説明

排気ガス低減装置及びその制御方法

【課題】排気ガス低減装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は、排気ガス低減装置及びその制御方法に関し、より詳しくは、バーナー及びメタルフィルターを共に利用することによって、高温で短い時間内にフィルター再生が可能であり、車両のアイドリング中にバーナーが作動されるようにし、分散手段を利用して安定的に火炎を形成することによって、効率的な再生が可能であり、耐久性を高めた排気ガス低減装置及びその制御方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス低減装置(exhaust gas-aftertreatment device)及びその制御方法に関し、より詳しくは、バーナー及びメタルフィルターを利用することによって、高温で短い時間内にフィルター再生が可能であり、車両のアイドリング中にバーナーが作動されるようにし、分散手段を利用して安定的に火炎を形成することによって、効率的な再生が可能であり、耐久性を高めた排気ガス低減装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル自動車は、従来のガソリン自動車に比べて燃費を減らすことができる一方で、出力が優れるため、大型車量に多く利用されており、次第に小型車量にも適用されている実情である。
【0003】
しかし、前記ディーゼルエンジンは、エンジン内部に燃料を噴射して圧縮着火方式で燃焼する4-行程機関であり、前記燃料の自己着火過程で燃料と空気の不均一化によって不完全燃焼が起きることによって有害微粒子(媒煙)が発生される。
【0004】
特に、前記有害微粒子は、主に、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM:Particulate Matter)、及びスート(Soot、煤)であり、前記ディーゼル自動車による有害微粒子が総大気汚染の40%を占めるという報告があり、これにより、多くの国家では、媒煙の排出を規制しており、これを満たすために排気管に挿入されて媒煙を低減させる媒煙低減装置が開示されたことがある。
【0005】
前記媒煙低減装置は、大きく、媒煙を触媒フィルターにより捕集して、一定温度以上になると、捕集された媒煙を触媒により酸化させる自然再生方式と、外部熱源を利用して媒煙温度を強制的に高める強制再生方式と、に区分されることができる。
【0006】
まず、前記自然再生方式の媒煙低減装置は、交通渋滞の激しい区間のように低速運行区間が多い場合には媒煙の温度が低くなって触媒により自然再生が難しい問題点がある。
【0007】
特に、清掃車または交通渋滞の激しい都心の低速バスのように頻繁なアイドリング(Idle)状態を維持する車両には適用が難しく、燃料として低硫黄ディーゼル(LSD:Low Sulfur Diesel)または高硫黄ディーゼル(HSD:High Sulfur Diesel)を使用する場合には人体に非常に有害な硫酸塩(Sulfate)が生成され、超低硫黄ディーゼル(ULSD:Ultra Low Sulfur Diesel)のみ使用しなければならない限界がある。
【0008】
また、前記触媒が本来の機能ができなくなる場合、排気排圧の増加によって出力が低下されて、燃料の消費量が増加され、このような現象が持続する場合には前記フィルターが破損されるだけでなく、エンジンまで損傷されるようになる。
【0009】
なお、強制再生方式の媒煙低減装置は、前記触媒フィルターによる自然再生方式に電気ヒーター、プラズマ、バーナーなどを使用する。
【0010】
前記電気ヒーターが利用された例として、韓国特許公開公報2004-68792号にディーゼルエンジン媒煙低減装置が開示されており、これを図1に示す。
【0011】
図1に示すディーゼルエンジン媒煙低減装置は、媒煙を低減するために触媒を活用して媒煙を再生するディーゼルエンジン媒煙低減装置において、熱容量を空間的に差等に分配できる電気ヒーター4が低温領域で触媒の活性化またはNO/NOの転換効率増大のために触媒装置8と少なくとも一つ以上が結合することを特徴とする。
【0012】
図1に示すディーゼルエンジン媒煙低減装置は、電気ヒーターが備えられ、触媒の反応を活性化させるようにして自然再生が円滑になされるようにする長所があるが、媒煙を昇温させるためには相当大きい容量のバッテリーが必要となり、現実的に適用が難しく、別途の装置が備えられなければならないため、大型化且つ複雑で経済性が落ちる問題点がある。
【0013】
