排気冷却用管体及び内燃機関排気系
【課題】排気の冷却効率を高めると共に凝縮水逆流を防止することができる排気冷却用管体、及び内燃機関排気系を提供すること。
【解決手段】冷却アダプタ2は排気ポート4aに接続される排気導入口8と排気分岐管6に接続される排気排出口12との中心軸Ax,Bxをずらすことで、排気導入口8を排気排出口12に対して鉛直方向での上方に配置でき、このことで排気ポート4aの開口部よりも鉛直方向下方に排気分岐管6の開口部を配置できる。このため排気流路16内に凝縮水が生じてもその逆流を防止することができる。更に排気導入口8から導入された直後の排気流は上方の内壁面16aに衝突すると共に、ここにはウォータジャケットが長く形成され、更に中子排出用の連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けて形成されている。このため冷却アダプタ2の管壁との熱交換効率が向上し冷却効率を高めることができる。
【解決手段】冷却アダプタ2は排気ポート4aに接続される排気導入口8と排気分岐管6に接続される排気排出口12との中心軸Ax,Bxをずらすことで、排気導入口8を排気排出口12に対して鉛直方向での上方に配置でき、このことで排気ポート4aの開口部よりも鉛直方向下方に排気分岐管6の開口部を配置できる。このため排気流路16内に凝縮水が生じてもその逆流を防止することができる。更に排気導入口8から導入された直後の排気流は上方の内壁面16aに衝突すると共に、ここにはウォータジャケットが長く形成され、更に中子排出用の連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けて形成されている。このため冷却アダプタ2の管壁との熱交換効率が向上し冷却効率を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に設けられる排気冷却用管体、及び排気ポートと排気分岐管との間に排気冷却用管体を配置した内燃機関排気系に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダヘッドとエキゾーストマニホールドとの間に排気冷却用管体に相当する冷却アダプタを配置することにより、内燃機関排気系での熱害を防止する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−15718号公報(第1頁、図2〜5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷却アダプタでは、内燃機関の排気ポートから排出される排気は、その流れと平行な管壁を有する冷却アダプタを通過して排気枝管に流れ込んでいる。このように高温の排気を冷却アダプタを単に通過させたのみでは、冷却アダプタの管壁との熱交換が十分でない。したがって熱交換効率を高めて冷却能力を高める必要がある。
【0005】
更に特許文献1の冷却アダプタでは、内燃機関暖機時などにおいて管壁に排気中の水蒸気が凝縮した場合、その凝縮水が重力により冷却アダプタの下方に溜まり、その後、溜まった凝縮水が内燃機関の排気ポート側に逆流するおそれがある。
【0006】
本発明は、排気の冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができる排気冷却用管体、この排気冷却用管体を用いた内燃機関排気系、及び凝縮水の逆流を防止することができる内燃機関排気系を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用・効果について記載する。
請求項1に記載の排気冷却用管体は、内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に設けられる排気冷却用管体であって、前記排気ポートに接続する排気導入口と前記排気分岐管に接続される排気排出口とは中心軸をずらしたことを特徴とする。
【0008】
内燃機関の排気ポートによる排気排出方向が水平あるいは少し上方に向いているような場合、従来の排気冷却用管体では、その排気排出口は排気導入口に対して鉛直方向で同一レベルあるいは上方となるが、本発明のごとく排気導入口と排気排出口との中心軸をずらす構成では排気排出口は排気導入口に対して鉛直方向の下方にすることが可能となる。
【0009】
このことにより内燃機関の排気ポートの開口部よりも鉛直方向下方に排気分岐管の開口を配置できることになる。
したがって排気冷却用管体内部に凝縮水が生じたとしても、内燃機関側でなく排気分岐管側へ重力により流させて排出させることができる。
【0010】
更に排気導入口と排気排出口との中心軸をずらしたことにより、排気ポートから排気導入口へと流れ込んだ排気の流動方向は、排気冷却用管体の管壁に平行ではなく排気流は管壁に衝突する。このため排気冷却用管体の管壁との熱交換効率が向上し、冷却効率を高めることができる。
【0011】
このことにより本発明の排気冷却用管体は冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができる。
請求項2に記載の排気冷却用管体では、請求項1に記載の排気冷却用管体において、前記排気導入口の中心軸と前記排気排出口の中心軸との間を非平行としたことを特徴とする。
【0012】
このように中心軸同士を非平行とすることで、ずらしても良く、上述したごとく冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができるようになる。
請求項3に記載の排気冷却用管体では、請求項1に記載の排気冷却用管体において、前記排気導入口の中心軸と前記排気排出口の中心軸とを平行にして、この2つの中心軸間に距離を設けたことを特徴とする。
【0013】
このように中心軸同士を平行として中心軸間に距離を設けることによって、ずらしても良く、上述したごとく冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができるようになる。
【0014】
請求項4に記載の排気冷却用管体では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、内燃機関の排気ポートに前記排気導入口を接続した状態では、前記排気排出口は、前記排気導入口よりも鉛直方向の下方に配置されることを特徴とする。
【0015】
このように排気冷却用管体の排気導入口と排気排出口との鉛直方向の位置関係を設定していることにより、内燃機関の排気の冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の排気冷却用管体では、請求項4に記載の排気冷却用管体において、排気冷却用管体の管壁内には冷却流体通路とこの冷却流体通路と外部とを連通する連通孔が栓体に閉塞された状態でかつ前記冷却流体通路の鉛直方向の上方に設けられていると共に、前記連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けていることを特徴とする。
【0017】
排気冷却用管体は、中子を用いた鋳造などにより製造されるが、この中子を分解して中子抜き用の連通孔から取り出すことにより冷却流体通路は管壁内に形成される。この中子を取り出した後は、冷却流体通路と外部とを連通する連通孔は栓体にて閉塞されることになる。この栓体による閉塞状態では、栓体の先端部回りには管壁との間で構成される窪みが生じやすい。このため連通孔が冷却流体通路の鉛直方向の上方にかつ軸方向を鉛直方向として存在する場合には、冷却流体を冷却流体通路に導入した後も、前記窪みには空気が残留しやすい。このような空気の存在により、排気により排気冷却用管体が高温化した場合に、残留空気を起点とする水などの冷却流体の沸騰が生じやすくなり、熱交換効率を低下させるおそれがある。
【0018】
本発明の排気冷却用管体は、連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けている構成としている。このため前記窪みも空気を逃しやすい角度位置となる。したがって空気による冷却流体の沸騰促進を防止できるので、このことにより熱交換効率の低下を防止でき、冷却効率を高く維持することができる。
【0019】
請求項6に記載の排気冷却用管体では、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、排気冷却用管体の管壁の内で、前記排気導入口側に対向するように斜めに向いている領域に形成されている冷却流体通路における吸熱能力を、他の部分よりも高めたことを特徴とする。
【0020】
排気導入口側に対向するように斜めに向いている領域には、内燃機関の排気ポートからの排気が衝突する。このため、この領域に形成されている冷却流体通路における吸熱能力を他の部分よりも高めることにより、効果的に排気を冷却して、冷却効率を高めることができる。
【0021】
請求項7に記載の排気冷却用管体では、請求項6に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路の容積を他の部分よりも大きくすることにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする。
【0022】
このように冷却流体通路の容積を他の部分よりも大きくすることにより吸熱能力を高めることができ、このことにより効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
請求項8に記載の排気冷却用管体では、請求項6に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路における冷却流体の流速と、他の部分での冷却流体の流速とに差を設けたことにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする。
【0023】
このように冷却流体通路における冷却流体の流速と他の部分での流速とに差を設けることにより前記領域での吸熱能力を高めることができ、このことにより効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
【0024】
請求項9に記載の排気冷却用管体では、請求項8に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路における冷却流体の流速を他の部分よりも高くすることにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする。
【0025】
具体的には、このように冷却流体通路における冷却流体の流速を他の部分よりも高くすることにより吸熱能力を高めることができ、このことにより効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
【0026】
請求項10に記載の排気冷却用管体では、請求項5〜9のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、前記冷却流体通路には、冷却流体として冷却水が供給されることを特徴とする。
