説明

排ガス処理装置

【課題】排ガス処理装置において、ポップコーンアッシュを適正に捕集可能とする。
【解決手段】屈曲部61を有して燃焼ガスを流動可能な排ガス管48と、排ガス管48に設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部と、排ガス管48における熱回収部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて排ガス中の有害物質を除去可能な有害物質除去部と、排ガス管48における屈曲部61の外周部側だけに設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部60とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電用または工場用などのために蒸気を生成するためのボイラに適用される排ガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の微粉炭焚きボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、火炉壁に複数の燃焼バーナが周方向に沿って配設されると共に、上下方向に複数段にわたって配置されている。この燃焼バーナは、石炭が粉砕された微粉炭(燃料)と1次空気との混合気が供給されると共に、高温の2次空気が供給され、この混合気と2次空気を火炉内に吹き込むことで火炎を形成し、この火炉内で燃焼可能となっている。そして、この火炉は、上部に煙道が連結され、この煙道に排ガスの熱を回収するための過熱器、再熱器、節炭器などが設けられており、火炉での燃焼により発生した排ガスと水との間で熱交換が行われ、蒸気を生成することができる。また、この煙道は、排ガス通路が連結され、この排ガス通路に脱硝装置、電気集塵機、脱硫装置などが設けられ、下流端部に煙突が設けられている。
【0003】
このような微粉炭焚きボイラでは、火炉で燃料としての微粉炭を燃焼することから、排ガスにポップコーンアッシュが混入する。このポップコーンアッシュは、灰の塊であることから、特に、排ガス通路に設けられる脱硝装置に付着し、圧力損失が上昇して性能低下を招いてしまう。そのため、従来から、排ガス通路に金網などを設けて排ガスからポップコーンアッシュを除去するようにしている。このような技術としては、例えば、下記特許文献1、2に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2724176号公報
【特許文献2】米国特許第6994036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、ボイラの火炉で発生した排ガスは、ポップコーンアッシュが混入しており、このポップコーンアッシュは、数ミリから十数ミリの灰の塊である。一方、排ガス通路に設けられた金網は、数ミリ以下のメッシュである。そのため、大塊のポップコーンアッシュが金網などに衝突することで、この金網の目が局所的に詰まったり、磨耗が生じたり、または、この金網が破損してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、ポップコーンアッシュを適正に捕集可能とする排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の排ガス処理装置は、屈曲部を有して燃焼ガスを流動可能な排ガス通路と、前記排ガス通路における前記屈曲部より排ガスの流動方向の上流側に設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部と、前記排ガス通路における前記屈曲部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて排ガス中の有害物質を除去可能な有害物質除去部と、前記排ガス通路における前記屈曲部の外周部側だけに設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能な捕集部と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
従って、排ガス通路を流れる排ガスは、熱回収部で熱が回収された後、屈曲部を通過するときに、捕集部によりポップコーンアッシュが捕集され、その後、有害物質除去部で有害物質が除去される。このとき、屈曲部を通過する排ガス中のポップコーンアッシュは、その慣性力により屈曲部の外周部側を流れることとなり、この屈曲部の外周部側に設けられた捕集部により効率良く捕集される一方、ポップコーンアッシュをほとんど含まない排ガスは、捕集部のない開口を通過することとなり、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる。
【0009】
本発明の排ガス処理装置では、前記排ガス通路は、前記屈曲部にて互いにほぼ直交する方向に連通する第1通路と第2通路とを有し、前記屈曲部の下方にポップコーンアッシュを貯留可能なホッパが設けられ、前記捕集部は、前記ホッパより前記第2通路側に設けられることを特徴としている。
【0010】
従って、排ガスが第1通路から屈曲した第2通路に流れるとき、この排ガスに含まれるポップコーンアッシュが捕集部により効率良く捕集された後、この捕集されたポップコーンアッシュがホッパに貯留されることとなり、ポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。
【0011】
本発明の排ガス処理装置では、前記捕集部は、前記第2通路の通路面積の30%から70%の面積を被覆することを特徴としている。
【0012】
従って、第2通路の通路面積に対する捕集部の配置領域を適正範囲とすることで、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる一方で、製造コストを低減することができる。
【0013】
本発明の排ガス処理装置では、前記屈曲部の内周部に排ガスを前記屈曲部の外周側に案内するガイド部が設けられることを特徴としている。
【0014】
従って、排ガスが第1通路から第2通路に流れるとき、この排ガスはガイド部により屈曲部の内周部側から外周部側へ案内されることとなり、排ガスの流速を低下させることで、排ガスに含まれるポップコーンアッシュを捕集部側へ導くこととなり、この捕集部によりポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。
【0015】
本発明の排ガス処理装置では、前記捕集部は、予め設定された所定の開口率を有し、前記捕集部より排ガスの流動方向の上流側に設けられて前記捕集部の開口率より高い開口率を有する前段捕集部が設けられることを特徴としている。
