説明

掘削機

【課題】岩盤を長時間切削してもカッタービットの偏磨耗を防ぐことができる掘削機を提供する。
【解決手段】掘削機1は、筒状の胴体の先端にカッター面板3が設けられている。カッター面板3の先端面3aは球面状に形成されている。先端面3aには、多数のカッタービット4が中心3bから放射状に設けられている。カッタービット4は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸43とを備えている。ビット本体41は略円錐状に形成されている。また、先端面3aには、各カッタービット4に対応して凹部31が設けられており、凹部31内には軸受け5が設けられている。この軸受け5は、回転軸43を先端面3aを通る法線A上で回転可能に支持するものである。これにより回転軸43は、カッター面板3の回転を利用して回転するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路や鉄道トンネルの掘削、鉱山の坑道掘削に使用されている掘削機には、ディスクカッターを備えた掘削機(特許文献1参照)や、ローラーカッターを備えた掘削機(特許文献2参照)が知られている。
【0003】
ディスクカッターを備えた掘削機は、筒状の胴体(スキンプレート)の先端にカッターヘッドが設けられ、このカッターヘッドが回転駆動して岩盤を掘削する。カッターヘッドの先端面には複数のディスクカッターが取り付けられている。このカッターヘッドの先端面の少なくとも中央部は平面状に形成されており、中心から放射状に複数のディスクカッターが設けられている。いわゆるTBMと呼ばれているトンネル掘削機である(特許文献1参照)。
【0004】
またローラーカッターを備えた掘削機は、ディスクカッターを備えた掘削機と同様に筒状の胴体の先端にカッターヘッドが設けられ、このカッターヘッドの先端面には中心から同心円状に複数の略円錐状のローラーカッターが設けられている。ローラーカッターは回転可能であり、その表面には岩盤を切削するため超硬材製(タングステンカーバイトなど)の突起が多数植設してある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−32482号公報
【特許文献2】特開平4−272386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ディスクカッターを備えた掘削機の場合には、ディスクカッター自体のサイズが大きいため、カッターヘッドの先端面の中央部に配置されているディスクカッターは上手く岩盤面を押しながら回転することができず、切削を上手く行うことができない。
【0007】
また、ローラーカッターを備えた掘削機の場合には、ローラーカッターの表面には岩盤を切削するための超硬材製の突起が多数植設してあり、これらの超硬材製の突起はディスクカッターに比べてサイズが小さいために切削は上手く行うことができる。しかし、切削時には超硬材製の突起の周面が岩盤に偏って接触するので、長時間切削すると偏磨耗してしまう問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、岩盤を長時間切削してもカッタービットの偏磨耗を防ぐことができる掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の掘削機は、
筒状の胴体の先端にカッターヘッドが設けられ、このカッターヘッドの先端面の少なくとも中央部が球面状に形成され、当該少なくとも中央部には多数のカッタービットが中心から放射状に設けられている掘削機であって、
各カッタービットは、略円錐状のビット本体と、このビット本体の基端に鍔部を介して一端が結合して前記カッターヘッドの回転を利用して回転する回転軸とを備え、
少なくとも前記カッターヘッドには、前記各カッタービットの回転軸を前記先端面を通る法線上で回転可能に支持する軸受けが設けられていることを特徴とする。
【0010】
ここで、軸受けは、カッターヘッドの先端面に各カッタービットに対応して設けられた凹部に嵌めこまれ、回転軸を挿入させて鍔部を係止させるハウジングと、このハウジング内で回転軸を挿通する環状に形成されて回転軸を法線上で回転可能に支持するローラーベアリングとを備えるものが好ましい。
【0011】
さらに、軸受けは、ハウジング内の下部に配置されて回転軸を支持する下側支持部材を備えることが好ましい。さらに、軸受けは、ハウジング内の上部に配置されて鍔部を支持する上側支持部材をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、ローラーベアリングを構成する複数のベアリングローラーを、ビット本体の周面の傾斜角度と同じ傾斜角度で傾斜して配置することが好ましい。
【0013】
また、回転軸の軸受けからの抜けを抑える抜け止め手段を備えても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の掘削機では、カッタービットのビット本体に回転軸を設け、この回転軸を軸受けにより法線上で回転可能に支持するようにした。これにより切削時には、カッタービット自体が回転してビット本体の周面全体を岩盤に接触させることが可能になるので、ビット本体の周面と岩盤との接触に偏りが生じるのを抑えることができる。よって、岩盤を長時間切削してもカッタービットの偏磨耗を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す掘削機の側面図である。
【図2】同実施の形態のカッタービットとその周りの部分の断面図である。
【図3】同実施の形態の切削時のカッタービットを示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のカッタービットとその周りの部分の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態のカッタービットとその周りの部分の断面図である。
【図6】(a)はローラービットと本発明のカッタービットを備えた掘削機の正面図、(b)はその掘削機の側面図である。
【図7】従来の掘削機に本発明のカッタービットが設けられた状態を示す側面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態のカッタービットとその周りの部分の断面図である。
【図9】図8の分解図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態のカッタービットとその周りの部分の断面図である。
