説明

排ガス処理装置

【課題】洗浄水を再利用するための急速ろ過塔や活性炭吸着塔を長寿命化でき、水スクラバーで使用した洗浄水を急速ろ過塔や活性炭吸着塔で再生して低コストで再利用できる排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】この排ガス処理装置によれば、分離槽35で分離した多くのナノバブルを含有した洗浄水を活性炭吸着塔40に導入することで、マイクロバブルと比較的多くのナノバブルに起因するフリーラジカルによる酸化力でもって、活性炭表面に付着した有機物を酸化分解処理できる。また、活性炭に繁殖した微生物を活性化して、活性炭が吸着した有機物を活性化した微生物で有機物を分解処理できる。よって、活性炭の寿命が延長され、活性炭が再生された状態とすることができ、低いコストで活性炭吸着塔の性能を回復でき、活性炭吸着塔40で再生処理された水質の良いナノバブル含有洗浄水を水スクラバー4で再利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排ガス処理装置に関し、一例として、揮発性有機化合物(VOC)を含有する排ガスを主な処理対象としており、水スクラバーである排ガス処理部と水スクラバーで使用された洗浄水を処理して再度利用するための洗浄水処理部とを備えている排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、揮発性有機化合物(VOC)を含有する排ガスは、燃焼法等エネルギーを多量消費する方法で処理され、常温での処理は稀であった。
【0003】
また、従来より、揮発性有機化合物(VOC)を含有する排ガスを対象とした水スクラバーから構成される排ガス処理装置は存在しているが、その水スクラバーで使用した洗浄水は、再び水スクラバーへ再利用はされていなかった。
【0004】
その理由としては、洗浄水を再利用すると、水スクラバーでの揮発性有機化合物(VOC)の除去性能が大幅に低下することと、上記洗浄水を短時間で処理できる処理設備が存在しなかったためである。
【0005】
また、揮発性有機化合物(VOC)に対応する水スクラバーの洗浄水を処理可能と考えられる急速ろ過塔や活性炭吸着塔は、従来から存在したが、急速ろ過塔や活性炭吸着塔は、水スクラバーの洗浄水全量を処理するためには、設備が大規模となる。しかも、揮発性有機化合物(VOC)が水に溶解して発生する浮遊物質汚泥や微生物汚泥などの浮遊物質で、急速ろ過塔や活性炭吸着塔が短時間で閉塞していた。そして、急速ろ過塔や活性炭吸着塔を工業用水等で逆洗浄したとしても、性能を完全に回復することができない状況であった。また、その時に発生する逆洗排水は、汚染程度が高いので、再利用することなく、排水処理場に排水していた。
【0006】
ここで、急速ろ過塔や活性炭吸着塔をマイクロナノバブル含有水で効率よく逆洗浄して、性能を回復させることも考えられるが、ナノバブルを比較的多く含有するマイクロナノバブル水を製造するマイクロナノバブル発生装置は、イニシャルコストが高い内容であった。このようなナノバブルを比較的多く含有するマイクロナノバブル水を製造するマイクロナノバブル発生装置は、2006年に株式会社協和機設から販売が開始された(特許文献1(特許第4118939号公報(発明の名称 微細気泡発生装置)参照)。
【0007】
また、特許文献2(特開2004−121962号公報)には、従来技術としてのナノバブルの利用方法および装置が開示されている。この技術は、ナノバブルが有する浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極の実現による界面活性作用と殺菌作用などの特性を活用したものである。より具体的には、それらが相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能によって各種物体を高機能、低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができることを開示している。
【0008】
また、特許文献3(特開2003−334548号公報)には、従来技術としてのナノ気泡の生成方法が開示されている。この技術は、液体中において、(1)液体の一部を分解ガス化する工程、(2)液体中で超音波を印加する工程または、(3)液体の一部を分解ガス化する工程および超音波を印加する工程から構成されていることを開示している。
【0009】
また、特許文献4(特開2004−321959号公報)では、従来技術としてのオゾンマイクロバブルを利用する廃液の処理装置が開示されている。この技術では、マイクロバブル発生装置にオゾン発生装置より生成されたオゾンガスと処理槽の下部から抜き出された廃液を加圧ポンプを介して供給している。また、生成されたオゾンマイクロバブルをガス吹き出しパイプの開口部より処理槽内の廃液中に通気することを開示している。
【0010】
ところで、揮発性有機化合物(VOC)の処理は、燃焼法等エネルギーを多量消費する方法が一般的なので、省エネルギーでなく、かつ経済的に処理できない課題がある。解り易く言えば、クローズドシステムで排水を排出することなく、揮発性有機化合物(VOC)含有排ガスを常温で効率的に処理できない課題がある。
【0011】
また、揮発性有機化合物(VOC)対策用水スクラバーも考えられるが、洗浄水の使用量が多く、洗浄水の再利用ができない課題がある。すなわち、水スクラバーから構成される排ガス処理装置の洗浄水をコンパクトな処理設備で、再使用できるまでの水質に処理できる水処理設備を含む排ガス処理装置が存在しない課題がある。
【0012】
また、水スクラバーで使用した洗浄水は、浮遊物質や有機物を含有しているので、急速ろ過塔や活性炭吸着塔を洗浄水処理部とすることが考えられる。
【0013】
しかし、洗浄水である被処理水中の浮遊物質による急速ろ過塔の閉塞、洗浄水である被処理水中の有機物による活性炭吸着塔の短時間での破過の課題が存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第4118939号公報
【特許文献2】特開2004−121962号公報
【特許文献3】特開2003−334548号公報
【特許文献4】特開2004−321959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、この発明の課題は、洗浄水を再利用するための急速ろ過塔や活性炭吸着塔を長寿命化でき、水スクラバーで使用した洗浄水を急速ろ過塔や活性炭吸着塔で再生して低コストで再利用できる排ガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、この発明の排ガス処理装置は、導入された排ガスに洗浄水を散水する上部散水部とこの上部散水部から落下してきた洗浄水を溜める下部水槽とを有する水スクラバーと、
上記下部水槽からの洗浄水が導入される急速ろ過塔と、
上記急速ろ過塔でろ過した洗浄水が導入されてマイクロナノバブルを含有した洗浄水を作製するマイクロナノバブル発生部と、
上記マイクロナノバブル発生部から上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水が導入されると共に上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を、上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水よりもナノバブルに対するマイクロバブルの含有割合が多いマイクロバブル含有洗浄水と上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水よりもマイクロバブルに対するナノバブルの含有割合が多いナノバブル含有洗浄水とに分離する分離槽と、
上記分離槽からの上記ナノバブル含有洗浄水が導入される活性炭吸着塔と、
上記活性炭吸着塔からのナノバブル含有洗浄水を上記水スクラバーの上部散水部に供給する洗浄水供給部とを備えることを特徴としている。
【0017】
この発明の排ガス処理装置によれば、分離槽で分離した多くのナノバブルを含有した洗浄水を活性炭吸着塔に導入することで、マイクロバブルと比較的多くのナノバブルに起因するフリーラジカルによる酸化力でもって、活性炭表面に付着した有機物を酸化分解処理できる。また、活性炭に繁殖した微生物を活性化して、活性炭が吸着した有機物を活性化した微生物で有機物を分解処理できる。これらにより、活性炭の寿命が延長され、活性炭が再生された状態とすることができ、従来の活性炭の再生の方式のように、活性炭吸着塔から取り出して別の場所で蒸気による再生の必要性がなくなり、低いコストで活性炭吸着塔の性能を回復できる。
【0018】
よって、この活性炭吸着塔で再生処理された水質の良いナノバブル含有洗浄水を水スクラバーの上部散水部から散水させて排ガス処理における対象成分の除去率を高めることができる。
【0019】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記マイクロナノバブル発生部から上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を上記活性炭吸着塔に導入して逆洗する第1の逆洗部を備える。
【0020】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、被処理水としての洗浄水中の浮遊物質等により圧力損失が増大した活性炭吸着塔をマイクロバブルとナノバブルの混合水で逆洗浄することによって、上記活性炭吸着塔の活性炭を効率よく容易に逆洗浄できる。上記マイクロバブルの気泡径は比較的大きいので、活性炭同士を撹拌しながら洗浄できる。また、活性炭吸着塔の逆洗をマイクロバブル含有水とナノバブル含有水で実施するので、マイクロバブルとナノバブルに起因するフリーラジカルの酸化力で活性炭の表面を確実に洗浄できる。
【0021】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記分離槽からの上記マイクロバブル含有洗浄水を上記急速ろ過塔に導入して逆洗する第2の逆洗部を備える。
【0022】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記マイクロバブル含有洗浄水が有するマイクロバブルによるフリーラジカルの酸化力でもって上記急速ろ過塔のろ材を酸化しながら洗浄できる。よって、上記ろ材をより確実に洗浄でき、ろ材のろ過性能を回復させて本来のろ過性能を発揮することが可能となる。また、マイクロバブルは、ナノバブルと比較してバブルサイズが大きいので、ろ材中をマイクロバブル含有水で洗浄する場合、マイクロバブルの撹拌によってろ材をほぐしながら逆洗浄できる。また、マイクロバブルが有する微生物活性化作用により、ろ材表面に付着した有機物を微生物学的に処理できる。
