排熱回収型船舶推進装置
【課題】排熱回収効率を向上させることができる排熱回収型船舶推進装置を提供すること。
【解決手段】半径方向内側に位置して第1の流路75を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路75と第2の流路77とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路77を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイール94を具備し、前記第1の流路75を通過させることにより圧縮された流体を、前記第2の流路77の入口に導いて、前記第2の流路77を通過させることによりさらに圧縮させる1軸2段式ターボチャージャ2を具備している。
【解決手段】半径方向内側に位置して第1の流路75を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路75と第2の流路77とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路77を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイール94を具備し、前記第1の流路75を通過させることにより圧縮された流体を、前記第2の流路77の入口に導いて、前記第2の流路77を通過させることによりさらに圧縮させる1軸2段式ターボチャージャ2を具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱回収発電装置を、船舶の推進用主機としてのディーゼルエンジン(内燃機関)の排熱回収用として設置した排熱回収型船舶推進装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排熱回収発電装置は、各種産業用プラント、船舶や車両用の動力源、等から排出される排ガス、温排水等あるいは地熱・OTEC等から回収した熱エネルギーを用いて発電するものである(特許文献1、特許文献2参照)。
排熱回収発電装置では、一般に、熱源の熱によって加熱蒸発させられた作動媒体をタービンに導入し、作動媒体の旋回エネルギーを回転動力に変換し、発電している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−285607号公報
【特許文献2】特開平8−218816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年では、図12に示すような排熱回収型船舶推進装置110、すなわち、排熱回収発電装置8を、船舶の推進用主機としてのディーゼルエンジン40の排熱回収用として設置した排熱回収型船舶推進装置110が提案されている。
【0005】
排熱回収発電装置8は、第1サイクル9と第2サイクル10の二つの有機流体経路を有する。第1サイクル9は、第1循環ポンプ31と、第1流量調整弁(図示せず)と、第1蒸発器12と、パワータービン33と、凝縮器35とを備えている。第2サイクル10は、第2循環ポンプ32と、第2流量調整弁(図示せず)と、第2蒸発器22と、パワータービン33と、凝縮器35と、を備えている。パワータービン33には、減速機36を介して発電機34が接続されている。
【0006】
第1サイクル9と第2サイクル10とは、パワータービン33から凝縮器35に至る配管において共通の通路とされ、凝縮器35からパワータービン33に至る配管においてそれぞれ別々の通路とされている。第1サイクル9内に存する有機流体は、第1循環ポンプ31によって第1サイクル9内を循環し、第2サイクル10内に存する有機流体は、第2循環ポンプ32によって第2サイクル10内を循環する。第1サイクル9の圧力および流量は、第1流量調整弁によって調整され、第2サイクル10の圧力および流量は、第2流量調整弁によって調整される。
【0007】
第1サイクル9と第2サイクル10の有機流体経路を流れる有機流体としては、イソペンタン、ブタン、プロパン等の低分子炭化水素や、冷媒として用いられるR134a、R245fa等を用いることができる。第1サイクル9内に存する有機流体は、第1循環ポンプ31、第1蒸発器12、パワータービン33、凝縮器35を順次通過して相変化を繰り返しながら循環する。第2サイクル10内に存する有機流体は、第2循環ポンプ32、第2蒸発器22、パワータービン33、凝縮器35を順次通過して相変化を繰り返しながら循環する。
【0008】
第1蒸発器12は、流路56を流れる熱媒水が第1空気冷却器46や排ガスエコノマイザ(排ガス熱交換器)55にて回収した熱によって、第1循環ポンプ31から送られた液相の有機流体を加熱し、有機流体を気相に変化させる。なお、第1空気冷却器46は、熱媒水と熱交換することで、ディーゼルエンジン40のターボチャージャ(過給機)42から吐出された圧縮空気を冷却する。また、排ガスエコノマイザ55は、熱媒水と熱交換することで、ディーゼルエンジン40から排出された排ガスを冷却する。
【0009】
第2蒸発器22は、第1冷却器46によって加熱された熱媒水の一部を利用して、第2循環ポンプ32から送られた液相の有機流体を加熱し、有機流体を気相に変化させる。
【0010】
パワータービン33には、第1サイクル9の第1蒸発器12で蒸発した有機流体と、第2サイクル10の第2蒸発器22で蒸発した有機流体とが導入される。そして、パワータービン33は、第1蒸発器12によって蒸発した有機流体の熱落差(エンタルピー落差)と、第2蒸発器22によって蒸発した有機流体の熱落差(エンタルピー落差)とによって回転駆動される。
【0011】
パワータービン33の回転動力は発電機34に伝達され、発電機34にて電力が得られるようになっている。発電機34で得られた電力は、図示しない電力線を介して船内系統へと供給される。パワータービン33を通過した有機流体は、凝縮器35にて海水によって冷却されて凝縮液化する。凝縮液化した有機流体は、第1循環ポンプ31によって第1蒸発器12へと送られ、第2凝縮ポンプ32によって第2蒸発器22へと送られる。
【0012】
つぎに、排熱回収経路56について説明する。
排熱回収経路56は閉回路とされており、熱媒水を循環させるための排熱回収用ポンプ60が設けられている。この排熱回収用ポンプ60によって、熱媒水は、第1空気冷却器46、排ガスエコノマイザ55、第1蒸発器12、および第2蒸発器22と熱交換するように循環する。第1蒸発器12および第2蒸発器22にて冷却された熱媒水は、減圧弁(図示せず)を介して大気圧ドレンタンク58に回収される。排熱回収用ポンプ60から第1蒸発器12および第2蒸発器22に送られる熱媒水の流量は、排熱回収経路56に設けられた給水制御弁61で調整される。
【0013】
第1蒸発器12の熱媒水入口温度は、例えば、約196℃、熱媒水出口温度は、例えば、約70℃とされる。この第1蒸発器12にて、熱媒水によって有機流体が蒸発させられる。
【0014】
排ガスエコノマイザ55の高温側(排ガス流れ上流側)には、コンポジットボイラ54が設けられている。コンポジットボイラ54は、蒸気ドラム64と循環ポンプ65と蒸発器44と、を備えている。蒸気ドラム64内の水は蒸発器44に送られ、蒸発器44にて排ガスと熱交換して蒸発する。
【0015】
蒸発器44にて蒸発した蒸気は、蒸気ドラム64へと導かれる。この蒸気ドラム64の上方に滞留する蒸気は、補助装置へと導かれ、その後大気圧ドレンタンク58に回収される。蒸気ドラム64内の水位は、蒸気ドラムレベル制御弁62によって調整され、大気圧ドレンタンク58から蒸気ドラム64へボイラ給水ポンプ63によって水が供給される。
【0016】
つづいて、上記排熱回収発電装置8の動作について図12を用いて説明する。
ディーゼルエンジン40のターボチャージャ42によって圧縮された空気は、第1空気冷却器46と第2空気冷却器47によって冷却される。この際に第1空気冷却器46内を流れる排熱回収経路56の熱媒水が圧縮空気によって昇温させられることによって、熱媒水は圧縮空気から熱を回収する。第1空気冷却器46にて熱回収した後の熱媒水温度は、例えば、約142℃とされる。
【0017】
ディーゼルエンジン40から排出された排ガスは、コンポジットボイラ54の蒸発器44と排ガスエコノマイザ55によって冷却される。この際に排ガスエコノマイザ55を流れる排熱回収経路56の熱媒水が排ガスによって昇温させられることによって、熱媒水は排ガスから熱を回収する。排ガスエコノマイザ55にて熱回収した後の熱媒水温度は、例えば、約196℃とされる。
【0018】
第1空気冷却器46と排ガスエコノマイザ55で排熱を回収して高温となった熱媒水は、第1蒸発器12へ導かれ、一方、第1空気冷却器46で排熱を回収して高温となった熱媒水の一部は、第2蒸発器22へと導かれ、第1サイクル9および第2サイクル10を循環する有機流体と熱交換する。有機流体は、第1蒸発器12および第2蒸発器22にて熱媒水の顕熱によって加熱され蒸発気化する。
【0019】
蒸発気化して高エンタルピとなった有機流体は、パワータービン33へと導かれ、その熱落差によってパワータービン33を回転駆動させる。パワータービン33の回転出力を得て、発電機34にて発電が行われる。パワータービン33にて仕事を終えた有機流体(気相)は、凝縮器35へと導かれ海水等の冷却水によって冷却されることにより凝縮液化する。
【0020】