【図11】図10の分解図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態のカッタービットとその周りの部分の断面図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態のカッタービットとその周りの部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す掘削機1の側面図である。掘削機1は、筒状の胴体2の先端にカッター面板3(カッターヘッド)が設けられている。カッター面板3の先端面3aは全体にわたって球面状に形成されている。この先端面3aには、多数のカッタービット4が先端面3aの中心3bから放射状に設けられている。
【0018】
図2は、カッタービット4とその周りの部分の断面図である。カッタービット4は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸43とを備えている。
【0019】
ビット本体41は全体的に略円錐状に形成されている。このビット本体41は、シャンク材411と、シャンク材411の先端に設けられた硬度チップ412とを備えている。
【0020】
シャンク材411は、周面41aの上部に複数の溝41bが周方向に間隔を置いて設けられている。各溝411bには、補強チップ413が周面41aと面一になるように埋め込まれている。補強チップ413はシャンク材411よりも硬い材質で形成されている。また、硬度チップ412は円錐状に形成されており、礫層のような硬い岩盤でも切削可能な材質で形成されている。
【0021】
カッター面板3の先端面3aには、各カッタービット4に対応して多数の凹部31が設けられている。凹部31は断面ハット状に形成されており、凹部31内には軸受け5が設けられている。この軸受け5は、回転軸43を先端面3aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。これにより、回転軸43は、カッター面板3の回転を利用して回転するようになっている。
【0022】
また、この軸受け5は、凹部31内に嵌めこまれたハウジング51と、ハウジング51内に設けられたローラーベアリング52および複数の球体53、54とを備えている。
【0023】
ハウジング51は断面ハット状に形成されており、内部に回転軸43の設置空間51sを有している。この設置空間51sは、カッタービット4の回転軸43を挿入させて鍔部42をハウジング51に係止させるように形成されている。
【0024】
また、ハウジング51は、底壁511と、側壁512とを備えており、側壁512の上端部の周りには鍔状の取付部513が結合されている。
【0025】
底壁511の内面の中間部分には突起511aが設けられている。この突起511aの周囲には回転軸43との間に下部空間53s,53sが形成されている。この下部空間53s,53s内には、それぞれ複数の下部球体53(下側支持部材)が並べられて配置されて回転軸43を支持している。
【0026】
側壁512の内周面51aの中間部分には、環状のベアリング用凹部512aが全周にわたって設けられている。このベアリング用凹部512a内にはローラーベアリング52が嵌め込まれて配置されている。このローラーベアリング52は、回転軸43を挿通させるように環状に形成されており、内周面には全周にわたって複数のベアリングローラー52aが設けられている。複数のベアリングローラー52aは左右方向に回転し、ローラーベアリング52は、この複数のベアリングローラー52aを利用して回転軸43を法線A上で回転可能に支持している。
【0027】
取付部513は、ボルト等の固定部材(図示せず)で凹部31に固定されており、鍔部42を係止させている。これにより、側壁512の上端と鍔部42との間には上部空間54sが形成されている。この上部空間54s内には、複数の上部球体54(上側支持部材)が挟まれるように配置されており、これらの上部球体54はこの状態で鍔部42を支持している。
【0028】
さらに上部空間54s内には、複数の上部球体54よりも外側にシール材55が全周にわたって設けられている。このシール材55は、鍔部42とハウジング51の内面51aとの間を塞ぐものであり、例えばラビリンスシール等が使用される。このシール材55により、ハウジング51内においてシール材55よりも内側は密閉された空間51saとなっている。この空間51sa内にはグリース(図示せず)が充填されている。
【0029】
以上のように構成されている掘削機1において、掘削時にはその内部に備える駆動装置(図示せず)によってカッター面板3が掘削機の中心線CL(図1参照)で回転する。カッター面板3が回転することにより、図3に示すように各カッタービット4は岩盤100を切削する。このときに各カッタービット4は回転するので、ビット本体41の周面41a全体を岩盤100に接触させることが可能になり、従来のように周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑えることができる。よって、本実施の形態の掘削機1は、岩盤100を長時間切削してもカッタービット4の偏磨耗を防ぐことができる。
【0030】
また、本実施の形態の掘削機1では、軸受け5が、カッター面板3の内部に設けられたハウジング51と、ハウジング51内に設けられたローラーベアリング52とを備えている。つまり、軸受け5はカッター面板3の先端面3aから内部に設けられる。これにより、軸受け5は掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなるので、各カッタービット4は安定して回転することが可能になる。したがって、ビット本体41の周面41a全体を岩盤100に安定して接触させることができ、カッタービット4の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
【0031】
また、軸受け5は、ハウジング51内の下部に回転軸43を支持する複数の下部球体53を備えている。これにより、各カッタービット4は安定して回転することが可能になる。したがって、掘削時にビット本体41の周面41a全体を岩盤100に確実に接触させることができ、カッタービット4の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0032】
さらに、軸受け5は、ハウジング51内の上部に鍔部42を支持する複数の上部球体54を備えている。これにより、各カッタービット4は安定して回転することが可能になる。したがって、掘削時にビット本体41の周面41a全体を岩盤100により確実に接触させることができ、カッタービット4の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0033】
