説明

接合組立品の製造方法および接合組立品の製造装置

【課題】接着される部材の歪を抑制し、接合強度等を確保することのできる接合組立品の接合方法を提供する。
【解決手段】第1エネルギー付与部16において接着剤4の接着部材10の外側面14b側への露出を許容しつつ第2接着部14A2によって第2接着部14A2と第2被接着部24A2との間の接着剤4の接着部材10の外側面14b側への露出を規制するとともに、第2エネルギー付与部26において接着剤4の被接着部材20の外側面26b側への露出を許容しつつ、接着剤4を配置する硬化前工程と、接着部材10の外側面14bにエネルギー線を照射して各第1接着部14A1と各第1被接着部24A1との間の接着剤4を硬化させる第1硬化工程と、被接着部材20の外側面24bにエネルギー線を照射して第2接着部14A2と第2被接着部24A2との間に配置された接着剤4を硬化させる第2硬化工程とを実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体を構成する板金部材どうし等が接合された接合組立品の製造方法および接合組立品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体を構成する板金部材等の部材を接合する手段として、スポット溶接やレーザ溶接等の溶接技術、或いは接着剤による接着方法が採用されている。
【0003】
特に、近年では、特許文献1に開示されているように、外部から一部に付与されたエネルギーによって内部エネルギーを自己発生させつつ硬化する接着剤であって、この内部エネルギーが発生した部位に隣接する部分がこの内部エネルギーを受けてさらに内部エネルギーを自己発生させつつ硬化反応を起こすことにより連鎖的に硬化していく連鎖反応型の接着剤を用いる接着方法が注目されている。
【特許文献1】特開平11−193322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記連鎖反応型などの接着剤を用いる方法では、一度に広範囲の領域を硬化させると、接着剤の硬化収縮に伴って接着される部材の歪が大きくなるという問題がある。そして、この部材の歪が大きいと、部材間の接合強度および接合精度が十分に得られなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、接着される部材の歪を抑制し、接合強度を確保することのできる接合組立品の接合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、接着部材の内側面と被接着部材の内側面との間に接着剤を介在させ、前記接着剤の硬化によって前記接着部材と被接着部材とを接合する接合組立品の製造方法であって、前記接着部材は、特定方向に沿って並ぶ複数の第1接着部と、当該第1接着部の間に設けられる第2接着部と、前記各第1接着部にそれぞれ形成されてこの接着部材の内側面と外側面とを貫通する第1エネルギー付与部とを有し、前記被接着部材は、前記各第1接着部にそれぞれ接合される第1被接着部と、前記第2接着部に接合される第2被接着部と、前記第2被接着部に形成されてこの被接着部材の内側面と外側面とを貫通する第2エネルギー付与部とを有し、前記接着剤として、外部から一部に照射されたエネルギー線によって内部エネルギーを自己発生させつつ硬化するとともに、当該内部エネルギーが自己発生した部位に隣接する部分がこの内部エネルギーを受けてさらに内部エネルギーを自己発生させつつ硬化反応を起こすことにより連鎖的に硬化していく連鎖反応型の接着剤を用い、前記接着剤を、前記接着部材の内側面と被接着部材の内側面との間に配置する硬化前工程と、前記硬化前工程の後に実施されて、前記接着部材の外側面にエネルギー線を照射して当該エネルギー線を前記各第1エネルギー付与部を介して前記接着剤に照射することで、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間に配置された接着剤をそれぞれ硬化させる第1硬化工程と、前記第1硬化工程の後に実施されて、前記被接着部材の外側面にエネルギー線を照射して当該エネルギー線を前記第2エネルギー付与部を介して前記接着剤に照射することで、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置された接着剤を硬化させる第2硬化工程とを備え、前記硬化前工程では、前記各第1エネルギー付与部において前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間の接着剤の前記接着部材の外側面側への露出を許容しつつ前記第2接着部によって当該第2接着部と前記第2被接着部との間の接着剤の前記接着部材の外側面側への露出を規制するとともに、前記第2エネルギー付与部において前記第2接着部と前記第2被接着部との間の接着剤の前記被接着部材の外側面側への露出を許容しつつ、前記接着剤を配置することを特徴とする接合組立品の製造方法を提供する(請求項1)。
【0007】
本方法によれば、第1硬化工程において第1接着部と第1被接着部とが互いに接合した後に第2硬化工程が実施されており、この第2硬化工程では前記第2接着部と第2被接着部の両端部分が互いに拘束された状態で接着剤が硬化していくため、接着剤の硬化収縮に伴う第2接合部と第2被接合部の変形量を小さくして前記接着部材と被接着部材の接合強度を確保することができる。特に、本方法では、前記第1硬化工程において前記第2接着部によって第2接着部と第2被接着部との間の接着剤の接着部材側への露出が規制された状態で接着部材の外側面にエネルギー線が照射されており、前記接着部材側にエネルギー線を照射するという簡単な方法をとりつつ、この第1硬化工程にて前記エネルギー線が前記第2接着部と第2被接着部との間の接着剤に照射されるのをより確実に抑制することができ、前記第1接着部と第1被接着部との間の接着剤の硬化と前記第2接着部と第2被接着部との間の接着剤の硬化のタイミングをより確実に異ならせることができる。
【0008】