【0023】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記マイクロナノバブル発生部から上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を上記急速ろ過塔に導入して逆洗する第3の逆洗部を備える。
【0024】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記マイクロナノバブル含有洗浄水によるマイクロバブル含有水とナノバブル含有水の混合物でもって、急速ろ過塔が逆洗される。よって、特に、急速ろ過塔のろ材が浮遊物質等の有機物で汚染されている場合は、ナノバブルによるフリーラジカル起因の酸化力で上記浮遊物質等の有機物を酸化分解できる。また、ナノバブルよりもバブルサイズの大きいマイクロバブルによってろ材をほぐすことができ、ろ材をほぐしながらろ材の洗浄をより確実に行うことができる。
【0025】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記分離槽は、
導入されたマイクロナノバブル含有洗浄水を、マイクロバブル含有洗浄水とナノバブル含有洗浄水との比重差を利用して上記マイクロバブル含有洗浄水と上記ナノバブル含有洗浄水とに分離する。
【0026】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、マイクロバブル含有水とナノバブル含有水との間には比重差があるので、上記比重差を利用する分離槽でマイクロバブルとナノバブルとを円滑に分離することができ、分離したマイクロバブルとナノバブルとをそれぞれ有効利用できる。
【0027】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記分離槽は、
上記マイクロバブル含有洗浄水と上記ナノバブル含有洗浄水とに分離するための仕切板を有する。
【0028】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、マイクロバブル含有洗浄水とナノバブル含有洗浄水との間には比重差があるので、上記分離槽に設置してある仕切り板でマイクロバブルとナノバブルとを円滑に分離できる。すなわち、マイクロバブル含有水は比重が小さいので、仕切り板の上方に移動し易い一方、ナノバブル含有水は比重が1に近いので、仕切り板の下方に移動し易い。よって、この比重差を利用してマイクロバブルとナノバブルとを容易に分離して、それぞれを有効利用することが可能になる。
【0029】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記仕切板の形状がY字形状である。
【0030】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記Y字形状の仕切板によって、マイクロバブルとナノバブルとを円滑に分離ができ、マイクロバブルとナノバブルとをそれぞれ有効利用できる。すなわち、マイクロバブル含有水は比重が小さいのでY字形状の仕切り板の上方に移動し、ナノバブル含有水は比重が1に近いので、Y字形状の仕切り板の下方に移動するので、両者を容易に分離できる。また、上記仕切り板がY字形状であるので、分離したマイクロバブルとナノバブルとが、分離槽内に流入した洗浄水の撹拌水流によって混合,撹拌されることを回避できる。よって、マイクロバブルをY字形状の仕切り板の上方に確実に移動させ、ナノバブルをY字形状の仕切板の下方に確実に移動させて、両者を確実に分離できる。
【0031】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記仕切板の形状がT字形状である。
【0032】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記T字形状の仕切板によって、マイクロバブルとナノバブルとを円滑に分離ができ、マイクロバブルとナノバブルとをそれぞれ有効利用できる。すなわち、マイクロバブル含有水は比重が小さいことからT字形状の仕切り板の上方に移動し、ナノバブル含有水は比重が1に近いことからT字形状の仕切り板の下方に移動するので、両者を容易に分離できる。また、上記仕切り板がT字形状であるので、分離したマイクロバブルとナノバブルとが、分離槽内に流入した洗浄水の撹拌水流によって混合,撹拌されることを回避できる。よって、マイクロバブルをT字形状の仕切り板の上方に確実に移動させ、ナノバブルをT字形状の仕切板の下方に確実に移動させて、両者を確実に分離できる。
【0033】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記マイクロナノバブル発生部は、
上記急速ろ過塔からの洗浄水が導入される気液混合循環ポンプと、
上記気液混合循環ポンプに付属していると共に上記洗浄水にマイクロバブルを発生させる第1気体せん断部と、
上記第1気体せん断部から上記マイクロバブルを含有した洗浄水が導入されると共に上記マイクロバブルをせん断してナノバブルを発生させる第2気体せん断部と、
上記第2気体せん断部から上記マイクロバブルとナノバブルを含有した洗浄水が導入されると共に上記マイクロバブルをせん断してナノバブルをさらに発生させる第3気体せん断部とを有する。
【0034】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記マイクロナノバブル発生部は、上記急速ろ過塔からの洗浄水を、第1,第2,第3気体せん断部に順次導入することで3段階の気体せん断を行って多量のナノバブルを製造できる。
【0035】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記マイクロナノバブル発生部は、上記第3気体せん断部からのマイクロナノバブル含有洗浄水が導入されるように連結された少なくとも1段の気体せん断部をさらに有する。
【0036】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、3段を上回る段数の気体せん断部によってナノバブルを発生させるので、よりサイズの小さいナノバブルを発生させることができる。すなわち、気体と液体の混合物を4段階以上で何回もせん断することで、多量のナノバブルを作製できる。
【0037】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水供給部は、上記活性炭吸着塔からのナノバブル含有洗浄水が導入される処理槽と、
上記処理槽に設置されて上記処理槽内の洗浄水のTOCを計測するTOC計とを有し、
さらに、上記TOC計が計測したTOC値を表す信号が入力されると共にこの入力された信号が表すTOC値が設定値よりも高い場合は、上記第1から第3の逆洗部のうちの少なくとも1つによって逆洗を行わせる一方、上記入力された信号が表すTOC値が上記設定値以下の場合は、上記逆洗を行わないように、上記第1から第3の逆洗部のうちの少なくとも1つの逆洗部を制御する制御部を備えた。
【0038】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記処理槽内の洗浄水のTOC濃度が設定値を越えた場合に、第1の逆洗部によって、上記マイクロナノバブル発生部からの上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を活性炭吸着塔に導入して逆洗できる。また、上記処理槽内の洗浄水のTOC濃度が設定値を越えた場合に、第2の逆洗部によって、上記分離槽からの上記マイクロバブル含有洗浄水を急速ろ過塔に導入して逆洗できる。また、上記処理槽内の洗浄水のTOC濃度が設定値を越えた場合に、第3の逆洗部によって、上記マイクロナノバブル発生部から上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を上記急速ろ過塔に導入して逆洗できる。これらの逆洗により、急速ろ過塔のろ材の逆洗洗浄や活性炭吸着塔の活性炭の逆洗洗浄でもって、ろ材,活性炭を確実に洗浄して、急速ろ過塔,活性炭吸着塔の性能を向上できる。よって、処理槽内の洗浄水のTOC濃度に関係する水質を向上でき、処理槽内の洗浄水のTOC濃度を目的濃度とすることができる。
【0039】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記洗浄水供給部は、上記活性炭吸着塔からのナノバブル含有洗浄水が導入される処理槽と、
上記処理槽に設置されて上記処理槽内の洗浄水のCODを計測するCOD計とを有し、
さらに、上記COD計が計測したCOD値を表す信号が入力されると共にこの入力された信号が表すCOD値が設定値よりも高い場合は、上記第1から第3の逆洗部のうちの少なくとも1つによって逆洗を行わせる一方、上記入力された信号が表すCOD値が上記設定値以下の場合は、上記逆洗を行わないように、上記第1から第3の逆洗部のうちの少なくとも1つの逆洗部を制御する制御部を備えた。
【0040】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記処理槽内の洗浄水のCOD濃度が設定値を越えた場合に、第1の逆洗部によって、上記マイクロナノバブル発生部からの上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を活性炭吸着塔に導入して逆洗できる。また、上記処理槽内の洗浄水のCOD濃度が設定値を越えた場合に、第2の逆洗部によって、上記分離槽からの上記マイクロバブル含有洗浄水を急速ろ過塔に導入して逆洗できる。また、上記処理槽内の洗浄水のCOD濃度が設定値を越えた場合に、第3の逆洗部によって、上記マイクロナノバブル発生部から上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を上記急速ろ過塔に導入して逆洗できる。これらの逆洗により、急速ろ過塔のろ材の逆洗洗浄や活性炭吸着塔の活性炭の逆洗洗浄でもって、ろ材,活性炭を確実に洗浄して、急速ろ過塔,活性炭吸着塔の性能を向上できる。よって、処理槽内の洗浄水のCOD濃度に関係する水質を向上でき、処理槽内の洗浄水のCOD濃度を目的濃度とすることができる。
【0041】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記第1の逆洗部は、上記活性炭吸着塔への順方向の通水を行いながら上記逆洗を行い、上記第2,第3の逆洗部は、上記急速ろ過塔への順方向の通水を行いながら上記逆洗を行う。
