説明

掘削工具

【課題】確実にビットヘッドを拡縮径させることが可能な掘削工具を提供する。
【解決手段】軸線O回りに回転させられる工具本体1の先端部に、軸線Oを中心とする円盤状のプレート4が軸線O回りに回転可能に取り付けられるとともに、これらプレート4と工具本体1との間には、軸線Oに対する径方向に出没可能なビットヘッド7が介装されていて、プレート4が工具本体1に対して掘削時の工具本体1の回転方向Tとは反対側に回転させられたときにはビットヘッド7が径方向外周側に突出させられ、プレート4が工具本体1に対して掘削時の工具本体1の回転方向Tに回転させられたときにはビットヘッド7が径方向内周側に没入させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具本体に対してその外径が拡縮径するビットヘッドを備えた掘削工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このように、工具本体に対して外径が拡縮径するビットヘッドを備えた掘削工具としては、特許文献1、2に記載されたようなものが知られている。このような掘削工具では、掘削時にはビットヘッドを拡径させて、工具本体よりも外径の大きなケーシングパイプよりさらに径の大きな削孔を形成することによって該削孔内にケーシングパイプを挿入してゆき、掘削終了後はビットヘッドを縮径させて工具本体ごとケーシングパイプ内を通して引き抜くことで、ケーシングパイプのみを地盤に埋設することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−217578号公報
【特許文献2】特開2002−250194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、これら特許文献1、2に記載された掘削工具は、いずれも専ら縦掘用のものであってビットヘッドを削孔の孔底に押し付けて圧力を作用させることで拡径させるものであり、これを横掘掘削に用いようとすると掘削時に重力や外部からの衝撃等によってビットヘッドが縮径してしまって拡径状態を維持することができなくなったり、掘削終了後にビットヘッドを縮径させようとしてもやはり重力によって確実に縮径させることができなくなったりするおそれがある。なお、掘削時に与えられる回転力をビットヘッドにさようさせることで拡縮径させる掘削工具も種々提案されているが、横掘時には同様の課題が生じることになる。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、横掘時や外部からの衝撃が作用したときでもビットヘッドの拡径状態を維持するなど、確実にビットヘッドを拡縮径させることが可能な掘削工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転させられる工具本体の先端部に、上記軸線を中心とする円盤状のプレートが該軸線回りに回転可能に取り付けられるとともに、これらプレートと工具本体との間には、上記軸線に対する径方向に出没可能なビットヘッドが介装されていて、上記プレートが上記工具本体に対して掘削時の上記工具本体の回転方向とは反対側に回転させられたときには上記ビットヘッドが径方向外周側に突出させられ、上記プレートが上記工具本体に対して掘削時の上記工具本体の回転方向に回転させられたときには上記ビットヘッドが径方向内周側に没入させられることを特徴とする。
【0007】
このように構成された掘削工具では、工具本体の軸線に対する径方向に出没可能とされて拡縮径するビットヘッドが、工具本体とその先端部に回転可能に取り付けられたプレートとの間に介装されていて、掘削時にはプレートが削孔の孔底に押し付けられた状態となる。そして、掘削時に工具本体が回転させられるときには、孔底に当接したプレートは相対的に工具本体に対してこの掘削時の回転方向とは反対側に回転させられ、これによってビットヘッドが径方向外周側に突出させられて拡径するので、ケーシングパイプを挿入する場合にこれよりも径の大きな削孔を形成することができる。
【0008】
また、掘削終了後にはプレートを削孔の孔底に押し付けたまま工具本体を掘削時とは反対側に回転させると、プレートは工具本体に対して相対的に掘削時の回転方向に回転させられることによりビットヘッドが径方向内周側に没入させられて縮径するので、そのままケーシング内を通して工具本体およびプレートごと抜き出すことができる。従って、このようにプレートの回転によってビットヘッドを径方向に出没させることにより、重力や外部からの衝撃に影響を受けることなく確実なビットヘッドの拡縮径を促して、横掘時でも安定した円滑な削孔の形成を図ることが可能となる。
【0009】