また、本方法では、複数の第1エネルギー付与部および第2エネルギー付与部からエネルギー線が照射されることで、接着部材と被接着部材との間の接着剤の各部位おいてエネルギー付与点からのエネルギー伝達距離が小さく抑えられており、これによっても接着剤の硬化収縮に伴う部材全体の歪を小さくすることができる。
【0009】
また、本発明において、前記硬化前工程は、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間にそれぞれ配置される接着剤と、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置される接着剤とを熱的に分断する工程を含むのが好ましい(請求項2)。
【0010】
このようにすれば、前記第1接着部と第1被接着部の間の接着剤の硬化反応と、第2接着部と第2被接着部の間の接着剤の硬化反応の連鎖をより確実に規制することができ、これら各間の接着剤の硬化タイミングを異ならせて接着剤の硬化収縮に伴う部材全体の歪をより確実に小さくすることができる。
【0011】
ここで、前記硬化前工程において、前記接着剤の一部を、前記第1エネルギー付与部において前記接着部材の内側面から外側面側に膨出させておけば、第1接着部と第1被接着部間の接着剤へのエネルギー付与がより容易となり、エネルギー効率を向上させることができる(請求項3)。
【0012】
また、前記硬化前工程において、前記接着剤の一部を、前記第2エネルギー付与部において前記被接着部材の内側面から外側面側に膨出させておけば、第2接着部と第2被接着部間の接着剤に、より容易にエネルギーを付与することができる(請求項4)。
【0013】
また、本発明において、前記各第1エネルギー付与部が、前記各第1接着部の前記特定方向の略中央にそれぞれ設けられているのが好ましい(請求項5)。また、第2エネルギー付与部が、前記第2被接着部の前記特定方向の略中央に設けられているのが好ましい(請求項6)。
【0014】
このようにすれば、接着剤の硬化反応の連鎖の終端までの距離を短く抑えることができ、硬化反応をより確実に連鎖させることができる。このことは、接着剤のより確実な硬化を実現し部材間の接合強度を確保する。
【0015】
ここで、前記第2接着部が、前記接着部材に複数設けられており、前記第2被接着部が、前記被接着部材に複数設けられているのが好ましい(請求項7)。
【0016】
このようにすれば、接着部材と被接着部材との間の接着剤の各部位おけるエネルギー付与点からのエネルギー伝達距離をより小さく抑えることができ、接着部材および被接着部材全体の歪をより小さく抑えることができる。
【0017】
また、本発明において、前記第1硬化工程および第2硬化工程を実施する具体的な方法は特に限定されるものではないが、前記接着部材と前記被接着部材とを搬送する搬送ラインを用い、この搬送ラインに沿って設けられた第1作業ステーションにて前記第1硬化工程を実施し、前記搬送ラインに沿って前記第1作業ステーションより下流に設けられた第2作業ステーションにて前記第2硬化工程を実施する方法が挙げられる(請求項8)。
【0018】
また、本発明において、前記エネルギー線を照射する具体的方法は特に限定さないが、例えば、前記エネルギー線として前記接着部材の外側面あるいは前記被接着部材の外側面に光を照射する方法が挙げられる(請求項9、10)。
【0019】
また、本発明は、接着部材の内側面と被接着部材の内側面との間に接着剤を介在させ、前記接着剤の硬化によって前記接着部材と被接着部材とを接合する接合組立品の製造装置であって、前記接着部材は、特定方向に沿って並ぶ複数の第1接着部と、当該第1接着部の間に設けられる第2接着部と、前記各第1接着部にそれぞれ形成されてこの接着部材の内側面と外側面とを貫通する第1エネルギー付与部とを有し、前記被接着部材は、前記各第1接着部にそれぞれ接合される第1被接着部と、前記第2接着部に接合される第2被接着部と、前記第2被接着部に形成されてこの被接着部材の内側面と外側面とを貫通する第2エネルギー付与部とを有し、外部から一部に照射されたエネルギー線によって内部エネルギーを自己発生させつつ硬化するとともに、当該内部エネルギーが自己発生した部位に隣接する部分がこの内部エネルギーを受けてさらに内部エネルギーを自己発生させつつ硬化反応を起こすことにより連鎖的に硬化していく連鎖反応型の接着剤を、前記各第1エネルギー付与部において前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間の接着剤の前記接着部材の外側面側への露出を許容しつつ前記第2接着部によって当該第2接着部と前記第2被接着部との間の接着剤の前記接着部材の外側面側への露出を規制するとともに、前記第2エネルギー付与部において前記第2接着部と前記第2被接着部との間の接着剤の前記被接着部材の外側面側への露出を許容しつつ、前記接着部材の内側面と被接着部材の内側面との間に配置する接着剤配置手段と、前記接着部材の外側面にエネルギー線を照射して当該エネルギー線を前記各第1エネルギー付与部を介して前記接着剤に照射することで、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間に配置された接着剤をそれぞれ硬化させる第1硬化手段と、前記被接着部材の外側面にエネルギー線を照射して当該エネルギー線を前記第2エネルギー付与部を介して前記接着剤に照射することで、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置された接着剤を硬化させる第2硬化手段とを備えることを特徴とする接合組立品の製造装置を提供する(請求項11)。
【0020】
この装置によれば、第1硬化手段と第2硬化手段とによって、第1接着部と第1被接着部との間の接着剤の硬化と第2接着部と第2被接着部との間の接着剤の硬化とがそれぞれ個別に実施されるため、接着剤全体を一度に硬化させる場合に比べて接着剤の硬化収縮に伴う接着部材および被接着部材の変形量を小さくして前記接着部材と被接着部材の接合強度を確保することができる。特に、前記接着剤配置手段により第2接着部と第2被接着部との間の接着剤の接着部材側への露出が規制されており、第1硬化手段により接着部材の外側面にエネルギー線の照射が行なわれた場合にこのエネルギー線が前記第2接着部と第2被接着部との間の接着剤に照射されるのをより確実に抑制することができるので、前記第1接着部と第1被接着部との間の接着剤の硬化と前記第2接着部と第2被接着部との間の接着剤の硬化とをより確実に個別に進行させることができる。