加えて、カッター面板3の回転によりカッタービット4が自転することによって、硬度チップ412が全周に確実に接触しながら切削することによって、カッタービット4の超硬チップは常に研がれ、常に鋭利な状態で掘進出来る機能を持つものである。
【0034】
また、本実施の形態の掘削機1では、ハウジング51内の上部に、鍔部42とハウジング51の内面51aとの間を塞ぐシール材55を設けたので、ハウジング51内(回転軸43の設置空間51s)に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット4はさらに安定して回転することが可能になるので、カッタービット4の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0035】
さらに、本実施の形態の掘削機1では、ハウジング51内でシール材55により密閉された空間51saにグリースを充填したので、ハウジング51内に土砂が入り込むのを確実に防ぐことができ、且つ、軸受け5の過熱も防ぐことができる。このため、カッタービット4はさらに安定して回転することが可能になる。したがって、掘削時にビット本体41の周面41a全体を岩盤100により確実に接触させることができ、カッタービット4の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0036】
また、本実施の形態の掘削機1では、カッタービット4のシャンク材411の周面41aに補強チップ413を設けた。これにより、岩盤100の切削に伴うシャンク材411の磨耗を防止することができ、カッタービット4の耐久性を高めることができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態を示す掘削機101のカッタービット104とその周りの部分の断面図である。なお、図4において第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0038】
カッタービット104は、ビット本体141と、ビット本体141の基端に鍔部142を介して一端が結合した回転軸143とを備えている。
【0039】
ビット本体141は全体的に略円錐状に形成されている。回転軸143は下方へ向いたテーパー状に形成されており、カッター面板3の回転を利用して回転する。
【0040】
カッター面板3の凹部31内には軸受け105が設けられている。この軸受け105は、回転軸143を先端面3aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。また、この軸受け105は、凹部31内に嵌めこまれたハウジング151と、ハウジング151内に設けられたローラーベアリング152および球体153とを備えている。
【0041】
ハウジング151は断面ハット状に形成されており、内部に回転軸143の設置空間151sを有している。この設置空間151sは、断面が下方へ向いたテーパー状に形成されており、カッタービット104の回転軸143を挿入させて鍔部142をハウジング151に係止させている。
【0042】
また、ハウジング151は、底壁1511と、側壁1512とを備えており、側壁1512の上端部の周りには鍔状の取付部1513が結合されている。
【0043】
底壁1511には凹部1511aが設けられている。この凹部1511aは断面半円状に形成されている。凹部1511a内には、下部球体153(下側支持部材)が、凹部1511aと回転軸143とに挟まれて配置されて回転軸143を支持している。
【0044】
側壁1512の内周面151aは下方へ向いたテーパー状に形成されている。内周面151aの中間部分には、環状のベアリング用凹部1512aが全周にわたって設けられている。このベアリング用凹部1512a内にはローラーベアリング152が嵌め込まれて配置されている。
【0045】
このローラーベアリング152は、回転軸43を挿通させるように環状に形成されており、内周面には全周にわたって複数のベアリングローラー152aが設けられている。複数のベアリングローラー152aは左右方向に回転する。ローラーベアリング152は、この複数のベアリングローラー152aを利用して回転軸143を法線A上で回転可能に支持している。また、複数のベアリングローラー152aは、ビット本体141の周面141aの傾斜角度B1と同じ傾斜角度B2で傾斜して配置されている。
【0046】
取付部1513は、ボルト等の固定部材(図示せず)で凹部31に固定されている。これにより、側壁1512の上端と鍔部142との間には上部空間154sが形成されている。この上部空間154s内には、シール材155が全周にわたって設けられている。このシール材155は、鍔部142とハウジング151の内面151aとの間を塞ぐものである。このシール材155により、ハウジング151内においてシール材155よりも内側は密閉された空間151saとなっている。この空間151sa内にはグリース(図示せず)が充填されている。
【0047】
以上のように構成されている掘削機101において、掘削時にカッター面板3が回転すると各カッタービット104は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット104は回転するので、ビット本体141の周面141a全体を岩盤100に接触させることが可能になり、従来のように周面141aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑えることができる。よって、本実施の形態の掘削機101は、岩盤100を長時間切削してもカッタービット104の偏磨耗を防ぐことができる。
【0048】
また、本実施の形態の掘削機101において、軸受け105は、第1の実施の形態の掘削機1と同様に、ハウジング151とローラーベアリング152とを備えている。つまり軸受け105はカッター面板3の内部に設けられるので、軸受け105は掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット104は安定して回転することができ、ビット本体141の周面141a全体を岩盤100に安定して接触させて、カッタービット104の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
【0049】
また、軸受け105は、ハウジング151内の下部に回転軸143を支持する下部球体153を備えている。これにより、各カッタービット104は安定して回転することが可能になるので、掘削時にビット本体141の周面141a全体を岩盤100に確実に接触させることができ、カッタービット104の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0050】
