説明

掘進機の位置測定に用いる角度測定装置及び掘進機の推進工法

【課題】埋設管の姿勢変化により角度測定装置が水平面に対して傾斜しても、屈折角度を正確に測定できる掘進機の角度測定装置及び掘進機の推進工法を提案する。
【解決手段】埋設管内で略水平に取り付けられる取付け板11と、この取付け板11に傾斜角度変更可能に保持された傾斜補正板12と、この傾斜補正板12の傾斜角度を測定する傾斜角度測定器26A,26Bと、傾斜補正板12を水平に角度補正する補正駆動軸13A,13B及び補正モータ21A,21Bと、傾斜補正板12に保持され設計上の敷設ルートに対する屈折角度を測定する屈折角度測定器31と、この屈折角度測定器31の固定子31aと回動子31bとにそれぞれ取着された一対の測定アーム42,44と、これら一対の測定アーム42,44のそれぞれの先端部に掛止される伸縮可能な一対の弾性線材であるテグス46,48と、を備えて角度測定装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘進機の位置測定に用いる角度測定装置及び掘進機の推進工法に関し、さらに詳しくは、地中を掘進する掘進機の後方に所定の管路を形成して埋設管を敷設する推進工法における掘進機の位置測定に用いる角度測定装置及び掘進機の推進工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術による掘進機の位置測定に用いる角度測定装置又は掘進機の推進工法としては、埋設管内の任意の位置に水平角度を測定可能な角度センサを有する角度測定装置を設置し、当該角度測定装置に設けられた一対の測定アームと測定対象位置とを弾性線材で結んで、一対の測定アームの相互の回動変位角度により屈折角度を測定するものが知られている。上記角度測定装置は、掘進機の掘進に伴い、埋設管内の任意の位置に順次増設する。この角度測定装置又は角度測定方法においては、埋設管の姿勢変化により角度測定装置の水平度が変化すると、一対の測定アームの回動運動面が水平面に対して傾斜し、一対の測定アームの実際の回動変位角度と水平面上の回動変位角度との差により、測定誤差が生じていた。
【0003】
そこで、この問題を解決するために例えば、推進工法における掘進機位置の測定方法(特許文献1参照)が知られている。この発明は、前後の継線のなす継線角度を計測する継線角度測定器(実施の形態では、継線角度測定器、一対の回転測定アーム、継線等で構成)を設け、各係留位置から前方への係留器間距離と継線角度から前方への係留器間距離のx成分の距離とy成分の距離を算出し、x成分の距離とy成分の距離の総和から最も後方の係留位置に対する掘進機の位置を算出するようにし、埋設管のローリングによって発生する継線係留器の前後の継線で作る面の水平面に対する傾き角を検出する傾き検出手段を設け、傾いた状態での前後の継線のなす継線角度の水平面に投影させた投影角度を前記傾き角を用いて算出し、同投影角度を継線角度とみなして係留器間距離のx成分の距離とy成分の距離を算出する補正を行うようにしたものである。
【0004】
【特許文献1】特開2003−097186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように埋設管の姿勢変化による誤差は、ピッチング角度、ローリング角、アームの位置関係等様々な要因が輻輳して誤差を生じさせるため、全ての要因に対してセンサを用いて数値化したとしても、実験によって相関式を求め、誤差を完全に補正することは困難であり、測定誤差による掘進機の位置測定値に誤差が生じるという問題があった。
【0006】
また、角度測定装置の水平度が変化することにより、測定アームは、その自重による傾斜下方側への分力が生じ、この分力により測定アームは傾斜下方側へ移動する。この移動により、水平面から見た場合に、測定アームと弾性線材とは角度センサの中心に向かって一直線にならず、上記の測定誤差に加え、さらに測定誤差が増加するという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した従来の掘進機の位置測定に用いる角度測定装置及び掘進機の推進工法が有する課題を解決するために提案されたものであって、埋設管の姿勢変化により角度測定装置が水平面に対して傾斜しても、水平面内の屈折角度を正確に測定できる新規な掘進機の位置測定に用いる角度測定装置及び掘進機の推進工法を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するため、第1の発明(請求項1記載の発明)に係る掘進機の位置測定に用いる角度測定装置は、地中を掘進する掘進機の後方に埋設管を順次敷設する推進工法における掘進機の位置測定に用いる角度測定装置であって、上記埋設管内で略水平に取り付けられる取付け板と、この取付け板の下方に傾斜角度変更可能に保持された傾斜補正板と、この傾斜補正板に取り付けられ該傾斜補正板の傾斜角度を測定する傾斜角度測定器と、この傾斜角度測定器により測定された傾斜角度に基づき上記傾斜補正板を水平に角度補正する補正駆動手段と、前記傾斜補正板に保持され設計上の敷設ルートに対する左右への屈折角度を測定する屈折角度測定器と、この屈折角度測定器の固定子と回動子とにそれぞれ取着された一対の測定アームと、これら一対の測定アームのそれぞれの先端部に掛止される伸縮可能な一対の弾性線材とを備えてなることを特徴とするものである。
【0009】
この第1の発明では、取付け板の下方に傾斜角度変更可能に保持された傾斜補正板と、この傾斜補正板に取り付けられ該傾斜補正板の傾斜角度を測定する傾斜角度測定器と、この傾斜角度測定器により測定された傾斜角度に基づき上記傾斜補正板を水平に角度補正する補正駆動手段とを設けたので、埋設管の姿勢変化により屈折角度測定器及び一対の測定アームが水平面に対して傾斜しても、傾斜角度測定器により測定された傾斜角度に基づき補正駆動手段の作動で傾斜補正板を水平に角度補正して、当該傾斜補正板とともに屈折角度測定器及び一対の測定アームを水平姿勢に維持することにより、埋設管の姿勢変化による屈折角度の測定誤差が生じないようにすることができる。
【0010】
すなわち、上記屈折角度測定器の固定子と回動子とにそれぞれ取着された一対の測定アームと、各測定位置とを弾性線材で結んで、一対の測定アームの相互の回動変位角度により屈折角度を測定する際において、一対の測定アームの回動運動面は、上記傾斜補正板の補正により水平面に対して平行状態を維持し、一対の測定アームの実際の回動変位角度と水平面上の回動変位角度とは同一であるから測定誤差が生じず、水平面内の屈折角度は、屈折角度測定器により正確に測定することができる。
【0011】
また、屈折角度測定器を水平姿勢に維持することができるので、一対の測定アームは、その自重による下方への分力は生じず、下方へ移動することはない。したがって、一対の測定アームと弾性線材とは屈折角度測定器の中心に向かって一直線になり、一対の測定アームの回動運動面が水平状態を維持されることとの相互作用により、水平面内の屈折角度は、屈折角度測定器により正確に測定することができる。そして、屈折角度の測定精度の向上が図れるとともに、設計上の敷設ルートに対する左右への偏差距離を演算する際に、従来のように、屈折角度測定器の傾斜角度分を補正する必要がないから、煩雑な補正制御回路を組み入れる必要もない。
【0012】