前記強制再生方式の他の例として、プラズマを利用したプラズマ反応器が提案されたことがあるが、前記プラズマ反応器の価格が高くて全体生産コストを増加させる要因になり、前記プラズマを発生するためには100,000Voltの相当高い電圧を必要として、12または24Voltで作動される車両内部には前記プラズマ発生電圧を誘導するための大容量の複雑な昇圧装置(Converter)が必要であり、点火部の汚染を防止するために定期的な清掃が必要であるため、維持補修が難しく、且つ商用化が難しい問題点がある。
【0014】
また、前記強制再生方式の他の例として、ディーゼル燃料を原料にして火炎を発生するバーナーは、燃料の完全燃焼を介して排気ガス低減効率を高めることができる方法であるが、車両の走行中に直接的な火炎を利用するようになり、引火性物質が周辺に位置する場合に爆発などの危険があり、運行パターンによって排気流量及び温度が複雑に変化され、均一、且つ安定した火炎を形成し難い問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前述したような問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、バーナー及びメタルフィルターを利用することによって、高温で短い時間内にフィルター再生が可能であり、車両のアイドリング状態でバーナーが作動されるようにして危険要素無しに安定的に強制再生することによって、排気ガス低減効率及び安全度を高めることができ、エンジンの種類、排気量、走行パターンなどの条件に関係なく、あらゆる車両に適用されることができる排気ガス低減装置及びその制御方法を提供することである。
【0016】
また、本発明の目的は、分散手段を介して燃料と排気ガスを効果的に混合して、火炎を安定的に形成することによって再生効率を高めて、熱伝導が良いフェカロイ(Fecalloy)材質のメタルフィルターを利用することによって、クラックまたはメルティングによるフィルターの損傷を防止することによって、耐久性及び信頼性を高めることができる排気ガス低減装置及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の排気ガス低減装置は、ディーゼルエンジンから発生される排気ガスを低減させる排気ガス低減装置において、前記排気ガス低減装置は、一側に排気管と連結されて内部に排気ガスが流入されるようにする排気ガス流入部、及び他側に浄化された排気ガスが排出されるようにする排気ガス排出部が形成される本体;前記本体の排気ガス流入部に隣接して形成され、端部にノズル部が形成されて微粒化された燃料を噴射する燃料噴射手段、前記噴射された燃料を点火する点火手段、前記燃料噴射手段を介して噴射された燃料と排気ガス流入部を介して流入した排気ガスとをメタルフィルターにガイドする分散手段を含むバーナー;前記バーナーの後端に形成され、排気ガス内の有機物または粒子状物質(PM:Particulate Matter)を燃焼させるメタルフィルター;及び、前記バーナーの作動を制御し、装置状態を判断する制御手段;を含むことを特徴とする。
【0018】
また、前記メタルフィルターは、フェカロイ(Fecalloy)材質であることを特徴とし、前記メタルフィルターは、表面熱処理されることを特徴とし、前記表面熱処理は、900ないし1000℃の空気(Air)雰囲気で実行され、表面にアルミナ酸化膜が形成されることを特徴とする。
【0019】
また、前記分散手段は、前記燃料噴射手段から前記メタルフィルター方向へ直径が広くなる形態に形成され、複数個の中空部が形成されて前記排気ガス流入部を介して流入された排気ガスが前記中空部を介して分散手段の内部に移動することによって、内部の噴射された燃料と効果的に混合され、安定的に火炎が形成されるようにすることを特徴とし、前記中空部は、前記分散手段の接線方向で一定角度傾斜して形成され、前記中空部を介して分散手段の内部に移動された排気ガスが一定の流れを有するように形成されることを特徴とする。
【0020】
なお、前記排気ガス低減装置は、前記燃料噴射手段のノズル部に空気を噴射する空気噴射手段がさらに形成されることを特徴とする。
【0021】
また、前記制御手段は、前記排気ガス低減装置またはメタルフィルターの前段に位置した圧力センサ、メタルフィルター前端及び後端の温度を測定する温度センサ、エンジンのRPMセンサ、またはGPS(Global Positioning System)情報を介して装置状態を判断することを特徴とし、前記排気ガス低減手段は、前記制御手段によって決定された装置状態及び危険状況を知らせる通報手段がさらに形成されることを特徴とする。
【0022】
