説明

接合装置

【課題】チャックに保持される接合対象をより確実にデチャックすること。
【解決手段】チャック12と部材24と給排気装置とを備えている。チャック12は、保持面21と、シリンダ室23と穴27とが形成されている。保持面21は、チャック12が接合対象22を保持するときに、接合対象22に接触する。シリンダ室23は、チャック12の内部に形成されている。部材24は、シリンダ室23を第1室26と第2室25とに分離している。穴27は、第2室25と保持面21とを繋いでいる。給排気装置は、第1室26に空気を供給し、または、第1室26から空気を排気する。部材24は、第1室26に空気が供給されることにより穴27を介して保持面21から突出する突起部が形成されている。このとき、接合装置は、突起部を保持面21から突出させることにより、保持面21に保持される接合対象22をより確実にデチャックすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合装置に関し、特に、チャックに保持される被接合対象を接合する接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細な電気部品や機械部品を集積化したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が知られている。そのMEMSとしては、マイクロマシン、圧力センサ、超小型モーターなどが例示される。そのMEMSは、カンチレバーに例示される振動構造が封止されて形成されている。このようなMEMSは、チップ同士を接合することにより製造される。このような接合を実行する接合装置では、その接合される2つのチップは、主に、静電引力により静電チャックに保持されて、接合される。このような接合を用いて製品を大量に生産するときには、チップをより短時間に接合することが望まれ、静電チャックからそのチップをより短時間により確実にデチャックすることが望まれている。
【0003】
特開平05−329731号公報には、切粉等の異物の付着によって真空度の低下を生じさせることがなく、被保持体を常に安定した吸着力で吸着保持する真空チャックが開示されている。その真空チャックは、真空室に通じる小孔を透設した弧状の弁座を設けた弁室に伸縮自在な弾性弁を設け、該弾性弁に弁座の小孔を遮蔽する小孔遮蔽部を除いて複数の拡径自在な微細孔を形成したことを特徴とする。
【0004】
【特許文献1】特開平05−329731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、チャックに保持される接合対象をそのチャックからより確実にデチャックする接合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0007】
本発明による接合装置(1)は、チャック(12)(30)(40)(50)(60)と部材(24)(33)(43)(53)(63)と給排気装置(17)とを備えている。チャック(12)(30)(40)(50)(60)は、保持面(21)(31)(41)(51)(61)と、シリンダ室(23)(32)(42)(52)(62)と穴(27)(37)(47)(58)(68−1〜68−n)とが形成されている。保持面(21)(31)(41)(51)(61)は、チャック(12)(30)(40)(50)(60)が接合対象(22)を保持するときに、接合対象(22)に接触する。シリンダ室(23)(32)(42)(52)(62)は、チャック(12)(30)(40)(50)(60)の内部に形成されている。部材(24)(33)(43)(53)(63)は、シリンダ室(23)(32)(42)(52)(62)を第1室(26)(35)(45)(55)(65)と第2室(25)(34)(44)(54)(64)とに分離している。穴(27)(37)(47)(58)(68−1〜68−n)は、第2室(25)(34)(44)(54)(64)と保持面(21)(31)(41)(51)(61)とを繋いでいる。給排気装置(17)は、第1室(26)(35)(45)(55)(65)に空気を供給し、または、第1室(26)(35)(45)(55)(65)から空気を排気する。部材(24)(33)(43)(53)(63)は、第1室(26)(35)(45)(55)(65)に空気が供給されることにより穴(27)(37)(47)(58)(68−1〜68−n)を介して保持面(21)(31)(41)(51)(61)から突出する突起部(36)(46)(56)(68−1〜68−n)が形成されている。このとき、接合装置(1)は、突起部(36)(46)(56)(68−1〜68−n)を保持面(21)(31)(41)(51)(61)から突出させることにより、保持面(21)(31)(41)(51)(61)に保持される接合対象(22)をより確実にデチャックすることができる。
