説明

採血装置

【課題】初流採取操作の際、オペレーターが流路開閉手段の開閉操作を容易かつ確実に行うことができ、初流採取操作が確実になされ、これにより、血液(血液成分)の細菌汚染を防止し、所定の血液成分や血液を輸血する際の安全性を向上することができる採血装置を提供する。
【解決手段】血液成分採取装置1は、血液成分採取回路2を有し、血液成分採取回路2は、ドナーから採取された血液の初流(採血初流)を採取する初流採取ライン27を有している。初流採取操作では、各クレンメ91〜93による流路の開閉状態(各クレンメ91〜93の開閉状態)を検出し、これらの検出結果に基づいて、初流採取操作における各クレンメ91〜93の開閉操作を含む手順を示す手順情報を作成し、この手順情報をタッチパネル19に表示するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
成分採血は、ドナー(供血者)から採取した血液(全血)を遠心分離や膜分離により血液成分に分離し、必要な血液成分を採取して残りの血液成分をドナーに返血する手技である。遠心分離方式、特に遠心ボウル方式での成分採血の場合、ドナーへの侵襲を減少させるために、採血針を1本にして採血工程と返血工程とを交互に繰り返す方式が採用されている。
【0003】
通常の成分採血においては、アルコール消毒に加え、ポピドンヨード消毒等を行うが、それでも、皮膚表面、毛根のうや皮下に存在する細菌が、血液成分とともに血液成分採取バッグの中に混入することがある。
【0004】
細菌の種類にもよるが、混入した細菌は、血液成分が収納された血液成分採取バッグを保存する間にも増殖し、そのことに気づかずにこの血液成分が輸血に供されると、輸血された患者に、感染症、敗血症を発症することがある。
【0005】
これらの細菌は皮膚表面のみならず、毛根のうや皮下に棲む場合も多いことから、採血の直前に、念入りに採血針の穿刺部位を消毒するだけでは採取された血液への細菌の侵入を避けることは困難である。
【0006】
ここで経験的に、細菌は、採取された血液の初流(採血初流)に(多くは皮膚のかけらとともに)侵入することが判っている。
【0007】
そして、採血初流を除去するために、血液成分採取装置の血液成分採取回路に、その採血針と血液分離器の流入口とを接続する血液処理ラインに設けられた分岐部から分岐し、採血初流を採取する初流採取ラインを設けた血液成分採取装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。初流採取ラインには、採血初流を採取する初流採取バッグが設けられており、初流採取バッグには、採血初流の採取量(目標採取量)の指標となる標線が設けられている。
【0008】
オペレーターは、採血初流を初流採取バッグに採取する際は、所定の手順に従って、複数のクレンメ(流路開閉手段)の開閉操作を手作業で行って、血液成分採取回路の各流路を開放したり、また、閉塞したりする。
【0009】
しかしながら、オペレーターは、時には、クレンメを開閉する手順を誤ったり、また、クレンメを閉め忘れたり等、誤操作を行ってしまう虞がある。これにより、例えば、採血初流が遠心分離器側に流れ込んでしまい、本採血の際に、採取された血液成分(血液)に、細菌が混入してしまうことがある。また、採血初流の採取の際、例えば、初流採取バッグ内の血液の液面が標線に達したのを見過ごしてしまい、過剰量の採血初流を採取してしまうことがある。
【0010】
【特許文献1】特表2006−503650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、初流採取操作の際、オペレーターが流路開閉手段の開閉操作を容易かつ確実に行うことができ、初流採取操作が確実になされ、これにより、血液(血液成分)の細菌汚染を防止し、所定の血液成分や血液を輸血する際の安全性を向上することができる採血装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的は、下記(1)〜(34)の本発明により達成される。
(1) 供血者から血液を採取する採血針を備えた採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を収納する採血バッグと、
前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取ラインとを有する血液採取回路を備え、
前記採血バッグへの血液の採取に先立って、前記初流採取ラインを通して前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取操作を実行し、この後、供血者から前記採血バッグへ血液を採取する採血装置であって、
前記初流採取操作において、前記血液採取回路の所定の流路を開閉し、手作業でその開閉操作がなされる流路開閉手段と、
前記流路開閉手段による前記流路の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した情報に基づいて、前記初流採取操作における前記流路開閉手段の開閉操作を含む手順を示す手順情報を作成する手順情報作成手段と、
前記手順情報を報知する報知手段とを備えることを特徴とする採血装置。
【0013】
(2) 供血者から血液を採取する採血針を備えた採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を分離する血液分離器と、
前記血液分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグと、
前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取ラインとを有する血液採取回路を備え、
前記所定の血液成分の採取に先立って、前記初流採取ラインを通して前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取操作を実行し、この後、供血者から採取した血液を分離して、前記所定の血液成分を採取する採血装置であって、
前記初流採取操作において、前記血液採取回路の所定の流路を開閉し、手作業でその開閉操作がなされる流路開閉手段と、
前記流路開閉手段による前記流路の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した情報に基づいて、前記初流採取操作における前記流路開閉手段の開閉操作を含む手順を示す手順情報を作成する手順情報作成手段と、
前記手順情報を報知する報知手段とを備えることを特徴とする採血装置。
【0014】
(3) 供血者から血液を採取する採血針を備えた採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を分離する血液分離器と、
前記血液分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグと、
前記採血針と前記血液分離器の流入口とを接続する血液処理ラインと、
前記血液処理ラインに設けられた第1の分岐部から分岐し、抗凝固剤を注入する抗凝固剤注入ラインと、
前記血液処理ラインの前記採血針と前記第1の分岐部との間に設けられた第2の分岐部から分岐し、前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取ラインとを有する血液採取回路と、
前記採血手段により採取された血液に前記抗凝固剤を添加する抗凝固剤供給手段とを備え、
前記所定の血液成分の採取に先立って、前記初流採取ラインを通して前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取操作を実行し、この後、供血者から採取した血液を分離して、前記所定の血液成分を採取する採血装置であって、
前記初流採取操作において、前記血液採取回路の所定の流路を開閉し、手作業でその開閉操作がなされる流路開閉手段と、
前記流路開閉手段による前記流路の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した情報に基づいて、前記初流採取操作における前記流路開閉手段の開閉操作を含む手順を示す手順情報を作成する手順情報作成手段と、
前記手順情報を報知する報知手段とを備えることを特徴とする採血装置。
【0015】
(4) 前記血液採取回路は、前記初流採取ラインに接続され、前記血液の初流を採取する初流採取バッグを有しており、
当該採血装置は、前記初流採取バッグに採取された血液の量を検出する血液量検出手段と、
前記血液量検出手段の検出結果を前記受信手段に送信する送信手段とを有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の採血装置。
【0016】
(5) 前記血液量検出手段は、前記初流採取バッグに設けられている上記(4)に記載の採血装置。
【0017】
(6) 前記血液量検出手段の検出結果を送信する前記送信手段は、前記初流採取バッグに設けられている上記(4)または(5)に記載の採血装置。
【0018】
(7) 前記血液量検出手段は、前記初流採取バッグに採取された血液の量が所定量となったことを検知するものである上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の採血装置。
【0019】
(8) 前記血液量検出手段は、前記初流採取バッグ内に互いに離間するように設けられた1対の端子と、電源部とを有し、前記初流採取バッグに採取された血液の量が所定量になると、前記初流採取バッグ内の血液を介して前記1対の端子が導通し、その導通を検知するように構成されており、
前記開閉状態検出手段により前記1対の端子の導通が検知されると、前記初流採取バッグに採取された血液の量が所定量になったことを示す所定の信号が前記送信手段から送信されるように構成されている上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の採血装置。
【0020】
(9) 前記開閉状態検出手段は、前記流路開閉手段に設けられている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の採血装置。
【0021】
(10) 前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する前記送信手段は、前記流路開閉手段に設けられている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の採血装置。
【0022】
(11) 前記流路開閉手段は、前記血液採取回路の複数の箇所に設けられており、
前記開閉状態検出手段は、前記各流路開閉手段のそれぞれに設けられている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の採血装置。