なお、この第1発明の補正駆動手段は、後述する第3発明に記載された発明のように、一方及び他方の補正モータにより一方及び他方の補正駆動軸をそれぞれ回動させて、傾斜補正板の一方向及び他方向の傾斜角度を水平にそれぞれ補正する構成に限定されたものではないから、第3発明における構成の他、例えば、リニア機構や空・油圧モータ等の直進作動により傾斜補正板を駆動することができる。また、本発明に係る埋設管(推進管とも称呼される)には筒状の管体のほかに、組合せにより管体を形成するもの(以下、セグメント管という)も含むものである。
【0013】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)に係る前記傾斜角度測定器は、前記傾斜補正板の一方向の傾斜角度を測定する一方の傾斜角度測定器と、この一方向の傾斜角度と直交する他方向の傾斜角度を測定する他方の傾斜角度測定器とを有し、前記補正駆動手段は、前記一方の傾斜角度測定器による測定値に基づき前記傾斜補正板の一方向の傾斜角度を水平に補正する一方の補正駆動手段と、前記他方の傾斜角度測定器による測定値に基づき前記傾斜補正板の他方向の傾斜角度を水平に補正する他方の補正駆動手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0014】
この第2の発明では、前記傾斜補正板の水平姿勢への角度補正は、一方の補正駆動手段により、前記一方の傾斜角度測定器による測定値に基づき当該傾斜補正板の一方向の傾斜角度を水平に補正し、かつ、他方の補正駆動手段により、前記他方の傾斜角度測定器による測定値に基づき当該傾斜補正板の他方向の傾斜角度を水平に補正するようにしたので、埋設管がローリング及びピッチングのいずれの方向へ姿勢変化しても、簡素な構成で傾斜補正板を水平に角度補正して、当該傾斜補正板とともに屈折角度測定器及び一対の測定アームを水平姿勢に維持することにより、埋設管の姿勢変化による屈折角度の測定誤差が生じないようにすることができる。
【0015】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)に係る前記一方及び他方の補正駆動手段は、前記傾斜補正板に螺合され該傾斜補正板を一方向及び他方向にそれぞれ傾斜させる一方及び他方の補正駆動軸と、これら一方及び他方の補正駆動軸をそれぞれ回動させる一方及び他方の補正モータとからなり、前記一方及び他方の傾斜角度測定器によるそれぞれの測定値に基づき上記一方及び他方の補正モータにより一方及び他方の補正駆動軸をそれぞれ回動させて、前記傾斜補正板の一方向及び他方向の傾斜角度を水平にそれぞれ補正するようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
この第3の発明では、前記一方及び他方の傾斜角度測定器によるそれぞれの測定値に基づき上記一方及び他方の補正モータにより一方及び他方の補正駆動軸をそれぞれ回動させて、前記傾斜補正板の一方向及び他方向の傾斜角度を水平にそれぞれ補正するようにしたので、埋設管がローリング及びピッチングのいずれの方向へ姿勢変化しても、簡素な構成で傾斜補正板を水平に角度補正することができる。
【0017】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)に係る前記屈折角度測定器の近傍には、該屈折角度測定器の固定子と回動子とを支承する軸受部に振動を付与可能な発振器が取付けられてなることを特徴とするものである。この第4の発明では、前記屈折角度測定器の近傍に、その固定子と回動子とを支承する軸受部に振動を付与可能な発振器が取付けられるようにしたので、前記軸受部の初動摩擦抵抗を減少させて、当該固定子と回動子との外力に対する応答速度を高め、屈折角度の測定精度を向上させることができる。
【0018】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)に係る前記取付け板は、少なくとも天板と側板とを備えてなる枠体の該天板の下面に取付けられ、この枠体には、前記埋設管内を該埋設管の軸線方向に転動するキャスタが配設されてなることを特徴とするものである。
【0019】
この第5の発明では、前記取付け板は枠体の天板の下面に取付けられ、この枠体には埋設管内をその軸線方向に転動するキャスタが配設されてなるので、掘進工事の進捗に従い角度測定装置を増設又は撤去する際に、埋設管内を軸線方向に転動させることで容易に目的位置へ移動することができるので、作業時間の短縮を図ることができる。
【0020】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)に係る掘進機の推進工法は、前記請求項1乃至5のいずれかに記載の掘進機の位置測定に用いる角度測定装置を前記埋設管内に配設する配設工程と、前記傾斜角度測定器により前記傾斜補正板の傾斜角度を測定する傾斜角度測定工程と、この測定された傾斜角度に基づき前記傾斜補正板を水平に角度補正する傾斜角度補正工程と、前記屈折角度測定器により設計上の敷設ルートに対する左右への屈折角度を測定する屈折角度測定工程と、この測定された屈折角度に基づき設計上の敷設ルートに対する左右への偏差距離を演算する偏差距離演算工程と、この演算された偏差距離に基づき掘進機が設計上の敷設ルートに復帰すべく該掘進機の掘進方向を修正する屈伸方向修正工程と、前記掘進機の後方に新たな埋設管を敷設する敷設工程と、により所定の測定点ごとで上記各工程を繰り返して掘進機を順次掘進させるようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
この第6の発明では、前記請求項1乃至5のいずれかに記載の角度測定装置を埋設管内に配設する配設工程と、傾斜補正板の傾斜角度を測定する傾斜角度測定工程と、傾斜補正板を水平に角度補正する傾斜角度補正工程と、設計上の敷設ルートに対する左右への屈折角度を測定する屈折角度測定工程と、設計上の敷設ルートに対する左右への偏差距離を演算する偏差距離演算工程と、掘進機の掘進方向を修正する屈伸方向修正工程と、新たな埋設管を敷設する敷設工程と、により所定の測定点ごとで上記各工程を繰り返して掘進機を順次掘進させるようにしたので、埋設管の姿勢変化により屈折角度測定器及び一対の測定アームが水平面に対して傾斜しても、当該傾斜補正板とともに屈折角度測定器及び一対の測定アームを水平姿勢に維持することができ、埋設管の姿勢変化による屈折角度の測定誤差が生ずることなく、設計上の敷設ルートに対する左右への偏差距離が正確に把握することができる。
【0022】
また、所定の測定点ごとで上記各工程を繰り返して掘進機を順次掘進させるようにしたので、所定の測定点ごとに設けたそれぞれの角度測定装置により水平面内の屈折角度を測定して、その測定値に基づいて掘進機の位置を修正することができるので、累積誤差が少なく所定の敷設ルートに沿って掘進工事をすることができる。
【発明の効果】
【0023】
上記第1の発明では、埋設管の姿勢変化により屈折角度測定器及び一対の測定アームが水平面に対して傾斜しても、傾斜角度測定器により測定された傾斜角度に基づき補正駆動手段の作動で傾斜補正板を水平に角度補正して、当該傾斜補正板とともに屈折角度測定器及び一対の測定アームを水平姿勢に維持することができるので、傾斜による屈折角度の測定誤差は生じず、水平面内の屈折角度は、屈折角度測定器により正確に測定することができ、屈折角度の測定精度の向上が図れるとともに、屈折角度測定器の傾斜角度分を補正する必要がないから、煩雑な補正制御回路を設ける必要もない。