【0042】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、順方向の通水を行いながら活性炭吸着塔,急速ろ過塔の逆洗を行うので、順方向通水による活性炭吸着塔,急速ろ過塔の動作を停止させることなく、活性炭吸着塔,急速ろ過塔を逆洗できる。すなわち、活性炭吸着塔,急速ろ過塔の24時間連続通水が可能となり、活性炭吸着塔,急速ろ過塔の運転効率を高めることができる。また、通水しながら逆洗するので、逆洗中のマイクロバブル,ナノバブルで、活性炭吸着塔,急速ろ過塔内の微生物を活性化して処理効率を高めて処理水の水質を向上できる。したがって、洗浄水の水質が向上し、排ガス処理装置としての性能も向上する。
【0043】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記活性炭吸着塔は、活性炭の流出を防止するための2重のネットを有する。
【0044】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、吐出圧力の強い逆洗水が活性炭吸着塔の下部から流入してきたときに、逆洗水の吐出圧力を2重のネットで和らげて、活性炭が配管を通じて外部に流出することを防止できる。なお、ネットが1重の場合は、吐出圧力が強い逆洗水によってネットが破損することもある。これに対し、ネットが2重の場合は、メッシュサイズの異なる2重のネットを設置して、2つのネットの間に活性炭が入り、吐出圧力をネットとネットの間の活性炭層で和らげることも可能になる。
【0045】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記急速ろ過塔は、ろ材の流出を防止するための2重のネットを有する。
【0046】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、吐出圧力の強い逆洗浄水が急速ろ過塔に流入したときに、逆洗水の吐出圧力を2重のネットで和らげて、ろ材が外部に流出するのを防止できる。つまり、吐出圧力のある逆洗浄水の圧力をネットとネットの間のろ材層で和らげて、逆洗浄することができる。
【0047】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記活性炭吸着塔が有する2重のネットは、逆洗による水流の上流側のネットと上記逆洗による水流の下流側のネットとからなり、上記上流側のネットの網の目が上記下流側のネットの網の目よりも粗い。
【0048】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記下流側のネットと上流側のネットとの間に活性炭層が形成され易くなり、吐出圧力のある逆洗浄水の圧力をネットとネットの間の活性炭層で和らげて、活性炭の外部流出を防止できる。
【0049】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記急速ろ過塔が有する2重のネットは、逆洗による水流の上流側のネットと上記逆洗による水流の下流側のネットとを有し、上記上流側のネットの網の目が上記下流側のネットの網の目よりも粗い。
【0050】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、上記下流側のネットと上流側のネットとの間にろ材層が形成され易くなり、吐出圧力のある逆洗浄水の圧力をネットとネットの間のろ材層で和らげて、ろ材の外部流出を防止できる。
【0051】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記急速ろ過塔からの洗浄水が導入されると共に界面活性剤が添加されるポンプピットを備え、
上記マイクロナノバブル発生部は、上記ポンプピットからの洗浄水を吸い込んでマイクロナノバブルを含有した洗浄水を作製する。
【0052】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、ポンプピットに界面活性剤を添加するので、このポンプピットから界面活性剤を含んだ洗浄水を上記マイクロナノバブル発生部に導入して、多量のナノバブルを発生させることが可能となる。すなわち、上記マイクロバブル発生部は、ポンプピットからの界面活性剤を含んだ洗浄水を使用して、サイズが小さいナノバブルを多量に発生させることができる。
【0053】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記急速ろ過塔からの洗浄水が導入されると共に無機塩類が添加されるポンプピットを備え、
上記マイクロナノバブル発生部は、上記ポンプピットからの洗浄水を吸い込んでマイクロナノバブルを含有した洗浄水を作製する。
【0054】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、ポンプピットに無機塩類を添加するので、このポンプピットから無機塩類を含んだ洗浄水を上記マイクロナノバブル発生部に導入して、多量のナノバブルを発生させることが可能となる。すなわち、上記マイクロバブル発生部は、ポンプピットからの無機塩類を含んだ洗浄水を使用して、サイズが小さいナノバブルを多量に発生させることができる。
【0055】
また、一実施形態の排ガス処理装置では、上記制御部は、上記逆洗時に、上記第1の逆洗部による上記活性炭吸着塔の逆洗と、上記第2の逆洗部もしくは第3の逆洗部による上記急速ろ過塔の逆洗とを同時に行わせるように、上記第1から第3の逆洗部を制御する。
【0056】
この実施形態の排ガス処理装置によれば、逆洗時に、急速ろ過塔の逆洗と活性炭吸着塔の逆洗とを同時に行うので、処理槽の洗浄水の水質が悪化した場合に短時間で性能を回復させることができる。すなわち、急速ろ過塔と活性炭吸着塔が洗浄水中の浮遊物質等で汚染された場合は処理槽の水質が悪化するが、逆洗により急速ろ過塔と活性炭吸着塔の機能が正常に戻ると処理槽の洗浄水の水質は回復する。よって、急速ろ過塔と活性炭吸着塔の逆洗を同時にすることによって、処理槽の洗浄水の水質を早く回復できる利点がある。
【発明の効果】
【0057】
この発明の排ガス処理装置によれば、分離槽で分離した多くのナノバブルを含有した洗浄水を活性炭吸着塔に導入することで、マイクロバブルと比較的多くのナノバブルに起因するフリーラジカルによる酸化力でもって、活性炭表面に付着した有機物を酸化分解処理できる。また、活性炭に繁殖した微生物を活性化して、活性炭が吸着した有機物を活性化した微生物で有機物を分解処理できる。これらにより、活性炭の寿命が延長され、活性炭が再生された状態とすることができ、低いコストで活性炭吸着塔の性能を回復させながら、洗浄水中の有機物も除去して、活性炭吸着塔で再生処理された水質の良いナノバブル含有洗浄水を水スクラバーで再使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の排ガス処理装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】この発明の排ガス処理装置の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図3】この発明の排ガス処理装置の第3実施形態を模式的に示す図である。
【図4】この発明の排ガス処理装置の第4実施形態を模式的に示す図である。
【図5】この発明の排ガス処理装置の第5実施形態を模式的に示す図である。
【図6】この発明の排ガス処理装置の第6実施形態を模式的に示す図である。
【図7】この発明の排ガス処理装置の第7実施形態を模式的に示す図である。
【図8】この発明の排ガス処理装置の第8実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0060】
(第1の実施の形態)
図1は、この発明の排ガス処理装置の第1実施形態を示す図である。この第1実施形態の排ガス処理装置51は、大きくは、排ガス処理部49と洗浄水処理部50から構成されている。
【0061】
最初に、水スクラバーである排ガス処理部49について説明する。排ガス1は、排気ファン2により、排気ダクト71を通過して、排ガス処理部49に導入される。この排ガス処理部49は、縦方向(上下方向)で表現すれば、上部3と下部4から構成されている。
【0062】
この第1実施形態では、排ガス1の一例として、半導体工場での揮発性有機化合物(VOC)を含有する排ガスとした。より具体的には、半導体工場での揮発性有機化合物としては、イソプロピールアルコールが代表的成分である。イソプロピールアルコール以外の成分としてはアセトンや酢酸ブチルなどがある。
【0063】
排ガス処理部49は、大きくは、縦方向において排気ファン2を境に上部3と下部4とに分れており、上部3では、穴あき板10の上に合成樹脂製の充填材9が充填されている。また、下部4には、排ガスを洗浄した後の洗浄水が一時的に貯留されている。
【0064】
合成樹脂製の充填材9としては、具体的には、月島環境エンジニアリング株式会社のテラレットS−II型(商品名)を採用した。テラレット(商品名)は、洗浄水を利用する排ガス処理装置では広く採用されており、(1) 死面(気液の接触に寄与しない面)を形成しないので有効面積が大きい。(2) 線構造で空間率が大きいので、圧力損失が小さい。(3) 材質が合成樹脂であるので、軽量で化学的腐食や機械的衝撃に強い。
【0065】
合成樹脂製の充填材9は、排ガス処理部49の縦方向の観点から見て、中央部少し上付近に設置されている穴あき板13の上に充填され、排ガスと洗浄水との気液の接触が円滑にできるように配列されている。
【0066】
穴あき板10は、排ガスの全量が効率的に通過するだけの開口面積を有しているならば形状は限定しないが、丸形状が一般的である。排ガス1は、排気ファン2によって、排ガス処理部49の上部3に導入される。この排ガス1は、散水配管7に取り付けられた散水ノズル8から散水される水滴11によるシャワー水で洗浄され、排ガス1中の成分が気液の接触により水滴11に移行する。そして、この排ガス中の成分が移行した水滴11は、下部4に落下し、この下部4に一定時間だけ貯留された後、急速ろ過塔送水ポンプ14により、洗浄水処理部50の急速ろ過塔19に導入されて処理されることになる。また、排ガス処理部49の上部3で処理された排ガス1は、処理ガス5となって上部3の最上部の煙突6から排出される。
【0067】
上述したように、合成樹脂製の充填材9は、排ガス処理部49の上部3での気液の接触効率を増加させる。この充填材9により気液の接触効率が向上して排ガス処理部49での揮発性有機化合物(VOC)の除去率が向上される。また、上部3の散水配管7から散水される洗浄水は、処理槽46での処理水(洗浄水)が洗浄水ポンプ47で洗浄水配管48を経由して供給されたものである。この処理槽46での処理水は、上記活性炭吸着塔40により既に処理された後の洗浄水であるので、水質的には洗浄水に適合する水質の処理水である。
【0068】