ここで、このようにプレートの回転によってビットヘッドを拡縮径可能とするには、上記ビットヘッドに上記軸線方向に突出する軸部を設け、上記プレートと上記工具本体とのうちの一方には、上記軸部を摺動可能に収容する長溝を周方向に延びるように形成して、この長溝は掘削時の上記工具本体の回転方向とは反対側の溝端部が最も上記軸線に対する径方向外周側に位置するようにし、上記ビットヘッドは、上記プレートと上記工具本体とのうちの他方に形成された凹所に周方向に係止して収容して、上記軸線に対する径方向に案内されつつ出没可能とするようにすればよい。
【0010】
このような構成の掘削工具では、掘削時に工具本体を回転させてプレートが相対的に反対側に回転させられると、プレートと工具本体との一方に設けられた長溝に軸部が摺動可能に収容されるとともにプレートと工具本体との他方の凹所に周方向に係止されて収容されたビットヘッドは、長溝に沿ってプレートと工具本体との一方に対し相対的に掘削時の回転方向の反対側に摺動させられる。そして、この回転方向とは反対側の長溝の溝端部は最も上記軸線に対する径方向外周側に位置させられているので、ビットヘッドは径方向に案内させられて外周側に突出させられる。また、掘削終了後に工具本体を掘削時とは反対側に回転させてプレートを相対的に掘削時の回転方向に回転させると、ビットヘッドは上記とは逆に径方向内周側に案内されて没入させられ、縮径させられる。
【0011】
ここで、このような場合においては、上記ビットヘッドと上記凹所とに、上記軸線に垂直な平面に沿って凹凸する互いに嵌合可能な溝部と凸部とをそれぞれ形成するとともに、上記軸部は上記軸線方向に係止して上記長溝に摺動可能に収容することにより、上記プレートを、上記ビットヘッドと上記軸部とを介して上記軸線方向先端側に抜け止めして上記工具本体の先端部に取り付けることができる。従って、工具本体先端部やプレートに該プレートを抜け止めしつつ回転可能に支持するための手段を設けるスペースを確保し難いような場合でも、プレートの脱落等を防止することが可能となる。
【0012】
ただし、このようなスペースを設けることが可能であるなら、上記プレートを、上記軸線に沿って延びる上記軸線方向に係止された回転軸を介して、上記工具本体の先端部に上記軸線方向先端側に抜け止めして取り付けるようにしてもよい。この場合には、上記回転軸を介してプレートを工具本体先端部に直接的に回転可能かつ抜け止めして取り付けることができるので、その取付剛性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、横掘時においても、掘削時には確実にビットヘッドを拡径状態に維持して所定の径の削孔を形成することが可能となるとともに、掘削終了後にも確実にビットヘッドを縮径させて掘削工具を抜き出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すビットヘッドが拡径した状態の(a)正面図、(b)先端部の側断面図、(c)図(a)におけるZZ断面図である。
【図2】図1に示す実施形態のビットヘッドが縮径した状態の正面図である。
【図3】図1に示す実施形態の工具本体の(a)正面図、(b)先端部の側断面図である。
【図4】図1に示す実施形態のプレートの(a)正面図、(b)側断面図である。
【図5】図1に示す実施形態のビットヘッドの(a)正面図、(b)側断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示すビットヘッドが拡径した状態の(a)正面図、(b)先端部の側断面図である。
【図7】図6に示す実施形態のビットヘッドが縮径した状態の正面図である。
【図8】図6に示す実施形態の工具本体の(a)正面図、(b)先端部の側断面図である。
【図9】図6に示す実施形態のプレートの(a)正面図、(b)側断面図である。
【図10】図6に示す実施形態のビットヘッドの(a)正面図、(b)側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1ないし図5は、本発明の第1の実施形態を示すものである。本実施形態において工具本体(デバイス)1は、図3に示すようにその先端部が軸線Oを中心とした外形略円柱状をなし、図示されない後端部(図1(b)および図3(b)において右側部分)に形成される小径のシャンク部が掘削ロッド等を介して掘削装置に連結されることにより、掘削時には軸線O方向先端側(図1(b)および図3(b)において左側)に向けての推力および打撃力と、軸線O回りに回転方向Tに向けての回転力とが与えられる。
【0016】
この工具本体1の先端部外周には、その後端側部分の外径が一段大きくされるようにして段部1Aが形成されており、この段部1Aにおける外径は、工具本体1とともに削孔に挿入されるケーシングパイプ2の内径よりも僅かに小さくされるとともに、このケーシングパイプ2の先端に接合されるケーシングトップ2Aの内径よりは大きくされている。また、段部1Aよりも先端側の工具本体1先端部の外径はケーシングトップ2Aの内径よりも僅かに小さくされている。