【0023】
(12) 前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する前記送信手段は、前記各流路開閉手段のそれぞれに設けられている上記(11)に記載の採血装置。
【0024】
(13) 前記報知手段は、電子画像を表示する表示部を有し、
前記各流路開閉手段は、それぞれ、互いに異なる色のクレンメ、または互いに異なる色のマーカーが付されたクレンメであり、
前記初流採取操作においては、前記表示部に、前記手順情報として、前記クレンメの開閉操作の指示が、開閉操作を行うクレンメに対応する色で表示されるように構成されている上記(11)または(12)に記載の採血装置。
【0025】
(14) 前記報知手段は、電子画像を表示する表示部を有し、
前記各流路開閉手段は、それぞれ、互いに異なる色のクレンメ、または互いに異なる色のマーカーが付されたクレンメであり、
前記初流採取操作においては、前記表示部に、前記手順情報として、前記クレンメの開閉操作の指示が、開閉操作を行うクレンメに対応する色で、かつ、クレンメの画像で表示されるように構成されている上記(11)または(12)に記載の採血装置。
【0026】
(15) 前記流路開閉手段は、前記血液採取回路の流路を形成するチューブを圧閉する圧閉部と、係合して前記圧閉部の圧閉状態を維持する係合部とを有するクレンメであり、
前記開閉状態検出手段は、前記クレンメの係合部が係合しているときに互いに接触する1対の端子と、電源部とを有し、前記1対の端子が互いに接触して導通すると、その導通を検知するように構成されており、
前記開閉状態検出手段により前記1対の端子の導通が検知されると、前記クレンメが閉じたことを示す所定の信号が前記送信手段から送信されるように構成されている上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の採血装置。
【0027】
(16) 前記血液採取回路は、前記初流採取ラインに接続され、前記血液の初流を採取する初流採取バッグを有しており、
当該採血装置は、前記初流採取バッグに採取された血液の量を検出する血液量検出手段と、
前記血液量検出手段の検出結果を前記受信手段に送信する送信手段とを有し、
前記流路開閉手段として、前記初流採取ラインの流路を開閉する第1の流路開閉部材と、前記第2の分岐部と前記採血針との間の前記血液処理ラインの流路を開閉する第2の流路開閉部材と、前記第1の分岐部と前記第2の分岐部との間の前記血液処理ラインの流路を開閉する第3の流路開閉部材とが設けられており、
前記開閉状態検出手段は、前記第1の流路開閉部材、前記第2の流路開閉部材および前記第3の流路開閉部材のそれぞれに設けられている上記(3)に記載の採血装置。
【0028】
(17) 前記血液量検出手段は、前記初流採取バッグに設けられている上記(16)に記載の採血装置。
【0029】
(18) 前記血液量検出手段の検出結果を送信する前記送信手段は、前記初流採取バッグに設けられている上記(16)または(17)に記載の採血装置。
【0030】
(19) 前記血液量検出手段は、前記初流採取バッグに採取された血液の量が所定量となったことを検知するものである上記(16)ないし(18)のいずれかに記載の採血装置。
【0031】
(20) 前記血液量検出手段は、前記初流採取バッグ内に互いに離間するように設けられた1対の端子と、電源部とを有し、前記初流採取バッグに採取された血液の量が所定量になると、前記初流採取バッグ内の血液を介して前記1対の端子が導通し、その導通を検知するように構成されており、
前記開閉状態検出手段により前記1対の端子の導通が検知されると、前記初流採取バッグに採取された血液の量が所定量になったことを示す所定の信号が前記送信手段から送信されるように構成されている上記(16)ないし(19)のいずれかに記載の採血装置。
【0032】
(21) 前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する前記送信手段は、前記第1の流路開閉部材、前記第2の流路開閉部材および前記第3の流路開閉部材のそれぞれに設けられている上記(16)ないし(20)のいずれかに記載の採血装置。
【0033】
(22) 前記初流採取操作においては、前記第1の流路開閉部材が開き、前記第3の流路開閉部材が閉じた状態で、前記第2の流路開閉部材を開き、前記初流採取ラインを通して前記初流採取バッグに所定量の血液の初流を採取し、前記第2の流路開閉部材を閉じる初流採取工程と、
前記第3の流路開閉部材を開き、前記抗凝固剤供給手段の作動により、前記抗凝固剤注入ライン、前記第1の分岐部および前記第2の分岐部を通して、抗凝固剤を前記初流採取ラインに供給し、前記第1の流路開閉部材を閉じる抗凝固剤供給工程とを実行した後、
前記第2の流路開閉部材を開くように構成されている上記(16)ないし(21)のいずれかに記載の採血装置。
【0034】
(23) 前記初流採取操作においては、前記第2の流路開閉部材を開く旨の指示を報知し、前記第2の流路開閉部材が開いたことが検知され、かつ、前記初流採取バッグに所定量の血液の初流が採取されたことが検知されると、前記第2の流路開閉部材を閉じる旨の指示を報知するように構成されている上記(22)に記載の採血装置。
【0035】
(24) 前記初流採取操作においては、前記第2の流路開閉部材が閉じたことが検知されると、前記第3の流路開閉部材を開く旨の指示を報知し、前記第3の流路開閉部材が開いたことが検知されると、前記抗凝固剤供給手段を作動させて、前記抗凝固剤注入ライン、前記第1の分岐部および前記第2の分岐部を通して、抗凝固剤を前記初流採取ラインに供給し、前記第1の流路開閉部材を閉じる旨の指示を報知するように構成されている上記(23)に記載の採血装置。
【0036】
(25) 前記初流採取操作においては、前記第1の流路開閉部材が閉じたことが検知されると、前記第2の流路開閉部材を開く旨の指示を報知し、前記第2の流路開閉部材が開いたことが検知されると前記所定の血液成分の採取が可能となるように構成されている上記(24)に記載の採血装置。
【0037】
(26) 前記初流採取操作においては、前記第1の流路開閉部材が閉じたことが検知されると、前記第2の流路開閉部材を開く旨の指示を報知し、前記第2の流路開閉部材が開いたことが検知されると前記所定の血液成分の採取を開始するように構成されている上記(24)に記載の採血装置。
【0038】
(27) 前記報知手段は、電子画像を表示する表示部を有し、
前記第1の流路開閉部材、前記第2の流路開閉部材および前記第3の流路開閉部材は、それぞれ、互いに異なる色のクレンメ、または互いに異なる色のマーカーが付されたクレンメであり、
前記初流採取操作においては、前記表示部に、前記手順情報として、前記クレンメの開閉操作の指示が、開閉操作を行うクレンメに対応する色で表示されるように構成されている上記(16)ないし(26)のいずれかに記載の採血装置。
【0039】
(28) 前記報知手段は、電子画像を表示する表示部を有し、
前記第1の流路開閉部材、前記第2の流路開閉部材および前記第3の流路開閉部材は、それぞれ、互いに異なる色のクレンメ、または互いに異なる色のマーカーが付されたクレンメであり、
前記初流採取操作においては、前記表示部に、前記手順情報として、前記クレンメの開閉操作の指示が、開閉操作を行うクレンメに対応する色で、かつ、クレンメの画像で表示されるように構成されている上記(16)ないし(26)のいずれかに記載の採血装置。
【0040】
(29) 前記第1の流路開閉部材、前記第2の流路開閉部材および前記第3の流路開閉部材は、それぞれ、前記血液採取回路の流路を形成するチューブを圧閉する圧閉部と、係合して前記圧閉部の圧閉状態を維持する係合部とを有するクレンメであり、
前記開閉状態検出手段は、前記クレンメの係合部が係合しているときに互いに接触する1対の端子と、電源部とを有し、前記1対の端子が互いに接触して導通すると、その導通を検知するように構成されており、
前記開閉状態検出手段により前記1対の端子の導通が検知されると、前記クレンメが閉じたことを示す所定の信号が前記送信手段から送信されるように構成されている上記(16)ないし(28)のいずれかに記載の採血装置。
【0041】
(30) 前記抗凝固剤供給手段は、前記抗凝固剤注入ラインに設置された送液ポンプである上記(16)ないし(29)のいずれかに記載の採血装置。
【0042】
(31) 当該採血装置は、供血者から採取した血液を分離し、前記所定の血液成分を採取する血液成分採取工程と、残りの血液成分を供血者に返還する血液成分返還工程とを有する血液成分採取操作を少なくとも1サイクル実行するものである上記(16)ないし(30)のいずれかに記載の採血装置。
【0043】
(32) 前記受信手段が設けられ、供血者の腕に装着される腕帯を有し、
前記受信手段により受信した情報は、該前記受信手段から前記手順情報作成手段側に送信されるように構成されている上記(1)ないし(31)のいずれかに記載の採血装置。
【0044】
(33) 前記送信手段と前記受信手段との間の通信は、無線で行なわれるように構成されている上記(1)ないし(32)のいずれかに記載の採血装置。
【0045】
(34) 前記受信手段により受信した情報に基づいて、前記初流採取操作を実行するように構成されている上記(1)ないし(33)のいずれかに記載の採血装置。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、採血の際、容易に、ドナー(供血者)から採取された血液から、細菌感染の可能性がある初流(採血初流)を採取(除去)することができ、これにより、採取された血液やその採取された血液から分離された各血液成分への細菌の混入が抑制され、安全性が向上する。
【0047】
特に、初流採取操作の際、開閉状態検出手段により、流路開閉手段による流路の開閉状態が検出され、その検出結果に基づいて、初流採取操作における手順を示す手順情報が作成され、報知されるので、オペレーターは、容易かつ確実に、流路開閉手段の開閉操作等を行うことができる。これにより、初流採取操作が確実に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の採血装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明の採血装置には、採血手段により採取された血液(全血)を収納(採取)する採血バッグを備えた血液採取回路を有し、全血を採取する採血装置と、採血手段により採取された血液を分離する血液分離器およびこの血液分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグを備えた血液採取回路を有し、血液成分を採取する血液成分採取装置とが含まれるが、以下の実施形態では、代表的に、本発明の採血装置を、血漿を採取する血漿採取装置(血液成分採取装置)に適用した場合について説明する。