そして、前に戻るが、この第1実施形態では、排ガス1中の成分がイソプロピールアルコールであり、イソプロピールアルコールは水溶性であることから気液の接触により容易に水滴11中に移行して、排ガス処理部49の下部4に貯留されることになる。この下部4に貯留されたイソプロピールアルコール含有洗浄水(被処理水)は、電動バルブ17と電動バルブ21とが開で電動バルブ18と電動バルブ36とが閉の条件において、急速ろ過塔送水ポンプ14によって吸い込み配管13から吸い込まれて水配管15を経由して、急速ろ過塔19に導入される。
【0069】
次に、洗浄水処理部50について詳細に説明する。この洗浄水処理部50は、大きくは、急速ろ過塔19と、ポンプピット23と、マイクロナノバブル発生装置67と、分離槽35と、活性炭吸着塔40と、処理槽46とから構成されている。そして、マイクロナノバブル発生部としてのマイクロナノバブル発生装置67は、第1気体せん断部27が付属している気液混合循環ポンプ26と第2気体せん断部30と第3気体せん断部32とから構成されている。
【0070】
そして、上述したように、電動バルブ17と電動バルブ21が開で、電動バルブ18と電動バルブ36が閉の条件で、イソプロピールアルコールを含有した洗浄水(被処理水)は、急速ろ過塔送水ポンプ14により吸い込み配管13と水配管15を通って急速ろ過塔19に移送され、被処理水中の浮遊物質が物理的にろ過される。この急速ろ過塔19には、ろ材として石炭を原料として製造されるアンスラサイトを充填した。被処理水中にマイクロナノバブルが存在していると、ろ材であるアンスラサイトが、急速ろ過塔19内部で塊を形成しにくくなる。すなわち、急速ろ過塔19内部でアンスラサイトが閉塞しにくくなる。この現象は、マイクロナノバブルが持つ洗浄効果によるものである。
【0071】
上記急速ろ過塔19を出た被処理水は、被処理水中の浮遊物質が除去されて、処理水配管20を通って、次に、ポンプピット23に導入される。このポンプピット23は、外部にマイクロナノバブル発生装置67が設置されている。そして、マイクロナノバブル発生装置67の吸い込み配管25が、ポンプピット23の内部まで入り込んだ状態で設置されている。このマイクロナノバブル発生装置67に付属している気液混合循環ポンプ26の気体せん断部27には空気配管29が接続されており、この空気配管29には微量の空気を定量的に導入するためのニードルバルブ28が付属している。このニードルバルブ28は、自動で制御するために電動バルブとすることも当然可能である。
【0072】
次に、洗浄水処理部50が有する重要な機器の1つであるナノバブル発生機装置67のメカニズムを詳細に説明する。
【0073】
このマイクロナノバブル発生装置67は、上述したように、気液混合循環ポンプ26、第1気体せん断部27、第2気体せん断部30、第3気体せん断部32、ニードルバルブ28とそれらを連結する配管31等から構成されている。このマイクロナノバブル発生装置67において、ナノバブルは、大きくは、第1段階と第2段階を経て、製造される。
【0074】
先ず、第1段階について簡単に説明する。第1気体せん断部27において、流体力学的に圧力を制御して負圧形成部分から気体を吸入し、高速流体運動させて負圧部を形成し、マイクロバブルを発生させる。より解り易く簡単に説明すると、水と空気を効果的に自給,混合,溶解し、圧送することにより、マイクロバブル白濁水を製造することが、第1段階である。続いて、第2段階について、簡単に説明する。上記マイクロバブル白濁水を水配管31を通じて第2気体せん断部30と第3気体せん断部32に導入し、第2気体せん断部30と第3気体せん断部32において高速流体運動させて、負圧部を形成する。これにより、発生させたマイクロバブルを流体運動させてせん断することによって、マイクロバブルからナノバブルを発生させることとなる。ここで、特に、マイクロナノバブル発生装置67が第3気体せん断部32を有していることによって、発生させるナノバブルの個数が多くなる結果、ナノバブル含有洗浄水による酸化力も強力となる。
【0075】
以下に、第1段階と第2段階をより詳細に説明する。
【0076】
(第1段階)
マイクロナノバブル発生装置67で使用している気液混合循環ポンプ26は、揚程40m以上(すなわち、4kg/cmの高圧)の高揚程のポンプである。すなわち、第1気体せん断部27を有する気液混合循環ポンプ26は、高揚程のポンプであることを要し、かつ、トルクが安定している2ポールのものを選定することが必要である。ポンプには、2ポールと4ポールがあり、4ポールのポンプに比べて、2ポールのポンプの方がトルクが安定している。
【0077】
また、気液混合循環ポンプ26をなす高揚程のポンプは、圧力の制御が必要で、この高揚程のポンプの回転数を回転数制御器(一般的にはインバーターと呼ばれている)で制御して目的にあった圧力としている。よって、気液混合循環ポンプ26は、目的にあった圧力で、バブルサイズが纏まったマイクロバブルを製造することができる。
【0078】
ここで、気液混合循環ポンプ26に付属した第1気体せん断部27のマイクロバブル発生のメカニズムを述べる。第1気体せん断部27において、マイクロバブルを発生させるために、液体および気体の混相旋回流を発生させ、第1気体せん断部27の中心部に高速旋回させる気体空洞部を形成させる。次に、この気体空洞部を圧力で竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。この気体空洞部に、気体としての空気をマイナス圧(負圧)を利用して自動的に供給させ、さらに、切断,粉砕しながら混相流を回転する。なお、この実施形態では、上記気体を単に空気としたが、目的によって、他の気体(オゾン,炭酸ガス,窒素ガス,酸素ガス)を選定する場合もある。
【0079】
上記切断,粉砕は、装置出口付近における内外の気液二相流体の旋回速度差により起きる。その時の回転速度は、500〜600回転/秒である。すなわち、第1気体せん断部27において、流体力学的に圧力を制御することで、負圧形成部分から気体を吸入し、高揚程ポンプで高速流体運動させて、負圧部を形成し、マイクロバブルを発生させる。より解り易く簡単に説明すると、高揚程ポンプで水と空気を効果的に自給,混合,溶解し、圧送することにより、マイクロバブル白濁水を製造することが、第1段階である。
【0080】
なお、気液混合循環ポンプ26の運転は、シーケンサー(図示せず)からの制御信号により制御している。また、上記第1気体せん断部27の内部形状は、楕円形、もしくは、最大の効果がある形状としては、真円形であり、さらに内部摩擦を小さくするために鏡面仕上げとしている。また、流体の旋回乱流を制御するために、第1気体せん断部27の内部に溝深さ0.3mm〜0.6mmで溝幅0.8mm以内の溝を設けている。
【0081】
次に、この第1段階での高揚程ポンプでの高速流体運動について説明する。第1気体せん断部27において、マイクロバブルを発生させるために、まず、ポンプのインペラと呼ばれている羽を超高速で回転させて、液体および気体の混相旋回流を発生させ、第1気体せん断部27の中心部に高速旋回する気体空洞部を形成させる。これが、高速流体運動となる。次に、この高速旋回する気体空洞部を圧力で竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。この気体空洞部に気体としての空気を自給させる。なお、この気体としては、オゾン,炭酸ガス,窒素ガス,酸素ガスの場合もある。
【0082】
さらに、上記気体空洞部を切断,粉砕させながら混相流を回転する。この切断,粉砕は、装置出口付近における内外の気液二相流体の旋回速度差により起きる。その時の回転速度は、500〜600回転/秒であることが判明している。なお、第1気体せん断部27を構成する金属の厚みが薄いと、気液混合循環ポンプ26を運転することにより、振動が発生し、流体運動エネルギーが、振動として外部に伝播して逃げ、そのことが、必要な高速流動運動すなわち、高速旋回とせん断エネルギーを低下させる。よって、第1気体せん断部27を構成する金属の厚みは6mm〜12mmの範囲が好ましい。
【0083】
(第2段階)
気液混合循環ポンプ26は、第1気体せん断部27で発生させたマイクロバブルを、水配管31を通じて第2気体せん断部30に圧送する。この際、第2気体せん断部30と第3気体せん断部32においては、前述の第1段階の後、さらに、配管サイズを細くして、かつ高速流体運動させて、気体空洞部を竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。これによって、マイクロバブルからナノバブルが発生すると同時に、超高温の極限反応場が形成される。
【0084】
マイクロナノバブル発生装置67が、第2気体せん断部30と第3気体せん断部32を備えている理由は、1段階の気体せん断部とするよりも3段階の気体せん断部とする方が、ナノバブル量が多量でしかも酸化力が強力であるからである。すなわち、ナノバブルによって超高温の極限反応場が形成されると、局部的に高温高圧状態となり、不安定なフリーラジカル(別名:ラジカル)ができ、同時に熱を発生する。なお、第2気体せん断部30と第3気体せん断部32はステンレス製が一般的である、その内部形状は楕円形、好ましくは真円形である。また、第2気体せん断部30と第3気体せん断部32には、小孔が開いているが、その吐出口径は、4mm〜9mmが最適である。
【0085】
次に、第2,第3気体せん断部30,32において発生させたマイクロバブルを「流体運動させてせん断すること」について説明する。第1気体せん断部27を有する気液混合循環ポンプ26で発生させたマイクロバブルを、第2気体せん断部30と第3気体せん断部32に水配管を通じて圧送する。この際、第2気体せん断部30と第3気体せん断部32においては、前述した第1段階の後さらに、配管サイズを細くして、かつ高速流体運動させて竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。
【0086】
次に、「負圧形成部分」について説明する。前述の第1気体せん断部27での「負圧形成部分」とは、装置出口付近における内外の気液二相流体の旋回速度差により発生する。上述したように、回転速度は、500〜600回転/秒である。次に、「負圧部」について説明する。前述の第2気体せん断部30と第3気体せん断部32において高速流体運動させて形成する「負圧部」とは、気体,液体混合物中で、周りと比較して圧力が小さな領域を意味する。
【0087】
以上が、マイクロナノバブル発生装置67でのナノバブル発生のメカニズムである。
【0088】
そして、電動バルブ34が開であり、電動バルブ45が開であり、電動バルブ33が閉であり、電動バルブ41が閉であるという条件下で、上記マイクロナノバブル発生装置67から分離槽35に、マイクロバブルとナノバブルの混合物を含んでいるマイクロナノバブル水が導入される。
【0089】