【0016】
従って、排ガス通路を流れる排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが前段捕集部で除去されてから捕集部に流れるため、粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部の損傷が抑制され、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる。
【0017】
本発明の排ガス処理装置では、前記前段捕集部は、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板と、該複数の遮蔽板を排ガスの流動方向に交差する方向に所定間隔で支持する支持部材とを有することを特徴としている。
【0018】
従って、前段捕集部にて、排ガス中のポップコーンアッシュが複数の遮蔽板に衝突して落下することで、第2捕集部へ流れるポップコーンアッシュの量を減少し、ポップコーンアッシュによる第2捕集部の損傷を低減することができる。
【0019】
本発明の排ガス処理装置では、前記前段捕集部は、排ガスの流動方向に交差する鉛直方向に沿うと共に、排ガスの流動方向に交差する水平方向に所定間隔で配置されて排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板を有することを特徴としている。
【0020】
従って、前段捕集部にて、排ガス中のポップコーンアッシュが複数の遮蔽板に衝突して落下することで、第2捕集部へ流れるポップコーンアッシュの量を減少し、ポップコーンアッシュによる第2捕集部の損傷を低減することができる。
【0021】
本発明の排ガス処理装置では、前記前段捕集部は、前記複数の遮蔽板が排ガスの流動方向に沿って多段に配置されることを特徴としている。
【0022】
従って、排ガスの流れが低圧損となって慣性力も弱められるため、補集部でポップコーンアッシュを確実に補集することができる。
【0023】
本発明の排ガス処理装置では、前記遮蔽板は、メッシュ形状またはスリット形状をなすことを特徴としている。
【0024】
従って、簡単な構成で、第2捕集部へ流れるポップコーンアッシュの量を減少することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の排ガス処理装置によれば、排ガス通路における排ガス通路の屈曲部の外周部側だけに排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能な捕集部を設けるので、屈曲部を通過する排ガス中のポップコーンアッシュは、その慣性力により屈曲部の外周部側を流れることとなり、捕集部によりポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる一方、ポップコーンアッシュをほとんど含まない排ガスは、捕集部のない開口を通過することとなり、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る排ガス処理装置が適用された微粉炭焚きボイラを表す概略構成図である。
【図2】図2は、実施例1の排ガス処理装置を表す概略側面図である。
【図3】図3は、実施例1の排ガス処理装置を表す概略平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係る排ガス処理装置を表す概略図である。
【図5】図5は、実施例2の排ガス処理装置における第1捕集部を表す斜視図である。
【図6−1】図6−1は、実施例2の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図6−2】図6−2は、実施例2の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図6−3】図6−3は、実施例2の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図6−4】図6−4は、実施例2の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施例3に係る排ガス処理装置を表す概略図である。
【図8】図8は、本発明の実施例4に係る排ガス処理装置を表す概略側面図である。
【図9】図9は、実施例4の排ガス処理装置を表す概略平面図である。
【図10−1】図10−1は、本発明の実施例4に係る排ガス処理装置における第1捕集部を表す斜視図である。
【図10−2】図10−2は、実施例4の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【図10−3】図10−3は、実施例4の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、本発明の排ガス処理装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の実施例1に係る排ガス処理装置が適用された微粉炭焚きボイラを表す概略構成図、図2は、実施例1の排ガス処理装置を表す概略側面図、図3は、実施例1の排ガス処理装置を表す概略平面図である。
【0029】
実施例1の排ガス処理装置が適用された微粉炭焚きボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を固体燃料として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。
【0030】
この実施例1において、図1に示すように、微粉炭焚きボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12とを有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁の下部に燃焼装置12が設けられている。
【0031】
燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施例にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。
【0032】
そして、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して微粉炭機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この微粉炭機31,32,33,34,35は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送空気(1次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0033】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37は、他端部に送風機38が装着されている。従って、送風機38により送られた燃焼用空気(2次空気、3次空気)を、空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0034】