【0049】
図1は、本発明の採血装置を、主に血漿を採取する血液成分採取装置に適用した場合の実施形態を示す平面図(一部にブロック図を含む)、図2は、図1に示す血液成分採取装置の回路構成を示すブロック図、図3は、図1に示す血液成分採取装置の初流採取バッグを示す正面図である。また、図4は、図1に示す血液成分採取装置のクレンメを示す斜視図であって、図4(a)には、開いた状態が示され、図4(b)には、閉じた状態が示される。また、図5は、図1に示す血液成分採取装置の腕帯を示す図であって、図5(a)は、平面図、図5(b)は、斜視図である。なお、説明の都合上、図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0050】
図1に示す血液成分採取装置(採血装置)1は、ドナー(供血者)の血管に穿刺される中空針(採血針)(ドナーから血液を採取する採血手段)291と、採取された血液を貯血空間146内にて遠心分離する遠心分離器(遠心ボウル)(血液分離器)20と、遠心分離器20により分離された血漿(血液成分)を採取する血漿採取バッグ(血液成分採取バッグ)25とを備える血液成分採取回路(血液処理回路)2を有し、ドナーから採取した血液を遠心分離し、所定量の血漿を採取した後、残りの血漿とともに白血球、血小板および赤血球(残りの血液成分)をドナーに返還(返血)する装置である。
【0051】
血液成分採取装置1は、中空針291と、採血ラインおよび返血ラインの双方として兼用される採血・返血ライン(血液処理ライン)21と、遠心分離器20と、遠心分離器20の流出口144に接続された採取バッグ側ライン22と、採血・返血ライン21の途中に接続された抗凝固剤注入ライン23および初流採取ライン27と、採取バッグ側ライン22の途中に接続され、この採取バッグ側ライン22を介して遠心分離器20の流出口144に連通するエアーバッグ側ライン24と、採取バッグ側ライン22と接続された血漿採取バッグ(血液成分採取バッグ)25と、血漿採取バッグ25とチューブ(流路)32aにより接続されたサブバッグ32と、エアーバッグ側ライン24と接続されたエアーバッグ26と、初流採取ライン27と接続された初流採取バッグ81とを備える血液成分採取回路(血液採取回路)2を有している。
【0052】
また、血液成分採取装置1は、遠心分離器20のローター142を回転させるための遠心分離器駆動装置10と、採血・返血ライン21内の血液または血液成分(液体)を送液する血液ポンプ(送液ポンプ)(第1の送液手段)11と、抗凝固剤注入ライン23内の抗凝固剤(液体)を送液する抗凝固剤ポンプ(送液ポンプ)(第2の送液手段)12と、ドナーの腕に装着される後述する腕帯(駆血帯)7に空気を導入(供給)するエアーポンプ56と、血液成分採取回路2の流路の開閉を行うための流路開閉手段51および流路開閉手段52と、遠心分離器駆動装置10、血液ポンプ11、抗凝固剤ポンプ12、エアーポンプ56、流路開閉手段51および流路開閉手段52等を制御するための制御手段55と、濁度センサ14と、光学式センサ15と、重量センサ16と、圧力センサ18と、第1の気泡センサ17と、第2の気泡センサ34と、第3の気泡センサ35と、第4の気泡センサ36と、第5の気泡センサ37と、タッチパネル19とを備えている。なお、前記抗凝固剤ポンプ12により、採取された血液に抗凝固剤を添加する抗凝固剤供給手段が構成される。
【0053】
以下、各部の構成について説明する。
中空針291は、採血・返血ライン21の一端に接続されており、中空針291の基端側には、翼292が設けられている。図1中では、中空針291には、キャップが被せられている。
【0054】
採血・返血ライン21は、中空針291が一端に接続された中空針側ライン21aと、遠心分離器20の流入口143とを接続された遠心分離器側ライン21bと、これらの間に配置されたポンプチューブ21gとを有している。
【0055】
中空針側ライン21aは、気泡およびマイクロアグリゲート除去のためのチャンバー21dを備える。
【0056】
チャンバー21dには、チューブ(流路)21hを介して通気性かつ菌不透過性のフィルター21iが接続されている。このラインは、中空針側ライン21aの内圧(血液ポンプ11より中空針291側の採血・返血ライン21の内圧)、すなわちドナー圧を検出する圧力センサ18に接続される。
【0057】
採取バッグ側ライン22は、一端が遠心分離器20の流出口144に接続され、他端が血漿採取バッグ25に接続されている。この採取バッグ側ライン22の途中には、3つ(3股)に分岐した(接続口は合計4つ)分岐コネクタ61が設けられており、採取バッグ側ライン22は、この分岐コネクタ61を介して接続されている。
【0058】
分岐コネクタ61には、チューブ(流路)62を介して通気性かつ菌不透過性のフィルター63が接続されている。このラインは、例えば、遠心分離器20の内圧の検出等に用いることができる。
【0059】
抗凝固剤注入ライン23は、その一端が採血・返血ライン21に設けられた分岐コネクタ21cに接続されている。すなわち、抗凝固剤注入ライン(流路)23は、分岐コネクタ(第1の分岐部)21cから分岐、すなわち、分岐コネクタ21cを介して採血・返血ライン(流路)21から分岐している。また、分岐コネクタ21cは、中空針291の近傍に位置している(設けられている)。この抗凝固剤注入ライン23は、分岐コネクタ21c側より、ポンプチューブ23a、除菌フィルター(輸液フィルター)64、気泡除去用チャンバー23c、抗凝固剤容器接続用針23dを備えている。図1中では、抗凝固剤容器接続用針23dにキャップが被せられている。
【0060】
この抗凝固剤注入ライン23の抗凝固剤容器接続用針23dは、抗凝固剤(抗凝固剤液)が収納(収容)された図示しない容器(バッグ)に接続され、これにより、容器内の抗凝固剤は、後述するように、抗凝固剤容器接続用針23dから分岐コネクタ21cに向かって抗凝固剤注入ライン23を流れ、中空針側ライン21aに供給(注入)される。これにより、例えば、抗凝固剤注入ライン23を介して、中空針291により採取された血液に抗凝固剤を添加(混合)することができる。
【0061】
なお、抗凝固剤としては、特に限定されないが、例えば、ACD−A液等を用いることができる。
【0062】
初流採取ライン27は、その一端が採血・返血ライン21に設けられた分岐コネクタ21eに接続されている。すなわち、初流採取ライン(流路)27は、分岐コネクタ(第2の分岐部)21eから分岐、すなわち、分岐コネクタ21eを介して採血・返血ライン(流路)21から分岐している。また、分岐コネクタ21eは、中空針291と、分岐コネクタ21cとの間に位置している(設けられている)。
【0063】
初流採取バッグ81は、ドナーから中空針291により採取した血液の初流(採血初流)を採取する(貯留)するための容器である。前記初流採取ライン27の他端は、この初流採取バッグ81に接続されている。後述する初流採取操作(初流採取工程、抗凝固剤送液工程)においては、初流採取バッグ81は、その初流採取ライン27側(図3中上側)が鉛直方向上側になるようにセット(設置)される。
【0064】
図3に示すように、初流採取バッグ81には、1対の端子(電極)45と、送信部(送信手段)42d等を有するICチップ41dと、アンテナ47と、電源部48dとが設けられており、ICチップ41dと1対の端子45、ICチップ41dとアンテナ47、ICチップ41dと電源部49dは、それぞれ、電気的に接続されている。
【0065】
1対の端子45は、初流採取バッグ81の上部に、互いに所定距離離間するように設置されており、その上部が初流採取バッグ81の上部に固定され、下部は、初流採取バッグ81内に位置している。この場合、各端子45と初流採取バッグ81との位置関係は、後述する初流採取操作を行ったときに、初流採取バッグ81内の血液の量が所定量(目標量)に到達したとき、すなわち、初流採取バッグ81内の血液の液面が標線と一致したときに、その血液を介して両端子45が導通するように設定されるのが好ましい。
【0066】
なお、初流採取バッグ81内の血液の量が所定量(目標量)に到達する少し前に、両端子45が導通するようになっていてもよい。
【0067】
また、ICチップ41d、アンテナ47および電源部49dは、それぞれ、初流採取バッグ81の外側に設置されている。
【0068】
図2に示すように、ICチップ41dは、1対の端子45が導通すると、所定の周波数の信号を生成する信号生成部(図示せず)と、その信号(血液量検出手段の検出結果)をアンテナ47を介して送信(無線で送信)する送信部(送信手段)42dとを有している。すなわち、このICチップ41dは、1対の端子45が非導通のときは、信号を送信せず、1対の端子45が導通すると、所定の周波数の信号を生成し、その信号をアンテナ47を介して送信する。このICチップ41dの送信部42dから送信された信号(情報)は、後述する腕帯7に設けられたICチップ41eの受信部(受信手段)43で受信される。このように、ICチップ41dの送信部42dとICチップ41eの受信部43との間の通信は、無線で行われる。
【0069】
以上のように、1対の端子45と、ICチップ41dの信号生成部とで、初流採取バッグ81に採取された血液の量を検出する血液量検出手段が構成され、これら端子45および信号生成部により、1対の端子45の導通、すなわち、初流採取バッグ81に採取された血液の量が所定量(目標量)となったことを検知し、その1対の端子45の導通が検知されると、初流採取バッグ81に採取された血液の量が所定量(目標量)になったことを示す所定の周波数の信号を送信部42dから送信する。
【0070】
なお、初流採取バッグ81のICチップ41dと腕帯7のICチップ41eとの間の通信は、無線に限らず、例えば、有線で行われるようになっていてもよい。
【0071】
初流採取バッグ81の容量は、特に限定されないが、10〜100mL程度であるのが好ましく、20〜50mL程度であるのがより好ましい。
【0072】
初流採取バッグ81の容量が前記範囲未満であると、ドナーから中空針291により採取された血液の初流(採血初流)を十分に除去(採取)することができないことがあり、前記範囲を超えると、ドナーから採取される血液量が多くなりドナーの負担が増えてしまう。
【0073】
また、初流採取バッグ81には、採血初流の採取量(目標採取量)の指標となる図示しない標線が設けられているのが好ましい。標線を設けることにより、後述する初流採取操作において、初流採取バッグ81の姿勢を、その初流採取ライン27側が鉛直方向上側になるようにして、初流採取バッグ81内の血液の液面が標線と一致するまで血液を採取することで、目標量の血液を採取することもできる。
