排ガス浄化触媒及びその製造方法
【課題】担体上に担持された貴金属粒子の粒成長が抑制されており、使用の間のこのような貴金属粒子の活性が高く、且つ貴金属の使用量を比較的少なくすることができる排ガス浄化触媒、及びこのような排ガス浄化触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】担体11及び略半球状の貴金属粒子12を有し;担体と貴金属粒子とが接している部分の幅(W)と貴金属粒子の高さ(H)とが式(1)を満たし;且つ貴金属粒子の高さ(H)が0.5nm以上である排ガス浄化触媒10とする:W/H>1.0…(1)。また、原料溶液において貴金属イオンをポリマーに配位させ;この貴金属イオンを、部分的に還元及び凝集させて、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を形成し;この貴金属凝集体を含有する原料溶液に担体を導入し;そして担体及び原料溶液を乾燥及び焼成することを含む、排ガス浄化触媒の製造方法とする。
【解決手段】担体11及び略半球状の貴金属粒子12を有し;担体と貴金属粒子とが接している部分の幅(W)と貴金属粒子の高さ(H)とが式(1)を満たし;且つ貴金属粒子の高さ(H)が0.5nm以上である排ガス浄化触媒10とする:W/H>1.0…(1)。また、原料溶液において貴金属イオンをポリマーに配位させ;この貴金属イオンを、部分的に還元及び凝集させて、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を形成し;この貴金属凝集体を含有する原料溶液に担体を導入し;そして担体及び原料溶液を乾燥及び焼成することを含む、排ガス浄化触媒の製造方法とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化触媒、及びその製造方法に関する。本発明は特に、自動車等の内燃機関からの排ガスを浄化するために用いられる排ガス浄化触媒、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン等の内燃機関からの排ガス中には、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等が含まれる。これらの物質は、CO及びHCを酸化し、且つNOxを還元する排ガス浄化触媒によって浄化することができる。排ガス浄化触媒の代表的なものとしては、アルミナのような多孔質金属酸化物担体に、白金、ロジウム及びパラジウムのような貴金属を担持させて得られる触媒が知られている。
【0003】
このような貴金属を用いた排ガス浄化触媒では一般に、貴金属を高分散で担体に担持して貴金属の表面積を大きくすることが、排ガスの浄化に関して好ましいとされている。しかしながら、図2(a)に示す排ガス浄化触媒10aでのように、担体11に初期に担持されている個々の貴金属粒子12aが非常に小さく、例えば原子レベルである場合、触媒の使用の間に制御できないレベルで貴金属粒子が凝集して粒成長するという問題、及び貴金属が比較的酸化された状態で担体上に存在し、それによって触媒活性が充分に得られないという問題があった。
【0004】
貴金属粒子が小さすぎることによるこれらの問題を解決するためには、制御されたサイズの貴金属粒子を担体上に担持することが知られている(特許文献1〜3)。
【0005】
貴金属粒子のサイズ制御に関して、溶液中で制御されたサイズの貴金属コロイドを形成し、その後、この貴金属コロイドを担体に担持することが知られている。しかしながら、図1(b)で示すように、貴金属コロイドを用いて得られる従来の排ガス浄化触媒10bでは、貴金属コロイドから形成された貴金属粒子12bが担体11上で固定されにくく、それによって排ガス浄化触媒の使用の間に、貴金属粒子12bが担体11の表面で移動して、粒成長してしまうという問題があった。
【0006】
これに関して、特許文献3では、図1(c)で示すように、貴金属コロイドから形成された貴金属粒子12cを部分的に担体11中に埋没させ、それによって排ガス浄化触媒10cの使用の間に貴金属粒子12cが担体11の表面で移動して粒成長するという問題を抑制している。しかしながら、この方法では、担体11に埋没した部分の貴金属は排ガスと接触できず、活性点として作用しないので無駄となっており、したがって貴金属を比較的多量に使用しなければならなかった。
【0007】
ここで、排ガス浄化触媒の使用の間に貴金属粒子が担体の表面で移動して粒成長するのを抑制するためには、担体と担体に担持される貴金属との間の化学的親和性を利用することも知られている。これに関して例えば、特許文献4では、貴金属が担体の表面の酸素を介して担体の陽イオンと結合して表面酸化物層を形成するようにして、貴金属の粒成長を抑制することを提案しており、このような陽イオンとしては特に、ジルコニウムよりも小さい電気陰性度を有する陽イオンを挙げている。
【0008】
なお、特許文献5では、排ガス浄化触媒において、排ガスと貴金属微粒子と担体粒子との三相界面が、排ガスの浄化に関して効率的に機能している点に着目し、この三相界面を多くするために、真空アーク蒸着装置を用い、貴金属イオンをローレンツ力及びクーロン力によって担体に衝突させて担体に付着及び凝集させ、それによって担体上に略半球状の貴金属粒子を生成することを提案している。
【0009】
特許文献5でのように、真空アーク蒸着装置を用いて担体上に貴金属粒子を堆積させる場合、貴金属の粒径の制御が難しく、また貴金属粒子を担体の外表面に堆積させることはできるものの、貴金属粒子を担体の内部表面、すなわち担体の外側からは直接に観察することができない表面、例えば細孔内の表面に貴金属粒子を担持することは困難であった。また、真空アーク蒸着装置を用いた排ガス浄化触媒の製造方法では、実用的な速度で排ガス浄化触媒を製造することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−314885号公報
【特許文献2】特開2008−55418号公報
【特許文献3】特開2007−812号公報
【特許文献4】特開2007−289920号公報
【特許文献5】特開2008−308735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明では、担体上に担持された貴金属粒子の粒成長が抑制されており、使用の間のこのような貴金属粒子の活性が高く、且つ貴金属の使用量を比較的少なくすることができる排ガス浄化触媒を提供する。また本発明では、このような排ガス浄化触媒を製造することができる排ガス浄化触媒の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本件発明者等は、制御されたサイズの貴金属粒子が略半球状の形状で担体に担持されていることによって、上記課題を解決できることを見出して、下記の本発明に想到した。
【0013】
〈1〉担体、及び上記担体上に担持されている略半球状の貴金属粒子を有し、
上記担体と上記貴金属粒子とが接している部分の幅(W)と、上記担体の表面からの上記貴金属粒子の高さ(H)とが、下記の式(1)を満たし:
W/H>1.0 … (1)
上記担体の表面からの上記貴金属粒子の高さ(H)が、0.5nm以上である、
排ガス浄化触媒。
〈2〉上記貴金属粒子が、上記担体の外表面及び内表面に分散して担持されている、上記〈1〉項に記載の排ガス浄化触媒。
〈3〉上記担体の表面からの上記貴金属粒子の高さ(H)が、10.0nm以下である、上記〈1〉又は〈2〉項に記載の排ガス浄化触媒。
〈4〉一酸化炭素吸着法によって測定される上記貴金属粒子の粒径が、0.5〜10nmである、上記〈1〉〜〈3〉項のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
〈5〉上記貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、上記〈1〉〜〈4〉項のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
〈6〉上記担体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する金属酸化物担体である、上記〈1〉〜〈5〉項のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
〈7〉貴金属イオン及び/又は錯体とポリマーとを含有する原料溶液を提供して、上記貴金属イオン及び/又は錯体を上記ポリマーに配位させ、
上記ポリマーに配位している上記貴金属イオン及び/又は錯体を、部分的に還元及び凝集させて、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を形成し、
上記貴金属凝集体を含有する原料溶液に、担体を導入し、そして
上記担体及び原料溶液を乾燥及び焼成して、部分的に還元及び凝集している上記貴金属凝集体を上記担体に担持させること、
を含む、排ガス浄化触媒の製造方法。
〈8〉上記部分的な還元及び凝集を、加熱、還元剤の添加、又はそれらの組み合わせによって行う、上記〈7〉項に記載の方法。
〈9〉上記ポリマーが、第2級アミン基、第3級アミン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される官能基を有する、上記〈7〉又は〈8〉項に記載の方法。
〈10〉上記貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、上記〈7〉〜〈9〉項のいずれかに記載の方法。
〈11〉上記担体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する金属酸化物担体である、上記〈7〉〜〈10〉項のいずれかに記載の方法。
〈12〉上記〈7〉〜〈11〉項のいずれかに記載の方法によって製造される、排ガス浄化触媒。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の排ガス浄化触媒の概念断面図である。