【0021】
また、この装置において、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間にそれぞれ配置される接着剤と、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置される接着剤とを熱的に分断して、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間にそれぞれ配置される接着剤の各硬化反応と、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置される接着剤の硬化反応とが連鎖するのを規制する規制手段を備えるのが好ましい(請求項12)。
【0022】
このようにすれば、前記第1接着部と第1被接着部の間の接着剤の硬化反応と、第2接着部と第2被接着部の間の接着剤の硬化反応の連鎖をより確実に規制することができ、これら各間の接着剤の硬化タイミングを異ならせて接着剤の硬化収縮に伴う部材全体の歪をより確実に小さくすることができる。
【0023】
また、本発明は、前記接着部材と前記被接着部材とを搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインに沿って設けられるとともに、前記第1硬化手段が配置されて当該第1硬化手段による前記第1エネルギー付与部へのエネルギー線照射が実施される第1作業ステーションと、前記搬送ラインに沿って設けられるとともに、前記第2硬化手段が配置されて当該第2硬化手段による前記第2エネルギー付与部へのエネルギー線照射が実施される第2作業ステーションとを備え、前記第2作業ステーションが前記第1作業ステーションより下流に設けられているものも含む(請求項13)。
【0024】
前記装置において、前記第1硬化手段は、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間にそれぞれ配置される接着剤をそれぞれ硬化可能な光を前記各第1エネルギー付与部に照射し、前記第2硬化手段は、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置される接着剤を硬化可能な光を前記第2エネルギー付与部に照射するよう構成されているのが好ましい(請求項14)。
【0025】
このようにすれば、前記第1エネルギー付与部および第2エネルギー付与部に容易にエネルギー線を照射することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、接着部材および被接着部材の歪を抑制してこれら部材間における接合強度を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る接合組立品の製造方法の好ましい実施の形態について説明する。ここでは、自動車のサイドフレームアウタパネル(接着部材)10にセンタピラーインナパネル(被接着部材)20等を接合し、接合組立品としてサイドフレームアッセンブリを製造する場合について説明する。前記サイドフレームアッセンブリは、前記サイドフレームアウタパネル10に対して前記センタピラーインナパネル20に加えて種々のレインフォースメントやインナパネルが接合されて構成されるものであるが、ここでは説明を簡単にすべく、前記サイドフレームアウタパネル10にセンタピラーインナパネル20を接合する場合について説明する。
【0028】
図1は前記サイドフレームアウタパネル10の概略平面図であり、図2は図1の領域IIを拡大した斜視図であり、図3は図1のIII−III線断面図である。このサイドフレームアウタパネル10には、フロントドアが取り付けられるフロント開口部11と、リアドアが取り付けられるリア開口部12とが形成されている。そして、前記フロント開口部11の周囲およびリア開口部12の周囲には、図2に示すようにフランジ14(以下、アウタフランジ14と言う)が形成されている。
【0029】
前記アウタフランジ14には、このアウタフランジ14の車体内側表面(内側面)14aから車体内側方向に突出するアウタ突出部(第1エネルギー付与部)16が前記開口部11,12の周囲に沿って複数形成されている。ここでは、各開口部11,12の周囲に沿って6個ずつ前記アウタ突出部16がほぼ等間隔に設けられている。
【0030】
前記アウタ突出部16は、図2および図3に示すように、アウタフランジ14の車体内側表面14aとほぼ平行に延びる円形の上壁16aと、この上壁16aに連続してアウタフランジ14の車体内側表面14aに向かって広がるテーパ状の円周壁16bとを有する。前記円周壁16bには、内外に貫通する貫通孔16cが形成されている。このアウタ突出部16は、後述するように、前記アウタフランジ14の車体内側表面14aと前記センタピラーインナパネル20に設けられるインナフランジ24の車両外側表面(内側面)24aとの間に配置された接着剤4をアウタフランジ14の車体外側表面(外側面)14bに露出させるためのものであり、前記接着剤4は、前記貫通孔16cを介してアウタフランジ14の車体内側表面14a側から車体外側表面14b側に排出される。
【0031】
図4は前記センタピラーインナパネル20の概略平面図である。このセンタピラーインナパネル20は、前記サイドフレームアウタパネル10のうち前記フロント開口部11とリア開口部12との間の部分に取り付けられて、センタピラー(いわゆるBピラー)を構成するものである。このセンタピラーインナパネル20には、前記ドアアウタフランジ14と対応する位置に、フランジ24(以下、インナフランジ24と言う)が形成されている。
【0032】
前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とは、前記アウタフランジ14と前記インナフランジ24とが図12等に示すように接着剤4で接着されることで接合される。