【0017】
このような工具本体1は、掘削時には段部1Aをケーシングトップ2Aの後端面に当接させるとともに、先端部の先端側をケーシングトップ2Aの先端から突き出させるようにしてケーシングパイプ2内に挿入され、上記推力および打撃力が段部1Aからケーシングトップ2Aを介してケーシングパイプ2に伝えられて、当該掘削工具によって形成される削孔にケーシングパイプ2が挿入されるようにされている。
【0018】
また、工具本体1の先端面には、その中央部に軸線Oを中心とした小径円柱状の回転軸1Bが一体に突設されるとともに、この回転軸1Bの周りには、周方向に延びる複数(本実施形態では3つ)の長溝3が、軸線O回りに回転対称(本実施形態では120°回転対称)となるように互いに間隔をあけて形成されている。これらの長溝3は、軸線Oに沿った断面が図3(b)に示すように先端面に開口する「コ」字状をなすとともに、軸線O方向先端視には図3(a)に示すように長円状をなしていて、その溝幅の中心線Lが軸線Oを中心とする1つの円の接線方向に真っ直ぐ延びるようにされている。
【0019】
ただし、これらの長溝3は、その上記回転方向Tの反対側の溝端部3Aが回転方向T側の溝端部3Bよりも軸線Oに対する径方向外周側に位置するようにされている。ここで、本実施形態における長溝3は、この回転方向T側の溝端部3Bから上記1つの円との接点に向けて軸線Oに近づくように延び、この接点から回転方向Tの反対側の溝端部3Aに向けては軸線Oから遠ざかるように延びて、この溝端部3Aで最も径方向外周側に達するようにされている。
【0020】
また、工具本体1先端部の外周面からは、この長溝3の壁面(本実施形態では径方向内周側の壁面)に沿うようにして断面円形のピン孔3Cが軸線Oに垂直な平面内に穿設されており、このピン孔3Cが上記壁面に開口する部分では、該壁面に断面半円状の溝が形成される。さらに、工具本体1の先端部の外周面には、上記先端面から軸線Oに平行に段部1Aを越えて延びて先端部の後端面に開口する繰り粉の排出溝1Cが、それぞれ長溝3の回転方向T側の溝端部3Bの外周側に位置するように周方向に等間隔に複数形成されている。なお、工具本体1の先端面は、上記回転軸1Bや長溝3、排出溝1Cを除いて、軸線Oに垂直な平坦面とされている。
【0021】
このような工具本体1の先端部に取り付けられるプレート4は、図4に示すように軸線Oを中心とした概略円盤(円板)状をなし、その外径は工具本体1の先端部の外径と略等しくされていて、このプレート4の先端面には超硬合金等の硬質金属よりなるチップ5が多数植設されている(図4(a)ではプレート4の先端面外周のゲージ部にしかチップ5は示されていないが、その内周の軸線Oを中心とした円形面部分にもチップ5は植設されている。)。また、プレート4の外周面には上記排出溝1Cと同形同大で同数の排出溝4Aがやはり周方向に等間隔に形成されている。
【0022】
さらに、周方向においてこれらの排出溝4Aの間には、軸線Oを中心とする1つの円周上に中心を有する長溝3と同数の円形孔4Bが周方向に等間隔に、プレート4の先端面から軸線O方向に穿設されている一方、プレート4の後端面には円形孔4Bと同数の凹所6が、それぞれ円形孔4Bと連通するように形成されている。なお、これらの円形孔4Bの中心が位置する上記1つの円周の半径は、工具本体1の先端面において上記長溝3の中心線Lが接する1つの円の半径よりも大きく、かつ軸線Oから長溝3の最も径方向外周側に位置する上記溝端部3Aの中心までの距離よりは小さくされている。
【0023】
凹所6は、プレート4の後端面側から見て、円形孔4Bの中心と軸線Oとを結ぶ直線を中心としてU字状をなしてプレート4の外周面に開口するように形成されており、その周方向の幅は円形孔4Bの直径よりも大きくされている。また、プレート4の後端面の中央部には、工具本体1先端部の上記回転軸1Bが嵌合する断面円形の止まり孔4Cが形成され、この止まり孔4Cや凹所6、排出溝4Aを除いて、プレート4の後端面は軸線Oに垂直な平坦面とされている。
【0024】
さらに、上記凹所6は、軸線O方向後端側を向いて上記円形孔4Bが開口する軸線Oに垂直な底面6Aと、この底面6Aから垂直すなわち軸線Oに平行に延びてプレート4の後端面に連なる、上記U字状の壁面6Bとから形成されており、このうち壁面6Bには溝部6Cが形成されている。この溝部6Cは、図4(b)に示すように上記壁面6Bの軸線O方向中央部に断面「コ」字状に開口し、該壁面6Bから垂直に凹むように、すなわち軸線Oに垂直な平面に沿って凹むように形成されたものであって、上述のようにU字状をなす壁面6Bの全長に亙って一定の形状、深さで形成されている。従って、凹所6がプレート4の外周面に開口する側の上記U字の両端部では、これら両端部の壁面6Bと溝部6Cとが軸線Oに対する径方向に向けて互いに対向して平行に延びることになる。
【0025】