【0027】
冷却流体としては冷却水を用いることができる。
請求項11に記載の排気冷却用管体では、請求項10に記載の排気冷却用管体において、前記冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されることを特徴とする。
【0028】
冷却水としては、内燃機関用冷却水が利用でき、在来の内燃機関冷却系の構成を利用して排気を排気冷却用管体にて効率的に冷却できる。
請求項12に記載の内燃機関排気系では、請求項1〜11のいずれか一項に記載の排気冷却用管体を内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に用いたことを特徴とする。
【0029】
このように前述した排気冷却用管体を用いることで、本発明の内燃機関排気系は、排気の冷却効率を高めると共に凝縮水が内燃機関側に逆流することを防止できる。
請求項13に記載の内燃機関排気系は、排気ポートと排気分岐管との間に排気冷却用管体を配置した内燃機関の排気系であって、前記排気冷却用管体により接続される前記排気ポートの開口部と前記排気分岐管の開口部とは、前記排気ポートの開口部が前記排気分岐管の開口部よりも鉛直方向の上方に配置されていることを特徴とする。
【0030】
このように排気冷却用管体を配置する排気系において、排気ポートの開口部が排気分岐管の開口部よりも鉛直方向の上方に位置する構成としても良い。
このことにより排気冷却用管体の内部に凝縮水が生じても、内燃機関側でなく排気分岐管側へ流れるので、凝縮水の逆流を防止することができる。
【0031】
請求項14に記載の内燃機関排気系では、請求項13に記載の内燃機関排気系において、排気冷却用管体の管壁内には冷却流体通路とこの冷却流体通路と外部とを連通する連通孔が栓体に閉塞された状態でかつ前記冷却流体通路の鉛直方向の上方に設けられていると共に、前記連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けていることを特徴とする。
【0032】
前述したごとく、排気冷却用管体は、中子を用いた鋳造などにより製造される場合、この中子を分解して取り出した後は、冷却流体通路と外部とを連通する連通孔は栓体にて閉塞される。連通孔が冷却流体通路の鉛直方向の上方にかつ軸方向を鉛直方向として存在する場合に、栓体との間で形成される窪みには空気が残存しやすく、冷却流体の沸騰を促進して熱交換効率を低下させるおそれがある。
【0033】
本発明の内燃機関排気系は、排気冷却用管体の連通孔の軸方向が、鉛直方向に対して角度を設けているので、前記窪みは空気を逃しやすい角度位置となる。したがって空気による冷却流体の沸騰促進が防止され、このことにより熱交換効率の低下を防止でき、内燃機関排気系での冷却効率を高く維持することができる。
【0034】
請求項15に記載の内燃機関排気系では、請求項14に記載の内燃機関排気系において、前記冷却流体通路には、冷却流体として冷却水が供給されることを特徴とする。
冷却流体としては冷却水を用いることができる。
【0035】
請求項16に記載の内燃機関排気系では、請求項15に記載の内燃機関排気系において、前記冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されることを特徴とする。
冷却水としては、内燃機関用冷却水が利用でき、在来の内燃機関冷却系の構成を利用して排気を排気冷却用管体にて効率的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態1の冷却アダプタの正面図。
【図2】同じく背面図。
【図3】同じく斜視図。
【図4】同じく斜視図。
【図5】同じく右側面図。
【図6】図2におけるA−A線切断斜視図。
【図7】図2におけるA−A線断面図。
【図8】図2におけるB−B線切断斜視図。
【図9】図2におけるB−B線断面図。
【図10】図2におけるC−C線切断斜視図。
【図11】図2におけるC−C線断面図。
【図12】実施の形態1の冷却アダプタにおけるウォータジャケットの空間形状を示す正面図。
【図13】同じく背面図。
【図14】同じく平面図。
【図15】同じく底面図。
【図16】同じく右側面図。
【図17】同じく斜視図。
【図18】同じく斜視図。
【図19】実施の形態2の冷却アダプタの正面図。
【図20】同じく背面図。
【図21】同じく斜視図。
【図22】同じく斜視図。
【図23】同じく右側面図。
【図24】図19におけるE−E線切断斜視図。
【図25】図19におけるE−E線断面図。
【図26】実施の形態2の冷却アダプタにおけるウォータジャケットの空間形状を示す正面図。
【図27】同じく斜視図。
【図28】実施の形態3の冷却アダプタの右側面図。
【図29】実施の形態4の冷却アダプタにおけるウォータジャケットの空間形状の一例を示す正面図。
【図30】同じくウォータジャケットの空間形状の他の例を示す正面図。
【図31】(a)〜(c)排気流路の各種形態を示す断面図。
【図32】他の実施の形態の冷却アダプタの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[実施の形態1]
図1〜5は、上述した発明が適用された排気冷却用管体としての冷却アダプタ2の構成を示している。図1は正面図、図2は背面図、図3は正面右側から見たの斜視図、図4は背面左側から見た斜視図、図5は右側面図である。
【0038】
冷却アダプタ2は図5に示したごとく内燃機関のシリンダヘッド4に開口する排気ポート4aと排気分岐管6との間に配置されて、排気ポート4aから排出される排気を冷却して排気分岐管6側に排出するものであり、このことにより排気系の熱害を防止するものである。
【0039】
このような冷却アダプタ2はアルミニウム合金や鉄合金などの金属材料により鋳造されたものであり、排気上流側に排気導入口8が開口するシリンダヘッド側接続面10を形成している。排気導入口8は、ここでは内燃機関は直列4気筒であるので、これに対応して4つが直線状に配列して設けられている。
【0040】
排気下流側は排気排出口12が開口する排気分岐管側接続面14を形成している。排気排出口12は排気導入口8に対応して4つが直線状に配列して設けられている。
これら排気導入口8と排気排出口12とはそれぞれ冷却アダプタ2内に形成された4つの排気流路16にて接続されている。
【0041】
図6〜11に冷却アダプタ2の断面図を示す。図6は図2におけるA−A線にて切断した状態の斜視図、図7はA−A線断面図、図8は図2におけるB−B線にて切断した状態の斜視図、図9はB−B線断面図、図10は図2におけるC−C線にて切断した状態の斜視図、図11はC−C線断面図である。
【0042】
図示したごとく冷却アダプタ2の管壁18内には、排気流路16の周囲に冷却流体通路としてウォータジャケット20が設けられている。
図12〜18にウォータジャケット20の空間形状を示す。図12は正面図、図13は背面図、図14は平面図、図15は底面図、図16は右側面図、図17は正面右側から見たの斜視図、図18は背面左側から見た斜視図である。尚、図16〜18は冷却アダプタ2(破線)内における状態にて示している。
【0043】
このような冷却アダプタ2が内燃機関に取り付けられた状態では、ウォータジャケット20内には、内燃機関の冷却水供給経路から、冷却アダプタ2の下方に形成された冷却水導入口20aを介して冷却水が図5に二点鎖線の矢線で示したごとく導入される。そしてウォータジャケット20内を流れた冷却水は、上方に形成された冷却水排出口20bから図5に二点鎖線の矢線で示したごとく排出されて冷却水還流経路に戻される。
【0044】
ウォータジャケット20は排気流路16の周囲に形成されることで、冷却アダプタ2の管壁18を介して、図5に破線の矢線で示したごとく排気流路16内を流れる排気を冷却することができる。
【0045】
ここでシリンダヘッド4の排気ポート4aに接続する排気導入口8と、排気分岐管6に接続される排気排出口12とは、図5に示したごとく、その中心軸Ax,Bxがずらされて形成されている。ここでは中心軸Ax,Bxは非平行状態としていることにより、ずらした状態が実現されている。
【0046】
このことにより排気流路16は、排気導入口8から管壁18内に入るとわずかな距離にて直ちに屈曲して排気排出口12に接続している。このことによりシリンダヘッド4の排気ポート4aに対して排気導入口8を接続した状態では、排気導入口8よりも鉛直方向の下方にずらして排気排出口12を配置することができる。図5では排気排出口12は、排気導入口8よりも鉛直方向の下方に配置されている。
【0047】
このように排気流路16の上方の内壁面16aが排気導入口8に向けられているので、シリンダヘッド4の排気ポート4aから冷却アダプタ2内に導入された排気は、短い距離にて直ちに上方の内壁面16aに衝突し、このことにより冷却されつつ鉛直方向の下方へ流動方向が曲げられて排気排出口12へ向かうことになる。
【0048】
ここで冷却アダプタ2は鋳造により形成されているが、排気流路16と共にウォータジャケット20の形成は中子によっている。ウォータジャケット用中子は、図12〜18に示したごとくのウォータジャケット20の空間形状をなしている。そして、このようなウォータジャケット用中子を排気流路用中子と共に鋳型内に配置して冷却アダプタ2の鋳造がなされる。ウォータジャケット用中子は、鋳型内ではピンで支持され、このピンは鋳造後に中子を粉砕して排出する取り出し孔を形成するものとなる。
【0049】
したがって鋳造後にピンを除いた取り出し孔からウォータジャケット用中子を粉砕して排出すると、ウォータジャケット20と外部とを連通する連通孔22が図8〜11に示したごとく残る。このため図示したごとく連通孔22は栓体24にて閉塞されている。
【0050】
ウォータジャケット20はその軸方向が排気流路16に沿って斜めに形成されており、ウォータジャケット20に対する連通孔22の開口部分も斜めの姿勢となる。ここでは栓体24にて閉塞されている連通孔22は、ウォータジャケット20の鉛直方向の上方に設けられていると共に、連通孔22の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けている状態とされている。
【0051】
尚、冷却アダプタ2において、貫通孔26は、冷却アダプタ2をシリンダヘッド4の接続面にボルト締結するためのボルト挿通孔である。排気分岐管側接続面14に開口しているボルト締結孔28は、排気分岐管側接続面14と排気分岐管6の上流端とを接続してボルト締結するための締結孔である。
【0052】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(1)冷却アダプタ2は、シリンダヘッド4の排気ポート4aに接続される排気導入口8と排気分岐管6に接続される排気排出口12との中心軸Ax,Bxを非平行とすることで、中心軸Ax,Bx同士をずらした構成としている。