【0033】
前記インナフランジ24には、図4のV−V線断面図である図5に示すように、このインナフランジ24の車体外側表面24aから車体外側方向に突出するインナ突出部(第2エネルギー付与部)26が複数形成されている。これらインナ突出部26は、前記アウタ突出部16と同様の構造を有しており、インナフランジ24の車体外側表面24aとほぼ平行に延びる円形の上壁26aと、この上壁26aに連続してインナフランジ24の車体外側表面24aに向かって広がるテーパ状の円周壁26bとを有し、前記円周壁26bには内外に貫通する貫通孔26cが形成されている。これらインナ突出部26は、図10に示すように、前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とを合わせた状態にて、前記アウタ突出部16同士の略中央に位置するように配置されている。
【0034】
前記インナ突出部26は、前記アウタフランジ14の車体内側表面14aと前記インナフランジ24の車体外側表面(外側面)24aとの間に配置された接着剤4をインナフランジ24の車体内側表面24bに露出させるためのものであり、前記接着剤4は、前記貫通孔26cを介してインナフランジ24の車体外側表面24a側から車体内側表面24b側に排出される。
【0035】
本接合組立品の製造方法では、前記接着剤4に連鎖型の接着剤を用いて前記サイドフレームアウタパネル10とセンタピラーインナパネル20との接合を実施する。具体的には、この接着剤4として、光重合性樹脂(主としてエポキシ樹脂、特に好ましくは脂環式エポキシ樹脂)、光・熱重合開始剤(芳香族スルホニウム塩等)、および光重合開始剤(スルホニウム塩等)を主成分とする樹脂組成物であって、紫外線を照射されることによって、その内部にカチオンと硬化反応熱とを積極的に発生させ、これらカチオンと硬化反応熱とによって、連鎖的に硬化反応するものを用いる。
【0036】
また、本実施形態では、図6に示すような製造装置100を用いて前記接合を実施する。この製造装置100は、前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とを搬送する搬送ラインLと、前記搬送ラインLに沿って設けられる3つの作業ステーション(硬化前作業ステーションS1、1次硬化ステーション(第1作業ステーション)S2、2次硬化ステーション(第2作業ステーション)S3)とを有している。前記搬送ラインLは、前記サイドフレームアウタパネル10を搬送するための第1搬送ラインL1と前記センタピラーインナパネル20を搬送するための第2搬送ラインL2とからなる。前記硬化前作業ステーションS1には、接着剤塗布装置(接着剤配置手段)110が設けられている。前記1次硬化ステーションS2および2次硬化ステーションS3には、それぞれUV照射装置(第1硬化手段、第2硬化手段)130が設けられている。
【0037】
前記接着剤塗布装置110は、前記接着剤4を前記サイドフレームアウタパネル10に塗布するためのものである。この接着剤塗布装置110は、図7に示すように、図略のタンクに貯留されている接着剤4を吐出するノズル112と、前記接着剤4を前記ノズル112に導くホース114と、前記ノズル112を駆動する駆動ロボット115とを有している。
【0038】
前記UV照射装置130は前記接着剤4に紫外線を照射するためのものであり、紫外線を照射可能な周知の装置を用いればよく、その詳細については省略する。
【0039】
前記製造装置100を用いた本接合方法は、次の各工程を含む。
【0040】
1)硬化前工程
この工程は、前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20との間に前記接着剤4を配置するとともに、この接着剤4が配置された領域を複数の領域に熱的に分割する工程である。
【0041】
この工程では、まず、前記搬送ラインL1により上流から搬送されてきた前記サイドフレームアウタパネル10を前記硬化前作業ステーションS1に搬送する。そして、前記サイドフレームアウタパネル10のアウタフランジ14に接着剤4を塗布する。具体的には、図7および図8に示すように、前記接着剤塗布装置110の駆動ロボット115を駆動させて、前記接着剤4を、前記アウタ突出部16を覆うようにして前記ノズル112から前記アウタフランジ14の車体内側表面14a上に吐出していく。
【0042】
次に、前記搬送ラインL1により上流から搬送されてきた前記センタピラーインナパネル20を、周知の搬送ロボット等を用いて、前記硬化前作業ステーションS1へ取り出す。そして、このセンタピラーインナパネル20を、前記サイドフレームアウタパネル10の上に載置する。具体的には、図9に示すように、前記インナフランジ24の車体外側表面24aと前記アウタフランジ14の車体内側表面14aとの間で前記接着剤4を挟み込むようにして前記センタピラーインナパネル20を配置する。このようにして、本工程では、前記アウタフランジ14とインナフランジ24との間に接着剤4が配置される。この状態において、前記アウタ突出部16と前記インナ突出部26とは、図10に示すように、車体上下方向に互いに等間隔に配置される。
【0043】
次に、前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とを、クランプ(規制手段)120により挟み込む。クランプ120は、前記アウタフランジ14とインナフランジ24とを挟圧することで、これらアウタフランジ14とインナフランジ20との間の領域を複数の領域に熱的に分割するためのものであり、熱伝導性を有している。
【0044】