しかしながら、図12に示す排熱回収型船舶推進装置110では、ターボチャージャ42によって圧縮された空気は、第1空気冷却器46において排熱回収経路56を通過する熱媒水と熱交換される。第1空気冷却器46において昇温された熱媒水は、排熱回収経路56を介して第2蒸発器22および排ガスエコノマイザ55に導かれ、第2蒸発器22に導かれた熱媒水は、第2サイクル10の有機流体経路を流れる有機流体と熱交換され、第2蒸発器22において第2サイクル10の有機流体経路を流れる有機流体が蒸発させられる。一方、排ガスエコノマイザ55に導かれた熱媒水は、排ガスエコノマイザ55を通過する排ガスと熱交換され、排ガスエコノマイザ55において昇温させられる。排ガスエコノマイザ55において昇温させられた熱媒水は、排熱回収経路56を介して第1蒸発器12に導かれる。第1蒸発器12に導かれた熱媒水は、第1サイクル9の有機流体経路を流れる有機流体と熱交換され、第1蒸発器12において第1サイクル9の有機流体経路を流れる有機流体が蒸発させられる。すなわち、図12に示す排熱回収型船舶推進装置110では、第1空気冷却器46の下流側において排熱回収経路56を分岐させて、第1空気冷却器46において昇温された熱媒水を第2蒸発器22および排ガスエコノマイザ55に導くようにしている。言い換えれば、図12に示す排熱回収型船舶推進装置110では、ターボチャージャ42によって作り出された一つの熱源を、第2蒸発器22および排ガスエコノマイザ55に導いて、排熱を回収しようとしている。そのため、図12に示す排熱回収型船舶推進装置110では、ターボチャージャ42によって圧縮された空気から熱を回収するという点で限界があった。
【0021】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、排熱回収効率を向上させることができる排熱回収型船舶推進装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る1軸2段式ターボチャージャは、半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備し、前記第1の流路を通過させることにより圧縮された流体を、前記第2の流路の入口に導いて、前記第2の流路を通過させることによりさらに圧縮する1軸2段式ターボチャージャである。
【0023】
本発明に係る1軸2段式ターボチャージャによれば、第1の流路を通過させることにより圧縮された流体と、第2の流路を通過させることにより圧縮された流体とが、別々の熱源として取り出されることになる。
その結果、第1の流路を通過させることにより圧縮された流体を第1の熱源として利用することができ、第2の流路を通過させることにより圧縮された流体を第2の熱源として利用することができる。
【0024】
本発明に係る1軸2段式ターボチャージャは、半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備し、前記第2の流路を通過させることにより圧縮された流体を、前記第1の流路の入口に導いて、前記第1の流路を通過させることによりさらに圧縮する1軸2段式ターボチャージャである。
【0025】
本発明に係る1軸2段式ターボチャージャによれば、第2の流路を通過させることにより圧縮された流体と、第1の流路を通過させることにより圧縮された流体とが、別々の熱源として取り出されることになる。
その結果、第2の流路を通過させることにより圧縮された流体を第1の熱源として利用することができ、第1の流路を通過させることにより圧縮された流体を第2の熱源として利用することができる。
【0026】
本発明に係る排熱回収型船舶推進装置は、請求項1に記載の第1の流路または請求項2に記載の第2の流路を通過することにより圧縮された流体を、第1の熱交換器に導いて、前記第1の熱交換器の熱源として利用し、請求項1に記載の第2の流路または請求項2に記載の第1の流路を通過することにより圧縮された流体を、第2の熱交換器に導いて、前記第2の熱交換器の熱源として利用する排熱回収型船舶推進装置である。
【0027】
本発明に係る排熱回収型船舶推進装置によれば、請求項1に記載の第1の流路または請求項2に記載の第2の流路を通過することにより圧縮された流体の熱は、第1の熱交換器において回収され、請求項1に記載の第2の流路または請求項2に記載の第1の流路を通過することにより圧縮された流体の熱は、第2の熱交換器において回収されることになる。
その結果、当該排熱回収型船舶推進装置の排熱回収効率を向上させることができる。
【0028】
上記排熱回収型船舶推進装置において、半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備した1軸2段式ラジアルタービンを備えているとさらに好適である。
【0029】
このような排熱回収型船舶推進装置によれば、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体が1軸2段式ラジアルタービンを通過する際に合流してしまうのを防止する(回避する)ことができる。
その結果、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体をそれぞれ別々の閉回路内で循環させることができ、当該排熱回収型船舶推進装置の排熱回収効率をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る排熱回収型船舶推進装置よれば、排熱回収効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの縦断面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【図5】図3のB−B矢視断面図である。
【図6】図3のC−C矢視断面図である。
【図7】図3のD−D矢視断面図である。
【図8】図1から図7に示す1軸2段式ターボチャージャを構成するラジアルタービンホイールの斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの縦断面図である。
【図11】図10に示す1軸2段式ターボチャージャを構成するラジアルタービンホイールの斜視図である。
【図12】近年提案されている排熱回収型船舶推進装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置について、図1から図8を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置の概略構成図、図2は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの側面図、図3は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの縦断面図、図4は図3のA−A矢視断面図、図5は図3のB−B矢視断面図、図6は図3のC−C矢視断面図、図7は図3のD−D矢視断面図、図8は図1から図7に示す1軸2段式ターボチャージャを構成するラジアルタービンホイールの斜視図である。
【0033】
本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置1は、ターボチャージャ42の代わりに1軸2段式ターボチャージャ2が設けられているとともに、第1空気冷却器46および第2空気冷却器47の他に第3空気冷却器3を備えているという点で、図12を用いて説明した排熱回収型船舶推進装置110と異なる。その他の構成要素については図12を用いて説明した排熱回収型船舶推進装置110のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、図12を用いて説明した排熱回収型船舶推進装置110と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0034】
図3に示すように、1軸2段式ターボチャージャ2は、ケーシング92と、ケーシング92に軸支されて回転する回転軸93と、回転軸93の一端部外周に取り付けられて回転軸93とともに回転するラジアルタービンホイール94と、を備えたコンプレッサ部と、ケーシング95と、ケーシング95に軸支されて回転する回転軸93と、回転軸93の他端に取り付けられて回転軸93とともに回転するタービン96と、を備えたタービン部と、を具備している。
ケーシング92には、第1空気供給管4の出口端に接続される(第1)空気入口72、第2空気供給管5の入口端に接続される(第1)空気出口73、第2空気供給管5の出口端に接続される(第2)空気入口74、および第3空気供給管6の入口端に接続される(第2)空気出口71を備えている。また、ケーシング92内には、空気入口72から、ラジアルタービンホイール94の半径方向内側(内周側)に設けられた(第1)流路75に流入し、流路75から流出した空気を空気出口73に導く(第1の)スクロール(ボリュート)76と、空気入口74から、ラジアルタービンホイール94の半径方向外側(外周側)に設けられた(第2)流路77に流入し、流路77から流出した空気を空気出口71に導く(第2の)スクロール(ボリュート)78と、空気入口74から流入した空気を流路77に導く入口チャンバ79と、を備えている。
【0035】
なお、空気出口71は、図3において紙面手前側に開口するように形成され、空気入口72は、図3において左側に開口するように形成されている。