本実施形態では、こうしてプレート4の後端面側に形成された凹所6に、図5に示すようなビットヘッド7が収容されて取り付けられる。このビットヘッド7は、プレート4の後端面から底面6Aまでの凹所6の深さと略等しい厚さの平板状とされ、凹所6に収容された収容状態で壁面6B側を向くビットヘッド7の側面7Aは該壁面6Bに嵌合可能なU字状をなすとともに、この側面7Aの中央部にはさらに上記溝部6Cに嵌合可能な凸部7Bが形成されている。
【0026】
従って、ビットヘッド7は、側面7Aと凸部7Bが凹所6の壁面6Bと溝部6Cの上記両端部に摺接するようにして挟み込まれることでプレート4の径方向に係止され、さらにこれら壁面6Bと溝部6Cを側面7Aと凸部7Bが摺動することにより径方向に案内されつつ出没可能とされる。また、この溝部6Cに凸部7Bが嵌合することにより、ビットヘッド7とプレート4とは軸線O方向に係合させられる。なお、この凸部7Bは、本実施形態ではビットヘッド7のU字状をなす上記側面7Aの全長に亙って同じくU字状をなすように形成されている。
【0027】
また、このビットヘッド7には、側面7AがなすU字のうち半円弧状部分の中心に同心とされた断面円形をなす貫通孔7Cが形成されている。この貫通孔7Cは、上記収容状態において軸線O方向先端側を向く側が後端側を向く側よりも内径が一段大きくされた多段円形孔であり、先端側を向く大径部の内径はプレート4の上記円形孔4Bの内径と略等しくされるとともに、後端側を向く小径部の内径は工具本体1の上記長溝3の溝幅と略等しくされている。
【0028】
さらに、同じく上記収容状態においてプレート4の外周側に向けられるビットヘッド7の側面7Dは、これらプレート4や工具本体1先端部の外径(半径)と略等しい半径を有する円弧面状に形成されている。そして、この側面7Dとビットヘッド7の軸線O方向先端側に向けられる面との交差稜線部には、やはり超硬合金等の硬質材料よりなるチップ8が多段状に植設されている。なお、このビットヘッド7のチップ8は、後述するビットヘッド7の拡縮径に干渉しないように配設されている。
【0029】
このようなビットヘッド7は、上記凸部7Bを溝部6Cに嵌合させてプレート4の凹所6に収容された上で、プレート4の止まり孔4Cに工具本体1先端面の回転軸1Bを嵌合させつつプレート4を工具本体1先端部に装着し、プレート4の円形孔4Bとビットヘッド7の貫通孔7Cの中心線を一致させるとともに、この中心線が工具本体1の長溝3の上記中心線L上に位置するように位置決めした状態で、図1(c)に示すように円形孔4Bから軸部9を貫通孔7Cおよび長溝3に挿入して軸線O方向に突出するようにビットヘッド7に取り付け、さらに上記ピン孔3Cにピン10を挿入してこの軸部9を軸線O方向先端側に係止することにより、プレート4とともに工具本体1先端部に取り付けられる。
【0030】
ここで、本実施形態では上記軸部9は、円形孔4Bおよび貫通孔7Cの大径部の内径より僅かに小さく、貫通孔7Cの小径部および長溝3の溝幅よりは大きな外径を有する円板状の頭部9Aと、貫通孔7Cの小径部および長溝3の溝幅より僅かに小さな外径を有してこれら小径部および長溝3に摺動可能に収容される円柱状の摺動軸9Bとが同軸に一体形成されたものであり、頭部9Aの厚さは貫通孔7Cの大径部の深さより僅かに小さく、また摺動軸9Bの長さは貫通孔7Cの小径部の深さと長溝3の深さとの和よりも僅かに小さくされている。さらに、摺動軸9Bの外周面には、上記ピン孔3Cと略同径の断面半円弧状をなす環状溝9Cが、該摺動軸9Bを長溝3に収容した状態で軸線O方向にピン孔3Cと等しい位置となるように形成されている。
【0031】
従って、上述のように位置決めした状態で軸部9を挿入すると、頭部9Aは貫通孔7Cの大径部に収容されるとともに、摺動軸9Bは小径部から長溝3内に突出して収容され、環状溝9Cとピン孔3Cとが一致して断面円形の孔部が形成されるので、ピン孔3Cにピン10を挿入して固定することにより、軸部9は、このピン10に係止されて軸線O方向先端側に抜け止めされ、長溝3に沿った摺動のみが許容される。
【0032】
また、軸部9が挿入されたビットヘッド7は、軸部9とともに抜け止めされて一体的に長溝3に沿った移動が許容されるとともに、プレート4に対しては上述のように周方向に係止されて軸線Oに対する径方向への移動が許容される。さらに、プレート4は、その凹所6の溝部6Cにビットヘッド7の凸部7Bが嵌合することにより軸線O方向に係止されて、やはり先端側に抜け止めされ、ビットヘッド7および軸部9の移動に伴う軸線O回りの所定の回転範囲内での回転のみが許容される。
【0033】