【図2】図2は、従来技術の排ガス浄化触媒の概念断面図である。
【図3】図3は、排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法を概念的に説明するための図である。
【図4】図4は、1時間にわたって加熱還流した白金微粒子含有溶液を使用して得た白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)のTEM写真である(実施例1)。
【図5】図5は、4時間にわたって加熱還流した白金微粒子含有溶液を使用して得た白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)のTEM写真である(実施例1)。
【図6】図6は、8時間にわたって加熱還流した白金微粒子含有溶液を使用して得た白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)のTEM写真である(実施例1)。
【図7】図7は、4時間にわたって加熱還流した白金微粒子含有溶液を使用して得た白金担持アルミナ触媒(Pt/Al2O3)のTEM写真である(実施例1)。
【図8】図8は、加熱還流を行った時間と白金粒子含有溶液の吸光度との関係を示す図である(実施例2)。
【図9】図9は、実施例3及び4で用いた試験装置の概略図である。
【図10】図10は、従来技術の触媒及び本発明の触媒について、耐久後の白金の平均粒子径を示す図である(実施例3)。
【図11】図11は、白金の平均粒子径と炭化水素(HC)50%浄化温度との関係を示す図である(実施例4)。
【図12】図12は、白金の粒子径と酸化状態との関係を示す図である(実施例5)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈排ガス浄化触媒〉
本発明の排ガス浄化触媒は、担体、及び担体上に担持されている略半球状の貴金属粒子を有している。
【0016】
本発明の排ガス浄化触媒では、貴金属粒子が略半球状の形態で担体上に維持されていることによって、担体と貴金属粒子との接触面積が大きくなり、それによって触媒の使用の間における貴金属粒子の移動が抑制されている。具体的には本発明の排ガス浄化触媒では、図1で示すように、担体と貴金属粒子とが接している部分の幅(W)が、担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)と比較して大きくなっており、下記の式(1)を満たしている:
W/H>1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、又は1.6
… (1)
【0017】
また、本発明の排ガス浄化触媒では、担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)が、0.5nm以上である。すなわち、本発明の排ガス浄化触媒では、貴金属粒子が担体上に単独の原子の状態で担持されているのではなく、ある程度の大きさの粒子として存在している。このように、排ガス浄化触媒において貴金属粒子が制御されたサイズで担体上に担持されていることは、触媒の使用の間に貴金属粒子が制御できない程度に粒成長することを抑制するため、及び貴金属が金属的な状態で担体上に存在するようにするために好ましい。
【0018】
本発明の排ガス浄化触媒では好ましくは、貴金属粒子が、担体の外表面だけでなく、内表面にも分散して担持されている。これによれば、貴金属粒子が担体の外表面だけに担持されている場合と比較して、貴金属粒子間の間隔を広くすることができ、したがって貴金属粒子の焼結をさらに抑制することができる。ここで、「担体の外表面」は、担体の外側に直接に露出されている表面を意味し、また「担体の内表面」は、担体の外側に直接に露出されていない表面、すなわち例えば細孔の内部や、担体が二次粒子で構成されている場合の一次粒子間の隙間を意味する。
【0019】
これに関して、本発明の排ガス浄化触媒では、担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)は、0.5nm以上、0.6nm以上、0.8nm以上、又は1.0nm以上であってよい。また、本発明の排ガス浄化触媒では、担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)は、10.0nm以下、8.0nm以下、6.0nm以下、4.0nm以下、3.0nm以下、又は2.0nm以下であってよい。
【0020】
なお、本発明に関して、担体と貴金属粒子とが接している部分の幅(W)、及び担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)は、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察で得ることができる値である。ただし、本発明では、これらの値は全ての貴金属粒子に関して満たされていることを意味しているのではなく、TEMで観察したときにこれらの値を測定することができる貴金属粒子の少なくとも一部、例えば少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも70%、又は実質的に全て(TEM写真による面積換算)について満たされていることを意味している。
【0021】
上記記載のように、貴金属粒子が所定のサイズで担体上に担持されていることは、使用の間の貴金属粒子の焼結の抑制等に関して好ましい。このような貴金属粒子のサイズは一酸化炭素吸着法によって測定される貴金属粒子の粒径としても表すことができ、一酸化炭素吸着法によって測定される貴金属粒子の粒径は、好ましくは0.5〜10.0nm、より好ましくは0.8〜4.0nm、更により好ましくは0.8〜3.0nmである。
【0022】
このような本発明の排ガス浄化触媒は任意の方法によって製造することができるが、特に排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法によって製造することができる。
【0023】
〈排ガス浄化触媒−貴金属〉
本発明の排ガス浄化触媒で用いることができる貴金属は、任意の貴金属であってよく、特に白金、パラジウム、ロジウム、又はそれらの組み合わせが、排ガス浄化性能に関して好ましい。
【0024】
〈排ガス浄化触媒−担体〉
本発明の排ガス浄化触媒で用いることができる担体は、貴金属を担持することができる任意の担体、例えば金属酸化物担体、特に粉末状の金属酸化物からなる担体であってよい。
【0025】
このような担体、特に金属酸化物担体は、その上に担持された貴金属との親和性によって貴金属を引き付け、それによって貴金属粒子の移動を抑制する担体であることが好ましい。したがってこのような金属酸化物担体としては、特許文献4で挙げられているような金属酸化物担体、すなわち金属酸化物担体を構成する金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素の陽イオンが、ジルコニウムの陽イオンよりも小さい電気陰性度を有する担体を用いることが好ましい。具体的にはこのような担体としては、リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;カルシウム、バリウムのようなアルカリ土類金属;イットリウム、セリウムのような希土類;及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する担体を用いることが好ましい。特にこのような金属酸化物担体としては、セリウムを含有する金属酸化物担体、すなわちセリア、又はセリア−ジルコニア複合酸化物のようなセリア系担体を用いることが好ましい。このような金属酸化物担体を用いる場合、特許文献4で示されているように、貴金属が担体の表面の酸素を介して担体の陽イオンと結合して表面酸化物層を形成し、それによって貴金属の粒成長を抑制することができる。
【0026】
〈排ガス浄化触媒の製造方法〉
排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法は、貴金属イオン及び/又は錯体とポリマーとを含有する原料溶液を提供して、貴金属イオン及び/又は錯体をポリマーに配位させ;ポリマーに配位している貴金属イオン及び/又は錯体を、部分的に還元及び凝集させて、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を形成し;貴金属凝集体を含有する原料溶液に、担体を導入し;そして担体及び原料溶液を乾燥及び焼成して、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を担体に担持させることを含む。
【0027】
なお、本発明に関して「(貴金属イオン及び/又は錯体が)部分的に還元及び凝集」は、加熱、還元剤の供給等によって、貴金属イオン及び/又は錯体を更に還元及び/又は凝集させることができる状態を意味するものとする。ここで、「(貴金属イオン及び/又は錯体が)部分的に還元及び凝集」していることは例えば、このような貴金属凝集体を含有する溶液について吸光度を測定することによって判断できる。すなわち、吸光度は、貴金属粒子の凝集の程度を示すことができ、吸光度が大きいことは、貴金属凝集体含有溶液において、貴金属が大きな凝集体を作っていること、及び/又は貴金属が密な凝集体を作っていることを意味しているので、貴金属が「部分的に還元及び凝集」した状態は、更に「還元及び凝集」を進行させることができる状態、すなわち更に吸光度を大きくできる状態であることを意味する。
【0028】
以下では、図3を用いて本発明の原理を概念的に説明するが、本発明はこれらの説明によっていかようにも限定されるものではない。
【0029】