【0024】
また、屈折角度測定器を水平姿勢に維持することができるので、一対の測定アームは、その自重による下方への分力は生じず、下方へ移動することはなく、一対の測定アームと弾性線材とは屈折角度測定器の中心に向かって一直線になり、一対の測定アームの回動運動面が水平状態を維持されることとの相互作用により、水平面内の屈折角度は、屈折角度測定器により正確に測定することができる。そして、屈折角度の測定精度の向上が図れるとともに、設計上の敷設ルートに対する左右への偏差距離を演算する際に、従来のように、屈折角度測定器の傾斜角度分を補正する必要がないから、煩雑な補正制御回路を組み入れる必要もない。
【0025】
また、第2の発明では、埋設管がローリング及びピッチングのいずれの方向へ姿勢変化しても、簡素な構成で傾斜補正板を水平に角度補正して、当該傾斜補正板とともに屈折角度測定器及び一対の測定アームを水平姿勢に維持することができるので、埋設管の姿勢変化による屈折角度の測定誤差は生じず、水平面内の屈折角度は、屈折角度測定器により正確に測定することができ、屈折角度の測定精度の向上が図れるとともに、屈折角度測定器の傾斜角度分を補正する必要がないから、煩雑な補正制御回路を設ける必要もない。
【0026】
また、第3の発明では、前記一方及び他方の傾斜角度測定器によるそれぞれの測定値に基づき上記一方及び他方の補正モータにより一方及び他方の補正駆動軸をそれぞれ回動させて、前記傾斜補正板の一方向及び他方向の傾斜角度を水平にそれぞれ補正するようにしたので、埋設管がローリング及びピッチングのいずれの方向へ姿勢変化しても、簡素な構成で傾斜補正板を水平に角度補正することができるとともに、角度測定装置の構成を簡素にし、小型化を図ることができる。
【0027】
また、第4の発明では、前記屈折角度測定器の近傍に、その固定子と回動子とを支承する軸受部に振動を付与可能な発振器が取付けられるようにしたので、前記軸受部の初動摩擦抵抗を減少させて、当該固定子と回動子との外力に対する応答速度を高め、屈折角度の測定精度を向上させることができる。
【0028】
また、第5の発明では、取付け板は枠体の天板の下面に取付けられ、この枠体には埋設管内をその軸線方向に転動するキャスタが配設されてなるので、掘進工事の進捗に従い角度測定装置を増設又は撤去する際に、埋設管内を軸線方向に転動させることで容易に目的位置へ移動することができるので、作業時間の短縮により作業能率の向上を図ることができる。
【0029】
また、第6の発明では、埋設管の姿勢変化により屈折角度測定器及び一対の測定アームが水平面に対して傾斜しても、当該傾斜補正板とともに屈折角度測定器及び一対の測定アームを水平姿勢に維持することができ、埋設管の姿勢変化による屈折角度の測定誤差が生ずることなく、設計上の敷設ルートに対する左右への偏差距離が正確に把握することができるので、掘進機が設計上の敷設ルートに復帰すべく当該掘進機の掘進方向を適正に修正することができる。
【0030】
また、所定の測定点ごとで上記各工程を繰り返して掘進機を順次掘進させるようにしたので、所定の測定点ごとに設けたそれぞれの角度測定装置により水平面内の屈折角度を測定して、その測定値に基づいて掘進機の掘進方向を修正することができるので、累積誤差が少なく所定の敷設ルートに沿って掘進工事をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、この実施の形態に係る掘進機の位置測定に用いる角度測定装置10は、地中を掘進する掘進機3の後方に埋設管2を順次敷設する推進工法に用いるものであって、図5に示す傾斜補正板12の傾斜角度を水平に補正する傾斜角度補正部20と、設計上の敷設ルートに対する左右への屈折角度を測定する屈折角度測定部30とで構成される。
【0032】
これらのうち傾斜角度補正部20は、埋設管2内で略水平に取り付けられる取付け板11と、この取付け板11の下方に保持された傾斜補正板12と、この傾斜補正板12に取り付けられた傾斜角度測定器26A,26Bと、前記傾斜補正板12を水平に角度補正する一方及び他方の補正駆動軸13A,13Bと、これら一方及び他方の補正駆動軸13A,13Bをそれぞれ回動させる一方及び他方の補正モータ21A,21Bとを備えてなるものである。また、屈折角度測定部30は、前記傾斜補正板12に保持された屈折角度測定器31と、この屈折角度測定器31の固定子と回動子とにそれぞれ取着される一対の測定アーム42,44と、これら一対の測定アーム42,44のそれぞれの先端部に掛止される弾性線材である一対のテグス46,48とを備えてなるものである。
【0033】
まず、本発明の角度測定装置10が配設される埋設管2を敷設するための構成は、図1に示すように、地中に掘進作業の発進基地である発進立坑1が設けられ、この発進立坑1内には、埋設管2とともに掘進機3を後方から押圧して推進させる推進駆動装置4が配設されている。この推進駆動装置4の前方には、すでに敷設された複数個の埋設管2(図示では3本)と、先端に取付けられた掘削工具の回転により土石類を掘進する掘進機3と、掘削された土石類を排出する複数個の排泥管5(図示では4本)とが配設されている。
【0034】
前記掘進機3の先端には、掘削工具である複数個のビット3aが取付けられ、その後方に設けられた回転駆動装置3bの回転力により、土石類を掘削する。この掘削された土石類は、掘進機3の前端部から発進立坑1内に連通する複数個の排泥管5内を流通して排出される。この構成において、掘進機3のビット3aを回転駆動装置3bにより回転させるとともに、最後尾の埋設管2の後方を推進駆動装置4により押圧することで、掘進機3の掘削により、これらが一体的に推進される。この掘削により発生した土石類は、掘進機3のビット3aの背部から、複数個の排泥管5内を流通して発進立坑1内へ回収される。
【0035】
そして、掘進機3が推進駆動装置4により所定の距離だけ推進するごとに、最後尾の埋設管2の後方に新たな埋設管2が敷設され、その繰返しにより順次増設される。この埋設管2の増設に従い、これら埋設管2の所定位置に配設される後述の角度測定装置10(図示では2組)も適宜増設される。
【0036】
なお、掘進機3の後方には装備筒体3e,3f,3gが連接されている。これら装備筒体3e,3f,3gのうち、装備筒体3e内には前記回転駆動装置3bが装着されるとともに、内壁周上には後述する複数個の主ジャッキ3cが装着され、装備筒体3fには後述する複数個の副ジャッキ3dが装着されるとともに、図示しない前記回転駆動装置3bを作動させる油圧機器、各種電装機器等が装着され、装備筒体3gには油圧機器、電装機器等が装着されている。また、前記主ジャッキ3cと副ジャッキ3dとは、それぞれ図示しない油圧ポンプにより作動される油圧シリンダである。
【0037】
次に、角度測定装置10が配設される埋設管2内には、図2及び図3に示す底部近傍に、土石類を流通させる排泥管5,5,5が連設され、その外周腹部には、基台板6,6が水平状に固定され、その上面には枠体7が立設されている。この枠体7は、天板7aと一対の側板7b,7bとで略コ字状に形成され、その開口部(符号は省略)が基台板6,6の上面に固定されている。
【0038】
