説明

排気ガス粒子用フィルター、および排気ガス粒子用フィルターの製造方法

【課題】ディーゼルエンジン中での燃料燃焼時に生ずる燃焼灰による高温腐蝕に対して抵抗性であり、かつ十分な熱伝導率を有する排気ガス粒子用フィルターを提供する。
【解決手段】本発明のディーゼルエンジン用の排気ガス粒子用フィルターは、金属合金のフォーム体から成るフィルター要素を含む。金属合金としてCr20質量%以上の鉄合金、チタン合金、特にTiAl合金、コバルト合金、特にCoCr合金またはCoMo合金、およびニッケル合金、特にNiCu合金またはNiCr合金が適している。これらの合金はディーゼルエンジン中での天然ガス、重油等の燃料の燃焼時に生ずる燃焼灰による高温腐食に対して抵抗性であり、かつ燃焼過程で発生する熱を放散させるのに十分な熱伝導率を有する。金属フォーム体は、粉末冶金法に従って、金属合金の粉末と分散媒体のスラリーから型で造形体を形成し、取り出し、乾燥し、そして焼結することによって製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、ことに天然ガスおよび/または液化天然ガスおよび/または重油および/またはマリンディーゼル油を燃焼させるディーゼルエンジン、特に2ストローク大型ディーゼルエンジンのための排気ガス粒子用フィルター、およびそれぞれのカテゴリーにおいて独立請求項の特徴部分の前の部分に従って排気ガス粒子用フィルターを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼エンジン、例えばオットーエンジン、並びに乗用車および商用道路車両のディーゼルエンジンのためばかりでなく、例えば、ガソリンまたはディーゼル燃料で2ストロークまたは4ストロークエンジンとして駆動される小船舶用エンジンのような他の燃焼エンジンのための排気ガス粒子用フィルターは、有害な排気ガス粒子および炭素粒子の低減のための従来技術からよく知られるようになって何年にもなる。
【0003】
このような燃焼エンジンの排気ガスの組成は、エンジン構造のタイプ、運転サイクルおよび燃料の品質に依存する。この関係では、排気ガスは、本質的に、水蒸気(HO)、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)、酸素(O)、煤粒子(C)、炭化水素(HC)、二酸化硫黄(SO)、磨耗エンジン材料および灰を含んでいる。
【0004】
環境に負荷をかける汚染物質および煤を低下させることは法律によって命ぜられている。対応する粒子用フィルター装置系は粒子の放出低下に対して効果的な助けとなる。
【0005】
乗用車用ディーゼルエンジンのこの種の排気ガス用フィルターが、例えばDE 102 45 510 A1明細書において提案されている。
【0006】
このような粒子用フィルターの効率は、かくして、その分離度、その貯蔵容量、その流通能力(through flow capability)およびその実用寿命によって定義される。
【0007】
運転の方法に関して、当業者は表面フィルター(surface filter)とディープフィルター(deep filter)とを区別している。
【0008】
表面フィルターの場合、分離されるべき物質は多孔質フィルター材料の表面に付着しており、この場合その沈積物質には追加の分離効果があり、そしてフィルター系中の圧力差は増大する。
【0009】
ディープフィルターの場合、機械的バリヤー、言い換えると分離されるべき生成物のためのスクリーニング効果に加えて、勾配が深く付けられたフィルター媒体(deeply graded filter medium)の吸収特性もある。この理由のために、有効なディープフィルターは、例えばスチールウールおよび開放気孔(open−pored)セラミックフォームから造られたランダム配向繊維層が示すような非常に大きな表面を必要とする。
【0010】
乗用車ディーゼルエンジンのための既知の排気ガス用フィルターは、たいていは、平行なハネカム状通路が通っている多孔質の基材セラミック体より成る。そのセラミックモノリスの肉厚は0.3〜0.15mmである。使用される材料は、例えばマグネシウム−アルミニウム−シリケート(2MgO 2Al 5SiO)である菫青石であるか、また押出炭化珪素もある。
【0011】
さらに、触媒コーティングを一部与えることができるセラミックフォーム、折り畳まれたハネカムステンレス鋼シート、またはスチールウールから作られたフィルターも知られている。
【0012】
セラミックフィルターの短所は熱伝導性が悪いことであるが、さらにはセラミックフォームでは耐久性が低く、炭化珪素では価格が高く、そしてスチールウールでは発生する高温においてスチールウールが腐蝕し、そして酸化し、即ち燃焼する故に実用寿命が短いということもある。
【0013】
これらの問題を解決するために、DE 102 45 510 A1明細書の著者は、3〜6%の含有率のSiおよび/または1〜4%の含有率のCrを含むスチールから造られた金属フォーム体を含む、乗用車用ディーゼルエンジンのための排気ガス用フィルターを提案している。
【0014】
この関係において、既知の全ての粒子用フィルターが共通して有するものは、それらフィルターは、全て、例えばガソリンまたはディーゼル燃料または液化ガスのような超純粋な燃料を燃焼させるエンジンについて着想されているということである。これらの最新の燃料は高度に蒸留され、そして複雑な手順で洗浄されている。かくして、バナジウム、鉛、塩素および他の多くの元素のようなさらなる有害化学成分が追加の洗浄で除かれ、従って初めは対応する有毒な燃焼生成物は発生するはずがない、例えば硫黄を含まないまたは少なくとも低硫黄の燃料が商品として一貫して出ている。これは、最新の燃料の燃焼生成物は多くの有毒ガス状燃焼生成物がないという結果を有するだけではない。煤または燃焼灰のような固体の燃焼生成物は攻撃性が比較的小さく、そのため粒子用フィルターの製造用材料は過度に強いいかなる化学的攻撃にも暴露されないが故にそれら材料の選択もあまり重要ではないのである。