そのため、燃焼装置12にて、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と1次空気とを混合した微粉燃料混合気(燃料ガス)を火炉11内に吹き込み可能であると共に、2次空気を火炉11内に吹き込み可能となっており、図示しない点火トーチにより微粉燃料混合気に点火することで、火炎を形成することができる。
【0035】
なお、一般的に、ボイラの起動時には、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、油燃料を火炉11内に噴射して火炎を形成している。
【0036】
火炉11は、上部に煙道40が連結されており、この煙道40に、対流伝熱部(熱回収部)として排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)41,42、再熱器43,44、節炭器(エコノマイザ)45,46,47が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0037】
煙道40は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管(排ガス通路)48が連結されている。この排ガス管48は、空気ダクト37との間にエアヒータ49が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、排ガス管48を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0038】
また、排ガス管48は、エアヒータ49より上流側に位置して、選択還元型触媒50が設けられ、エアヒータ49より下流側に位置して、電気集塵機51、誘引送風機52、脱硫装置53が設けられ、下流端部に煙突54が設けられている。ここで、選択還元型触媒50、電気集塵機51、脱硫装置53が有害物質除去部として機能する。
【0039】
従って、微粉炭機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。この火炉11では、微粉燃料混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道40に排出される。
【0040】
なお、火炉11では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したNOxが火炉11で還元され、その後、アディショナルエアが追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
【0041】
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器45,46,47によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器41,42に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器41,42で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器43,44に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0042】
その後、煙道40の節炭器45,46,47を通過した排ガスは、排ガス管48にて、選択還元型触媒50でNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機51で粒子状物質が除去され、脱硫装置53により硫黄分が除去された後、煙突54から大気中に排出される。
【0043】
このように構成された微粉炭焚きボイラ10にて、火炉11より下流側が実施例1の排ガス処理装置として機能する。そして、この実施例1の排ガス処理装置では、排ガス管48における熱回収部(過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47)と有害物質除去部(選択還元型触媒50、電気集塵機51、脱硫装置53)との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部(捕集部)60が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部60は、排ガス管48における屈曲部の外周部側だけに設けられている。
【0044】
即ち、図2及び図3に示すように、排ガス管48は、例えば、矩形断面を有し、鉛直方向に沿って延びる第1配管(第1通路)48aと、水平方向に沿って延びる第2配管(第2通路)48bとから構成され、第1配管48aと第2配管48bとは、互いにほぼ直交する方向に連通しており、この連通部に屈曲部61が設けられている。この場合、排ガスの流動方向の上流側に位置する第1配管48a側に熱回収部が設けられ、排ガスの流動方向の下流側に位置する第2配管48b側に有害物質除去部が設けられ、第1配管48aの通路面積に比べて第2配管48bの通路面積が小さく設定されている。そして、ポップコーンアッシュ捕集部60は、第2配管48b側に設けられている。
【0045】
また、第1配管48aと第2配管48bとは、その後端部と前端部とが屈曲部61にて連通すると共に、この屈曲部61の下方にポップコーンアッシュを貯留可能なホッパ62が設けられている。このホッパ62は、下方に向けて面積が狭くなるように対向する傾斜面により形成され、下端部が第2配管48bの底面より低い位置にある。なお、このホッパ62は、ポップコーンアッシュ捕集部60により捕集されて落下したポップコーンアッシュを貯留するだけでなく、図示しない開閉弁により開口部を開放することで、ポップコーンアッシュを下方に排出可能となっている。そして、ポップコーンアッシュ捕集部60は、ホッパ62より排ガスの流動方向の下流側で、第2配管48bの入口部に設けられている。
【0046】
ポップコーンアッシュ捕集部60は、水平方向に沿って延びる第2配管48bの入口部にて、その底部からほぼ鉛直方向の上方に延びるように立設されている。そして、このポップコーンアッシュ捕集部60は、第2配管48bの入口部を左右方向(幅方向)には全域に配置され、上下方向(高さ方向)には下方側のみに設けられることで、上部に開口部63が設けられている。この場合、ポップコーンアッシュ捕集部60は、第2配管48bの通路面積(第2配管48bの高さ)の30%から70%の面積(高さ)を被覆することが望ましく、第2配管48bの通路面積の50%から60%の面積を被覆することが最適である。