ここでは、図11に示すように、互いに隣接する前記アウタ突出部16とインナ突出部26との略中央部分をそれぞれクランプ120で挟み込む。具体的には、図12および図13に示すように、前記アウタ突出部16の上壁16aと前記インナフランジ24の車体外側表面24aとが互いに接するまで、かつ、前記インナ突出部26の上壁26aと前記アウタフランジ14の車体内側表面14aとが互いに接するまで、前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とを近接する方向に挟圧する。そして、この挟圧に伴い、前記接着剤4を、前記アウタ突出部16の貫通孔16cを介して前記アウタフランジ14の車体内側表面14aから車体外側表面14b側に流出させるとともに、前記インナ突出部26の貫通孔26cを介して前記インナフランジ24の車体外側表面24aから車体内側表面24bに流出させる。このようにして本工程では、前記アウタ突出部16の円周壁16bで囲まれた領域において、接着剤4を前記アウタフランジ14の車体外側表面14bに露出させ、前記インナ突出部26の円周壁26cで囲まれた領域において、接着剤4を前記インナフランジ24の車体内側表面24bに露出させる。
【0045】
前述のように、前記クランプ120は熱伝導性を有している。そのため、このクランプ120が熱を奪うことで、これらクランプ120で区切られた領域間では熱の伝達が規制されることになる。このようにして、本工程では、クランプ120によって、前記アウタフランジ14が第1接着部14A1と第2接着部14A2とに区画され、前記インナフランジ24が第1被接着部24A1と第2被接着部24A2との区画される。そして、隣接するクランプ120間において、熱的に独立した複数の領域が形成される。すなわち、前記第1接着部14A1と第1被接着部24A1との間の領域であって前記アウタ突出部16が略中央に位置する第1領域A1と、前記第2接着部14A2と第2被接着部24A2との間の領域であって前記第1領域A1間に位置して前記第1領域A1と熱的に独立するとともに前記インナ突出部26が略中央に位置する第2領域A2とが交互形成される。そして、この状態において、前記第1領域A1の接着剤4は、前記アウタ突出部16においてアウタフランジ14の車体外側面14b側に露出する一方、前記第1被接着部24A1により覆われることでインナフランジ24の車体内側面24bへの露出は規制された状態となる。また、前記第2領域A2の接着剤4は、前記インナ突出部26においてインナフランジ24の車体外側面24b側に露出する一方、前記第2被接着部24A2により覆われることでアウタフランジ14の車体外側面14bへの露出は規制された状態となる。
【0046】
以上のようにして硬化前工程を実施した後は、前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とを前記クランプ120で挟持した状態で、再び前記搬送ラインL1に戻す。
【0047】
2)第1硬化工程
この工程は、前記第1領域A1に配置された接着剤4を硬化させて、前記第1領域A1において前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とを接合する工程である。この工程は、前記硬化前作業ステーションS1の下流に設けられた前記1次硬化ステーションS2にて実施される。
【0048】
この工程では、図14に示すように、前記車体前記UV照射装置130により、前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とが前記クランプ120で挟持されたものに対して、車体外側方向から前記アウトフランジ14の車体外側表面14b全体に紫外線を照射する。
【0049】
前述のように、前記第1領域A1では、前記アウタ突出部16の円周壁16bで囲まれた領域において、接着剤4が前記アウタフランジ14の車体外側表面14b側に露出している。従って、このアウタフランジ14の車体外側表面14bに紫外線が照射されると、前記露出した部分の接着剤4は紫外線を受けてその内部にカチオンと硬化反応熱とを発生させつつ硬化を開始する。そして、前記硬化反応熱の伝播に伴い、接着剤4は前記露出部分を中心として連鎖的に硬化していく。ただし、このアウタ突出部16が位置する第1領域A1は、前述のように、前記クランプ120によって第2領域A2と熱的に分断されている。そのため、前記硬化反応熱がこのクランプ120によって奪われる結果、前記アウタ突出部16において開始した接着剤4の連鎖的な硬化反応はクランプ120の挟持位置にて停止する。
【0050】
一方、前記第2領域A2では、前記第2被接着部24A2により接着剤4のアウタフランジ14の車体外側面14b側への露出が規制されている。そのため、前記アウタフランジ14の車体外側面14bに照射された紫外線は第2領域A2の接着剤4に到達することができず、本工程では、この第2領域A2の接着剤4の硬化は開始されない。特に、本実施形態では、この第2領域A2と第1領域A1とが熱的に分断されて第1領域A1の接着剤4の硬化反応が第2領域A2の接着剤4に伝達されるのが規制されており、この硬化反応の伝達によって第2領域A2の接着剤4が硬化することも回避される。
【0051】
このようにして、この工程では、分散して形成された各第1領域A1においてのみ接着剤4が硬化していき、この接着剤4の硬化に伴って前記第1領域A1において前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とが接合される。
【0052】
ここで、前記接着剤4の硬化収縮に伴い前記サイドフレームアウタパネル10あるいは前記センタピラーインナパネル20が変形やずれを起こす場合がある。そして、この場合には、通常、その変形量やずれ量は硬化開始点からの距離に伴って大きくなるが、本工程では、前記のように各第1領域A1にて個別に接着剤4が硬化することで接着剤4の各位置と硬化開始点からの距離が短く抑えられており、前記変形量やずれ量が小さく抑えられる。特に、本実施形態では、前記アウタ突出部14が第1領域A1の略中央に設けられており、アウタ突出部14すなわちエネルギー付与点から接着剤の硬化反応の連鎖の終点までの距離が短く抑えられており、前記変形量やずれ量を抑制しつつ硬化反応をより確実に連鎖させることができる。
【0053】
この工程は、前記第2領域A2に配置された接着剤4を硬化させて、前記第2領域A2において前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とを接合する工程である。この工程は、前記1次硬化ステーションS2の下流に設けられた前記2次硬化ステーションS3にて実施される。