このように構成される掘削工具においては、プレート4を上記所定の回転範囲のうち掘削時の回転方向T側に回転させると、図2に示すように軸部9は長溝3の回転方向T側の溝端部3Bに位置し、これに伴いビットヘッド7は凹所6内に略収容されて径方向内周側に没入し、縮径した状態となる。なお、この縮径状態で、ビットヘッド7の上記側面7Dは、プレート4の外周面および工具本体1先端部の外周面と面一な円筒面を成すようにされており、従ってこの縮径状態でケーシングパイプ2の後端側から工具本体1を挿入することにより、その先端部とプレート4およびビットヘッド7はケーシングトップ2Aの内周を通り抜け、ケーシングパイプ2の先端に突出する。
【0034】
そこで、こうして突出した最先端のプレート4を地盤または削孔の孔底に当接させて工具本体1に掘削時の回転方向Tへの回転力を与えると、工具本体1に対してプレート4は相対的に回転方向Tの反対側に回転させられることになり、これに伴いビットヘッド7および軸部9も回転方向Tの反対側に移動させられる。
【0035】
ところが、軸部9は長溝3内に収容されて該長溝3に沿って摺動可能とされており、この長溝3は、軸線Oを中心とする1つの円の接線方向に延びて回転方向Tの反対側の溝端部3Aが最も径方向外周側に位置するようにされているので、軸部9の移動に伴って回転方向Tの反対側に移動するのに従いビットヘッド7は、本実施形態では一旦僅かに軸線Oに対する径方向内周側に後退した後に径方向外周側に突出して、軸部9が溝端部3Aに達したところで図1に示すようにケーシングパイプ2の外径よりも拡径した状態で位置決めされる。
【0036】
従って、こうしてビットヘッド7が拡径した状態で、工具本体1にさらに軸線O方向先端側に向けて推力と打撃力とを与えることにより掘削が行われて削孔が形成されるとともに、こうして形成された削孔内に、上記段部1Aからケーシングトップ2Aを介して推力および打撃力が伝えられたケーシングパイプ2が同時に挿入されてゆく。なお、このビットヘッド7が拡径するようにプレート4が回転した状態で、その外周面に形成された排出溝4Aは工具本体1先端部外周の排出溝1Cと周方向に一致させられて連通し、掘削時に生成される繰り粉をケーシングパイプ2内に通して排出するようにされている。
【0037】
また、所定の深さまで削孔が形成されてケーシングパイプ2が挿入された後は、プレート4を削孔の孔底に当接させたまま工具本体1を上記掘削時の回転方向Tとは反対側に回転させることにより、拡径時とは逆にプレート4は工具本体1に対して相対的に回転方向Tに回転させられてビットヘッド7は図2に示したように縮径した状態に戻るので、そのまま工具本体1を軸線O方向後端側に後退させることにより、プレート4およびビットヘット7ごとケーシングパイプ2から引き抜いて回収することができる。
【0038】
このように、上記構成の掘削工具では、プレート4が工具本体1に対して掘削時の工具本体1の回転方向Tとは反対側に回転させられたときにはビットヘッド7が径方向外周側に突出させられ、逆にプレート4が工具本体1に対して掘削時の工具本体1の回転方向Tに回転させられたときにはビットヘッド7が径方向内周側に没入させられることになり、すなわちビットヘッド7の出没がプレート4の回転によって行われることになる。そして、このプレート4は円盤状であるため、たとえ軸線Oを横向きにして横掘を行う場合でも重力の影響によってプレート4が回転することはなく、従ってビットヘッド7が不用意に拡縮径したりすることもない。
【0039】
また、こうしてプレート4が回転することによって初めてビットヘッド7が拡縮径するため、掘削時に外部からの衝撃がビットヘッド7に作用しても、工具本体1に回転方向Tに向けての回転力が与えられてプレート4が回転方向Tの反対側に位置している限りは、ビットヘッド7が勝手に縮径してしまうこともない。このため、上記構成の掘削工具によれば、縦掘時は勿論、横掘時でもビットヘッド7の確実な拡縮径を図ることができ、掘削時には拡径状態に維持して所定の径の削孔を形成することが可能となるとともに、掘削終了後には上述のようにプレート4およびビットヘット7ごと工具本体1をケーシングパイプ2から引き抜いて回収することが可能となり、円滑かつ安定した掘削を行うとともにケーシングパイプ2の埋設を行うことができる。
【0040】
また、本実施形態では、こうしてプレート4の回転によってビットヘッド7を拡縮径させるのに、ビットヘッド7には軸線O方向に突出するように軸部9を取り付けるとともに、工具本体1には、この軸部9を摺動可能に収容する長溝3を、掘削時の回転方向Tとは反対側の溝端部3Aが最も軸線Oに対する径方向外周側に位置するようにして周方向に延設する一方、ビットヘッド7は凹所6に収容されてプレート4に対して周方向に係止されて径方向に案内されつつ出没可能とされている。
【0041】
従って、このビットヘッド7が案内される径方向と、ビットヘッド7から突出した軸部9が摺動する長溝3が形成された周方向とは、ある程度の角度をもって交差することになるため、本実施形態によれば、掘削時に拡径したビットヘッド7に外部からの衝撃が径方向内周側に向けて作用しても、軸部9が長溝3の径方向内周側の壁面に押し付けられることになって、ビットヘッド7が縮径してしまうのを一層確実に防止することができる。その一方で、逆にプレート4の回転によるビットヘッド7の拡縮径は、このプレート4が回転する周方向に沿って延びる長溝3を軸部9が摺動することによるものなので、円滑な拡縮径を図ることが可能である。
