成される。
【0057】
(第2工程)負極板20の形成工程
負極集電体22に形成する負極活物質層21,23の混練物を作製する混練工程を行う〔ステップS20〕。混練物は、バインダ20a、負極活物質20b、分散材20c、溶媒20dなどを混練した物である。
【0058】
バインダ20aは、バインダ10aと同様に任意の結着剤を用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、その変性体などが該当する。なお、リチウムイオン受入れ性を向上させるため、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム粒子(SBR)およびその変性体に対し、カルボキシメチルセルロース(CMC)をはじめとするセルロース系樹脂等を併用したり、少量添加したりするのが望ましい。
【0059】
負極活物質20bは、軽金属、当該軽金属を含む合金、当該合金や軽金属自体を吸蔵・離脱することが可能な材料などで構成される。軽金属は、例えばリチウム(Li)やナトリウム(Na)などが該当する。軽金属を吸蔵・離脱することが可能な材料は、例えば炭素材料、珪素(Si)、珪素化合物、金属酸化物または高分子化合物などが該当する。炭素材料は、例えば熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維または活性炭などが該当する。コークス類には、例えばピッチコークス,ニードルコークス,石油コークスなどを含む。ガラス状炭素類には、難黒鉛化炭素材料などを含む。有機高分子化合物焼成体は、不活性ガス気流中または真空中において高分子化合物(例えばフェノール樹脂やフラン樹脂など)を高温(例えば約500℃以上)で焼成して炭素化された物質である。珪素化合物は、例えばCaSi2やCoSi2などが該当する。金属酸化物は、例えば酸化スズ(SnO2)などが該当する。高分子化合物は、例えばポリアセチレンやポリピロールなどが該当する。負極活物質20bとして用いる材料は、電池の種類や用途等に応じて任意に選択可能である。
【0060】
分散材20cは任意であり、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を用いる。溶媒20dは、溶媒10dと同様に混練に適したものを用いる。溶媒10dと同じ材料でもよく、異なる材料でもよい。
【0061】
絶縁性のセパレータ30は、高分子材料(特に多孔質のもの)などから形成できる。セパレータ30の厚さは、例えば10〜30[μm]の範囲である。高分子材料は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどが該当する。さらには、これらの高分子材料から形成した不織布や、延伸多孔質化したフィルムなどを用いてもよい。
【0062】
ステップS11と同様にして、ステップS20で作製した混練物を負極集電体20e上に負極活物質層21,23として形成する塗工・乾燥工程を行う〔ステップS21〕。具体的には、混練物を負極集電体20e上に塗工した後、所定温度下で乾燥させて固形化する。負極活物質層21,23は、乾燥後に所定厚さ(例えば100〜200[μm])となるように塗工量を調整する。負極集電体20eの厚さは、例えば10〜20[μm]程度である。こうして帯状の負極板20が形成される。
【0063】
ステップS21で形成された負極板20および負極板20のうちで一方または双方の電極板に対し、必要に応じて内周面側加工工程および外周面側加工工程を行う〔ステップS22〕。負極板20の板厚が正極板10の板厚よりも大幅に小さい場合には、当該ステップS22を省略してもよい。なお、内周面側加工工程や外周面側加工工程の内容は、それぞれ上述したステップS12と同様である。溝状部13aに相当する溝状部や、切込部11aに相当する切込部を形成する。内周面側加工工程および外周面側加工工程を行う場合には、ステップS13と同様にして加工屑除去工程を行う〔ステップS23〕。
【0064】
その後、ステップS14と同様にして負極板20をプレスするプレス工程〔ステップS24〕と、ステップS15と同様にして負極板20を所定形状(板長,板厚,板幅等)に切断する切断工程〔ステップS25〕とを順不同で行う。こうして、溝状部や切込部を備えて捲回可能な負極板20が形成される。
【0065】
(第3工程)捲回および扁平プレス
正極板10および負極板20が形成された後、正極板10,負極板20,セパレータ30などを積層して渦巻き状に捲回する捲回工程を行い〔ステップS31〕、当該捲回工程によって形成される捲回体100を扁平状にプレスする扁平プレス工程を行う〔ステップS32〕。
【0066】
ステップS31では、図8に示すように、正極板10,負極板20,セパレータ30などを積層して、捲回手段44に捲回する。捲回手段44は、例えば円柱状や円筒状のローラ等が該当する。捲回手段44から捲回体100を取り外すと、図9のようになる。
【0067】
ステップS32では、図9に示すように、平面台42上に固定した捲回体100に対して、扁平プレス手段46を矢印D6方向に移動させて扁平プレスする。扁平プレス手段46は、平面状のプレス面46aを有するプレス機などが該当する。扁平プレスして得られる扁平体200を図10に示す。図10のA部は、屈曲部Bの拡大図である。