また、空気出口73は、図3において上側に開口するように形成され、空気入口74は、図3において紙面奥側に開口するように形成されている。
【0036】
図8に示すように、ラジアルタービンホイール94は、半径方向内側に位置して流路75を形成する複数枚の(第1の)ブレード101と、これらブレード101の根元部に配置されるハブ(本体)102と、ブレード101の先端部に配置されて、流路75と流路77とを仕切る(区画する)シュラウド103と、半径方向外側に位置して流路77を形成する複数枚の(第2の)ブレード104と、を備えている。シュラウド103は、一端から他端に向かって内径および外径が徐々に(緩やかに)拡径する円錐部とされ、シュラウド(円錐部)103の外周面には、ブレード104の根元部が接続されている(ブレード104が立設されている)。
【0037】
なお、図3中の符号105は、流路75と入口チャンバ79とを仕切る(区画する)仕切板である。
また、図3中の符号106は、仕切板105の端面から軸方向に沿って延び、その端面がシュラウド103の縮径側の端面103aと接して、流路75に流入する空気が入口チャンバ79内に存する空気に混入したり、あるいは入口チャンバ79内の空気が流路75に流入する空気に混入したりするのを防止するとシール部材(本実施形態ではラビリンスシール)である。
【0038】
ここで、図1に示すように、本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置1では、1軸2段式ターボチャージャ2において一次的に加圧された(圧縮された)空気は、第2空気供給管5を介して第3空気冷却器3に導かれ、排熱回収経路56を介して第3空気冷却器3に導かれた熱媒水と熱交換された(熱媒水に熱を与えた)後、第2空気供給管5を介して空気入口74に導かれる。空気入口74から流入した空気は、1軸2段式ターボチャージャ2においてさらに加圧され、1軸2段式ターボチャージャ2において二次的に加圧された空気は、第3空気供給管6を介して第1空気冷却器46に導かれ、排熱回収経路56を介して第1空気冷却器46に導かれた熱媒水と熱交換された(熱媒水に熱を与えた)後、第3空気供給管6を介してディーゼルエンジン40に供給される。
【0039】
また、本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置1では、蒸気管66を介して、蒸気ドラム64の上方に滞留する蒸気が第1蒸発器12に導かれ、第1サイクル9を介して第1蒸発器12に導かれた有機流体と熱交換される。第1蒸発器12に導かれた蒸気は、第1蒸発器12においてドレン水(復水)となり、第3空気冷却器3において昇温された熱媒水を第2蒸発器22に導く排熱回収経路56の途中に、その出口端(下流端)が接続された連絡管67を介して、第3空気冷却器3において昇温された熱媒水とともに第2蒸発器22に導かれるようになっている。
【0040】
本実施形態に係る1軸2段式ターボチャージャ2によれば、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気(流体)と、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気(流体)とが、別々の熱源として取り出されることになる。
その結果、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気を第1の熱源として利用することができ、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気を第2の熱源として利用することができる。
また、本実施形態に係る1軸2段式ターボチャージャ2を備えた排熱回収型船舶推進装置1によれば、第1の流路75を通過することにより圧縮された空気の熱は、第3空気冷却器(第1の熱交換器)3において回収され、第2の流路77を通過することにより圧縮された空気の熱は、第1空気冷却器46(第2の熱交換器)および第2空気冷却器47(第2の熱交換器)において回収されることになる。
その結果、当該排熱回収型船舶推進装置1の排熱回収効率を向上させることができる。
【0041】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置について、図9を参照しながら説明する。図9は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置の概略構成図である。
【0042】
本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置21は、パワータービン33の代わりに1軸2段式(複圧式)ラジアルタービン25が設けられているとともに、第1サイクル9と第2サイクル10とが、それぞれ別々の閉回路とされているという点で、上述した排熱回収型船舶推進装置1と異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した排熱回収型船舶推進装置1と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0043】
1軸2段式ラジアルタービン25は、図2から図7に示す1軸2段式ターボチャージャ2を構成するコンプレッサ部と同じ構成を有するラジアルタービンであり、本実施形態では、(第1)空気出口73が(第1)有機流体入口73、(第1)空気入口72が(第1)有機流体出口72、(第2)空気出口71が(第2)有機流体入口71、(第2)空気入口74が(第2)有機流体出口74、入口チャンバ79が出口チャンバ79となる。すなわち、本実施形態では、ケーシング92が、第1サイクル9に接続される(第1)有機流体入口71および(第1)有機流体出口72と、第2サイクル10に接続される(第2)有機流体入口73および(第2)有機流体出口74と、を備えていることになる。また、ケーシング92内には、有機流体入口73から流入した有機流体を、ラジアルタービンホイール94の半径方向内側(内周側)に設けられた(第1)流路75の入口に導く(第1の)スクロール(ボリュート)76と、有機流体入口71から流入した有機流体を、ラジアルタービンホイール94の半径方向外側(外周側)に設けられた(第2)流路77の入口に導く(第2の)スクロール(ボリュート)78と、流路77の出口から流出した有機流体を有機流体出口74に導く出口チャンバ79と、を備えていることになる。
【0044】
また、本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置21において、蒸気管66を介して第1蒸発器12に導かれた蒸気は、第1蒸発器12においてドレン水(復水)となり、第2蒸発器22において降温された(有機流体に熱を与えた)熱媒水を大気圧ドレンタンク58に導く排熱回収経路56の途中に、その出口端(下流端)が接続された連絡管68を介して、第2蒸発器22において降温された熱媒水とともに大気圧ドレンタンク58に導かれるようになっている。
【0045】
本実施形態に係る1軸2段式ラジアルタービン25によれば、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体が当該1軸2段式ラジアルタービン25を通過する際に合流してしまうのを防止する(回避する)ことができる。
その結果、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体をそれぞれ別々の閉回路内で循環させることができ、排熱回収型船舶推進装置21の排熱回収効率をさらに向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0046】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置について、図10および図11を参照しながら説明する。
図10は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの縦断面図、図11は図10に示す1軸2段式ターボチャージャを構成するラジアルタービンホイールの斜視図である。
【0047】
本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置(図示せず)は、1軸2段式ターボチャージャ2の代わりに1軸2段式ターボチャージャ52が設けられているという点で、上述した排熱回収型船舶推進装置1と異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した排熱回収型船舶推進装置1と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0048】
図10に示すように、1軸2段式ターボチャージャ52は、ケーシング26と、ケーシング26に軸支されて回転する回転軸27と、回転軸27の一端部外周に取り付けられて回転軸27とともに回転するラジアルタービンホイール28と、を備えたコンプレッサ部と、ケーシング95と、ケーシング95に軸支されて回転する回転軸27と、回転軸27の他端に取り付けられて回転軸27とともに回転するタービン96と、を備えたタービン部と、を具備している。