【0047】
また、ポップコーンアッシュ捕集部60は、例えば、メッシュ状をなす金網により形成され、2mm〜3mm以下の多数の開口からなる。なお、ポップコーンアッシュ捕集部60は、メッシュ状をなす金網に限定されるものではなく、縦スリットまたは横スリットを有するスクリーンや多孔体などとしてもよい。
【0048】
また、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部61における内周部に排ガスを屈曲部61の外周部側に案内するキッカ(ガイド部)64が設けられている。このキッカ64は、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部61の内側にて、第1配管48aの下端部の内壁面から屈曲部61の外側にある対向する内壁面側に突出するように設けられ、断面が先細の三角形状をなしている。
【0049】
ここで、実施例1の排ガス処理装置の作用を説明する。排ガス管48を流れる排ガスは、熱回収部(過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47、以上、図1参照)で熱が回収された後、第1配管48aに沿って下方に流れる。そして、排ガスは、連通部をほぼ直角に曲がってポップコーンアッシュ捕集部60に流れる。
【0050】
ここで、排ガスは、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部61の内側にて、キッカ64により屈曲部61の中心側に案内されることで、その流れが剥離して流速が低下する。そして、排ガスは、第1配管48aから屈曲部61を通って第2配管48bに流れることから、この排ガスは、屈曲部61を通過するポップコーンアッシュがその慣性力により屈曲部61の外周部側を流れることとなる。そのため、屈曲部61の外周部側を排ガスと共に流れるポップコーンアッシュは、この位置に配置されたポップコーンアッシュ捕集部60により効率良く捕集される一方、屈曲部61の内周部側を流れるポップコーンアッシュをほとんど含まない排ガスは、開口部63を通過する。
【0051】
なお、ポップコーンアッシュ捕集部60で捕集されたポップコーンアッシュは、所定量だけ付着するものの、その自重によりホッパ62に落下して貯留される。また、ポップコーンアッシュがポップコーンアッシュ捕集部60に捕集されて一時的に目詰まりしたとしても、排ガス中のポップコーンアッシュは、目詰まり状態のポップコーンアッシュ捕集部60に衝突してホッパ62に落下する一方、ポップコーンアッシュをほとんど含まない排ガスは、開口部63を通過することとなり、この位置での圧力損失が低減される。
【0052】
その後、ポップコーンアッシュがポップコーンアッシュ捕集部60で除去された排ガスは、有害物質除去部(選択還元型触媒50、電気集塵機51、脱硫装置53、以上、図1参照)で有害物質が除去される。
【0053】
このように実施例1の排ガス処理装置にあっては、屈曲部61を有して燃焼ガスを流動可能な排ガス管48と、排ガス管48に設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部と、排ガス管48における熱回収部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて排ガス中の有害物質を除去可能な有害物質除去部と、排ガス管48における屈曲部61の外周部側だけに設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部60とを設けている。
【0054】
従って、排ガス管48を流れる排ガスは、熱回収部で熱が回収された後、屈曲部61を通過するときに、ポップコーンアッシュ捕集部60によりポップコーンアッシュが捕集され、その後、有害物質除去部で有害物質が除去される。このとき、屈曲部61を通過する排ガスは、この排ガス中のポップコーンアッシュがその慣性力により屈曲部61の外周部側を流れることとなり、この屈曲部61の外周部側に設けられたポップコーンアッシュ捕集部60により効率良く捕集される一方、ポップコーンアッシュをほとんど含まない排ガスは、ポップコーンアッシュ捕集部60のない開口部63を通過することとなり、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる。
【0055】
また、実施例1の排ガス処理装置では、排ガス管48として、屈曲部61で互いにほぼ直交する方向に連通する第1配管48aと第2配管48bとを設け、排ガスの流動方向の上流側に位置する第1配管48aに熱回収部を設け、排ガスの流動方向の下流側に位置する第2配管48bに有害物質除去部を設け、屈曲部61の下方にポップコーンアッシュを貯留可能なホッパ62を設け、ポップコーンアッシュ捕集部60を第2配管48b側に設けている。従って、排ガスが第1配管48aから屈曲部61を通って第2配管48bに流れるとき、この排ガスに含まれるポップコーンアッシュがポップコーンアッシュ捕集部60により捕集された後、ホッパ62に貯留されることとなり、ポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。
【0056】
また、実施例1の排ガス処理装置では、ポップコーンアッシュ捕集部60は、第2配管48aの通路面積の30%から70%の面積を被覆している。従って、第2配管48aの通路面積に対するポップコーンアッシュ捕集部60の配置領域を適正範囲とすることで、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる一方で、不要な部分へのポップコーンアッシュ捕集部60の配置をなくすことで、製造コストを低減することができる。
【0057】
また、実施例1の排ガス処理装置では、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部61における内側に排ガスを曲がり角の外側に案内するキッカ64を設けている。従って、排ガスが第1配管48aから第2配管48bに流れるとき、この排ガスはキッカ64により屈曲部61の内周部側から外周部側へ案内されることとなり、排ガスの流速を低下させることで、排ガスに含まれるポップコーンアッシュをポップコーンアッシュ捕集部60側へ導くこととなり、ポップコーンアッシュ捕集部60によりポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。
【実施例2】
【0058】