図3に示すように、この本発明の方法では始めに、貴金属イオン及び/又は錯体を含有する貴金属溶液(41)、及びポリマーを含有するポリマー溶液(42)を提供し、これらの溶液を混合(21)して、貴金属イオン及び/又は錯体をポリマーに配位(43)させる。このポリマーに配位している貴金属イオン及び/又は錯体を、部分的に還元及び凝集(22)させて、ポリマー中に、部分的に還元及び凝集した貴金属凝集体を形成(44)する。その後、この凝集体を含有する溶液に担体(35)を導入し、そして担体及び貴金属凝集体を乾燥及び焼成(23、24)して、貴金属凝集体(31)を担体(35)に担持させる。
【0030】
この本発明の方法では、部分的にのみ還元及び凝集した貴金属凝集体、すなわちまだ完全には還元及び凝集しておらず、したがって比較的ゆるく凝集している貴金属凝集体を、担体に担持している。これによれば、貴金属が比較的担体に密着するようにして、担体上に略半球状の形態で貴金属粒子を担持させることができる。
【0031】
このように、貴金属粒子と担体とが比較的密着しており、それによって貴金属粒子が担体上に略半球状の形態で担持されている場合、貴金属粒子と担体との接触面積が大きいことによって、触媒の使用の間の貴金属の移動、及びそれによる貴金属の粒成長を抑制することができる。また更に、この本発明の方法では、貴金属が所定のサイズの粒子として存在することによって、触媒活性を促進することができる。
【0032】
これに対して、貴金属イオン及び/又は錯体を含有する貴金属溶液(41)によって直接に貴金属を担体に担持する場合(25)、及び貴金属溶液とポリマー溶液とを混合した後(43)で貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集を行わずに貴金属を担体に担持する場合(26)には、貴金属は原子レベルで分散して担体に担持され(32)、したがって貴金属が所定のサイズの粒子として存在することによる利益を得ることができない。
【0033】
また、ポリマーに配位している貴金属イオン又は錯体を高度に還元及び凝集(28)させる場合、ポリマー中において貴金属原子同士が凝集していき、最終的に球状の安定構造をとる(45)。このような凝集体を含有する溶液に担体(35)を導入し、そして担体及び原料溶液を乾燥及び焼成して、貴金属凝集体を担体に担持させる場合(27)、貴金属がしっかりと凝集して球状の安定構造を有しており(33)、担体に対して密着させることができない。したがってこの場合には、貴金属と担体との接触面積が小さいことによって、触媒の使用の間の貴金属の移動の抑制、及びそれによる貴金属の粒成長の抑制が困難となる。
【0034】
なお、この本発明の方法では、溶液中に貴金属凝集体が分散しており、この溶液中に担体を導入して担体上に貴金属粒子を担持するので、担体の外表面だけでなく、担体の内表面、例えば細孔の内部、担体が二次粒子で構成されている場合の一次粒子間の隙間等にも、貴金属凝集体を担持させることができる。
【0035】
〈排ガス浄化触媒の製造方法−部分的な還元及び凝集〉
排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法では、ポリマーに配位している貴金属イオン及び/又は錯体を、任意の方法で部分的に還元及び凝集させることができる。部分的な還元及び凝集を行う具体的な方法としては、加熱還流のような加熱処理、還元剤の添加、それらの組み合わせ等を挙げることができる。加熱処理によって還元及び凝集を行わせる場合には、加熱の程度、及び/又は加熱時間を制御することによって、貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集を達成することができる。また、還元剤を用いて還元及び凝集を行わせる場合には、還元剤の種類の選択、還元剤の使用量の調節等によって、貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集を達成することができる。還元剤としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコールを挙げることができる。
【0036】
また、貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集の程度は、意図する貴金属粒子のサイズ、貴金属粒子の形状等に依存して決定することができる。一般に、貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集の程度が小さく、したがって貴金属が比較的ゆるく凝集している場合には、貴金属粒子のサイズは小さくなり、且つ/又は貴金属粒子は担体に密着した形状となる傾向がある。
【0037】
〈排ガス浄化触媒の製造方法−ポリマー〉
排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法で用いることができるポリマーとしては、貴金属イオン及び/又は錯体を配位させることができる任意のポリマーを用いることができる。したがってこのようなポリマーとしては例えば、第2級アミン基、第3級アミン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、等の金属を配位させることが可能な官能基、特に第2級アミン基、第3級アミン基等の官能基を有するポリマー、例えばポリビニルピロリドンを用いることができる。また、本発明の方法で用いることができるポリマーとしては、特許文献1及び2で用いられているようなデンドリマーを用いることもできる。
【0038】
本発明の方法で用いるポリマーの使用量は、ポリマーが貴金属イオン及び/又は錯体を配位させる能力、意図する貴金属粒子のサイズ、意図する貴金属粒子の形状等に依存して任意に決定することができる。
【0039】
〈排ガス浄化触媒の製造方法−担体及び貴金属〉
排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法で用いることができる担体及び貴金属としては、本発明の排ガス浄化触媒に関する上記の記載を参照することができる。なお、担体として、その上に担持された貴金属との親和性によって貴金属を引き付ける金属酸化物担体を用いる場合、部分的に還元及び凝集した貴金属凝集体を、貴金属凝集体含有溶液から乾燥及び焼成によって担体上に担持するときに、担体と貴金属との親和性によって貴金属を引き付け、それによって担体に比較的密着した形態の貴金属粒子の生成を促進できる。
【実施例】
【0040】
《実施例1》
白金の総含有量が4.50×10−3molのジニトロジアンミン白金硝酸([Pt(NO2)2(NH3)2])溶液に、イオン交換水を加えて撹拌して、300gの希釈白金溶液を得た。モノマー単位換算で2.25×10−2mol(白金のモル数の5倍)のポリビニルピロリドン(PVP)2.52gに、イオン交換水300gを加えて撹拌し、ポリビニルピロリドンを完全に溶解させて、均一なポリビニルピロリドン溶液を調整した。
【0041】
その後、ポリビニルピロリドン溶液に、希釈白金溶液をゆっくり滴下して混合し、室温で1時間撹拌し、イオン交換水とエタノールの混合比率が20:80(質量比)となるようにしてエタノールを加え、そして30分撹拌して、白金−ポリビニルピロリドン溶液を得た。このようにして得た白金−ポリビニルピロリドン溶液を加熱還流して、白金イオンを還元させ、白金微粒子含有溶液を得た。ここで、加熱還流は100℃において、1時間、4時間、及び8時間にわたって行って、3種類の白金微粒子含有溶液を得た。
【0042】
加熱還流を行っていない白金−ポリビニルピロリドン溶液、及び加熱還流を行って得た上記の3種類の白金微粒子溶液をそれぞれ、180gの蒸留水に分散させた30gのセリア(CeO2)の担体粉末に、白金が担体粉末に対して0.5wt%となるように添加して、1時間撹拌した。その後、120℃で水分を蒸発させ、450℃で2時間にわたって焼成し、乳鉢で粉砕して、4種類の白金担持セリア触媒を調製した。また同様にして、加熱還流を4時間にわたって行った白金微粒子含有溶液を用いて、白金をアルミナ担体粉末に担持して、白金担持アルミナ触媒を調製した。
【0043】
これらの白金担持セリア触媒について透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。結果を、図4〜7に示す。
【0044】
図4〜6はそれぞれ、加熱還流を1時間、4時間、及び8時間にわたって行って得た白金微粒子含有溶液を用いて、セリア担体粉末に白金を担持させた白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)である。また図7は、加熱還流を4時間にわたって行って得た白金微粒子含有溶液を用いて、アルミナ担体粉末に白金を担持させた白金担持アルミナ触媒(Pt/Al2O3)である。なお、加熱還流を行っていない白金−ポリビニルピロリドン溶液を用いて得た白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)では、白金が非常に微細な状態でセリア担体粉末に担持されており、TEMでは白金粒子を観察することが困難であった。
【0045】
上記の白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)及び白金担持アルミナ触媒(Pt/Al2O3)の評価結果について、下記の表1にまとめる。
【0046】
【表1】
【0047】
上記の表1より明らかなように、加熱還流によって白金を部分的に還元及び凝集させた白金微粒子含有溶液を用いて白金担持セリア触媒を得た場合、すなわち加熱還流を2時間又は4時間にわたって行った場合には、セリア担体と白金粒子とが接している部分の幅(W)が、セリア担体の表面からの白金粒子の高さ(H)よりも長くなっている。同様な傾向は、TEMでこれらの値を観察することができる貴金属粒子の実質的に全てについて観察された。
【0048】
なお、図4と図7との比較から明らかなように、加熱還流を4時間にわたって行って得た白金微粒子含有溶液を用いた場合であっても、セリア担体に担持した白金粒子は半球状であり、アルミナ担体に担持した白金粒子は球状に近い形状であった。これは、セリア担体が貴金属に対して強い親和性を示すのに対して、アルミナ担体は貴金属に対して強い親和性を有していないことによると考えられる。したがって、貴金属イオン又は錯体の還元及び凝集の程度は、使用する担体に依存して調節する必要があることが理解される。