【0053】
このように排気導入口8と排気排出口12との中心軸Ax,Bxをずらすことにより、図5に示したごとく、排気導入口8を排気排出口12に対して鉛直方向での上方の位置となるように配置することができるようになる。すなわちシリンダヘッド4の排気ポート4aの開口部よりも鉛直方向下方に排気分岐管6の開口部を配置できる。
【0054】
このことにより内燃機関の暖機中に排気が冷却されることにより冷却アダプタ2の排気流路16内に凝縮水が生じたとしても、シリンダヘッド4の排気ポート4a側でなく排気分岐管6側に重力により排出させることができる。
【0055】
更に排気導入口8と排気排出口12との中心軸Ax,Bxをずらしたことにより、排気導入口8から導入された直後の排気流の方向は、排気流路16の管壁に平行ではないので、排気流は管壁に衝突する。図5では排気流路16の上方の内壁面16aに衝突する。このため冷却アダプタ2の管壁との熱交換効率が向上し、冷却効率を高めることができる。
【0056】
このようにして冷却アダプタ2は冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができる。
(2)図8〜11に示したごとく、冷却アダプタ2の管壁18内にはウォータジャケット20とこのウォータジャケット20と外部とを連通する中子排出用の連通孔22が設けられている。
【0057】
この連通孔22は栓体24にて閉塞されているが、連通孔22内は栓体24にて全て充填されているとは限らず、実際には図9,11に示したごとく窪み状のスペース22aが余る場合がある。
【0058】
ウォータジャケット20内に冷却水を導入した場合には、このスペース22aが空気溜まりとなり、排気により冷却アダプタ2が高温化した場合に、スペース22aに残留した空気を起点とする冷却水の沸騰が生じて熱交換効率を低下させるおそれがある。
【0059】
しかし本実施の形態の冷却アダプタ2では、図9,11に示したごとく連通孔22はその軸方向が鉛直方向に対して角度を設けているので、スペース22aが存在しても空気を逃しやすい角度位置となっていることから空気溜まりとなることを防止できる。
【0060】
したがって残留空気による冷却水の沸騰促進を防止し、このことにより熱交換効率の低下を防止して、冷却アダプタ2による冷却効率を高く維持することができる。
(3)冷却アダプタ2においては、排気流路16の上方の内壁面16aは、図5に示したごとく排気導入口8側に対向するように斜めに向いている領域となっていることから、排気導入口8から導入された排気流は最初にこの上方の内壁面16aに衝突してから、排気流路16に沿うように曲がり排気排出口12側に流れることになる。
【0061】
この上方の内壁面16a側では、反対側に比較して図8〜11に示したごとくウォータジャケット20が排気流路16に沿って長く形成されている。このようにウォータジャケット20の容積を他の部分よりも大きくしていることにより、高温の排気流が最初に衝突する上方の内壁面16a側にて、排気からの吸熱能力を、他の部分よりも高めている。このため効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
【0062】
(4)本実施の形態では、ウォータジャケット20に導入する冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されている。したがって在来の内燃機関冷却系の構成を利用して排気を冷却アダプタ2にて効率的に冷却できる。
【0063】
[実施の形態2]
本実施の形態の内燃機関排気系に用いられる冷却アダプタ102の構成を図19〜25に示す。図19は正面図、図20は背面図、図21は正面右側から見たの斜視図、図22は背面左側から見た斜視図、図23は右側面図である。尚、図23には、組み合わされる内燃機関のシリンダヘッド104と排気分岐管106とを破線にて示している。
【0064】
冷却アダプタ102は図23に示したごとく内燃機関のシリンダヘッド104に開口する排気ポート104aと排気分岐管106との間に設けられて、排気ポート104aの開口部104cから排出される排気を冷却して排気分岐管106側の開口部106aに排出するものであり、このことにより排気系の熱害を防止するものである。この点については前記実施の形態1と同じである。
【0065】
本実施の形態のシリンダヘッド104において、排気ポート104aの開口部104cが存在する冷却アダプタ接続面104bは、鉛直方向の下向きに傾斜して設けられている。そして冷却アダプタ102においては、排気導入口108が開口しているシリンダヘッド側接続面110と、排気排出口112が開口している排気分岐管側接続面114とは平行とし、その中心軸同士は一致させた形状としている。
【0066】
したがって冷却アダプタ102内部の排気流路116は直線状であり曲げられていないが、この冷却アダプタ102は、下向に傾斜した冷却アダプタ接続面104bに接続されることにより内燃機関排気系が構成されることから、冷却アダプタ102内部の排気流路116全体は排気排出口112側が鉛直方向の下方に傾けられた状態となる。
【0067】
図24,25に冷却アダプタ102の断面図を示す。図24は図19におけるE−E線にて切断した状態の斜視図、図25はE−E線断面図である。
図示したごとく冷却アダプタ102の管壁118内には、排気流路116の周囲に冷却流体通路としてウォータジャケット120が設けられている。
【0068】
図26,27にウォータジャケット120の空間形状を示す。図26は正面図、図27は正面右側から見たの斜視図である。尚、図26,27は冷却アダプタ102(破線)内における状態にて示している。
【0069】
冷却アダプタ102が内燃機関に取り付けられた状態では、ウォータジャケット120内には、下方に形成された冷却水導入口120aを介して内燃機関の冷却水供給経路から冷却水が導入される。そしてウォータジャケット120内を流れた冷却水は、上方に形成された冷却水排出口120bから冷却水還流経路に戻される。
【0070】
ウォータジャケット120は排気流路116の周囲に形成されることで、冷却アダプタ102の管壁118を介して排気流路116内を流れる排気を冷却する。尚、本実施の形態の冷却アダプタ102では、その周囲に、冷却アダプタ102をシリンダヘッド104の冷却アダプタ接続面104bにボルト締結するためのボルト挿通孔126や、排気分岐管側接続面114に排気分岐管106の上流端を接続してボルト締結するためのボルト締結孔128が配置されており、中央には存在しない。このためウォータジャケット120は中央の気筒間にも形成されている。
【0071】
本実施の形態の内燃機関排気系において、シリンダヘッド104の排気ポート104aから冷却アダプタ102内に導入された排気は、流動方向を曲げることなく排気流路116に沿って直ちに鉛直方向の下方にある排気排出口112に向かうことになる。
【0072】
冷却アダプタ102は、前記実施の形態1に説明したごとく、鋳造後にウォータジャケット用中子の取り出し孔である連通孔122が開放状態に残るので、図24,25に示したごとく栓体124にて閉塞している。ウォータジャケット120はその軸方向が全体が排気流路116に沿って斜めとなっており、ウォータジャケット120に対する連通孔122の開口部分についても斜めの姿勢となる。ここでは栓体124にて閉塞されている連通孔122は、ウォータジャケット120の鉛直方向の上方に設けられていると共に、連通孔122の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けている状態とされている。
【0073】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施の形態の内燃機関排気系において、冷却アダプタ102を間にして接続されるシリンダヘッド104の排気ポート104aにおける開口部104cと、排気分岐管106の開口部106aとは、排気分岐管106の開口部106aが排気ポート104aの開口部104cよりも鉛直方向の下方に配置されている。
【0074】
このことにより冷却アダプタ102の排気流路116自体は直線状であり曲げられていないが、排気流路116は全体として鉛直方向の下側に向けて傾けられていることになる。
【0075】
このことにより冷却アダプタ102内部に凝縮水が生じても、内燃機関の排気ポート104a側でなく排気分岐管106側へ流れるので、凝縮水の逆流を防止することができる。
【0076】
(2)前記実施の形態1の(2)、(4)に述べた効果を生じる。
[実施の形態3]
本実施の形態の冷却アダプタ202は、図28の右側面図に示すごとく、排気導入口208の中心軸Ayと排気排出口212の中心軸Byとは平行であるが、中心軸Ay,By同士は一致していない。すなわち中心軸Ay,By間に距離を設けたことによりシリンダヘッド204の排気ポート204aに接続する排気導入口208と排気分岐管206に接続される排気排出口212とは中心軸Ay,Byをずらした構成としている。
【0077】
このため冷却アダプタ202を内燃機関のシリンダヘッド204に配置することで、冷却アダプタ202内の排気流路216を鉛直方向の下方に傾けることができるようになる。このことでシリンダヘッド204の排気ポート204aにおける開口部204cと排気分岐管206の開口部206aとは平行であるが、排気ポート204aの開口部204cよりも排気分岐管206の開口部206aを鉛直方向の下方にずらした配置で内燃機関排気系を構成できる。
【0078】
本実施の形態についても、排気流路216の上方の内壁面216aは、排気導入口208側に対向するように斜めに向いている領域となっていることから、排気導入口208から導入された排気流は最初にこの上方の内壁面216aに衝突してから、排気流路216に沿って排気排出口212側に流れることになる。
【0079】
他の構成は前記実施の形態1と同じである。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(1)中心軸Ay,By間が平行であるとの違いがあるが、前記実施の形態1の(1)、(2)、(4)と同様な効果を生じる。
【0080】
[実施の形態4]
図29,30にそれぞれ示すごとく、本実施の形態の冷却アダプタのウォータジャケット320,420においては、特に上方側の流路320c,420cに向かって冷却水導入口320a,420aからの冷却水が噴出されるように、冷却水導入口320a,420aの配置とその向きが設定されている。
【0081】
尚、図29のウォータジャケット320については前記実施の形態1の冷却アダプタ2に適用されるものであり、図30のウォータジャケット420については前記実施の形態3の冷却アダプタ202に適用されるものである。
【0082】
したがって上方側の流路320c,420cでは、ウォータジャケット320,420の他の部分の流路よりも冷却水の流速が高く、このことより他の流路に比較して冷却能力が高くされている。