図4は、本発明の実施例2に係る排ガス処理装置を表す概略図、図5は、実施例2の排ガス処理装置における第1捕集部を表す斜視図、図6−1から図6−4は、実施例2の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
実施例2の排ガス処理装置において、図4及び図5に示すように、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部70が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部70は、高い開口率を有する第1捕集部(前段捕集部)71と、低い開口率を有する第2捕集部(捕集部)72とから構成されている。そして、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部73の下方にホッパ74が設けられており、第1捕集部71と第2捕集部72は、第2配管48bにおける入口部、つまり、ホッパ74に近接して配置されている。また、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部73における内周部に排ガスを屈曲部73の外周部側に案内するキッカ(ガイド部)75が設けられている。
【0060】
第1捕集部71は、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板76と、この複数の遮蔽板76を排ガスの流動方向に交差する方向に所定間隔で支持する支持部材77とから構成されている。即ち、支持部材77は、鉛直方向に沿った棒材形状をなし、左右方向に所定間隔で複数配置され、上端部及び下端部が第2配管48bの入口部の内壁面に固定されている。遮蔽板76は、所定の大きさの板材形状をなし、左右方向に長い矩形状となっている。そして、複数の遮蔽板76は、各支持部材77の長手方向に所定間隔で固定されており、その結果、各遮蔽板76は、第2配管48bの通路断面方向に所定隙間を持って平面的に配置されることとなる。この場合、遮蔽板76同士の上下間隔及び左右間隔は、適宜設定すればよいものであり、排ガス中のポップコーンアッシュの粒径に合わせて狭く設定してもよい。
【0061】
一方、第2捕集部72は、排ガス管48における屈曲部73の外周部側だけに設けられている。即ち、第2捕集部72は、水平方向に沿って延びる第2配管48bの入口部にて、その底部からほぼ鉛直方向の上方に延びるように立設されている。そして、この第2捕集部72は、第2配管48bの入口部を左右方向(幅方向)には全域に配置され、上下方向(高さ方向)には下方側のみに設けられることで、上部に開口部78が設けられている。この場合、第2捕集部72は、第2配管48bの通路面積(第2配管48bの高さ)の30%から70%の面積(高さ)を被覆することが望ましく、第2配管48bの通路面積の50%から60%の面積を被覆することが最適である。
【0062】
従って、排ガスがポップコーンアッシュ捕集部70に至ると、まず、開口率の高い第1捕集部71により粒径の大きいポップコーンアッシュが衝突して落下することで捕集され、次に、開口率の低い第2捕集部72により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部71で除去されてから第2捕集部72に流れるため、第2捕集部72に流れる粒径の大きいポップコーンアッシュはほとんどなく、この粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部72の損傷が抑制される。
【0063】
また、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部73の内側にて、キッカ75により屈曲部73の中心側に案内されることで、その流れが剥離して流速が低下する。そして、排ガスは、第1配管48aから屈曲部73を通って第2配管48bに流れることから、この排ガスは、屈曲部73の内周部側の流速よりも外周部側の流速の方が早くなり、排ガス中のポップコーンアッシュは、その慣性力により屈曲部73の外周部側を流れることとなる。そのため、第1捕集部71により粒径の大きいポップコーンアッシュが除去された後、粒径の小さいポップコーンアッシュを含む排ガスは、この位置に配置された第2捕集部72により効率良く捕集される。
【0064】
なお、第1捕集部71の形状は、この形状に限定されるものではない。例えば、図6−1に示すように、第1捕集部81は、複数の遮蔽板82と、この複数の遮蔽板82を所定間隔で支持する支持部材83とから構成されている。即ち、支持部材83は、鉛直方向に沿った棒材形状をなしている。遮蔽板82は、所定の大きさの板材をその左右方向における中央部で所定角度に屈曲した形状をなしている。そして、複数の遮蔽板82は、支持部材83の長手方向に所定間隔で固定されている。この場合、各遮蔽板82は、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて屈曲しており、この遮蔽板82の中央部が固定される支持部材83も屈曲(V字)断面形状となっているが、矩形断面形状をなす単なる棒材でもよい。
【0065】
また、図6−2に示すように、第1捕集部91は、複数の遮蔽板92と、この複数の遮蔽板92を所定間隔で支持する支持部材93とから構成されている。即ち、支持部材93は、鉛直方向に沿った棒材形状をなしている。遮蔽板92は、所定の大きさの板材を湾曲した形状をなしている。そして、複数の遮蔽板92は、支持部材93の長手方向に所定間隔で固定されている。この場合、各遮蔽板92は、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて湾曲しており、この遮蔽板92の中央部が固定される支持部材93も湾曲(U字)断面形状となっているが、矩形断面形状をなす単なる棒材でもよい。
【0066】
また、図6−3に示すように、第1捕集部101は、複数の遮蔽板102と、この複数の遮蔽板102を所定間隔で支持する支持部材103とから構成されている。即ち、支持部材103は、鉛直方向に沿った棒材形状をなしている。遮蔽板102は、所定の大きさの板材をその左右方向における中央部で所定角度に屈曲した形状をなしている。そして、複数の遮蔽板102は、支持部材103の長手方向に所定間隔で固定されている。この場合、各遮蔽板102は、排ガスの流動方向に向けて屈曲している。
【0067】
なお、各遮蔽板76,82,92,102の形状は、これらに限定されるものではない。但し、遮蔽板82,92のように、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて屈曲または湾曲された場合、排ガスに含まれるポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。一方、遮蔽板101のように、排ガスの流動方向に向けて屈曲または湾曲された場合、排ガスに含まれるポップコーンアッシュを効率良く捕集することができると共に、排ガスの流動抵抗を低下させて圧力損失を低減することができる。
