説明

採血台

【課題】衛生的であり、かつ低コストで速やかな採血が実現される採血台を提供する。
【解決手段】採血台10は、被採血者の身体の一部を支持しうる支持面を有する支持台11と、支持台11に回転自在に支持されて、帯状シート12が巻出し可能に巻回された第1芯材13と、支持台11に回転自在に支持されて、第1芯材13から支持面を覆うように巻き出された帯状シート12が巻取り可能に連結された第2芯材14とを具備する。採血が行われた後に、支持面を覆っていた帯状シート12が第2芯材14に巻き取られるともに、第1芯材13から帯状シート12の未使用部分が支持面へ供給される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血において被採血者の身体の一部を支持する採血台に関し、特に、身体の一部を支持する支持面がシートで覆われた採血台に関する。
【背景技術】
【0002】
血液検査などのために行われる採血においては、注射器や真空採血管のホルダーなどに取り付けされた採血針が、腕などの被採血者の身体の一部において静脈に到達するまで刺通される。その際、採血針が刺通される身体の一部を安定して載置するために採血台が使用される。この採血台には、作業台などに置かれる枕形状のものや、床に載置できる脚を備えたものなどの様々の形態がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
従来の採血台において、身体の一部が載置される部材は、クッション材などの比較的柔らかな部材からなり、そのクッション材などの部材において身体の一部と接触する支持面は、衛生的な観点から布などで覆われている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−68224号公報
【特許文献2】特開平8−266519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば職場における健康診断のように、多数の被採血者から連続して採血を行うような場合には、複数の被採血者に対して採血台が使い回されることがある。採血において、採血台に血液が飛散する場合もあり、他人の血液が付着した採血台をそのまま再使用することは非衛生的であるばかりか、感染症の感染ルートとなりかねない。また、血液が付着していないとしても、他人の身体が接触した採血台がそのまま再使用されることは衛生的とは言い難い。しかし、被採血者が代わる毎に、採血台を取り替えたり、採血台をディスポーザブルとするのでは、採血に要するコストが高くなる。また、採血台のうち、支持面を覆う布などのみを交換することは、採血作業が非効率となる。
【0006】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、衛生的であり、かつ低コストで速やかな採血が実現される採血台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明にかかる採血台は、被採血者の身体の一部を支持しうる支持面を有する支持台と、上記支持台に帯状のシートを供給する供給手段と、上記供給手段から供給されて上記支持面を覆うシートを引き込んで収容する収容手段と、を具備する。
【0008】
本発明にかかる採血台は、採血において被採血者の身体の一部を支持する。この身体の一部とは、腕や脚などであるが、一般的には腕である。身体の一部を支持する支持面は支持台の一部であり、一般的には支持台の上面となる。この支持面は、帯状のシートで覆われる。帯状のシートは、例えば、布、紙、その他の血液を吸収可能な素材からなるシートであって、支持台の支持面をほぼ覆うことができる幅であり、かつ支持面より十分に長い帯状である。帯状のシートは、洗濯などによって繰り返し使用されるものであってもよいが、衛生上や感染防止という観点からはディスポーザブルであることが好ましい。
【0009】
帯状のシートは、供給手段から供給される。供給手段は、後述されるように帯状のシートが巻回された第1芯材や、帯状のシートが折り畳まれて積層状態に収容された空間などに例示されるものである。供給手段から供給されたシートは、支持台の支持面を覆う。支持面を覆うシートは、収容手段により引き込み可能である。収容手段は、後述されるように帯状のシートを巻取り可能な第2芯材や、帯状のシートを狭持して収容空間へ搬送する一対のローラ対などに例示されるものである。
【0010】