【0068】
ここで、扁平プレス後における電極板の一例について簡単に説明する。内周面側の溝状部13aや外周面側の切込部11a,11bや溝状部11cを形成するか否かによって、電極板(特に電極活物質層)に不具合が発生するか否かを実験した。その実験結果を下記表1に示す。実験に用いた正極板10は、正極集電体12として15[μm]の厚さのアルミニウム箔(Al)を用い、長さを1.4[m]で形成した。負極板20は、負極集電体22として10[μm]の厚さの銅箔(Cu)を用い、長さを1.5[m]で形成した。セパレータ30は、厚さを20[μm]とし、長さを1.6[m]で形成した。全周回(全捲数)は6[回]である。溝状部や切込部の有無については、所定周回が0[回]すなわち全く形成しない電極板を「無し」で示し、所定周回が1[回]すなわち最内周にのみ形成した電極板を「1捲目」で示し、所定周回が2[回]すなわち1周回と2周回に形成した電極板を「1,2捲目」で示す。不具合発生の有無については、発生した電極板を「×」で示し、発生しなかった電極板を「○」で示す。
【0069】
【表1】

【0070】
上述した実施の形態によれば、以下に示す各効果を得ることができる。まず請求項1に対応し、捲回型電池において、正極板10および負極板20のうちで一方または双方の電極板は、扁平プレスによって形成される扁平体200の屈曲部Bとなる部位の電極活物質層であって内周面側の短辺方向に沿って形成される溝状の溝状部13aと、扁平プレスによって形成される扁平体200の屈曲部Bとなる部位の電極活物質層であって外周面側の短辺方向に沿って形成される切込部11a,11bまたは溝状部11cとの双方を備える構成とした(図1(C),図4(D)を参照)。この構成によれば、扁平プレスを行っても、内周面側の溝状部13aは正極活物質層13や負極活物質層23が圧縮されるのを防止し、外周面側の切込部11a,11bや溝状部11cは正極活物質層11や負極活物質層21が伸長されるのを防止する。内周面側および外周面側のうち一方または双方に形成することで、従来よりは電極板(特に電極活物質層)の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。なお、内周面側に形成する溝状部13aと、外周面側に形成する切込部11a,11bまたは溝状部11cとのいずれか一方を備える構成としてもよい。この構成であっても各周面側について上記作用効果を得ることができる。
【0071】
請求項2に対応し、正極板10および負極板20のうちで一方または双方の電極板について、溝状部13aまたは切込部11aを不等間隔で形成する構成とした(図1を参照)。この構成によれば、溝状部13aや切込部11aの相互間における引張力が一定値以下に抑えられるので、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0072】
請求項3,13に対応し、正極板10,負極板20およびセパレータ30を積層して捲回する捲回工程(捲回手段44)と、捲回工程によって形成される捲回体100を扁平状にプレスする扁平プレス工程(扁平プレス手段46)と、捲回工程よりも前に行われ、正極板10および負極板20のうちで一方または双方の電極板に対し、扁平プレス工程によって形成される扁平体200の屈曲部Bとなる部位の電極活物質層であって内周面側の短辺方向に沿って溝状の溝状部13aを形成する内周面側加工工程(内周面側加工手段40b)と、扁平体200の屈曲部Bとなる部位の電極活物質層であって外周面側の短辺方向に沿って切込部11aまたは溝状部11cを形成する外周面側加工工程(外周面側加工手段40a)とのうちで一方または双方の加工工程とを有する構成とした(図1〜図9を参照)。この構成によれば、内周面側の正極活物質層13や負極活物質層23に形成された溝状部13aによって電極活物質層が圧縮するのを防止する。また、外周面側の正極活物質層11や負極活物質層21に形成された切込部11aまたは溝状部11cによって電極活物質層が伸長するのを防止する。内周面側および外周面側のうち一方または双方に形成することで、従来よりは電極板(特に電極活物質層)の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。
【0073】
請求項4,14に対応し、内周面側加工工程および外周面側加工工程のうちで一方または双方の加工工程を行う以後、溝状部13aまたは切込部11aの形成に伴って生じる加工屑を除去する加工屑除去工程(加工屑除去手段)を有する構成とした。この構成によれば、溝状部13aや切込部11aの加工中または加工後に加工屑が除去されるので、電極板の相互間に加工屑が挟まるなどで電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。
【0074】