【0015】
法定環境基準が次第に厳しくなってきていることに因り、燃焼ガスの洗浄のための、またより低い品質の燃料を用いて作動されるエンジンのための粒子用フィルターの必要が次第に緊急なものとなってきている。
【0016】
先に述べたセラミックの粒子用フィルターまたはDE 102 45 510 A1明細書による粒子用フィルターは、例えば重油または液化天然ガスのような低品質の燃料で作動されるエンジンには使用できない。
【0017】
たとえセラミック製粒子用フィルターが低品質燃料中の汚染物質による化学的攻撃に対して高い相対抵抗性を有するとしても、セラミック製粒子用フィルターは熱伝導率があまりにも低すぎる。これは、特に粒子用フィルターが自由燃焼装置(free−burning device)によって自体公知の方法で濾別粒子がないように燃焼されなければならないならば、その過程で発生する相当な量の熱はこれを十分には放散させることができず、最後には粒子用フィルターの損傷または破壊または粒子用フィルターの非常に早期の破損をもたらすという結果を有する。
【0018】
かくして、この種の粒子用フィルターはそのような用途には問題にならない。構造のタイプの結果として相対的に大きな粒子用フィルターを有しなければならない、船舶または固定機械設備用の2ストローク大型ディーゼルエンジンのような非常に大きなエンジンにはとりわけ問題にならず、それによって熱放散の問題はもう一度非常に深刻なものになる。
【0019】
現在までに知られている、スチールフォームから造られている、例えばDE 102 45 510 A1明細書による粒子用フィルターのような粒子用フィルターは、例えば重油が2ストローク大型ディーゼルエンジンで使用されるときのような、より低い品質の燃料が使用されるときにもまた使用することができない。既知のスチールフォームは、即ち、低品質燃料の燃焼生成物の化学的に極めて攻撃的な作用に耐性がないのである。
【0020】
これらの燃料は、この関係では、あらゆる種類の汚染物質、特に硫黄、鉛、ナトリウムまたはバナジウムを含んでいる可能性があり、この場合硫黄と共にバナジウムおよびナトリウムも、しばらく前に高温腐蝕の物質原因と最も明白に確認され、そして特に重油または液化天然ガスで運転されるエンジンの燃焼チャンバーにおいてかなりの問題をもたらすものである。
【0021】
この理由から、例えば、それぞれのエンジン部品に、単に熱腐蝕(hot corrosion)または熱ガス腐蝕(hot gas corrosion)と称されることも多い高温腐蝕に対する保護層を与えることが知られている。
【0022】
このことによって、当業者は、例えば、高温での、および化学的に攻撃的な環境中における腐蝕、特に酸化またはスルフィド化に対して高い抵抗性を与える表面保護層を理解する。これら保護層は、例えば溶射によって製造され、ここでMCrAlY層は高温腐蝕の保護に広く用いられる。この点について、金属Mは、例えば鉄、コバルト若しくはニッケル、またはこれら金属若しくは他の金属の合金であることができる。例えばクロマリティング(chromaliting)によって形成されるアルミニウム−クロム層もまた、多くの用途で、特にスルフェートを含んでいる媒体中で高温腐蝕に対して多かれ少なかれ良好な抵抗性を示す。
【0023】
この関係においては、高温腐蝕の現象は数百℃から1000℃をはるかに超える温度までの比較的高いプロセス温度が支配するあらゆる場所で起こり得るものである。それは、しばしば、腐蝕作用発生の原因である高温それ自体としてだけでなく、例えば燃焼生成物若しくは他の化学反応生成物に帰せられるか、または燃料、潤滑剤等々の中の添加剤によっても引き起こされることがある化学的に攻撃的な環境条件にも直面する。
【0024】
従って、燃焼プロセスおよび対応する燃焼生成物に多かれ少なかれ直接的な接触がある、特に工作物、部品およびエンジン部品は高温腐蝕に脅かされる。このものの例は、燃焼エンジン中のピストンのピストン表面、シリンダー壁、シリンダーカバー、噴射ノズル、ガス交換弁であるが、しかし、例えばターボチャージャーのような燃焼エンジンの排気ガス装置系の部品も、特にタービン部分および/または排気ガスの排気ガス供給または排出装置系並びにターボチャージャー装置系もその例である。
【0025】
DE 102 04 812明細書では、基礎材料としての窒化ホウ素および/または酸化ジルコニウムから造られた保護層がこの目的に対腐蝕保護として提案されているが、しかしそれらが形成される材料に起因して高価であり、そしてそれら層は製造することがさらに複雑である。
【0026】
燃焼エンジン、特に大型ディーゼルエンジン中で観察されるはずである高温腐蝕の重大な影響は、液体溶融相にその起源がある。これらのような液体溶融相は、なかんずく放射線透過写真法で検出できる、例えばバナジルバナジン酸ナトリウムのようなバナジン酸塩を、とりわけ重油の燃焼中に含んでいる可能性がある。
【0027】
バナジン酸塩によって導かれる腐蝕手順に関する技術的背景情報は、Material Science and Technology、1987年7月号、第3巻、第576頁の、M.Seierstein等による論文「インコネル600上のニッケルおよびMCrAlYの塗膜のバナジン酸ナトリウム誘発腐蝕(Sodium vanadate induced corrosion of nickel and MCrAlY coatings on Inconel 600)」中に見いだされるはずである。
【0028】
