説明

接地系統接続状態確認方法

【課題】接地工事が為された後で、接地工事自体が正しく為され、しかも経年的に接地系統が正常に機能する状態であるか否かを、接地系統全体に対して非常に簡易な方法で確認することができる方法を提供する。
【解決手段】機器などに接続される複数の保護接地導体201と,大地に接続された接地線203とがそれぞれ接続される集中接地端子を備える接地系統において,電路における接地側電線102と保護接地導体201との間の電圧を測定する工程と,前記電圧を測定した場合に前記変圧器2次巻線の中性相102と電圧相101との相間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトである場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する工程と,前記測定電圧値が略ゼロボルトでない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する工程とを包含することを特徴として接地系統の接続状態を確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大地に設けられた電気的端子が,該電気的端子と電気的に接続された接地線を介して,機器などの接地を行う保護接地導体と,電気的に接続されることにより為される、接地の状態を確認する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電路において過電流や短絡電流が流れた場合などにおける配線の保護,また,電路や負荷機器の絶縁が劣化することにより地絡が生じた場合などにおける電気火災や,同じく負荷機器の絶縁が劣化することにより大地と負荷機器を構成する筐体などの間に電位が生じ,人体が負荷機器に触れた場合に生ずるおそれのある感電事故などの,種々の電気事故から,人命,財産の安全を確保するため,配線用遮断器や漏電遮断器を筆頭に、様々な配電用機器が開発されている。
【0003】
特に,人体が感電することによる電気事故を防止するため,労働安全衛生規則により,昭和44年に漏電遮断器の設置が義務化され,感電による死亡者数は年々減少している。
【0004】
さて,漏電遮断器の設置が義務化される以前においても,感電事故を防止する観点から,機器の保護接地工事が行われ,人体の感電事故の防止に成果を挙げてきたことは周知のとおりである。
【0005】
例えば,図9に示したように,電路に設置される負荷機器の絶縁が劣化し,大地と該負荷機器の筐体間に対地電圧Vが生じた場合でも,人体に影響がない接地抵抗は次のようになる。
【0006】
をB種接地抵抗,RをD種接地抵抗,Vを電路の電圧として,V={R/(R+R)}V ・・・(式1)と示される。ここで,人体の抵抗を1kΩ,人体通過許容電流として,数分間が限度(ビーゲツマイヤー氏による感電電流と人体の生理反応)とされる30mAを想定すると,対地電圧として,V=30Vが許容の上限とみなされる。
【0007】
そして,電路の電圧Vが200Vの場合,式1にVを代入し演算することにより,R=5.7R ・・・(式2)となり,B種接地抵抗の大きさが10Ωであった場合,R≒1.7Ωとなることから,D種接地抵抗を約1.7Ω以下に設ければよいことになる。
【0008】
しかしながら,この1.7Ω以下という接地抵抗は,現実的には、通常の設置工事では得難い低い接地抵抗値である。接地を行う際に土壌に科学的処理を施し,例えば,無機質高含水結晶体などを用いた接地抵抗低減剤を用いて,当該接地抵抗が得られたとしても,経年的に接地抵抗が保たれているか確認を行う必要があり,また,このような経年的に接地抵抗を確認することは、接地工事が為された当時とは周辺の環境が変化することが多く、現実的には困難なことであった。
【0009】
このように,人体が感電することによる電気事故は,従来から機器の保護接地工事により防止されてきたが,接地に加えて,前述の漏電遮断器を電路に設置することにより,電路若しくは負荷機器の絶縁が劣化し、電路に所定の大きさの漏電電流が生じた場合には、該漏電遮断器が電路を遮断することにより、感電の危険性がなくなり、一層効果的に防止することができるものである。しかしながら,漏電遮断器を電路に設置していても,接地工事が十分になされていない場合には,人体が絶縁が劣化した負荷機器に接触してから該漏電遮断器が遮断動作するまでの間は,人体に漏電電流が流れることになり、感電事故が発生するおそれは完全には否定できない。
【0010】
このように,接地は,漏電遮断器の有無にかかわらず、種々の電気事故から,人命,財産の安全を確保するために非常に重要なものである。
【0011】
ところで,接地工事を行った場合には,電気保安上,接地抵抗,即ち,大地と,大地に設けられた電気的端子である接地極との間の抵抗が,接地工事の種類に応じて,所定の抵抗値を満足しているか否かを確認する必要がある。
【0012】
接地工事については,電気設備に関する技術基準に記載されているとおりであり,技術基準の解釈第19条によれば,
「接地工事は、第13条〔電路の絶縁〕第六号および第七号イに掲げるものを接地する場合、第23条〔需要場所の引込口の接地〕、第28条〔電気設備の接地〕第1項、第2項及び第4項並びに第42条〔避雷器の接地〕第二号イ及び第三号イ、ロの規定により接地する場合並びに低圧架空電線の特別高圧架空電線と同一支支持物に施設される部分に接地工事を施す場合を除き、次の左欄に掲げる4種とし、各接地工事における接地抵抗値は、同表の左欄に掲げる接地工事の種類に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以下とすること。」とされており,各々の接地工事の種類に応じて,A種接地工事の場合には接地抵抗値が10Ω,B種接地工事の場合には,変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流のアンペア数で150 (変圧器の高圧側の電路又は使用電圧が35,000V以下の特別高圧側の電路と低圧側の電路との混触により低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、1秒を超え2秒以内に自動的に高圧電路又は使用電圧が35,000V以下の特別高圧電路を遮断する装置を設けるときは300、1秒以内に自動的に高圧電路又は使用電圧が35,000V以下の特別高圧電路を遮断する装置を設けるときは600)を除した値に等しいオーム数,C種接地工事の場合には,10Ω(低圧電路において、当該電路に地気を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは、500Ω),D種接地工事の場合には,100Ω(低圧電路において、当該電路に地気を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは、500Ω)と,接地抵抗値が定められている。