一方、本発明の排気ガス低減装置の制御方法は、前述したような特徴の排気ガス低減装置を利用し、前記排気ガス低減装置の制御方法は、エンジンが作動された後、前記バーナーの作動が必要かどうか判断する強制再生可否判断段階;前記強制再生可否判断段階でバーナーの作動が必要であると判断される場合、前記通報手段を介して車両運転者に警告信号を伝達する警告信号伝達段階;前記警告信号伝達段階よりも後に、車両がアイドリング(Idle)状態かどうか判断するアイドリング状態判断段階;前記アイドリング状態判断段階でアイドリング状態であると判断され、ユーザの再生作動指示が入力される場合、前記バーナーを作動させて強制再生する強制再生段階;及び、前記強制再生段階の実行後、バーナーを停止して強制再生を終了する強制再生終了段階;を含むことを特徴とする。
【0023】
また、前記強制再生可否判断段階で、圧力センサの測定圧力が第1の圧力以上または圧力センサの一定時間中に測定平均圧力が第2の圧力以上の場合、バーナーが作動されなければならないことを判断することを特徴とし、前記第1の圧力は、150ないし250mbarであり、前記第2の圧力は、75ないし150mbarであることを特徴とする。
【0024】
なお、前記排気ガス低減装置の制御方法は、エンジン作動以後に装置の状態を点検する装置状態点検段階;がさらに含まれることを特徴とし、前記強制再生終了段階よりも後に、エンジンが作動される場合、前記強制再生可否判断段階が再び実行されることを特徴とする。
【0025】
前記強制再生段階で、前記バーナーは、前記メタルフィルターの前段の温度が600ないし900℃になるように燃料噴射量が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
これにより、本発明の排気ガス低減装置及びその制御方法は、バーナー及びメタルフィルターを共に使用し、分散手段を介して燃料と排気ガスを効果的に混合して火炎を安定的に形成することによって、高温で媒煙を燃焼して短い時間内にフィルター再生が可能であり、前記メタルフィルターの熱伝導が良いフェカロイ(Fecalloy)材質のメタルフィルターを利用することによって、従来セラミック材質のメタルフィルターで頻繁に発生したクラックまたはメルティングによるフィルターの損傷を防止することによって、耐久性及び信頼性を高めることができる長所がある。
【0027】
また、本発明の排気ガス低減装置及びその制御方法は、バーナーが車両のアイドリング状態で作動されるようにすることによって、再生が必要な場合、安定的に強制再生することによって、排気ガス低減効率を上げることができ、外部危険要素を遮断して安全度を高めることができ、エンジンの種類、排気量、走行パターンなどの条件に関係なく、あらゆる車両に適用されることができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来の排気ガス低減装置を示す概略図である。
【図2】本発明に係る排気ガス低減装置を示す概略図である。
【図3】図2に示す排気ガス低減装置のバーナーを示す図である。
【図4】図3のAA'断面図である。
【図5】本発明に係る排気ガス低減装置の他のバーナーを示す図である。
【図6】本発明に係る排気ガス低減装置の燃料及び排気ガスの流れの概略図である。
【図7】本発明に係る排気ガス低減装置の制御方法の概略図である。
【図8】本発明に係る排気ガス低減装置の排気ガス温度及び圧力を示すグラフである。
【図9】本発明に係る排気ガス低減装置の制御方法の他の概略図である。
【図10】本発明に係る排気ガス低減装置の制御方法の他の概略図である。
【符号の説明】
【0029】
100 排気ガス低減装置
110 本体
111 排気ガス流入部
112 排気ガス排出部
120 バーナー
121 燃料噴射手段
122 ノズル部
123 点火手段
124 分散手段
125 中空部
126 空気噴射手段
130 メタルフィルター
140 制御手段
141 圧力センサ
142、143 温度センサ
150 通報手段
200 エンジン
210 排気管
S100〜S700 本発明の排気ガス低減装置の制御方法の各段階
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、前述したような特徴を有する本発明の排気ガス低減装置100及びその制御方法を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図2は、本発明に係る排気ガス低減装置100を示す概略図であり、図3は、図2に示す排気ガス低減装置100のバーナー120を示す図であり、図4は、図3のAA'断面図であり、図5は、本発明に係る排気ガス低減装置100の他のバーナー120を示す図であり、図6は、本発明に係る排気ガス低減装置100の燃料及び排気ガスの流れの概略図である。