請求項5に対応し、内周面側加工工程および外周面側加工工程は、プレス前期間内に行う構成とした(図3を参照)。この構成によれば、内周面側加工工程では溝状部13aを確実に形成し、外周面側加工工程では切込部11aまたは溝状部11cを確実に形成することができる。なお図11において、正極板10の形成で示すように捲回前期間内に行う構成としもよく、負極板20の形成で示すように切断前期間内に行う構成としてもよい。いずれの構成も、正極板10および負極板20のうち一方または双方に適用可能である。複数(二または三)の期間内で行う場合には、同一箇所(その一部分を含む)を加工することで溝状部13aや切込部11aの形成を確実にし、異なる箇所を加工することで溝状部13aや切込部11aの形成箇所を増やすことができる。
【0075】
請求項6に対応し、内周面側加工工程および外周面側加工工程は、扁平体200における所定周回までの部位A1に対応する電極板に対し、溝状部13aまたは切込部11aを形成する構成とした(図5(A)を参照)。この構成によれば、曲率半径が小さい箇所に溝状部13aや切込部11aを形成するので、電極板の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。
【0076】
請求項7に対応し、内周面側加工工程および外周面側加工工程は、扁平体200における所定の曲率半径Rx以下となる部位に対応する電極板に対し、溝状部13aまたは切込部11aを形成する構成とした(図5(B)を参照)。この構成によれば、所定の曲率半径Rx以下となる箇所に溝状部13aや切込部11aを形成するので、電極板の割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止できる。
【0077】
請求項8に対応し、内周面側加工工程および外周面側加工工程は、溝状部13aまたは切込部11aを不等間隔で形成する構成とした(図6(A)を参照)。この構成によれば、溝状部13aや切込部11aの相互間における引張力が一定値以下に抑えられるので、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0078】
請求項9に対応し、内周面側加工工程および外周面側加工工程は、扁平体200の屈曲部Bにかかる曲率半径に基づいて溝状部13aまたは切込部11aを形成する間隔を変化させる構成とした(図6(B)を参照)。この構成によれば、捲回時以降で溝状部13aや切込部11aの相互間における引張力が分散され一定値以下に抑えられるので、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0079】
請求項10に対応し、内周面側加工工程および外周面側加工工程は、扁平体200の屈曲部Bにかかる中心点Prから放射状に伸ばした仮想線L1,L2,L3,…と電極板とが交差する位置の電極板に対し、溝状部13aまたは切込部11aに形成する構成とした(図6(C)を参照)。この構成によれば、捲回時以降で溝状部13aや切込部11aの相互間における引張力が均一化され、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0080】
請求項11に対応し、内周面側加工工程および外周面側加工工程は、断面がV字形状の溝状部13aを形成する構成とした(図1,図4,図7等を参照)。この構成によれば、溝状部13aをV字形状に形成するので、特に内周面側では電極活物質層どうしが当たり難くなる。よって電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0081】
請求項12に対応し、内周面側加工工程および外周面側加工工程は、V字形状をなす角度および深さのうちで一方または双方が内周側から外周側に向かって小さくなるように溝状部13aを形成する構成とした(図7を参照)。この構成によれば、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを防止しながらも、外周側の電極板の剛性を高めることができる。
【0082】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0083】
上述した実施の形態では、集電体(正極集電体12や負極集電体22)の両面に電極活物質層(正極活物質層11,13や負極活物質層21,23)を形成した電極板を適用した(図1等を参照)。この形態に代えて、集電体の片面にのみ電極活物質層を形成した電極板を適用することもできる。例えば正極集電体12の片面に正極活物質層13のみを形成した正極板10では、内周面側加工工程(内周面側加工手段40b)によって溝状部13aを形成すればよく、外周面側加工工程(外周面側加工手段40a)は不要となる。逆に正極集電体12の片面に正極活物質層11のみを形成した正極板10では、外周面側加工工程(外周面側加工手段40a)によって切込部11aや溝状部11cを形成すればよく、内周面側加工工程(内周面側加工手段40b)は不要となる。負極集電体22の片面にのみ電極活物質層を形成する負極板20についても同様である。電極活物質層の形成面が相違するに過ぎないので、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