この分離槽35は、圧力と腐蝕対策のためにステンレス製とした。すなわち、気液混合循環ポンプ26の吐出圧が高いことと、ナノバブルとマイクロバブルとに由来するフリーラジカルの酸化力でもって材料金属を腐蝕させないために、分離槽35をステンレス製とした。ステンレス製の分離槽35ならば、高圧にも酸化力にも対応可能である。
【0090】
この第1実施形態では、上記分離槽35の内部には、仕切板としてのY字型分離板37が設置されている。このY字型分離板37は、マイクロバブル含有水とナノバブル含有水との比重差によって、マイクロバブルは分離槽35の上方に移動する一方でナノバブルは浮力が少ないことから分離槽35の下方に移動することに着目してマイクロバブルとナノバブルとを分離するために設置されている。この分離槽35では、電動バルブ34を通って導入されたマイクロナノバブルのうちのマイクロバブルは、分離槽35の内壁とY字型分離板37との間の狭くなった間隙において、マイクロバブル同士が接触して大きくなり、浮上して逆洗水配管22に導入される。その結果、マイクロバブルがナノバブル水配管39から吸い込まれる可能性を実質的になくすることができる。これにより、マイクロバブルとナノバブルを分離できる。
【0091】
なお、この実施形態では、一例としてY字型分離板37をステンレス製とした。また、上記Y字型分離板37に替えてT字形状の分離板を採用してもよい。
【0092】
上記Y字型分離板37で分離されたマイクロバブルは一部が気泡38となり、分離槽35の外壁とY字型分離板37の上方の隙間に集まって通過し、逆洗水配管22に流入する。一方、ナノバブルは、分離槽35の外壁とY字型分離板37の下方の隙間を通過し、ナノバブル水配管39に流入する。すなわち、ナノバブルを多量に含有する洗浄水は、ナノバブル水配管39を経て、活性炭吸着塔40に流入する。
【0093】
そして、上記急速ろ過塔19の逆洗は、電動バルブ18を開とし、電動バルブ17を閉とし、電動バルブ21を閉とした条件下で電動バルブ36を開いて行われる。これにより、分離槽35で分離されたマイクロバブル含有水を逆洗水配管22から急速ろ過塔19へ導入して逆洗水配管16を通して排出することで急速ろ過塔19の逆洗が行われる。上記電動バルブ18,36と逆洗排水配管16,22とが第2の逆洗部を構成している。
【0094】
上記逆洗において、上記急速ろ過塔19に導入されるマイクロバブル含有水はナノバブル含有水に比べて浮力が大きくマイクロバブルはナノバブルよりもバブルサイズが大きいから、急速ろ過塔19内を上昇する場合に、内部に充填されているろ材を撹拌しながら洗浄し上昇する。これにより、急速ろ過塔19内に充填されているろ材は、マイクロバブルが有する撹拌力と、マイクロバブルのフリーラジカルが有する酸化力でもって、効率的に洗浄されることになる。なお、この実施形態では、上述したように、上記ろ材の一例として、石炭を原料として製造されるアンスラサイトを採用した。また、急速ろ過塔19内の上部には、ろ過材流出防止用ネット68が設置され、逆洗時のろ材の流出を防止している。このネット68は二重になっている。よって、吐出圧力の強い逆洗水が急速ろ過塔19の下部から流入してきたときに、逆洗水の吐出圧力を2重のネット68で和らげて、ろ材が配管を通じて外部に流出することを防止できる。なお、上記二重のネット68を、逆洗による水流の上流側の目の粗いネットと上記逆洗による水流の下流側の目の細かいネットとで構成することが望ましい。この場合、上記下流側のネットと上流側のネットとの間にろ材層が形成され易くなり、吐出圧力のある逆洗浄水の圧力をネットとネットの間のろ材層で和らげて、ろ材の外部流出を防止できる。また、上記急速ろ過塔19での上記二重ネット68とろ材層との間の距離は一例として150mmとすることが好ましい。
【0095】
一方、上記分離槽35からナノバブル水配管39に導入されたナノバブル含有水(すなわちナノバブルを多量に含有する洗浄水)は、ナノバブル水配管39を通って活性炭吸着塔40に流入する。この活性炭吸着塔40には、クラレケミカル株式会社の活性炭であるクラレコールKWを一例として採用して充填した。このクラレコールKWは、一般水処理用として製造された石炭を原料とする粒状活性炭である。
【0096】
この排ガス処理装置51において、活性炭吸着塔40に洗浄水を通水して、通水期間を3ヶ月以上継続すると、上記活性炭に微生物が繁殖してくる。そして、分離槽35からのナノバブルを含む洗浄水すなわち被処理水が活性炭吸着塔40に連続的に流入する。これにより、活性炭に繁殖した微生物がナノバブルによって活性化して、活性炭が吸着した揮発性有機化合物が微生物学的に分解されることとなる。したがって、被処理水中の揮発性有機化合物の活性炭の吸着と活性化した微生物による分解が繰り返され、活性炭が、あたかも常に再生されているような状態となる。
【0097】
よって、揮発性有機化合物を含有していた被処理水としての洗浄水は、活性炭吸着塔40で上記した内容で処理されて、処理水配管44を通って処理槽46に流入する。この処理槽46には、洗浄水ポンプ47が設置されており、処理後の洗浄水を洗浄水配管48を経由して、排ガス処理部49の上部3の散水配管7の散水ノズル8から散水する。
【0098】
一方、活性炭吸着塔40の逆洗は、電動バルブ34と電動バルブ45とを閉とすると共に電動バルブ33と電動バルブ41とを開とする条件下で、マイクロナノバブル発生装置67を運転させることで行われる。この逆洗は、マイクロバブルとナノバブルが混合されたマイクロナノバブル水が逆洗水配管43と処理水配管44とを通って活性炭吸着塔40の下部から導入されることによって行われる。この活性炭吸着塔40の逆洗では、マイクロナノバブル水のマイクロバブルは活性炭吸着塔40内の活性炭を流動させ空気撹拌するのに有効である一方、マイクロナノバブル水のナノバブルは活性炭に繁殖した微生物を活性化するに止まらず、ナノバブルが有する強力なフリーラジカルの酸化性によって被処理水を酸化処理することができる。その結果、活性炭吸着塔40の活性炭に対する逆洗効率が向上する。解り易く言えば、逆洗で活性炭の汚れが確実に洗浄され、活性炭の吸着機能が回復することとなる。上記電動バルブ33,逆洗水配管43,逆洗排水配管42と電動バルブ41が第1の逆洗部を構成している。
【0099】
また、この実施形態では、上記活性炭吸着塔40は、活性炭の流出を防止するための2重のネット69を有する。よって、吐出圧力の強い逆洗水が活性炭吸着塔40の下部から流入してきたときに、逆洗水の吐出圧力を2重のネット69で和らげて、活性炭が配管を通じて外部に流出することを防止できる。また、上記活性炭吸着塔40が有する2重のネット69は、逆洗による水流の上流側のネットと上記逆洗による水流の下流側のネットとからなり、上記上流側のネットの網の目が上記下流側のネットの網の目よりも粗い。これにより、上記下流側のネットと上流側のネットとの間に活性炭層が形成され易くなり、吐出圧力のある逆洗浄水の圧力をネットとネットの間の活性炭層で和らげて、活性炭の外部流出を防止できる。また、上記活性炭吸着塔40での上記二重ネット69と活性炭層との間の距離は一例として200mmとすることが好ましい。
【0100】
なお、急速ろ過塔19での逆洗水と活性炭吸着塔40の逆洗水は、それぞれの逆洗配管(逆洗水配管16と逆洗水配管42)を経由して別の場所に設置してある排水処理設備で処理される。この排水処理設備で処理された処理水は、ポンプピット23や処理槽46に戻して再使用することもできるし、また放流することもできる。要するに排水処理設備の水質上の処理能力によって、再利用するか、放流するかが決定される。
【0101】
以上のごとく、本実施形態の排ガス処理装置51によれば、マイクロナノバブル発生装置67によりマイクロバブルとナノバブルの混合物を製造し、製造したマイクロバブルとナノバブルの混合物を分離槽35でマイクロバブルとナノバブルに分離し、分離したマイクロバブルを含有する洗浄水は、急速ろ過塔19の逆洗水として利用すると共に分離したナノバブルを含有する洗浄水は活性炭吸着塔40に導入する。そして、このナノバブル含有洗浄水は、活性炭吸着塔40に繁殖している微生物を活性化し、活性化した微生物により活性炭が吸着している揮発性有機化合物(VOC)由来の有機物を微生物分解する。これにより、活性炭を自動的に生物学的に再生できる全体システムとしての排ガス処理装置51を構築している。
【0102】
したがって、この実施形態の排ガス処理装置51によれば、排ガス処理部49で散水配管7から多量にナノバブルを含有した洗浄水を散水して排ガス処理する。そして、気液接触により排ガスを洗浄した使用後の洗浄水は洗浄水処理部50において急速ろ過塔19で浮遊物質が除去されてからマイクロナノバブル発生装置67でナノバブルが供給され活性炭吸着塔40で揮発性有機化合物が吸着,分解される。そして、再度、ナノバブルを多量に含有した再生された洗浄水として排ガス処理部49の散水配管7から散水できる。この洗浄水の散水と再生の繰り返し工程により、洗浄水のリサイクルシステムが完成する。
【0103】
ここで、各バブルについて説明する。
【0104】
(i) 通常のバブル(気泡)は水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅する。
【0105】
(ii) マイクロバブルは、その発生時において、直径が10〜数10μmの気泡径を有する気泡で、発生後に収縮運動により、マイクロナノバブルに変化する。
【0106】
(iii) ナノバブルは、数100nm以下の直径を有する気泡である。
【0107】
(iv) マイクロナノバブルは、10μmから数100nm前後の直径を有する気泡で、マイクロバブルとナノバブルの混合物と説明できる。
【0108】
尚、この第1実施形態では、マイクロナノバブル発生装置67は第1,第2,第3の3段の気体せん断部を備えたが、4段以上の気体せん断部を備えてもよい。また、上記第1実施形態において、上記ポンプピット23に界面活性剤または無機塩類を添加してもよい。この場合、ポンプピット23から界面活性剤または無機塩類を含んだ洗浄水を上記マイクロナノバブル発生部67に導入して、多量のナノバブルを発生させることが可能となる。すなわち、上記マイクロバブル発生部67は、ポンプピット23からの界面活性剤または無機塩類を含んだ洗浄水を使用してサイズが小さいナノバブルを多量に発生させることができる。また、上記説明では、活性炭吸着塔40を逆洗するときに活性炭吸着塔40への順方向の通水を止めたが、活性炭吸着塔40への順方向への通水を行いながら活性炭吸着塔40の逆洗を行ってもよい。また、上記説明では、急速ろ過塔19を逆洗するときに急速ろ過塔19への順方向の通水を止めたが、急速ろ過塔19への順方向への通水を行いながら急速ろ過塔19の逆洗を行ってもよい。これらの場合、順方向の通水を行いながら活性炭吸着塔40,急速ろ過塔19の逆洗を行うので、順方向通水による活性炭吸着塔40,急速ろ過塔19の動作を停止させることなく、活性炭吸着塔40,急速ろ過塔19を逆洗できる。すなわち、活性炭吸着塔40,急速ろ過塔19の24時間連続通水が可能となり、活性炭吸着塔40,急速ろ過塔19の運転効率を高めることができる。また、通水しながら逆洗するので、逆洗水中のマイクロバブル,ナノバブルで活性炭吸着塔40,急速ろ過塔19内の微生物を活性化して処理効率を高めて処理水の水質を向上できる。したがって、洗浄水の水質が向上し、排ガス処理装置としての性能も向上する。