重油または液化天然ガスを用いてのディーゼルエンジンの運転中に、液体融解すること、即ち液体融解相、例えばバナジウムを含んでいる相の発生はおよそ400℃以上で観察することができるが、他の化学元素の形での対応する汚染物質は400℃以下でも観察できる。このような液体溶融相は、なかんずく、金属上で自然にある程度成長した保護酸化物層を化学的に破壊することができ、従ってその真下に存在する金属は高温腐蝕による攻撃に保護なしで暴露される。これらの問題は、Materials and Corrosion 53,103−110(2002)におけるSchlager等による公表論文「レーザー溶接クラッドによる高温腐蝕に対する保護―重質燃料油を燃やす大型ディーゼルエンジンの排気バルブディスクに関して適用および試験(Protection against high temperature corrosion with laser welded claddings−applied and tested on exhaust valve discs of large diesel engines burning heavy fuel oil)」中で詳細に、特に大型ディーゼルエンジンのバルブディスク上における腐食作用に関して考察されている。
【0029】
この関係において、前記の合金形成性元素は高融点バナジウム相の形成をもたらすが、それは次いで燃焼チャンバー中において運転状態で支配的な温度では溶融せず、言い換えると非融解灰を本質的に形成し、それによって高温腐蝕に対する保護が決定的に改善される故に、低溶融バナジン酸塩相の形成はある種特定の合金元素の添加によって妨げることができることが知られている。
【0030】
例えば燃焼エンジンの燃焼チャンバーにおける高融点相形成用の前記の特定の合金形成性元素の供給について、従来技術から知られる解決法においては、低融点バナジウムを含有する相の形成を防ぐために潤滑油系を経由するか、または燃焼チャンバー中での燃焼のための燃料系を直接経由するかのいずれかで高融点相の形成に必要な合金形成性元素を供給することが提案されている。腐蝕および沈積物の徴候と闘う添加剤の供給も他の技術分野から知られる。かくして、この種の対策は、ENERGIE、第28巻、第1号、1976年1月の「ガスタービン用燃料としての重質加熱用油の使用(The use of heavy heating oil as a fuel for gas turbines)」において、発電所のガスタービンにおける腐蝕に対する保護について提案されている。
【0031】
適した合金形成性元素の添加について従来技術から知られるこれらの可能性は、しかし、異なる重大な欠点を有し、そして高融点相の形成のための燃焼プロセスに供給されなければならないある種特定の合金または合金形成性元素に関しては単に理論的な特性を有するに過ぎない。
【0032】
従って、例えば、船舶には、合金形成性元素は潤滑剤中または燃料若しくは噴射剤中には必要な量および/または組成で存在しないが故に、それらの適切な合金形成性元素をそれら燃料、噴射剤または潤滑剤に選択的に供給することができる装置が備え付けられなければならないだろう。これは全く無視できない追加のコストおよび装置に関しての複雑さと関連しており、そしてそれは、特に例えば船舶では、技術的な方法および経済的な観点から、或いは単に空間上の理由で、合理的にはほとんど実現できないことが分かるだろう。
【0033】
さらに、合金形成性元素は、例えば潤滑油および/または燃料若しくは加熱用油との物理的または化学的反応に加わることができ、このことが、次いで、例えば高融点を有するバナジン酸塩の形成にはもはや利用できない対応する合金形成性元素をもたらすから、必要な合金形成性元素を潤滑油および/または燃料若しくは噴射剤と共に運ぶことは必ずしもあらゆる場合に可能な訳ではない。また、例えば潤滑油のある種特定の特性は、これを、上記の物理的および/または化学的反応によって、例えば潤滑油がその潤滑作用を完全にまたは部分的に失う―これは対応するエンジンに相当の損傷をもたらし得る―そのような程度まで変えることも可能である。また、燃料および/または潤滑油に対する合金形成性元素の添加によって、その合金形成性元素が高融点を有するバナジウム化合物の形成のためにそれら元素の作用を発揮することができる前に、ある種特定のエンジン部品を攻撃して非常に大きな損傷を与えることがあり得る物理的におよび/または化学的に攻撃性の物質が生じ得る可能性もある。
【0034】
たとえ、上記で例として説明した高融点を有するバナジン酸塩相の問題が高温腐蝕をもたらす機構の例に過ぎず、そして、その上ディーゼルエンジンの中だけでなく同様に観察され、また、例えば、運転状態にある前記で名前を挙げた機械設備の中におよび/または名前を挙げた部品に対して既知の腐蝕損傷をもたらし得る多数のさらなる機構および高温腐蝕作用が、この技術分野の平均的な当業者に知られているとしても、低融点相の問題はやはり中心問題であって、それには今日までいかなる注意もほとんど払われてこなかったし、またその解決には現在までのところ真に実行できる提案はない。
【0035】
これに関連して、低融点相の問題は燃焼エンジン、特に大型2ストロークディーゼルエンジンにおいても、および他のより小型の往復ピストン燃焼エンジンにおいてもおこるだけでなく、焼却プラント、特に廃棄物焼却プラントにおけるような他の多くの技術分野からも、或いはあらゆる種類の航空機搭載用または地上基地用タービンにおいても知られるということに再び明確に言及しなければならない。
【0036】
表面保護層が、少なくとも一般原則としては、例えば単純な表面幾何形状を持つ大容量部品における高温腐蝕による化学的攻撃に対する防御の可能な解決法の一例となることができる。
【0037】