【0074】
また、初流採取バッグ81の、初流採取ライン27の接続部と反対側には、針管83が接続されている。
【0075】
針管83の周囲には、針管83を被包する被包部材84が設置されている。この被包部材84としては、例えば、各種ゴム材料(弾性材料)による膜で構成され、針管83の針先により容易に刺通可能なものが好適に使用される。
【0076】
また、針管83の基端側には、キャップ86を有するホルダー85が装着され、これにより、針管83がホルダー85内に収納される。なお、ホルダー85は、針管83に着脱自在に装着されていてもよい。
【0077】
また、初流採取ライン27の途中、中空針側ライン21aの中空針291と分岐コネクタ21eとの間、中空針側ライン21aの分岐コネクタ21eと分岐コネクタ21cとの間には、それぞれ、ライン(流路)の途中を開閉し、手作業でその開閉操作がなされるクレンメ(流路開閉手段)91、92および93が設けられる。クレンメ91は、第1の流路開閉部材(第1の流路開閉手段)として、初流採取ライン27の流路(チューブ内の流路)を開閉するために設けられている。また、クレンメ92は、第2の流路開閉部材(第2の流路開閉手段)として、中空針291と分岐コネクタ21eとの間において中空針針ライン21aの流路(チューブ内の流路)を開閉するために設けられている。また、クレンメ93は、第3の流路開閉部材(第3の流路開閉手段)として、分岐コネクタ21eと分岐コネクタ21cとの間において中空針側ライン21aの流路(チューブ内の流路)を開閉するために設けられている。
【0078】
ここで、クレンメ91は、成分採血の際、一度閉じると、再度開くことはないので、そのクレンメ91としては、一度閉じると、開かない(開き難い)構造のクレンメ(流路閉塞手段)、例えば、シャッタークレンメを用いるのが好ましい。このため、本実施形態では、クレンメ91として、シャッタークレンメが用いられている。
【0079】
また、各クレンメ91〜93は、それぞれ、互いに異なる色のクレンメ、または互いに異なる色のマーカーが付されたクレンメを用いるのが好ましい。本実施形態では、クレンメ91として、青色のクレンメ、クレンメ92として、赤色のクレンメ、クレンメ93として、黄色のクレンメが、それぞれ用いられている。
【0080】
これより、オペレーター(操作者)は、色(色の相違)により、容易に、各クレンメ91〜93を区別することができる。
【0081】
また、タッチパネル19に、後述する手順情報を対応する色(操作対象のクレンメの色)で、判り易く表示することができ、これにより、オペレーターは、いずれのクレンメを操作すべきかを容易かつ確実に把握することができる。
【0082】
図2および図4に示すように、クレンメ91には、1対の端子(電極)(図示せず)と、送信部(送信手段)42a等を有するICチップ41aと、アンテナ(図示せず)と、電源部49aとが設けられており、ICチップ41aと1対の端子、ICチップ41aとアンテナ、ICチップ41aと電源部49aは、それぞれ、電気的に接続されている。同様に、クレンメ92には、1対の端子(電極)(図示せず)と、送信部(送信手段)42b等を有するICチップ41bと、アンテナ(図示せず)と、電源部49bとが設けられており、ICチップ41bと1対の端子、ICチップ41bとアンテナ、ICチップ41bと電源部49bは、それぞれ、電気的に接続されている。同様に、クレンメ93には、1対の端子(電極)44と、送信部(送信手段)42c等を有するICチップ41cと、アンテナ46と、電源部49cとが設けられており、ICチップ41cと1対の端子44、ICチップ41cとアンテナ46、ICチップ41cと電源部49cは、それぞれ、電気的に接続されている。
【0083】
以下、代表的に、クレンメ93を説明し、他のクレンメ91および92については、その説明を省略する。
【0084】
図4に示すように、クレンメ93の全体形状は、略U字状をなしている。そして、そのU字の一方の先端側は、湾曲し、その先端部に爪931が形成されている。また、U字の他方は、操作部932であり、この操作部932の先端部933と爪931とが係合し得るようになっている。
【0085】
また、クレンメ93のU字の内側には、互いに対向し、分岐コネクタ21cと分岐コネクタ21eとの間の採血・返血ライン21の流路を形成するチューブを圧閉する1対の圧閉部934が形成されている。
【0086】
なお、前記爪931と操作部932の先端部933とで、前記1対の圧閉部934の圧閉状態を維持する係合部が構成される。
【0087】
図4(b)に示すように、クレンメ93を手指で把持し、操作部932を爪931側に押し込み、クレンメ93を閉じると、1対の圧閉部934によりチューブが圧閉され、そのチューブの流路が閉塞される。そして、操作部932の先端部933を爪931に引っ掛けると、操作部932の先端部933と爪931とが係合し、1対の圧閉部934の圧閉状態が維持される。
【0088】
また、図4(a)に示すように、操作部932の先端部933と爪931との係合を外すと、クレンメの復元力やチューブの復元力により、クレンメ93が開き、チューブの流路が開放される。
【0089】
1対の端子44の一方は、クレンメ93の爪931の基端側に設置され、他方は、操作部932の先端部933に設置されている。
【0090】
これにより、図4(b)に示すように、クレンメ93が閉じているとき(クレンメ93により流路が閉塞されているとき)、すなわち、クレンメ93の操作部932の先端部933と爪931とが係合しているときは、1対の端子44は、接触して導通している。
【0091】
また、図4(a)に示すように、クレンメ93が開いているとき(クレンメ93により流路が開放されているとき)、すなわち、クレンメ93の操作部932の先端部933と爪931との係合が外れているときは、1対の端子44は、離間して非導通となっている。
【0092】
図2に示すように、ICチップ41cは、1対の端子44が導通すると、所定の周波数の信号を生成する信号生成部(図示せず)と、その信号(開閉状態検出手段の検出結果)をアンテナ46を介して送信(無線で送信)する送信部(送信手段)42cとを有している。すなわち、このICチップ41cは、1対の端子44が非導通のときは、信号を送信せず、1対の端子44が導通すると、所定の周波数の信号を生成し、その信号をアンテナ46を介して送信する。このICチップ41cの送信部42cから送信された信号(情報)は、腕帯7に設けられたICチップ41eの受信部(受信手段)43で受信される。このように、ICチップ41cの送信部42cとICチップ41eの受信部43との間の通信は、無線で行われる。
【0093】
以上のように、1対の端子44と、ICチップ41cの信号生成部とで、クレンメ93による流路の開閉状態(クレンメ93の開閉状態)を検出する開閉状態検出手段が構成され、これら端子44および信号生成部により、1対の端子44の導通を検知し、その1対の端子44の導通が検知されると、クレンメ93が閉じたことを示す所定の周波数の信号を送信部42cから送信する。
【0094】
なお、クレンメ93のICチップ41cと腕帯7のICチップ41eとの間の通信は、無線に限らず、例えば、有線で行われるようになっていてもよい。
【0095】
以上、代表的に、クレンメ93を説明したが、他のクレンメ91および92もそれぞれ同様である。
【0096】
前記各クレンメ91〜93および初流採取バッグ81に設けられている各ICチップ41a〜41dから送信される信号の周波数は、それぞれ、互いに異なる値に設定される。これにより、制御手段55や腕帯7のICチップ41eでは、受信した信号が、その信号の周波数によって、クレンメ91〜93および初流採取バッグ81のうちのいずれから送信された信号であるかを区別(判別)することができる。
【0097】
クレンメ91および92を開き、クレンメ93を閉じた状態において、ドナーから中空針291により採取された血液の初流は、ドナーの静脈圧や落差(自重)により、その中空針291から、中空針側ライン21a、分岐コネクタ21e、初流採取ライン27を流れ、初流採取バッグ81内に導入(採取)される。すなわち、ドナーから中空針291により採取された血液の初流(採血初流)は、分岐コネクタ21eおよび初流採取ライン27を介して、中空針側ライン21aから除去され、初流採取バッグ81内に採取される。このようにして、容易に、細菌感染の可能性がある、採取された血液の初流を除去(採取)することができ、これにより、採取された血液から分離された血漿(血液成分)への細菌の混入が抑制され、安全性が向上する。
【0098】
また、初流採取バッグ81内に収納されている血液を、例えば、図示しないゴム栓を有する減圧採血管内に回収(サンプリング)することができる。
【0099】
この場合、クレンメ91を閉じてからホルダー85のキャップ86を外し、減圧採血管をそのゴム栓側からホルダー85に挿入して、ホルダー85の最奥部まで押し込み、針管83をゴム栓に穿刺し、貫通させる。これにより、初流採取バッグ81内に収納されている血液は、減圧採血管内に吸引され、回収される。この減圧採血管への血液のサンプリング終了後、減圧採血管をホルダー85から引き抜く。複数本の減圧採血管へ血液のサンプリングを行う場合には、前述した操作を繰り返す。
【0100】
減圧採血管内に回収された血液は、例えば、血清の生化学検査、感染症ウィルス(例えば、エイズ、肝炎等)の抗体検査等に用いることができる。
【0101】
エアーバッグ側ライン24は、分岐コネクタ61に接続されている。すなわち、エアーバッグ26は、このエアーバッグ側ライン24を介して採取バッグ側ライン22から分岐して設けられている。
【0102】
血液ポンプ11、抗凝固剤ポンプ12は、それぞれ、ポンプチューブ21g、23aを複数のローラーにより押圧閉塞しつつ回転するローターを有するローラーポンプ(チューブポンプ)で構成されている。
【0103】
採血・返血ライン21、採取バッグ側ライン22、抗凝固剤注入ライン23、エアーバッグ側ライン24および初流採取ライン27の形成に使用されるチューブ、各ポンプチューブ21g、23a、サブバッグ32に接続されているチューブ32a、チャンバー21dに接続されているチューブ21h、分岐コネクタ61に接続されているチューブ62の構成材料としては、ポリ塩化ビニルが好ましい。
【0104】
各チューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
【0105】
なお、各ポンプチューブ21g、23aとしては、ローラーポンプにより押圧されても損傷を受けない程度の強度を備えるものが使用されている。