また、本実施の形態の掘削機101では、ハウジング151内の上部に、鍔部142とハウジング151の内面151aとの間を塞ぐシール材155を設けたので、ハウジング151内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット104はさらに安定して回転することが可能になるので、カッタービット104の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0051】
また、本実施の形態の掘削機101では、ベアリングローラー152aを、ビット本体141の周面141aの傾斜角度B1と同じ傾斜角度B2で傾斜して配置した。これによりベアリングローラー152aは、切削時にはビット本体141の周面141aにかかる外力Fを全体で受け止めながら回転するため、ベアリングローラー152aの回転に支障が生じるのを防ぐことができる。これにより、各カッタービット104はさらに安定して回転することができ、カッタービット104の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0052】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態の掘削機201のカッタービット104とその周りの部分の断面図である。なお、図5において第2の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0053】
本実施の形態では、筒状の胴体202の先端に設けられたカッター面板203に凹部231が設けられており、この凹部231内には軸受け205が設けられている。この軸受け205は、カッタービット104の回転軸143を先端面203aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。
【0054】
また、この軸受け205は、凹部231内に嵌めこまれたハウジング251と、ハウジング251内に設けられたローラーベアリング152および球体153とを備えている。
【0055】
ハウジング251は断面ハット状に形成され、内部に回転軸143の設置空間151sを有している。また、ハウジング251は、底壁1511と、側壁1512とを備えており、側壁1512の上端部の周りには鍔状の取付部2513が結合されている。
【0056】
取付部2513は、ボルト等の固定部材(図示せず)でカッター面板203(カッターヘッド)の内面203bに固定されている。この内面203bには凹部203cが形成されており、この凹部203c内にはシール材255が配置されている。
【0057】
以上のように構成されている本実施の形態の掘削機201は、掘削時にカッター面板203が回転すると、各カッタービット104は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット104は回転するので、ビット本体141の周面141a全体を岩盤100に接触させることが可能になり、従来のように周面141aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑えることができる。よって、本実施の形態の掘削機201は、岩盤100を長時間切削してもカッタービット104の偏磨耗を防ぐことができる。
【0058】
また、本実施の形態の掘削機201は、ハウジング251をカッター面板203の内側に固定したので、上記の各実施の形態のハウジングに比べて、掘削時の衝撃等に伴うハウジング251の抜けを防ぐことができる。
【0059】
また、上記の実施の形態では、カッター面板の先端面全体に本発明のカッタービットおよび軸受けを設けた場合の構成を説明したが、カッタービットと軸受けは少なくともカッター面板の先端面において中央部に設ければ良い。図6の(a)と(b)を用いて説明する。掘削機301において、カッター面板303の先端面303aの中央部303bは球面状に形成されている。この中央部303bに上記の実施の形態で説明したカッタービットと軸受けを多数設ける。図6では、第1の実施の形態のカッタービット4と軸受け5(図示せず)を設けた例を示す。なお、中央部303bの周りにはローラービット320、321を設けても良い。
【0060】
また、図7に示すように、従来のドーム型掘削機(TBM)401のカッター面板403の先端面403aに上記の実施の形態で説明したカッタービットと軸受けを多数設けても良い。ここで、従来の先端面403aでは最外周部が球面状に形成され、それ以外の部分が平面状に形成されており、最外周部に例えば第1の実施の形態のカッタービット4と軸受け5(図示せず)を設ける。また、各軸受け5は、各カッタービット4の回転軸を先端面403aの外周曲線403bを通る法線A上で回転可能に支持するように設定する。なお、図示しないが、最外周部以外の部分に従来のカッタービットを設ける。
【0061】
(第4の実施の形態)
図8は、本発明の第4の実施の形態の掘削機501のカッタービット504とその周りの部分の断面図である。図9は図8の分解図である。図8と図9において第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0062】
カッタービット504は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸543とを備えている。この回転軸543はカッター面板3の回転を利用して回転する。この回転軸543の下面にはネジ孔543aが形成されている。
【0063】
回転軸543の下面には抜け止め部材544(抜け止め手段)が結合されている。この抜け止め部材544は逆ネジ型に形成され、頭部5441と、頭部5441の基端から上方に突出して設けられたネジ部5442とを備えている。頭部5441は断面略台形状に形成されている。頭部5441の上部側面5441aは上方へ向けてテーパ状に形成されている。ネジ部5442は、回転軸543のネジ孔543aに挿入されて螺合している。
【0064】
カッター面板3の凹部31内には軸受け505が設けられている。この軸受け505は、回転軸543を先端面3aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。また、この軸受け505は、凹部31内に嵌めこまれたハウジング551と、ハウジング551内に設けられたローラーベアリング52、複数の下部球体530、540、複数のシール材55を備えている。
【0065】
ハウジング551は断面ハット状に形成されている。このハウジング551は、図9に示すように上下二つに分割された上側部材552と下側部材553とが結合して形成されている。
【0066】
上側部材552は下面が開口した断面ハット状に形成されており、側壁5521と、側壁5521の上端部の周りに結合された鍔状の取付部5522とを備えている。