【0083】
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
(1)このように排気導入口8,208(図5,28)側に向いている上方の内壁面16a,216aに形成されている流路320c,420cにおける冷却水の流速と、他の部分の流路での流速とに差を設けたことにより、吸熱能力を上方の内壁面16a,216aにて他の部分よりも高めている。したがって冷却水により効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
【0084】
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態1の冷却アダプタ2の鋳造においては、鋳型内に排気流路16用の中子を、ウォータジャケット20用の中子の内側に配置することになる。
【0085】
排気流路16用の中子は排気導入口8の輪郭度を高く確保するために、図31の(a)に示すごとく、排気導入口8側はシリンダヘッド側接続面10に対して直角となるように短い距離(領域8x)で曲げられている。このため排気排出口12側の中心軸と、排気導入口8の中心(輪郭中心)との距離D0は小さく抑えられている。
【0086】
本発明では図31の(b)に示す冷却アダプタ502のごとく、排気導入口508側のシリンダヘッド側接続面510に対して直角とした部分(領域508x)の距離を長くすることも可能である。ただしこのように領域508xが長いと、排気排出口512側の中心軸と、排気導入口508の中心との距離D1は大きくなる。このように距離D1が大きくなると、排気導入口508側の領域508xがギャップGにて示すごとくウォータジャケット520から大きく離れて排気の冷却効率向上が抑制されるおそれがある。
【0087】
これはウォータジャケット520用中子を排気流路516用中子に沿わせて屈曲した状態とすることが、ウォータジャケット520用中子内に排気流路516用中子を挿入させる必要性から困難なためである。
【0088】
このため排気排出口512側の中心軸と排気導入口508の中心との距離D1はなるべく小さくすることが好ましい。
本発明では図31の(c)に示す冷却アダプタ602のごとく、排気流路616を2ヶ所にて屈曲させた構成とすることも可能である。ただし、この場合についても排気排出口612側の中心軸と排気導入口608の中心との距離D2が図示したごとく大きくなると、前述した配置の制約から排気流路616は鉛直方向の上側と下側との両方でウォータジャケット620から大きく離れて排気の冷却効率向上が抑制されるおそれがある。このため、このような場合にも同様に排気排出口612側の中心軸と排気導入口608の中心との距離D2はなるべく小さくすることが好ましい。
【0089】
・前記各実施の形態において、冷却アダプタのウォータジャケットへは、内燃機関とは別個にラジエータ側から低温化された冷却水を導入する構成とすることができる。あるいは、内燃機関のシリンダヘッドあるいはシリンダブロックから、シリンダヘッドやシリンダブロックを冷却している冷却水の一部を導入し、ウォータジャケット内を流した後に冷却水を循環経路に戻す構成としても良い。
【0090】
・前記実施の形態2において、排気ポート104aが開口している冷却アダプタ接続面104bは鉛直方向の下向きに傾斜していたが、これは冷却アダプタ接続面104bのみを傾けるのでなく、内燃機関自体を傾けることにより達成しても良い。
【0091】
・前記実施の形態4では上方側の流路320c,420cでの冷却水の流速を他の部分よりも高くすることで冷却能力を高めていたが、この代わりに上方側の流路320c,420cの容積を他の部分よりも増加して冷却能力を高めても良い。例えば上方側の流路320c,420cの厚さを他の部分よりも増加させることにより大容量の冷却水が流れるようにしても良い。
【0092】
・排気ポートに接続される排気導入口と排気分岐管に接続される排気排出口との間の中心軸を平行にずらす形態としては、前記実施の形態3(図28)における形態の代わりに、図32の右側面図に示す冷却アダプタ702のごとくずらしても良い。
【0093】
この冷却アダプタ702では、排気導入口708の中心軸Azと排気排出口712の中心軸Bzとは平行であるが、中心軸Az,Bz同士は一致していない。すなわち排気流路716は上方の内壁面716aは水平であるが、下方の内壁面716bは鉛直方向の下方に傾いている。この結果、中心軸Az,Bz間に距離Dzが設けられ、排気排出口712の中心軸Bzは排気導入口708の中心軸Azよりも鉛直方向の下方にずらされている。尚、ウォータジャケット720については図26,27あるいは図30に示した形状である。
【0094】
このような冷却アダプタ702が図示したごとくに内燃機関に適用された場合に、排気流路716内に発生した凝縮水は、重力により、上方の内壁面716aから下方の内壁面716bに流下した後に、下方の内壁面716bに沿って排気分岐管706側に流れることで、シリンダヘッド704の排気ポート704a側へ逆流することが防止される。
【符号の説明】
【0095】
2…冷却アダプタ、4…シリンダヘッド、4a…排気ポート、6…排気分岐管、8…排気導入口、8x…領域、10…シリンダヘッド側接続面、12…排気排出口、14…排気分岐管側接続面、16…排気流路、16a…上方の内壁面、18…管壁、20…ウォータジャケット、20a…冷却水導入口、20b…冷却水排出口、22…連通孔、22a…スペース、24…栓体、26…貫通孔、28…ボルト締結孔、102…冷却アダプタ、104…シリンダヘッド、104a…排気ポート、104b…冷却アダプタ接続面、104c…開口部、106…排気分岐管、106a…開口部、108…排気導入口、110…シリンダヘッド側接続面、112…排気排出口、114…排気分岐管側接続面、116…排気流路、118…管壁、120…ウォータジャケット、120a…冷却水導入口、120b…冷却水排出口、122…中子排出用の連通孔、124…栓体、126…ボルト挿通孔、128…ボルト締結孔、202…冷却アダプタ、204…シリンダヘッド、204a…排気ポート、204c…開口部、206…排気分岐管、206a…開口部、208…排気導入口、212…排気排出口、216…排気流路、216a…上方の内壁面、320,420…ウォータジャケット、320a,420a…冷却水導入口、320c,420c…上方側の流路、502…冷却アダプタ、508…排気導入口、508x…領域、510…シリンダヘッド側接続面、512…排気排出口、516…排気流路、520…ウォータジャケット、602…冷却アダプタ、608…排気導入口、612…排気排出口、616…排気流路、620…ウォータジャケット、702…冷却アダプタ、704…シリンダヘッド、704a…排気ポート、706…排気分岐管、708…排気導入口、712…排気排出口、716…排気流路、716a…上方の内壁面、716b…下方の内壁面、720…ウォータジャケット、Ax,Ay,Az,Bx,By,Bz…中心軸、G…ギャップ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に設けられる排気冷却用管体、及び排気ポートと排気分岐管との間に排気冷却用管体を配置した内燃機関排気系に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダヘッドとエキゾーストマニホールドとの間に排気冷却用管体に相当する冷却アダプタを配置することにより、内燃機関排気系での熱害を防止する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−15718号公報(第1頁、図2〜5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷却アダプタでは、内燃機関の排気ポートから排出される排気は、その流れと平行な管壁を有する冷却アダプタを通過して排気枝管に流れ込んでいる。このように高温の排気を冷却アダプタを単に通過させたのみでは、冷却アダプタの管壁との熱交換が十分でない。したがって熱交換効率を高めて冷却能力を高める必要がある。
【0005】
更に特許文献1の冷却アダプタでは、内燃機関暖機時などにおいて管壁に排気中の水蒸気が凝縮した場合、その凝縮水が重力により冷却アダプタの下方に溜まり、その後、溜まった凝縮水が内燃機関の排気ポート側に逆流するおそれがある。
【0006】
本発明は、排気の冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができる排気冷却用管体、この排気冷却用管体を用いた内燃機関排気系、及び凝縮水の逆流を防止することができる内燃機関排気系を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用・効果について記載する。
請求項1に記載の排気冷却用管体は、内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に設けられる排気冷却用管体であって、前記排気ポートに接続する排気導入口と前記排気分岐管に接続される排気排出口とは中心軸をずらしたことを特徴とする。
【0008】
内燃機関の排気ポートによる排気排出方向が水平あるいは少し上方に向いているような場合、従来の排気冷却用管体では、その排気排出口は排気導入口に対して鉛直方向で同一レベルあるいは上方となるが、本発明のごとく排気導入口と排気排出口との中心軸をずらす構成では排気排出口は排気導入口に対して鉛直方向の下方にすることが可能となる。
【0009】
このことにより内燃機関の排気ポートの開口部よりも鉛直方向下方に排気分岐管の開口を配置できることになる。
したがって排気冷却用管体内部に凝縮水が生じたとしても、内燃機関側でなく排気分岐管側へ重力により流させて排出させることができる。
【0010】
更に排気導入口と排気排出口との中心軸をずらしたことにより、排気ポートから排気導入口へと流れ込んだ排気の流動方向は、排気冷却用管体の管壁に平行ではなく排気流は管壁に衝突する。このため排気冷却用管体の管壁との熱交換効率が向上し、冷却効率を高めることができる。
【0011】
このことにより本発明の排気冷却用管体は冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができる。
請求項2に記載の排気冷却用管体では、請求項1に記載の排気冷却用管体において、前記排気導入口の中心軸と前記排気排出口の中心軸との間を非平行としたことを特徴とする。
【0012】
このように中心軸同士を非平行とすることで、ずらしても良く、上述したごとく冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができるようになる。
請求項3に記載の排気冷却用管体では、請求項1に記載の排気冷却用管体において、前記排気導入口の中心軸と前記排気排出口の中心軸とを平行にして、この2つの中心軸間に距離を設けたことを特徴とする。
【0013】