採血台が使用される際には、シートで覆われた支持面に被採血者の身体の一部が支持される。そして、採血が行われた後、収容手段によって支持面を覆うシートが引き込まれる。これに伴って、供給手段から、シートの未使用部分が支持面へ供給されて支持面を覆う。これにより、被採血者の身体の一部は、常に新しいシート上に支持される。
【0011】
(2) 上記供給手段は、上記支持台に回転自在に支持されて、帯状のシートが巻出し可能に巻回された第1芯材を有するものであってもよい。
【0012】
帯状のシートは、第1芯材に巻回されている。第1芯材は、例えば、筒形状や柱形状の部材である。第1芯材の軸方向とシートの幅方向とが合致されて、シートが第1芯材に巻回されている。この第1芯材は、支持台に回転自在に支持されている。第1芯材が回転されるとともに、第1芯材に巻回されたシートが、長さ方向へ取り出される。このように第1芯材の回転によってシートが取り出される態様が、本発明において「巻出し可能」と称される。これにより、帯状のシートがコンパクトに収容され、かつ容易に供給可能となる。なお、第1芯材の回転は、手動であっても、モータなどの駆動源を用いてもよい。
【0013】
(3) 上記収容手段は、上記支持台に回転自在に支持されて、上記支持面を覆うシートが巻取り可能に連結された第2芯材を有するものであってもよい。
【0014】
支持台の支持面を覆うシートの一端側が第2芯材に連結されている。第2芯材は、例えば、筒形状や柱形状の部材である。第2芯材の軸方向とシートの幅方向とが合致されて、シートの先端側が第2芯材に連結されている。この第2芯材は、支持台に回転自在に支持されている。第2芯材が回転されるとともに、支持台の支持面を覆っているシートが第2芯材に巻回される。このように第2芯材の回転によってシートが巻回される態様が、本発明において「巻取り可能」と称される。これにより、帯状のシートがコンパクトに収容され、かつ容易に引き込み可能となる。なお、第2芯材の回転は、手動であっても、モータなどの駆動源を用いてもよい。
【0015】
(4) 上記第1芯材及び上記第2芯材の少なくとも一方は、上記支持台に対して着脱可能であってもよい。
【0016】
これにより、帯状のシートをすべて使用した後、新しいシートが巻回された第1芯材及び第2芯材に取り替えれば、支持台が再使用できる。また、使用後の第1芯材は、新しいシートを巻回すれば再使用できる。
【0017】
(5) 上記第2芯材の一端に、第2芯材と共に回転する持ち手が設けられてもよい。
【0018】
持ち手としては、例えば、第2芯材の一端に設けられたダイヤル形状のものなど、指で挟み持てるものがあげられる。この持ち手によって、手動によって第2芯材を回転する際の操作性が向上される。
【0019】
(6) 上記支持台は、上記支持面を有する弾性変形部材と、上記弾性変形部材を支持する支持板、及び当該支持板から下方へ延出された一対の脚部を有する台本体と、を具備するものであってもよい。そして、上記第1芯材及び上記第2芯材は、各々の両端が上記一対の脚部にそれぞれ支持されてもよい。
【0020】
弾性変形部材は、例えばスポンジや低反発ポリウレタンなどからなる。この弾性変形部材により支持面が構成されることによって、支持される身体の一部に、痛みの少ない柔らかな感触を与えることができる。この弾性変形部材は、支持板に支持されており、この支持板は、一対の脚部により作業台上などにおいて所定の高さに支持される。第1芯材及び第2芯材は、各々軸方向の両端が一対の脚部にそれぞれ支持されて回転自在である。換言すれば、第1芯材及び第2芯材は、支持板の下方において、一対の脚部に架設されている。これにより、支持板の下方の空間を第1芯材、第2芯材、及びこれらに巻回された帯状のシートの収容空間として、採血台をコンパクトにできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、被採血者の身体の一部を支持する支持面が帯状のシートで覆われ、採血が行われた後に、支持面を覆っていたシートが収容手段に引き込まれるとともに、供給手段からシートの未使用部分が支持面へ供給されるので、各被採血者の身体の一部は、常に新しいシート上に支持される。したがって、衛生的な採血台が実現される。また、供給手段及び収容手段によって、支持面を覆うシートを連続して交換できるので、低コストで速やかな採血が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
【0023】