【0067】
側壁5521の内周面5521aの中間部分にはベアリング用凹部512aが設けられ、このベアリング用凹部512a内にはローラーベアリング52が嵌め込まれて配置されている。ローラーベアリング52は、複数のベアリングローラー52aを利用して回転軸543を法線A上で回転可能に支持している。
【0068】
内周面5521aの下周縁部5521bは上方に向けてテーパー状に形成されている。この周縁部5521bには、全周にわたって凹部5521cが設けられている。この凹部5521cには複数の下部球体530が保持されている。この複数の下部球体530は、抜け止め部材544の頭部5441の上部側面5441aに当接している。
【0069】
したがって抜け止め部材544は、複数の下部球体530を介して上側部材552の下周縁部5521bに係止されている。抜け止め部材544が上側部材552に係止されていることにより、回転軸543は軸受け505からの抜けが抑えられている。
【0070】
取付部5522は、第1の実施の形態の取付部513と同じものである。側壁5521と鍔部42との間に形成されている上部空間54s内には、複数のシール材55が全周にわたって設けられている。このシール材55により、ハウジング551内においてシール材55よりも内側は密閉された空間551saとなっている。この空間551sa内には回転軸543が挿入されて鍔部42が上側部材552の上面に係止され、さらにグリース(図示せず)が充填されている。
【0071】
下側部材553はハウジング551の底壁を構成している。この下側部材553は凹型状に形成され、内部には抜け止め部材544の頭部5441が収容されている。下側部材553の内上面553aには複数の凹部553bが設けられている。各凹部553aには下部球体540が保持されている。これらの下部球体540は抜け止め部材544の頭部5441の先端に当接している。これにより回転軸543は、抜け止め部材544を介して複数の下部球体530、540に支持されている。
【0072】
以上のように構成されている掘削機501において、掘削時にカッター面板3が回転すると、各カッタービット504は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット504は回転するので、周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑え、岩盤100を長時間切削してもカッタービット504の偏磨耗を防ぐことができる。
【0073】
また、軸受け505はカッター面板3の内部に設けられるので、掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット504は安定して回転でき、カッタービット504の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
【0074】
また、軸受け505は、ハウジング551内の下部に回転軸543を支持する下部球体530、540を備えている。これにより、各カッタービット504はさらに安定して回転することができ、カッタービット504の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0075】
また、ハウジング551内の上部にシール材55を設けたので、ハウジング551内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット504はさらに安定して回転でき、カッタービット504の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0076】
また、シール材55は、掘削機501が地山を切削しているときに切羽から受ける土圧によりカッタービット504の基端(底面)に押さえつけられ、そのときの反発力を利用して鍔部42とハウジング551の内面5521aとの間を塞いでいる。
【0077】
しかしながら、切削停止時等、切羽から受ける土圧が低い場合には、カッタービット504が切羽の方に移動してカッタービット504がシール材55を押さえつける力(押圧力)が低下するため、シール材55は十分な反発力を得ることができない。
【0078】
そこで、本実施の形態では、抜け止め部材544を利用して回転軸543の抜けを抑えることにより、カッタービット504の押圧力を維持してシール材55に十分な反発力を持たせることができる。よって、シール材55のシール機能の低下を防ぐことができる。また、その他には掘削機501の組立時等におけるカッタービット504の抜けを防ぐこともできる。
【0079】
さらに抜け止め部材544は、下部球体530、540により反力(抜け方向への移動力)が分散されるので、抜けをさらに抑えることができ、シール材55により十分な反発力を持たせることができる。よって、シール材55のシール機能を高めることができる。
【0080】
(第5の実施の形態)
図10は、本発明の第5の実施の形態の掘削機601のカッタービット604とその周りの部分の断面図である。図11は図10の分解図である。図10と図11において第1の実施の形態や第2の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0081】
カッタービット604は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸643とを備えている。この回転軸643は下方へ向いたテーパー状に形成されており、カッター面板603の回転を利用して回転する。この回転軸643の下面にはネジ孔643aが形成されている。
【0082】
回転軸643の下面には抜け止め部材644(抜け止め手段)が結合されている。この抜け止め部材644は逆ネジ型に形成され、頭部6441と、頭部6441の基端から上方に出して設けられたネジ部6442とを備えている。頭部6441は断面略三角形状に形成されている。頭部6441の上部側面6441aは上方へ向けてテーパー状に形成されている。ネジ部6442は、回転軸643のネジ孔643aに挿入されて螺合している。
【0083】
カッター面板603の先端面603aには凹部631が設けられており、凹部631内には軸受け605が設けられている。この軸受け605は、回転軸643を先端面603aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。また、この軸受け605は、凹部631内に嵌めこまれたハウジング651と、ハウジング651内に設けられたローラーベアリング152、複数の下部球体630、640、シール材155を備えている。
【0084】