【0013】
さて,接地抵抗値を測定する方法としては,従来から次のような方法が提案されている。
【0014】
第一は、目的の接地抵抗を測定する接地極に加えて、補助電極を二つ用いて、各々の電極が三角形の頂点となるよう数メートル間隔に土中に打ち込んで配置し、該各々の頂点間の抵抗を測定することにより、目的の接地抵抗を測定する所謂コウラッシュ・ブリッジ法である。
【0015】
第二は、目的の接地抵抗を測定する接地極に加えて、補助電極を二つ用いて、各々の電極を直線上に土中に打ち込んで配置し、一端には目的の接地抵抗を測定する接地極を配置するとともに、数十メートル離れた他端には一方の補助電極を設置し、前記接地極と他端の補助電極との間に、もう一方の補助電極を配置し、前記他端の補助電極と接地極との間に電流を流し、もう一方の補助電極と接地極との間に生じた電圧を測定することにより、目的の接地抵抗を測定する所謂電極電圧降下法である。
【0016】
第三は、補助電極を用いずに、数十メートルの電線を地上に這わせ、該電線と大地との間で形成されるコンデンサ成分と、電線に存在するインダクタンス成分を利用して、目的の接地抵抗を測定する接地極と該電線との間に、既知の抵抗を介して高周波信号を与え、共振させることにより、前記コンデンサ成分とインダクタンス成分とが打ち消され、共振時の高周波電圧と、端子電圧とを測定することにより接地抵抗を測定する所謂共振を利用する方法である。
【0017】
しかしながら,これらの測定方法においては,測定に用いる各々の補助電極を土中に打ち込む必要や、それぞれの電極をある程度の距離を設けて三角形や直線上に配置させることが必要で、そのため電極間の距離や測定に用いる電線の長さが数十メートル必要となり、現実的には、測定する周囲がコンクリートやアスファルトで舗装されていたり、また、隣家や塀が施設されている都合上、測定に必要な数十メートルもの広さが確保できない場合が多く、接地抵抗の測定が困難な場合が多い。
【0018】
また、測定に用いる各々の補助電極を土中に打ち込む必要や、それぞれの電極を数十メートルの距離を設けて三角形や直線上に配置させることが必要になることから、実際の接地抵抗の測定には非常に手間がかかり、大きな労力を要するものであった。
【0019】
このような,接地の重要性や接地抵抗の測定作業の手間を踏まえて、接地抵抗の値が規定の範囲に入るよう調整する技術や、接地抵抗の測定が困難な場所での測定を改善し,作業の効率化を図る技術など,次のように特許文献1乃至特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開2006−275623号公報
【特許文献2】特開2007−163139号公報
【特許文献3】特開2007−127558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、接地工事が為された後で、経年的に接地抵抗を確認する技術は開示されておらず、また、前述のように接地抵抗の測定作業には労力を要する。また,そもそも接地工事自体が正しく為されていても、接地系統統は,保護接地導体と接地極が正常に接続された状態において初めて機能するものであるため,接地抵抗の確認と同様,接地系統統が機能する状態であるか否かを確認することが重要となる。
【0021】
しかも接地抵抗は,経年的にみた場合,接地系統統の周囲の環境条件により変化することが予想されるものであり,接地系統統における各種接続部分の経年変化による機能性低下も考慮に入れ,経年的に接地系統統が機能する状態であるか否かを簡易な方法で確認できることが望ましい。
【0022】
本発明は、かかる課題に鑑み、接地工事が為された後で、接地抵抗の測定作業を,労力をかけずに行うことができるとともに,経年的に接地抵抗を確認することができ、即ち、接地抵抗の測定作業にかかる労力を極力低減できるとともに,接地工事自体が正しく為され、しかも経年的に接地系統統が正常に機能する状態であるか否かを非常に簡易な方法で確認することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述の目的を達成するために,本発明の請求項1では,
電路に介在する変圧器2次巻線の中性線側が大地に第一の電気的端子を設けて接地されるとともに,
前記変圧器電路の負荷側の電路において,大地に設けられた第二の電気的端子が,
該第二の電気的端子と電気的に接続された接地線を介して,
機器などの接地を行う複数の保護接地導体と,
前記第二の電気的端子と電気的に接続された接地線及び前記複数の保護接地導体がそれぞれ接続される集中接地端子と,電気的に接続されることにより構成された接地系統において,
前記電路における接地側電線と前記保護接地導体との間の電圧を測定する工程と,
前記電圧を測定した場合に前記変圧器2次巻線の中性相と電圧相との相間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトである場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する工程と,