このように中心軸同士を平行として中心軸間に距離を設けることによって、ずらしても良く、上述したごとく冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができるようになる。
【0014】
請求項4に記載の排気冷却用管体では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、内燃機関の排気ポートに前記排気導入口を接続した状態では、前記排気排出口は、前記排気導入口よりも鉛直方向の下方に配置されることを特徴とする。
【0015】
このように排気冷却用管体の排気導入口と排気排出口との鉛直方向の位置関係を設定していることにより、内燃機関の排気の冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の排気冷却用管体では、請求項4に記載の排気冷却用管体において、排気冷却用管体の管壁内には冷却流体通路とこの冷却流体通路と外部とを連通する連通孔が栓体に閉塞された状態でかつ前記冷却流体通路の鉛直方向の上方に設けられていると共に、前記連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けていることを特徴とする。
【0017】
排気冷却用管体は、中子を用いた鋳造などにより製造されるが、この中子を分解して中子抜き用の連通孔から取り出すことにより冷却流体通路は管壁内に形成される。この中子を取り出した後は、冷却流体通路と外部とを連通する連通孔は栓体にて閉塞されることになる。この栓体による閉塞状態では、栓体の先端部回りには管壁との間で構成される窪みが生じやすい。このため連通孔が冷却流体通路の鉛直方向の上方にかつ軸方向を鉛直方向として存在する場合には、冷却流体を冷却流体通路に導入した後も、前記窪みには空気が残留しやすい。このような空気の存在により、排気により排気冷却用管体が高温化した場合に、残留空気を起点とする水などの冷却流体の沸騰が生じやすくなり、熱交換効率を低下させるおそれがある。
【0018】
本発明の排気冷却用管体は、連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けている構成としている。このため前記窪みも空気を逃しやすい角度位置となる。したがって空気による冷却流体の沸騰促進を防止できるので、このことにより熱交換効率の低下を防止でき、冷却効率を高く維持することができる。
【0019】
請求項6に記載の排気冷却用管体では、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、排気冷却用管体の管壁の内で、前記排気導入口側に対向するように斜めに向いている領域に形成されている冷却流体通路における吸熱能力を、他の部分よりも高めたことを特徴とする。
【0020】
排気導入口側に対向するように斜めに向いている領域には、内燃機関の排気ポートからの排気が衝突する。このため、この領域に形成されている冷却流体通路における吸熱能力を他の部分よりも高めることにより、効果的に排気を冷却して、冷却効率を高めることができる。
【0021】
請求項7に記載の排気冷却用管体では、請求項6に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路の容積を他の部分よりも大きくすることにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする。
【0022】
このように冷却流体通路の容積を他の部分よりも大きくすることにより吸熱能力を高めることができ、このことにより効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
請求項8に記載の排気冷却用管体では、請求項6に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路における冷却流体の流速と、他の部分での冷却流体の流速とに差を設けたことにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする。
【0023】
このように冷却流体通路における冷却流体の流速と他の部分での流速とに差を設けることにより前記領域での吸熱能力を高めることができ、このことにより効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
【0024】
請求項9に記載の排気冷却用管体では、請求項8に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路における冷却流体の流速を他の部分よりも高くすることにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする。
【0025】
具体的には、このように冷却流体通路における冷却流体の流速を他の部分よりも高くすることにより吸熱能力を高めることができ、このことにより効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
【0026】
請求項10に記載の排気冷却用管体では、請求項5〜9のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、前記冷却流体通路には、冷却流体として冷却水が供給されることを特徴とする。
【0027】
冷却流体としては冷却水を用いることができる。
請求項11に記載の排気冷却用管体では、請求項10に記載の排気冷却用管体において、前記冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されることを特徴とする。
【0028】
冷却水としては、内燃機関用冷却水が利用でき、在来の内燃機関冷却系の構成を利用して排気を排気冷却用管体にて効率的に冷却できる。
請求項12に記載の内燃機関排気系では、請求項1〜11のいずれか一項に記載の排気冷却用管体を内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に用いたことを特徴とする。
【0029】
このように前述した排気冷却用管体を用いることで、本発明の内燃機関排気系は、排気の冷却効率を高めると共に凝縮水が内燃機関側に逆流することを防止できる。
請求項13に記載の内燃機関排気系は、排気ポートと排気分岐管との間に排気冷却用管体を配置した内燃機関の排気系であって、前記排気冷却用管体により接続される前記排気ポートの開口部と前記排気分岐管の開口部とは、前記排気ポートの開口部が前記排気分岐管の開口部よりも鉛直方向の上方に配置されていることを特徴とする。
【0030】
このように排気冷却用管体を配置する排気系において、排気ポートの開口部が排気分岐管の開口部よりも鉛直方向の上方に位置する構成としても良い。
このことにより排気冷却用管体の内部に凝縮水が生じても、内燃機関側でなく排気分岐管側へ流れるので、凝縮水の逆流を防止することができる。
【0031】
請求項14に記載の内燃機関排気系では、請求項13に記載の内燃機関排気系において、排気冷却用管体の管壁内には冷却流体通路とこの冷却流体通路と外部とを連通する連通孔が栓体に閉塞された状態でかつ前記冷却流体通路の鉛直方向の上方に設けられていると共に、前記連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けていることを特徴とする。
【0032】
前述したごとく、排気冷却用管体は、中子を用いた鋳造などにより製造される場合、この中子を分解して取り出した後は、冷却流体通路と外部とを連通する連通孔は栓体にて閉塞される。連通孔が冷却流体通路の鉛直方向の上方にかつ軸方向を鉛直方向として存在する場合に、栓体との間で形成される窪みには空気が残存しやすく、冷却流体の沸騰を促進して熱交換効率を低下させるおそれがある。
【0033】
本発明の内燃機関排気系は、排気冷却用管体の連通孔の軸方向が、鉛直方向に対して角度を設けているので、前記窪みは空気を逃しやすい角度位置となる。したがって空気による冷却流体の沸騰促進が防止され、このことにより熱交換効率の低下を防止でき、内燃機関排気系での冷却効率を高く維持することができる。
【0034】
請求項15に記載の内燃機関排気系では、請求項14に記載の内燃機関排気系において、前記冷却流体通路には、冷却流体として冷却水が供給されることを特徴とする。
冷却流体としては冷却水を用いることができる。
【0035】
請求項16に記載の内燃機関排気系では、請求項15に記載の内燃機関排気系において、前記冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されることを特徴とする。
冷却水としては、内燃機関用冷却水が利用でき、在来の内燃機関冷却系の構成を利用して排気を排気冷却用管体にて効率的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態1の冷却アダプタの正面図。
【図2】同じく背面図。
【図3】同じく斜視図。
【図4】同じく斜視図。
【図5】同じく右側面図。
【図6】図2におけるA−A線切断斜視図。
【図7】図2におけるA−A線断面図。
【図8】図2におけるB−B線切断斜視図。
【図9】図2におけるB−B線断面図。
【図10】図2におけるC−C線切断斜視図。
【図11】図2におけるC−C線断面図。
【図12】実施の形態1の冷却アダプタにおけるウォータジャケットの空間形状を示す正面図。
【図13】同じく背面図。
【図14】同じく平面図。
【図15】同じく底面図。
【図16】同じく右側面図。
【図17】同じく斜視図。
【図18】同じく斜視図。
【図19】実施の形態2の冷却アダプタの正面図。
【図20】同じく背面図。
【図21】同じく斜視図。
【図22】同じく斜視図。
【図23】同じく右側面図。
【図24】図19におけるE−E線切断斜視図。
【図25】図19におけるE−E線断面図。
【図26】実施の形態2の冷却アダプタにおけるウォータジャケットの空間形状を示す正面図。
【図27】同じく斜視図。
【図28】実施の形態3の冷却アダプタの右側面図。
【図29】実施の形態4の冷却アダプタにおけるウォータジャケットの空間形状の一例を示す正面図。
【図30】同じくウォータジャケットの空間形状の他の例を示す正面図。
【図31】(a)〜(c)排気流路の各種形態を示す断面図。
【図32】他の実施の形態の冷却アダプタの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[実施の形態1]
図1〜5は、上述した発明が適用された排気冷却用管体としての冷却アダプタ2の構成を示している。図1は正面図、図2は背面図、図3は正面右側から見たの斜視図、図4は背面左側から見た斜視図、図5は右側面図である。
【0038】
冷却アダプタ2は図5に示したごとく内燃機関のシリンダヘッド4に開口する排気ポート4aと排気分岐管6との間に配置されて、排気ポート4aから排出される排気を冷却して排気分岐管6側に排出するものであり、このことにより排気系の熱害を防止するものである。