【0106】
また、上述した分岐コネクタ21c、21e、61の構成材料についても、前記チューブの構成材料と同様のものを用いることができる。
【0107】
血漿採取バッグ25は、血漿を採取するための容器であり、採取バッグ側ライン22を介して、遠心分離器20に接続され、これにより、血漿採取バッグ25の内部は、ローター142の貯血空間146に連通している。
【0108】
サブバッグ32は、チューブ32aを介して血漿採取バッグ25に接続され、それらの内部同士が連通している。このサブバッグ32は、例えば、血漿採取バッグ25内のエアーを回収すること等に用いることができる。
【0109】
エアーバッグ26は、一時的に空気(エアー)を収納(貯留)するための容器であり、エアーバッグ側ライン24を介して、分岐コネクタ61に接続されている。すなわち、エアーバッグ26は、エアーバッグ側ライン24、分岐コネクタ61および採取バッグ側ライン22を介して、遠心分離器20に接続され、これにより、エアーバッグ26の内部は、ローター142の貯血空間146に連通している。
【0110】
これらの血漿採取バッグ25、サブバッグ32、エアーバッグ26は、それぞれ、樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁部を融着(熱融着、高周波融着等)または接着して袋状にしたものが使用される。
【0111】
血漿採取バッグ25、サブバッグ32、エアーバッグ26に使用される材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニルが好適に使用される。
【0112】
血液成分採取回路2に設けられている遠心分離器20は、通常、遠心ボウルと呼ばれており、遠心力により血液を血漿と血球(血小板、白血球および赤血球)とに分離する。
【0113】
流路開閉手段51は、エアーバッグ側ライン24の流路の途中を開閉するために設けられている。
【0114】
流路開閉手段52は、分岐コネクタ61より血漿採取バッグ25側において採取バッグ側ライン22の流路の途中を開閉するために設けられている。
【0115】
流路開閉手段51および流路開閉手段52は、ラインもしくはチューブの挿入部を備え、挿入部には、例えば、ソレノイド、電動モーター、シリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動するクランプを有する。具体的には、ソレノイドで作動する電磁クランプが好適である。
【0116】
遠心分離器駆動装置10は、駆動源であるモータと、遠心分離器20を保持する円盤状の固定台とを有しており、モータを駆動すると、固定台およびそれに固定されたローター142が、あらかじめ設定された所定の遠心条件(例えば、回転数3000〜6000rpm)で回転する。この遠心条件により、ローター142内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。
【0117】
なお、ローター142において、貯血空間146の容積は、例えば、100〜350mL程度とされる。
【0118】
この光学式センサ15は、貯血空間146に向って投光するとともにその反射光を受光するように構成されている。
【0119】
光学式センサ15は、投光部から光(例えばレーザー光)を照射(投光)し、ローター142の反射面で反射された反射光を受光部で受光する。そして、受光部においてその受光光量に応じた電気信号に変換される。
【0120】
このとき、投光光および反射光は、それぞれ、貯血空間146内の血液成分を透過するが、血液成分の界面(本実施形態では、血漿層と血球層との界面)の位置に応じて、投光光および反射光が透過する位置における各血液成分の存在比が異なるため、それらの透過率が変化する。これにより、受光部での受光光量が変動(変化)し、この変動を受光部からの出力電圧の変化として検出することができる。
【0121】
すなわち、光学式センサ15は、受光部での受光光量の変化に基づき、血液成分の界面の位置を検出することができる。
【0122】
ここで、貯血空間146内の血漿層と血球層とは、それぞれ、血液成分により色が異なっており、血球層は、赤血球の色に伴い赤色を呈している。このため、光学式センサ15の精度向上の観点からは、投光光の波長に好適な範囲が存在し、この波長範囲としては、特に限定されないが、例えば、600〜900nm程度であるのが好ましく、750〜800nm程度であるのがより好ましい。
【0123】
重量センサ16は、血漿採取バッグ25内に採取された血漿の採取量を検出する検出手段を構成する。
【0124】
濁度センサ14は、採取バッグ側ライン22中を流れる流体の濁度を検知するためのものであり、濁度に応じた電圧値を出力する。具体的には、濁度が高い時には低電圧値、濁度が低い時には高電圧値を出力する。
【0125】
この濁度センサ14により、例えば、採取バッグ側ライン22中を流れる血漿中への血球の混入等を検出することができる。
【0126】
第1の気泡センサ17は、採血・返血ライン21内に空気が流れたことを検知するためのものである。すなわち、この第1の気泡センサ17により、採血・返血ライン21内の血液の有無が検出される。
【0127】
第4の気泡センサ36および第5の気泡センサ37は、それぞれ、空気または気泡が通過したことを検知するためのものである。これらにより、ドナーに空気が注入されることを防止する。
【0128】
第2の気泡センサ34は、抗凝固剤注入ライン23内が空になったことを検出するため、抗凝固剤注入ライン23の所定の位置における空気(抗凝固剤の有無)の検出に用いられる。
【0129】
第3の気泡センサ35は、遠心分離器20の貯血空間146の流出口144と分岐コネクタ61との間の採取バッグ側ライン22内に空気や血液(血漿)が流れたことを検知するためのものである。すなわち、この第3の気泡センサ35により、採取バッグ側ライン22内の血液の有無が検出される。
【0130】
より詳細には、前記第1の気泡センサ17、第2の気泡センサ34、第3の気泡センサ35、第4の気泡センサ36および第5の気泡センサ37は、それぞれ、チューブの外側から超音波を送受信し、液体と気泡(気体)とで超音波の伝導率が異なるのを利用して、チューブ内の気体および液体(気/液の別、気/液面等)を検出することができる検出手段である。なお、これら各気泡センサ(気体および液体検出手段)としては、上記超音波センサ(超音波式センサ)に限らず、例えば、光学式センサ、赤外線センサ等を用いてもよい。
【0131】
また、前記濁度センサ14としては、例えば、超音波センサ、光学式センサ、赤外線センサ等が使用できる。
【0132】
図5に示すように、腕帯(カフ)(駆血帯)7は、空気が収納(導入)される袋体71と、この袋体71を覆うカバー72とを有している。カバー72には、マジックテープ(「マジックテープ」は登録商標)が設けらており、そのマジックテープにより、ドナーの腕に腕帯7を巻き付けた状態で固定し得るようになっている。
【0133】
また、袋体71には、チューブ73の一端側が接続されており、そのチューブ73の他端側には、エアーポンプ56に対して着脱自在に接続される接続部(図示せず)が設けられている。これにより、エアーポンプ56の作動によって、腕帯7の袋体71内に空気を導入することができる。
【0134】
また、腕帯7には、受信部(受信手段)43等を有するICチップ41eと、アンテナ48とが設けられており、ICチップ41eとアンテナ48は、電気的に接続されている。これらICチップ41eおよびアンテナ48は、それぞれ、カバー72の外側面に設置されている。
【0135】
また、ICチップ41eには、複数のライン(導線)を有するケーブル74の一端側が電気的に接続されており、そのケーブル74の他端側には、制御手段55等を有する装置本体側に設けられたコネクタ(図示せず)と着脱自在に接続されるコネクタ(図示せず)が設けられている。こらコネクタ同士を互いに接続することにより、制御手段55と腕帯7のICチップ41eとが電気的に接続される。
【0136】
ケーブル74の各ラインには、各クレンメ91〜93および初流採取バッグ81における検出結果(受信部43により受信した情報)を制御手段55に向けて送信(出力)するための、それぞれに専用の信号ラインと、電源ライン(電力ライン)とが含まれる。なお、腕帯7のICチップ41eへの電力の供給は、ケーブル74の電源ラインを介して装置本体側から行われる。
【0137】
図2に示すように、ICチップ41eは、受信部(受信手段)43を有しており、この受信部43により、各クレンメ91〜93および初流採取バッグ81に設けられている各ICチップ41a〜41dの送信部42a〜42dから送信された信号を、それぞれ、アンテナ48を介して受信する。
【0138】
そして、ICチップ41eは、例えば、クレンメ93のICチップ41cから信号が送信されているとき(クレンメ93が閉じているとき)は、クレンメ93が閉じていることを示す信号を制御手段55に向けて出力し、クレンメ93のICチップ41cから信号が送信されていないとき(クレンメ93が開いているとき)は、クレンメ93が開いていることを示す信号を制御手段55に向けて出力する。このクレンメ93が閉じていることを示す信号および開いていることを示す信号としては、特に限定されない。一例としては、その一方を、出力レベルをローレベルとし、他方を、出力レベルをハイレベルとすればよい。
【0139】
なお、他のクレンメ91および92ついてもそれぞれ同様である。
また、ICチップ41eは、初流採取バッグ81のICチップ41dから信号が送信されているときは、初流採取バッグ81に採取された血液の量が所定量(目標量)に到達したことを示す信号を制御手段55に向けて出力し、初流採取バッグ81のICチップ41dから信号が送信されていないときは、初流採取バッグ81に採取された血液の量が所定量(目標量)に到達していないことを示す信号を制御手段55に向けて出力する。この初流採取バッグ81に採取された血液の量が所定量(目標量)に到達したことを示す信号および到達していないことを示す信号としては、特に限定されない。一例としては、その一方を、出力レベルをローレベルとし、他方を、出力レベルをハイレベルとすればよい。
【0140】
なお、腕帯7のICチップ41eと制御手段55との間の通信は、有線に限らず、例えば、無線で行われるようになっていてもよい。
【0141】
制御手段55は、例えば、マイクロコンピューター等で構成されており、遠心分離器駆動装置10、血液ポンプ11、抗凝固剤ポンプ12、エアーポンプ56、流路開閉手段51、流路開閉手段52、濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、第1の気泡センサ17、第2の気泡センサ34、第3の気泡センサ35、第4の気泡センサ36、第5の気泡センサ37、圧力センサ18およびタッチパネル19等と、それぞれ、電気的に接続されている。なお、この制御手段55は、演算部とメモリー(いずれも図示せず)を内蔵している。