上述した実施の形態では、バインダ10a,正極活物質10b,導電材10c,溶媒10dを混練した混練物を正極集電体12上に正極活物質層11,13として形成する構成とした(図3,図11のステップS11,S21に示す塗工・乾燥工程を参照)。この形態に代えて、バインダ10a,正極活物質10b,導電材10c,溶媒10dを正極集電体12上に並行して(あるいは前後して順番に)塗工することで、正極集電体12上に直接的に正極活物質層11,13として形成する構成としてもよい。負極集電体22上に負極活物質層21,23として形成する場合も同様である。この形態によれば、混練工程が不要になるので、電極板の形成に要する時間を短縮することができる。
【0085】
上述した実施の形態では、間隔D1a,D1b,D1c,…や間隔D2a,D2b,D2c,D2d,…などの間隔を、扁平体200の屈曲部Bにかかる曲率半径に基づいて変化させる構成とした(図6(B)を参照)。この形態に代えて、所定範囲内の曲率半径に対して間隔を一定値に維持することで、間隔の値を階段状に変化させる構成としてもよい。例えば、曲率半径が10[μm]未満のときは間隔を50[μm]とし、曲率半径が10[μm]以上で20[μm]未満のときは間隔を70[μm]とし、曲率半径が20[μm]以上で50[μm]未満のときは間隔を100[μm]とし、曲率半径が50[μm]以上で100[μm]未満のときは間隔を200[μm]とするなどである。この構成でも、捲回時以降で溝状部13aや切込部11aの相互間における引張力が分散され一定値以下に抑えられるので、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0086】
上述した実施の形態では、溝状部13aを直線状のV字形状で形成した(図1,図4,図7,図10等を参照)。この形態に代えて、端面に向かって開口する他の形状で形成してもよい。他の形状は、例えば非直線状(曲線状や階段状など)のV字形状や、U字形状、箱形状(階段状を含む)などが該当する。端面に向かって開口する形状であれば、扁平プレス工程によって捲回体100を扁平状にプレスしても、電極活物質層どうしが当たり難くなる。よって、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0087】
上述した実施の形態では、集電体の短辺方向に沿って直線状に溝状部13aや切込部11aを形成した。この形態に代えて、他の平面形状(すなわち線状の加工軌跡)で溝状部13aや切込部11aを形成してもよい。他の平面形状は、例えば曲線や折れ線等が該当する。どのような平面形状で形成しても、電極活物質層どうしが当たり難くなるので、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのをより確実に防止できる。
【0088】
上述した実施の形態では、集電体の短辺方向に沿って形成する溝状部13aや切込部11aの線分を実線状で構成した。この形態に代えて、他の線分で溝状部13aや切込部11aを構成してもよい。他の線分は、例えば破線,一点鎖線,二点鎖線等のように実線以外の線分が該当する。実線以外の線分で形成すると、溝状部13aや切込部11aが形成されない部位では電極活物質層に圧縮や伸長が生じるが、この圧縮や伸長を溝状部13aや切込部11aで形成される空間部に逃がすことができる。そのため、電極板に凹凸や割れ,ヒビ,切断等の不具合が生じるのを従来よりも確実に防止できる。
【符号の説明】
【0089】
10 正極板(電極板)
10a,20a バインダ(結着剤)
10b 正極活物質(電極活物質)
10c 導電材
10d,20d 溶媒
11,13 正極活物質層(電極活物質層)
11a,11b 切込部
11c,13a 溝状部
12 正極集電体(集電体)
20 負極板(電極板)
20b 負極活物質(電極活物質)
20c 分散材
21,23 負極活物質層(電極活物質層)
22 負極集電体(集電体)
30 セパレータ
40 加工手段
40a 外周面側加工手段
40b 内周面側加工手段
41 切込形成手段
43 溝形成手段
44 捲回手段
46 扁平プレス手段
100 捲回体
200 扁平体
B 屈曲部
L1,L2,L3,… 仮想線
Pr 中心点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが帯状の集電体上に電極活物質層を形成した正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に介在させる絶縁性のセパレータとを備え、前記正極板,前記負極板および前記セパレータを積層して捲回し、当該捲回して形成される捲回体を扁平状にプレスする扁平プレスによって得られる扁平体を有する捲回型電池において、
前記正極板および前記負極板のうちで一方または双方の電極板は、前記扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって内周面側の短辺方向に沿って形成される溝状の溝状部と、前記扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって外周面側の短辺方向に沿って形成される切込部または前記溝状部とのうちで一方または双方を有することを特徴とする捲回型電池。
【請求項2】