【0039】
このような冷却アダプタ2はアルミニウム合金や鉄合金などの金属材料により鋳造されたものであり、排気上流側に排気導入口8が開口するシリンダヘッド側接続面10を形成している。排気導入口8は、ここでは内燃機関は直列4気筒であるので、これに対応して4つが直線状に配列して設けられている。
【0040】
排気下流側は排気排出口12が開口する排気分岐管側接続面14を形成している。排気排出口12は排気導入口8に対応して4つが直線状に配列して設けられている。
これら排気導入口8と排気排出口12とはそれぞれ冷却アダプタ2内に形成された4つの排気流路16にて接続されている。
【0041】
図6〜11に冷却アダプタ2の断面図を示す。図6は図2におけるA−A線にて切断した状態の斜視図、図7はA−A線断面図、図8は図2におけるB−B線にて切断した状態の斜視図、図9はB−B線断面図、図10は図2におけるC−C線にて切断した状態の斜視図、図11はC−C線断面図である。
【0042】
図示したごとく冷却アダプタ2の管壁18内には、排気流路16の周囲に冷却流体通路としてウォータジャケット20が設けられている。
図12〜18にウォータジャケット20の空間形状を示す。図12は正面図、図13は背面図、図14は平面図、図15は底面図、図16は右側面図、図17は正面右側から見たの斜視図、図18は背面左側から見た斜視図である。尚、図16〜18は冷却アダプタ2(破線)内における状態にて示している。
【0043】
このような冷却アダプタ2が内燃機関に取り付けられた状態では、ウォータジャケット20内には、内燃機関の冷却水供給経路から、冷却アダプタ2の下方に形成された冷却水導入口20aを介して冷却水が図5に二点鎖線の矢線で示したごとく導入される。そしてウォータジャケット20内を流れた冷却水は、上方に形成された冷却水排出口20bから図5に二点鎖線の矢線で示したごとく排出されて冷却水還流経路に戻される。
【0044】
ウォータジャケット20は排気流路16の周囲に形成されることで、冷却アダプタ2の管壁18を介して、図5に破線の矢線で示したごとく排気流路16内を流れる排気を冷却することができる。
【0045】
ここでシリンダヘッド4の排気ポート4aに接続する排気導入口8と、排気分岐管6に接続される排気排出口12とは、図5に示したごとく、その中心軸Ax,Bxがずらされて形成されている。ここでは中心軸Ax,Bxは非平行状態としていることにより、ずらした状態が実現されている。
【0046】
このことにより排気流路16は、排気導入口8から管壁18内に入るとわずかな距離にて直ちに屈曲して排気排出口12に接続している。このことによりシリンダヘッド4の排気ポート4aに対して排気導入口8を接続した状態では、排気導入口8よりも鉛直方向の下方にずらして排気排出口12を配置することができる。図5では排気排出口12は、排気導入口8よりも鉛直方向の下方に配置されている。
【0047】
このように排気流路16の上方の内壁面16aが排気導入口8に向けられているので、シリンダヘッド4の排気ポート4aから冷却アダプタ2内に導入された排気は、短い距離にて直ちに上方の内壁面16aに衝突し、このことにより冷却されつつ鉛直方向の下方へ流動方向が曲げられて排気排出口12へ向かうことになる。
【0048】
ここで冷却アダプタ2は鋳造により形成されているが、排気流路16と共にウォータジャケット20の形成は中子によっている。ウォータジャケット用中子は、図12〜18に示したごとくのウォータジャケット20の空間形状をなしている。そして、このようなウォータジャケット用中子を排気流路用中子と共に鋳型内に配置して冷却アダプタ2の鋳造がなされる。ウォータジャケット用中子は、鋳型内ではピンで支持され、このピンは鋳造後に中子を粉砕して排出する取り出し孔を形成するものとなる。
【0049】
したがって鋳造後にピンを除いた取り出し孔からウォータジャケット用中子を粉砕して排出すると、ウォータジャケット20と外部とを連通する連通孔22が図8〜11に示したごとく残る。このため図示したごとく連通孔22は栓体24にて閉塞されている。
【0050】
ウォータジャケット20はその軸方向が排気流路16に沿って斜めに形成されており、ウォータジャケット20に対する連通孔22の開口部分も斜めの姿勢となる。ここでは栓体24にて閉塞されている連通孔22は、ウォータジャケット20の鉛直方向の上方に設けられていると共に、連通孔22の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けている状態とされている。
【0051】
尚、冷却アダプタ2において、貫通孔26は、冷却アダプタ2をシリンダヘッド4の接続面にボルト締結するためのボルト挿通孔である。排気分岐管側接続面14に開口しているボルト締結孔28は、排気分岐管側接続面14と排気分岐管6の上流端とを接続してボルト締結するための締結孔である。
【0052】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(1)冷却アダプタ2は、シリンダヘッド4の排気ポート4aに接続される排気導入口8と排気分岐管6に接続される排気排出口12との中心軸Ax,Bxを非平行とすることで、中心軸Ax,Bx同士をずらした構成としている。
【0053】
このように排気導入口8と排気排出口12との中心軸Ax,Bxをずらすことにより、図5に示したごとく、排気導入口8を排気排出口12に対して鉛直方向での上方の位置となるように配置することができるようになる。すなわちシリンダヘッド4の排気ポート4aの開口部よりも鉛直方向下方に排気分岐管6の開口部を配置できる。
【0054】
このことにより内燃機関の暖機中に排気が冷却されることにより冷却アダプタ2の排気流路16内に凝縮水が生じたとしても、シリンダヘッド4の排気ポート4a側でなく排気分岐管6側に重力により排出させることができる。
【0055】
更に排気導入口8と排気排出口12との中心軸Ax,Bxをずらしたことにより、排気導入口8から導入された直後の排気流の方向は、排気流路16の管壁に平行ではないので、排気流は管壁に衝突する。図5では排気流路16の上方の内壁面16aに衝突する。このため冷却アダプタ2の管壁との熱交換効率が向上し、冷却効率を高めることができる。
【0056】
このようにして冷却アダプタ2は冷却効率を高めると共に凝縮水の逆流を防止することができる。
(2)図8〜11に示したごとく、冷却アダプタ2の管壁18内にはウォータジャケット20とこのウォータジャケット20と外部とを連通する中子排出用の連通孔22が設けられている。
【0057】
この連通孔22は栓体24にて閉塞されているが、連通孔22内は栓体24にて全て充填されているとは限らず、実際には図9,11に示したごとく窪み状のスペース22aが余る場合がある。
【0058】
ウォータジャケット20内に冷却水を導入した場合には、このスペース22aが空気溜まりとなり、排気により冷却アダプタ2が高温化した場合に、スペース22aに残留した空気を起点とする冷却水の沸騰が生じて熱交換効率を低下させるおそれがある。
【0059】
しかし本実施の形態の冷却アダプタ2では、図9,11に示したごとく連通孔22はその軸方向が鉛直方向に対して角度を設けているので、スペース22aが存在しても空気を逃しやすい角度位置となっていることから空気溜まりとなることを防止できる。
【0060】
したがって残留空気による冷却水の沸騰促進を防止し、このことにより熱交換効率の低下を防止して、冷却アダプタ2による冷却効率を高く維持することができる。
(3)冷却アダプタ2においては、排気流路16の上方の内壁面16aは、図5に示したごとく排気導入口8側に対向するように斜めに向いている領域となっていることから、排気導入口8から導入された排気流は最初にこの上方の内壁面16aに衝突してから、排気流路16に沿うように曲がり排気排出口12側に流れることになる。
【0061】
この上方の内壁面16a側では、反対側に比較して図8〜11に示したごとくウォータジャケット20が排気流路16に沿って長く形成されている。このようにウォータジャケット20の容積を他の部分よりも大きくしていることにより、高温の排気流が最初に衝突する上方の内壁面16a側にて、排気からの吸熱能力を、他の部分よりも高めている。このため効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
【0062】
(4)本実施の形態では、ウォータジャケット20に導入する冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されている。したがって在来の内燃機関冷却系の構成を利用して排気を冷却アダプタ2にて効率的に冷却できる。
【0063】
[実施の形態2]
本実施の形態の内燃機関排気系に用いられる冷却アダプタ102の構成を図19〜25に示す。図19は正面図、図20は背面図、図21は正面右側から見たの斜視図、図22は背面左側から見た斜視図、図23は右側面図である。尚、図23には、組み合わされる内燃機関のシリンダヘッド104と排気分岐管106とを破線にて示している。
【0064】
冷却アダプタ102は図23に示したごとく内燃機関のシリンダヘッド104に開口する排気ポート104aと排気分岐管106との間に設けられて、排気ポート104aの開口部104cから排出される排気を冷却して排気分岐管106側の開口部106aに排出するものであり、このことにより排気系の熱害を防止するものである。この点については前記実施の形態1と同じである。
【0065】
本実施の形態のシリンダヘッド104において、排気ポート104aの開口部104cが存在する冷却アダプタ接続面104bは、鉛直方向の下向きに傾斜して設けられている。そして冷却アダプタ102においては、排気導入口108が開口しているシリンダヘッド側接続面110と、排気排出口112が開口している排気分岐管側接続面114とは平行とし、その中心軸同士は一致させた形状としている。
【0066】
したがって冷却アダプタ102内部の排気流路116は直線状であり曲げられていないが、この冷却アダプタ102は、下向に傾斜した冷却アダプタ接続面104bに接続されることにより内燃機関排気系が構成されることから、冷却アダプタ102内部の排気流路116全体は排気排出口112側が鉛直方向の下方に傾けられた状態となる。
【0067】
図24,25に冷却アダプタ102の断面図を示す。図24は図19におけるE−E線にて切断した状態の斜視図、図25はE−E線断面図である。
図示したごとく冷却アダプタ102の管壁118内には、排気流路116の周囲に冷却流体通路としてウォータジャケット120が設けられている。
【0068】
図26,27にウォータジャケット120の空間形状を示す。図26は正面図、図27は正面右側から見たの斜視図である。尚、図26,27は冷却アダプタ102(破線)内における状態にて示している。
【0069】