ケーシング26には、第1空気供給管4の出口端に接続される(第1)空気入口72、第2空気供給管5の入口端に接続される(第1)空気出口73、第2空気供給管5の出口端に接続される(第2)空気入口74、および第3空気供給管6の入口端に接続される(第2)空気出口71を備えている。また、ケーシング26内には、空気入口72から、ラジアルタービンホイール28の半径方向内側(内周側)に設けられた(第1)流路75に流入し、流路75から流出した空気を空気出口73に導く(第1の)スクロール(ボリュート)76と、空気入口74から、ラジアルタービンホイール28の半径方向外側(外周側)に設けられた(第2)流路77に流入し、流路77から流出した空気を空気出口71に導く(第2の)スクロール(ボリュート)78と、空気入口74から流入した空気を流路77に導く入口チャンバ79と、を備えている。
【0049】
なお、空気出口71は、図10において紙面手前側に開口するように形成され、空気入口72は、図10において左側に開口するように形成されている。
また、空気出口73は、図10において上側に開口するように形成され、空気入口74は、図10において紙面奥側に開口するように形成されている。
【0050】
図11に示すように、ラジアルタービンホイール28は、半径方向内側に位置して流路75を形成する複数枚の(第1の)ブレード81と、これらブレード81の根元部に配置されるハブ(本体)82と、ブレード81の先端部に配置されて、流路75と流路77とを仕切る(区画する)シュラウド83と、半径方向外側に位置して流路77を形成する複数枚の(第2の)ブレード84と、を備えている。シュラウド83は、一端から他端に向かって同一の内径および外径を有する筒状部85と、筒状部85の他端に連続するようにして接続された一端から他端に向かって、内径および外径が徐々に(緩やかに)拡径する円錐部86と、を備えている。また、円錐部86の外周面には、ブレード84の根元部が接続されている(ブレード84が立設されている)。
【0051】
なお、図10中の符号87は、その内周面がシュラウド83を構成する筒状部85の一端部に位置する外周面と接して、流路75に流入する空気が入口チャンバ79内に存する空気に混入したり、あるいは入口チャンバ79内の空気が流路75に流入する空気に混入したりするのを防止するとシール部材(本実施形態ではラビリンスシール)である。
【0052】
本実施形態に係る1軸2段式ターボチャージャ52によれば、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気(流体)と、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気(流体)とが、別々の熱源として取り出されることになる。
その結果、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気を第1の熱源として利用することができ、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気を第2の熱源として利用することができる。
また、本実施形態に係る1軸2段式ターボチャージャ52を備えた排熱回収型船舶推進装置によれば、第1の流路75を通過することにより圧縮された空気の熱は、第3空気冷却器(第1の熱交換器)3において回収され、第2の流路77を通過することにより圧縮された空気の熱は、第1空気冷却器46(第2の熱交換器)および第2空気冷却器47(第2の熱交換器)において回収されることになる。
その結果、当該排熱回収型船舶推進装置の排熱回収効率を向上させることができる。
【0053】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置について説明する。
本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置(図示せず)は、パワータービン33の代わりに1軸2段式(複圧式)ラジアルタービン(図示せず)が設けられているとともに、第1サイクル9と第2サイクル10とが、それぞれ別々の閉回路とされているという点で、第3実施形態のところで説明した排熱回収型船舶推進装置と異なる。その他の構成要素については上述した第3実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0054】
本実施形態に係る1軸2段式ラジアルタービンは、図10に示す1軸2段式ターボチャージャ52を構成するコンプレッサ部と同じ構成を有するラジアルタービンであり、本実施形態では、(第1)空気出口73が(第1)有機流体入口73、(第1)空気入口72が(第1)有機流体出口72、(第2)空気出口71が(第2)有機流体入口71、(第2)空気入口74が(第2)有機流体出口74、入口チャンバ79が出口チャンバ79となる。すなわち、本実施形態では、ケーシング26が、第1サイクル9に接続される(第1)有機流体入口71および(第1)有機流体出口72と、第2サイクル10に接続される(第2)有機流体入口73および(第2)有機流体出口74と、を備えていることになる。また、ケーシング26内には、有機流体入口73から流入した有機流体を、ラジアルタービンホイール28の半径方向内側(内周側)に設けられた(第1)流路75の入口に導く(第1の)スクロール(ボリュート)76と、有機流体入口71から流入した有機流体を、ラジアルタービンホイール28の半径方向外側(外周側)に設けられた(第2)流路77の入口に導く(第2の)スクロール(ボリュート)78と、流路77の出口から流出した有機流体を有機流体出口74に導く出口チャンバ79と、を備えていることになる。
【0055】
また、本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置において、蒸気管66を介して第1蒸発器12に導かれた蒸気は、第1蒸発器12においてドレン水(復水)となり、第2蒸発器22において降温された(有機流体に熱を与えた)熱媒水を大気圧ドレンタンク58に導く排熱回収経路56の途中に、その出口端(下流端)が接続された連絡管68を介して、第2蒸発器22において降温された熱媒水とともに大気圧ドレンタンク58に導かれるようになっている。
【0056】
本実施形態に係る1軸2段式ラジアルタービンによれば、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体が当該1軸2段式ラジアルタービンを通過する際に合流してしまうのを防止する(回避する)ことができる。
その結果、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体をそれぞれ別々の閉回路内で循環させることができ、排熱回収型船舶推進装置の排熱回収効率をさらに向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第3実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0057】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜必要に応じて変形・変更して実施することもできる。
例えば、上述した実施形態では、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気を、第2の流路77の入口に導いて、第2の流路77を通過させることによりさらに圧縮する1軸2段式ターボチャージャを一具体例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気を、第1の流路75の入口に導いて、第1の流路75を通過させることによりさらに圧縮する1軸2段式ターボチャージャとしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 排熱回収型船舶推進装置
2 1軸2段式ターボチャージャ
3 第3空気冷却器(第1の熱交換器:第2の熱交換器)
21 排熱回収型船舶推進装置
25 1軸2段式ラジアルタービン
28 ラジアルタービンホイール
46 第1空気冷却器(第1の熱交換器:第2の熱交換器)
47 第2空気冷却器(第1の熱交換器:第2の熱交換器)
52 1軸2段式ターボチャージャ
75 (第1の)流路
77 (第2の)流路
81 (第1の)ブレード
82 ハブ
83 シュラウド
84 (第2の)ブレード
94 ラジアルタービンホイール
101 (第1の)ブレード
102 ハブ
103 シュラウド
104 (第2の)ブレード
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱回収発電装置を、船舶の推進用主機としてのディーゼルエンジン(内燃機関)の排熱回収用として設置した排熱回収型船舶推進装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排熱回収発電装置は、各種産業用プラント、船舶や車両用の動力源、等から排出される排ガス、温排水等あるいは地熱・OTEC等から回収した熱エネルギーを用いて発電するものである(特許文献1、特許文献2参照)。
排熱回収発電装置では、一般に、熱源の熱によって加熱蒸発させられた作動媒体をタービンに導入し、作動媒体の旋回エネルギーを回転動力に変換し、発電している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−285607号公報