この枠体7の天板7aには、後述する傾斜角度補正部20の取付け板11が螺着されることで、その角度測定装置10は枠体7内に懸垂されている。また、基台板6,6の下面側には、埋設管2の内壁面2aを当該埋設管2の軸線方向に転動する複数個のキャスタ9(本例では合計8個)が取り付けられている。これらキャスタ9の転動作用により、掘進工事の進捗に従い角度測定装置10を増設又は撤去する際に、当該角度測定装置10は、排泥管5、この排泥管5に固定された基台板6,6、これら基台板6,6に固定された枠体7とともに、埋設管2内の軸線方向へ自在に移動することができる。
【0039】
なお、枠体7の側板7b,7bの図3に示す両側面には、枠体7の横転等により埋設管2内に損傷を与えないように、図示しない保護部材が突設されている。また、前記枠体7の側板7b,7bの図2に示す延出部(符号は省略する)には、後述する屈折角度測定器31や傾斜角度測定器26A,26B等からのそれぞれの信号に基づき、各関連先の機器とやり取りする制御回路が内装された制御箱8が取付けられている。
【0040】
次に、図5に示す傾斜補正板12の傾斜角度を水平に補正する傾斜角度補正部20の構成について説明する。まず、傾斜角度補正部20が配設される取付け板11は、前記埋設管2内の枠体7に螺着され、この取付け板11の下方には、傾斜補正板12が図4乃至図6に示す3個の一方及び他方の補正駆動軸13A,13Bと保持軸13Cとにより傾斜角度変更可能に保持されている。
【0041】
これら補正駆動軸13A,13B及び保持軸13Cの上端部には、球面軸受けを構成する球面凸状体14A,14B,14Cがそれぞれ挿通され、これら球面凸状体14A,14B,14Cの外周には、球面凹座体15A,15B,15Cがそれぞれ係合され、これら球面凹座体15A,15B,15Cは前記取付け板11内にそれぞれ埋設されている。この構成により、それぞれの補正駆動軸13A,13B及び保持軸13Cは、それぞれの球面凸状体14A,14B,14Cとそれぞれの球面凹座体15A,15B,15Cとを揺動中心にして揺動自在に枢着されている。
【0042】
また、前記球面凸状体14A,14B,14Cの下方の補正駆動軸13A,13B及び保持軸13Cには、スペーサ16A,16B,16Cがそれぞれ挿通されている。これらのうち、スペーサ16Cは、当該スペーサ16Cよりも下方の保持軸13Cに螺刻された雄ねじ部(符号は省略する)に螺合されたナット16dにより、前記球面凸状体14Cとともに保持軸13Cの頭部(符号は省略する)に締め付けられている。これら保持軸13C、球面凸状体14C及びスペーサ16Cは一体的に回動する。
【0043】
他方、残りのスペーサ16A,16Bは、当該スペーサ16A,16Bよりも下方の補正駆動軸13A,13Bにそれぞれ螺刻された雄ねじ部(符号は省略する)に螺合されたそれぞれのナット16e,16fにより、下端部に嵌入された図4及び図5に示す従動側のそれぞれのチェンスプロケット17A,17B及びそれぞれの前記球面凸状体14A,14Bとともに、補正駆動軸13A,13Bの頭部(符号は省略する)にそれぞれ締め付けられている。そして、これら補正駆動軸13A、球面凸状体14A及びスペーサ16Aと、補正駆動軸13B、球面凸状体14B及びスペーサ16Bとは、それぞれ一体的に回動する。
【0044】
また、補正駆動軸13A,13Bと保持軸13Cとに螺刻されたそれぞれの雄ねじ部の下端部は、図5及び図6に示すそれぞれの雌ねじ部材18A,18B,18Cに螺合され、これら雌ねじ部材18A,18B,18Cは、それぞれのナット19A,19B,19Cにより傾斜補正板12にそれぞれ締着されている。したがって、補正駆動軸13A,13Bと保持軸13Cとは、それぞれの雌ねじ部材18A,18B,18Cを介して傾斜補正板12に螺合されている。
【0045】
このような構成において、保持軸13Cに保持される部分の傾斜補正板12は、球面凸状体14Cと雌ねじ部材18Cとの距離が一定に保たれているので、取付け板11に対する傾斜補正板12の間隔は略一定である。これに対して、補正駆動軸13A,13Bに保持される部分の傾斜補正板12は、一方及び他方の補正駆動軸13A,13Bがそれぞれ回動されると、ぞれぞれの雌ねじ部材18A,18Bと螺合するねじリードにより取付け板11に対する傾斜補正板12の間隔はそれぞれ変化する。
【0046】
そして、一方の補正駆動軸13Aを回動させた場合には、図4に示す他方の補正駆動軸13Bを枢着する球面凸状体14B及び球面凹座体15Bの揺動中心と、保持軸13Cを枢着する球面凸状体14C及び球面凹座体15Cの揺動中心とを結ぶ軸線を傾斜軸線にして、補正駆動軸13B及び保持軸13Cが傾斜補正板12とともに傾斜し、補正駆動軸13Aの回動によるねじリードの分だけ、補正駆動軸13Aの軸線上における取付け板11に対する傾斜補正板12の間隔を広く又は狭くさせることができる。
【0047】
また、同様に他方の補正駆動軸13Bを回動させた場合には、図4に示す一方の補正駆動軸13Aを枢着する球面凸状体14A及び球面凹座体15Aの揺動中心と、保持軸13Cを枢着する球面凸状体14C及び球面凹座体15Cの揺動中心とを結ぶ軸線を傾斜軸線にして、保持軸13C及び補正駆動軸13Aが傾斜補正板12とともに傾斜し、補正駆動軸13Bの回動によるねじリードの分だけ、補正駆動軸13Bの軸線上における取付け板11に対する傾斜補正板12の間隔を広く又は狭くさせることができる。
【0048】
この傾斜補正板12を傾斜させる一方の補正駆動軸13Aは、後述するチェンスプロケット23A、チェン24A及び前記チェンスプロケット17Aを介して、図4及び図6に示す一方の補正モータ21Aにより駆動される。また、他方の補正駆動軸13Bは、後述するチェンスプロケット23B、チェン24B及び前記チェンスプロケット17Bを介して、図4及び図6に示す他方の補正モータ21Bにより駆動される。
【0049】
これら補正モータ21A,21Bは、保持板22にそれぞれ出力軸(符号は省略する)を上にして取着され、その保持板22は前記取付け板11と平行に、当該取付け板11の下方の図6に示す左端部と、台座25を介して中央部とに取着されている。これら補正モータ21A,21Bのそれぞれ出力軸には、原動側のチェンスプロケット23A,23Bがそれぞれ止着されている。なお、本発明に係る補正駆動手段は、上記一方及び他方の補正駆動軸13A,13Bと、一方及び他方の補正モータ21A,21Bとでなるものである。
【0050】
これらのうち一方のチェンスプロケット23Aとチェンスプロケット17Aとには図4に示すチェン24Aが張着され、一方の補正モータ21Aの駆動により、チェンスプロケット23A、チェン24A及びチェンスプロケット17Aを介して前記一方の補正駆動軸13Aが駆動される。また、他方のチェンスプロケット23Bとチェンスプロケット17Bとには図4に示すチェン24Bが張着され、他方の補正モータ21Bの駆動により、チェンスプロケット23B、チェン24B及びチェンスプロケット17Bを介して前記他方の補正駆動軸13Bが駆動される。
【0051】
また、傾斜補正板12の傾斜角度を測定する一方及び他方の傾斜角度測定器26A,26Bは、図5に示す傾斜補正板12の下面にそれぞれ取着され、一方の傾斜角度測定器26Aは図4及び図5に示す右側の下面に、また、他方の傾斜角度測定器26Bは左下の下面にそれぞれ取着されている。これら一方及び他方の傾斜角度測定器26A,26Bには、これら傾斜角度測定器26A,26B自身が傾斜しても、それぞれの絶対水平角度基準を維持可能な水平自律角度機能がそれぞれ内蔵されている。これら傾斜角度測定器26A,26Bにより、それぞれの絶対水平角度基準に対する傾斜補正板12のそれぞれの傾斜角度を測定し、その傾斜角度測定値を出力して一方及び他方の補正モータ21A,21Bをそれぞれ回動させる。