他方、このように金属フォームを化学的および熱的攻撃に対して保護することを望むことはほとんど得策ではないように見える。さらに、大きな内面を持つスチール金属フォームおよび保護表面層を持つ小さいフォーム構造を、例えば溶射によって与えることは技術的にほとんど可能ではないだろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0038】
従って、ガス、ことに天然ガス、および/または液化天然ガスおよび/または重油および/またはマリンディーゼル油を燃焼させるディーゼルエンジン、特に船舶用の2ストローク大型ディーゼルエンジンのための、十分な熱伝導率を有し、同時に燃焼灰による高温腐蝕に対して抵抗性である排気ガス用フィルターであって、その腐蝕保護がある種の容易に入手できる材料の使用によって利用できるようにされ、従って高温腐蝕に抵抗性の排気ガス粒子用フィルターがこの手段によって特に経済的に製造することができ、かつ特に低融点相に基づく高温腐蝕機構による損傷に対して効果的に保護される上記の排気ガス用フィルターを利用できるようにすることが本発明の目的である。
【0039】
これらの目的を満足する本発明の主題は、独立の請求項の特長によって特徴付けられる。
【0040】
従属請求項は本発明の特に有利な態様に関する。
【0041】
本発明は、かくして、ガス、ことに天然ガスおよび/または液化天然ガスおよび/または重油および/またはマリンディーゼル油を燃焼させるディーゼルエンジン、特に2ストローク大型ディーゼルエンジンのための排気ガス粒子用フィルターに関する。本発明によれば、この配置の排気ガス粒子用フィルターは金属フォーム体を持つフィルター要素を含み、この場合金属フォーム体は燃焼灰による高温腐食に対して抵抗性である金属合金を含む。金属フォーム体は燃焼灰の溶融した液体成分にとりわけ著しく抵抗性である。
【0042】
例えばキャスト部品またはスチール部品上の、高温腐蝕に対して保護する、単に熱腐蝕または熱ガス腐蝕と称されることも多い別個の保護層を形成するための材料は、従来技術において原則的には知られている。このことによって、当業者は、例えば、高温での、および化学的に攻撃的な環境中における腐蝕、特に酸化またはスルフィド化に対して高い抵抗性を与える表面保護層を理解する。これら保護層は、例えば溶射によって製造され、この場合MCrAlY層が高温腐蝕の保護に広く用いられる。この関係では、金属Mは、例えば、既に述べられたとおり、鉄、コバルト若しくはニッケル、またはこの金属若しくは他の金属の合金であることができる。例えばクロマリティングによって形成されるアルミニウム−クロム層は、多くの用途での、特にスルフェートを含んでいる媒体中での高温腐蝕に対して多かれ少なかれ良好な抵抗性を示す。
【0043】
かくして、鉛および錫を基礎とする腐蝕保護コーティングが、例えばGB 2 196 023明細書中で提案されているが、それは、特に、湿気のある環境および塩分を含んだ環境において良好な腐蝕保護を提供する。Cu−Niを基礎とする複雑な合金がUS 5,496,391明細書中で高温腐蝕保護について提案されている。それはP、B、Si、Cr、FeおよびCを特定の相対割合で含み、そして、好ましくは、溶射法において噴霧粉末の形で工作物の表面に適用される。中でもMn、Fe、Si、SおよびCを含むCu−Niを基礎とする異なる合金が、JP 02 132 763明細書中において腐蝕保護として提案されている。
【0044】
Malik等(Z.Metallkd、第79巻、第5号、1968年5月、第285−295頁の「NaSO(s)およびNaCl(s)の存在下における、ある種の工業的に重要なニッケルベースの合金の熱腐蝕挙動(Hot corrosion behaviour of some industrially important nickek−base alloys in presence of NaSO(s) and NaCl(s))」は、既に、インコネル(Inconel)、インコリ(Incoly)または種々のニモニック(Nimonic)合金のような、全てNi系合金の一例であり、そしてFe、Cr、Al、Co、Mo、C等々のようなさらなる成分を色々な濃度で含んでいることができる商業的に入手可能な合金の高温腐蝕挙動を調べている。
【0045】
これと関係があるNi系合金は、US4,019,900明細書中で酸化に対する良好な保護として説明されている。
【0046】
既に述べたように、高温腐蝕の現象は数百℃から1000℃をはるかに超える温度までの比較的高いプロセス温度が支配するあらゆる場所で起こり得、この場合高温それ自体が腐蝕作用発生の原因であるだけでなく、例えば燃焼生成物若しくは他の化学反応生成物に帰せられ得るか、または燃料、潤滑剤等々に対する添加剤によっても引き起こされ得る化学的に攻撃的な環境条件にも直面する。
【0047】
従って、燃焼プロセスと多かれ少なかれ直接接触している、燃焼エンジン中のピストンのピストン表面、シリンダー壁、シリンダーカバー、噴射ノズル、ガス交換弁のような部品およびエンジン部品だけでなく、例えばターボチャージャーのような燃焼エンジンの排気ガス装置系の部品、特にタービン部分および/または排気ガスの排気ガス供給または排出部品並びにターボチャージャー装置系も高温腐蝕に脅かされる。
【0048】
かくして、排気ガス粒子用フィルターは濾去された粒子による、および燃焼灰による高温腐蝕に、特に、自然に、同様に脅かされる。例えば自動車技術から知られるような排気ガス粒子用フィルターは、ますます、時々自由に燃焼すること(burning free)によって沈積固体物質、言い換えると排気ガス粒子、および燃焼灰がない状態にされなければならないから、故に、さもなければ、それらフィルターは比較的短い時間の後に濾去固体によって塞がれ、かくしてもはや機能しないだろう。
【0049】