【0032】
本発明の排気ガス低減装置100は、ディーゼルエンジン200から発生される排気ガスを低減する装置であり、大きく、排気ガスが流入される排気ガス流入部111と排気ガスが排出される排気ガス排出部112とが形成された本体110;強制再生するバーナー120;排気ガス内の有機物または粒子状物質を燃焼させるメタルフィルター130;及び、制御手段140;を含んで形成される。
【0033】
まず、前記本体110は、本発明の排気ガス低減装置100を形成する基本本体であって、一側にディーゼルエンジン200から発生される排気ガスが流動される排気管210と連結される排気ガス流入部111と、他側に浄化された排気ガスが排出される排気ガス排出部112とが形成され、内部に前記バーナー120及びメタルフィルター130が排気ガスの流動方向に順次形成される。
【0034】
図2及び図3は、前記排気ガス流入部111と排気ガス排出部112とが前記本体110の前端及び後端に各々形成され、前記排気ガス流入部111、バーナー120、メタルフィルター130、及び排気ガス排出部112が前記排気ガスの進行方向に順次形成された例を示し、図5は、前記排気ガス流入部111が一側上部に形成され、排気ガスが段差状の流れを有する例を示す。
【0035】
図2、図3及び図5は、本発明の排気ガス低減装置100を示す一実施例であり、前記本体110はこの外にも多様に形成可能である。
【0036】
前記バーナー120は、強制再生のための構成品であり、端部にノズル部122が形成されて微粒化された燃料を噴射する燃料噴射手段121、点火手段123、及び分散された燃料をガイドする分散手段124を含んで形成される。
【0037】
前記燃料噴射手段121は、前記排気ガス流入部111に隣接して形成され、ノズル部122が形成されて微粒化された燃料を噴射する装置であり、前記制御手段140により燃料噴射量が制御され、前記燃料噴射量は、前記バーナー120により形成される火炎に影響を与えてフィルターの前段及び後端の温度に直接的な影響を与えるようになる。
【0038】
前記ノズル部122による燃料噴射における燃料噴射角度は、45〜60゜程度に調節され、前記本体110の内部に全体的に火炎が形成されるようにするのが好ましい。
【0039】
前記制御手段140は、排気ガス低減装置100またはメタルフィルター130の前段に位置した圧力センサ141(図2では圧力センサ141が排気ガス低減装置100の前段に位置した例を開示)、メタルフィルター130の前端及び後端の温度を測定する温度センサ142、143、エンジン200のRPMセンサ、またはGPS(Global Positioning System)情報を介して(図2において点線で表示)装置状態を判断し、これによりプログラミングされた燃料噴射量が噴射されるように前記燃料噴射手段121に制御信号を伝達(図2において実線で表示)する。
【0040】
図2で、前記制御手段140が入力を受ける情報元として、エンジンのRPMセンサ、排気ガス低減装置100の前段に位置した圧力センサ141、及びメタルフィルター130の前端及び後端の温度を測定する温度センサ142、143が利用された例を示したが、これは一例に過ぎず、本発明の制御手段140は、図2に示す要素のうち一部のみを利用してもよく、前記GPS情報をさらに利用してもよい。
【0041】
前記制御手段140による作動制御は、以下、詳細に説明する。
【0042】
このとき、前記制御手段140による燃料噴射量制御は、図面に示していないが、燃料貯留部と連結された配管の燃料ポンプ操作を制御して、前記燃料ポンプにかかる圧力を微細に制御でき、前記燃料噴射量制御は、設定された温度上昇パターンまたは目標値と比較して前記温度センサ142、143から追加的な情報がフィードバックされて制御されることができる。
【0043】
また、本発明の排気ガス低減装置100は、前記燃料噴射手段121のノズル部122が排気ガス内部の粒子により詰まる現象を防止するために、前記ノズル部122に空気を噴射する空気噴射手段126がさらに形成されることができる。
【0044】
図面において、前記空気噴射手段126が前記燃料噴射手段121の周辺に形成されて二重管形態で形成された例を示したが、前記ノズル部122の詰まり現象が防止できるように空気が噴射できる構成であれば多様に形成されることができる。
【0045】
前記空気噴射手段126は、一定時間ごとに特定圧力の空気圧を噴射し、前記特定圧力は、1bar内外であるのが好ましい。