【0008】
突起部(46)(56)(68−1〜68−n)は、部材(24)(43)(53)(63)がシリンダ室(23)(42)(52)(62)の壁面を摺動して移動することにより、保持面(21)(41)(51)(61)から突出することが好ましい。
【0009】
保持面(21)(41)(51)(61)は、鉛直下向きである。このとき、部材(24)(43)(53)(63)は、重力により保持面(21)(41)(51)(61)の側に移動し、接合装置(1)は、部材(24)(43)(53)(63)を保持面(21)(41)(51)(61)の側に移動する機構を備えている必要がなく、保持面(21)(41)(51)(61)の側に部材(24)(43)(53)(63)をより容易に配置することができる。この結果、接合装置(1)は、第2室(25)(44)(54)(64)をより確実に減圧することができ、接合対象(22)をより確実に保持することができる。
【0010】
本発明による接合装置(1)は、第1室(26)(45)(55)(65)と第2室(25)(44)(54)(64)とを接続するスロートをさらに備えている。このとき、接合装置(1)は、第1室(26)(45)(55)(65)を減圧することにより第2室(25)(44)(54)(64)を減圧することができ、接合対象(22)をより確実に保持することができる。
【0011】
そのスロートは、部材(24)(43)(53)(63)の内部に形成されることが好ましい。
【0012】
部材(24)は、球に形成されている。このような部材(24)は、より容易に作成することができ、接合装置(1)は、より容易に作成されることができる。
【0013】
チャック(60)は、部材(63)に対して複数の穴(68−1〜68−n)が形成されている。部材(63)は、その複数の穴(68−1〜68−n)を介して保持面(61)からそれぞれ突出する複数の突起部(68−1〜68−n)が形成されていることが好ましい。
【0014】
部材(33)は、壁面に固定されている。突起部(36)は、部材(33)が弾性変形することにより保持面(31)から突出することが好ましい。
【0015】
給排気装置(17)は、第1室(35)に給排気することにより、第1室(35)の圧力を変更する。このとき、接合装置(1)は、第1室(35)の圧力を変更することにより、突起部(36)が保持面(31)から突出する程度を変更することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による接合装置は、チャックからチップをより確実にデチャックすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照して、本発明による接合装置の実施の形態を記載する。その接合装置1は、図1に示されているように、架台2とベース3と圧接用駆動装置5とステージ6と板ばね7とアライメント用駆動装置8と下側チャック11と上側チャック12と圧電素子14−1〜14−3とロードセル15−1〜15−3と制御装置16と給排気装置17とを備えている。
【0018】
制御装置16は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置と入力装置と表示装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、制御装置16にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUに利用される情報を記録し、そのCPUにより生成される情報を記録する。その入力装置は、ユーザに操作されることにより生成される情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボード、マウスが例示される。その表示装置は、そのCPUにより生成された画面を表示する。そのインターフェースは、制御装置16に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。
【0019】
ベース3は、鉛直方向に平行移動可能に底板10に支持されている。ベース3は、その上端に平坦な支持面を有している。その支持面は、鉛直方向に垂直である。圧接用駆動装置5は、制御装置16により制御されて、底板10に対して鉛直方向に平行にベース3を駆動する。ステージ6は、板状に形成され、ベース3の支持面に対向するようにベース3の上側に配置されている。板ばね7は、弾性体から形成され、ステージ6の一部に接合されている。アライメント用駆動装置8は、ベース3に支持され、ステージ6がベース3の支持面から100μm程度離れるように、板ばね7で支持している。アライメント用駆動装置8は、制御装置16により制御されて、ステージ6が水平方向に平行に平行移動するように、または、ステージ6が鉛直方向に平行な回転軸を中心に回転移動するように、板ばね7を駆動する。