【0042】
さらに、本実施形態では、こうしてビットヘッド7を周方向に係止して径方向に案内する凹所6の壁面6Bに、さらに径方向に延びる溝部6Cが形成されてビットヘッド7の凸部7Bと嵌合させられており、一層確実にビットヘッド7を径方向に案内して拡縮径させることができる。なお、これら溝部と凸部は、本実施形態とは逆に、凹所6に凸部が、ビットヘッド7に溝部が設けられたものでもよく、また溝部と凸部のいずれか一方は、ビットヘッド7が拡縮径する範囲で互いに嵌合可能な状態を維持することができれば、部分的に形成されていてもよい。
【0043】
さらにまた、本実施形態では、これら溝部6Cと凸部7Bとが、軸線Oに垂直な平面に沿って凹凸して嵌合するように形成されているとともに、ビットヘッド7から突出した軸部9はピン10によって軸線O方向に係止された状態で長溝3に摺動可能に収容されている。すなわち、ビットヘッド7および軸部9はピン10によって軸線O方向先端側に抜け止めされるとともに、プレート4は溝部6Cと凸部7Bとの嵌合によりこのビットヘッド7を介して先端側に抜け止めされることになる。
【0044】
従って、本実施形態のように工具本体1の先端面に突出する回転軸1Bが小径であって、この回転軸1Bに軸部9と同様の環状溝を形成するとともにプレート4の止まり孔4Cにはピンを挿通することによりプレート4を回転可能かつ軸線O方向先端側に抜け止めするようなことが困難な場合や、回転軸1Bを設けるスペースを確保すること自体が不可能な場合でも、プレート4が工具本体1の先端部から脱落してしまうような事態を防ぐことができる。また、本実施形態ではこうしてプレート4を抜け止めするビットヘッド7および軸部9が複数設けられているので、たとえ一部のビットヘッド7の凸部7Bや一部の軸部9に破損が生じたりしても、残りのビットヘッド7および軸部9によってプレート4を保持することができる。
【0045】
しかも、本実施形態では軸部9は、凹所6にビットヘッド7を収容してプレート4を工具本体1先端部に取り付けた上で、上述のようにプレート4の円形孔4Bとビットヘッド7の貫通孔7Cの中心線を一致させるとともに、この中心線を長溝3の中心線L上に位置決めした状態で、円形孔4Bから貫通孔7Cを通して長溝3に挿入されてピン10により係止されているが、こうして軸部9を挿入することが可能な位置決め状態での円形孔4Bの位置は、円形孔4Bの中心が位置する上記1つの円周の半径が上述のように長溝3の中心線Lが接する上記1つの円の半径よりも大きく、かつ長溝3の上記溝端部3Aの中心までの距離よりは小さくされているため、拡径時に軸部9が溝端部3Aにある位置や、縮径時に軸部が溝端部3Bにある位置とはずらされることになる。
【0046】
従って、これに伴い円形孔4Bが開口する位置は、軸部9が溝端部3Aにあって拡径した状態のビットヘッド7の貫通孔7Cの位置や、軸部9が溝端部3Bにあって縮径した状態のビットヘッド7の貫通孔7Cの位置ともずらされることになり、例えば拡径時には図1(b)に示すように貫通孔7Cの先端側にプレート4の凹所6の底面6Aが覆い被さることになって、この底面6Aによって軸部9が先端側に抜け止めされた状態となる。このため、たとえ縦掘掘削時にピン10が抜け外れたり軸部9が環状溝9Cの位置で折損したりしても、軸部9が先端側に抜け外れてしまってビットヘッド7が脱落するようなこともなく、掘削を続行することが可能となる。
【0047】
ただし、プレート4のこの円形孔4Bの位置にはチップ5を植設することができないために掘削が行われないので、例えば軸部9を取り付けた後に円形孔4Bを円板状の蓋で封止し、さらにこの蓋の先端側を向く面にチップを植設したりしてもよい。また、本実施形態では軸部9はビットヘッド7と別体とされているが一体に形成してもよく、この場合にはプレート4に円形孔4Bを形成する必要もない。
【0048】
次に、図6ないし図10は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、第1の実施形態と共通する構成要素には同一の符号を配して説明を簡略化する。なお、これら図6ないし図10では、ケーシングパイプ2およびケーシングトップ2Aや排出溝1C、4Aなどは図示を略してある。
【0049】
この第2の実施形態では、まず、プレート4に回転軸4Dが設けられていて、この回転軸4Dが工具本体1に回転可能に抜け止めされて取り付けられている。また、軸部9もビットヘッド7に一体に形成されているとともに、このビットヘッド7を収容する凹所6は工具本体1の先端面に形成されており、長溝3はプレート4の後端面に形成されている。さらに、凹所6とビットヘッド7には、第1の実施形態のように軸線Oに垂直な平面に沿って凹凸して互いに嵌合する溝部6Cや凸部7Bは形成されていない。