【0109】
(第2の実施の形態)
次に、図2に、この発明の排ガス処理装置の第2実施形態を示す。この第2実施形態は、前述の第1実施形態における排ガス処理部49の上部3に配置されている充填材9の一部を、活性炭54を収容した穴あき収容容器53に置き換えた点だけが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第2実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0110】
この第2実施形態では、排ガス処理部49の上部3において、穴あき板10上に充填材として前述の第1実施形態における充填材9と、活性炭54が収容された穴あき収容容器53とが交互に配置されている。よって、この実施形態では、排ガス中の揮発性有機化合物の処理に、活性炭を直接利用することができる。なお、ここで、充填材9は、前述の第1実施形態で説明したテラレット(商品名)を意味している。
【0111】
これにより、この第2実施形態では、排ガス処理部49の上部3において、充填材9により気液の接触の効率を良くできると共に、穴あき収容容器53の中の活性炭54により揮発性有機化合物を直接吸着処理ができることとなる。したがって、この第2実施形態では、排ガス処理装置51全体の視点からは、前述の第1実施形態に比べて活性炭量が増加するので、揮発性有機化合物の処理能力が向上することになる。
【0112】
なお、活性炭は、短時間で吸着能力が低下することも考えられるが、吸着能力が低下した後は、活性炭表面に繁殖した微生物により、排ガス1中の揮発性有機化合物を生物学的に処理することができる。すなわち、活性炭は、生物活性炭となって生物学的作用を示し、排ガス1中の揮発性有機化合物を生物学的に処理することができる。また、活性炭54としては、排ガス中の成分が水溶性の揮発性有機化合物である場合は、クラレケミカル株式会社の商品名クラレコール粒状活性炭で液相用KWを選定できる。また、排ガス中の成分が非水溶性の揮発性有機化合物の場合は、クラレケミカル株式会社のクラレコール粒状活性炭(商品名)で気相用でしかも溶剤回収用活性炭GSを選定することができる。
【0113】
(第3の実施の形態)
次に、図3にこの発明の排ガス処理装置の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、次の(i),(ii)の点だけが、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第3実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0114】
(i) 排ガス処理部49の下部4の水槽に、マイクロバブルを吐出させるマイクロバブル水吐出管56を設置した点。
【0115】
(ii) マイクロバブル水吐出管56から吐出したマイクロバブルにより浮上する汚泥を排出する浮上汚泥排出設備としての浮上汚泥抜出部58と、この浮上汚泥抜出部58からの浮上汚泥が排水される際に通過する浮上汚泥排水配管59とを設置した点。
【0116】
この第3実施形態では、下部4のマイクロバブル水吐出管56に接続したマイクロバブル水配管55に電動バルブ73が取付けられており、マイクロバブル水配管55は電動バルブ73と逆洗水配管22および電動バルブ36を経由して分離槽35に接続されている。また、この逆洗水配管22には電動バルブ72が追加設置されている。
【0117】
この第3実施形態では、電動バルブ36を開とし、電動バルブ73を開とし、電動バルブ72を閉とすることで分離槽35からのマイクロバブル含有水をマイクロバブル配管55を通して下部4に設置されているマイクロバブル水吐出管56へ供給する。これにより、このマイクロバブル水吐出管56から下部4内にマイクロバブル含有水を吐出させ、下部4の水槽において浮遊している揮発性有機化合物由来の浮遊物質にマイクロバブルが付着する。これにより、上記浮遊物質を浮上させて、浮上汚泥抜出部58から浮上汚泥排水配管59を通して排水することができる。この浮遊物質としては、揮発性有機化合物が洗浄水に溶解し、その有機化合物をもとに微生物が繁殖して発生する浮遊物質等がある。このように、排ガス処理部49の下部4の水槽から上記浮上汚泥を排出させることによって、水質が大幅に改善し、水質が改善した結果、排ガス処理部49におけるTOCの除去率を維持できる。
【0118】
また、水質が次第に悪化するとVOCの除去率も大幅に低下して、排ガス処理装置51としての機能が低下する。この場合にも、電動バルブ36を開とし、電動バルブ73を開とし、電動バルブ72を閉とする条件下でナノバブル発生装置67を運転させる。これにより、分離槽35からのマイクロバブル含有水をマイクロバブル配管55を通して下部4に設置されているマイクロバブル水吐出管56へ供給する。すると、このマイクロバブル水吐出管56から下部4内にマイクロバブル含有水が吐出され、吐出されるマイクロバブルがマイクロバブル流57である上昇流を発生させ、下部4の水槽から浮上汚泥を排出させることで水質が改善される。
【0119】
なお、この実施形態において、浮上汚泥抜出部58から浮上汚泥排水配管59を通して浮上汚泥が排水されると、排ガス処理装置51系内の洗浄水が減少することになるが、洗浄水は、処理槽46において、補給設備(図示せず)から補給されるシステムとなっている。
【0120】
(第4の実施の形態)
次に、図4にこの発明の排ガス処理装置の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、次の(i),(ii)の点だけが、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第4実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0121】
(i) 排ガス処理部49の下部4の水槽に、マイクロナノバブルを吐出させるマイクロナノバブル水吐出管77を設置し、マイクロナノバブル水吐出管77にマイクロナノバブル水配管60を設置し、かつ、逆洗水配管43に電動バルブ74を取り付けた点。
【0122】
(ii) マイクロナノバブル水吐出管77から吐出したマイクロバブルにより浮上する汚泥を排出する浮上汚泥排出設備としての浮上汚泥抜出部58と、この浮上汚泥抜出部58からの浮上汚泥が排水される際に通過する浮上汚泥排水配管59とを設置した点。
【0123】
この第4実施形態では、下部4のマイクロナノバブル水吐出管77に接続したマイクロナノバブル水配管60に電動バルブ75が取り付けられており、マイクロナノバブル水配管60は逆洗水配管43に接続されている。そして、電動バルブ34が閉で電動バルブ33が開、かつ、電動バルブ75を開とし逆洗水配管43に追加設置した電動バルブ74を閉とした条件下でマイクロナノバブル発生装置67を運転する。すると、逆洗水配管43からマイクロナノバブル水配管60へマイクロナノバブル含有水が供給され、マイクロナノバブル水配管60からマイクロナノバブル水吐出管77にマイクロナノバブル含有水が供給され、マイクロナノバブル水吐出管77から下部4の水槽内へマイクロナノバブル含有水が吐出され、上昇流であるマイクロナノバブル流76が生じる。すると、下部4の水槽において浮遊している揮発性有機化合物由来の浮遊物質にマイクロナノバブルが付着する。これにより、上記浮遊物質を浮上させて、浮上汚泥抜出部58から浮上汚泥排水配管59を通して排水することができる。この浮遊物質としては、揮発性有機化合物が洗浄水に溶解し、その有機化合物をもとに微生物が繁殖して発生する浮遊物質等がある。このように、排ガス処理部49の下部4の水槽から上記浮上汚泥を排出させることによって、水質が大幅に改善し、水質が改善した結果、排ガス処理部49におけるTOCの除去率を維持できる。
【0124】
また、水質が次第に悪化するとVOCの除去率も大幅に低下して、排ガス処理装置51としての機能が低下する。この場合にも、電動バルブ34が閉で電動バルブ33が開、かつ、電動バルブ75が開で電動バルブ74を閉とした条件下でマイクロナノバブル発生装置67を運転させる。これにより、前述と同様に、マイクロナノバブル水吐出管77から下部4の水槽内へマイクロナノバブル含有水を吐出させて、下部4の水槽から浮上汚泥を排出させることで水質が改善される。
【0125】
(第5の実施の形態)
次に、図5にこの発明の排ガス処理装置の第5実施形態を示す。この第5実施形態は、処理槽46にTOC(全有機炭素)検出器65を設置し、このTOC検出器65からTOC検出信号が入力されるシーケンサー62およびTOC調節計63を備えた点が、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第5実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0126】
この第5実施形態が備える制御部としてのシーケンサー62は、信号線61から各電動バルブへ各電動バルブを制御するための制御信号を出力する。なお、前述の第1実施形態でも、図示していないがシーケンサーからの制御信号を各電動バルブへ出力するための信号線61と同様の信号線を有しており、シーケンサーでもって各電動バルブの開閉を制御できる。
【0127】
この第5実施形態では、処理槽46に設置されているTOC検出器65で処理槽46内の被処理水のTOC値を検出してTOC検出信号をシーケンサー62へ入力する。また、TOC調節計63は、TOC設定値を表す信号をシーケンサー62へ入力する。そして、このシーケンサー62は、上記TOC検出器65から入力されたTOC検出信号が表すTOC(全有機炭素)値が上記TOC設定値よりも高い場合は、信号線61へ出力する制御信号によって、マイクロナノバブル発生装置67の気液混合循環ポンプ26の電動機の回転数をより高速回転となるように制御する。
【0128】
つまり、処理槽46内の被処理水の水質であるTOC(全有機炭素)値が高い場合は、気液混合循環ポンプ26の回転数を上昇させて、マイクロナノバブルの発生量を増加させる。その結果、活性炭吸着塔40に流入させるナノバブル量を増加させて、(1)活性炭に繁殖する微生物をより活性化させて、活性炭が吸着したTOCに関係した有機物を微生物学的に分解処理する。
【0129】