【0020】
下側チャック11は、概ね円盤状に形成されている。圧電素子14−1〜14−3は、それぞれ、下側チャック11の円盤の円周を3等分する3位置に配置されている。圧電素子14−1〜14−3は、それぞれ、一端がベース3に接合され、他端が下側チャック11に接合されている。圧電素子14−1〜14−3は、それぞれ、制御装置16により制御されて、伸び縮みする。ロードセル15−i(i=1,2,3)は、圧電素子14−iに印加される力を測定し、その力を制御装置16に出力する。
【0021】
架台2は、ベース3と圧接用駆動装置5とステージ6と板ばね7とアライメント用駆動装置8と下側チャック11と上側チャック12とが内部に配置される構造体に形成され、底板10に接合されている。上側チャック12は、下側チャック11に対向するように配置され、架台2に接合されている。
【0022】
このとき、板ばね7は、下側チャック11に保持されたウェハと上側チャック12に保持されたウェハとを圧接したときに、すなわち、圧接用駆動装置5によりステージ6が鉛直上方向に移動されたときに、ステージ6がベース3の支持面に接触するように弾性変形する。接合装置1は、このようにベース3がステージ6を支持することにより、下側チャック11に保持されたウェハと上側チャック12に保持されたウェハとに、アライメント用駆動装置8の耐荷重を越えるより大きな荷重を加えることができる。
【0023】
給排気装置17は、真空ポンプ、コンプレッサ、バルブ、配管等から構成され、制御装置16により制御されて、上側チャック12に空気を供給し、または、上側チャック12から空気を排気する。
【0024】
接合装置1は、さらに、アライメント装置19を備えている。アライメント装置19は、上側チャック12に形成される穴の内部に配置されている。アライメント装置19は、制御装置16により制御されて、下側チャック11に形成されるアライメントマークの画像を生成し、上側チャック12に形成されるアライメントマークの画像を生成する。
【0025】
圧電素子14−1〜14−3は、鉛直方向に垂直である回転軸を中心に下側チャック11を回転移動させ、すなわち、下側チャック11の傾きを変更することができる。圧電素子14−1〜14−3は、さらに、アライメント用駆動装置8と圧接用駆動装置5とに比較して、下側チャック11により近い位置に配置されている。このため、接合装置1は、圧電素子14−1〜14−3を用いて下側チャック11の傾きを変更するときに、下側チャック11の水平方向の変位を低減することができ、下側チャック11に保持されるウェハと上側チャック12に保持されるウェハとをより高精度に接合することができる。
【0026】
図2は、上側チャック12を示している。上側チャック12は、その下端に誘電層から形成される保持面21が形成されている。上側チャック12は、その誘電層とチップ22の間に電圧が印加されることにより、その電圧による静電力によってチップ22を保持面21に保持する。上側チャック12は、内部に複数のシリンダ室23が形成されている。シリンダ室23は、それぞれ、円筒形に形成されている。上側チップ22は、複数の移動体24を備えている。複数の移動体24は、それぞれ、ゴム、樹脂に例示される弾性体から形成され、シリンダ室23の円筒の直径に概ね等しい球状に形成されている。複数の移動体24は、複数のシリンダ室23の内部にそれぞれ配置されている。シリンダ室23の各々は、移動体24により保持面側室25と流路側室26とに分割されている。
【0027】
上側チャック12は、さらに、格子状に並んだ複数の穴27が保持面21に形成されている。複数の穴27は、保持面21から複数のシリンダ室23の保持面側室25にそれぞれ貫通している。複数の穴27は、さらに、移動体24がシリンダ室23から外部に出ないように、かつ、移動体24の一部が保持面21から突出するように、移動体24の直径より小さい直径の円形に形成されている。上側チャック12は、さらに、内部に流路28が形成されている。流路28は、給排気装置17と複数のシリンダ室23の流路側室26とを接続している。
【0028】
接合装置1を用いて実行される接合方法では、ユーザは、まず、接合対象である複数の上側チップが複数の穴27を覆うように、その複数の上側チップを上側チャック12の保持面21に配置する。ユーザは、その複数の上側チップを保持面21に配置した後に、給排気装置17を用いて、シリンダ室23の流路側室26を排気する。このとき、移動体24は、その排気により、シリンダ室23の穴27の側から流路28の側に移動する。上側チャック12は、このような移動体24の移動により、保持面側室25が減圧され、その減圧によりその複数の上側チップを保持面21に吸着して、その複数の上側チップを保持する。ユーザは、さらに、上側チャック12の誘電層に所定の電圧を印加し、その電圧による静電力によって複数の上側チップを上側チャック12に保持する。