[図面の説明]
図1は、本発明の実施形態にかかる採血台10の外観構成を示す斜視図である。図2は、支持台11の外観構成を示す斜視図である。図3は、第1芯材13の外観構成を示す分解斜視図である。図4は、図1におけるIV−IV断面を示す断面図である。図5は、図1におけるV−V断面を示す断面図である。図6は、変形例にかかる採血台10のIV−IV断面を示す断面図である。
【0024】
[採血台10の概略構成]
図1に示されるように、採血台10は、採血が行われる作業台や机上に載置可能なほぼ直方体形状であり、採血に際して被採血者の身体の一部が採血台10上に載置されることにより、身体の一部を支持する。採血台10が支持しうる身体の一部は特に限定されないず、採血針を刺通する静脈が存在する腕や脚などの任意の箇所があげられるが、採血台10は、主として下腕部が肘を下側として載置されることが想定されたものである。この採血台10は、支持台11、帯状シート12、第1芯材13、及び第2芯材14を主要な部材として構成されている。
【0025】
[支持台11]
図2に示されるように、支持台11は、主として、台本体20と、台本体20に支持された弾性変形部材21とから構成されている。台本体20は、その縦断面(例えば図5参照)において下側が開放されたコの字形状をなしており、そのコの字形状の天板となる支持板22と、一対の脚部23,24とからなる。支持板22は、平面視が長方形の平板である。支持板22の長手方向の両縁から下方へ向かって一対の脚部23,24がそれぞれ延出されている。この支持板22及び脚部23,24は一つの部材として一体に形成され、正面視(図2において矢印25で示される方向)において下側が開放したコの字形状をなしている。一対の脚部23,24によって、支持板22が作業台などの上面から所定の高さに水平に支持される。なお、各図には示されていないが、一対の脚部23,24の底面に、ゴムなどの静摩擦係数が高い部材が設けられると、作業台などの上面において支持台11が滑らないので好適である。
【0026】
一対の脚部23,24には、後述される第1芯材13及び第2芯材14を回転自在に支持する軸孔26,27,28,29が設けられている。各軸孔26〜29は、一対の脚部23,24の所定の位置において厚み方向に貫通されている。軸孔26,27は、第1芯材13を支持すべく一対をなしており、脚部23,24にそれぞれ形成されている。軸孔28,29は、第2芯材14を支持すべく一対をなしており、脚部23,24にそれぞれ形成されている。なお、図2においては、脚部24に形成された軸孔27,29が現れていない。
【0027】
脚部23において、軸孔26は、小径部30と大径部31とが同じ軸線34上に形成されている。脚部23において他方の脚部24と対抗する内面側に小径部30が配置され、外面側に大径部31が配置されている。小径部30は、後述される第1芯材13の軸部40の外径に対応した内径であって、軸部40を軸支する。大径部31は、第1芯材13の持ち手41の外径に対応した内径であって、持ち手41が回転自在に嵌合される。小径部30及び大径部31の軸線34方向の長さは特に限定されないが、本実施形態では、小径部30及び大径部31のそれぞれが脚部23の厚みの約半分に相当する。図2には、現れていないが、脚部24に形成された軸孔27は、小径部30と同等の内径であって軸線34上に形成されており、小径部30と相まって軸部40を軸支する。
【0028】
脚部23において、軸孔28は、小径部32と大径部33とが同じ軸線35上に形成されている。脚部23において他方の脚部24と対抗する内面側に小径部32が配置され、外面側に大径部33が配置されている。小径部32は、後述される第2芯材14の軸部50の外径に対応した内径であって、軸部50を軸支する。大径部33は、第2芯材14の持ち手51の外径に対応した内径であって、持ち手51が回転自在に嵌合される。小径部32及び大径部33の軸線35方向の長さは特に限定されないが、本実施形態では、小径部32及び大径部33のそれぞれが脚部23の厚みの約半分に相当する。図2には、現れていないが、脚部24に形成された軸孔29は、小径部32と同等の内径であって軸線35上に形成されており、小径部32と相まって軸部50を軸支する。
【0029】