【0049】
《実施例2》
実施例1でのようにして得たポリビニルピロリドン−白金溶液を加熱還流して、白金イオンを還元及び凝集させ、白金微粒子含有溶液を得た。ここで、加熱還流は、1時間、2時間、4時間、及び8時間にわたって行って、4種類の白金微粒子含有溶液を得た。
【0050】
実施例1でのようにして得たままのポリビニルピロリドン−白金溶液、及び加熱環流を行った4種類の白金微粒子含有溶液について、220nm〜780nmの波長での吸光度を測定した。結果を図8に示す。なお、この吸光度は、白金粒子の凝集の程度を示すことができ、吸光度が大きいことは、ポリビニルピロリドン−白金溶液、及び白金微粒子含有溶液において、白金が大きな凝集体を作っていること、及び/又は白金が密な凝集体を作っていることを意味している。なお、吸光度は、入射光強度をI0、且つ透過光強度をIとしたときに、log10(I0/I)で表わされる物体の光吸収の強さある。
【0051】
実施例1でのようにして得たままのポリビニルピロリドン−白金溶液(「加熱還流なし」)での最大級光度は約2.7であった。また、加熱環流、すなわち還元及び凝集処理を1時間、2時間、4時間、及び8時間にわたって行った4種類の白金微粒子含有溶液での最大級光度はそれぞれ、約2.9、約3.3、約3.3、及び約3.5であった。この結果からは、少なくとも4時間までの加熱還流では、白金イオンの還元及び凝集が完全には進行しておらず、加熱還流を継続することによって白金イオンの還元及び凝集が更に進行することが理解される。すなわち、この結果からは、少なくとも4時間までの加熱還流では、白金イオンの還元及び凝集が部分的にのみ行われていることが理解される。
【0052】
《実施例3》
実施例1でのようにして加熱還流を4時間にわたって行って得た白金微粒子含有溶液を用いて、セリア担体に白金を担持させて、本発明の白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)を得た。また、白金微粒子含有溶液の代わりに、実施例1でのようにして得た希釈白金溶液、すなわち希釈ジニトロジアンミン白金硝酸([Pt(NO2)2(NH3)2])溶液を直接に用いたことを除いて実施例1と同様にして、白金をセリア担体粉末に担持して、従来技術の白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)を得た。
【0053】
これら本発明及び従来技術の排ガス浄化触媒について、図9に示すような装置を用いて、下記に示す一酸化炭素(CO)パルス吸着法で、耐久後の白金粒子径を求めた。
【0054】
耐久条件: リッチ及びリーン雰囲気を2分ごとに切り替えて1000℃で5時間にわたって加熱
試料: 0.1g
一酸化炭素吸着条件: 排ガス浄化触媒を酸素中において400℃で20分間にわたって加熱して酸化処理し、そして水素中において400℃で20分間にわたって加熱して還元処理し、その後で0℃において排ガス浄化触媒に一酸化炭素を吸着させる。
【0055】
測定された耐久後の白金粒子径を図10に示す。図10から明らかなように、本発明の排ガス浄化触媒(「本発明」)では、従来技術の排ガス浄化触媒(「従来技術」)と比較して、耐久後にも小さい白金粒子径を維持することができる。
【0056】
《実施例4》
〈排ガス浄化触媒4−1の製造〉
実施例1でのようにして、白金の総含有量が4.50×10−3molのジニトロジアンミン白金硝酸([Pt(NO2)2(NH3)2])溶液に、イオン交換水を加えて撹拌して、300gの希釈白金溶液を得た。モノマー単位換算で2.25×10−2mol(白金のモル数の5倍)のポリビニルピロリドン(PVP)2.52gに、イオン交換水300gを加え撹拌して、ポリビニルピロリドンを完全に溶解させて、均一なポリビニルピロリドン溶液を調整した。
【0057】
その後、ポリビニルピロリドン溶液に、希釈白金溶液をゆっくり滴下して混合し、室温で1時間撹拌し、イオン交換水とエタノールの混合比率が20:80(質量比)となるようにしてエタノールを加え、そして30分撹拌して、白金−ポリビニルピロリドン溶液を得た。このようにして得た白金−ポリビニルピロリドン溶液を2時間にわたって加熱還流して、白金イオンを還元及び凝集させて、白金微粒子含有溶液を得た。このようにして得た白金微粒子含有溶液を、白金微粒子含有溶液4−1とする。
【0058】
白金微粒子含有溶液4−1を、重量にして6倍の蒸留水に分散させた30gのセリア(CeO2)系酸化物の粉末に、Ptが粉末に対して0.5wt%となるように添加し、1時間撹拌した。その後、120℃で水分を蒸発させ、450℃で2時間にわたって焼成し、乳鉢で粉砕して、白金担持セリア触媒を調製した。このようにして調製した白金担持セリア触媒を、排ガス浄化触媒4−1とする。この排ガス浄化触媒4−1は、実施例1において加熱還流を2時間行って得た排ガス浄化触媒に対応している。
【0059】
排ガス浄化触媒4−1の製造条件及び分析結果を下記の表2にまとめる。なお、吸光度及び白金粒径についてはそれぞれ、実施例2及び3で示したようにして測定した。
【0060】
〈排ガス浄化触媒4−2〜4−8の製造〉
下記の表1に示すように製造条件を変更したことを除いて排ガス浄化触媒4−1と同様にして、排ガス浄化触媒4−2〜4−8を得た。排ガス浄化触媒4−2〜4−8の製造条件及び分析結果を下記の表2にまとめる。
【0061】
【表2】
【0062】
〈評価〉
排ガス浄化触媒4−1〜4−8について、ペレット状に成形し、図9に示すような装置を用いて、下記に示すように炭化水素(HC)50%浄化温度(HCの浄化率が50%になる温度)を評価した。
【0063】
ガス総流量: 15L/分
ガス組成: C3H6−1000ppmC、CO−6500ppm、NO−1500ppm、O2−7000ppm、CO2−10%、H2O−なし、N2−残部
温度条件: 600℃から100℃まで降温(降温速度は20℃/分)
排ガス浄化触媒量: 3.0g
【0064】
評価結果を図11に示す。図11からは、白金の平均粒径が0.8〜4nm(白金原子数が9〜1140個の粒子に対応)のときに、HC50%浄化温度が低い、すなわち排ガス浄化触媒の活性が高いことが理解される。これは、白金の粒子径が小さすぎる場合には、白金が酸化物に近い状態で存在していること、及び白金の粒子径が大きすぎる場合には、反応の活性点となる白金の表面積が少なくなることによると考えられる。
【0065】
《実施例5》
実施例4の排ガス浄化触媒4−1及び4−4と同様にして、排ガス浄化触媒5−1及び5−2を得た。ここで、排ガス浄化触媒5−1及び5−2の平均白金粒径はそれぞれ、1.4nm及び0.7nmであった。
【0066】
このようにして得た排ガス浄化触媒5−1及び5−2について、X線光電子分光(XPS)分析を用いて、4f7/2軌道の結合エネルギーから、排ガス浄化触媒5−1(平均白金粒径1.4nm)、及び排ガス浄化触媒5−2(平均白金粒径0.7nm)での白金の酸化状態を評価した。結果を図12に示す。この図12からは、排ガス浄化触媒5−1(平均白金粒径1.4nm)では、白金が比較的に金属的な状態(Pt0)であるのに対して、排ガス浄化触媒5−2(平均白金粒径0.7nm)では、白金が比較的に酸化物的な状態(Pt2+)であることが理解される。
【符号の説明】
【0067】
10 本発明の排ガス浄化触媒
10a、10b、10c 従来技術の排ガス浄化触媒
11 担体
12、12a、12b、12c 貴金属粒子
W 担体と貴金属粒子とが接している部分の幅
H 担体の表面からの貴金属粒子の高さ
31 本発明の排ガス浄化触媒の貴金属粒子
32、33 従来技術の排ガス浄化触媒の貴金属粒子
35 担体
70 実施例3及び4で用いた試験装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化触媒、及びその製造方法に関する。本発明は特に、自動車等の内燃機関からの排ガスを浄化するために用いられる排ガス浄化触媒、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン等の内燃機関からの排ガス中には、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等が含まれる。これらの物質は、CO及びHCを酸化し、且つNOxを還元する排ガス浄化触媒によって浄化することができる。排ガス浄化触媒の代表的なものとしては、アルミナのような多孔質金属酸化物担体に、白金、ロジウム及びパラジウムのような貴金属を担持させて得られる触媒が知られている。
【0003】
このような貴金属を用いた排ガス浄化触媒では一般に、貴金属を高分散で担体に担持して貴金属の表面積を大きくすることが、排ガスの浄化に関して好ましいとされている。しかしながら、図2(a)に示す排ガス浄化触媒10aでのように、担体11に初期に担持されている個々の貴金属粒子12aが非常に小さく、例えば原子レベルである場合、触媒の使用の間に制御できないレベルで貴金属粒子が凝集して粒成長するという問題、及び貴金属が比較的酸化された状態で担体上に存在し、それによって触媒活性が充分に得られないという問題があった。
【0004】
貴金属粒子が小さすぎることによるこれらの問題を解決するためには、制御されたサイズの貴金属粒子を担体上に担持することが知られている(特許文献1〜3)。
【0005】
貴金属粒子のサイズ制御に関して、溶液中で制御されたサイズの貴金属コロイドを形成し、その後、この貴金属コロイドを担体に担持することが知られている。しかしながら、図1(b)で示すように、貴金属コロイドを用いて得られる従来の排ガス浄化触媒10bでは、貴金属コロイドから形成された貴金属粒子12bが担体11上で固定されにくく、それによって排ガス浄化触媒の使用の間に、貴金属粒子12bが担体11の表面で移動して、粒成長してしまうという問題があった。