【0029】
ユーザは、次いで、その複数の下側チップが複数の上側チップにそれぞれ対向するように、その複数の下側チップが保持されたプレートを下側チャック11に保持させることにより、その複数の下側チップを下側チャック11に保持させる。その複数の下側チップは、その複数の上側チップに対向する面に接着剤が塗布されている。制御装置16は、その複数の上側チップが上側チャック12に保持され、その複数の下側チップが下側チャック11に保持された後に、圧接用駆動装置5を用いて、下側チャック11を上側チャック12に所定の距離まで近づける。制御装置16は、次いで、アライメント装置19を用いて、アライメントマークを画像に撮像する。制御装置16は、その撮像された画像に基づいて、その複数の下側チップが複数の上側チップにそれぞれ対向するように、アライメント用駆動装置8を用いて下側チャック11を駆動する。
【0030】
制御装置16は、その複数の下側チップと複数の上側チップとが位置合わせされた後に、ロードセル15−1〜15−3を伸び切った状態にする。制御装置16は、次いで、第1モードの動作と第2モードの動作とを実行する。
【0031】
第1モードでは、制御装置16は、ロードセル15−1〜15−3を用いて圧電素子14−1〜14−3に印加される力を測定する。制御装置16は、下側チャック11に保持される複数の下側チップのうちの圧電素子14−iに対応する部位が上側チャック12に保持される上側チップに接触しているかどうかを判別する。すなわち、制御装置16は、圧電素子14−iに印加される力が所定の力より大きいかどうかを判別する。
【0032】
制御装置16は、圧電素子14−iに印加される力が所定の力より大きく、圧電素子14−j(j=1,2,3;j≠i)に印加される力が所定の力より小さいときに、圧電素子14−iを所定の長さだけ短縮させる。制御装置16は、圧電素子14−1〜14−3に印加される力の全部が所定の力より大きくなるまで、このような動作を繰り返して実行する。制御装置16は、圧電素子14−1〜14−3に印加される力の全部が所定の力より大きいときに、第2モードの動作を開始する。
【0033】
第2モードでは、制御装置16は、ロードセル15−1〜15−3を用いて圧電素子14−1〜14−3に印加される力を測定する。制御装置16は、その測定された3つの力の和が所定の値になるように、圧接用駆動装置5を用いて下側チャック11駆動する。制御装置16は、圧電素子14−1に印加される力がその所定の力の1/3になるように、圧電素子14−1を伸縮させる。制御装置16は、圧電素子14−2に印加される力がその所定の力の1/3になるように、圧電素子14−2を伸縮させる。制御装置16は、圧電素子14−3に印加される力がその所定の力の1/3になるように、圧電素子14−3を伸縮させる。制御装置16は、その測定された3つの力の和が所定の値になっている時間が所定の時間を越えるまで、このような動作を繰り返して実行する。このような動作によれば、その複数の下側チップと複数の上側チップとは、圧接され、接合チップに接合される。
【0034】
制御装置16は、第2モードの動作が終了すると、上側チャック12の誘電層を接地する。このとき、上側チャック12は、誘電層に電荷がわずかに残留するために、その接合チップを保持したままの状態でいることがある。制御装置16は、さらに、給排気装置17を用いてシリンダ室23の流路側室26に空気を供給し、下側チャック11を上側チャック12に所定の距離まで離す。このとき、移動体24は、その空気の供給により、シリンダ室23の流路28の側から穴27の側に移動し、穴27を介して移動体24の一部が保持面21から突出する。ユーザは、上側チャック12からデチャックされ、下側チャック11に保持されたその接合チップを接合装置1から取り出す。
【0035】
このような動作によれば、上側チャック12は、誘電層に電荷が残留している場合であっても、その接合チップを保持面21から離すように、移動体24の一部が機械的に押すことにより、その接合チップをより確実にデチャックすることができる。この結果、接合装置1は、その接合チップをより早く取り出すことができ、複数の接合チップをより速く製造することができる。
【0036】