支持台11が、水平な作業台の上面などに置かれた状態に置いて、各脚部23,24に形成された各軸孔26〜29は、各々の軸線34,35の高さが同等であって、かついずれもが水平方向となるように配置される。また、脚部23における軸孔26と軸孔28とは、支持板22の長手方向に沿って離間されている。図2には現れていないが、同様に、脚部24における軸孔27と軸孔29とは、支持板22の長手方向に沿って離間されている。つまり、軸線34と軸線35とが、支持板22の長手方向に沿って離間されている。この軸孔26,27と軸孔28,29との離間距離は、第1芯材13に巻かれている帯状シート12の厚みや、第2芯材14に巻き取られる帯状シート12の厚みを考慮して設定されており、各軸孔26〜29に第1芯材13及び第2芯材14が軸支された状態において、第1芯材13に巻かれた帯状シート12と第2芯材14に巻き取られた帯状シート12とが相互に接触しない程度に離間されている。
【0030】
支持板22の上面には、弾性変形部材21が固定されている。弾性変形部材21は、平面視が長方形の平板であり、その短手方向が、支持板22の短手方向の長さから脚部23,24の各厚みを差し引いた分より若干だけ狭く、その長手方向が支持板22の長手方向と同等である。弾性変形部材21は、低反発ウレタンを主要な素材として形成されており、外力に対して容積を収縮するように弾性変形可能である。このような弾性変形部材21が、長手方向の両端(小口面)を支持板22の両端(小口面)と揃えるようにして、支持板22の上面に固定されている。支持板22に固定された弾性変形部材21の上面が、採血の際に被採血者の身体の一部を支持しうる支持面となる。
【0031】
図1に示されるように、弾性変形部材21の上面、つまり支持面は、帯状シート12で覆われる。帯状シート12は、例えば、布、紙、その他の血液を吸収可能な素材からなるシートである。帯状シート12の幅は、弾性変形部材21の短手方向の長さと同等である。また、帯状シート12の長さは、弾性変形部材21の長手方向の長さより十分に長く、後述されるように、第1芯材13に複数回巻き付けられている。したがって、帯状シート12は、弾性変形部材21の上面をほぼ覆うことができる。
【0032】
帯状シートが巻き付けられている第1芯材13と、帯状シート12が巻き取られる第2芯材14とは同じ構造であるので、以下には、第1芯材13を例に詳細な構造が説明される。なお、第1芯材13は、本発明における供給手段の一例であり、第2芯材14は、本発明における収容手段の一例である。
【0033】
図3に示されるように、第1芯材13は、軸部40と持ち手41とからなる。軸部40は、ほぼ円筒形状であり、その軸線42方向の長さは、一対の脚部23,24の離間距離より若干長い。また、軸部40の外径は、軸線42方向に対して一定であり、前述されたように、軸孔26の小径部30及び軸孔27に回転自在に嵌合される大きさである。軸部40の第1端43側には、第1端43から軸線42方向に若干の距離が隔てられて鍔部45が設けられている。鍔部45は、その外径が軸部40の円筒部分の外径より大きな円盤形状である。図5に示されるように、鍔部45より第1端43側の一部が、軸孔26の小径部30に嵌入される。一方、軸部40の第2端44側が、軸孔27に嵌入される。これにより、軸部40は、第1端43及び第2端44が一対の脚部23,24にそれぞれ支持される。なお、図3には示されていないが、軸部40には、後述されるように帯状シート12が巻かれるために、帯状シート12の一端を固定するための切込みや接着部位が適宜設けられる。
【0034】
持ち手41は、軸部40の第1端43に取り付けられる。持ち手41は、円盤部46、つまみ部47及び貫入部48からなる。円盤部46は、その外径が軸部40の外径より大きな円盤形状であり、その外径は軸孔26の大径部31にほぼ合致する。また、円盤部46の厚みは、大径部31の深さより若干小さい。したがって、円盤部46は、大径部31内に嵌入されうる。円盤部46には、その表面から外側へ突出されて直径方向に延びるつまみ部47が設けられている。つまみ部47は、円盤部46が大径部31に嵌入された状態において、その先端側の一部が大径部31から外側へ突出される。つまみ部47の両側は円盤部46の表面であり、つまみ部47を指で挟みながら回転させると、円盤部46が大径部31内において回転されうる。円盤部46の裏面には、貫入部48が突出されている。貫入部48は、軸部40の内径とほぼ合致する円筒形状である。貫入部48が軸部40の内空に貫入されることによって、軸部40の第1端43に持ち手41が固定されて、持ち手41と軸部40とが一体に回転される。したがって、つまみ部47に付与された回転が、軸部40に伝達されて、持ち手41と軸部40とが一体に回転する。