【0046】
本発明の排気ガス低減装置100は、前記空気噴射手段126の代りに、同一機能を担当するノズル部122を開閉する開閉手段(未図示)が形成されることができ、より詳しく、前記開閉手段は、前記排気ガスの粒子によりノズル部122が詰まる現象を防止するために、前記燃料噴射手段121の燃料噴射の際、前記ノズル部122が開放されるようにし、燃料噴射中止の際、閉鎖される。
【0047】
前記点火手段123は、前記噴射された燃料を点火する手段であり、表面温度が1200〜1500℃の範囲で発熱され、前記発熱される部分が前記燃料噴射手段121により噴射された燃料範囲に触れるように形成され、前記メタルフィルター130の方向に火炎が形成されるように位置され、前記制御手段140により制御される。
【0048】
このとき、排気ガス温度を効果的に上昇させて燃焼するためには前記火炎を安定的に維持されるようにすることが重要であり、前記排気ガス流入部111を介して多い量の排気ガスが流入される場合に前記火炎が弱くなるおそれがあるため、本発明の排気ガス低減装置100は、前記バーナー120の内部に分散手段124が形成される。
【0049】
前記分散手段124は、前記火炎を保護し、前記燃料噴射手段121を介して噴射された燃料と排気ガス流入部111を介して流入した排気ガスとを前記メタルフィルター130にガイドするための構成であり、より詳しく、前記燃料噴射手段121から前記メタルフィルター130の方向に直径が広くなるコーン(Cone)またはこれと類似の構造となっており、複数個の中空部125が形成される。
【0050】
前記中空部125は、前記排気ガス流入部111を介して流入された排気ガスが前記火炎が形成される分散手段124の内部に移動されるように形成され、前記分散手段124の長さ方向及び横方向に複数個形成される。
【0051】
また、前記中空部125は、図4に示すように、前記分散手段124の接線方向で一定角度傾斜して形成され、前記中空部125を介して分散手段124の内部に移動された排気ガスが一定の流れを有するように形成されるのが好ましい。
【0052】
前記中空部125が傾斜して形成される場合、排気ガスの流れがスワール(Swirl)形態で形成(図6参照)され、本発明の排気ガス低減装置100は、前記燃料と排気ガスとが円滑に混合され、前記メタルフィルター130の全領域に等しく分布して排気ガス低減効率を上げるようになる長所がある。
【0053】
即ち、本発明の排気ガス低減装置100は、前記分散手段124が形成されて排気ガスにより火炎が妨害されないように、直接接触されることを防止することによって、火炎が安定的に形成されるようにし、排気ガスと燃料との混合度を高めて低減効率を上げるようになる。
【0054】
次に、前記メタルフィルター130は、前記バーナー120の後端に形成されて前記バーナー120により昇温された排気ガス内の有機物または粒子状物質を燃焼させる構成であり、高温に強いフェカロイ(Fecalloy)材質で形成され、表面が熱処理されて酸化膜層がさらに形成されることができる。
【0055】
このとき、前記表面熱処理は、900ないし1000℃の空気(Air)雰囲気で実行され、アルミナ酸化膜が形成されて排気ガス低減効率を高めることができるようにするのが好ましい。
【0056】
なお、前記メタルフィルター130は、火炎に直接触れて高温に露出されるため、高温に耐えることができる触媒をコーティングすることができる。
【0057】
従来のセラミックフィルターと比較して本発明のメタルフィルター130は、メルティングポイントが低いが、熱伝導性が高く、且つ熱膨張が低い材質のものであり、本発明の排気ガス低減装置100は、前記メタルフィルター130を使用することによって、従来のセラミックフィルターが有する部分クラック(Crack)またはメルティング(Melting)によりフィルターが破損される問題点を解決して耐久性を高めることができる長所がある。
【0058】
より詳しく、セラミックフィルターであるコーディエライト(Cordierite)、シリコンカーバイド(SiC)材質のフィルターは、メルティングポイントが高く、一般的な熱的耐久性は有しているが、熱伝導が低くて車両運行中の排気ガス量が突然に多くなったり、流動が不均一化されて局部的に過剰捕集されたりする場合、特定部分で過剰発熱され、前記熱が適切に伝達されなくて前記部分でフィルタークラックまたはメルティングが発生される。
【0059】
特に、前記過剰発熱は、2000℃以上の温度になってセラミックフィルターのメルティングポイントより高いため、セラミックフィルターが損傷され、フィルターが局所部位でも損傷されると、排気ガスの流量はさらに不均一に偏向され、これによる耐久性の低下はさらに速く進行される。