ハウジング651は断面ハット状に形成されている。このハウジング651は、図11に示すように上下二つに分割された上側部材652と下側部材653とが結合して形成されている。
【0085】
上側部材652は下面が開口した断面ハット状に形成されており、側壁6521と、側壁6521の上端部の周りに結合された鍔状の取付部6522とを備えている。
【0086】
側壁6521の内周面6521aは第2の実施の形態の側壁1512の内周面151a(図4参照)と同様に下方へ向いたテーパー状に形成されている。内周面6521aの中間部分にはベアリング用凹部1512aが設けられ、このベアリング用凹部1512a内にはローラーベアリング152が嵌め込まれて配置されている。このローラーベアリング152は、複数のベアリングローラー152aにより回転軸643を法線A上で回転可能に支持している。
【0087】
内周面6521aの下周縁部6521bは上方へ向けてテーパー状に形成されている。この周縁部6521bには、全周にわたって凹部6521cが設けられている。この凹部6521cには複数の下部球体630が保持されている。この複数の下部球体630は、抜け止め部材644の頭部6441の上部側面6441aに当接している。
【0088】
したがって抜け止め部材644は、複数の下部球体630を介して上側部材652の下周縁部6521bに係止されている。このように抜け止め部材644が上側部材652に係止されていることにより、回転軸643は軸受け605からの抜けが抑えられている。
【0089】
取付部6522は、第3の実施の形態の取付部2513と同じものであり、ボルト等の固定部材(図示せず)でカッター面板603(カッターヘッド)の内面603bに固定されている。これにより、側壁6521と鍔部42との間にはシール材155が全周にわたって設けられている。このシール材155により、ハウジング651内においてシール材155よりも内側は密閉された空間651saとなっている。この空間651saは下方へ向けてテーパー状に形成されている。空間651sa内には回転軸643が挿入されて鍔部42が上側部材652の上面に係止されており、さらにグリース(図示せず)が充填されている。
【0090】
下側部材653はハウジング651の底壁を構成している。この下側部材653は凹型状に形成され、内部には抜け止め部材644の頭部6441が収容されている。下側部材653の内上面653aには複数の凹部653bが設けられている。各凹部653aには複数の球体640が保持されている。この複数の球体640は、抜け止め部材644の頭部6441の先端に当接している。これにより回転軸643は、抜け止め部材644を介して複数の下部球体630、640に支持されている。
【0091】
以上のように構成されている掘削機601において、掘削時にカッター面板603が回転すると各カッタービット604は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット604は回転するので、周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑え、岩盤100を長時間切削してもカッタービット604の偏磨耗を防ぐことができる。
【0092】
また、軸受け605はカッター面板603の内部に設けられるので、掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット604は安定して回転でき、カッタービット604の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
【0093】
また、ハウジング651内の上部にシール材155を設けたので、ハウジング651内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット604はさらに安定して回転でき、カッタービット604の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0094】
また、軸受け605は、ハウジング651内の下部に回転軸643を支持する下部球体630、640を備えている。これにより、各カッタービット604はさらに安定して回転でき、カッタービット604の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0095】
また、本実施の形態では、第4の実施の形態と同様、抜け止め部材644を利用して回転軸643の抜けを抑えている。したがって、切削停止時等、切羽から受ける土圧が低い場合でも、シール材155に対するカッタービット604の押圧力を維持してシール材155に十分な反発力を持たせることができ、シール機能の低下を防ぐことができる。その他には、掘削機601の組立時等におけるカッタービット604の抜けを防ぐこともできる。
【0096】
さらに抜け止め部材644は、下部球体630、640により反力(抜け方向への移動力)が分散されるので抜けをさらに抑えることができ、シール材155により十分な反発力を持たせることができる。よって、シール材155のシール機能を高めることができる。
【0097】
(第6の実施の形態)
図12は、本発明の第6の実施の形態の掘削機701のカッタービット704とその周りの部分の断面図である。図12において第1の実施の形態や第4の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0098】
カッタービット704は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸543とを備えている。
【0099】
カッター面板3の凹部31内には軸受け705が設けられている。この軸受け705は、回転軸543を先端面3aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。回転軸543はカッター面板3の回転を利用して回転するようになっている。また、この軸受け705は、凹部31内に嵌めこまれたハウジング751と、ハウジング751内に設けられたローラーベアリング52、複数の下部球体730、740、複数のシール材55を備えている。
【0100】
ハウジング751は断面ハット状に形成されている。内部の設置空間51sには、カッタービット704の回転軸543が挿入されて鍔部42がハウジング751に係止されている。また、このハウジング751は、底壁7511と、側壁512とを備えている。側壁512の上端部の周りには鍔状の取付部513が結合されている。
【0101】
側壁512の内周面51aの中間部分にはベアリング用凹部512aが設けられており、ベアリング用凹部512a内にはローラーベアリング52が嵌め込まれて配置されている。ローラーベアリング52は、複数のベアリングローラー52aを利用して回転軸543を法線A上で回転可能に支持している。