【0142】
この制御手段55により、後述する初流採取操作における各クレンメ(流路開閉手段)91〜93の開閉操作を含む手順を示す手順情報を作成する手順情報作成手段の主機能が達成(構成)される。
【0143】
タッチパネル19は、液晶表示パネル、EL表示パネル等を備えており、オペレーターの指示の入力を受け付ける入力手段(操作手段)としての機能と、各種の情報を表示(報知)する表示手段(報知手段)としての機能とを有するものである。このタッチパネルの表示部には、カラーの電子画像が表示される。なお、入力手段(例えば、操作ボタン、操作スイッチ、操作ダイヤル等)と、液晶表示パネル、EL表示パネル等の表示手段(報知手段)とを、別個に設けるようにしてもよい。
【0144】
濁度センサ14、光学式センサ15、重量センサ16、第1の気泡センサ17、第2の気泡センサ34、第3の気泡センサ35、第4の気泡センサ36、第5の気泡センサ37および圧力センサ18からの検出信号と、腕帯7のICチップ41eからの信号は、それぞれ、制御手段55へ随時入力される。また、タッチパネル19からは、タッチパネル19に入力されたオペレーターの指示内容に応じた信号が制御手段55へ随時入力される。制御手段55は、これらからの各信号に基づき、予め設定されたプログラムに従って、血液成分採取装置1の作動、すなわち、血液ポンプ11、抗凝固剤ポンプ12の回転、停止、あるいは、回転方向(正転/逆転)を制御するとともに、必要に応じ、各流路開閉手段51、52の開閉、遠心分離器駆動装置10、エアーポンプ56およびタッチパネル19の作動を制御する。
【0145】
このような制御手段55は、ドナーから採取された血液を遠心分離器20(貯血空間146)内に流入させ、遠心分離器20により分離された血漿を血漿採取バッグ25内に採取(移送)する血漿採取工程(血液成分採取工程)と、遠心分離器20内に残った主として血球(残りの血液成分)をドナーへ返還(返血)する返血工程(血球返還工程)(血液成分返還工程)とを有する血漿採取操作(血液成分採取操作)を行うように、血液成分採取装置1の作動を制御する。この血漿採取操作は、少なくとも1回(1サイクル)、通常は、複数回(複数サイクル)行われる。
【0146】
以下、血液成分採取装置1の使用方法および作用について説明する。なお、第1サイクルの血漿採取操作(本採血)の前に行う各工程(操作)や、第1サイクルの血漿採取操作(本採血)への移行については、後に詳述する。
【0147】
後述する抗凝固剤送液工程が終了した後、クレンメ92および93が開いた状態、クレンメ91が閉じた状態になると、第1サイクルの血漿採取操作(本採血)に移行し、制御手段55により所定のプログラムが実行され、第1サイクルの血漿採取操作が開始される。血漿採取操作では、血液成分採取装置1は、まず、血漿採取工程を行う。
【0148】
血漿採取工程では、血液ポンプ11を図1中時計回り(正方向)に回転(正転)させて、採血を開始する。同時に、流路開閉手段51を開放し、流路開閉手段52を閉塞して、採取バッグ側ライン22およびエアーバッグ側ライン24を介して、遠心分離器20の貯血空間146内等の血液成分採取回路2内の空気(滅菌空気)を、エアーバッグ26内に移送し、収納する。
【0149】
また、前記採血と同時に、抗凝固剤ポンプ12を図1中反時計回り(正方向)に回転(正転)させて、抗凝固剤注入ライン23を介して、例えばACD−A液のような抗凝固剤を供給し、この抗凝固剤を採血血液中に添加させる。
【0150】
これにより、血液(抗凝固剤添加血液)は、採血・返血ライン21を介して移送され、遠心分離器20の流入口143よりローター142の貯血空間146内に導入される。
【0151】
このとき、遠心分離器20の貯血空間146内の空気は、採取バッグ側ライン22およびエアーバッグ側ライン24を介して、エアーバッグ26内に移送され、収納される。
【0152】
また、前記採血と同時にまたはこれと前後して、遠心分離器駆動装置10を作動し、ローター142を所定の回転数で回転する。このローター142の回転により、貯血空間146内に導入された血液は、内側から血漿層(PPP層)と血球層の2層に分離される。
【0153】
さらに、前記採血および前記抗凝固剤の供給を継続し、貯血空間146の容量を超える抗凝固剤添加血液が貯血空間146内に導入されると、貯血空間146内は完全に血液により満たされ、遠心分離器20の流出口144から血漿がオーバーフローし、その血漿は、採取バッグ側ライン22を流れる。
【0154】
次いで、第3の気泡センサ35により、遠心分離器20の貯血空間146から流出する血漿が検出されると、貯血空間146内の空気のエアーバッグ26内への収納が完了する。
【0155】
次いで、流路開閉手段51を閉塞し、流路開閉手段52を開放し、採取バッグ側ライン22を介して、遠心分離器20の貯血空間146内の血漿を、血漿採取バッグ25内に移送し、採取する。
【0156】
なお、血漿採取バッグ25は、その重量が重量センサ16により計測されており、計測された重量信号は制御手段55に入力される。
【0157】
血漿採取を終了する場合は、血液ポンプ11、抗凝固剤ポンプ12の作動を停止するとともに、流路開閉手段51を開放し、流路開閉手段52を閉塞し、遠心分離器駆動装置10の作動を停止して、遠心分離器20のローター142の回転を停止する。
【0158】
以上で、血漿採取工程を終了し、血球返還工程(返血)に移行する。この血球返還工程では、血液成分採取回路2(主に、ローター142の貯血空間146)内に残った血液成分をドナーへ返還する。具体的には、血液ポンプ11を図1中反時計回り(逆方向)に回転(逆転)させる。
【0159】
これにより、遠心分離器20の貯血空間146内の残りの血液成分は、遠心分離器側ライン21b、中空針側ライン21aおよび中空針291を介して、ドナーへ返還される。
【0160】
次いで、第1の気泡センサ17によって空気が検出されると、この返血を終了し、次のサイクルの血漿採取操作の血漿採取工程に移行する。
【0161】
本サイクルが最終サイクルの場合には、第5の気泡センサ37によって空気が検出されると、返血を終了する。これにより、血液成分採取回路2内の残りの血液成分が、ほぼ全てドナーへ返還され、血漿採取操作を終了する。
【0162】
さて、この血液成分採取装置1は、本採血、すなわち、第1サイクルの血漿採取工程(血漿採取バッグ25への血漿(血液成分)の採取)に先立って、制御手段55の制御により、初流採取ライン27を通してドナーから採取した血液の初流(採血初流)を初流採取バッグ81に採取する初流採取操作(初流採取工程、抗凝固剤送液工程)を実行し、この後、本採血、すなわち、第1サイクルの血漿採取工程を実行するように構成されている。
【0163】
そして、本採血(第1サイクルの血漿採取工程)の前の各工程(各操作)、特に、初流採取操作において、各クレンメ91〜93による流路の開閉状態(各クレンメ91〜93の開閉状態)および初流採取バッグ81に採取された血液の量(例えば、所定量(目標量に)到達したか否か等)を検出し、これらの検出結果(受信部43により受信した情報)に基づいて、初流採取操作における各クレンメ91〜93の開閉操作を含む手順(例えば、各クレンメ91〜93の開閉操作の指示)を示す手順情報を作成し、この手順情報をタッチパネル19に表示し、その初流採取操作等の本採血の前の各工程を実行するように構成されている。
【0164】
また、タッチパネル19には、前記手順情報として、各クレンメ91〜93の開閉操作の指示が、それぞれ、操作対象のクレンメの色(開閉操作を行うクレンメに対応する色)で、かつ、クレンメの画像で表示される。
【0165】
以下、図6および図7に基づいて、本採血、すなわち、前述した第1サイクルの血漿採取操作の前の工程について説明する。
【0166】
図6および図7は、図1に示す血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャート(制御手段55の制御動作を示すフローチャート)、図8は、図1に示す血液成分採取装置の初流採取画面の構成例を示す図である。
【0167】
まず、オペレーターは、抗凝固剤が収納された図示しない抗凝固剤バッグを抗凝固剤ライン23に接続し、抗凝固剤を気泡除去用チャンバー(点滴筒)23cの1/3程度まで満たし、その抗凝固剤バッグを図示しないハンガーに吊り下げる。また、クレンメ92および93を閉じ、クレンメ91のみが開いた状態とする。
【0168】
そして、オペレーターは、タッチパネル19に表示されたプライミング開始ボタン(プライミング開始スイッチ)を押す。これにより、プライミング工程(プライミング操作)が開始される。
【0169】
プライミング工程では、抗凝固剤ポンプ12を正方向に回転させ、凝固剤注入ライン23と中空針側ライン21aの分岐コネクタ21cからチャンバー21dまでを、抗凝固剤でプライミングする。なお、気泡センサ34、36、37の全てが抗凝固剤を検出すると、プライミングが完了し、抗凝固剤ポンプ12を停止する。
【0170】
前記プライミング工程が終了すると、初流採取操作(初流採取操作の初流採取工程)に移行し、図6および図7に示すプログラムが実行される。
【0171】
まずは、タッチパネル19に、初流採取画面を表示する(ステップS101)。
このステップS101における初流採取画面には、赤色のクレンメ92を開く旨の指示(手順)が表示される。具体的には、例えば、図8に示すように、閉じた状態のクレンメおよび開いた状態のクレンメが、それぞれ、操作対象のクレンメ92の色である赤色で表示され、これらのクレンメの間に、閉じた状態のクレンメから開いた状態のクレンメの方向に向いた矢印が表示される。
【0172】
なお、ステップS101における初流採取画面には、この他、例えば、他のクレンメ91および93の適正な開閉状態、すなわち、クレンメ91は、開いた状態、クレンメ93は、閉じた状態とすること等を表示してもよい。これは、下記の関連する各ステップにおいても同様である。
【0173】
ここで、本来、オペレーターは、中空針291をドナーの血管に穿刺し、クレンメ92を開く。
【0174】
これにより、ドナーから中空針291により採取された血液の初流(採血初流)は、ドナーの静脈圧や落差(自重)により、その中空針291、中空針側ライン21a、分岐コネクタ21e、初流採取ライン27を流れ、初流採取バッグ81内に導入(採取)される。
【0175】
なお、採血初流の初流採取バッグ81への送液を、ポンプによって行うように構成してもよい。