【0050】
すなわち、本実施形態では、プレート4の後端面に、第1の実施形態の回転軸1Bよりも大径の円柱軸状の回転軸4Dが軸線Oに沿って後端側に突出するように一体に形成されており、この回転軸4Dの後端側の外周面には断面U字状をなす環状溝4Eが形成されている。一方、工具本体1の先端面には、この回転軸4Dが回転可能に嵌合させられる軸線Oを中心とした断面円形の取付孔1Dが形成されている。
【0051】
さらに、この取付孔1Dに回転軸4Dを挿入してプレート4の後端面を工具本体1の先端面に当接させた状態において、軸線O方向に環状溝4Eと等しい位置には、軸線Oに垂直な平面に沿って取付孔1Dがなす円の接線方向に延びる一対のピン孔1Eが、工具本体1の外周面の互いに反対側から平行に穿設されて該取付孔1Dの内周面に開口させられている。従って、このように回転軸4Dを取付孔1Dに挿入した上でピン孔1Eにピン11を挿入して固定することにより、プレート4は軸線O方向先端側に係止されて抜け止めされ、軸線O回りの回転だけが許容される。
【0052】
また、工具本体1の先端面には、取付孔1Dの周りにビットヘッド7が取り付けられる凹所6が形成されている。ここで、本実施形態では、工具本体1に6つのビットヘッド7が取り付けられるようにされており、従って凹所6も周方向に等間隔に6つ形成されている。なお、本実施形態では、個々のビットヘッド7および凹所6は第1の実施形態よりも小さくされており、これにより工具本体1の先端面には、大径の回転軸4Dを挿入可能な上記取付孔1Dを形成するスペースが確保されている。
【0053】
本実施形態のビットヘッド7は、図10に示すように略直方体形のブロック状に形成され、ただし工具本体1に取り付けられた状態で外周側に向けられる側面7Dは、第1の実施形態と同様にプレート4や工具本体1先端部の外径(半径)と略等しい半径の円弧面状とされている。そして、この側面7Dに交差して先端側に向けられる端面の略中央部には軸部9が円柱状をなして軸線Oに平行に突出するようにビットヘッド7と一体に形成されるとともに、これとは反対の後端側に向けられる端面の略中央部にも、軸部9と同軸に突出する円柱状の取付軸7Eがビットヘッド7と一体に形成されている。
【0054】
このようなビットヘッド7が収容される凹所6は、軸線Oに垂直とされて本実施形態では先端側を向く底面6Aと、この底面6Aから工具本体1の先端面に向けて軸線Oに平行に延びる工具本体1の外周側、回転方向T側、およびその反対側を向く3つの壁面6Bとにより構成されて、軸線O方向先端側から見たときには外周面に開口する「コ」字状に、また外周側から見たときにも先端面に開口する「コ」字状に形成されている。また、底面6Aの周方向中央部には、ビットヘッド7の上記取付軸7Eを摺動可能に収容する取付溝6Dが、先端側からみて図8(a)に示すように軸線Oに対する径方向に延びる長円状に形成されている。
【0055】
一方、上記プレート4の後端面には、上記回転軸4Dの周りに、凹所6およびビットヘッド7と同数の、上記軸部9を摺動可能に収容する長溝3が周方向に延びるように等間隔に形成されており、これらの長溝3も図9(a)に示すように第1の実施形態と同様に、掘削時の回転方向Tの反対側の溝端部3Aが最も径方向外周側に位置するようにされている。なお、本実施形態では、この溝端部3Aとは反対の回転方向T側の溝端部3Bが、軸線Oに対する径方向の最も内周側に位置するようにされている。また、プレート4の先端面には第1の実施形態のような円形孔4Bは形成されておらず、この先端面外周のゲージ部から内周部の全体に亙ってチップ5が植設されている。
【0056】
このような第2の実施形態の掘削工具は、取付溝6Dに取付軸7Eを挿入して各凹所6にビットヘッド7をそれぞれ収容した上で、これらのビットヘッド7の軸部9を長溝3に収容しつつ回転軸4Dを取付孔1Dに挿入してプレート4を工具本体1の先端部に取り付け、次いでピン孔1Eにピン11を挿入して固定することにより、プレート4が回転可能に係止されて軸線O方向先端側に抜け止めされ、これに伴い各ビットヘッド7も抜け止めされて組み立てられる。このとき、ビットヘッド7は、上記側面7Dに交差して周方向を向く側面が凹所6の回転方向T側とその反対側を向く壁面6Bに摺接し、また取付軸7Eが取付溝6Dに摺動可能に収容されることで、周方向に係止されて径方向に案内されつつ出没可能とされる。
【0057】
そして、プレート4が回転方向Tに回転させられた状態では、図7に示すように軸部9が長溝3の回転方向T側の溝端部3Bに位置するのに伴い、ビットヘッド7は凹所6の内周側に引き込まれて没入させられ、この状態から掘削時に工具本体1に回転方向Tに向けての回転力が与えられてプレート4が相対的に回転方向Tの反対側に回転させられると、図6に示すように軸部9が長溝3に沿って溝端部3Aに摺動するのに伴い、ビットヘッド7は径方向外周側に突出する。