【0054】
この工程では、図15に示すように、前記車体前記UV照射装置130により、前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とが前記クランプ120で挟持されたものに対して車体内側方向から、前記インナフランジ24の車体内側表面24bに紫外線を照射する。
【0055】
前述のように、前記第2領域A2では、前記インナ突出部26の円周壁26bで囲まれた領域において、接着剤4が前記インナフランジ24の車体内側表面24b側に露出している。従って、このインナフランジ24の車体内側表面24bに紫外線が照射されると、前記露出した部分の接着剤4は紫外線を受けてその内部にカチオンと硬化反応熱とを発生させつつ硬化を開始する。そして、前記硬化反応熱の伝播に伴い、接着剤4は前記露出部分を中心として連鎖的に硬化していく。ただし、このインナ突出部26が位置する第2領域A1は、前述のように、前記クランプ120によって前記第1領域A1と熱的に分断されている。そのため、前記硬化反応熱がこのクランプ120によって奪われる結果、前記インナ突出部26において開始した接着剤4の連鎖的な硬化反応はクランプ120の挟持位置にて停止する。
【0056】
このようにして、この工程では、分散して形成された各第2領域A2にそれぞれ接着剤4に紫外線が照射され、各第2領域A2にて、伴い前記サイドフレームアウタパネル10あるいは前記センタピラーインナパネル20の変形量やずれ量が抑制された状態で、接着剤4が個別に硬化していく。そして、この接着剤4の硬化に伴い前記第2領域A2において前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とが接合される。
【0057】
ここで、前記第1硬化工程において、前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とは各第1領域A1にて既に接合されている。すなわち、この第2硬化工程では、第2領域A2の両端部分すなわち前記第2接着部14A2と第2被接着部24A2の両端部分が互いに拘束された状態で、第2領域A2の接着剤4が硬化していく。そのため、本方法では、接着剤の硬化収縮に伴うこの第2接着部14A2と第2被接着部24A2の変形量ひいては前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20の変形量は小さく抑えられることになる。また、本実施形態では、前記インナ突出部24が前記第2領域A2の略中央に設けられており、この第2領域A2において、インナ突出部24すなわちエネルギー付与点から接着剤4の硬化反応の連鎖の終点までの距離が短く抑えられているので、前記変形量やずれ量を抑制しつつ硬化反応をより確実に連鎖させることができる。
【0058】
以上のように、本接合組立品の製造方法では、前記接着剤4の硬化収縮に伴う前記サイドフレームアウタパネル10および前記センタピラーインナパネル20の局所的な変形やずれを抑制しつつ、これらサイドフレームアウタパネル10とセンタピラーインナパネル20とをより確実に接合し、これらの接合強度を確保することができる。
【0059】
ここで、前記接着剤4の具体的構成は前記に限らない。例えば、電子線、X線、赤外線、太陽光線、可視光線、レーザビーム(エキシマレーザ、CO2 レーザ等)、熱線(放射や輻射熱等)等の紫外線以外のエネルギー線が付与されることで、連鎖的に硬化反応するものであってもよい。そして、前記接着剤4に照射するエネルギー線は、紫外線に限らず前記のような電子線等であってもよい。さらに、前記接着剤4として、固形の接着剤や、液状の接着剤を用い、これらを前記サイドフレームアウタパネル10とセンタピラーインナパネル20との間に塗布あるいは充填等してもよい。
【0060】
また、前記アウタ突出部16あるいはインナ突出部26の具体的構造は前記に限らず、前記接着剤4を外側に露出させることができるものであればよい。例えば、図16(a)および図16(b)に示すような突出部116を前記アウタフランジ14等に形成してもよい。この突出部11は、方形の上壁116aと、この上壁116aに連続して広がるテーパ状の外周壁116bとを有し、この外周壁116bに貫通孔116cが形成されている。また、図17(a)および図17(b)に示すような突出部216を前記アウタフランジ14等に形成してもよい。この突出部216は、上壁216aと、この上壁216aから外側に突出する突起部216dと、前記上壁216aに連続して広がるテーパ状の円周壁216bとを有し、前記突起部216dに貫通孔216cが形成されている。
【0061】
また、前記第1領域A1と第2領域A2とを熱的に分割するための具体的方法は前記のようなクランプ120を用いる方法に限らない。例えば、図18に示すように、前記サイドフレームアウタパネル10あるいは前記センタピラーインナパネル20に、突出するダボ220を形成することで前記第1領域A1と第2領域A2とを熱的に分割してもよい。そして、前記クランプ120により前記サイドフレームアウタパネル10と前記センタピラーインナパネル20とを挟み込む作業を省略してもよい。
【0062】
また、本発明は、前記のように2つの接着部材と被接着部材(サイドフレームアウタパネル10とセンタピラーインナパネル20)とを接合する場合だけでなく、例えば、3つ若しくはそれ以上の接着部材あるいは被接着部材とを接合する場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る接合組立品の製造方法を適用するサイドフレームアウタパネルの概略平面図である。
【図2】図1の領域IIの拡大斜視図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】本発明に係る接合組立品の製造方法を適用するセンタピラーインナパネルの概略平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】本発明に係る接合組立品の製造装置の概要を示す図である。