【0176】
次いで、赤色のクレンメ92のICチップ41bから送信される信号(情報)に基づき、腕帯7のICチップ41eから出力される信号に基づいて、クレンメ92が開いたか否かを判断し(ステップS102)、クレンメ92が開いた場合には、タッチパネル19に、初流採取中画面を表示する(ステップS103)。
【0177】
このステップS103における初流採取中画面には、例えば、採血初流の採取中である旨を示す情報や、「このまま、この場を離れずに初流血採取が終了したら、速やかにクレンメ92を閉じて下さい」のようなオペレーターの手順等が表示される。
【0178】
次いで、初流採取バッグ81のICチップ41dから送信される信号(情報)に基づき、腕帯7のICチップ41eから出力される信号に基づいて、採血初流が初流採取バッグ81に所定量(目標量)採取されたか否かを判断し(ステップS104)、所定量採取された場合には、タッチパネル19に、初流採取画面を表示する(ステップS105)。
【0179】
このステップS105における初流採取画面には、赤色のクレンメ92を閉じる旨の指示が表示される。具体的には、例えば、閉じた状態のクレンメおよび開いた状態のクレンメが、それぞれ、操作対象のクレンメ92の色である赤色で表示され、これらのクレンメの間に、開いた状態のクレンメから閉じた状態のクレンメの方向に向いた矢印が表示される。
ここで、本来、オペレーターは、クレンメ92を閉じる。
【0180】
次いで、所定時間経過したか否かを判断し(ステップS106)、所定時間経過していない場合には、赤色のクレンメ92のICチップ41bから送信される信号(情報)に基づき、腕帯7のICチップ41eから出力される信号に基づいて、クレンメ92が閉じたか否かを判断し(ステップS107)、クレンメ92が閉じた場合には、ステップS110に移行する。
【0181】
一方、ステップS107において、クレンメ92が閉じていない場合には、ステップS106に戻り、再度、ステップS106以降を実行する。
【0182】
また、前記ステップS106において、所定時間経過した場合には、ナースコール処理を行う(ステップS108)。
【0183】
このステップS108のナースコール処理では、例えば、図示しないブザー等の音声や発光部の発光(光)等により、採血初流が過剰に採取されてしまう旨の警告を行うとともに、タッチパネル19にナースコールリセットボタン(ナースコールリセットスイッチ)を表示する。
【0184】
ここで、本来、オペレーターは、クレンメ92を閉じ、タッチパネル19に表示されたナースコールリセットボタンを押す。
【0185】
次いで、ナースコールリセットボタンが押されたか否かを判断し、押された場合には、ステップS106に戻り、再度、ステップS106以降を実行する。
【0186】
ステップS110では、タッチパネル19に、初流採取画面を表示する。
このステップS110における初流採取画面には、黄色のクレンメ93を開く旨の指示が表示される。具体的には、例えば、閉じた状態のクレンメおよび開いた状態のクレンメが、それぞれ、操作対象のクレンメ93の色である黄色で表示され、これらのクレンメの間に、閉じた状態のクレンメから開いた状態のクレンメの方向に向いた矢印が表示される。
【0187】
ここで、本来、オペレーターは、クレンメ93を開く。このクレンメ93を開く操作から抗凝固剤送液工程となる。
【0188】
次いで、黄色のクレンメ93のICチップ41cから送信される信号(情報)に基づき、腕帯7のICチップ41eから出力される信号に基づいて、クレンメ93が開いたか否かを判断し(ステップS111)、クレンメ93が開いた場合には、タッチパネル19に、抗凝固剤送液画面を表示する(ステップS112)。
【0189】
このステップS112における抗凝固剤送液画面には、例えば、抗凝固剤送液中である旨を示す情報等が表示される。
【0190】
次いで、抗凝固剤ポンプ12を正方向に所定回数(例えば、1回転)回転(正転)させる(ステップS113)。
【0191】
これにより、抗凝固剤は、分岐コネクタ21cから、中空針側ライン21a、分岐コネクタ21e、初流採取ライン27を流れ(初流採取ライン27に供給され)、これによって、抗凝固剤注入ライン23と、中空針側ライン21aの分岐コネクタ21cから分岐コネクタ21eまでと、初流採取ライン27の分岐コネクタ21eからその途中までの流路内が、抗凝固剤で満たされる(洗浄される)。
【0192】
次いで、タッチパネル19に、初流採取画面を表示する(ステップS114)。
このステップS114における初流採取画面には、青色のクレンメ91を閉じる旨の指示が表示される。具体的には、例えば、閉じた状態のクレンメおよび開いた状態のクレンメが、それぞれ、操作対象のクレンメ91の色である青色で表示され、これらのクレンメの間に、開いた状態のクレンメから閉じた状態のクレンメの方向に向いた矢印が表示される。
【0193】
ここで、本来、オペレーターは、クレンメ91を閉じる。このクレンメ91を閉じる操作で、後述するように、タッチパネル19の表示画面が切り替わり、抗凝固剤送液工程が終了する。
【0194】
次いで、青色のクレンメ91のICチップ41aから送信される信号(情報)に基づき、腕帯7のICチップ41eから出力される信号に基づいて、クレンメ91が閉じたか否かを判断し(ステップS115)、クレンメ91が閉じた場合には、タッチパネル19に、採血開始画面を表示する(ステップS116)。
【0195】
このステップS116における採血開始画面には、赤色のクレンメ92を開く旨の指示が表示される。具体的には、例えば、閉じた状態のクレンメおよび開いた状態のクレンメが、それぞれ、操作対象のクレンメ92の色である赤色で表示され、これらのクレンメの間に、閉じた状態のクレンメから開いた状態のクレンメの方向に向いた矢印が表示される。
【0196】
ここで、本来、オペレーターは、クレンメ92を開く。
次いで、赤色のクレンメ92のICチップ41bから送信される信号(情報)に基づき、腕帯7のICチップ41eから出力される信号に基づいて、クレンメ92が開いたか否かを判断し(ステップS117)、クレンメ92が開いた場合には、本採血へ移行し、その本採血、すなわち、前述した第1サイクルの血漿採取操作が開始される。
【0197】
以上説明したように、この血液成分採取装置1によれば、採血の際、容易に、ドナーから採取された血液から、細菌感染の可能性がある初流(採血初流)を除去することができ、これにより、採取された血漿への細菌の混入が抑制され、患者に所定の血液成分(例えば血漿)を輸血する際の安全性が向上する。また、前記除去した採血初流を初流採取バッグ81内に貯留することができる。
【0198】
そして、特に、初流採取操作の際、各クレンメ91〜93による流路の開閉状態(各クレンメ91〜93の開閉状態)および初流採取バッグ81に採取された血液の量(所定量到達したか否か)を検出し、これらの検出結果に基づいて、クレンメ91〜93の開閉操作の指示等の初流採取操作の手順情報が作成され、タッチパネル19に表示されるので、オペレーターは、容易かつ確実に、クレンメ91〜93の開閉操作を行うことができる。これにより、初流採取操作を確実に行うことができる。また、オペレーターは、クレンメ92を閉じるタイミングを間違える(逃す)ことがなく、初流採取バッグ81に目標量の採血初流を過不足なく確実に採取することができる。
【0199】
また、各クレンメ91〜93として、それぞれ、互いに異なる色のクレンメ(または互いに異なる色のマーカーが付されたクレンメ)を用い、タッチパネル19に、各クレンメ91〜93の開閉操作の指示が、それぞれ、操作対象のクレンメの色で、かつ、クレンメの画像で表示されるので、オペレーターは、いずれのクレンメをどのように操作すべきか(開くのか、または、閉じるのか)を容易かつ確実に把握することができ、容易かつ確実に、クレンメ91〜93の開閉操作を行うことができる。
【0200】
また、ステップS117において、クレンメ92が開いたと判断された場合に、自動的に、第1サイクルの血漿採取操作が開始されるので、オペレーターが行う操作を削減することができ、オペレーターの手間を軽減することができる。
【0201】
なお、前記実施形態では、クレンメ91〜93のうち、開閉操作の指示を行ったクレンメについてのみ、その開閉状態を検出し、開閉状態が適正であるか否かを判断(判別)するようになっているが、本発明では、これに限らず、例えば、すべてのクレンメ91〜93について、それぞれ、その開閉状態を検出し、開閉状態が適正であるか否かを判断するように構成してもよい。
【0202】
例えば、ステップS101と、ステップS102との間において、青色のクレンメ91が開いており、黄色のクレンメ93が閉じているか否かを判断し、いずれか一方でもその開閉状態が不敵正の場合は、所定の警告を行うようにしてもよい。他の箇所においても同様である。この場合は、さらに確実に、初流採取操作を行うことができる。
【0203】
また、前記実施形態では、ステップS117において、クレンメ92が開いたと判断された場合に、自動的に、第1サイクルの血漿採取操作が開始されるようになっているが、本発明では、これに限らず、例えば、ステップS117において、クレンメ92が開いたと判断された場合に、第1サイクルの血漿採取操作が可能となるように構成されていてもよい。この場合、例えば、ステップS117において、クレンメ92が開いたと判断された場合に、タッチパネル19に採血開始ボタン(採血開始スイッチ)が表示され、オペレーターがその採血開始ボタンを押すと、第1サイクルの血漿採取操作が開始されるように構成することができる。
【0204】
また、本発明では、制御手段55等が設けられている装置本体と、血液成分採取回路2とを紐付けする紐付け情報を、例えば、中空針291をドナーに穿刺する直前に、各クレンメ91〜93および腕帯7のICチップ41a〜41dのメモリー(記憶手段)(図示せず)に、それぞれ記憶し、各クレンメ91〜93および腕帯7のICチップ41a〜41dから、検出結果が、その紐付け情報とともに、腕帯7のICチップ41eを介して、または、直接、制御手段55に送信されるように構成してもよい。
【0205】
紐付け情報としては、例えば、ドナーの性別、身長、体重、採血番号、装置本体のID(機種、シリアルナンバー等)等が挙げられる。
【0206】
装置本体側の制御手段55は、前記紐付け情報により、各クレンメ91〜93および腕帯7のICチップ41a〜41dからの検出結果を、当該血液成分採取装置1以外の血液成分採取装置1における検出結果と区別する。
【0207】
これによれば、複数の血液成分採取装置1が近接して配置されている場合でも、各血液成分採取装置1において、それぞれ、確実に、初流採取操作を行うことができる。
【0208】