【0035】
なお、第2芯材14の詳細な構造の説明は省略されるが、第2芯材14も、第1芯材13と同様の軸部50及び持ち手51からなる。そして、図5に示される第1芯材13と同様にして、軸部50の両端(第1端及び第2端)が、軸孔27の小径部33と軸孔29とにそれぞれ嵌入されて、軸部50が一対の脚部23,24にそれぞれ支持される。また、軸部50には、後述されるように帯状シート12が巻き取られるために、帯状シート12の一端を固定するための切込みや接着部位が適宜設けられる。持ち手51は、軸部50の第1端に固定されて、軸部50と一体に回転する。
【0036】
図4に示されるように、帯状シート12は、第1芯材13に巻回されている。第1芯材13の軸部40の軸線42と帯状シート12の幅方向とが合致されて、帯状シート12が軸部40に巻回されている。帯状シート12の巻き数は特に限定されず、帯状シート12が巻回された第1芯材13が、台本体20における支持板22の下方の空間に収まる大きさであればよい。第1芯材13に巻回された帯状シート12は、長さ方向へ取り出されて、台本体20の背面側(図4における矢印36)へ延び、さらに支持板22及び弾性変形部材21の小口面に沿って上方へ延出されて、弾性変形部材21の上面(支持面)に至る。そして、帯状シート12が台本体20の正面側(図4における矢印25)へ延出されて、弾性変形部材21の上面が帯状シート12で覆われている。
【0037】
弾性変形部材21の上面を覆った帯状シート12は、台本体20の正面側において弾性変形部材21及び支持板22の小口面に沿って下方へ延出され、さらに支持板22の下方の空間へ延出されて第2芯材14の軸部50に連結されている。軸部50においても、軸部40と同様に、軸部50の軸線方向と帯状シート12の幅方向とが合致されている。
【0038】
このように、その長さ方向の両端が第1芯材13及び第2芯材14にそれぞれ連結された帯状シート12は、第1芯材12が図4における時計回り方向へ回転されると第1芯材12から取り出されて、弾性変形部材21の上面へ供給される。このように第1芯材13の回転によって帯状シート12が取り出される態様が、本発明において「巻出し可能」と称される。一方、第2芯材14が図4における時計回り方向へ回転されると、帯状シート12が第2芯材14に巻回されて、弾性変形部材21の上面から引き込まれて収容される。このように第2芯材14の回転によって帯状シート12が巻回される態様が、本発明において「巻取り可能」と称される。
【0039】
第1芯材13及び第2芯材14は、支持台11に対して着脱可能である。なお、第1芯材13が支持台11に支持されている構造と、第2芯材14が支持台11に支持されている構造とは、その位置が異なる他は同等なので、以下に、第1芯材13を例として、その着脱方法が説明される。
【0040】
図5に示されるように、帯状シート12が巻回された第1芯材13は、支持板22の下方において、脚部23,24に形成された軸孔26,27にそれぞれ嵌入されて回転自在に支持されている。軸孔26においては、小径部30に軸部40の第1端43が嵌入されている。第1端43は、軸部40に設けられた鍔部45が脚部23の内面に当接するまで小径部30に嵌入されている。この状態において、第1端43は、小径部30内にある。持ち手41は、脚部23の外面側から大径部31に嵌入されている。持ち手41の円盤部46が大径部31の奥面に当接するまで嵌入されると、貫入部48が軸部40内へ圧入される。これにより、脚部23を鍔部45と円盤部46とによって狭持した状態で、軸部40と持ち手41とが連結される。一方、軸部40の第2端44は、脚部24の軸孔27に嵌入されている。軸部40の第2端44側は、軸孔27に対して軸線34方向への移動が許容されているが、前述されたように、鍔部45と円盤部46とが脚部23を狭持していることにより、第1芯材13は軸線34方向に対して移動せずに、軸線34回りに回転自在となる。
【0041】
