説明

排気ガスの消臭装置

【課題】 構成を極めて単純化することにより製造コスト及び設置コストを大幅に削減すると共に、ランニングコストも大幅に低減した排気ガスの消臭装置を提供する。
【解決手段】 内燃機関50の排気ガスの放出経路40又はその近傍の所望の箇所に取り付けられ、消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を収容する収納容器20と、この収納容器20内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を排気ガスの放出経路40に供給すると共に、その供給口32が排気ガスの放出経路40に向けられた管状の供給管30とを備え、排気ガスの流速を利用して、収納容器20内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を排気ガスに混合するようにした。
この場合、供給管30の代わりに、吹き出しノズルを用い、噴霧効果を高めるようにしても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、内燃機関等の排気ガスの臭いを消臭又は緩和するようにした排気ガスの消臭装置に係り、特に、構成を大幅に簡素化し、そのランニングコストを削減した排気ガスの消臭装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発電装置駆動用の内燃機関の公害問題が注目されるようになってきた中で、騒音、煤煙、振動等の対策が進められている。
しかしその一方で、その内燃機関の排気ガスの臭気対策については、出遅れているという問題がある。
【0003】
ここで、従来の消臭システムとしては、例えば、特許文献1に開示されているようなものが実用に共されている。
この従来の消臭システムについて、図2を用いて説明する。
図2は、従来の消臭システムを説明するための概略構成図であり、特許文献1の図1に相当するものである。
【0004】
図2に示すように、従来の消臭システム100は、所定の消臭剤を入れる1又は2以上の消臭剤タンク105と、消臭剤を混合して消臭剤水溶液にするポストミックスタンク103と、消臭剤タンク105内の消臭剤をポストミックスタンク103に輸送するポンプ102と、ポストミックスタンク103内の消臭剤水溶液を排気口に噴霧するスプレーガン101、及び、電磁弁107、スプレーガン101などを制御して、輸送管内の流体の流動性を制御するコントローラ104により、主として構成される。
【0005】
【特許文献1】特開2001−198204
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の消臭システムでは、消臭剤を収容する消臭剤タンクの他に、消臭剤を混合して消臭剤水溶液にするポストミックスタンクと、消臭剤タンク内の消臭剤をポストミックスタンクに輸送するポンプ、ポストミックスタンク内の消臭剤水溶液を排気口に噴霧するスプレーガンや、電磁弁、スプレーガンなどを制御して、輸送管内の流体の流動性を制御するコントローラ、このコントローラやポンプを駆動するための電源が必要である。
【0007】
従って、従来の消臭システムでは、構成が複雑で、システム全体の製造コストや設置コストが膨らむ上に、システム全体を駆動する電力を供給し続けなければならず、ランニングコストも嵩むという問題を備えていた。
従って、従来の消臭システムでは、発電装置駆動用の内燃機関の公害問題として注目されるようになってきた排気ガスの臭気問題に簡易に対応するのは困難である。
【0008】
本発明は、上記課題(問題点)を解決し、構成を極めて単純化することにより製造コスト及び設置コストを大幅に削減すると共に、ランニングコストも大幅に低減した排気ガスの消臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の消臭装置は、請求項1に記載のものでは、内燃機関等の排気ガスの放出経路又はその近傍の所望の箇所に取り付けられ、消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を収容する収納容器と、この収納容器内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を前記排気ガスの放出経路に供給すると共に、その供給口が前記排気ガスの放出経路に向けられた管状の供給管とを備え、前記排気ガスの流速を利用して、前記収納容器内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を前記排気ガスに混合するように構成した。
【0010】
請求項2に記載の排気ガスの消臭装置は、内燃機関等の排気ガスの放出経路又はその近傍の所望の箇所に取り付けられ、消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を収容する収納容器と、この収納容器内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を前記排気ガスの放出経路に吹き出すと共に、その吹き出し口が前記排気ガスの放出経路に向けられた吹き出しノズルとを備え、前記排気ガスの流速を利用して、前記収納容器内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を前記排気ガスに混合するように構成した。
【発明の効果】
【0011】
本発明の消臭装置は、上記のように構成したために、以下のような優れた効果を有する。
(1)請求項1及び2に記載したように構成すると、排気ガスの流速を効率的に利用することが可能になり、従来装置で必要であった、コントローラやポンプ、及びそれらの電源が不要になり、構成が大幅に簡素化でき、製造コストや設置コストが大幅に削減できる。