【0006】
これに関して、特許文献3では、図1(c)で示すように、貴金属コロイドから形成された貴金属粒子12cを部分的に担体11中に埋没させ、それによって排ガス浄化触媒10cの使用の間に貴金属粒子12cが担体11の表面で移動して粒成長するという問題を抑制している。しかしながら、この方法では、担体11に埋没した部分の貴金属は排ガスと接触できず、活性点として作用しないので無駄となっており、したがって貴金属を比較的多量に使用しなければならなかった。
【0007】
ここで、排ガス浄化触媒の使用の間に貴金属粒子が担体の表面で移動して粒成長するのを抑制するためには、担体と担体に担持される貴金属との間の化学的親和性を利用することも知られている。これに関して例えば、特許文献4では、貴金属が担体の表面の酸素を介して担体の陽イオンと結合して表面酸化物層を形成するようにして、貴金属の粒成長を抑制することを提案しており、このような陽イオンとしては特に、ジルコニウムよりも小さい電気陰性度を有する陽イオンを挙げている。
【0008】
なお、特許文献5では、排ガス浄化触媒において、排ガスと貴金属微粒子と担体粒子との三相界面が、排ガスの浄化に関して効率的に機能している点に着目し、この三相界面を多くするために、真空アーク蒸着装置を用い、貴金属イオンをローレンツ力及びクーロン力によって担体に衝突させて担体に付着及び凝集させ、それによって担体上に略半球状の貴金属粒子を生成することを提案している。
【0009】
特許文献5でのように、真空アーク蒸着装置を用いて担体上に貴金属粒子を堆積させる場合、貴金属の粒径の制御が難しく、また貴金属粒子を担体の外表面に堆積させることはできるものの、貴金属粒子を担体の内部表面、すなわち担体の外側からは直接に観察することができない表面、例えば細孔内の表面に貴金属粒子を担持することは困難であった。また、真空アーク蒸着装置を用いた排ガス浄化触媒の製造方法では、実用的な速度で排ガス浄化触媒を製造することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−314885号公報
【特許文献2】特開2008−55418号公報
【特許文献3】特開2007−812号公報
【特許文献4】特開2007−289920号公報
【特許文献5】特開2008−308735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明では、担体上に担持された貴金属粒子の粒成長が抑制されており、使用の間のこのような貴金属粒子の活性が高く、且つ貴金属の使用量を比較的少なくすることができる排ガス浄化触媒を提供する。また本発明では、このような排ガス浄化触媒を製造することができる排ガス浄化触媒の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本件発明者等は、制御されたサイズの貴金属粒子が略半球状の形状で担体に担持されていることによって、上記課題を解決できることを見出して、下記の本発明に想到した。
【0013】
〈1〉担体、及び上記担体上に担持されている略半球状の貴金属粒子を有し、
上記担体と上記貴金属粒子とが接している部分の幅(W)と、上記担体の表面からの上記貴金属粒子の高さ(H)とが、下記の式(1)を満たし:
W/H>1.0 … (1)
上記担体の表面からの上記貴金属粒子の高さ(H)が、0.5nm以上である、
排ガス浄化触媒。
〈2〉上記貴金属粒子が、上記担体の外表面及び内表面に分散して担持されている、上記〈1〉項に記載の排ガス浄化触媒。
〈3〉上記担体の表面からの上記貴金属粒子の高さ(H)が、10.0nm以下である、上記〈1〉又は〈2〉項に記載の排ガス浄化触媒。
〈4〉一酸化炭素吸着法によって測定される上記貴金属粒子の粒径が、0.5〜10nmである、上記〈1〉〜〈3〉項のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
〈5〉上記貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、上記〈1〉〜〈4〉項のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
〈6〉上記担体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する金属酸化物担体である、上記〈1〉〜〈5〉項のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
〈7〉貴金属イオン及び/又は錯体とポリマーとを含有する原料溶液を提供して、上記貴金属イオン及び/又は錯体を上記ポリマーに配位させ、
上記ポリマーに配位している上記貴金属イオン及び/又は錯体を、部分的に還元及び凝集させて、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を形成し、
上記貴金属凝集体を含有する原料溶液に、担体を導入し、そして
上記担体及び原料溶液を乾燥及び焼成して、部分的に還元及び凝集している上記貴金属凝集体を上記担体に担持させること、
を含む、排ガス浄化触媒の製造方法。
〈8〉上記部分的な還元及び凝集を、加熱、還元剤の添加、又はそれらの組み合わせによって行う、上記〈7〉項に記載の方法。
〈9〉上記ポリマーが、第2級アミン基、第3級アミン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される官能基を有する、上記〈7〉又は〈8〉項に記載の方法。
〈10〉上記貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、上記〈7〉〜〈9〉項のいずれかに記載の方法。
〈11〉上記担体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する金属酸化物担体である、上記〈7〉〜〈10〉項のいずれかに記載の方法。
〈12〉上記〈7〉〜〈11〉項のいずれかに記載の方法によって製造される、排ガス浄化触媒。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の排ガス浄化触媒の概念断面図である。
【図2】図2は、従来技術の排ガス浄化触媒の概念断面図である。
【図3】図3は、排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法を概念的に説明するための図である。
【図4】図4は、1時間にわたって加熱還流した白金微粒子含有溶液を使用して得た白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)のTEM写真である(実施例1)。
【図5】図5は、4時間にわたって加熱還流した白金微粒子含有溶液を使用して得た白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)のTEM写真である(実施例1)。
【図6】図6は、8時間にわたって加熱還流した白金微粒子含有溶液を使用して得た白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)のTEM写真である(実施例1)。
【図7】図7は、4時間にわたって加熱還流した白金微粒子含有溶液を使用して得た白金担持アルミナ触媒(Pt/Al2O3)のTEM写真である(実施例1)。
【図8】図8は、加熱還流を行った時間と白金粒子含有溶液の吸光度との関係を示す図である(実施例2)。
【図9】図9は、実施例3及び4で用いた試験装置の概略図である。
【図10】図10は、従来技術の触媒及び本発明の触媒について、耐久後の白金の平均粒子径を示す図である(実施例3)。
【図11】図11は、白金の平均粒子径と炭化水素(HC)50%浄化温度との関係を示す図である(実施例4)。
【図12】図12は、白金の粒子径と酸化状態との関係を示す図である(実施例5)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈排ガス浄化触媒〉
本発明の排ガス浄化触媒は、担体、及び担体上に担持されている略半球状の貴金属粒子を有している。
【0016】
本発明の排ガス浄化触媒では、貴金属粒子が略半球状の形態で担体上に維持されていることによって、担体と貴金属粒子との接触面積が大きくなり、それによって触媒の使用の間における貴金属粒子の移動が抑制されている。具体的には本発明の排ガス浄化触媒では、図1で示すように、担体と貴金属粒子とが接している部分の幅(W)が、担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)と比較して大きくなっており、下記の式(1)を満たしている:
W/H>1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、又は1.6
… (1)
【0017】
また、本発明の排ガス浄化触媒では、担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)が、0.5nm以上である。すなわち、本発明の排ガス浄化触媒では、貴金属粒子が担体上に単独の原子の状態で担持されているのではなく、ある程度の大きさの粒子として存在している。このように、排ガス浄化触媒において貴金属粒子が制御されたサイズで担体上に担持されていることは、触媒の使用の間に貴金属粒子が制御できない程度に粒成長することを抑制するため、及び貴金属が金属的な状態で担体上に存在するようにするために好ましい。
【0018】
本発明の排ガス浄化触媒では好ましくは、貴金属粒子が、担体の外表面だけでなく、内表面にも分散して担持されている。これによれば、貴金属粒子が担体の外表面だけに担持されている場合と比較して、貴金属粒子間の間隔を広くすることができ、したがって貴金属粒子の焼結をさらに抑制することができる。ここで、「担体の外表面」は、担体の外側に直接に露出されている表面を意味し、また「担体の内表面」は、担体の外側に直接に露出されていない表面、すなわち例えば細孔の内部や、担体が二次粒子で構成されている場合の一次粒子間の隙間を意味する。