本発明による接合装置の実施の他の形態は、既述の実施の形態の接合装置1における上側チャック12が他の上側チャックに置換されている。その上側チャック30は、図3に示されているように、その下端に誘電層から形成される保持面31が形成されている。上側チャック30は、その誘電層とチップ22の間に電圧が印加されることにより、その電圧による静電力によってチップ22を保持面31に保持する。上側チャック30は、内部に複数のシリンダ室32が形成されている。シリンダ室32は、それぞれ、円筒形に形成されている。上側チップ22は、複数の可撓性膜33を備えている。複数の可撓性膜33は、それぞれ、ゴム、樹脂に例示される弾性体から形成され、シリンダ室32を保持面側室34と流路側室35とに分割している。複数の可撓性膜33は、それぞれ、突起部36が接合されている。
【0037】
上側チャック30は、さらに、格子状に並んだ複数の穴37が保持面31に形成されている。複数の穴37は、保持面31から複数のシリンダ室32の保持面側室34にそれぞれ貫通している。複数の穴37は、さらに、突起部36が保持面31から突出するように、突起部36より大きく形成されている。上側チャック30は、さらに、内部に流路38が形成されている。流路38は、給排気装置17と複数のシリンダ室32の流路側室35とを接続している。
【0038】
上側チャック30に上側チップを保持するときに、ユーザは、まず、その複数の上側チップが複数の穴37を覆うように、その複数の上側チップを上側チャック30の保持面31に配置する。ユーザは、その複数の上側チップを保持面31に配置した後に、給排気装置17を用いて、シリンダ室32の流路側室35を排気する。このとき、可撓性膜33は、その排気により、シリンダ室32の保持面側室34が拡大するように、弾性変形する。上側チャック30は、このような可撓性膜33の弾性変形により、保持面側室34が減圧され、その減圧によりその複数の上側チップを保持面31に吸着して、その複数の上側チップを保持する。ユーザは、さらに、上側チャック30の誘電層に所定の電圧を印加し、その電圧による静電力によって複数の上側チップを上側チャック30に保持する。
【0039】
上側チャック30から接合チップをデチャックするときに、制御装置16は、上側チャック30の誘電層を接地し、給排気装置17を用いてシリンダ室32の流路側室35に空気を供給し、下側チャック11を上側チャック30に所定の距離まで離す。このとき、可撓性膜33は、その空気の供給により、シリンダ室32の流路側室35が拡大するように、かつ、穴37を介して突起部36が保持面31から突出するように、弾性変形する。このような弾性変形によれば、上側チャック30は、誘電層に電荷が残留している場合であっても、その接合チップを保持面31から離すように、突起部36がその接合チップを機械的に押すことにより、その接合チップをより確実にデチャックすることができる。この結果、このような接合装置は、既述の実施の形態における接合装置1と同様にして、その接合チップをより早く取り出すことができ、複数の接合チップをより速く製造することができる。
【0040】
なお、ユーザは、上側チャック30から接合チップをデチャックするときに、給排気装置17を用いてシリンダ室32の流路側室35に供給する空気の圧力を調整することもできる。このような調整によれば、可撓性膜33が弾性変形する量を調整することができ、突起部36が保持面31から突出する量を調整することができ、好ましい。
【0041】
なお、可撓性膜33は、小さな穴が形成される他の可撓性膜に置換されることもできる。このような可撓性膜は、上側チャック30が上側チップを保持しているときに、その穴を介して保持面側室34から流路38に排気され、保持面側室34が減圧される。このような減圧によれば、上側チャック30は、上側チップをより強力に保持面31に吸着することができ、上側チップをより確実に保持することができ、好ましい。
【0042】
本発明による接合装置の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態の接合装置1における上側チャック12が他の上側チャックに置換されている。その上側チャック40は、図4に示されているように、その下端に誘電層から形成される保持面41が形成されている。上側チャック40は、その誘電層とチップ22の間に電圧が印加されることにより、その電圧による静電力によってチップ22を保持面41に保持する。上側チャック40は、内部に複数のシリンダ室42が形成されている。シリンダ室42は、それぞれ、円筒形に形成されている。上側チップ22は、複数のピストン43を備えている。複数のピストン43は、それぞれ、シリンダ室42を保持面側室44と流路側室45とに分割している。複数のピストン43は、それぞれ、保持面側室44の側に突起部46が形成されている。
【0043】