【0060】
従って、本発明の排気ガス低減装置100は、熱伝導性が高く、且つ熱容量が低く、熱膨張が低いフェカロイ(Fecalloy)材質のメタルフィルター130を利用することによって、排気ガス流量が偏向されて特定部分で過剰発熱が発生されるとしても周辺部に熱を速く伝達してフィルター損傷が防止できる長所がある。
【0061】
また、本発明の排気ガス低減手段は、前記制御手段140と連結され、前記制御手段140によって決定された装置状態及び危険状態などを車両運転者に知らせる通報手段がさらに形成されることができる。
【0062】
前記通報手段は、ユーザに視覚または聴覚的に状態を知らせる手段であり、LEDのような視覚信号またはブザーまたは録音された音を利用した聴覚通報を個別的または同時に利用することができる手段であり、前記通報手段が形成され、車両運転者が排気ガス低減装置100の状態が直接確認できるようにし、問題発生時にもさらに能動的に対処できるようにする長所がある。
【0063】
図7は、本発明に係る排気ガス低減装置100の制御方法の概略図であり、図8は、本発明に係る媒煙低減装置の排気ガス温度及び圧力を示す図であり、図9は、本発明に係る排気ガス低減装置100の制御方法の他の概略図であり、図10は、本発明に係る排気ガス低減装置100の制御方法の他の概略図である。
【0064】
本発明の排気ガス低減装置100の制御方法は、前述したような排気ガス低減装置100を利用し、より詳しく、エンジン200が作動した後、強制再生可否判断段階(S100);警告信号伝達段階(S200);アイドリング状態判断段階(S300);再生作動指示入力(S410);強制再生段階(S420);及び、強制再生終了段階(S500);を含む。
【0065】
まず、前記強制再生可否判断段階(S100)は、バーナー120の作動が必要かを判断する段階であり、前記制御手段140は、圧力手段による測定圧力が第1の圧力以上、または圧力センサ141の一定時間中に測定平均圧力が第2の圧力以上の場合、バーナー120が作動されなければならないことを判断する。
【0066】
このとき、前記第1の圧力は、150ないし250mbarであり、前記第2の圧力は、75ないし150mbarであるのが好ましい。
【0067】
図8のように、走行中には排気圧力と温度に大きい変化が起きるようになるため、最大圧力及び平均圧力を利用して媒煙過剰蓄積可否を判断して、強制再生が必要かを判断するようにする。
【0068】
図8において、Tinは、図2のメタルフィルターの前段に位置した温度センサ142、Toutは、前記メタルフィルターの後端に位置した温度センサ143、背圧(Back Pressure)は、前記圧力センサ141により測定された値を意味する。
【0069】
また、走行速度の低い車両は、媒煙が蓄積されても排圧の増加幅が大きくない場合があるため、本発明の排気ガス低減装置100の制御方法は、前記強制再生可否判断段階(S100)で、前記圧力センサ141だけでなく、エンジン200の作動以後に一定時間が過ぎた後、次の段階である警告信号が伝達されるようにしたり、エンジン200のRPMセンサ、またはGPS情報を介して車両の走行状態を判断したり、前記メタルフィルター130に捕集された媒煙量を計算するようにすることもできる。
【0070】
前記警告信号伝達段階(S200)は、車両運転者がバーナー120の作動が必要であることが認知できるように知らせる段階であり、従来、運行中に車両運転者が周知しない状態でバーナー120が作動される場合、引火性物質などによる爆発などの危険から外れることができるようにする段階である。
【0071】
ユーザが前記警告信号の伝達を受けた後、火災の危険性のない安全な所に車両を停車し、前記アイドリング状態判断段階(S300)で車両がアイドリング状態であると判断され、ユーザの再生作動指示が入力(S410)されると、バーナー120を作動させて前記強制再生段階(S420)が実行される。
【0072】
走行中に再生が行われる場合、アイドリング状態で再生が行われる場合より排気ガスの内部の酸素濃度が低く、且つ再生効率が低く、車両風量により冷却されて再生に必要な温度に昇温するためのエネルギーがさらに所要され、システムの複雑さによる信頼性低下の問題が発生できるため、本発明の排気ガス低減装置の制御方法は、前記アイドリング状態判断段階(S300)で車両がアイドリング状態であることを確認した後、強制再生が実行されるようにする。
【0073】