液化天然ガス、または、例えば重油でさえも、のような低品質燃料が燃料として用いられるとき、中心問題は、この目的のために提供される燃焼自由装置(burning free device)による排気ガス粒子用フィルターがない規則的に必要とされる燃焼の結果生ずる。これらの燃料は、燃焼すると、即ち、他の有毒な廃棄物に加えて、低融点相を含んでいることがある燃焼灰を形成する。この関係では、色々な低融点バナジン酸塩相が特に化学的に攻撃的であることが証明されている。
【0050】
当業者は、例えば燃焼灰中に含まれていることがある低融点相を、数百℃乃至1000℃超の融点を有することができる相であると理解している。前記のバナジン酸塩相は、この関係では、化学的組成または汚染物質に依存するが、400℃以下でもう溶融する可能性がある。
【0051】
この関係では、非溶融相は、それらが燃焼灰中に固体状態で存在する程度までは、実際には、しばしば攻撃的というほどではなく、それらの化学的腐食特性は液体溶融状態において発揮されるだけである。
【0052】
しかし、排気ガス粒子用フィルターがない燃焼中は、有害な低融点相は溶融することができ、言い換えると液体状態に移ることができ、次いでDE 102 45 510 A1明細書の自動車の粒子用フィルターのような既知の粒子用フィルターを燃焼灰によって誘発される高温腐蝕で可能な最短の時間で破壊するだろう温度は、少なくとも短期間は、何らの問題もなしに上昇する。
【0053】
ことに、燃焼灰中の低融点相の問題に関して、Schlager等(Materials and Corrosion 53,103−110(2002)「レーザー溶接クラッドによる高温腐蝕に対する保護―重質燃料油を燃やす大型ディーゼルエンジンの排気バルブディスクに関して適用および試験(Protection against high temperature corrosion with laser welded cladding−applied and tested on exhaust valve discs of large diesel engines burning heavy fuel oil)」は、中でも、色々な量のクロムを含んでいる大型ディーゼルエンジンの出口バルブに対するニッケル系合金から造られた種々の機能性層の保護効果を試験している。
【0054】
高温腐蝕の現象についての液体溶融相の重要性は下記においてさらに詳細に調べられる。これらの液体溶融相は、中でも放射線透過写真法で検出できる、例えばバナジルバナジン酸ナトリウムのようなバナジン酸塩を、特に、中でも重油の燃焼中に含んでいることがある。
【0055】
この現象は、例えばMTZ Motortechische Zeitschrift,55(1994)、5月、第5号、第300頁の論文「大型ディーゼルエンジンのピストン上の材料磨耗(Material abrasion on the pistons of large diesel engines)」においてSchlagerによって完全に調べられた。
【0056】
ディーゼルエンジンの運転中に、融解、即ち液体溶融相の発生は、既に述べたように、遅くともおよそ400℃から観察することができる。このような液体溶融相は、なかんずく、金属上である程度自然に成長した保護酸化物層を化学的に破壊することができ、従って真下に存在する金属は高温腐蝕による攻撃に保護なしで暴露される。
【0057】
この関係では、上記で例として説明された液体溶融バナジン酸塩相の問題は、高温腐蝕をもたらす機構の一例に過ぎない。多数のさらなる機構および熱腐蝕作用がこの技術分野の平均的な当業者に知られている。
【0058】
例えば、銅およびニッケルから造られた単純な合金の高温腐蝕保護は、同時に、関連した高温腐蝕機構に対して、特に、但し唯一ではないが、大型ディーゼルエンジンの運転の際に起こる関連した高温腐蝕機構に対して保護を優れた様式で与えることは、EP 1 752 561 A1明細書において既に示されていると思われる。特に、重油の燃焼中に起こる液体溶融バナジン酸塩相の有害な作用は、CuとNiの合金から造られた高温腐蝕保護物によって効果的に避けられるか、または少なくとも大きく低下せしめられる。
【0059】
この関係では、EP 1 752 561 A1明細書による高温腐蝕保護は、CuとNiから造られた合金の高温腐蝕保護が、最も様々な運転条件下で、および完全に異なる化学的環境中で、数百℃、例えば200℃から900℃、1200℃超、および1400℃までおよび1400℃超もの高温までの広い温度範囲にわたって高温腐蝕の防止または低下に有利に利用できる異なる既知の高温腐蝕機構に関して非常に多様であることが証明されている。
【0060】
この関係において、さらなる種類の特別な合金が、以下においてさらに説明、列挙されるように、高温腐蝕に対して、特に低融点を持つ相に対して同様に効果的な保護物を形成する。
【0061】
従来、十分な品質の金属フォームはこれらの複雑な合金を用いて製造することはできないという意見が一般の認めるところであった。
【0062】
金属フォームの製造においては、即ち、均質な構造特性がフォーム中に達成され、かつ例えば共晶または不都合な沈殿の形成は避けられることがとりわけ絶対に必要である。知られているように、共晶は、金属フォームが製造される、合金元素の1種または2種以上の低融点混合比のもの(low melting mixing ratios)である。これはそのような共晶範囲のもの(eutectic ranges)はその物質の平均の化学組成とは異なることを意味する。この点について、沈殿は物質の弱点をなすことがある。
【0063】
例えばピストン表面上における熱腐蝕の保護のために適用されるような大きな表面層の形成では、自体公知の対策は、例えば共晶範囲のものまたは沈殿の形成を、これらが高温腐蝕に有意な攻撃ゾーンをもはや形成しないそのような程度まで抑えることを可能にする。