【0019】
これに関して、本発明の排ガス浄化触媒では、担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)は、0.5nm以上、0.6nm以上、0.8nm以上、又は1.0nm以上であってよい。また、本発明の排ガス浄化触媒では、担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)は、10.0nm以下、8.0nm以下、6.0nm以下、4.0nm以下、3.0nm以下、又は2.0nm以下であってよい。
【0020】
なお、本発明に関して、担体と貴金属粒子とが接している部分の幅(W)、及び担体の表面からの貴金属粒子の高さ(H)は、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察で得ることができる値である。ただし、本発明では、これらの値は全ての貴金属粒子に関して満たされていることを意味しているのではなく、TEMで観察したときにこれらの値を測定することができる貴金属粒子の少なくとも一部、例えば少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも70%、又は実質的に全て(TEM写真による面積換算)について満たされていることを意味している。
【0021】
上記記載のように、貴金属粒子が所定のサイズで担体上に担持されていることは、使用の間の貴金属粒子の焼結の抑制等に関して好ましい。このような貴金属粒子のサイズは一酸化炭素吸着法によって測定される貴金属粒子の粒径としても表すことができ、一酸化炭素吸着法によって測定される貴金属粒子の粒径は、好ましくは0.5〜10.0nm、より好ましくは0.8〜4.0nm、更により好ましくは0.8〜3.0nmである。
【0022】
このような本発明の排ガス浄化触媒は任意の方法によって製造することができるが、特に排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法によって製造することができる。
【0023】
〈排ガス浄化触媒−貴金属〉
本発明の排ガス浄化触媒で用いることができる貴金属は、任意の貴金属であってよく、特に白金、パラジウム、ロジウム、又はそれらの組み合わせが、排ガス浄化性能に関して好ましい。
【0024】
〈排ガス浄化触媒−担体〉
本発明の排ガス浄化触媒で用いることができる担体は、貴金属を担持することができる任意の担体、例えば金属酸化物担体、特に粉末状の金属酸化物からなる担体であってよい。
【0025】
このような担体、特に金属酸化物担体は、その上に担持された貴金属との親和性によって貴金属を引き付け、それによって貴金属粒子の移動を抑制する担体であることが好ましい。したがってこのような金属酸化物担体としては、特許文献4で挙げられているような金属酸化物担体、すなわち金属酸化物担体を構成する金属元素のうちの少なくとも1種の金属元素の陽イオンが、ジルコニウムの陽イオンよりも小さい電気陰性度を有する担体を用いることが好ましい。具体的にはこのような担体としては、リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;カルシウム、バリウムのようなアルカリ土類金属;イットリウム、セリウムのような希土類;及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する担体を用いることが好ましい。特にこのような金属酸化物担体としては、セリウムを含有する金属酸化物担体、すなわちセリア、又はセリア−ジルコニア複合酸化物のようなセリア系担体を用いることが好ましい。このような金属酸化物担体を用いる場合、特許文献4で示されているように、貴金属が担体の表面の酸素を介して担体の陽イオンと結合して表面酸化物層を形成し、それによって貴金属の粒成長を抑制することができる。
【0026】
〈排ガス浄化触媒の製造方法〉
排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法は、貴金属イオン及び/又は錯体とポリマーとを含有する原料溶液を提供して、貴金属イオン及び/又は錯体をポリマーに配位させ;ポリマーに配位している貴金属イオン及び/又は錯体を、部分的に還元及び凝集させて、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を形成し;貴金属凝集体を含有する原料溶液に、担体を導入し;そして担体及び原料溶液を乾燥及び焼成して、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を担体に担持させることを含む。
【0027】
なお、本発明に関して「(貴金属イオン及び/又は錯体が)部分的に還元及び凝集」は、加熱、還元剤の供給等によって、貴金属イオン及び/又は錯体を更に還元及び/又は凝集させることができる状態を意味するものとする。ここで、「(貴金属イオン及び/又は錯体が)部分的に還元及び凝集」していることは例えば、このような貴金属凝集体を含有する溶液について吸光度を測定することによって判断できる。すなわち、吸光度は、貴金属粒子の凝集の程度を示すことができ、吸光度が大きいことは、貴金属凝集体含有溶液において、貴金属が大きな凝集体を作っていること、及び/又は貴金属が密な凝集体を作っていることを意味しているので、貴金属が「部分的に還元及び凝集」した状態は、更に「還元及び凝集」を進行させることができる状態、すなわち更に吸光度を大きくできる状態であることを意味する。
【0028】
以下では、図3を用いて本発明の原理を概念的に説明するが、本発明はこれらの説明によっていかようにも限定されるものではない。
【0029】
図3に示すように、この本発明の方法では始めに、貴金属イオン及び/又は錯体を含有する貴金属溶液(41)、及びポリマーを含有するポリマー溶液(42)を提供し、これらの溶液を混合(21)して、貴金属イオン及び/又は錯体をポリマーに配位(43)させる。このポリマーに配位している貴金属イオン及び/又は錯体を、部分的に還元及び凝集(22)させて、ポリマー中に、部分的に還元及び凝集した貴金属凝集体を形成(44)する。その後、この凝集体を含有する溶液に担体(35)を導入し、そして担体及び貴金属凝集体を乾燥及び焼成(23、24)して、貴金属凝集体(31)を担体(35)に担持させる。
【0030】
この本発明の方法では、部分的にのみ還元及び凝集した貴金属凝集体、すなわちまだ完全には還元及び凝集しておらず、したがって比較的ゆるく凝集している貴金属凝集体を、担体に担持している。これによれば、貴金属が比較的担体に密着するようにして、担体上に略半球状の形態で貴金属粒子を担持させることができる。
【0031】
このように、貴金属粒子と担体とが比較的密着しており、それによって貴金属粒子が担体上に略半球状の形態で担持されている場合、貴金属粒子と担体との接触面積が大きいことによって、触媒の使用の間の貴金属の移動、及びそれによる貴金属の粒成長を抑制することができる。また更に、この本発明の方法では、貴金属が所定のサイズの粒子として存在することによって、触媒活性を促進することができる。
【0032】
これに対して、貴金属イオン及び/又は錯体を含有する貴金属溶液(41)によって直接に貴金属を担体に担持する場合(25)、及び貴金属溶液とポリマー溶液とを混合した後(43)で貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集を行わずに貴金属を担体に担持する場合(26)には、貴金属は原子レベルで分散して担体に担持され(32)、したがって貴金属が所定のサイズの粒子として存在することによる利益を得ることができない。
【0033】
また、ポリマーに配位している貴金属イオン又は錯体を高度に還元及び凝集(28)させる場合、ポリマー中において貴金属原子同士が凝集していき、最終的に球状の安定構造をとる(45)。このような凝集体を含有する溶液に担体(35)を導入し、そして担体及び原料溶液を乾燥及び焼成して、貴金属凝集体を担体に担持させる場合(27)、貴金属がしっかりと凝集して球状の安定構造を有しており(33)、担体に対して密着させることができない。したがってこの場合には、貴金属と担体との接触面積が小さいことによって、触媒の使用の間の貴金属の移動の抑制、及びそれによる貴金属の粒成長の抑制が困難となる。
【0034】
なお、この本発明の方法では、溶液中に貴金属凝集体が分散しており、この溶液中に担体を導入して担体上に貴金属粒子を担持するので、担体の外表面だけでなく、担体の内表面、例えば細孔の内部、担体が二次粒子で構成されている場合の一次粒子間の隙間等にも、貴金属凝集体を担持させることができる。
【0035】
〈排ガス浄化触媒の製造方法−部分的な還元及び凝集〉
排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法では、ポリマーに配位している貴金属イオン及び/又は錯体を、任意の方法で部分的に還元及び凝集させることができる。部分的な還元及び凝集を行う具体的な方法としては、加熱還流のような加熱処理、還元剤の添加、それらの組み合わせ等を挙げることができる。加熱処理によって還元及び凝集を行わせる場合には、加熱の程度、及び/又は加熱時間を制御することによって、貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集を達成することができる。また、還元剤を用いて還元及び凝集を行わせる場合には、還元剤の種類の選択、還元剤の使用量の調節等によって、貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集を達成することができる。還元剤としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコールを挙げることができる。
【0036】