上側チャック40は、さらに、格子状に並んだ複数の穴47が保持面41に形成されている。複数の穴47は、保持面41から複数のシリンダ室42の保持面側室44にそれぞれ貫通している。複数の穴47は、さらに、突起部46が保持面41から突出するように、突起部46より大きく形成されている。上側チャック40は、さらに、内部に流路48が形成されている。流路48は、給排気装置17と複数のシリンダ室42の流路側室45とを接続している。
【0044】
上側チャック40に上側チップを保持するときに、ユーザは、まず、その複数の上側チップが複数の穴47を覆うように、その複数の上側チップを上側チャック40の保持面41に配置する。ユーザは、その複数の上側チップを保持面41に配置した後に、給排気装置17を用いて、シリンダ室42の流路側室45を排気する。このとき、ピストン43は、その排気により、シリンダ室42の保持面41の側から流路38の側に移動する。上側チャック40は、このようなピストン43の移動により、保持面側室44が減圧され、その減圧によりその複数の上側チップを保持面41に吸着して、その複数の上側チップを保持する。ユーザは、さらに、上側チャック40の誘電層に所定の電圧を印加し、その電圧による静電力によって複数の上側チップを上側チャック40に保持する。
【0045】
上側チャック40から接合チップをデチャックするときに、制御装置16は、上側チャック40の誘電層を接地し、給排気装置17を用いてシリンダ室42の流路側室45に空気を供給し、下側チャック11を上側チャック40に所定の距離まで離す。このとき、ピストン43は、その空気の供給により、穴47を介して突起部46が保持面41から突出するように、シリンダ室42の流路48の側から保持面41の側に移動する。このような移動によれば、上側チャック40は、誘電層に電荷が残留している場合であっても、その接合チップを保持面41から離すように、突起部46がその接合チップを機械的に押すことにより、その接合チップをより確実にデチャックすることができる。この結果、このような接合装置は、既述の実施の形態における接合装置1と同様にして、その接合チップをより早く取り出すことができ、複数の接合チップをより速く製造することができる。
【0046】
本発明による接合装置の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態の接合装置1における上側チャック12が他の上側チャックに置換されている。その上側チャック50は、図5に示されているように、その下端に誘電層から形成される保持面51が形成されている。上側チャック50は、その誘電層とチップ22の間に電圧が印加されることにより、その電圧による静電力によってチップ22を保持面51に保持する。上側チャック50は、内部に複数のシリンダ室52が形成されている。シリンダ室52は、それぞれ、円筒形に形成されている。上側チップ22は、複数のピストン53を備えている。複数のピストン53は、それぞれ、シリンダ室52を保持面側室54と流路側室55とに分割している。
【0047】
複数のピストン53は、それぞれ、保持面側室54の側に突起部56が形成されている。複数のピストン53は、さらに、それぞれ、内部にスロート57が形成されている。スロート57は、保持面側室54と流路側室55とを接続している。スロート57は、さらに、流路側室55が減圧または加圧されたときに、ピストン53がシリンダ室52内を移動することができるように、空気の流通に所定の抵抗を与えている。
【0048】
上側チャック50は、さらに、格子状に並んだ複数の穴58が保持面51に形成されている。複数の穴58は、保持面51から複数のシリンダ室52の保持面側室54にそれぞれ貫通している。複数の穴58は、さらに、突起部56が保持面51から突出するように、突起部56より大きく形成されている。上側チャック50は、さらに、内部に流路59が形成されている。流路59は、給排気装置17と複数のシリンダ室52の流路側室55とを接続している。
【0049】
上側チャック50に上側チップを保持するときに、ユーザは、まず、その複数の上側チップが複数の穴58を覆うように、その複数の上側チップを上側チャック50の保持面51に配置する。ユーザは、その複数の上側チップを保持面51に配置した後に、給排気装置17を用いて、シリンダ室52の流路側室55を排気する。このとき、ピストン53は、その排気により、シリンダ室52の保持面51の側から流路38の側に移動する。上側チャック50は、このようなピストン53の移動により、保持面側室54を減圧する。ピストン53は、さらに、スロート57を介して、保持面側室54から流路側室55に空気を流通して、保持面側室54をさらに減圧する。その減圧は、その複数の上側チップを保持面51に吸着して、その複数の上側チップを保持する。ユーザは、さらに、上側チャック50の誘電層に所定の電圧を印加し、その電圧による静電力によって複数の上側チップを上側チャック50に保持する。