【0052】
すなわち、一方の傾斜角度測定器26Aは、当該傾斜角度測定器26Aの長手方向である図4に示す右上がり軸線方向の傾斜補正板12の一方向の傾斜角度を測定し、この傾斜角度測定値に基づき一方の補正モータ21Aを傾斜補正量だけ回動させて、チェンスプロケット23A、チェン24A及びチェンスプロケット17Aを介して一方の補正駆動軸13Aを回動させる。
【0053】
この一方の補正駆動軸13Aの回動により、図4に示す他方の補正駆動軸13Bを枢着する球面凸状体14B及び球面凹座体15Bの揺動中心と、保持軸13Cを枢着する球面凸状体14C及び球面凹座体15Cの揺動中心とを結ぶ軸線を傾斜軸線にして、補正駆動軸13B及び保持軸13Cが傾斜補正板12とともに傾斜され、補正駆動軸13Aのねじリードによりその角度補正分だけ、補正駆動軸13Aの軸線上における取付け板11に対する傾斜補正板12の間隔が加減されて、傾斜補正板12は水平角度に補正される。
【0054】
また、他方の傾斜角度測定器26Bは、当該傾斜角度測定器26Bの長手方向である上記一方向と直交する左上がり軸線方向の傾斜補正板12の他方向の傾斜角度を測定し、この傾斜角度測定値に基づき他方の補正モータ21Bを傾斜補正量だけ回動させて、チェンスプロケット23B、チェン24B及びチェンスプロケット17Bを介して他方の補正駆動軸13Bを回動させる。
【0055】
この他方の補正駆動軸13Bの回動により、図4に示す一方の補正駆動軸13Aを枢着する球面凸状体14A及び球面凹座体15Aの揺動中心と、保持軸13Cを枢着する球面凸状体14C及び球面凹座体15Cの揺動中心とを結ぶ軸線を傾斜軸線にして、補正駆動軸13A及び保持軸13Cが傾斜補正板12とともに傾斜され、補正駆動軸13Bのねじリードによりその角度補正分だけ、補正駆動軸13Bの軸線上における取付け板11に対する傾斜補正板12の間隔が加減されて、傾斜補正板12は水平角度に補正される。
【0056】
そして、一方の傾斜角度測定器26Aは、図4に示す右上がり軸線方向の傾斜補正板12の一方向の傾斜角度を測定し、この傾斜角度測定値に基づき一方の補正モータ21Aを傾斜補正量だけ回動させるとともに、他方の傾斜角度測定器26Bは、上記一方向と直交する左上がり軸線方向の傾斜補正板12の他方向の傾斜角度を測定し、この傾斜角度測定値に基づき他方の補正モータ21Bを傾斜補正量だけ回動させて、傾斜補正板12の水平姿勢を維持するようにしたので、埋設管2がローリング及びピッチングのいずれの方向へ姿勢変化しても、傾斜補正板12とともに屈折角度測定器31及び一対の測定アーム42,44を水平姿勢に維持することにより、埋設管2の姿勢変化による屈折角度の測定誤差が生じないようにすることができる。
【0057】
また、屈折角度測定器31を水平姿勢に維持することができるので、一対の測定アーム42,44は、その自重による下方への分力は生じず、下方へ移動することはない。したがって、一対の測定アーム42,44と後述する弾性線材であるテグス46,48とは屈折角度測定器31の中心に向かって一直線になり、一対の測定アーム42,44の回動運動面が水平状態を維持されることとの相互作用により、水平面内の屈折角度は、屈折角度測定器31により正確に測定することができる。
【0058】
次に、設計上の敷設ルートに対する左右への屈折角度を測定する屈折角度測定部30の構成について説明する。本発明において屈折角度を測定する屈折角度測定器31は、固定子と回動子との相対回動角度変位量を測定して検出可能な角度センサであって、本例においては、アブソリュート形のロータリーエンコーダが利用されているが、レゾルバ等を利用することもできる。この屈折角度測定器31は、図4に示すC−C軸線上の傾斜補正板12に保持されている。その傾斜補正板12の下面には、図7に示すように、中空状に形成された吊座体32が締着され、この吊座体32の下方の外周には、軸受33aを介して回動板34が回動自在に支承されている。
【0059】
この回動板34の上面には蓋板35が螺着され、回動板34の下面には、図5に示す右側が切割された半円輪状の半円輪体36が螺着され、その下面に図7に示す屈折角度測定器31の固定子31aが、その蓋31dを介して一体的に螺着されている。これに対して、屈折角度測定器31の回動子31bは、その下方が屈折角度測定器31の中心部に設けられた軸受33cと、上端部が吊座体32の内周に設けられた軸受33bとにより回動自在に支承されている。したがって、屈折角度測定器31の一方の固定子31aは、吊座体32の軸心を中心にして自在に回動し、他方の回動子31bは、固定子31aの軸心を中心にして自在に回動するものである。
【0060】
この屈折角度測定器31の一方の固定子31aが螺着された半円輪体36の外周には、図7及び図8に示す接続部材41が、屈折角度測定器31の回動子31bの軸心に向かって突設され、この接続部材41には、断面がコ字状に成形された一方の測定アーム42が螺着されている。この一方の測定アーム42の先端に、掛止環45が取り付けられ、その掛止環45には、伸縮可能な弾性線材であって釣糸用等として熱可塑性樹脂等の素材でなる一方のテグス46が掛止されている。
【0061】
また、他方の回動子31bには、接続部材43がその一端の穴部(符号は省略する)により止着され、この接続片43には、断面がコ字状に成形された他方の測定アーム44が螺着されている。この他方の測定アーム44の先端に、掛止環47が取り付けられ、その掛止環47には、伸縮可能な弾性線材であって釣糸用等として熱可塑性樹脂等の素材でなる他方のテグス48が掛止されている。
【0062】
また、上記屈折角度測定器31の近傍である図7に示す一方の測定アーム42の下面には、その測定アーム42に振動を付与可能な発振器49が取付けられている。この発振器49により付与される振動は、測定アーム42から接続部材41、半円輪体36、回動板34を介して軸受33aに伝達されるとともに、さらに、蓋31d及び吊座体32を介して、軸受33b,33cにも発振器49による振動が伝達される。これらの軸受33a,33b,33cに振動が伝達されることにより、各軸受部の初動摩擦抵抗を減少させて当該各軸受部の回動遅れを防止し、屈折角度測定器31の固定子31aと回動子31bとの外力に対する応答速度を高め、屈折角度の測定精度を向上させることができる。
【0063】
なお、このような作用をする発振器49による発振の作動時期は、掘進機3による掘進作業中は常時発振状態に設定されており、屈折角度測定器31により設計上の敷設ルートに対する屈折角度を測定する際には、振動による測定誤差を防止するために、当該発振器49の発振を停止させてから測定するものである。
【0064】
このように構成された一対のテグス46,48のそれぞれの先端を測定対象位置の掛止部に、予め張力を付与した状態でそれぞれ掛止することで、上記屈折角度測定器31によりテグス46側又はテグス48側の屈折角度を測定することができる。例えば、図8に示す状態においては、屈折角度測定器31の軸心を挟む一方の測定アーム42及びテグス46と、他方の測定アーム44及びテグス48との軸線は一直線であるから固定子と回動子との相対回動角度変位量は0(零)であり、相互の測定対象位置の間における屈折角度は0(零)である。