【0064】
特に、対応する部品が、例えば溶射によって、これら合金の溶射層で被覆されるとき、溶射された層は非常に速やかに冷めるので共晶および/または好ましくない沈殿の形成が防がれるから、共晶および/または好ましくない沈殿の形成は溶射法それだけで簡単に抑制される。
【0065】
対照的に、金属フォームの製造においては、さらに先でもっと詳細に説明されるだろうように、情況は完全に異なる。
【0066】
フォームは発泡して液相から固相になる間に比較的ゆっくりと冷える。フォームはいわば空間に自立して生成される、言い換えると何かの加工物の上に沈積されるのではなく自立性フォーム体として生成されるのである。その結果、一方では、脱混合する(demix)のに比較的長時間かかる、従って共晶および/または好ましくない沈殿の形成に比較的長時間かかる合金をもたらす支持体との直接的な熱接触はない故に、冷却中に熱の放散は不十分である。他方、溶融物の凝固も、表面効果に因り沈殿を恐らくは妨げることができる支持体の表面によっては共同決定されない。
【0067】
従って、ここで検討している合金は、また、それらは、一般に、特に液相から比較的ゆっくりと冷えることにより、共晶および/または好ましくない沈殿を形成することができ、かくして排気ガス粒子用フィルター用の金属フォームの製造には根本的に不適当なように思われるということについても知られている。
【0068】
即ち、上記の共晶および/または好ましくない沈殿が金属フォーム中で生成しているならば、このことは2つの非常に重要な機構に関して不適当である上記の共晶または沈殿から製造される粒子用フィルターをもたらしていることだろう。第一に、このような金属フォーム体は、自然には、もうそれ以上均一な融点を有しないだろう。実際には、不均質な構造条件に因り、他の領域よりかなり低い融点を有する領域/範囲が存在するだろう。このことは粒子用フィルターが、例えば沈積した灰および粒子の燃焼中にこれらの融点で溶融することができる状況、またはそのフィルターが全体として不安定となって破壊される状況をもたらすことだろう。他方、ある特定の沈殿領域は、局所の化学組成に依存するが、高温における化学的攻撃に対してもはや十分には抵抗性とはならず、特に沈積した灰および粒子の燃焼中に、たとえ対応する領域が十分に高い融点をなおも有しているとしても化学的に破壊される。
【0069】
この理由のために、今日まで、これらの合金は、特に低融点相からの/による極端な化学的攻撃が予想される場合でないときに、排気ガス粒子用フィルターで使用するための金属フォームの形成には使用できないことが明らかになっている。
【0070】
驚くべきことに、複雑な実験において、合金の組成を適切に選択することにより、これら合金は高温腐蝕に対して実質的に抵抗性であるばかりでなく、むしろ、化学組成の適切な選択により、好ましくない沈殿および共晶の実質的な徴候を示さない金属フォームを形成することもできることが本発明によって見いだされた。かくして、本発明によれば、特に沈積した灰および粒子の燃焼中に、発生する熱を確実に運び去り、そして他方では金属フォームが、また、優れた様式で高温腐蝕に抵抗性となるように、十分に高い熱伝導率を有する金属排気ガス粒子用フィルターを利用できるようにすることが初めて可能になる。かくして、この粒子用フィルターは、また、重油により運転される2ストローク大型ディーゼルエンジンのような、極度に汚染された低品質の燃料により運転されるエンジンにおいても使用することができる。
【0071】
本発明に従って製造された金属フォームの前記耐蝕効果を、例えばおよそ20%のNaCOおよび80%のVを含有し、そして0.5HO中15%のCaSOと混合された合成灰による対応する実験によって、反駁できない程に確認することが可能であった。これらの試験は10%HO、50℃飽和(saturation at 50℃)を持つ合成空気を用いてなされ、そしておよそ600℃の温度で実行された。
【0072】
この点では、高温に因るまたは高温腐蝕に因る損傷が、長期間の試験条件下でも、また、例えば大型ディーゼルエンジンの運転状態において現実的に予想されるもののような周期的加熱でも、共に、500時間以上後でさえも少しも観察することはできないだろう。
【0073】
特別な態様の1つでは、金属フォーム体は金属合金、特に粉末冶金法によって製造される金属合金から造られ、ここでその金属合金は少なくとも20質量%Crのクロム含量を持つ鉄合金である。
【0074】
これらのような鉄合金に加えて、チタン合金、特にTiAlを含むTiAl合金も例えば議論され、この場合TiAl合金は、好ましくはチタンに基づく合金であり、そしてそのチタン含量はTiAl合金の50重量%以上であり、好ましくは70質量%超、特に80質量%超、ことに90質量%超に達する。
【0075】
コバルト合金、特にCoCrを含むCoCr合金および/またはCoMoを含むCoMo合金が本発明による排気ガス粒子用フィルターの製造にさらに適した合金として使用することができ、この場合CoCr合金および/またはCoMo合金はコバルトに基づく合金であり、そしてそのコバルト含量はCoCr合金の50重量%以上であり、好ましくは70質量%超、特に80質量%超、ことに90質量%超に達する。
【0076】
本発明による排気ガス粒子用フィルターを製造できるさらなる種類の金属合金はニッケル合金、特にNiCuを含むNiCu合金および/またはNiCrを含むNiCr合金、ことにインコネル671合金および/またはインコネル693合金である。
【0077】
この点について、NiCu合金は、例えばニッケルに基づく合金であることができ、この場合、ニッケル含量はNiCu合金の50重量%以上であり、好ましくは70質量%超であり、そして特に80質量%超であり、そしてことに90質量%超である。