また、貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集の程度は、意図する貴金属粒子のサイズ、貴金属粒子の形状等に依存して決定することができる。一般に、貴金属イオン及び/又は錯体の部分的な還元及び凝集の程度が小さく、したがって貴金属が比較的ゆるく凝集している場合には、貴金属粒子のサイズは小さくなり、且つ/又は貴金属粒子は担体に密着した形状となる傾向がある。
【0037】
〈排ガス浄化触媒の製造方法−ポリマー〉
排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法で用いることができるポリマーとしては、貴金属イオン及び/又は錯体を配位させることができる任意のポリマーを用いることができる。したがってこのようなポリマーとしては例えば、第2級アミン基、第3級アミン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、等の金属を配位させることが可能な官能基、特に第2級アミン基、第3級アミン基等の官能基を有するポリマー、例えばポリビニルピロリドンを用いることができる。また、本発明の方法で用いることができるポリマーとしては、特許文献1及び2で用いられているようなデンドリマーを用いることもできる。
【0038】
本発明の方法で用いるポリマーの使用量は、ポリマーが貴金属イオン及び/又は錯体を配位させる能力、意図する貴金属粒子のサイズ、意図する貴金属粒子の形状等に依存して任意に決定することができる。
【0039】
〈排ガス浄化触媒の製造方法−担体及び貴金属〉
排ガス浄化触媒を製造する本発明の方法で用いることができる担体及び貴金属としては、本発明の排ガス浄化触媒に関する上記の記載を参照することができる。なお、担体として、その上に担持された貴金属との親和性によって貴金属を引き付ける金属酸化物担体を用いる場合、部分的に還元及び凝集した貴金属凝集体を、貴金属凝集体含有溶液から乾燥及び焼成によって担体上に担持するときに、担体と貴金属との親和性によって貴金属を引き付け、それによって担体に比較的密着した形態の貴金属粒子の生成を促進できる。
【実施例】
【0040】
《実施例1》
白金の総含有量が4.50×10−3molのジニトロジアンミン白金硝酸([Pt(NO2)2(NH3)2])溶液に、イオン交換水を加えて撹拌して、300gの希釈白金溶液を得た。モノマー単位換算で2.25×10−2mol(白金のモル数の5倍)のポリビニルピロリドン(PVP)2.52gに、イオン交換水300gを加えて撹拌し、ポリビニルピロリドンを完全に溶解させて、均一なポリビニルピロリドン溶液を調整した。
【0041】
その後、ポリビニルピロリドン溶液に、希釈白金溶液をゆっくり滴下して混合し、室温で1時間撹拌し、イオン交換水とエタノールの混合比率が20:80(質量比)となるようにしてエタノールを加え、そして30分撹拌して、白金−ポリビニルピロリドン溶液を得た。このようにして得た白金−ポリビニルピロリドン溶液を加熱還流して、白金イオンを還元させ、白金微粒子含有溶液を得た。ここで、加熱還流は100℃において、1時間、4時間、及び8時間にわたって行って、3種類の白金微粒子含有溶液を得た。
【0042】
加熱還流を行っていない白金−ポリビニルピロリドン溶液、及び加熱還流を行って得た上記の3種類の白金微粒子溶液をそれぞれ、180gの蒸留水に分散させた30gのセリア(CeO2)の担体粉末に、白金が担体粉末に対して0.5wt%となるように添加して、1時間撹拌した。その後、120℃で水分を蒸発させ、450℃で2時間にわたって焼成し、乳鉢で粉砕して、4種類の白金担持セリア触媒を調製した。また同様にして、加熱還流を4時間にわたって行った白金微粒子含有溶液を用いて、白金をアルミナ担体粉末に担持して、白金担持アルミナ触媒を調製した。
【0043】
これらの白金担持セリア触媒について透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。結果を、図4〜7に示す。
【0044】
図4〜6はそれぞれ、加熱還流を1時間、4時間、及び8時間にわたって行って得た白金微粒子含有溶液を用いて、セリア担体粉末に白金を担持させた白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)である。また図7は、加熱還流を4時間にわたって行って得た白金微粒子含有溶液を用いて、アルミナ担体粉末に白金を担持させた白金担持アルミナ触媒(Pt/Al2O3)である。なお、加熱還流を行っていない白金−ポリビニルピロリドン溶液を用いて得た白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)では、白金が非常に微細な状態でセリア担体粉末に担持されており、TEMでは白金粒子を観察することが困難であった。
【0045】
上記の白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)及び白金担持アルミナ触媒(Pt/Al2O3)の評価結果について、下記の表1にまとめる。
【0046】
【表1】
【0047】
上記の表1より明らかなように、加熱還流によって白金を部分的に還元及び凝集させた白金微粒子含有溶液を用いて白金担持セリア触媒を得た場合、すなわち加熱還流を2時間又は4時間にわたって行った場合には、セリア担体と白金粒子とが接している部分の幅(W)が、セリア担体の表面からの白金粒子の高さ(H)よりも長くなっている。同様な傾向は、TEMでこれらの値を観察することができる貴金属粒子の実質的に全てについて観察された。
【0048】
なお、図4と図7との比較から明らかなように、加熱還流を4時間にわたって行って得た白金微粒子含有溶液を用いた場合であっても、セリア担体に担持した白金粒子は半球状であり、アルミナ担体に担持した白金粒子は球状に近い形状であった。これは、セリア担体が貴金属に対して強い親和性を示すのに対して、アルミナ担体は貴金属に対して強い親和性を有していないことによると考えられる。したがって、貴金属イオン又は錯体の還元及び凝集の程度は、使用する担体に依存して調節する必要があることが理解される。
【0049】
《実施例2》
実施例1でのようにして得たポリビニルピロリドン−白金溶液を加熱還流して、白金イオンを還元及び凝集させ、白金微粒子含有溶液を得た。ここで、加熱還流は、1時間、2時間、4時間、及び8時間にわたって行って、4種類の白金微粒子含有溶液を得た。
【0050】
実施例1でのようにして得たままのポリビニルピロリドン−白金溶液、及び加熱環流を行った4種類の白金微粒子含有溶液について、220nm〜780nmの波長での吸光度を測定した。結果を図8に示す。なお、この吸光度は、白金粒子の凝集の程度を示すことができ、吸光度が大きいことは、ポリビニルピロリドン−白金溶液、及び白金微粒子含有溶液において、白金が大きな凝集体を作っていること、及び/又は白金が密な凝集体を作っていることを意味している。なお、吸光度は、入射光強度をI0、且つ透過光強度をIとしたときに、log10(I0/I)で表わされる物体の光吸収の強さある。
【0051】
実施例1でのようにして得たままのポリビニルピロリドン−白金溶液(「加熱還流なし」)での最大級光度は約2.7であった。また、加熱環流、すなわち還元及び凝集処理を1時間、2時間、4時間、及び8時間にわたって行った4種類の白金微粒子含有溶液での最大級光度はそれぞれ、約2.9、約3.3、約3.3、及び約3.5であった。この結果からは、少なくとも4時間までの加熱還流では、白金イオンの還元及び凝集が完全には進行しておらず、加熱還流を継続することによって白金イオンの還元及び凝集が更に進行することが理解される。すなわち、この結果からは、少なくとも4時間までの加熱還流では、白金イオンの還元及び凝集が部分的にのみ行われていることが理解される。
【0052】
《実施例3》
実施例1でのようにして加熱還流を4時間にわたって行って得た白金微粒子含有溶液を用いて、セリア担体に白金を担持させて、本発明の白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)を得た。また、白金微粒子含有溶液の代わりに、実施例1でのようにして得た希釈白金溶液、すなわち希釈ジニトロジアンミン白金硝酸([Pt(NO2)2(NH3)2])溶液を直接に用いたことを除いて実施例1と同様にして、白金をセリア担体粉末に担持して、従来技術の白金担持セリア触媒(Pt/CeO2)を得た。
【0053】
これら本発明及び従来技術の排ガス浄化触媒について、図9に示すような装置を用いて、下記に示す一酸化炭素(CO)パルス吸着法で、耐久後の白金粒子径を求めた。
【0054】
耐久条件: リッチ及びリーン雰囲気を2分ごとに切り替えて1000℃で5時間にわたって加熱
試料: 0.1g
一酸化炭素吸着条件: 排ガス浄化触媒を酸素中において400℃で20分間にわたって加熱して酸化処理し、そして水素中において400℃で20分間にわたって加熱して還元処理し、その後で0℃において排ガス浄化触媒に一酸化炭素を吸着させる。
【0055】
測定された耐久後の白金粒子径を図10に示す。図10から明らかなように、本発明の排ガス浄化触媒(「本発明」)では、従来技術の排ガス浄化触媒(「従来技術」)と比較して、耐久後にも小さい白金粒子径を維持することができる。
【0056】
《実施例4》
〈排ガス浄化触媒4−1の製造〉
実施例1でのようにして、白金の総含有量が4.50×10−3molのジニトロジアンミン白金硝酸([Pt(NO2)2(NH3)2])溶液に、イオン交換水を加えて撹拌して、300gの希釈白金溶液を得た。モノマー単位換算で2.25×10−2mol(白金のモル数の5倍)のポリビニルピロリドン(PVP)2.52gに、イオン交換水300gを加え撹拌して、ポリビニルピロリドンを完全に溶解させて、均一なポリビニルピロリドン溶液を調整した。
【0057】