【0065】
これに対して、図9に示す状態のうち例えば屈折角度測定器31の測定対象位置Pにおいては、測定対象位置Pと測定対象位置Pとの間において、測定対象位置Pは設計上の測定対象位置Pに上にあり、測定対象位置Pは設計上の敷設ルートRに対して上方の正座標内にあり、また、測定対象位置Pは設計上の敷設ルートRに対して下方の負座標内にある。
【0066】
この場合には、測定対象位置Pと測定対象位置Pとの間における設計上の敷設ルートRに対する屈折角度θと、測定対象位置Pと測定対象位置Pの間における設計上の敷設ルートRに対する屈折角度θとを測定することができる。そして、このように測定された各屈折角度に基づき、設計上の敷設ルートRに対する各位置の左右への偏差距離を演算し、この演算された偏差距離に基づき掘進機の掘進方向を設計上の敷設ルートに復帰すべく修正することができる。
【0067】
そして、この屈折角度測定部30は、埋設管2内の所定位置に組込まれるように構成されてなり、掘進機3が所定の距離だけ推進するごとに、最後尾の埋設管2の後方に新たな埋設管2が敷設され、この埋設管2の増設に従い、これらのうち適宜の埋設管内2に屈折角度測定部30は増設されるので、屈折角度測定部30が増設されるごとに、設計上の敷設ルートRに対する屈折角度を測定して、その測定値に基づいて掘進機3の位置を修正することができるので、累積誤差が少なく所定の敷設ルートに沿って掘進工事をすることができる
【0068】
引き続いて、本発明に係る掘進機の推進工法を実施するための最良の形態の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この掘進機の推進工法は、上述した掘進機の位置測定に用いる角度測定装置10を埋設管2内に配設する配設工程と、傾斜角度測定器26A,26Bにより傾斜補正板12の傾斜角度を測定する傾斜角度測定工程と、この測定された傾斜角度に基づき傾斜補正板12を水平に角度補正する傾斜角度補正工程と、屈折角度測定器31により設計上の敷設ルートに対する左右への屈折角度θを測定する屈折角度測定工程と、この測定された屈折角度θに基づき設計上の敷設ルートに対する左右への偏差距離yを演算する偏差距離演算工程と、この演算された偏差距離yに基づき掘進機3が設計上の敷設ルートに復帰すべく該掘進機3の掘進方向を修正する屈伸方向修正工程と、埋設管2の最後部の後方又は最前部の前方に新たな埋設管2を敷設する敷設工程とにより所定の測定点ごとで上記各工程を繰り返して掘進機3を順次掘進させるようにしたものである。
【0069】
まず、角度測定装置10を埋設管2内に配設する配設工程について説明する。この工程に係る上記角度測定装置10が配設される埋設管2内には、図2及び図3に示す底部近傍に、掘削された土石類を排出する排泥管5が横設され、当該角度測定装置10はこの排泥管5上に配設されている。この排泥管5の外周腹部には、基台板6,6が水平状に固定され、その上面に枠体7が立設されている。この枠体7の天板7aに、図5に示す傾斜角度補正部20の取付け板11を螺着することにより、下方に屈折角度測定部30を備える角度測定装置10を枠体7内に懸垂させて配設する。
【0070】
また、基台板6,6の下面側には、図3に示す埋設管2の内壁面2aを軸線方向に転動する複数個のキャスタ9が取り付けられており、これらキャスタ9の転動作用により、角度測定装置10を埋設管2内に配設する際に、排泥管5とともに、埋設管2内の軸線方向へ自在に移動することができる。この配設工程で角度測定装置10が配設された新たな埋設管2は、後述する埋設管2を敷設する敷設工程で、発進立坑1内において、前記掘進機3の後方又は前記埋設管2の最後部の後方若しくは最前部の前方に敷設する。
【0071】
次に、傾斜角度測定器26A,26Bにより傾斜補正板12の傾斜角度を測定する傾斜角度測定工程について説明する。この工程の前の配設工程において埋設管2内に配設された角度測定装置10は、埋設管2のローリング現象又はピッチング現象により図2又は図3に示す枠体7とともに傾斜することがある。もし、角度測定装置10が傾斜すると、その屈折角度測定部30の一対の測定アーム42,44(図4,図5参照)の回動運動面が水平面に対して傾斜し、実際の回動変位角度と水平面上の回動変位角度との差により、測定誤差が生じる不都合がある。
【0072】
また、屈折角度測定部30の水平度が変化することにより、一対の測定アーム42,44は、その自重による傾斜下方側への分力が生じ、この分力により一対の測定アーム42,44は傾斜下方側へ移動し、水平面から見た場合に、一対の測定アーム42,44と弾性線材である一対のテグス46,48とは屈折角度測定器31の中心に向かって一直線にならず、上記の測定誤差に加え、さらに測定誤差が増加するという不都合があった。
【0073】
そこで、屈折角度測定部30が取着される傾斜補正板12の傾斜角度を補正すべく当該傾斜補正板12に、その傾斜角度を測定するための一方及び他方の傾斜角度測定器26A,26Bを設けて、この傾斜角度測定工程において、一方の傾斜角度測定器26Aにより、図4に示す右上がり軸線方向の図5に示す傾斜補正板12の一方向の傾斜角度を測定し、他方の傾斜角度測定器26Bにより、上記一方向と直交する左上がり軸線方向の傾斜補正板12の他方向の傾斜角度を測定するものである。そして、これらの傾斜角度測定値に基づき、後述する傾斜角度補正工程において傾斜補正板12を水平に角度補正する。
【0074】
次に、上記傾斜角度測定工程により測定された傾斜角度に基づき、傾斜補正板12を水平に角度補正する傾斜角度補正工程について説明する。この工程の前の傾斜角度測定工程において、一方の傾斜角度測定器26Aにより測定された傾斜角度測定値に基づき、図4又は図5に示す一方の補正モータ21Aを傾斜補正量だけ回動させて、チェンスプロケット23A、チェン24A及びチェンスプロケット17Aを介して一方の補正駆動軸13Aを回動させる。
【0075】
この一方の補正駆動軸13Aの回動により、図4に示す他方の補正駆動軸13Bの図5に示す球面軸受部(14B,15B)の揺動中心と、保持軸13Cの図6に示す球面軸受部(14C,15C)の揺動中心とを結ぶ軸線を傾斜軸線にして、補正駆動軸13B及び保持軸13Cが傾斜補正板12とともに傾斜され、一方の補正駆動軸13Aのねじリードによりその角度補正分だけ、補正駆動軸13Aの軸線上における取付け板11に対する傾斜補正板12の間隔が加減されて、傾斜補正板12は水平角度に補正される。
【0076】
また、他方の傾斜角度測定器26Bにより測定された傾斜角度測定値に基づき、他方の補正モータ21Bを傾斜補正量だけ回動させて、チェンスプロケット23B、チェン24B及びチェンスプロケット17Bを介して他方の補正駆動軸13Bを回動させる。この他方の補正駆動軸13Bの回動により、図4に示す一方の補正駆動軸13Aの図5に示す球面軸受(14A,15A)の揺動中心と、保持軸13Cの図6に示す球面軸受部(14C,15C)の揺動中心とを結ぶ軸線を傾斜軸線にして、補正駆動軸13A及び保持軸13Cが傾斜補正板12とともに傾斜され、補正駆動軸13Bのねじリードによりその角度補正分だけ、補正駆動軸13Bの軸線上における取付け板11に対する傾斜補正板12の間隔が加減されて、傾斜補正板12は水平角度に補正される。