【0068】
また、第1捕集部71,81,91,101における各遮蔽板76,82,92,102の配置は、この実施例に限定されるものではない。例えば、図6−4に示すように、第1捕集部106は、排ガスの流動方向における前後に所定間隔で配置される前部捕集部106aと後部捕集部106bとを有している。この前部捕集部106a及び後部捕集部106bは、ほぼ同様の構成をなし、複数の遮蔽板107と、この複数の遮蔽板107を所定間隔で支持する支持部材108とから構成されている。但し、前部捕集部106aと後部捕集部106bとでは、各遮蔽板107の位置が水平方向及び鉛直方向にずれている。なお、第1捕集部106を前後2段配置としたが、3段配置以上またはランダムに配置してもよい。また、このような配置は、第1補集部106のみでなく、第1補集部71、81、91、101であってもよい。
【0069】
このように実施例2の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部70として、開口率の高い第1捕集部71,81,91,101と、第1捕集部71,81,91,101の開口率より低い開口率を有する第2捕集部72を設け、第1捕集部71,81,91,101として、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板76,82,92,102と、この複数の遮蔽板76,82,92,102を排ガスの流動方向に交差する方向に所定間隔で支持する支持部材77,83,93,103を設ける一方、第2捕集部72を排ガス管48における屈曲部73の外周部側だけに設けている。
【0070】
従って、第1捕集部71,81,91,101にて、排ガス中のポップコーンアッシュが複数の遮蔽板76,82,92,102に衝突してホッパ74に落下することで捕集され、第2捕集部102へ流れるポップコーンアッシュの量を減少し、ポップコーンアッシュによる第2捕集部72の損傷を低減することができる。また、屈曲部73を通過する排ガスは、この排ガス中のポップコーンアッシュがその慣性力により屈曲部73の外周部側を流れることとなり、この屈曲部73の外周部側に設けられた第2捕集部72により効率良く捕集することができる。
【実施例3】
【0071】
図7は、本発明の実施例3に係る排ガス処理装置を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
実施例3の排ガス処理装置において、図7に示すように、排ガス管48は、鉛直方向に沿って延びる第1配管(第1通路)48aと、水平方向に沿って延びる第2配管(第1通路)48bと、鉛直方向に沿って延びる第3配管(第2通路)48cが互いにほぼ直交する方向に連通して構成されており、排ガスの流動方向の上流側に位置する第1配管48a側に熱回収部が設けられ、排ガスの流動方向の下流側に位置する第3配管48c側に有害物質除去部が設けられている。また、第1配管48aと第2配管48bとの連通部の下方に第1ホッパ111が設けられ、第2配管48bと第3配管48cとの連通部の下方に第2ホッパ112が設けられている。
【0073】
そして、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部113が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部113は、高い開口率を有する第1捕集部(前段捕集部)114と、低い開口率を有する第2捕集部115(捕集部)とから構成されている。本実施例では、ポップコーンアッシュ捕集部113は、第3配管48c側に設けられている。即ち、第1配管48aは、排ガスが内部を下方に流れ、第2配管48bは、排ガスが内部を水平に流れ、第3配管48cは、排ガスが内部を上方に向かって流れるものであり、第1捕集部114と第2捕集部115とから構成されるポップコーンアッシュ捕集部113は、第3配管48cの入口部であって、第2ホッパ112の上方に配置されている。
【0074】
そして、第2捕集部115は、排ガス管48における屈曲部116の外周部側だけに設けられている。即ち、第2捕集部115は、鉛直方向に沿って延びる第3配管48cの入口部にて、屈曲部116の外周部側の壁部からほぼ水平方向に延びるように設けられている。そして、この第2捕集部115は、第3配管48cの入口部を左右方向(幅方向)には全域に配置され、水平方向には一方側のみに設けられることで、他方側に開口部117が設けられている。
【0075】
なお、ポップコーンアッシュ捕集部113(第1捕集部114、第2捕集部115)の構成は、上述した実施例2とほぼ同様の構成をなしていることから、詳細な説明は省略する。
【0076】
従って、排ガスが第1配管48aから第2配管48bを通って第3配管48cのポップコーンアッシュ捕集部113に至ると、まず、開口率の高い第1捕集部114により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、次に、開口率の低い第2捕集部115により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部114で除去されてから第2捕集部115に流れるため、第2捕集部115に流れる粒径の大きいポップコーンアッシュはほとんどなく、この粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部115の損傷が抑制される。
【0077】
また、排ガスは、第1配管48aから屈曲部116を通って第3配管48cに流れることから、この排ガスは、屈曲部116にて、ポップコーンアッシュがその慣性力により屈曲部116の外周部側を流れることとなる。そのため、第1捕集部114により粒径の大きいポップコーンアッシュが除去された後、粒径の小さいポップコーンアッシュを含む排ガスは、この位置に配置された第2捕集部115により効率良く捕集される。
【0078】
また、第1捕集部114や第2捕集部115で捕集されたポップコーンアッシュは、第2ホッパ112に落下して貯留されるが、第2捕集部115より第1捕集部114の方が開口率が高いことから、第2捕集部115で捕集されたポップコーンアッシュは、第1捕集部114を通過して第2ホッパ112に落下して貯留されることとなる。
【0079】
このように実施例3の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部113を排ガス管48における鉛直方向に沿った第3配管48cの入口部(下端部)に設け、このポップコーンアッシュ捕集部113として、開口率の高い第1捕集部114と、第1捕集部114の開口率より低い開口率を有する第2捕集部115を設け、第2捕集部115を排ガス管48における屈曲部116の外周部側だけに設けている。