また、(2)ナノバブルが有するフリーラジカル起因の酸化力により、被処理水としての洗浄水中のTOCに関係する有機物が酸化分解処理される。また、(3) ナノバブルは、活性炭の存在下で活性炭を触媒として有機物を酸化分解するので、被処理水すなわち洗浄水中のTOCに関係した有機物を酸化分解する。
【0130】
上記(1),(2),(3)の作用により、被処理水、すなわち洗浄水中のTOC濃度は低下することになる。
【0131】
また、処理槽46の水質であるTOC(全有機炭素)値がTOC設定値よりも高い場合は、急速ろ過塔19や活性炭吸着塔40の逆洗を行う、あるいは急速ろ過塔19や活性炭吸着塔40における逆洗時間を延長する必要性も出てくる。より詳細に説明すると、処理槽46でのTOC上昇の原因として、急速ろ過塔19と活性炭吸着塔40の機能低下がある。その場合は、急速ろ過塔19と活性炭吸着塔40の少なくとも一方の逆洗を行うようなシーケンス制御をシーケンサー62によって行うように準備しておく、あるいは、急速ろ過塔19と活性炭吸着塔40の少なくとも一方の逆洗時間を延長するようなシーケンス制御をシーケンサー62によって行うように準備しておく。
【0132】
すなわち、急速ろ過塔19のろ材表面の浮遊物質や活性炭吸着塔40の活性炭表面の浮遊物質を逆洗を行うことにより、あるいは逆洗時間を延長することにより除去する内容である。この実施形態では、シーケンサー62が、処理槽46のTOC濃度によりTOC検出器65が検出したTOC値とTOC調節計63によるTOC設定値とに基づいて、各電動バルブの開と閉を制御し、マイクロナノバブル発生装置67を構成する気液混合循環ポンプ26の電動機回転数制御や、急速ろ過塔19や活性炭吸着塔40の逆洗開始や逆洗時間の延長などのシーケンス制御を行う。これにより、処理槽46のTOC濃度を目的濃度にすることができる。このように、この実施形態によれば、処理槽46の水質であるTOC(全有機炭素)値に基づいて、シーケンサー62による運転管理や運転制御が行われてVOC除去性能を維持することとなる。
【0133】
(第6の実施の形態)
次に、図6にこの発明の排ガス処理装置の第6実施形態を示す。この第6実施形態は、処理槽46にCOD(化学的酸素要求量)検出器66を設置し、このCOD検出器66からCOD検出信号が入力されるシーケンサー62およびCOD調節計64を備えた点が、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第6実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0134】
この第6実施形態が備えるシーケンサー62は、信号線61から各電動バルブへ各電動バルブを制御するための制御信号を出力する。なお、前述の第1実施形態でも、図示していないがシーケンサーからの制御信号を各電動バルブへ出力するための信号線61と同様の信号線を有しており、シーケンサーでもって各電動バルブの開閉を制御できる。
【0135】
この第6実施形態では、処理槽46に設置されているCOD検出器66で処理槽46内の被処理水のCOD値を検出してCOD検出信号をシーケンサー62へ入力する。また、COD調節計64は、COD設定値を表す信号をシーケンサー62へ入力する。そして、このシーケンサー62は、上記COD検出器66から入力されたCOD検出信号が表すCOD(化学的酸素要求量)値が上記COD設定値よりも高い場合は、信号線61へ出力する制御信号によって、マイクロナノバブル発生装置67の気液混合循環ポンプ26の電動機の回転数をより高速回転となるように制御する。
【0136】
つまり、処理槽46内の被処理水の水質であるCOD値が上記COD設定値よりも高い場合は、気液混合循環ポンプ26の回転数を上昇させて、マイクロナノバブルの発生量を増加させる。その結果、活性炭吸着塔40に流入させるナノバブル量を増加させて、(1)活性炭に繁殖する微生物をより活性化させて、活性炭が吸着したCODに関係した有機物を微生物学的に分解処理する。
【0137】
また、(2)ナノバブルが有するフリーラジカル起因の酸化力により、被処理水としての洗浄水中のCODに関係する有機物が酸化分解処理される。また、(3) ナノバブルは、活性炭の存在下で活性炭を触媒として有機物を酸化分解するので、被処理水すなわち洗浄水中のCODに関係した有機物を酸化分解する。
【0138】
上記(1),(2),(3)の作用により、被処理水、すなわち洗浄水中のCOD濃度は低下することになる。
【0139】
また、処理槽46の水質であるCOD(化学的酸素要求量)値が上記COD設定値よりも高い場合は、急速ろ過塔19や活性炭吸着塔40の逆洗を行う、あるいは急速ろ過塔19や活性炭吸着塔40における逆洗時間を延長する必要性も出てくる。より詳細に説明すると、処理槽46でのCOD上昇の原因として、急速ろ過塔19と活性炭吸着塔40の機能低下がある。その場合は、急速ろ過塔19と活性炭吸着塔40の少なくとも一方の逆洗を行うようなシーケンス制御をシーケンサー62によって行うように準備しておく、あるいは、急速ろ過塔19と活性炭吸着塔40のそれぞれの逆洗時間を延長するようなシーケンス制御をシーケンサー62によって行うように準備しておく。
【0140】
すなわち、急速ろ過塔19のろ材表面の浮遊物質や活性炭吸着塔40の活性炭表面の浮遊物質を逆洗を行うことにより、あるいは逆洗時間を延長して除去する内容である。この実施形態では、シーケンサー62が、処理槽46のCOD濃度によりCOD検出器65が検出したCOD値とCOD調節計64によるCOD設定値とに基づいて、各電動バルブの開と閉を制御し、マイクロナノバブル発生装置67を構成する気液混合循環ポンプ26の電動機回転数制御や、急速ろ過塔19や活性炭吸着塔40の逆洗開始や逆洗時間の延長などのシーケンス制御を行う。これにより、処理槽46のCOD濃度を目的濃度にすることができる。このように、この実施形態によれば、処理槽46の水質であるCOD(化学的酸素要求量)値に基づいて、シーケンサー62による運転管理や運転制御が行われてVOC除去性能を維持することとなる。
【0141】
(第7の実施の形態)
次に、図7に、この発明の排ガス処理装置の第7実施形態を示す。この第7実施形態は、分離槽35をバイパスしてマイクロナノバブル発生装置67を逆洗水配管22に接続するバイパス配管78とこのバイパス配管78に取付けた電動バルブ70とを備えた点が前述の第5実施形態と異なる。よって、この第7実施形態では、前述の第5実施形態とは異なる点を説明し、前述の第5実施形態と同じ部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0142】
この第7実施形態では、急速ろ過塔19の逆洗動作が前述の第5実施形態と異なる。すなわち、この第7実施形態では、急速ろ過塔19の逆洗動作は、シーケンサー62が、バイパス配管78の電動バルブ70を開とし、かつ、電動バルブ18を開とすると共に電動バルブ17および電動バルブ36を閉として、マイクロナノバブル発生装置67からのマイクロナノバブル水をバイパス配管78を経由して逆洗水配管22に導くことで行われる。上記逆洗水配管22,バイパス配管78と電動バルブ70とが第3の逆洗部を構成している。
【0143】
よって、この第7実施形態によれば、上記急速ろ過塔19の逆洗によって、急速ろ過塔19内のろ材をマイクロバブルが有するフリーラジカル起因の酸化力で洗浄できると同時に、ナノバブルが有するさらに強力なフリーラジカル起因の酸化力でろ材に付着している有機物を酸化分解しながら洗浄できる。
【0144】
(第8の実施の形態)
次に、図8に、この発明の排ガス処理装置の第8実施形態を示す。この第8実施形態は、分離槽35をバイパスしてマイクロナノバブル発生装置67を逆洗水配管22に接続するバイパス配管78とこのバイパス配管78に取付けた電動バルブ70とを備えた点が前述の第6実施形態と異なる。よって、この第8実施形態では、前述の第6実施形態とは異なる点を説明し、前述の第6実施形態と同じ部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0145】
この第8実施形態では、急速ろ過塔19の逆洗動作が前述の第6実施形態と異なる。すなわち、この第8実施形態では、急速ろ過塔19の逆洗動作は、シーケンサー62が、バイパス配管78の電動バルブ70を開とし、かつ、電動バルブ18を開とすると共に電動バルブ17および電動バルブ36を閉として、マイクロナノバブル発生装置67からのマイクロナノバブル水をバイパス配管78を経由して逆洗水配管22に導くことで行われる。上記逆洗水配管22,バイパス配管78と電動バルブ70とが第3の逆洗部を構成している。
【0146】
よって、この第8実施形態によれば、上記急速ろ過塔19の逆洗によって、急速ろ過塔19内のろ材をマイクロバブルが有するフリーラジカル起因の酸化力で洗浄できると同時に、ナノバブルが有するさらに強力なフリーラジカル起因の酸化力でろ材に付着している有機物を酸化分解しながら洗浄できる。
【0147】
(実験例)
図1の第1実施形態に基づき、排ガス処理装置51を排ガス処理部49と洗浄水処理部50から構成して、実験装置を製作した。
【0148】
この実験装置では、排ガス処理部49の容量を5mとし、洗浄水処理部50における急速ろ過塔19の容量を0.5mとし、ポンプピット23の容量を0.2mとした。また、分離槽35の容量を0.2mとし、活性炭吸着塔40の容量を0.9mとし、処理槽46の容量を0.2mとした。また、マイクロナノバブル発生装置67における気液混合循環ポンプ26の電力容量を三相200V、3.7kWとして実験装置を構成した。
【0149】
そして、マイクロナノバブル発生装置67としては、株式会社 協和機設の商品バビタスHYK−32型を採用した。
【0150】
そして、排ガス処理部49に半導体工場から発生するイソプロピールアルコールを主成分とする揮発性有機化合物含有排ガスを排気ファン2により導入して、6週間経過して実験装置が安定した後に排ガス処理部49の入口である排気ダクト71と排ガス処理部5の出口である煙突6の出口での揮発性有機化合物の濃度を測定した。この測定の結果を下表1に示す。
(表1)

【0151】
なお、上記測定では、試料採取には、補集バック(テドラーバック)を使用し、 分析方法としては、水素イオン化形分析計(FID)を用いて分析した。また、上記表1において、ppmC値は、炭素数が1のVOCの容量に換算した。
【0152】
また、排ガス処理部49の下部4の水槽の洗浄水と処理槽46の洗浄水の水質を測定した結果を下表2に示す。
(表2)

【符号の説明】
【0153】
1 排ガス
2 排気ファン
3 上部
4 下部
5 処理ガス
6 煙突
7 散水配管
8 散水ノズル
9 充填材
10 穴あき板
11 水滴
12 水面
13 吸い込み配管
14 急速ろ過塔送水ポンプ
15 水配管
16 逆洗排水配管
17 電動バルブ
18 電動バルブ
19 急速ろ過塔
20 処理水配管