【0077】
そして、一方の傾斜角度測定器26Aにより傾斜補正板12の一方向の傾斜角度を測定して、一方の補正モータ21Aを傾斜補正量だけ回動させるとともに、他方の傾斜角度測定器26Bにより傾斜補正板12の他方向の傾斜角度を測定して、この傾斜角度測定値に基づき他方の補正モータ21Bを傾斜補正量だけ回動させて、傾斜補正板12の水平姿勢を維持するようにしたので、埋設管2がローリング及びピッチングのいずれの方向へ姿勢変化しても、傾斜補正板12とともに屈折角度測定器31及び一対の測定アーム42,44を水平姿勢に維持することにより、埋設管2の姿勢変化による屈折角度の測定誤差が生じないようにすることができる。
【0078】
次に、屈折角度測定器31により設計上の敷設ルートに対する左への屈折角度を測定する屈折角度測定工程について説明する。この屈折角度測定工程における屈折角度の測定は、掘進機3が所定距離だけ前方へ掘進した所定の測定点ごとに測定するものであって、例えば、図1に示す配置は、すでに掘進が進捗している途上を示し、掘進機3の後方に3個の埋設管2がすでに埋設され、これらのうち左右の埋設管2にそれぞれ角度測定装置10が配設されている。
【0079】
これらの角度測定装置10には、図7及び図8に示す屈折角度測定部30をそれぞれ備え、その屈折角度測定器31により、発進立坑1の測定対象位置Pから掘進機3の現在位置である測定対象位置Pの間の掘進角度を測定する。この図1に示す掘進機3の現在位置が、図9における測定対象位置Pにあると仮定すると、この間に設置された2個の屈折角度測定器31により、屈折角度θ、θ及びθを測定することができる。
【0080】
この屈折角度測定器31の図7及び図8に示す固定子31aと回動子31bとには、それぞれ測定アーム42,44を取着し、それぞれの先端に伸縮可能なテグス46,48を掛止して、それぞれの多端部を測定対象位置PからPの間のそれぞれの測定アーム42,44と、測定対象位置P及びPとに結び、かつ、予め張力を付与した状態でそれぞれ掛止する。
【0081】
そして、屈折角度θ乃至θは、前記屈折角度測定器31の固定子31aと回動子31bとの相対回動角度変位量を検出して測定される。これら屈折角度θ乃至θの測定値は、図示しない制御手段の記憶部に記憶され、これらの測定値に基づき、後述する偏差距離演算工程において、図9に示す設計上の敷設ルートRに対する各位置の左右への偏差距離y乃至yが演算される。
【0082】
次に、前記屈折角度測定工程により測定された屈折角度に基づき設計上の敷設ルートに対する左右への偏差距離を演算する偏差距離演算工程について説明する。この工程の前の屈折角度測定工程において測定され記憶部に記憶された、測定対象位置PからPの間の設計上の敷設ルートRに対する屈折角度θ乃至θに基づき、図示しない制御手段の演算部により以下の演算をする。まず、測定対象位置Pにおける設計上の敷設ルートRに対する偏差距離yは、測定対象位置PからPの間の直線距離Lが分かっているので、この直線距離Lと測定された屈折角度θとから偏差距離y=L・sinθを求めることができる。
【0083】
同様に測定対象位置Pにおける偏差距離yは、直線距離Lと測定された屈折角度θとから距離a=L・sinθを求め、設計上の敷設ルートRに対する偏差距離y=a−yを求めることができる。また、同様に測定対象位置Pにおける偏差距離yは、直線距離Lと測定された屈折角度θとから距離a=L・sinθを求め、設計上の敷設ルートRに対する偏差距離y=a−yを求めることができる。また、図9に示す測定対象位置Pにおける偏差距離yも同様にして求めることができる。
【0084】
次に、前記偏差距離演算工程により演算された偏差距離に基づき掘進機が設計上の敷設ルートに復帰すべく当該掘進機の掘進方向を修正する屈伸方向修正工程について説明する。この工程では、前記偏差距離演算工程において演算された各測定対象位置P乃至Pにおける各偏差距離y乃至yに基づいて、掘進機3を設計上の敷設ルートに復帰すべく、当該掘進機3の掘進方向を修正する。この掘進機3の掘進方向を修正するには、図1に示す掘進機3の装備筒体3e内に設けた操舵用の複数個の主ジャッキ3c、又は装備筒体3d内に設けた複数個の副ジャッキ3dにより実行する。
【0085】
例えば、掘進機3が図9に示す測定対象位置Pまで掘進している場合内は、次の測定対象位置Pまで掘進した際には設計上の敷設ルートR上に到達すべく、前工程において演算された設計上の敷設ルートRに対する偏差距離yに基づいて、複数個の主ジャッキ3cのうちの上視左側の主ジャッキ3cのストローク長を上視右側の主ジャッキ3cのストローク長よりも短く設定して、掘進機3の掘進方向を左寄りに修正する。また、掘進機3の掘進方向を左右へ制御する操作は、設計上の敷設ルートに対する偏差距離の修復のための他に、敷設ルートが湾曲している場合には、掘進機3を左又は右方向へ旋回させて掘進しなければならない。
【0086】
この場合において、例えば設計上の敷設ルートRの曲率半径が小さい場合等で、前記主ジャッキ3cの左右のストローク差のみでは設計上の敷設ルートRの曲率半径に沿って掘進できない際には、前記主ジャッキ3cに加え、複数個の副ジャッキ3dの左右のストローク差を併用して操作する。なお、図9に示す偏差距離y乃至yの表示が、それぞれの直線距離L乃至Lに対して過大に表示されているが、これは実際的な数値に基づく表示ではなく、図の明瞭化のために過大表示したものである。
【0087】
次に、前記掘進機3の後方又は前記埋設管の最後部の後方若しくは最前部の前方に新たな埋設管を敷設する敷設工程について説明する。この工程では、掘進機3の後方に新たな埋設管2が増設可能な所定距離だけ、掘進機3が掘進された所定距離ごとに新たな埋設管2を埋設するものであるが、図1に示す配置は、すでに掘進が進捗している途上を示すものであって、掘進機3の後方に3個の埋設管2がすでに埋設され、これらのうち左右の埋設管2にそれぞれ角度測定装置10が配設されている進捗状況を示すものである。
【0088】
これらの埋設管2は、掘進当初の掘進機3の後方には存在しておらず、掘進当初の掘進機3は発進立坑1内にあって推進駆動装置4により後方から直接押圧されて水平前方向へ掘進する。この掘進が進捗して、掘進機3の後面と推進駆動装置4の前面との間に、埋設管2が装入可能な所定距離(推進駆動装置4の押圧子が後退端位置での距離)だけ掘進した時点において、掘進機3の後部に予め角度測定装置10が内設された埋設管2を載置して、その前面部と掘進機3の後部とを接続する。
【0089】
この接続された埋設管2の後方から推進駆動装置4により掘進機3と埋設管2とを押圧して、埋設管2の後面と推進駆動装置4の前面との間に、新たな埋設管2が装入可能な所定距離だけ掘進した時点において、新たな埋設管2を載置して、この新たな埋設管2の前面部と掘進機3の後部とを接続する。これらの作業の繰返しにより、目的到達地点までの間に新たな埋設管2を順次増設しながら敷設を実施する。
【0090】
ここで、角度測定装置10により、設計上の敷設ルートRに対する屈折角度を測定する所定の測定点は、必ずしも増設されてゆく新たな埋設管2ごとに設置されるものではなく、埋設される埋設管2の長さや、敷設ルートの経路等により選択され、本例の場合には、1個おきの埋設管2に設置されている。したがって、角度測定装置10による屈折角度の測定は、角度測定装置10を内設した埋設管2が発進立坑1内に載置され、前方の埋設管2と接続された時点ごとに実施される。