【0080】
従って、排ガス管48を流れる排ガスは、熱回収部で熱が回収された後、第3配管48cで開口率の高い第1捕集部114により粒径の大きいポップコーンアッシュが捕集され、続いて、開口率の低い第2捕集部115により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集され、その後、有害物質除去部で有害物質が除去される。そのため、粒径の大きいポップコーンアッシュを含んだ排ガスが、第2捕集部115に流れることはほとんどなく、粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部115の目詰まり、磨耗、損傷が抑制され、常時、ポップコーンアッシュを適正に捕集することができる。また、屈曲部116を通過する排ガスは、この排ガス中のポップコーンアッシュがその慣性力により屈曲部116の外周部側を流れることとなり、この屈曲部116の外周部側に設けられた第2捕集部115により効率良く捕集することができる。
【実施例4】
【0081】
図8は、本発明の実施例4に係る排ガス処理装置を表す概略側面図、図9は、実施例4の排ガス処理装置を表す概略平面図、図10−1は、本発明の実施例4に係る排ガス処理装置における第1捕集部を表す斜視図、図10−2及び図10−3は、実施例4の排ガス処理装置における第1捕集部の変形例を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
実施例4の排ガス処理装置において、図8及び図9に示すように、排ガス管48における熱回収部と有害物質除去部との間に排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能なポップコーンアッシュ捕集部120が設けられており、ポップコーンアッシュ捕集部120は、高い開口率を有する第1捕集部(前段捕集部)121と、低い開口率を有する第2捕集部(捕集部)122とから構成されている。そして、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部123の下方にホッパ124が設けられており、第1捕集部121と第2捕集部122は、第2配管48bにおける入口部、つまり、ホッパ124に近接して配置されている。また、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部123における内周部に排ガスを屈曲部123の外周部側に案内するキッカ(ガイド部)125が設けられている。
【0083】
第1捕集部121は、排ガスの流動方向における前後に所定間隔で配置される前部捕集部121aと後部捕集部121bとを有している。この前部捕集部121a及び後部捕集部121bは、ほぼ同様の構成をなし、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板131から構成されている。この遮蔽板131は、図9及び図10−1に示すように、排ガスの流動方向に交差する鉛直方向に沿うと共に、排ガスの流動方向に交差する水平方向に所定間隔で配置されており、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能となっている。即ち、遮蔽板131は、所定の長さの板材をその左右方向における中央部で所定角度に屈曲したV字形状をなしている。そして、複数の遮蔽板131は、鉛直方向に沿って配置され、且つ、水平方向に所定間隔をあけて配置されている。この場合、前部捕集部121aと後部捕集部121bとでは、各遮蔽板131における水平方向の配置位置が互い違い(千鳥状)となっている。なお、第1捕集部121として、前部捕集部121a及び後部捕集部121bを設けることで、前後2段配置としたが、3段配置以上またはランダムに配置してもよい。
【0084】
一方、第2捕集部122は、図8及び図9に示すように、排ガス管48における屈曲部123の外周部側だけに設けられている。即ち、第2捕集部122は、水平方向に沿って延びる第2配管48bの入口部にて、その底部からほぼ鉛直方向の上方に延びるように立設されている。そして、この第2捕集部122は、第2配管48bの入口部を左右方向(幅方向)には全域に配置され、上下方向(高さ方向)には下方側のみに設けられることで、上部に開口部126が設けられている。
【0085】
従って、排ガスがポップコーンアッシュ捕集部120に至ると、まず、開口率の高い第1捕集部121により粒径の大きいポップコーンアッシュが衝突して落下することで捕集され、次に、開口率の低い第2捕集部122により粒径の小さいポップコーンアッシュが捕集される。そのため、排ガスは、粒径の大きいポップコーンアッシュが第1捕集部121で除去されてから第2捕集部122に流れるため、第2捕集部122に流れる粒径の大きいポップコーンアッシュはほとんどなく、この粒径の大きいポップコーンアッシュによる第2捕集部122の損傷が抑制される。
【0086】
また、第1配管48aと第2配管48bとの屈曲部123の内側にて、キッカ125により屈曲部123の中心側に案内されることで、その流れが剥離して流速が低下する。そして、排ガスは、第1配管48aから屈曲部123を通って第2配管48bに流れることから、この排ガスは、屈曲部123の内周部側の流速よりも外周部側の流速の方が早くなり、排ガス中のポップコーンアッシュは、その慣性力により屈曲部123の外周部側を流れることとなる。そのため、第1捕集部121により粒径の大きいポップコーンアッシュが除去された後、粒径の小さいポップコーンアッシュを含む排ガスは、この位置に配置された第2捕集部122により効率良く捕集される。
【0087】
なお、第1捕集部121(前部捕集部121a、後部捕集部121b)の形状は、この形状に限定されるものではない。例えば、図10−2に示すように、所定の長さの板材を湾曲した形状をなす遮蔽板132としてもよい。この場合、遮蔽板132は、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて湾曲している。また、図10−3に示すように、所定の長さの板材をその左右方向における中央部で所定角度に屈曲した形状をなす遮蔽板133としてもよい。この場合、遮蔽板133は、排ガスの流動方向に向けて屈曲している。
【0088】