【特許文献2】特開平8−218816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年では、図12に示すような排熱回収型船舶推進装置110、すなわち、排熱回収発電装置8を、船舶の推進用主機としてのディーゼルエンジン40の排熱回収用として設置した排熱回収型船舶推進装置110が提案されている。
【0005】
排熱回収発電装置8は、第1サイクル9と第2サイクル10の二つの有機流体経路を有する。第1サイクル9は、第1循環ポンプ31と、第1流量調整弁(図示せず)と、第1蒸発器12と、パワータービン33と、凝縮器35とを備えている。第2サイクル10は、第2循環ポンプ32と、第2流量調整弁(図示せず)と、第2蒸発器22と、パワータービン33と、凝縮器35と、を備えている。パワータービン33には、減速機36を介して発電機34が接続されている。
【0006】
第1サイクル9と第2サイクル10とは、パワータービン33から凝縮器35に至る配管において共通の通路とされ、凝縮器35からパワータービン33に至る配管においてそれぞれ別々の通路とされている。第1サイクル9内に存する有機流体は、第1循環ポンプ31によって第1サイクル9内を循環し、第2サイクル10内に存する有機流体は、第2循環ポンプ32によって第2サイクル10内を循環する。第1サイクル9の圧力および流量は、第1流量調整弁によって調整され、第2サイクル10の圧力および流量は、第2流量調整弁によって調整される。
【0007】
第1サイクル9と第2サイクル10の有機流体経路を流れる有機流体としては、イソペンタン、ブタン、プロパン等の低分子炭化水素や、冷媒として用いられるR134a、R245fa等を用いることができる。第1サイクル9内に存する有機流体は、第1循環ポンプ31、第1蒸発器12、パワータービン33、凝縮器35を順次通過して相変化を繰り返しながら循環する。第2サイクル10内に存する有機流体は、第2循環ポンプ32、第2蒸発器22、パワータービン33、凝縮器35を順次通過して相変化を繰り返しながら循環する。
【0008】
第1蒸発器12は、流路56を流れる熱媒水が第1空気冷却器46や排ガスエコノマイザ(排ガス熱交換器)55にて回収した熱によって、第1循環ポンプ31から送られた液相の有機流体を加熱し、有機流体を気相に変化させる。なお、第1空気冷却器46は、熱媒水と熱交換することで、ディーゼルエンジン40のターボチャージャ(過給機)42から吐出された圧縮空気を冷却する。また、排ガスエコノマイザ55は、熱媒水と熱交換することで、ディーゼルエンジン40から排出された排ガスを冷却する。
【0009】
第2蒸発器22は、第1冷却器46によって加熱された熱媒水の一部を利用して、第2循環ポンプ32から送られた液相の有機流体を加熱し、有機流体を気相に変化させる。
【0010】
パワータービン33には、第1サイクル9の第1蒸発器12で蒸発した有機流体と、第2サイクル10の第2蒸発器22で蒸発した有機流体とが導入される。そして、パワータービン33は、第1蒸発器12によって蒸発した有機流体の熱落差(エンタルピー落差)と、第2蒸発器22によって蒸発した有機流体の熱落差(エンタルピー落差)とによって回転駆動される。
【0011】
パワータービン33の回転動力は発電機34に伝達され、発電機34にて電力が得られるようになっている。発電機34で得られた電力は、図示しない電力線を介して船内系統へと供給される。パワータービン33を通過した有機流体は、凝縮器35にて海水によって冷却されて凝縮液化する。凝縮液化した有機流体は、第1循環ポンプ31によって第1蒸発器12へと送られ、第2凝縮ポンプ32によって第2蒸発器22へと送られる。
【0012】
つぎに、排熱回収経路56について説明する。
排熱回収経路56は閉回路とされており、熱媒水を循環させるための排熱回収用ポンプ60が設けられている。この排熱回収用ポンプ60によって、熱媒水は、第1空気冷却器46、排ガスエコノマイザ55、第1蒸発器12、および第2蒸発器22と熱交換するように循環する。第1蒸発器12および第2蒸発器22にて冷却された熱媒水は、減圧弁(図示せず)を介して大気圧ドレンタンク58に回収される。排熱回収用ポンプ60から第1蒸発器12および第2蒸発器22に送られる熱媒水の流量は、排熱回収経路56に設けられた給水制御弁61で調整される。
【0013】
第1蒸発器12の熱媒水入口温度は、例えば、約196℃、熱媒水出口温度は、例えば、約70℃とされる。この第1蒸発器12にて、熱媒水によって有機流体が蒸発させられる。
【0014】
排ガスエコノマイザ55の高温側(排ガス流れ上流側)には、コンポジットボイラ54が設けられている。コンポジットボイラ54は、蒸気ドラム64と循環ポンプ65と蒸発器44と、を備えている。蒸気ドラム64内の水は蒸発器44に送られ、蒸発器44にて排ガスと熱交換して蒸発する。
【0015】
蒸発器44にて蒸発した蒸気は、蒸気ドラム64へと導かれる。この蒸気ドラム64の上方に滞留する蒸気は、補助装置へと導かれ、その後大気圧ドレンタンク58に回収される。蒸気ドラム64内の水位は、蒸気ドラムレベル制御弁62によって調整され、大気圧ドレンタンク58から蒸気ドラム64へボイラ給水ポンプ63によって水が供給される。
【0016】
つづいて、上記排熱回収発電装置8の動作について図12を用いて説明する。
ディーゼルエンジン40のターボチャージャ42によって圧縮された空気は、第1空気冷却器46と第2空気冷却器47によって冷却される。この際に第1空気冷却器46内を流れる排熱回収経路56の熱媒水が圧縮空気によって昇温させられることによって、熱媒水は圧縮空気から熱を回収する。第1空気冷却器46にて熱回収した後の熱媒水温度は、例えば、約142℃とされる。
【0017】
ディーゼルエンジン40から排出された排ガスは、コンポジットボイラ54の蒸発器44と排ガスエコノマイザ55によって冷却される。この際に排ガスエコノマイザ55を流れる排熱回収経路56の熱媒水が排ガスによって昇温させられることによって、熱媒水は排ガスから熱を回収する。排ガスエコノマイザ55にて熱回収した後の熱媒水温度は、例えば、約196℃とされる。
【0018】
第1空気冷却器46と排ガスエコノマイザ55で排熱を回収して高温となった熱媒水は、第1蒸発器12へ導かれ、一方、第1空気冷却器46で排熱を回収して高温となった熱媒水の一部は、第2蒸発器22へと導かれ、第1サイクル9および第2サイクル10を循環する有機流体と熱交換する。有機流体は、第1蒸発器12および第2蒸発器22にて熱媒水の顕熱によって加熱され蒸発気化する。
【0019】
蒸発気化して高エンタルピとなった有機流体は、パワータービン33へと導かれ、その熱落差によってパワータービン33を回転駆動させる。パワータービン33の回転出力を得て、発電機34にて発電が行われる。パワータービン33にて仕事を終えた有機流体(気相)は、凝縮器35へと導かれ海水等の冷却水によって冷却されることにより凝縮液化する。
【0020】
しかしながら、図12に示す排熱回収型船舶推進装置110では、ターボチャージャ42によって圧縮された空気は、第1空気冷却器46において排熱回収経路56を通過する熱媒水と熱交換される。第1空気冷却器46において昇温された熱媒水は、排熱回収経路56を介して第2蒸発器22および排ガスエコノマイザ55に導かれ、第2蒸発器22に導かれた熱媒水は、第2サイクル10の有機流体経路を流れる有機流体と熱交換され、第2蒸発器22において第2サイクル10の有機流体経路を流れる有機流体が蒸発させられる。一方、排ガスエコノマイザ55に導かれた熱媒水は、排ガスエコノマイザ55を通過する排ガスと熱交換され、排ガスエコノマイザ55において昇温させられる。排ガスエコノマイザ55において昇温させられた熱媒水は、排熱回収経路56を介して第1蒸発器12に導かれる。第1蒸発器12に導かれた熱媒水は、第1サイクル9の有機流体経路を流れる有機流体と熱交換され、第1蒸発器12において第1サイクル9の有機流体経路を流れる有機流体が蒸発させられる。すなわち、図12に示す排熱回収型船舶推進装置110では、第1空気冷却器46の下流側において排熱回収経路56を分岐させて、第1空気冷却器46において昇温された熱媒水を第2蒸発器22および排ガスエコノマイザ55に導くようにしている。言い換えれば、図12に示す排熱回収型船舶推進装置110では、ターボチャージャ42によって作り出された一つの熱源を、第2蒸発器22および排ガスエコノマイザ55に導いて、排熱を回収しようとしている。そのため、図12に示す排熱回収型船舶推進装置110では、ターボチャージャ42によって圧縮された空気から熱を回収するという点で限界があった。
【0021】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、排熱回収効率を向上させることができる排熱回収型船舶推進装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る1軸2段式ターボチャージャは、半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備し、前記第1の流路を通過させることにより圧縮された流体を、前記第2の流路の入口に導いて、前記第2の流路を通過させることによりさらに圧縮する1軸2段式ターボチャージャである。
【0023】
本発明に係る1軸2段式ターボチャージャによれば、第1の流路を通過させることにより圧縮された流体と、第2の流路を通過させることにより圧縮された流体とが、別々の熱源として取り出されることになる。