第1芯材13を支持台11から取り外す際には、持ち手41が軸部40から外される。持ち手41を脚部23の外側へ引き出すと、軸部40内に圧入されていた貫入部48が引き抜かれ、持ち手41が軸部40から外れうる。持ち手41が外されると、軸部40は、軸線34に対して、第2端44を脚部24の外側へ突出させる方向(図5における左方向)へ移動可能となる。そのように軸部40を移動させると、軸孔27において第2端44が脚部24の外面側へ移動するとともに、軸孔26において第1端43が脚部23の内面側へ移動して、第1端43が軸孔26から抜け出る。軸孔26から抜け出た第1端43を、脚部23の下側へ移動させると、軸部40の第2端44を軸孔27から抜き取ることができる。このようにして、第1芯材13が支持台11から取り外される。なお、軸部40の第1端43を脚部23の下側へ移動させる際に、軸孔27に対して第2端44付近をこじることになるが、軸孔27と軸部40とのガタや、図5に示されるように、脚部24の内面側に軸孔27を拡径するテーパ部37が設けられることによって、軸孔27に対して第2端44付近をこじることが可能となる。なお、第1芯材13を支持台11に取り付ける際には、この逆の手順を行えばよい。
【0042】
[使用方法]
採血台10が使用される際には、帯状シート12で覆われた弾性変形部材21の上面に被採血者の身体の一部、例えば下腕部が載置される。そして、注射器や真空採血管などを用いて公知の手法によって採血が行われる。採血後、第2芯材14の持ち手51を、図1において時計回り方向へ回転する。図4に示されるように、第2芯材14の軸部50が時計回り方向へ回転すると、帯状シート12が矢印60の方向へ移動しながら軸部50に巻き取られる。これに伴い、弾性変形部材21の上面においては、帯状シート12が矢印61の方向へ移動する。また、第1芯材13の軸部40に巻回されている未使用の帯状シート12は、矢印62の方向へ巻き出される。弾性変形部材21の上面を覆っていた帯状シート12が、第1芯材13に巻回されていた未使用の帯状シート12に完全に置き換えられるまで、第2芯材14を回転する。そして、弾性変形部材21の上面を未使用の帯状シート12に置き換えた後に、次の被採血者の身体の一部が、未使用の帯状シート12で覆われた弾性変形部材21の上面に載置される。さらに、次の被採血者に対しても、同様の作業が行われて、常に未使用の帯状シート12で覆われた弾性変形部材21の上面に被採血者の身体の一部が載置される。
【0043】
第1芯材13に巻回されていた帯状シート12がすべて使われると、第2芯材14に使用後の帯状シート12が巻回された状態になる。そうすると、これら第1芯材13及び第2芯材14を、前述されたようにして支持台11から取り外す。そして、新たな第1芯材13及び第2芯材14を支持台11に取り付ける。新たな第1芯材13には、未使用の帯状シート12が巻回されており、第2芯材14は、その帯状シート12の一端が連結されて帯状シート12を巻き取り可能である。
【0044】
なお、使用後の帯状シート12は、洗濯や滅菌が施されることによって繰り返し使用されてもよいが、衛生上や感染防止という観点からはディスポーザブルであることが好ましい。また、使用後の帯状シート12が取り外された第1芯材13及び第2芯材14は、滅菌などが施されて、新たな帯状シート12が巻回又は連結されることにより、再使用が可能である。
【0045】
[本実施形態の作用効果]
このように、本実施形態にかかる採血台10によれば、被採血者の身体の一部を支持する弾性変形部材21の上面が帯状シート12で覆われ、採血が行われた後に第2芯材14が回転されると、弾性変形部材21の上面を覆っていた帯状シート12が第2芯材14に巻き取られるとともに、第1芯材13から帯状シート12の未使用部分が弾性変形部材21の上面へ巻き出されるので、各被採血者の身体の一部は、常に新しい帯状シート12上に支持される。したがって、衛生的な採血台10が実現される。また、第2芯材14を回転させると連続して帯状シート12が交換できるので、低コストで速やかな採血が実現される。
【0046】
また、第1芯材13及び第2芯材14は、支持台11に対して着脱可能なので、第1芯材13に巻回された帯状シート12をすべて使用した後、新しい帯状シート12が巻回された第1芯材13及び第2芯材14に取り替えれば、支持台11を再使用でである。また、使用後の第1芯材13及び第2芯材14は、新しい帯状シート12を巻回又は連結すれば再使用できる。
【0047】