【0078】
上記のNiCr合金は、特別な態様の1つにおいては、ニッケルに基づく合金であることができ、この場合ニッケル含量はNiCr合金の50質量%以上であり、好ましくは70質量%超であり、特に80質量%超であり、そしてことに90質量%超である。
【0079】
クロムに基づく合金であるNiCr合金も本発明による排気ガス粒子用フィルターに有利に使用することができ、この場合クロム含量はNiCr合金の50質量%以上であり、好ましくは70質量%超であり、特に80質量%超であり、そしてことに90質量%超である。
【0080】
特に、また、低融点相、とりわけ低融点バナジン酸塩相に抵抗性の本発明による粒子用フィルターを造るために、本発明による粒子用フィルターのための金属フォームの製造に使用される金属合金は、元素Ca、Mg、Ta、Y、Ti、Al、C、Mo、W、Zr、Fe、Nb、Sn、O、Cr、La、Ce、Hf、Cu、Pb、N、Na、Zn、Mn、P、B、Si、NiおよびCoの群より成る元素の1種または2種以上を含むことができる。
【0081】
群元素Ca、Mg、Ta、Y、Ti、Al、C、Mo、W、Zr、Fe、Nb、Sn、O、Cr、La、Ce、Hf、Cu、Pb、N、Na、Zn、Mn、P、B、Si、NiおよびCoの元素の1種または2種以上の割合は、この関係では、好ましくは0.01〜90質量%、特に0.1〜80質量%、ことに2〜70質量%、好ましくは3〜50質量%であり、または約6質量%にある。
【0082】
本発明による排気ガス粒子用フィルターのための金属フォームの製造に特に適している全く特定の金属合金の選択は、次の表1および表2に挙げられている。このリストが完全であると理解されるべきでないことは言うまでもなく、また本出願の定義を満足する類似の金属合金が本発明による排気ガス粒子用フィルターのための金属フォームの製造に適している可能性があることは、この技術分野の平均の当業者には明らかである。
【0083】
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】

【0084】
【表2−1】


【表2−2】


【表2−3】

【0085】
極めて特別な場合において、本発明による排気ガス粒子用フィルターのための金属フォーム体は、また、炭化水素を分解し、そして金属フォーム構造内部の島としての窒素酸化物を減少させるために酸化触媒および/またはゼオライトを有していることもできる。
【0086】
本発明による排気ガス粒子用フィルターは、特に好ましくは、直列で配置されている、異なる平均気孔サイズを持つ複数の金属フォーム体を含み、この場合気孔サイズは排気ガスの流れ方向に減少している。
【0087】
この配置において、金属フォーム体は60%超、特に80%超、ことに90%超の気孔率を有する。
【0088】
この配置では、沈積した排気ガス粒子および燃焼灰の周期的燃焼に適すように特に設計されている自由燃焼装置を排気ガス粒子用フィルターの所に自体公知の方法で追加的に取り付けることができる。
【0089】
本発明は、さらに、本発明による排気ガス用フィルターの製造方法に関する。
【0090】
金属フォーム体は、好ましくは粉末冶金法によって製造され、この場合金属合金の粉末と分散媒体のスラリーが造形体の形成用型の中に導入され、そしてその造形体が焼結される。
【0091】
この配置において、スラリーは分散剤および/または結合媒体を用いて、および/または表面活性媒体、特に界面活性剤を用いて泡立てることができ、この場合スラリーは、好ましくは誘導(guidance)によって泡立てられ、および/または界面活性剤が分散剤として同時に使用され、および/または脱泡剤がスラリー中で用いられる。
【0092】
脱水は圧力および電気泳動の同時利用または連続利用によって行うことができるが、この場合脱水は、例えば、圧力の利用によって行われるだけであるか、または脱水は電気泳動の利用によって行われるだけである。
【0093】
スラリーは、ことに、ガラス形成剤および/またはガラス形成剤としての塩の特徴をもつガラス形成剤、特にシリケートおよび/または酸の特徴をもつガラス形成剤、特にホウ酸および/または燐酸および/またはアルカリ化合物、特に苛性ソーダおよび/またはこれら酸および/または塩基の化合物を含んでいることができる。
【0094】
結合手段としておよび/または触媒として同時に使用される物質は分散手段として有利に使用することができる。
【0095】
金属フォーム体の製造において、多孔質合成材料から造られた導電性の圧力ダイ注型用金型が自体公知の方法で第一電極として使用することができ、および/または多孔質金属圧力注型用金型が使用することができ、ここで圧力注型用金型は好ましくは陽極として使用される。
【0096】
注型用金型の中に配置されたスラリーは、脱水中は少なくとも50℃の温度に保たれ、この場合造形体は注型用金型からの除去後で焼結前に約20℃で乾燥される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス、ことに天然ガスおよび/または液化天然ガスおよび/または重油および/またはマリンディーゼル油を燃焼させるディーゼルエンジン、特に2ストローク大型ディーゼルエンジンのための排気ガス粒子用フィルターにおいて、排気ガス粒子用フィルターが金属フォーム体を持つフィルター要素を含み、この場合金属フォーム体は燃焼灰による高温腐食に対して抵抗性である金属合金を含むことを特徴とする上記の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項2】
金属フォーム体が燃焼灰の溶融した成分に抵抗性である、請求項1に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項3】