その結果、第1の流路を通過させることにより圧縮された流体を第1の熱源として利用することができ、第2の流路を通過させることにより圧縮された流体を第2の熱源として利用することができる。
【0024】
本発明に係る1軸2段式ターボチャージャは、半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備し、前記第2の流路を通過させることにより圧縮された流体を、前記第1の流路の入口に導いて、前記第1の流路を通過させることによりさらに圧縮する1軸2段式ターボチャージャである。
【0025】
本発明に係る1軸2段式ターボチャージャによれば、第2の流路を通過させることにより圧縮された流体と、第1の流路を通過させることにより圧縮された流体とが、別々の熱源として取り出されることになる。
その結果、第2の流路を通過させることにより圧縮された流体を第1の熱源として利用することができ、第1の流路を通過させることにより圧縮された流体を第2の熱源として利用することができる。
【0026】
本発明に係る排熱回収型船舶推進装置は、請求項1に記載の第1の流路または請求項2に記載の第2の流路を通過することにより圧縮された流体を、第1の熱交換器に導いて、前記第1の熱交換器の熱源として利用し、請求項1に記載の第2の流路または請求項2に記載の第1の流路を通過することにより圧縮された流体を、第2の熱交換器に導いて、前記第2の熱交換器の熱源として利用する排熱回収型船舶推進装置である。
【0027】
本発明に係る排熱回収型船舶推進装置によれば、請求項1に記載の第1の流路または請求項2に記載の第2の流路を通過することにより圧縮された流体の熱は、第1の熱交換器において回収され、請求項1に記載の第2の流路または請求項2に記載の第1の流路を通過することにより圧縮された流体の熱は、第2の熱交換器において回収されることになる。
その結果、当該排熱回収型船舶推進装置の排熱回収効率を向上させることができる。
【0028】
上記排熱回収型船舶推進装置において、半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備した1軸2段式ラジアルタービンを備えているとさらに好適である。
【0029】
このような排熱回収型船舶推進装置によれば、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体が1軸2段式ラジアルタービンを通過する際に合流してしまうのを防止する(回避する)ことができる。
その結果、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体をそれぞれ別々の閉回路内で循環させることができ、当該排熱回収型船舶推進装置の排熱回収効率をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る排熱回収型船舶推進装置よれば、排熱回収効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの縦断面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【図5】図3のB−B矢視断面図である。
【図6】図3のC−C矢視断面図である。
【図7】図3のD−D矢視断面図である。
【図8】図1から図7に示す1軸2段式ターボチャージャを構成するラジアルタービンホイールの斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの縦断面図である。
【図11】図10に示す1軸2段式ターボチャージャを構成するラジアルタービンホイールの斜視図である。
【図12】近年提案されている排熱回収型船舶推進装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置について、図1から図8を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置の概略構成図、図2は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの側面図、図3は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの縦断面図、図4は図3のA−A矢視断面図、図5は図3のB−B矢視断面図、図6は図3のC−C矢視断面図、図7は図3のD−D矢視断面図、図8は図1から図7に示す1軸2段式ターボチャージャを構成するラジアルタービンホイールの斜視図である。
【0033】
本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置1は、ターボチャージャ42の代わりに1軸2段式ターボチャージャ2が設けられているとともに、第1空気冷却器46および第2空気冷却器47の他に第3空気冷却器3を備えているという点で、図12を用いて説明した排熱回収型船舶推進装置110と異なる。その他の構成要素については図12を用いて説明した排熱回収型船舶推進装置110のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、図12を用いて説明した排熱回収型船舶推進装置110と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0034】
図3に示すように、1軸2段式ターボチャージャ2は、ケーシング92と、ケーシング92に軸支されて回転する回転軸93と、回転軸93の一端部外周に取り付けられて回転軸93とともに回転するラジアルタービンホイール94と、を備えたコンプレッサ部と、ケーシング95と、ケーシング95に軸支されて回転する回転軸93と、回転軸93の他端に取り付けられて回転軸93とともに回転するタービン96と、を備えたタービン部と、を具備している。
ケーシング92には、第1空気供給管4の出口端に接続される(第1)空気入口72、第2空気供給管5の入口端に接続される(第1)空気出口73、第2空気供給管5の出口端に接続される(第2)空気入口74、および第3空気供給管6の入口端に接続される(第2)空気出口71を備えている。また、ケーシング92内には、空気入口72から、ラジアルタービンホイール94の半径方向内側(内周側)に設けられた(第1)流路75に流入し、流路75から流出した空気を空気出口73に導く(第1の)スクロール(ボリュート)76と、空気入口74から、ラジアルタービンホイール94の半径方向外側(外周側)に設けられた(第2)流路77に流入し、流路77から流出した空気を空気出口71に導く(第2の)スクロール(ボリュート)78と、空気入口74から流入した空気を流路77に導く入口チャンバ79と、を備えている。
【0035】
なお、空気出口71は、図3において紙面手前側に開口するように形成され、空気入口72は、図3において左側に開口するように形成されている。
また、空気出口73は、図3において上側に開口するように形成され、空気入口74は、図3において紙面奥側に開口するように形成されている。
【0036】
図8に示すように、ラジアルタービンホイール94は、半径方向内側に位置して流路75を形成する複数枚の(第1の)ブレード101と、これらブレード101の根元部に配置されるハブ(本体)102と、ブレード101の先端部に配置されて、流路75と流路77とを仕切る(区画する)シュラウド103と、半径方向外側に位置して流路77を形成する複数枚の(第2の)ブレード104と、を備えている。シュラウド103は、一端から他端に向かって内径および外径が徐々に(緩やかに)拡径する円錐部とされ、シュラウド(円錐部)103の外周面には、ブレード104の根元部が接続されている(ブレード104が立設されている)。
【0037】
なお、図3中の符号105は、流路75と入口チャンバ79とを仕切る(区画する)仕切板である。
また、図3中の符号106は、仕切板105の端面から軸方向に沿って延び、その端面がシュラウド103の縮径側の端面103aと接して、流路75に流入する空気が入口チャンバ79内に存する空気に混入したり、あるいは入口チャンバ79内の空気が流路75に流入する空気に混入したりするのを防止するとシール部材(本実施形態ではラビリンスシール)である。
【0038】
ここで、図1に示すように、本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置1では、1軸2段式ターボチャージャ2において一次的に加圧された(圧縮された)空気は、第2空気供給管5を介して第3空気冷却器3に導かれ、排熱回収経路56を介して第3空気冷却器3に導かれた熱媒水と熱交換された(熱媒水に熱を与えた)後、第2空気供給管5を介して空気入口74に導かれる。空気入口74から流入した空気は、1軸2段式ターボチャージャ2においてさらに加圧され、1軸2段式ターボチャージャ2において二次的に加圧された空気は、第3空気供給管6を介して第1空気冷却器46に導かれ、排熱回収経路56を介して第1空気冷却器46に導かれた熱媒水と熱交換された(熱媒水に熱を与えた)後、第3空気供給管6を介してディーゼルエンジン40に供給される。
【0039】