なお、本実施形態においては、各持ち手41,51が各軸部40,50から取り外されることによって、第1芯材13及び第2芯材14が支持台11に着脱可能とされているが、この着脱構造は、本実施形態に示される態様に限定されず、他の構成も採用されうることは言うまでもない。また、第1芯材13の軸部40及び第2芯材14の軸部50は、必ずしも各持ち手41,51と一体に交換される必要はない。例えば、新しい帯状シート12が別の軸部40に巻回されている態様であれば、持ち手41は再使用して、新しい帯状シート12が巻回された軸部40のみを使用後の軸部40と交換してもよい。また、本実施形態における第1芯材13及び第2芯材14の位置及び回転方向は相対的なものであり、支持台11における位置や、巻出し又は巻取りのための回転方向は適宜変更されてもよい。
【0048】
また、第2芯材14の一端に、軸部50と共に回転する持ち手51が設けられることによって、手動によって第2芯材14を回転する際の操作性が向上される。
【0049】
また、支持台11の支持面が弾性変形部材21の一部とされることによって、支持される身体の一部に、痛みの少ない柔らかな感触を与えることができる。
【0050】
また、弾性変形部材21が支持板22に支持されており、この支持板22が一対の脚部23,24により作業台上などにおいて所定の高さに支持されるので、第1芯材13及び第2芯材14を支持板22の下方において一対の脚部23,24に架設することができ、支持板22の下方の空間を第1芯材13、第2芯材14及び帯状シート12の収容空間として、採血台10をコンパクトにできる。
【0051】
なお、本実施形態においては、支持台11が下側が開放されたコの字形状の台本体20を有するが、本発明において、支持台は、そのようなコの字形状以外の形状が採用されてもよい。また、本実施形態では、弾性変形部材21は平面視が長方形の平板であるが、本発明において、弾性変形部材は、平面視が台形や正方形の平板などの他の形状が採用されてもよい。そのような弾性変形部材の支持面に対して、帯状のシートは、長手方向又は短手方向などのいずれの方向へ供給又は引き込まれてもよい。
【0052】
[変形例]
上記実施形態においては、本発明における供給手段が第1芯材13によって構成され、本発明における収容手段が第2芯材14によって構成されているが、本発明における供給手段及び収容手段は、他の態様が採用されうる。例えば、図6に示されるように、供給手段が第1収容空間71によって構成され、収容手段が第2収容空間72及びローラ対73,73によって構成されてもよい。なお、図6において、上記実施形態と同一の符号が付された部材は、同一の部材を示している。
【0053】
この変形例においては、支持台11において第1芯材13及び第2芯材14が設けられておらず、これらに代えて、一対の脚部23,24の下端に設けられて、第1収容空間71及び第2収容空間72の底面を形成する底板75と、底板75から支持板22に渡って立設されて、支持板22と底板75との空間を第1収容空間71と第2収容空間72とに区切る仕切板76とが支持台11に設けられている。さらに、第2収容空間72において、一対の脚部23,24の間に水平方向を軸方向として2つのローラ73,74が回転自在に架設されている。
【0054】
第1収容空間71には、底板75に載置されて積層状態に折り畳まれた帯状シート12が収容されている。第1収容空間71は、支持板22の小口面側(図6における矢印36側)が開口しており、その開口から帯状シート12が延出されて弾性変形部材21の上面へ至っている。
【0055】
第2収容空間72は、支持板22の小口面側(図6における矢印25側)が開口している。その開口付近であって支持板22の下面付近に2つのローラ73,74が配置されている。ローラ73,74は、そのローラ面の間に、帯状シート12の厚みより若干狭い間隔が隔てられて近接されている。図6には示されていないが、前述された第1芯材13や第2芯材14と同様に、ローラ73,74の少なくとも一方の端部に持ち手が設けられており、この持ち手を回転するとローラ73又はローラ74が回転する。第2収容空間72におけるローラ73,74より奥部(仕切板76側)には、帯状シート12を折り畳んだ状態で収容可能な空間が形成されている。
【0056】