【図7】本発明に係る接合組立品の製造方法において接着剤を塗布する工程の様態を示す説明図である。
【図8】接着剤が塗布された状態でのサイドフレームアウタパネルの部分断面図である。
【図9】図8に示すサイドフレームアウタパネル上に接着剤を介してセンタピラーインナパネルを載置した状態を示す部分断面図である。
【図10】図9に示す状態の概略平面図である。
【図11】サイドフレームアウタパネルとセンタピラーインナパネルとをクランプで狭圧した状態を示す概略平面図である。
【図12】図11のXII−XII線断面図である。
【図13】図11のXIII−XIII線断面図である。
【図14】本発明に係る接合組立品の製造方法における第1硬化工程の様態を示す説明図である。
【図15】本発明に係る接合組立品の製造方法における第2硬化工程の様態を示す説明図である。
【図16】(a)アウタ突出部の他の例を示す概略斜視図である。(b)(a)の断面図である。
【図17】(a)アウタ突出部の他の例を示す概略斜視図である。(b)(a)の断面図である。
【図18】第1領域と第2領域とを熱的に分割するための他の方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
4 接着剤
10 サイドフレームアウタパネル(接着部材)
14 アウタフランジ
14a アウタフランジの車体内側表面(内側面)
14A1 第1接着部
14A2 第2接着部
14b アウタフランジの車体外側表面(外側面)
16 アウタ突出部(第1エネルギー付与部)
20 センタピラーインナパネル(被接着部材)
24 インナフランジ
24a インナフランジの車体外側表面(内側面)
24A1 第1被接着部
24A2 第2被接着部
24b インナフランジの車体内側表面(外側面)
26 インナ突出部(第2エネルギー付与部)
100 製造装置
110 接着剤塗布装置(接着剤配置手段)
120 クランプ(規制手段)
130 UV照射装置(第1硬化手段、第2硬化手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着部材の内側面と被接着部材の内側面との間に接着剤を介在させ、前記接着剤の硬化によって前記接着部材と被接着部材とを接合する接合組立品の製造方法であって、
前記接着部材は、特定方向に沿って並ぶ複数の第1接着部と、当該第1接着部の間に設けられる第2接着部と、前記各第1接着部にそれぞれ形成されてこの接着部材の内側面と外側面とを貫通する第1エネルギー付与部とを有し、
前記被接着部材は、前記各第1接着部にそれぞれ接合される第1被接着部と、前記第2接着部に接合される第2被接着部と、前記第2被接着部に形成されてこの被接着部材の内側面と外側面とを貫通する第2エネルギー付与部とを有し、
前記接着剤として、外部から一部に照射されたエネルギー線によって内部エネルギーを自己発生させつつ硬化するとともに、当該内部エネルギーが自己発生した部位に隣接する部分がこの内部エネルギーを受けてさらに内部エネルギーを自己発生させつつ硬化反応を起こすことにより連鎖的に硬化していく連鎖反応型の接着剤を用い、
前記接着剤を、前記接着部材の内側面と被接着部材の内側面との間に配置する硬化前工程と、
前記硬化前工程の後に実施されて、前記接着部材の外側面にエネルギー線を照射して当該エネルギー線を前記各第1エネルギー付与部を介して前記接着剤に照射することで、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間に配置された接着剤をそれぞれ硬化させる第1硬化工程と、
前記第1硬化工程の後に実施されて、前記被接着部材の外側面にエネルギー線を照射して当該エネルギー線を前記第2エネルギー付与部を介して前記接着剤に照射することで、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置された接着剤を硬化させる第2硬化工程とを備え、
前記硬化前工程では、前記各第1エネルギー付与部において前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間の接着剤の前記接着部材の外側面側への露出を許容しつつ前記第2接着部によって当該第2接着部と前記第2被接着部との間の接着剤の前記接着部材の外側面側への露出を規制するとともに、前記第2エネルギー付与部において前記第2接着部と前記第2被接着部との間の接着剤の前記被接着部材の外側面側への露出を許容しつつ、前記接着剤を配置することを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の接合組立品の製造方法であって、
前記硬化前工程は、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間にそれぞれ配置される接着剤と、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置される接着剤とを熱的に分断する工程を含むことを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の接合組立品の製造方法であって、
前記硬化前工程は、前記接着剤の一部を、前記第1エネルギー付与部において前記接着部材の内側面から外側面側に膨出させる工程を含むことを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の接合組立品の製造方法であって、
前記硬化前工程は、前記接着剤の一部を、前記第2エネルギー付与部において前記被接着部材の内側面から外側面側に膨出させる工程を含むことを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の接合組立品の製造方法であって、
前記各第1エネルギー付与部が、前記各第1接着部の前記特定方向の略中央にそれぞれ設けられていることを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の接合組立品の製造方法であって、