また、本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置1では、蒸気管66を介して、蒸気ドラム64の上方に滞留する蒸気が第1蒸発器12に導かれ、第1サイクル9を介して第1蒸発器12に導かれた有機流体と熱交換される。第1蒸発器12に導かれた蒸気は、第1蒸発器12においてドレン水(復水)となり、第3空気冷却器3において昇温された熱媒水を第2蒸発器22に導く排熱回収経路56の途中に、その出口端(下流端)が接続された連絡管67を介して、第3空気冷却器3において昇温された熱媒水とともに第2蒸発器22に導かれるようになっている。
【0040】
本実施形態に係る1軸2段式ターボチャージャ2によれば、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気(流体)と、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気(流体)とが、別々の熱源として取り出されることになる。
その結果、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気を第1の熱源として利用することができ、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気を第2の熱源として利用することができる。
また、本実施形態に係る1軸2段式ターボチャージャ2を備えた排熱回収型船舶推進装置1によれば、第1の流路75を通過することにより圧縮された空気の熱は、第3空気冷却器(第1の熱交換器)3において回収され、第2の流路77を通過することにより圧縮された空気の熱は、第1空気冷却器46(第2の熱交換器)および第2空気冷却器47(第2の熱交換器)において回収されることになる。
その結果、当該排熱回収型船舶推進装置1の排熱回収効率を向上させることができる。
【0041】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置について、図9を参照しながら説明する。図9は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置の概略構成図である。
【0042】
本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置21は、パワータービン33の代わりに1軸2段式(複圧式)ラジアルタービン25が設けられているとともに、第1サイクル9と第2サイクル10とが、それぞれ別々の閉回路とされているという点で、上述した排熱回収型船舶推進装置1と異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した排熱回収型船舶推進装置1と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0043】
1軸2段式ラジアルタービン25は、図2から図7に示す1軸2段式ターボチャージャ2を構成するコンプレッサ部と同じ構成を有するラジアルタービンであり、本実施形態では、(第1)空気出口73が(第1)有機流体入口73、(第1)空気入口72が(第1)有機流体出口72、(第2)空気出口71が(第2)有機流体入口71、(第2)空気入口74が(第2)有機流体出口74、入口チャンバ79が出口チャンバ79となる。すなわち、本実施形態では、ケーシング92が、第1サイクル9に接続される(第1)有機流体入口71および(第1)有機流体出口72と、第2サイクル10に接続される(第2)有機流体入口73および(第2)有機流体出口74と、を備えていることになる。また、ケーシング92内には、有機流体入口73から流入した有機流体を、ラジアルタービンホイール94の半径方向内側(内周側)に設けられた(第1)流路75の入口に導く(第1の)スクロール(ボリュート)76と、有機流体入口71から流入した有機流体を、ラジアルタービンホイール94の半径方向外側(外周側)に設けられた(第2)流路77の入口に導く(第2の)スクロール(ボリュート)78と、流路77の出口から流出した有機流体を有機流体出口74に導く出口チャンバ79と、を備えていることになる。
【0044】
また、本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置21において、蒸気管66を介して第1蒸発器12に導かれた蒸気は、第1蒸発器12においてドレン水(復水)となり、第2蒸発器22において降温された(有機流体に熱を与えた)熱媒水を大気圧ドレンタンク58に導く排熱回収経路56の途中に、その出口端(下流端)が接続された連絡管68を介して、第2蒸発器22において降温された熱媒水とともに大気圧ドレンタンク58に導かれるようになっている。
【0045】
本実施形態に係る1軸2段式ラジアルタービン25によれば、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体が当該1軸2段式ラジアルタービン25を通過する際に合流してしまうのを防止する(回避する)ことができる。
その結果、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体をそれぞれ別々の閉回路内で循環させることができ、排熱回収型船舶推進装置21の排熱回収効率をさらに向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0046】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置について、図10および図11を参照しながら説明する。
図10は本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置を構成する1軸2段式ターボチャージャの縦断面図、図11は図10に示す1軸2段式ターボチャージャを構成するラジアルタービンホイールの斜視図である。
【0047】
本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置(図示せず)は、1軸2段式ターボチャージャ2の代わりに1軸2段式ターボチャージャ52が設けられているという点で、上述した排熱回収型船舶推進装置1と異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した排熱回収型船舶推進装置1と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0048】
図10に示すように、1軸2段式ターボチャージャ52は、ケーシング26と、ケーシング26に軸支されて回転する回転軸27と、回転軸27の一端部外周に取り付けられて回転軸27とともに回転するラジアルタービンホイール28と、を備えたコンプレッサ部と、ケーシング95と、ケーシング95に軸支されて回転する回転軸27と、回転軸27の他端に取り付けられて回転軸27とともに回転するタービン96と、を備えたタービン部と、を具備している。
ケーシング26には、第1空気供給管4の出口端に接続される(第1)空気入口72、第2空気供給管5の入口端に接続される(第1)空気出口73、第2空気供給管5の出口端に接続される(第2)空気入口74、および第3空気供給管6の入口端に接続される(第2)空気出口71を備えている。また、ケーシング26内には、空気入口72から、ラジアルタービンホイール28の半径方向内側(内周側)に設けられた(第1)流路75に流入し、流路75から流出した空気を空気出口73に導く(第1の)スクロール(ボリュート)76と、空気入口74から、ラジアルタービンホイール28の半径方向外側(外周側)に設けられた(第2)流路77に流入し、流路77から流出した空気を空気出口71に導く(第2の)スクロール(ボリュート)78と、空気入口74から流入した空気を流路77に導く入口チャンバ79と、を備えている。
【0049】
なお、空気出口71は、図10において紙面手前側に開口するように形成され、空気入口72は、図10において左側に開口するように形成されている。
また、空気出口73は、図10において上側に開口するように形成され、空気入口74は、図10において紙面奥側に開口するように形成されている。
【0050】
図11に示すように、ラジアルタービンホイール28は、半径方向内側に位置して流路75を形成する複数枚の(第1の)ブレード81と、これらブレード81の根元部に配置されるハブ(本体)82と、ブレード81の先端部に配置されて、流路75と流路77とを仕切る(区画する)シュラウド83と、半径方向外側に位置して流路77を形成する複数枚の(第2の)ブレード84と、を備えている。シュラウド83は、一端から他端に向かって同一の内径および外径を有する筒状部85と、筒状部85の他端に連続するようにして接続された一端から他端に向かって、内径および外径が徐々に(緩やかに)拡径する円錐部86と、を備えている。また、円錐部86の外周面には、ブレード84の根元部が接続されている(ブレード84が立設されている)。
【0051】
なお、図10中の符号87は、その内周面がシュラウド83を構成する筒状部85の一端部に位置する外周面と接して、流路75に流入する空気が入口チャンバ79内に存する空気に混入したり、あるいは入口チャンバ79内の空気が流路75に流入する空気に混入したりするのを防止するとシール部材(本実施形態ではラビリンスシール)である。
【0052】