【0102】
底壁7511の内面には、回転軸543のネジ孔543aと対応して貫通孔7511aが設けられている。貫通孔7511aの周囲には複数の下部球体730が配置されている。この複数の下部球体730は回転軸543を支持している。底壁7511の底面には貫通孔7511aの周囲に凹部7511bが設けられている。各凹部7511bには下部球体740が保持されている。
【0103】
回転軸543の下面にはハウジング751を介して抜け止め部材744(抜け止め手段)が結合されている。この抜け止め部材744は逆ネジ型に形成され、頭部7441と、頭部7441の基端から上方に突出して設けられたネジ部7442とを備えている。このネジ部7442は、ハウジング751の貫通孔7511aを挿通して回転軸543のネジ孔543aに螺合されている。これにより回転軸543が軸受け705(ハウジング751)から抜けようとしても、抜け止め部材744はハウジング751の底面に係止されて抜けが抑えられている。
【0104】
以上のように構成されている掘削機701において、掘削時にカッター面板3が回転すると各カッタービット704は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット704は回転するので、周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑え、岩盤100を長時間切削してもカッタービット704の偏磨耗を防ぐことができる。
【0105】
また、軸受け705はカッター面板3の内部に設けられるので、掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット704は安定して回転でき、カッタービット704の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
【0106】
また、軸受け705は、ハウジング751内の下部に回転軸543を支持する下部球体730を備えているので、各カッタービット704はさらに安定して回転でき、カッタービット704の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0107】
また、ハウジング751内の上部にシール材55を設けたので、ハウジング751内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット704はさらに安定して回転でき、カッタービット704の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0108】
また、本実施の形態では、第4の実施の形態や第5の実施の形態と同様、抜け止め部材744を利用して回転軸743の抜けを抑えている。したがって、切削停止時等、切羽から受ける土圧が低い場合にも、シール材55に対するカッタービット704の押圧力を維持してシール材55に十分な反発力を持たせることができ、シール機能の低下を防ぐことができる。その他には、掘削機701の組立時等におけるカッタービット704の抜けを防ぐこともできる。
【0109】
また、抜け止め部材744は、下部球体740を介してハウジング751に当接しているので、反力(抜け方向への移動力)が分散され、抜けをさらに抑えることができる。したがって、シール材55により十分な反発力を持たせることができ、シール材55のシール機能を高めることができる。
【0110】
(第7の実施の形態)
図13は、本発明の第7の実施の形態の掘削機801のカッタービット804とその周りの部分の断面図である。図13において第1の実施の形態、第2の実施の形態、第5の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0111】
カッタービット804は、ビット本体41と、ビット本体41の基端に鍔部42を介して一端が結合した回転軸843とを備えている。この回転軸843は下方へ向いたテーパー状に形成されており、カッター面板603の回転を利用して回転する。この回転軸843の下面にはネジ孔843aが形成されている。
【0112】
カッター面板603の凹部631内には軸受け805が設けられている。この軸受け805は、回転軸843を先端面603aを通る法線Aに沿って回転可能に支持するものである。回転軸843はカッター面板603の回転を利用して回転するようになっている。また、この軸受け705は、凹部631内に嵌めこまれたハウジング851と、ハウジング851内に設けられたローラーベアリング152、複数の下部球体830、840、シール材155を備えている。
【0113】
ハウジング851は断面ハット状に形成されており、底壁8511と、側壁8512と、側壁8512の上端部の周りに結合された鍔状の取付部8513とを備えている。取付部8513は、第5の実施の形態の取付部6522(図10参照)と同じものである。
【0114】
側壁8512の内周面8512aは、第2の実施の形態の側壁1521の内周面1521a(図4参照)と同様に下方へ向いたテーパー状に形成されている。内周面8512aの中間部分にはベアリング用凹部1512aが設けられており、ベアリング用凹部1512a内にはローラーベアリング152が嵌め込まれて配置されている。ローラーベアリング152は、複数のベアリングローラー152aにより回転軸843を法線A上で回転可能に支持している。
【0115】
底壁8511には、回転軸843のネジ孔843aと対応して貫通孔8511aが形成されている。貫通孔8511aの周囲には複数の下部球体830が配置されている。この複数の下部球体830は回転軸843を支持している。底壁8511の底面には貫通孔8511aの周囲に凹部8511bが設けられている。各凹部8511bには複数の下部球体840が保持されている。
【0116】
回転軸843の下面にはハウジング851を介して抜け止め部材844(抜け止め手段)が結合されている。この抜け止め部材844は逆ネジ型に形成され、頭部8441と、頭部8441の基端から上方に突出して設けられたネジ部8442とを備えている。このネジ部8442は、ハウジング851の貫通孔8511aを挿通して回転軸843のネジ孔843aに螺合されている。これにより回転軸843が軸受け805(ハウジング851)から抜けようとしても、抜け止め部材844はハウジング851の底面に係止されて抜けが抑えられている。
【0117】
以上のように構成されている掘削機801において、掘削時にカッター面板603が回転すると各カッタービット804は岩盤100(図3参照)を切削する。このときに各カッタービット804は回転するので、周面41aと岩盤100との接触に偏りが生じるのを抑え、岩盤100を長時間切削してもカッタービット804の偏磨耗を防ぐことができる。