冷却アダプタ102が内燃機関に取り付けられた状態では、ウォータジャケット120内には、下方に形成された冷却水導入口120aを介して内燃機関の冷却水供給経路から冷却水が導入される。そしてウォータジャケット120内を流れた冷却水は、上方に形成された冷却水排出口120bから冷却水還流経路に戻される。
【0070】
ウォータジャケット120は排気流路116の周囲に形成されることで、冷却アダプタ102の管壁118を介して排気流路116内を流れる排気を冷却する。尚、本実施の形態の冷却アダプタ102では、その周囲に、冷却アダプタ102をシリンダヘッド104の冷却アダプタ接続面104bにボルト締結するためのボルト挿通孔126や、排気分岐管側接続面114に排気分岐管106の上流端を接続してボルト締結するためのボルト締結孔128が配置されており、中央には存在しない。このためウォータジャケット120は中央の気筒間にも形成されている。
【0071】
本実施の形態の内燃機関排気系において、シリンダヘッド104の排気ポート104aから冷却アダプタ102内に導入された排気は、流動方向を曲げることなく排気流路116に沿って直ちに鉛直方向の下方にある排気排出口112に向かうことになる。
【0072】
冷却アダプタ102は、前記実施の形態1に説明したごとく、鋳造後にウォータジャケット用中子の取り出し孔である連通孔122が開放状態に残るので、図24,25に示したごとく栓体124にて閉塞している。ウォータジャケット120はその軸方向が全体が排気流路116に沿って斜めとなっており、ウォータジャケット120に対する連通孔122の開口部分についても斜めの姿勢となる。ここでは栓体124にて閉塞されている連通孔122は、ウォータジャケット120の鉛直方向の上方に設けられていると共に、連通孔122の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けている状態とされている。
【0073】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施の形態の内燃機関排気系において、冷却アダプタ102を間にして接続されるシリンダヘッド104の排気ポート104aにおける開口部104cと、排気分岐管106の開口部106aとは、排気分岐管106の開口部106aが排気ポート104aの開口部104cよりも鉛直方向の下方に配置されている。
【0074】
このことにより冷却アダプタ102の排気流路116自体は直線状であり曲げられていないが、排気流路116は全体として鉛直方向の下側に向けて傾けられていることになる。
【0075】
このことにより冷却アダプタ102内部に凝縮水が生じても、内燃機関の排気ポート104a側でなく排気分岐管106側へ流れるので、凝縮水の逆流を防止することができる。
【0076】
(2)前記実施の形態1の(2)、(4)に述べた効果を生じる。
[実施の形態3]
本実施の形態の冷却アダプタ202は、図28の右側面図に示すごとく、排気導入口208の中心軸Ayと排気排出口212の中心軸Byとは平行であるが、中心軸Ay,By同士は一致していない。すなわち中心軸Ay,By間に距離を設けたことによりシリンダヘッド204の排気ポート204aに接続する排気導入口208と排気分岐管206に接続される排気排出口212とは中心軸Ay,Byをずらした構成としている。
【0077】
このため冷却アダプタ202を内燃機関のシリンダヘッド204に配置することで、冷却アダプタ202内の排気流路216を鉛直方向の下方に傾けることができるようになる。このことでシリンダヘッド204の排気ポート204aにおける開口部204cと排気分岐管206の開口部206aとは平行であるが、排気ポート204aの開口部204cよりも排気分岐管206の開口部206aを鉛直方向の下方にずらした配置で内燃機関排気系を構成できる。
【0078】
本実施の形態についても、排気流路216の上方の内壁面216aは、排気導入口208側に対向するように斜めに向いている領域となっていることから、排気導入口208から導入された排気流は最初にこの上方の内壁面216aに衝突してから、排気流路216に沿って排気排出口212側に流れることになる。
【0079】
他の構成は前記実施の形態1と同じである。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(1)中心軸Ay,By間が平行であるとの違いがあるが、前記実施の形態1の(1)、(2)、(4)と同様な効果を生じる。
【0080】
[実施の形態4]
図29,30にそれぞれ示すごとく、本実施の形態の冷却アダプタのウォータジャケット320,420においては、特に上方側の流路320c,420cに向かって冷却水導入口320a,420aからの冷却水が噴出されるように、冷却水導入口320a,420aの配置とその向きが設定されている。
【0081】
尚、図29のウォータジャケット320については前記実施の形態1の冷却アダプタ2に適用されるものであり、図30のウォータジャケット420については前記実施の形態3の冷却アダプタ202に適用されるものである。
【0082】
したがって上方側の流路320c,420cでは、ウォータジャケット320,420の他の部分の流路よりも冷却水の流速が高く、このことより他の流路に比較して冷却能力が高くされている。
【0083】
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
(1)このように排気導入口8,208(図5,28)側に向いている上方の内壁面16a,216aに形成されている流路320c,420cにおける冷却水の流速と、他の部分の流路での流速とに差を設けたことにより、吸熱能力を上方の内壁面16a,216aにて他の部分よりも高めている。したがって冷却水により効果的に排気を冷却して冷却効率を高めることができる。
【0084】
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態1の冷却アダプタ2の鋳造においては、鋳型内に排気流路16用の中子を、ウォータジャケット20用の中子の内側に配置することになる。
【0085】
排気流路16用の中子は排気導入口8の輪郭度を高く確保するために、図31の(a)に示すごとく、排気導入口8側はシリンダヘッド側接続面10に対して直角となるように短い距離(領域8x)で曲げられている。このため排気排出口12側の中心軸と、排気導入口8の中心(輪郭中心)との距離D0は小さく抑えられている。
【0086】
本発明では図31の(b)に示す冷却アダプタ502のごとく、排気導入口508側のシリンダヘッド側接続面510に対して直角とした部分(領域508x)の距離を長くすることも可能である。ただしこのように領域508xが長いと、排気排出口512側の中心軸と、排気導入口508の中心との距離D1は大きくなる。このように距離D1が大きくなると、排気導入口508側の領域508xがギャップGにて示すごとくウォータジャケット520から大きく離れて排気の冷却効率向上が抑制されるおそれがある。
【0087】
これはウォータジャケット520用中子を排気流路516用中子に沿わせて屈曲した状態とすることが、ウォータジャケット520用中子内に排気流路516用中子を挿入させる必要性から困難なためである。
【0088】
このため排気排出口512側の中心軸と排気導入口508の中心との距離D1はなるべく小さくすることが好ましい。
本発明では図31の(c)に示す冷却アダプタ602のごとく、排気流路616を2ヶ所にて屈曲させた構成とすることも可能である。ただし、この場合についても排気排出口612側の中心軸と排気導入口608の中心との距離D2が図示したごとく大きくなると、前述した配置の制約から排気流路616は鉛直方向の上側と下側との両方でウォータジャケット620から大きく離れて排気の冷却効率向上が抑制されるおそれがある。このため、このような場合にも同様に排気排出口612側の中心軸と排気導入口608の中心との距離D2はなるべく小さくすることが好ましい。
【0089】
・前記各実施の形態において、冷却アダプタのウォータジャケットへは、内燃機関とは別個にラジエータ側から低温化された冷却水を導入する構成とすることができる。あるいは、内燃機関のシリンダヘッドあるいはシリンダブロックから、シリンダヘッドやシリンダブロックを冷却している冷却水の一部を導入し、ウォータジャケット内を流した後に冷却水を循環経路に戻す構成としても良い。
【0090】
・前記実施の形態2において、排気ポート104aが開口している冷却アダプタ接続面104bは鉛直方向の下向きに傾斜していたが、これは冷却アダプタ接続面104bのみを傾けるのでなく、内燃機関自体を傾けることにより達成しても良い。
【0091】
・前記実施の形態4では上方側の流路320c,420cでの冷却水の流速を他の部分よりも高くすることで冷却能力を高めていたが、この代わりに上方側の流路320c,420cの容積を他の部分よりも増加して冷却能力を高めても良い。例えば上方側の流路320c,420cの厚さを他の部分よりも増加させることにより大容量の冷却水が流れるようにしても良い。
【0092】
・排気ポートに接続される排気導入口と排気分岐管に接続される排気排出口との間の中心軸を平行にずらす形態としては、前記実施の形態3(図28)における形態の代わりに、図32の右側面図に示す冷却アダプタ702のごとくずらしても良い。
【0093】
この冷却アダプタ702では、排気導入口708の中心軸Azと排気排出口712の中心軸Bzとは平行であるが、中心軸Az,Bz同士は一致していない。すなわち排気流路716は上方の内壁面716aは水平であるが、下方の内壁面716bは鉛直方向の下方に傾いている。この結果、中心軸Az,Bz間に距離Dzが設けられ、排気排出口712の中心軸Bzは排気導入口708の中心軸Azよりも鉛直方向の下方にずらされている。尚、ウォータジャケット720については図26,27あるいは図30に示した形状である。
【0094】
このような冷却アダプタ702が図示したごとくに内燃機関に適用された場合に、排気流路716内に発生した凝縮水は、重力により、上方の内壁面716aから下方の内壁面716bに流下した後に、下方の内壁面716bに沿って排気分岐管706側に流れることで、シリンダヘッド704の排気ポート704a側へ逆流することが防止される。
【符号の説明】
【0095】