前記第2エネルギー付与部が、前記第2被接着部の前記特定方向の略中央に設けられていることを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の接合組立品の製造方法であって、
前記第2接着部が、前記接着部材に複数設けられており、
前記第2被接着部が、前記被接着部材に複数設けられていることを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の接合組立品の製造方法であって、
前記接着部材と前記被接着部材とを搬送する搬送ラインを用い、この搬送ラインに沿って設けられた第1作業ステーションにて前記第1硬化工程を実施し、前記搬送ラインに沿って前記第1作業ステーションより下流に設けられた第2作業ステーションにて前記第2硬化工程を実施することを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の接合組立品の製造方法であって、
前記第1硬化工程では、前記エネルギー線として前記接着部材の外側面に光を照射することを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の接合組立品の製造方法であって、
前記第2硬化工程では、前記エネルギー線として前記被接着部材の外側面に光を照射することを特徴とする接合組立品の製造方法。
【請求項11】
接着部材の内側面と被接着部材の内側面との間に接着剤を介在させ、前記接着剤の硬化によって前記接着部材と被接着部材とを接合する接合組立品の製造装置であって、
前記接着部材は、特定方向に沿って並ぶ複数の第1接着部と、当該第1接着部の間に設けられる第2接着部と、前記各第1接着部にそれぞれ形成されてこの接着部材の内側面と外側面とを貫通する第1エネルギー付与部とを有し、
前記被接着部材は、前記各第1接着部にそれぞれ接合される第1被接着部と、前記第2接着部に接合される第2被接着部と、前記第2被接着部に形成されてこの被接着部材の内側面と外側面とを貫通する第2エネルギー付与部とを有し、
外部から一部に照射されたエネルギー線によって内部エネルギーを自己発生させつつ硬化するとともに、当該内部エネルギーが自己発生した部位に隣接する部分がこの内部エネルギーを受けてさらに内部エネルギーを自己発生させつつ硬化反応を起こすことにより連鎖的に硬化していく連鎖反応型の接着剤を、前記各第1エネルギー付与部において前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間の接着剤の前記接着部材の外側面側への露出を許容しつつ前記第2接着部によって当該第2接着部と前記第2被接着部との間の接着剤の前記接着部材の外側面側への露出を規制するとともに、前記第2エネルギー付与部において前記第2接着部と前記第2被接着部との間の接着剤の前記被接着部材の外側面側への露出を許容しつつ、前記接着部材の内側面と被接着部材の内側面との間に配置する接着剤配置手段と、
前記接着部材の外側面にエネルギー線を照射して当該エネルギー線を前記各第1エネルギー付与部を介して前記接着剤に照射することで、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間に配置された接着剤をそれぞれ硬化させる第1硬化手段と、
前記被接着部材の外側面にエネルギー線を照射して当該エネルギー線を前記第2エネルギー付与部を介して前記接着剤に照射することで、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置された接着剤を硬化させる第2硬化手段とを備えることを特徴とする接合組立品の製造装置。
【請求項12】
請求項11に記載の接合組立品の製造装置であって、
前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間にそれぞれ配置される接着剤と、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置される接着剤とを熱的に分断して、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間にそれぞれ配置される接着剤の各硬化反応と、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置される接着剤の硬化反応とが連鎖するのを規制する規制手段を備えることを特徴とする接合組立品の製造装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の接合組立品の製造装置であって、
前記接着部材と前記被接着部材とを搬送する搬送ラインと、
前記搬送ラインに沿って設けられるとともに、前記第1硬化手段が配置されて当該第1硬化手段による前記第1エネルギー付与部へのエネルギー線照射が実施される第1作業ステーションと、
前記搬送ラインに沿って設けられるとともに、前記第2硬化手段が配置されて当該第2硬化手段による前記第2エネルギー付与部へのエネルギー線照射が実施される第2作業ステーションとを備え、
前記第2作業ステーションが前記第1作業ステーションより下流に設けられていることを特徴とする接合組立品の製造装置。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかに記載の接合組立品の製造装置であって、
前記第1硬化手段は、前記各第1接着部と前記各第1被接着部との間にそれぞれ配置される接着剤をそれぞれ硬化可能な光を前記接着部材の外側面に照射し、
前記第2硬化手段は、前記第2接着部と前記第2被接着部との間に配置される接着剤を硬化可能な光を前記被接着部材の外側面に照射することを特徴とする接合組立品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−13581(P2010−13581A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176004(P2008−176004)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】