前記強制再生段階(S420)は、制御手段140により前記燃料噴射手段121、点火手段123、または空気噴射手段126などを制御してバーナー120が作動され、前記燃料噴射量制御により排気ガスを適切に昇温することができ、前記フィルターの前段の温度センサ142により測定された値をリアルタイムで分析して噴射される燃料量が制御される。
【0074】
このとき、前記メタルフィルター130は、一般的に600℃以上であれば、フィルターに蓄積された媒煙が燃焼できるが、短い時間内に燃焼が可能であるように前記フィルターの前段の温度がさらに高く制御でき、全体的に600〜900℃程度になるように制御する。
【0075】
もちろん、前記制御手段140による燃料噴射量の制御は、フィルターの後端の温度センサ143を介して測定される温度を介してフィルターが損傷されない範囲内で強制再生が実行されなければならない。
【0076】
前記強制再生段階(S420)が実行されて排気ガスを円滑に燃焼した後、前記バーナー120の作動を停止して強制再生を終了(S500)する。
【0077】
なお、本発明の排気ガス低減装置100の制御方法は、図9に示すように、エンジン200の作動以後に装置の状態を点検する装置状態点検段階(S600)がさらに追加されることができ、前記装置状態点検段階(S600)で点検された状態などは、前記通報手段を介してユーザが確認することができるようにするのが好ましい。
【0078】
また、本発明の排気ガス低減装置100の制御方法は、図10に示すように、強制再生終了以後に車両が運行されて排気ガスが発生されることによって、強制再生が再び必要である場合があるため、前記強制再生終了段階(S500)よりも後に、エンジン200が作動されると、前記強制再生可否判断段階(S100)が再び実行されるようにする。
【0079】
前述した通り、本発明の排気ガス低減装置100の制御方法は、車両情報を把握して強制再生が必要か判断し、車両のアイドリング中にのみバーナー120が作動されるようにすることによって、一層安全して速く強制再生が行われるようにする長所がある。
【0080】
特に、排気ガス低減装置の制御方法において、入力を受けることができる情報は、RPMセンサ、排気圧力、温度などのような車両状態に対する条件であり、車両が位置する周辺環境に対する判断ができなくて火災の危険性があるため、本発明の排気ガス低減装置の制御方法は、運転者が周辺状況を把握し、基本情報を介して再生必要を判断して再生過程の安全性を確保する。
【0081】
また、ユーザが排気ガス低減装置100の状態をリアルタイムで確認することができ、ユーザの管理下に再生が実施されることによって、事故の危険を減らすことができる長所がある。
【0082】
本発明は、前記実施例に限定されず、適用範囲が多様であり、請求の範囲で請求する本発明の要旨を外れることなしに多様な変形実施が可能であることはもちろんである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジン200から発生される排気ガスを低減させる排気ガス低減装置100において、
前記排気ガス低減装置100は、
一側に排気管210と連結されて内部に排気ガスが流入されるようにする排気ガス流入部111、及び他側に浄化された排気ガスが排出されるようにする排気ガス排出部112を有する本体110;
前記本体110の排気ガス流入部111に隣接して形成され、端部にノズル部122が形成されて微粒化された燃料を噴射する燃料噴射手段121、前記噴射された燃料を点火する点火手段123、前記燃料噴射手段121を介して噴射された燃料と排気ガス流入部111を介して流入された排気ガスとをメタルフィルター130にガイドする分散手段124を含むバーナー120;
前記バーナー120の後端に形成され、排気ガス内の有機物または粒子状物質(PM:Particulate Matter)を燃焼させるメタルフィルター130;及び、
前記バーナー120の作動を制御し、装置状態を判断する制御手段140;
を含むことを特徴とする排気ガス低減装置。
【請求項2】
前記メタルフィルター130は、フェカロイ(Fecalloy)材質からなることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス低減装置。
【請求項3】
前記メタルフィルター130は、表面熱処理されたものであることを特徴とする請求項2に記載の排気ガス低減装置。
【請求項4】
前記表面熱処理は、900〜1000℃の空気雰囲気で実行され、表面にアルミ酸化膜が形成されることを特徴とする請求項3に記載の排気ガス低減装置。
【請求項5】