本実施形態に係る1軸2段式ターボチャージャ52によれば、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気(流体)と、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気(流体)とが、別々の熱源として取り出されることになる。
その結果、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気を第1の熱源として利用することができ、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気を第2の熱源として利用することができる。
また、本実施形態に係る1軸2段式ターボチャージャ52を備えた排熱回収型船舶推進装置によれば、第1の流路75を通過することにより圧縮された空気の熱は、第3空気冷却器(第1の熱交換器)3において回収され、第2の流路77を通過することにより圧縮された空気の熱は、第1空気冷却器46(第2の熱交換器)および第2空気冷却器47(第2の熱交換器)において回収されることになる。
その結果、当該排熱回収型船舶推進装置の排熱回収効率を向上させることができる。
【0053】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置について説明する。
本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置(図示せず)は、パワータービン33の代わりに1軸2段式(複圧式)ラジアルタービン(図示せず)が設けられているとともに、第1サイクル9と第2サイクル10とが、それぞれ別々の閉回路とされているという点で、第3実施形態のところで説明した排熱回収型船舶推進装置と異なる。その他の構成要素については上述した第3実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0054】
本実施形態に係る1軸2段式ラジアルタービンは、図10に示す1軸2段式ターボチャージャ52を構成するコンプレッサ部と同じ構成を有するラジアルタービンであり、本実施形態では、(第1)空気出口73が(第1)有機流体入口73、(第1)空気入口72が(第1)有機流体出口72、(第2)空気出口71が(第2)有機流体入口71、(第2)空気入口74が(第2)有機流体出口74、入口チャンバ79が出口チャンバ79となる。すなわち、本実施形態では、ケーシング26が、第1サイクル9に接続される(第1)有機流体入口71および(第1)有機流体出口72と、第2サイクル10に接続される(第2)有機流体入口73および(第2)有機流体出口74と、を備えていることになる。また、ケーシング26内には、有機流体入口73から流入した有機流体を、ラジアルタービンホイール28の半径方向内側(内周側)に設けられた(第1)流路75の入口に導く(第1の)スクロール(ボリュート)76と、有機流体入口71から流入した有機流体を、ラジアルタービンホイール28の半径方向外側(外周側)に設けられた(第2)流路77の入口に導く(第2の)スクロール(ボリュート)78と、流路77の出口から流出した有機流体を有機流体出口74に導く出口チャンバ79と、を備えていることになる。
【0055】
また、本実施形態に係る排熱回収型船舶推進装置において、蒸気管66を介して第1蒸発器12に導かれた蒸気は、第1蒸発器12においてドレン水(復水)となり、第2蒸発器22において降温された(有機流体に熱を与えた)熱媒水を大気圧ドレンタンク58に導く排熱回収経路56の途中に、その出口端(下流端)が接続された連絡管68を介して、第2蒸発器22において降温された熱媒水とともに大気圧ドレンタンク58に導かれるようになっている。
【0056】
本実施形態に係る1軸2段式ラジアルタービンによれば、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体が当該1軸2段式ラジアルタービンを通過する際に合流してしまうのを防止する(回避する)ことができる。
その結果、異なる圧力を有する二つの流体、または同じ圧力を有する二つの流体をそれぞれ別々の閉回路内で循環させることができ、排熱回収型船舶推進装置の排熱回収効率をさらに向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第3実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0057】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜必要に応じて変形・変更して実施することもできる。
例えば、上述した実施形態では、第1の流路75を通過させることにより圧縮された空気を、第2の流路77の入口に導いて、第2の流路77を通過させることによりさらに圧縮する1軸2段式ターボチャージャを一具体例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の流路77を通過させることにより圧縮された空気を、第1の流路75の入口に導いて、第1の流路75を通過させることによりさらに圧縮する1軸2段式ターボチャージャとしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 排熱回収型船舶推進装置
2 1軸2段式ターボチャージャ
3 第3空気冷却器(第1の熱交換器:第2の熱交換器)
21 排熱回収型船舶推進装置
25 1軸2段式ラジアルタービン
28 ラジアルタービンホイール
46 第1空気冷却器(第1の熱交換器:第2の熱交換器)
47 第2空気冷却器(第1の熱交換器:第2の熱交換器)
52 1軸2段式ターボチャージャ
75 (第1の)流路
77 (第2の)流路
81 (第1の)ブレード
82 ハブ
83 シュラウド
84 (第2の)ブレード
94 ラジアルタービンホイール
101 (第1の)ブレード
102 ハブ
103 シュラウド
104 (第2の)ブレード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備し、
前記第1の流路を通過させることにより圧縮された流体を、前記第2の流路の入口に導いて、前記第2の流路を通過させることによりさらに圧縮することを特徴とする1軸2段式ターボチャージャ。
【請求項2】
半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備し、
前記第2の流路を通過させることにより圧縮された流体を、前記第1の流路の入口に導いて、前記第1の流路を通過させることによりさらに圧縮することを特徴とする1軸2段式ターボチャージャ。
【請求項3】
請求項1に記載の第1の流路または請求項2に記載の第2の流路を通過することにより圧縮された流体を、第1の熱交換器に導いて、前記第1の熱交換器の熱源として利用し、請求項1に記載の第2の流路または請求項2に記載の第1の流路を通過することにより圧縮された流体を、第2の熱交換器に導いて、前記第2の熱交換器の熱源として利用することを特徴とする排熱回収型船舶推進装置。
【請求項4】
半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備した1軸2段式ラジアルタービンを備えていることを特徴とする請求項3に記載の排熱回収型船舶推進装置。
【請求項1】
半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備し、
前記第1の流路を通過させることにより圧縮された流体を、前記第2の流路の入口に導いて、前記第2の流路を通過させることによりさらに圧縮することを特徴とする1軸2段式ターボチャージャ。
【請求項2】
半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備し、
前記第2の流路を通過させることにより圧縮された流体を、前記第1の流路の入口に導いて、前記第1の流路を通過させることによりさらに圧縮することを特徴とする1軸2段式ターボチャージャ。
【請求項3】
請求項1に記載の第1の流路または請求項2に記載の第2の流路を通過することにより圧縮された流体を、第1の熱交換器に導いて、前記第1の熱交換器の熱源として利用し、請求項1に記載の第2の流路または請求項2に記載の第1の流路を通過することにより圧縮された流体を、第2の熱交換器に導いて、前記第2の熱交換器の熱源として利用することを特徴とする排熱回収型船舶推進装置。
【請求項4】
半径方向内側に位置して第1の流路を形成する複数枚の第1のブレードと、これら第1のブレードの根元部に配置されるハブと、前記第1のブレードの先端部に配置されて、前記第1の流路と第2の流路とを仕切るシュラウドと、半径方向外側に位置して前記第2の流路を形成する複数枚の第2のブレードと、を備えたラジアルタービンホイールを具備した1軸2段式ラジアルタービンを備えていることを特徴とする請求項3に記載の排熱回収型船舶推進装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−104336(P2013−104336A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247717(P2011−247717)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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