以上、本発明の採血装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。
【0209】
なお、本発明では、受信手段は、腕帯に限らず、他の部位(例えば、制御手段が設けられている装置本体等)に設けられていてもよい。
【0210】
また、流路開閉手段の開閉状態を検出する手段は、前記実施形態のものには限らず、例えば、感圧センサ等を用いて構成し、流路開閉手段を閉塞したときの締め付け力等を検出するようになっていてもよい。
【0211】
また、報知手段は、タッチパネル等の表示手段に限らず、例えば、手順情報を音声等で伝える手段であってもよい。
【0212】
また、本発明は、血漿製剤(または血漿分画製剤の原料血漿)を得るのに適用する場合に限らず、例えば、血液中から、血小板製剤、赤血球製剤、白血球製剤等を得る場合に適用してもよい。すなわち、本発明では、血液成分採取バッグに採取される血液成分は、血漿に限らず、例えば、血小板(血漿を含む血小板)、赤血球(血漿を含む赤血球)、白血球(血漿を含む白血球)等であってもよい。
【0213】
また、本発明は、血液成分採取バッグを複数有し、複数の血液成分を採取し得るように構成されていてもよい。
【0214】
また、上述した実施形態では、採血ラインおよび返血ラインが一体となったいわゆる間歇式(一針式または片腕式とも呼ばれる)の採血装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、この方式のものに限らず、例えば、採血ラインと返血ラインとが別個に設けられたいわゆる連続式(二針式または両腕式とも呼ばれる)の採血装置にも適用することができる。
【0215】
また、本発明は、所定の血液成分を採取して、残りの血液成分をドナーに返還しない採血装置に適用することもできる。
【0216】
また、本発明は、ドナーから採取された血液(全血)を採血バッグに採取する採血装置に適用することもできる。この場合には、ディスプレイを設けずに、クレンメと同色のLED等のカラーインジケータによって手順を示してもよい。
【0217】
また、本発明では、光学式センサは、図示のものに限定されず、例えば、ラインセンサ等であってもよい。
【0218】
また、本発明では、血液分離器は、遠心型のものに限定されず、例えば、膜型等のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】本発明の採血装置を、主に血漿を採取する血液成分採取装置に適用した場合の実施形態を示す平面図(一部にブロック図を含む)である。
【図2】図1に示す血液成分採取装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す血液成分採取装置の初流採取バッグを示す正面図である。
【図4】図1に示す血液成分採取装置のクレンメを示す斜視図である。
【図5】図1に示す血液成分採取装置の腕帯を示す平面図および斜視図である。
【図6】図1に示す血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1に示す血液成分採取装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図8】図1に示す血液成分採取装置の初流採取画面の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0220】
1 血液成分採取装置
2 血液成分採取回路
10 遠心分離器駆動装置
11 血液ポンプ
12 抗凝固剤ポンプ
14 濁度センサ
15 光学式センサ
16 重量センサ
17 第1の気泡センサ
18 圧力センサ
19 タッチパネル
20 遠心分離器
21 採血・返血ライン
21a 中空針側ライン
21b 遠心分離器側ライン
21c 分岐コネクタ
21d チャンバー
21e 分岐コネクタ
21g ポンプチューブ
21h チューブ
21i フィルター
22 採取バッグ側ライン
23 抗凝固剤注入ライン
23a ポンプチューブ
23c 気泡除去用チャンバー
23d 抗凝固剤溶器接続用針
24 エアーバッグ側ライン
25 血漿採取バッグ
26 エアーバッグ
27 初流採取ライン
291 中空針
292 翼
32 サブバッグ
32a チューブ
34 第2の気泡センサ
35 第3の気泡センサ
36 第4の気泡センサ
37 第5の気泡センサ
41a〜41e ICチップ
42a〜42d 送信部
43 受信部
44、45 端子
46、47、48 アンテナ
49a〜49e 電源部
51、52 流路開閉手段
55 制御手段
56 エアポンプ
61 分岐コネクタ
62 チューブ
63 フィルター
64 除菌フィルター
7 腕帯
71 袋体
72 カバー
73 チューブ
74 ケーブル
81 初流採取バッグ
83 針管
84 被包部材
85 ホルダー
86 キャップ
91〜93 クレンメ
931 爪
932 操作部
933 先端部
934 圧閉部
142 ローター
143 流入口
144 流出口
145 上部
146 貯血空間
S101〜S117 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供血者から血液を採取する採血針を備えた採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を収納する採血バッグと、
前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取ラインとを有する血液採取回路を備え、
前記採血バッグへの血液の採取に先立って、前記初流採取ラインを通して前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取操作を実行し、この後、供血者から前記採血バッグへ血液を採取する採血装置であって、
前記初流採取操作において、前記血液採取回路の所定の流路を開閉し、手作業でその開閉操作がなされる流路開閉手段と、
前記流路開閉手段による前記流路の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した情報に基づいて、前記初流採取操作における前記流路開閉手段の開閉操作を含む手順を示す手順情報を作成する手順情報作成手段と、
前記手順情報を報知する報知手段とを備えることを特徴とする採血装置。
【請求項2】
供血者から血液を採取する採血針を備えた採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を分離する血液分離器と、
前記血液分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグと、
前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取ラインとを有する血液採取回路を備え、
前記所定の血液成分の採取に先立って、前記初流採取ラインを通して前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取操作を実行し、この後、供血者から採取した血液を分離して、前記所定の血液成分を採取する採血装置であって、
前記初流採取操作において、前記血液採取回路の所定の流路を開閉し、手作業でその開閉操作がなされる流路開閉手段と、
前記流路開閉手段による前記流路の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した情報に基づいて、前記初流採取操作における前記流路開閉手段の開閉操作を含む手順を示す手順情報を作成する手順情報作成手段と、
前記手順情報を報知する報知手段とを備えることを特徴とする採血装置。
【請求項3】
供血者から血液を採取する採血針を備えた採血手段と、
前記採血手段により採取された血液を分離する血液分離器と、
前記血液分離器により分離された所定の血液成分を採取する血液成分採取バッグと、
前記採血針と前記血液分離器の流入口とを接続する血液処理ラインと、
前記血液処理ラインに設けられた第1の分岐部から分岐し、抗凝固剤を注入する抗凝固剤注入ラインと、
前記血液処理ラインの前記採血針と前記第1の分岐部との間に設けられた第2の分岐部から分岐し、前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取ラインとを有する血液採取回路と、
前記採血手段により採取された血液に前記抗凝固剤を添加する抗凝固剤供給手段とを備え、
前記所定の血液成分の採取に先立って、前記初流採取ラインを通して前記供血者から採取した血液の初流を採取する初流採取操作を実行し、この後、供血者から採取した血液を分離して、前記所定の血液成分を採取する採血装置であって、
前記初流採取操作において、前記血液採取回路の所定の流路を開閉し、手作業でその開閉操作がなされる流路開閉手段と、
前記流路開閉手段による前記流路の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した情報に基づいて、前記初流採取操作における前記流路開閉手段の開閉操作を含む手順を示す手順情報を作成する手順情報作成手段と、
前記手順情報を報知する報知手段とを備えることを特徴とする採血装置。
【請求項4】
前記血液採取回路は、前記初流採取ラインに接続され、前記血液の初流を採取する初流採取バッグを有しており、
当該採血装置は、前記初流採取バッグに採取された血液の量を検出する血液量検出手段と、
前記血液量検出手段の検出結果を前記受信手段に送信する送信手段とを有する請求項1ないし3のいずれかに記載の採血装置。
【請求項5】
前記開閉状態検出手段は、前記流路開閉手段に設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の採血装置。
【請求項6】
前記開閉状態検出手段の検出結果を送信する前記送信手段は、前記流路開閉手段に設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の採血装置。
【請求項7】
前記流路開閉手段は、前記血液採取回路の複数の箇所に設けられており、
前記開閉状態検出手段は、前記各流路開閉手段のそれぞれに設けられている請求項1ないし6のいずれかに記載の採血装置。
【請求項8】
前記受信手段が設けられ、供血者の腕に装着される腕帯を有し、
前記受信手段により受信した情報は、該前記受信手段から前記手順情報作成手段側に送信されるように構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の採血装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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