第1収容空間71から延出された帯状シート12は、弾性変形部材21の上面を覆って第2収容空間72へ至る。そして、一対のローラ73,74の間に挟まれて、第2収容空間72の奥部へ至る。一対のローラ72,74は、帯状シート12に圧接して狭持している。この圧接によって、ローラ73又はローラ74の回転が帯状シート12へ伝達される。採血後にローラ73又はローラ74が回転されると、その回転が伝達されて帯状シート12が第2収容空間72に引き込まれる。回転力が付与されないローラ73又はローラ74は、帯状シート12が引き込まれると共に連れ回りする。これにより、弾性変形部材21の上面を覆っていた帯状シート12の一部分、つまり使用後の一部分が第2収容空間72内へ引き込まれて底板75上に載置される。これに伴って、第1収容空間71に収容されている帯状シート12の一部分、つまり未使用の一部分が弾性変形部材21の上面へ供給される。これにより、上記実施形態と同様に、各被採血者の身体の一部が、常に新しい帯状シート12上に支持されるので、衛生的な採血台10が実現される。また、ローラ73又はローラ74を回転させると連続して帯状シート12が交換できるので、低コストで速やかな採血が実現される。
【0057】
第1収容空間71に収容されていた帯状シート12がすべて使われると、帯状シート12は、すべて第2収容空間72に収容される。そうすると、第2収容空間72から使用後の帯状シート12が取り出され、積層状態の新しい帯状シート12が第1収容空間71へ装填される。そして、新しい帯状シート12が第1収容空間71から取り出されて弾性変形部材21の上面、第2収容空間72へ延出され、ローラ73,74間に挟まれる。これにより、上記実施形態と同様に、支持台11が再使用される。
【0058】
なお、本発明における供給手段及び収容手段の組み合わせは、上記実施形態及び変形例に示される組み合わせに限定されない。したがって、変形例における第1収容空間71に代えて第1芯材13が設けられてもよく、また、第2収容空間72に代えて第2芯材14が設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる採血台10の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、支持台11の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、第1芯材13の外観構成を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、図1におけるIV−IV断面を示す断面図である。
【図5】図5は、図1におけるV−V断面を示す断面図である。
【図6】図6は、変形例にかかる採血台10のIV−IV断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10・・・採血台
11・・・支持台
12・・・帯状シート
13・・・第1芯材(供給手段)
14・・・第2芯材(収容手段)
41,51・・・持ち手
20・・・台本体
21・・・弾性変形部材
22・・・支持板
23,24・・・脚部
71・・・第1収容空間(供給手段)
72・・・第2収容空間(収容手段)
73,74・・・ローラ(収容手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被採血者の身体の一部を支持しうる支持面を有する支持台と、
上記支持台に帯状のシートを供給する供給手段と、
上記供給手段から供給されて上記支持面を覆うシートを引き込んで収容する収容手段と、を具備する採血台。
【請求項2】
上記供給手段は、上記支持台に回転自在に支持されて、帯状のシートが巻出し可能に巻回された第1芯材を有するものである請求項1に記載の採血台。
【請求項3】
上記収容手段は、上記支持台に回転自在に支持されて、上記支持面を覆うシートが巻取り可能に連結された第2芯材を有するものである請求項1又は2に記載の採血台。
【請求項4】
上記第1芯材及び上記第2芯材の少なくとも一方は、上記支持台に対して着脱可能である請求項2又は3に記載の採血台。
【請求項5】
上記第2芯材の一端に、第2芯材と共に回転する持ち手が設けられた請求項3又は4に記載の採血台。
【請求項6】
上記支持台は、
上記支持面を有する弾性変形部材と、
上記弾性変形部材を支持する支持板、及び当該支持板から下方へ延出された一対の脚部を有する台本体と、を具備し、
上記第1芯材及び上記第2芯材は、各々の両端が上記一対の脚部にそれぞれ支持されたものである請求項4又は5に記載の採血台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−118888(P2009−118888A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292967(P2007−292967)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】