【0050】
上側チャック50から接合チップをデチャックするときに、制御装置16は、上側チャック50の誘電層を接地し、給排気装置17を用いてシリンダ室52の流路側室55に空気を供給し、下側チャック11を上側チャック50に所定の距離まで離す。このとき、ピストン53は、その空気の供給により、穴58を介して突起部56が保持面51から突出するように、シリンダ室52の流路59の側から保持面51の側に移動する。このような移動によれば、上側チャック50は、誘電層に電荷が残留している場合であっても、その接合チップを保持面51から離すように、突起部56がその接合チップを機械的に押すことにより、その接合チップをより確実にデチャックすることができる。この結果、このような接合装置は、既述の実施の形態における接合装置1と同様にして、その接合チップをより早く取り出すことができ、複数の接合チップをより速く製造することができる。
【0051】
なお、スロート57は、ピストン53の表面のうちのシリンダ室52の内壁に摺動する面に形成される流路に置換されることもできる。スロート57は、さらに、ピストン53とシリンダ室52とのクリアランスを調節することにより、保持面側室54と流路側室55とを接続する流路としてそのクリアランスを利用することもできる。このような流路は、スロート57による効果と同様の効果を奏することができる。
【0052】
本発明による接合装置の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態の接合装置1における上側チャック12が他の上側チャックに置換されている。その上側チャック60は、図6に示されているように、その下端に誘電層から形成される保持面61が形成されている。上側チャック60は、その誘電層とチップ22の間に電圧が印加されることにより、その電圧による静電力によってチップ22を保持面61に保持する。上側チャック60は、内部に複数のシリンダ室62が形成されている。シリンダ室62は、それぞれ、円筒形に形成されている。上側チップ22は、複数のピストン63を備えている。複数のピストン63は、それぞれ、シリンダ室62を保持面側室64と流路側室65とに分割している。
【0053】
複数のピストン63は、それぞれ、保持面側室64の側に突起部66−1〜66−n(n=2,3,4,…)が形成されている。複数のピストン63は、さらに、それぞれ、内部にスロート67が形成されている。スロート67は、保持面側室64と流路側室65とを接続している。スロート67は、さらに、流路側室65が減圧または加圧されたときに、ピストン63がシリンダ室62内を移動することができるように、空気の流通に所定の抵抗を与えている。
【0054】
上側チャック60は、さらに、格子状に並んだ複数の穴が保持面61に形成されている。その複数の穴は、複数のピストン63に対応する複数のグループに分割される。その複数のグループのうちの1つに含まれる複数の穴68−1〜68−nは、保持面61から複数のシリンダ室62の保持面側室64にそれぞれ貫通している。複数の穴68−1〜68−nの各穴68−i(i=1,2,3,…,n)は、さらに、突起部66−iが保持面61から突出するように、突起部66−iより大きく形成されている。上側チャック60は、さらに、内部に流路69が形成されている。流路69は、給排気装置17と複数のシリンダ室62の流路側室65とを接続している。
【0055】
上側チャック60に上側チップを保持するときに、ユーザは、まず、その複数の上側チップが複数の穴を覆うように、その複数の上側チップを上側チャック60の保持面61に配置する。ユーザは、その複数の上側チップを保持面61に配置した後に、給排気装置17を用いて、シリンダ室62の流路側室65を排気する。このとき、ピストン63は、その排気により、シリンダ室62の保持面61の側から流路38の側に移動する。上側チャック60は、このようなピストン63の移動により、保持面側室64を減圧する。ピストン63は、さらに、スロート67を介して、保持面側室64から流路側室65に空気を流通して、保持面側室64をさらに減圧する。その減圧は、その複数の上側チップを保持面61に吸着して、その複数の上側チップを保持する。ユーザは、さらに、上側チャック60の誘電層に所定の電圧を印加し、その電圧による静電力によって複数の上側チップを上側チャック60に保持する。
【0056】