【0058】
従って、この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にプレート4の回転によってビットヘッド7の確実な拡縮径を促すことができ、外部からの衝撃や横掘時の重力によってビットヘッド7が不用意に拡縮径するのを防止して安定した掘削を図ることが可能となる。また、ビットヘッド7が拡縮径する径方向と長溝3が形成された方向とはある程度の角度をもって交差するので、円滑な拡縮径を図る一方で不用意な拡縮径は一層確実に防止することができる。
【0059】
さらに、この第2の実施形態においては、プレート4が工具本体1の先端部に回転軸4Dを介して直接的に回転可能に取り付けられて抜け止めされているため、プレート4の取付剛性を向上させることができる。また、第1の実施形態のようにプレート4にビットヘッド7を取り付けるための円形孔Bを明けたりする必要がなく、従ってプレート4の先端面全体にチップ5を植設することができるので、掘削効率の向上を図ることもできる。
【0060】
その一方で、ビットヘッド7はこのプレート4によって先端側に抜け止めされているので、第1の実施形態のように抜け止めのためにビットヘッド7の軸部9に環状溝9Cを形成して長溝3に挿入されたピン10に係止させたりする必要はない。このため、個々のビットヘッド7が第1の実施形態より小さなものであって、軸部9の径が小さくならざるを得なくても、環状溝9Cから軸部9が折損するような事態を防止して、一層円滑な掘削を促すことが可能となる。なお、こうしてビットヘッド7が小さくされていても、この第2の実施形態ではその分多くのビットヘッド7を配設することができるので、拡径したビットヘッド7による掘削効率が損なわれることはない。
【符号の説明】
【0061】
1 工具本体
2 ケーシングパイプ
3 長溝
3A 長溝3における掘削時の工具本体1の回転方向Tとは反対側の溝端部
4 プレート
5、8 チップ
6 凹所
6C 溝部
7 ビットヘッド
7B 凸部
9 軸部
10、11 ピン
O 工具本体1の軸線
T 掘削時の工具本体1の回転方向
L 長溝3の溝幅の中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転させられる工具本体の先端部に、上記軸線を中心とする円盤状のプレートが該軸線回りに回転可能に取り付けられるとともに、これらプレートと工具本体との間には、上記軸線に対する径方向に出没可能なビットヘッドが介装されていて、上記プレートが上記工具本体に対して掘削時の上記工具本体の回転方向とは反対側に回転させられたときには上記ビットヘッドが径方向外周側に突出させられ、上記プレートが上記工具本体に対して掘削時の上記工具本体の回転方向に回転させられたときには上記ビットヘッドが径方向内周側に没入させられることを特徴とする掘削工具。
【請求項2】
上記ビットヘッドには上記軸線方向に突出する軸部が設けられており、上記プレートと上記工具本体とのうちの一方には、上記軸部を摺動可能に収容する長溝が周方向に延びるように形成されていて、この長溝は掘削時の上記工具本体の回転方向とは反対側の溝端部が最も上記軸線に対する径方向外周側に位置させられているとともに、上記ビットヘッドは、上記プレートと上記工具本体とのうちの他方に形成された凹所に周方向に係止されて収容され、上記軸線に対する径方向に案内されつつ出没可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の掘削工具。
【請求項3】
上記ビットヘッドと上記凹所とには、上記軸線に垂直な平面に沿って凹凸する互いに嵌合可能な溝部と凸部とがそれぞれ形成されるとともに、上記軸部は上記軸線方向に係止されて上記長溝に摺動可能に収容されていて、上記プレートは、上記ビットヘッドと上記軸部とを介して上記軸線方向先端側に抜け止めされて上記工具本体の先端部に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の掘削工具。
【請求項4】
上記プレートは、上記軸線に沿って延びる上記軸線方向に係止された回転軸を介して上記工具本体の先端部に上記軸線方向先端側に抜け止めされて取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掘削工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−226177(P2011−226177A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97811(P2010−97811)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】