2…冷却アダプタ、4…シリンダヘッド、4a…排気ポート、6…排気分岐管、8…排気導入口、8x…領域、10…シリンダヘッド側接続面、12…排気排出口、14…排気分岐管側接続面、16…排気流路、16a…上方の内壁面、18…管壁、20…ウォータジャケット、20a…冷却水導入口、20b…冷却水排出口、22…連通孔、22a…スペース、24…栓体、26…貫通孔、28…ボルト締結孔、102…冷却アダプタ、104…シリンダヘッド、104a…排気ポート、104b…冷却アダプタ接続面、104c…開口部、106…排気分岐管、106a…開口部、108…排気導入口、110…シリンダヘッド側接続面、112…排気排出口、114…排気分岐管側接続面、116…排気流路、118…管壁、120…ウォータジャケット、120a…冷却水導入口、120b…冷却水排出口、122…中子排出用の連通孔、124…栓体、126…ボルト挿通孔、128…ボルト締結孔、202…冷却アダプタ、204…シリンダヘッド、204a…排気ポート、204c…開口部、206…排気分岐管、206a…開口部、208…排気導入口、212…排気排出口、216…排気流路、216a…上方の内壁面、320,420…ウォータジャケット、320a,420a…冷却水導入口、320c,420c…上方側の流路、502…冷却アダプタ、508…排気導入口、508x…領域、510…シリンダヘッド側接続面、512…排気排出口、516…排気流路、520…ウォータジャケット、602…冷却アダプタ、608…排気導入口、612…排気排出口、616…排気流路、620…ウォータジャケット、702…冷却アダプタ、704…シリンダヘッド、704a…排気ポート、706…排気分岐管、708…排気導入口、712…排気排出口、716…排気流路、716a…上方の内壁面、716b…下方の内壁面、720…ウォータジャケット、Ax,Ay,Az,Bx,By,Bz…中心軸、G…ギャップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に設けられる排気冷却用管体であって、
前記排気ポートに接続する排気導入口と前記排気分岐管に接続される排気排出口とは中心軸をずらしたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項2】
請求項1に記載の排気冷却用管体において、前記排気導入口の中心軸と前記排気排出口の中心軸との間を非平行としたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項3】
請求項1に記載の排気冷却用管体において、前記排気導入口の中心軸と前記排気排出口の中心軸とを平行にして、この2つの中心軸間に距離を設けたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、内燃機関の排気ポートに前記排気導入口を接続した状態では、前記排気排出口は、前記排気導入口よりも鉛直方向の下方に配置されることを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項5】
請求項4に記載の排気冷却用管体において、排気冷却用管体の管壁内には冷却流体通路とこの冷却流体通路と外部とを連通する連通孔が栓体に閉塞された状態でかつ前記冷却流体通路の鉛直方向の上方に設けられていると共に、前記連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けていることを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、排気冷却用管体の管壁の内で、前記排気導入口側に対向するように斜めに向いている領域に形成されている冷却流体通路における吸熱能力を、他の部分よりも高めたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項7】
請求項6に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路の容積を他の部分よりも大きくすることにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項8】
請求項6に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路における冷却流体の流速と、他の部分での冷却流体の流速とに差を設けたことにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項9】
請求項8に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路における冷却流体の流速を他の部分よりも高くすることにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、前記冷却流体通路には、冷却流体として冷却水が供給されることを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項11】
請求項10に記載の排気冷却用管体において、前記冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されることを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の排気冷却用管体を内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に用いたことを特徴とする内燃機関排気系。
【請求項13】
排気ポートと排気分岐管との間に排気冷却用管体を配置した内燃機関の排気系であって、
前記排気冷却用管体により接続される前記排気ポートの開口部と前記排気分岐管の開口部とは、前記排気ポートの開口部が前記排気分岐管の開口部よりも鉛直方向の上方に配置されていることを特徴とする内燃機関排気系。
【請求項14】
請求項13に記載の内燃機関排気系において、排気冷却用管体の管壁内には冷却流体通路とこの冷却流体通路と外部とを連通する連通孔が栓体に閉塞された状態でかつ前記冷却流体通路の鉛直方向の上方に設けられていると共に、前記連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けていることを特徴とする内燃機関排気系。
【請求項15】
請求項14に記載の内燃機関排気系において、前記冷却流体通路には、冷却流体として冷却水が供給されることを特徴とする内燃機関排気系。
【請求項16】
請求項15に記載の内燃機関排気系において、前記冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されることを特徴とする内燃機関排気系。
【請求項1】
内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に設けられる排気冷却用管体であって、
前記排気ポートに接続する排気導入口と前記排気分岐管に接続される排気排出口とは中心軸をずらしたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項2】
請求項1に記載の排気冷却用管体において、前記排気導入口の中心軸と前記排気排出口の中心軸との間を非平行としたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項3】
請求項1に記載の排気冷却用管体において、前記排気導入口の中心軸と前記排気排出口の中心軸とを平行にして、この2つの中心軸間に距離を設けたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、内燃機関の排気ポートに前記排気導入口を接続した状態では、前記排気排出口は、前記排気導入口よりも鉛直方向の下方に配置されることを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項5】
請求項4に記載の排気冷却用管体において、排気冷却用管体の管壁内には冷却流体通路とこの冷却流体通路と外部とを連通する連通孔が栓体に閉塞された状態でかつ前記冷却流体通路の鉛直方向の上方に設けられていると共に、前記連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けていることを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、排気冷却用管体の管壁の内で、前記排気導入口側に対向するように斜めに向いている領域に形成されている冷却流体通路における吸熱能力を、他の部分よりも高めたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項7】
請求項6に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路の容積を他の部分よりも大きくすることにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項8】
請求項6に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路における冷却流体の流速と、他の部分での冷却流体の流速とに差を設けたことにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項9】
請求項8に記載の排気冷却用管体において、前記領域に形成されている前記冷却流体通路における冷却流体の流速を他の部分よりも高くすることにより吸熱能力を他の部分よりも高めたことを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の排気冷却用管体において、前記冷却流体通路には、冷却流体として冷却水が供給されることを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項11】
請求項10に記載の排気冷却用管体において、前記冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されることを特徴とする排気冷却用管体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の排気冷却用管体を内燃機関の排気ポートと排気分岐管との間に用いたことを特徴とする内燃機関排気系。
【請求項13】
排気ポートと排気分岐管との間に排気冷却用管体を配置した内燃機関の排気系であって、
前記排気冷却用管体により接続される前記排気ポートの開口部と前記排気分岐管の開口部とは、前記排気ポートの開口部が前記排気分岐管の開口部よりも鉛直方向の上方に配置されていることを特徴とする内燃機関排気系。
【請求項14】
請求項13に記載の内燃機関排気系において、排気冷却用管体の管壁内には冷却流体通路とこの冷却流体通路と外部とを連通する連通孔が栓体に閉塞された状態でかつ前記冷却流体通路の鉛直方向の上方に設けられていると共に、前記連通孔の軸方向が鉛直方向に対して角度を設けていることを特徴とする内燃機関排気系。
【請求項15】
請求項14に記載の内燃機関排気系において、前記冷却流体通路には、冷却流体として冷却水が供給されることを特徴とする内燃機関排気系。
【請求項16】
請求項15に記載の内燃機関排気系において、前記冷却水は、内燃機関用冷却水が利用されることを特徴とする内燃機関排気系。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−196350(P2011−196350A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66973(P2010−66973)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]