(2)また、従来装置で必要であった電源が不要になることで、ランニングコストを大幅に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の排気ガスの消臭装置の一実施の形態について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の排気ガスの消臭装置の基本構成及び基本動作を説明するための概略構成図である。
【0013】
本発明の排気ガスの消臭装置(以下単に「消臭装置」という場合がある)10の主要構成は、図1に示すように、内燃機関50の排気ガスの放出経路40の排出口42近辺等の所望の箇所に取り付けられ、消臭剤や芳香剤又はそれら双方を収容する収納容器20と、この収納容器20内の消臭剤、芳香剤又はそれら双方を排気ガスの放出経路40に供給する管状の供給管30である。
ここで、供給管30の供給口32は、排気ガスの放出経路40に向けられている。
また、図1において、52は発電機、60は消音器である。
【0014】
以上の構成で、次に、本実施の形態の消臭装置10の基本動作を説明する。
内燃機関50が稼働し、内燃機関50からの排気ガスが、消音器60を経由し、排気ガスの放出経路40を経て、放出口42から放出されるようになると、内燃機関50の運転時における排気ガスの流速が発生する。
【0015】
この排気ガスの流速により、供給管30の供給口32は、排気ガスの放出経路40に向けられているために、供給口32近辺は、収納容器20の内部より減圧状態になり、収納容器内20の消臭剤、芳香剤又はそれら双方が供給管30の供給口32に供給される。
【0016】
供給管30の供給口32に供給された収納容器内20の消臭剤、芳香剤又はそれら双方は、排気ガスの流速により、更に、噴霧状にされて排気ガス中に混合されることになる。
この結果、内燃機関50からの排気ガスの臭いを消臭し、或いは、緩和することになる。
【0017】
即ち、本実施の形態の消臭装置では、排気ガスの流速を効率的に利用することにより、従来装置で必要であった、コントローラやポンプ、及びそれらの電源が不要になり、構成が大幅に簡素化できるほかに、ランニングコストを大幅に削減することができる。
【0018】
本発明の排気ガスの消臭装置は、上述した実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。
上記実施の形態では、収納容器内の消臭剤、芳香剤又はそれら双方を排気ガスの放出経路に放出する構成として、供給管を用いた例で説明したが、これを例えば、排気ガスを収納容器内に誘導して収納容器内の内圧を高めにし、吹き出しノズルから消臭剤等を吹き出させ、噴霧効果を高めるようにしたものも本発明に含まれるのは勿論のことである。
【0019】
また、上記実施の形態では、収納容器及び供給管をそれぞれ単数とし、排気ガスの放出経路の放出口近辺に配置したもので説明したが、消臭装置の取り付け位置や収納容器及び供給管の数は、この実施の形態のものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の排気ガスの消臭装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】従来の消臭システムを示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0021】
10:排気ガスの消臭装置。
20:収納容器
30:供給管
32:供給口
40:排気ガスの放出経路
50:内燃機関

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関等の排気ガスの放出経路又はその近傍の所望の箇所に取り付けられ、消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を収容する収納容器と、
この収納容器内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を前記排気ガスの放出経路に供給すると共に、その供給口が前記排気ガスの放出経路に向けられた管状の供給管とを備え、
前記排気ガスの流速を利用して、前記収納容器内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を前記排気ガスに混合するようにしたことを特徴とする排気ガスの消臭装置。
【請求項2】
内燃機関等の排気ガスの放出経路又はその近傍の所望の箇所に取り付けられ、消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を収容する収納容器と、
この収納容器内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を前記排気ガスの放出経路に吹き出すと共に、その吹き出し口が前記排気ガスの放出経路に向けられた吹き出しノズルとを備え、
前記排気ガスの流速を利用して、前記収納容器内の消臭剤若しくは芳香剤又はそれら双方を前記排気ガスに混合するようにしたことを特徴とする排気ガスの消臭装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−9769(P2007−9769A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189789(P2005−189789)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000002059)神鋼電機株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】