なお、各遮蔽板131,132,133の形状は、これらに限定されるものではない。但し、遮蔽板132,132のように、排ガスの流動方向とは逆方向に向けて屈曲または湾曲された場合、排ガスに含まれるポップコーンアッシュを効率良く捕集することができる。一方、遮蔽板133のように、排ガスの流動方向に向けて屈曲または湾曲された場合、排ガスに含まれるポップコーンアッシュを効率良く捕集することができると共に、排ガスの流動抵抗を低下させて圧力損失を低減することができる。
【0089】
このように実施例4の排ガス処理装置にあっては、ポップコーンアッシュ捕集部120として、開口率の高い第1捕集部121と、第1捕集部121の開口率より低い開口率を有する第2捕集部122を設け、第1捕集部121として、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板131,132,133を有する前部捕集部121a及び後部捕集部121bを設ける一方、第2捕集部122を排ガス管48における屈曲部123の外周部側だけに設けている。
【0090】
従って、第1捕集部121にて、排ガス中のポップコーンアッシュが複数の遮蔽板131,132,133に衝突してホッパ124に落下することで捕集され、第2捕集部122へ流れるポップコーンアッシュの量を減少し、ポップコーンアッシュによる第2捕集部122の損傷を低減することができる。また、屈曲部123を通過する排ガスは、この排ガス中のポップコーンアッシュがその慣性力により屈曲部123の外周部側を流れることとなり、この屈曲部123の外周部側に設けられた第2捕集部122により効率良く捕集することができる。
【0091】
また、実施例4の排ガス処理装置では、第1捕集部121として、前部捕集部121a及び後部捕集部121bを設けて前後2段配置としている。従って、排ガスの流れが低圧損となって慣性力も弱められるため、ポップコーンアッシュ補集部120でポップコーンアッシュを確実に補集することができる。
【0092】
なお、上述した実施例2、4では、第1捕集部71,81,91,101の遮蔽板76,82,92,102、第1捕集部121の遮蔽板131,132,133を板形状としたが、これに限定されるものではなく、メッシュ状をなす金網や縦スリットまたは横スリットを有するスクリーンなどとしてもよい。
【0093】
また、上述した実施例1、2、4では、ポップコーンアッシュ捕集部60,70を第2配管48bの入口側に設け、実施例3では、ポップコーンアッシュ捕集部113を第3配管48cの入口側に設けたが、この位置に限定されるものではない。例えば、配管の曲がり部ではなく、直線部に設けてもよく、第1捕集部や第2捕集部を複数設けてもよいものである。
【符号の説明】
【0094】
10 微粉炭焚きボイラ
11 火炉
21,22,23,24,25 燃焼バーナ
40 煙道
41,42 過熱器(熱回収部)
43,44 再熱器(熱回収部)
45,46,47 節炭器(熱回収部)
48 排ガス管(排ガス通路)
50 選択還元型触媒(有害物質除去部)
51 電気集塵機(有害物質除去部)
53 脱硫装置(有害物質除去部)
60 ポップコーンアッシュ捕集部(捕集部)
70,113,120 ポップコーンアッシュ捕集部
61,73,116,123 屈曲部
62,74,124 ホッパ
63,78,117,126 開口部
64,75,125 キッカ(ガイド部)
71,81,91,101,106,114,121 第1捕集部(前段捕集部)
72,115,122 第2捕集部(捕集部)
76,82,92,102,107,131,132,133 遮蔽板
77,83,93,103,108 支持部材
111 第1ホッパ
112 第2ホッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲部を有して燃焼ガスを流動可能な排ガス通路と、
前記排ガス通路における前記屈曲部より排ガスの流動方向の上流側に設けられて排ガス中の熱を回収可能な熱回収部と、
前記排ガス通路における前記屈曲部より排ガスの流動方向の下流側に設けられて排ガス中の有害物質を除去可能な有害物質除去部と、
前記排ガス通路における前記屈曲部の外周部側だけに設けられて排ガス中のポップコーンアッシュを捕集可能な捕集部と、
を備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記排ガス通路は、前記屈曲部にて互いにほぼ直交する方向に連通する第1通路と第2通路とを有し、前記屈曲部の下方にポップコーンアッシュを貯留可能なホッパが設けられ、前記捕集部は、前記ホッパより前記第2通路側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記捕集部は、前記第2通路の通路面積の30%から70%の面積を被覆することを特徴とする請求項2に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記屈曲部の内周部に排ガスを前記屈曲部の外周側に案内するガイド部が設けられることを特徴とする請求項2または3に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記捕集部は、予め設定された所定の開口率を有し、前記捕集部より排ガスの流動方向の上流側に設けられて前記捕集部の開口率より高い開口率を有する前段捕集部が設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記前段捕集部は、排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板と、該複数の遮蔽板を排ガスの流動方向に交差する方向に所定間隔で支持する支持部材とを有することを特徴とする請求項5に記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
前記前段捕集部は、排ガスの流動方向に交差する鉛直方向に沿うと共に、排ガスの流動方向に交差する水平方向に所定間隔で配置されて排ガス中のポップコーンアッシュが衝突して落下可能な複数の遮蔽板を有することを特徴とする請求項5に記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
前記前段捕集部は、前記複数の遮蔽板が排ガスの流動方向に沿って多段に配置されることを特徴とする請求項6または7に記載の排ガス処理装置。
【請求項9】
前記遮蔽板は、メッシュ形状またはスリット形状をなすことを特徴とする請求項6から8のいずれか一つに記載の排ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【公開番号】特開2013−103214(P2013−103214A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250863(P2011−250863)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】