前記分散手段124は、前記燃料噴射手段121から前記メタルフィルター130方向へ直径が広くなる形態に形成され、複数個の中空部125が形成されて前記排気ガス流入部111を介して流入した排気ガスが前記中空部125を介して分散手段124の内部に移動することによって、内部の噴射された燃料と効果的に混合され、安定的に火炎が形成されるようにすることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス低減装置。
【請求項6】
前記中空部125は、前記分散手段124の接線方向で一定角度傾斜して形成され、前記中空部125を介して分散手段124の内部に移動した排気ガスが一定の流れを有するように形成されることを特徴とする請求項5に記載の排気ガス低減装置。
【請求項7】
前記排気ガス低減装置100は、前記燃料噴射手段121のノズル部122に空気を噴射する空気噴射手段126をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の排気ガス低減装置。
【請求項8】
前記制御手段140は、前記排気ガス低減装置100またはメタルフィルター130の前段に位置した圧力センサ141、メタルフィルター130の前端及び後端の温度を測定する温度センサ142、143、エンジン200のRPMセンサ、またはGPS情報を介して装置状態を判断することを特徴とする請求項5に記載の排気ガス低減装置。
【請求項9】
前記排気ガス低減手段は、前記制御手段140によって決定された装置状態及び危険状況を知らせる通報手段がさらに形成されることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス低減装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項の排気ガス低減装置の制御方法において、
前記排気ガス低減装置100の制御方法は、
エンジン200が作動された後、前記バーナー120の作動が必要かどうか判断する強制再生可否判断段階(S100);
前記強制再生可否判断段階(S100)でバーナー120の作動が必要であると判断される場合、通報手段を介して車両運転者に警告信号を伝達する警告信号伝達段階(S200);
前記警告信号伝達段階(S200)よりも後に、車両がアイドリング(Idle)状態かどうか判断するアイドリング状態判断段階(S300);
前記アイドリング状態判断段階(S300)でアイドリング状態であると判断され、ユーザの再生作動指示が入力(S410)される場合、前記バーナー120を作動させて強制再生する強制再生段階(S420);及び、
前記強制再生段階(S420)の実行後、バーナー120を停止して強制再生を終了する強制再生終了段階(S500);
を含むことを特徴とする排気ガス低減装置の制御方法。
【請求項11】
前記強制再生可否判断段階(S100)で、圧力センサ141の測定圧力が第1の圧力以上または圧力センサ141の一定時間中に測定平均圧力が第2の圧力以上の場合、バーナー120が作動されなければならないとを判断することを特徴とする請求項10に記載の排気ガス低減装置の制御方法。
【請求項12】
前記第1の圧力は、150〜250mbarであり、前記第2の圧力は、75〜150mbarであることを特徴とする請求項11に記載の排気ガス低減装置の制御方法。
【請求項13】
前記排気ガス低減装置の制御方法は、エンジン200の作動以後に装置状態を点検する装置状態点検段階(S600);をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の排気ガス低減装置の制御方法。
【請求項14】
前記強制再生終了段階(S500)よりも後にエンジン200が作動される場合、前記強制再生可否判断段階(S100)が再び実行されることを特徴とする請求項13に記載の排気ガス低減装置の制御方法。
【請求項15】
前記強制再生段階で、前記バーナー120は、前記メタルフィルター130の前段の温度が600ないし900℃になるように燃料噴射量が制御されることを特徴とする請求項10に記載の排気ガス低減装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−518985(P2011−518985A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506196(P2011−506196)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002128
【国際公開番号】WO2009/131390
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】