上側チャック60から接合チップをデチャックするときに、制御装置16は、上側チャック60の誘電層を接地し、給排気装置17を用いてシリンダ室62の流路側室65に空気を供給し、下側チャック11を上側チャック60に所定の距離まで離す。このとき、ピストン63は、その空気の供給により、穴68−1〜68−nを介して突起部66−1〜66−nが保持面61から突出するように、シリンダ室62の流路69の側から保持面61の側に移動する。このような移動によれば、上側チャック60は、誘電層に電荷が残留している場合であっても、その接合チップを保持面61から離すように、突起部66−1〜66−nがその接合チップを機械的に押すことにより、その接合チップをより確実にデチャックすることができる。この結果、このような接合装置は、既述の実施の形態における接合装置1と同様にして、その接合チップをより早く取り出すことができ、複数の接合チップをより速く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、接合装置を示す断面図である。
【図2】図2は、上側チャックを示す断面図である。
【図3】図3は、他の上側チャックを示す断面図である。
【図4】図4は、さらに他の上側チャックを示す断面図である。
【図5】図5は、さらに他の上側チャックを示す断面図である。
【図6】図6は、さらに他の上側チャックを示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 :接合装置
2 :架台
3 :ベース
5 :圧接用駆動装置
6 :ステージ
7 :板ばね
8 :アライメント用駆動装置
10:底板
11:下側チャック
12:上側チャック
14−1〜14−3:圧電素子
15−1〜15−3:ロードセル
16:制御装置
17:給排気装置
19:アライメント装置
21:保持面
22:チップ
23:シリンダ室
24:移動体
25:保持面側室
26:流路側室
27:穴
28:流路
30:上側チャック
31:保持面
32:シリンダ室
33:可撓性膜
34:保持面側室
35:流路側室
36:突起部
37:穴
38:流路
40:上側チャック
41:保持面
42:シリンダ室
43:ピストン
44:保持面側室
45:流路側室
46:突起部
47:穴
48:流路
50:上側チャック
51:保持面
52:シリンダ室
53:ピストン
54:保持面側室
55:流路側室
56:突起部
57:スロート
58:穴
59:流路
60:上側チャック
61:保持面
62:シリンダ室
63:ピストン
64:保持面側室
65:流路側室
66−1〜66−n:突起部
67:スロート
68−1〜68−n:穴
69:流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ室が形成されるチャックと、
前記シリンダ室を第1室と第2室とに分離する部材と、
前記第1室に空気を供給し、または、前記第1室から空気を排気する給排気装置とを具備し、
前記チャックは、さらに、
接合対象を保持する保持面と、
前記第2室と前記保持面とを繋ぐ穴とが形成され、
前記部材は、前記第1室に空気が供給されることにより前記穴を介して前記保持面から突出する突起部が形成される
接合装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記突起部は、前記部材が前記シリンダ室の壁面を摺動して移動することにより、前記保持面から突出する
接合装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記保持面は、鉛直下向きである
接合装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1室と前記第2室とを接続するスロート
をさらに具備する接合装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記スロートは、前記部材の内部に形成される
接合装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記部材は、球に形成される
接合装置。
【請求項7】
請求項2において、
前記チャックは、前記部材に対して複数の穴が形成され、
前記部材は、前記複数の穴を介して前記保持面からそれぞれ突出する複数の突起部が形成される
接合装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記部材は、壁面に固定され、
前記突起部は、前記部材が弾性変形することにより前記保持面から突出する
接合装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記給排気装置は、前記第1室に給排気することにより、前記第1室の圧力を変更する
接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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