21 電動バルブ
22 逆洗水配管
23 ポンプピット
24 水面
25 吸い込み配管
26 気液混合循環ポンプ
27 第1気体せん断部
28 ニードルバルブ
29 空気配管
30 第2気体せん断部
31 水配管
32 第3気体せん断部
33、34、36 電動バルブ
35 分離槽
37 Y型分離板
38 気泡
39 ナノバブル水配管
40 活性炭吸着塔
41 電動バルブ
42 逆洗排水配管
43 逆洗水配管
44 処理水配管
45 電動バルブ
46 処理槽
47 洗浄水ポンプ
48 洗浄水配管
49 排ガス処理部(水スクラバー)
50 洗浄水処理部
51 排ガス処理装置
52 ナノバブル流
53 穴あき収容容器
54 活性炭
55 マイクロバブル水配管
56 マイクロバブル水吐出配管
57 マイクロバブル流
58 浮上汚泥抜出部
59 浮上汚泥排水配管
60 マイクロナノバブル水配管
61 信号線
62 シーケンサー
63 TOC(全有機炭素)調節計
64 COD(化学的酸素要求量)調節計
65 TOC検出器
66 COD検出器
67 マイクロナノバブル発生装置
68 ろ過材流出防止用ネット
69 活性炭流出防止用ネット
70 電動バルブ
71 排気ダクト
72〜75 電動バルブ
76 マイクロナノバブル流
77 マイクロナノバブル水吐出配管
78 バイパス配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入された排ガスに洗浄水を散水する上部散水部とこの上部散水部から落下してきた洗浄水を溜める下部水槽とを有する水スクラバーと、
上記下部水槽からの洗浄水が導入される急速ろ過塔と、
上記急速ろ過塔でろ過した洗浄水が導入されてマイクロナノバブルを含有した洗浄水を作製するマイクロナノバブル発生部と、
上記マイクロナノバブル発生部から上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水が導入されると共に上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水よりもナノバブルに対するマイクロバブルの含有割合が多いマイクロバブル含有洗浄水と上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水よりもマイクロバブルに対するナノバブルの含有割合が多いナノバブル含有洗浄水とに分離する分離槽と、
上記分離槽からの上記ナノバブル含有洗浄水が導入される活性炭吸着塔と、
上記活性炭吸着塔からのナノバブル含有洗浄水を上記水スクラバーの上部散水部に供給する洗浄水供給部とを備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排ガス処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生部から上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を上記活性炭吸着塔に導入して逆洗する第1の逆洗部を備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排ガス処理装置において、
上記分離槽からの上記マイクロバブル含有洗浄水を上記急速ろ過塔に導入して逆洗する第2の逆洗部を備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生部から上記マイクロナノバブルを含有した洗浄水を上記急速ろ過塔に導入して逆洗する第3の逆洗部を備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記分離槽は、
導入されたマイクロナノバブル含有洗浄水を、マイクロバブル含有洗浄水とナノバブル含有洗浄水との比重差を利用して上記マイクロバブル含有洗浄水と上記ナノバブル含有洗浄水とに分離することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の排ガス処理装置において、
上記分離槽は、
上記マイクロバブル含有洗浄水と上記ナノバブル含有洗浄水とに分離するための仕切板を有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の排ガス処理装置において、
上記仕切板の形状がY字形状であることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載の排ガス処理装置において、
上記仕切板の形状がT字形状であることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生部は、
上記急速ろ過塔からの洗浄水が導入される気液混合循環ポンプと、
上記気液混合循環ポンプに付属していると共に上記洗浄水にマイクロバブルを発生させる第1気体せん断部と、
上記第1気体せん断部から上記マイクロバブルを含有した洗浄水が導入されると共に上記マイクロバブルをせん断してナノバブルを発生させる第2気体せん断部と、
上記第2気体せん断部から上記マイクロバブルとナノバブルを含有した洗浄水が導入されると共に上記マイクロバブルをせん断してナノバブルをさらに発生させる第3気体せん断部とを有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の排ガス処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生部は、
上記第3気体せん断部からのマイクロナノバブル含有洗浄水が導入されるように連結された少なくとも1段の気体せん断部をさらに有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項11】
請求項2から10のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水供給部は、
上記活性炭吸着塔からのナノバブル含有洗浄水が導入される処理槽と、
上記処理槽に設置されて上記処理槽内の洗浄水のTOCを計測するTOC計とを有し、
さらに、上記TOC計が計測したTOC値を表す信号が入力されると共にこの入力された信号が表すTOC値が設定値よりも高い場合は、上記第1から第3の逆洗部のうちの少なくとも1つによって逆洗を行わせる一方、上記入力された信号が表すTOC値が上記設定値以下の場合は、上記逆洗を行わないように、上記第1から第3の逆洗部のうちの少なくとも1つの逆洗部を制御する制御部を備えたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項12】
請求項2から10のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記洗浄水供給部は、
上記活性炭吸着塔からのナノバブル含有洗浄水が導入される処理槽と、
上記処理槽に設置されて上記処理槽内の洗浄水のCODを計測するCOD計とを有し、
さらに、上記COD計が計測したCOD値を表す信号が入力されると共にこの入力された信号が表すCOD値が設定値よりも高い場合は、上記第1から第3の逆洗部のうちの少なくとも1つによって逆洗を行わせる一方、上記入力された信号が表すCOD値が上記設定値以下の場合は、上記逆洗を行わないように、上記第1から第3の逆洗部のうちの少なくとも1つの逆洗部を制御する制御部を備えたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の排ガス処理装置において、
上記第1の逆洗部は、上記活性炭吸着塔への順方向の通水を行いながら上記逆洗を行い、上記第2,第3の逆洗部は、上記急速ろ過塔への順方向の通水を行いながら上記逆洗を行うことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項14】
請求項2から13のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記活性炭吸着塔は、
活性炭の流出を防止するための2重のネットを有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項15】
請求項4から14のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記急速ろ過塔は、
ろ材の流出を防止するための2重のネットを有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項16】
請求項14に記載の排ガス処理装置において、
上記活性炭吸着塔が有する2重のネットは、逆洗による水流の上流側のネットと上記逆洗による水流の下流側のネットとからなり、上記上流側のネットの網の目が上記下流側のネットの網の目よりも粗いことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項17】
請求項15に記載の排ガス処理装置において、
上記急速ろ過塔が有する2重のネットは、逆洗による水流の上流側のネットと上記逆洗による水流の下流側のネットとを有し、上記上流側のネットの網の目が上記下流側のネットの網の目よりも粗いことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記急速ろ過塔からの洗浄水が導入されると共に界面活性剤が添加されるポンプピットを備え、
上記マイクロナノバブル発生部は、上記ポンプピットからの洗浄水を吸い込んでマイクロナノバブルを含有した洗浄水を作製することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記急速ろ過塔からの洗浄水が導入されると共に無機塩類が添加されるポンプピットを備え、
上記マイクロナノバブル発生部は、上記ポンプピットからの洗浄水を吸い込んでマイクロナノバブルを含有した洗浄水を作製することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項20】
請求項11から19のいずれか1つに記載の排ガス処理装置において、
上記制御部は、上記逆洗時に、上記第1の逆洗部による上記活性炭吸着塔の逆洗と、上記第2の逆洗部または第3の逆洗部による上記急速ろ過塔の逆洗とを同時に行わせるように、上記第1から第3の逆洗部を制御することを特徴とする排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−247091(P2010−247091A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100111(P2009−100111)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000236160)株式会社テクノ菱和 (50)
【Fターム(参考)】