その後、ポリビニルピロリドン溶液に、希釈白金溶液をゆっくり滴下して混合し、室温で1時間撹拌し、イオン交換水とエタノールの混合比率が20:80(質量比)となるようにしてエタノールを加え、そして30分撹拌して、白金−ポリビニルピロリドン溶液を得た。このようにして得た白金−ポリビニルピロリドン溶液を2時間にわたって加熱還流して、白金イオンを還元及び凝集させて、白金微粒子含有溶液を得た。このようにして得た白金微粒子含有溶液を、白金微粒子含有溶液4−1とする。
【0058】
白金微粒子含有溶液4−1を、重量にして6倍の蒸留水に分散させた30gのセリア(CeO2)系酸化物の粉末に、Ptが粉末に対して0.5wt%となるように添加し、1時間撹拌した。その後、120℃で水分を蒸発させ、450℃で2時間にわたって焼成し、乳鉢で粉砕して、白金担持セリア触媒を調製した。このようにして調製した白金担持セリア触媒を、排ガス浄化触媒4−1とする。この排ガス浄化触媒4−1は、実施例1において加熱還流を2時間行って得た排ガス浄化触媒に対応している。
【0059】
排ガス浄化触媒4−1の製造条件及び分析結果を下記の表2にまとめる。なお、吸光度及び白金粒径についてはそれぞれ、実施例2及び3で示したようにして測定した。
【0060】
〈排ガス浄化触媒4−2〜4−8の製造〉
下記の表1に示すように製造条件を変更したことを除いて排ガス浄化触媒4−1と同様にして、排ガス浄化触媒4−2〜4−8を得た。排ガス浄化触媒4−2〜4−8の製造条件及び分析結果を下記の表2にまとめる。
【0061】
【表2】
【0062】
〈評価〉
排ガス浄化触媒4−1〜4−8について、ペレット状に成形し、図9に示すような装置を用いて、下記に示すように炭化水素(HC)50%浄化温度(HCの浄化率が50%になる温度)を評価した。
【0063】
ガス総流量: 15L/分
ガス組成: C3H6−1000ppmC、CO−6500ppm、NO−1500ppm、O2−7000ppm、CO2−10%、H2O−なし、N2−残部
温度条件: 600℃から100℃まで降温(降温速度は20℃/分)
排ガス浄化触媒量: 3.0g
【0064】
評価結果を図11に示す。図11からは、白金の平均粒径が0.8〜4nm(白金原子数が9〜1140個の粒子に対応)のときに、HC50%浄化温度が低い、すなわち排ガス浄化触媒の活性が高いことが理解される。これは、白金の粒子径が小さすぎる場合には、白金が酸化物に近い状態で存在していること、及び白金の粒子径が大きすぎる場合には、反応の活性点となる白金の表面積が少なくなることによると考えられる。
【0065】
《実施例5》
実施例4の排ガス浄化触媒4−1及び4−4と同様にして、排ガス浄化触媒5−1及び5−2を得た。ここで、排ガス浄化触媒5−1及び5−2の平均白金粒径はそれぞれ、1.4nm及び0.7nmであった。
【0066】
このようにして得た排ガス浄化触媒5−1及び5−2について、X線光電子分光(XPS)分析を用いて、4f7/2軌道の結合エネルギーから、排ガス浄化触媒5−1(平均白金粒径1.4nm)、及び排ガス浄化触媒5−2(平均白金粒径0.7nm)での白金の酸化状態を評価した。結果を図12に示す。この図12からは、排ガス浄化触媒5−1(平均白金粒径1.4nm)では、白金が比較的に金属的な状態(Pt0)であるのに対して、排ガス浄化触媒5−2(平均白金粒径0.7nm)では、白金が比較的に酸化物的な状態(Pt2+)であることが理解される。
【符号の説明】
【0067】
10 本発明の排ガス浄化触媒
10a、10b、10c 従来技術の排ガス浄化触媒
11 担体
12、12a、12b、12c 貴金属粒子
W 担体と貴金属粒子とが接している部分の幅
H 担体の表面からの貴金属粒子の高さ
31 本発明の排ガス浄化触媒の貴金属粒子
32、33 従来技術の排ガス浄化触媒の貴金属粒子
35 担体
70 実施例3及び4で用いた試験装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体、及び前記担体上に担持されている略半球状の貴金属粒子を有し、
前記担体と前記貴金属粒子とが接している部分の幅(W)と、前記担体の表面からの前記貴金属粒子の高さ(H)とが、下記の式(1)を満たし:
W/H > 1.0 … (1)
前記担体の表面からの前記貴金属粒子の高さ(H)が、0.5nm以上である、
排ガス浄化触媒。
【請求項2】
前記貴金属粒子が、前記担体の外表面及び内表面に分散して担持されている、請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
【請求項3】
前記担体の表面からの前記貴金属粒子の高さ(H)が、10.0nm以下である、請求項1又は2に記載の排ガス浄化触媒。
【請求項4】
一酸化炭素吸着法によって測定される前記貴金属粒子の粒径が、0.5〜10nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
【請求項5】
前記貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
【請求項6】
前記担体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する金属酸化物担体である、請求項1〜5のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
【請求項7】
貴金属イオン及び/又は錯体とポリマーとを含有する原料溶液を提供して、前記貴金属イオン及び/又は錯体を前記ポリマーに配位させ、
前記ポリマーに配位している前記貴金属イオン及び/又は錯体を、部分的に還元及び凝集させて、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を形成し、
前記貴金属凝集体を含有する原料溶液に、担体を導入し、そして
前記担体及び原料溶液を乾燥及び焼成して、部分的に還元及び凝集している前記貴金属凝集体を前記担体に担持させること、
を含む、排ガス浄化触媒の製造方法。
【請求項8】
前記部分的な還元及び凝集を、加熱、還元剤の添加、又はそれらの組み合わせによって行う、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーが、第2級アミン基、第3級アミン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される官能基を有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記担体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する金属酸化物担体である、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかに記載の方法によって製造される、排ガス浄化触媒。
【請求項1】
担体、及び前記担体上に担持されている略半球状の貴金属粒子を有し、
前記担体と前記貴金属粒子とが接している部分の幅(W)と、前記担体の表面からの前記貴金属粒子の高さ(H)とが、下記の式(1)を満たし:
W/H > 1.0 … (1)
前記担体の表面からの前記貴金属粒子の高さ(H)が、0.5nm以上である、
排ガス浄化触媒。
【請求項2】
前記貴金属粒子が、前記担体の外表面及び内表面に分散して担持されている、請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
【請求項3】
前記担体の表面からの前記貴金属粒子の高さ(H)が、10.0nm以下である、請求項1又は2に記載の排ガス浄化触媒。
【請求項4】
一酸化炭素吸着法によって測定される前記貴金属粒子の粒径が、0.5〜10nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
【請求項5】
前記貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
【請求項6】
前記担体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する金属酸化物担体である、請求項1〜5のいずれかに記載の排ガス浄化触媒。
【請求項7】
貴金属イオン及び/又は錯体とポリマーとを含有する原料溶液を提供して、前記貴金属イオン及び/又は錯体を前記ポリマーに配位させ、
前記ポリマーに配位している前記貴金属イオン及び/又は錯体を、部分的に還元及び凝集させて、部分的に還元及び凝集している貴金属凝集体を形成し、
前記貴金属凝集体を含有する原料溶液に、担体を導入し、そして
前記担体及び原料溶液を乾燥及び焼成して、部分的に還元及び凝集している前記貴金属凝集体を前記担体に担持させること、
を含む、排ガス浄化触媒の製造方法。
【請求項8】
前記部分的な還元及び凝集を、加熱、還元剤の添加、又はそれらの組み合わせによって行う、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーが、第2級アミン基、第3級アミン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される官能基を有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記担体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素を有する金属酸化物担体である、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかに記載の方法によって製造される、排ガス浄化触媒。
【図1】
【図2】
【図3】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−16090(P2011−16090A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163068(P2009−163068)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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