前記溝状部および前記切込部のうちで一方または双方は、不等間隔で形成されることを特徴とする請求項1に記載の捲回型電池。
【請求項3】
それぞれが帯状の集電体上に電極活物質層を形成した正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に介在させる絶縁性のセパレータとを備える捲回型電池を製造する捲回型電池の製造方法において、
前記正極板,前記負極板および前記セパレータを積層して捲回する捲回工程と、
前記捲回工程によって形成される捲回体を扁平状にプレスする扁平プレス工程と、
前記捲回工程よりも前に行われ、前記正極板および前記負極板のうちで一方または双方の電極板に対し、前記扁平プレス工程によって形成される扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって内周面側の短辺方向に沿って溝状の溝状部を形成する内周面側加工工程と、前記扁平プレス工程によって形成される扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって外周面側の短辺方向に沿って切り込む切込部または前記溝状部を形成する外周面側加工工程とのうちで一方または双方の加工工程と、
を有することを特徴とする捲回型電池の製造方法。
【請求項4】
前記加工工程を行う以後、前記溝状部または前記切込部の形成に伴って生じる加工屑を除去する加工屑除去工程を有することを特徴とする請求項3に記載の捲回型電池の製造方法。
【請求項5】
前記加工工程は、それぞれ前記集電体上に前記電極活物質層を形成してからプレスする前までの期間、当該プレス後から所定形状に切断する前までの期間、当該切断してから捲回する前までの期間のうちで一以上の期間内に行うことを特徴とする請求項3または4に記載の捲回型電池の製造方法。
【請求項6】
前記加工工程は、前記扁平体における所定周回までの部位に対応する前記電極板に対し、前記溝状部または前記切込部を形成することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の捲回型電池の製造方法。
【請求項7】
前記加工工程は、前記扁平体における所定の曲率半径以下となる部位に対応する前記電極板に対し、前記溝状部または前記切込部を形成することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の捲回型電池の製造方法。
【請求項8】
前記加工工程は、前記溝状部または前記切込部を不等間隔で形成することを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の捲回型電池の製造方法。
【請求項9】
前記加工工程は、前記扁平体の屈曲部にかかる曲率半径に基づいて前記溝状部または前記切込部を形成する間隔を変化させることを特徴とする請求項8に記載の捲回型電池の製造方法。
【請求項10】
前記加工工程は、前記扁平体の屈曲部にかかる中心点から放射状に伸ばした仮想線と前記電極板とが交差する位置の前記電極板に対し、前記溝状部または前記切込部に形成することを特徴とする請求項8または9に記載の捲回型電池の製造方法。
【請求項11】
前記加工工程は、断面がV字形状の前記溝状部を形成することを特徴とする請求項3から10のいずれか一項に記載の捲回型電池の製造方法。
【請求項12】
前記加工工程は、前記V字形状をなす角度および深さのうちで一方または双方が内周側から外周側に向かって小さくなるように前記溝状部を形成することを特徴とする請求項11に記載の捲回型電池の製造方法。
【請求項13】
それぞれが帯状の集電体上に電極活物質層を形成した正極板および負極板と、前記正極板と前記負極板との間に介在させる絶縁性のセパレータとを備える捲回型電池を製造する捲回型電池の製造装置において、
前記正極板,前記負極板および前記セパレータを積層して捲回する捲回手段と、
前記捲回手段によって形成される捲回体を扁平状にプレスする扁平プレス手段と、
前記捲回手段よりも前に行われ、前記正極板および前記負極板のうちで一方または双方の電極板に対し、前記扁平プレス手段によって形成される扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって内周面側の短辺方向に沿って溝状の溝状部を形成する内周面側加工手段と、前記扁平プレス手段によって形成される扁平体の屈曲部となる部位の前記電極活物質層であって外周面側の短辺方向に沿って切り込む切込部または前記溝状部を形成する外周面側加工手段とのうちで一方または双方の加工手段と、
を有することを特徴とする捲回型電池の製造装置。
【請求項14】
前記溝状部または前記切込部の形成に伴って生じる加工屑を除去する加工屑除去手段を有することを特徴とする請求項13に記載の捲回型電池の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−174579(P2012−174579A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36892(P2011−36892)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】