【0118】
また、軸受け805はカッター面板603の内部に設けられるので、掘削時に外部からの衝撃を受けにくくなる。したがって、各カッタービット804は安定して回転でき、カッタービット804の偏磨耗の防止効果を高めることができる。
【0119】
また、軸受け805は、ハウジング851内の下部に回転軸843を支持する下部球体830を備えているので、各カッタービット804はさらに安定して回転でき、カッタービット804の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0120】
また、ハウジング851内の上部にシール材155を設けたので、ハウジング851内に土砂が入り込むのを防ぐことができる。したがって、各カッタービット804はさらに安定して回転でき、カッタービット804の偏磨耗の防止効果をさらに高めることができる。
【0121】
また、本実施の形態では、第4の実施の形態〜第6の実施の形態と同様、抜け止め部材844を利用して回転軸843の抜けを抑えている。したがって、切削停止時等、切羽から受ける土圧が低い場合にも、シール材155に対するカッタービット804の押圧力を維持してシール材155に十分な反発力を持たせることができ、シール機能の低下を防ぐことができる。その他には、掘削機801の組立時等におけるカッタービット804の抜けを防ぐこともできる。
【0122】
また、抜け止め部材844は、下部球体840を介してハウジング851に当接しているので、反力(抜け方向への移動力)が分散され、抜けをさらに抑えることができる。したがって、シール材155により十分な反発力を持たせることができ、シール材155のシール機能を高めることができる。
【0123】
以上、本発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本発明の内容を限定するものではない。また、本発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0124】
例えば、実施の形態では、軸受けとしてローラーベアリングを適用したが、ボールベアリングを適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上説明したように本発明の掘削機は、岩盤を長時間切削してもカッタービットの偏磨耗を防ぐことができる。したがって、本発明の掘削機を、カッタービットを備えた掘削機の技術分野で十分に利用することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 掘削機
2 筒状の胴体(スキンプレート)
3 カッター面板(カッターヘッド)
3a カッター面板の先端面
3b 先端面aの中心
4 カッタービット
5 軸受け
31 凹部
41 ビット本体
41a ビット本体の周面
42 鍔部
43 回転軸
51 ハウジング
52 ローラーベアリング
52a ベアリングローラー
53 下部球体(下側支持部材)
54 上部球体(上側支持部材)
101 掘削機
104 カッタービット
105 軸受け
141 ビット本体
141a ビット本体の周面
142 鍔部
143 回転軸
151 ハウジング
152 ローラーベアリング
152a ベアリングローラー
153 下部球体(下側支持部材)
201 掘削機
202 筒状の胴体(スキンプレート)
203 カッター面板(カッターヘッド)
203a カッター面板の先端面
205 軸受け
231 凹部
251 ハウジング
301 掘削機
303 カッター面板(カッターヘッド)
303a カッター面板の先端面
401 掘削機
403 カッター面板(カッターヘッド)
403a カッター面板の先端面
501 掘削機
504 カッタービット
505 軸受け
543 回転軸
544 抜け止め部材(抜け止め手段)
601 掘削機
603 カッター面板(カッターヘッド)
604 カッタービット
643 回転軸
644 抜け止め部材(抜け止め手段)
701 掘削機
704 カッタービット
705 軸受け
744 抜け止め部材(抜け止め手段)
801 掘削機
804 カッタービット
843 回転軸
844 抜け止め部材(抜け止め手段)
A 法線
B1 ビット本体の周面の傾斜角度
B2 ベアリングローラーの傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴体の先端にカッターヘッドが設けられ、このカッターヘッドの先端面の少なくとも中央部が球面状に形成され、当該少なくとも中央部には多数のカッタービットが中心から放射状に設けられている掘削機であって、
各カッタービットは、略円錐状のビット本体と、このビット本体の基端に鍔部を介して一端が結合して前記カッターヘッドの回転を利用して回転する回転軸とを備え、
少なくとも前記カッターヘッドには、前記各カッタービットの回転軸を前記先端面を通る法線上で回転可能に支持する軸受けが設けられていることを特徴とする掘削機。
【請求項2】
請求項1に記載の掘削機において、
前記軸受けは、前記カッターヘッドの先端面に前記各カッタービットに対応して設けられた凹部に嵌めこまれ、前記回転軸を挿入させて前記鍔部を係止させるハウジングと、このハウジング内で前記回転軸を挿通する環状に形成されて前記回転軸を法線上で回転可能に支持するローラーベアリングとを備えることを特徴とする掘削機。
【請求項3】
請求項2に記載の掘削機において、
前記軸受けは、前記ハウジング内の下部に配置されて前記回転軸を支持する下側支持部材をさらに備えることを特徴とする掘削機。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の掘削機において、
前記軸受けは、前記ハウジング内の上部に配置されて前記鍔部を支持する上側支持部材をさらに備えることを特徴とする掘削機。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の掘削機において、
前記ローラーベアリングを構成する複数のベアリングローラーを、前記ビット本体の周面の傾斜角度と同じ傾斜角度で傾斜して配置したことを特徴とする掘削機。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の掘削機において、
前記回転軸の前記軸受けからの抜けを抑える抜け止め手段を備えることを特徴とする掘削機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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