金属フォーム体が金属合金から、特に粉末冶金法によって製造される金属合金から製造され、ここで金属合金は少なくとも20質量%Crのクロム含量を持つ鉄合金である、請求項1または2に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項4】
金属合金がチタン合金、特にTiAlを含むTiAl合金である、前記請求項のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項5】
TiAl合金がチタンに基づく合金であり、そしてチタン含量がTiAl合金の50重量%以上であり、好ましくは70質量%超であり、特に80質量%超であり、そしてことに90質量%超である請求項4に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項6】
金属合金がコバルト合金、特にCoCrを含むCoCr合金および/またはCoMoを含有するCoMo合金である、前記請求項のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項7】
CoCr 合金がコバルトに基づく合金であり、そしてコバルト含量がCoCr 合金の50重量%以上であり、好ましくは70質量%超であり、特に80質量%超であり、そしてことに90質量%超である、請求項6に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項8】
金属合金がニッケル合金、特にNiCuを含むNiCu合金および/またはNiCrを含むNiCr合金、ことにインコネル671合金および/またはインコネル693合金である、前記請求項のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項9】
NiCu合金がニッケルに基づく合金であり、そしてニッケル含量がNiCu合金の50重量%以上であり、好ましくは70質量%超であり、特に80質量%超であり、そしてことに90質量%超である、請求項8に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項10】
NiCr合金がニッケルに基づく合金であり、そしてニッケル含量がNiCr合金の50質量%以上であり、好ましくは70質量%超であり、特に80質量%超であり、そしてことに90質量%超である、請求項8に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項11】
NiCu合金が銅に基づく合金であり、そして銅含量がNiCu合金の50質量%以上であり、好ましくは70質量%超であり、特に80質量%超であり、そしてことに90質量%超である、請求項8に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項12】
NiCr合金がクロムに基づく合金であり、そしてクロム含量がNiCr合金の50質量%以上であり、好ましくは70質量%超であり、ことに80質量%超であり、そしてことに90質量%超である、請求項8に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項13】
金属合金が元素Ca、Mg、Ta、Y、Ti、Al、C、Mo、W、Zr、Fe、Nb、Sn、O、Cr、La、Ce、Hf、Cu、Pb、N、Na、Zn、Mn、P、B、Si、NiおよびCoの群より成る元素の1種または2種以上を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項14】
群Ca、Mg、Ta、Y、Ti、Al、C、Mo、W、Zr、Fe、Nb、Sn、O、Cr、La、Ce、Hf、Cu、Pb、N、Na、Zn、Mn、P、B、Si、NiおよびCoの元素の1種または2種以上の割合が0.01〜90質量%、特に0.1〜80質量%、ことに2〜70質量%、好ましくは3〜50質量%にあるか、または約6質量%にある、前記請求項のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項15】
金属フォーム体が酸化触媒を含んでいるか、および/または金属フォーム体がゼオライトを含んでいる、前記請求項のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項16】
異なる平均気孔サイズを持つ複数の金属フォーム体が直列で配置され、ここで気孔サイズは排気ガスの流れ方向に減少している、前記請求項のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項17】
金属フォーム体が60%超、ことに80%超、特に90%超の気孔率を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項18】
沈積した排気ガス粒子のない燃焼のための、特に貯蔵排気ガス粒子のない周期的燃焼のための自由燃焼装置が取り付けられている、前記請求項のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルター。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の排気ガス粒子用フィルターを製造する方法。


【公開番号】特開2009−72764(P2009−72764A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−164101(P2008−164101)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(501082602)ヴェルトジィレ シュヴァイツ アクチェンゲゼルシャフト (46)
【Fターム(参考)】