【0091】
なお、角度測定装置10が内設された新たな埋設管2が載置された際には、図1に示す角度測定装置10の一対の測定アーム42,44と測定対象位置P,Pとをそれぞれのテグス46,48で結び、予め張力を付与した状態でそれぞれ掛止するとともに、新たな埋設管2の前方を掘進機3又は前方の埋設管2と接続してから屈折角度の測定をする。また、その屈折角度の測定の際には、図7に示す一方の測定アーム42の下面に取付けられた発振器49は、振動による測定誤差を防止するために、その発振を停止させてから測定する。
【0092】
また、図示しないセグメント管を埋設する際には、セグメント管を埋設する地中に掘進機3を推進させて、所定の距離だけ推進するごとに、掘進機3の後方にセグメントを組付けてセグメント管を構成する。この場合における角度測定装置10の設置は、上記円筒状の埋設管2の場合が後方側へ順次増設してゆくのとは逆に、前方側へ順次増設してゆくものである。
【0093】
なお、本発明に係る掘進機の位置測定に用いる角度測定装置又は掘進機の推進工法の実施の形態においては、設計上の敷設ルートを直線状で説明したが、この直線上の敷設ルートに限定されるものではなく、湾曲ルートにも適用できるものである。また、上記実施の形態では、傾斜補正板12を水平に補正する駆動手段の補正駆動軸13A,13Bと保持軸13Cとは3本で構成し、一方向の傾斜角度とこの一方向と直交する他方向の傾斜角度とを補正するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば4本にして、一方向の傾斜角度とこの一方向と直交する他方向の傾斜角度とを補正するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態に係る角度測定装置が使用される地中の形態を示す縦断面図である。
【図2】角度測定装置が組込まれる埋設管内を示す縦断面図である。
【図3】角度測定装置が組込まれる埋設館内を示す図2の左側面図である。
【図4】角度測定装置の外観を示す平面図である。
【図5】角度測定装置を示す図4のA−A矢視断面図である。
【図6】角度測定装置を示す図4のB−B矢視断面図である。
【図7】屈折角度測定器を示す図4のC−C矢視断面図である。
【図8】屈折角度測定器を示す図7のD−D矢視平面図である。
【図9】屈折角度測定器の測定値に基づき設計上の敷設ルートに対する偏差距離を演算する説明図である。
【符号の説明】
【0095】
1 発進立坑
2 埋設管
3 掘進機
4 推進駆動装置
5 排泥管
7 枠体
7a 天板
9 キャスタ
10 角度測定装置
11 取付け板
12 傾斜補正板
13A,13B 補正駆動軸
13C 保持軸
20 傾斜角度補正部
21A,21B 補正モータ
26A,26B 傾斜角度測定器
30 屈折角度測定部
31 屈折角度測定器
31a 固定子
31b 回動子
42,44 測定アーム
46,48 テグス
49 発振器
乃至P 測定対象位置
R 設計上の敷設ルート
乃至y 偏差距離
θ乃至θ 屈折角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中を掘進する掘進機の後方に埋設管を順次敷設する推進工法における掘進機の位置測定に用いる角度測定装置であって、
上記埋設管内で略水平に取り付けられる取付け板と、この取付け板の下方に傾斜角度変更可能に保持された傾斜補正板と、この傾斜補正板に取り付けられ該傾斜補正板の傾斜角度を測定する傾斜角度測定器と、この傾斜角度測定器により測定された傾斜角度に基づき上記傾斜補正板を水平に角度補正する補正駆動手段と、前記傾斜補正板に保持され設計上の敷設ルートに対する左右への屈折角度を測定する屈折角度測定器と、この屈折角度測定器の固定子と回動子とにそれぞれ取着された一対の測定アームと、これら一対の測定アームのそれぞれの先端部に掛止される伸縮可能な一対の弾性線材と、を備えてなることを特徴とする掘進機の位置測定に用いる角度測定装置。
【請求項2】
前記傾斜角度測定器は、前記傾斜補正板の一方向の傾斜角度を測定する一方の傾斜角度測定器と、この一方向の傾斜角度と直交する他方向の傾斜角度を測定する他方の傾斜角度測定器と、を有し、前記補正駆動手段は、前記一方の傾斜角度測定器による測定値に基づき前記傾斜補正板の一方向の傾斜角度を水平に補正する一方の補正駆動手段と、前記他方の傾斜角度測定器による測定値に基づき前記傾斜補正板の他方向の傾斜角度を水平に補正する他方の補正駆動手段と、を備えてなることを特徴とする請求項1記載の掘進機の位置測定に用いる角度測定装置。
【請求項3】
前記一方及び他方の補正駆動手段は、前記傾斜補正板に螺合され該傾斜補正板を一方向及び他方向にそれぞれ傾斜させる一方及び他方の補正駆動軸と、これら一方及び他方の補正駆動軸をそれぞれ回動させる一方及び他方の補正モータと、からなり、前記一方及び他方の傾斜角度測定器によるそれぞれの測定値に基づき上記一方及び他方の補正モータにより一方及び他方の補正駆動軸をそれぞれ回動させて、前記傾斜補正板の一方向及び他方向の傾斜角度を水平にそれぞれ補正するようにしたことを特徴とする請求項2記載の掘進機の位置測定に用いる角度測定装置。
【請求項4】
前記屈折角度測定器の近傍には、該屈折角度測定器の固定子と回動子とを支承する軸受部に振動を付与可能な発振器が取付けられてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の掘進機の位置測定に用いる角度測定装置。
【請求項5】
前記取付け板は、少なくとも天板と側板とを備えてなる枠体の該天板の下面に取付けられ、この枠体には、前記埋設管内を該埋設管の軸線方向に転動するキャスタが配設されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の掘進機の位置測定に用いる角度測定装置。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載の掘進機の位置測定に用いる角度測定装置を前記埋設管内に配設する配設工程と、前記傾斜角度測定器により前記傾斜補正板の傾斜角度を測定する傾斜角度測定工程と、この測定された傾斜角度に基づき前記傾斜補正板を水平に角度補正する傾斜角度補正工程と、前記屈折角度測定器により設計上の敷設ルートに対する左右への屈折角度を測定する屈折角度測定工程と、この測定された屈折角度に基づき設計上の敷設ルートに対する左右への偏差距離を演算する偏差距離演算工程と、この演算された偏差距離に基づき掘進機が設計上の敷設ルートに復帰すべく該掘進機の掘進方向を修正する屈伸方向修正工程と、前記掘進機の後方に新たな埋設管を敷設する敷設工程と、により所定の測定点ごとで上記各工程を繰り返して掘進機を順次掘進させる掘進機の推進工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−14738(P2008−14738A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185151(P2006−185151)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(596119571)サン・シールド株式会社 (7)
【Fターム(参考)】