前記電圧を測定した場合に前記変圧器2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトでない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する工程とを包含することを特徴として接地系統接続状態確認方法を提供したものである。
【0024】
このような接地系統接続状態確認方法によれば,電路に介在する変圧器2次巻線の中性線側の接地及び該電路の負荷側における接地が為されている場合には,前記接地側電線と前記保護接地導体との間の電圧を検出することにより,接地系統の接続が為されているか否かを判断することができ,接地抵抗の測定作業にかかる労力を極力低減できるとともに,接地工事自体が正しく為されていることを確認することができる。
【0025】
また,前記接地系統において,
前記電路における接地側電線と前記保護接地導体との間の電圧を測定する工程に代えて,前記変圧器2次巻線の電圧線と前記保護接地導体との間の電圧を測定する工程と,
前記電圧を測定した場合に前記変圧器2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧と測定電圧値が略等しい電圧値である場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する工程と,
前記電圧を測定した場合に前記変圧器2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略等しくない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する工程とを包含することを特徴として接地系統接続状態確認方法を提供してもよい。
【0026】
このような接地系統接続状態確認方法によれば,電路に介在する変圧器2次巻線の中性線側の接地及び該電路の負荷側における接地が為されている場合には,前記電圧線と前記保護接地導体との間の電圧を検出することにより,接地系統の接続が為されているか否かを判断することができ,接地抵抗の測定作業にかかる労力を極力低減できるとともに,接地工事自体が正しく為されていることを確認することができる。
【0027】
また,前記接地系統において,
前記複数の保護接地導体と前記接地線とを分離/接続するスイッチ手段を前記集中接地端子に設け,
該スイッチ手段を入切制御する工程と,
該スイッチ手段が入状態及び切状態のそれぞれの場合において
前記電圧を測定する工程と,
前記スイッチ手段が入状態の場合に得られた前記電圧値と,前記スイッチ手段が切状態の場合に得られた前記電圧値とを比較する工程と,
該比較の結果前記電圧値に変化がある場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する工程と,
該比較の結果前記電流値に変化がない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する工程とを包含することを特徴として接地系統接続状態確認方法を提供してもよい。
【0028】
このような接地系統接続状態確認方法によれば,前記スイッチ手段により,前記保護接地導体と前記接地線とを分離/接続制御することにより,接地状態及び非接地状態を作り出し,それぞれの状態における電圧値を比較することにより,接地系統の接続が為されているか否かを判断することができ,非常に簡易な方法でありながらも接地系統の接続状態を確認することができる。
【0029】
また,前記接地系統において,
所定の時間間隔で前記記載の一連の工程を実施する工程を包含することを特徴として接地系統接続状態確認方法を提供してもよい。
【0030】
このような接地系統接続状態確認方法によれば,一連の工程を所定の時間間隔で実施することにより,経年的に接地系統が機能する状態であるか否かを確認することができる。
【発明の効果】
【0031】
本件の発明によれば、接地工事が為された後で、接地抵抗の測定作業を,労力をかけずに行うことができるとともに,経年的に接地抵抗を確認することができ、即ち、接地抵抗の測定作業にかかる労力を極力低減できるとともに,接地工事自体が正しく為され、しかも経年的に接地系統が正常に機能する状態であるか否かを、接地系統全体に対して非常に簡易な方法で確認することができる方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下,本発明の実施の形態について,図面を用いて詳細に説明する。実施の形態は,いずれも電路に介在する変圧器2次巻線の中性線側が大地に第一の電気的端子を設けて接地されるとともに,該電路の負荷側において大地に設けられた第二の電気的端子が該電気的端子と電気的に接続された接地線を介して機器などの接地を行う保護接地導体と電気的に接続されることにより構成された接地系統において,該接地系統の接続状態の確認方法を提供するものである。なお,機器などとは,一般的な電気機器のほか,建築設備,建築物に設けられる銅帯,電線,キュービクルの筐体など接地を行う必要があるもの全般である。また,本願では,社団法人日本電気協会発行の内線規程 電気技術規程使用設備編 JEAC8001に定められたとおり,中性線とは多線式電路の電源の中性極に接続される電線をいい,低圧電路において技術上の必要により接地された中性線又は接地された一線のことを接地側電線という。例えば単相3線式電路においては,電圧極としてL1極,L2極があり,中性極としてN極がある。また,単相2線式電路においては,電圧極と接地された接地側電線がある。
【0033】
(第一の実施の形態)
図1は,本発明における第一の実施形態を示したものである。
【0034】
第一の実施形態は,大地1に設けられた電気的端子(earth electrode)203が,該電気的端子203と電気的に接続された接地線(earthing conduction)202を介して,機器などの接地を行う保護接地導体(protective earthing conduction)201と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,電路に介在する変圧器100の2次巻線の中性線102側と,前記保護接地導体201との間に電圧を印加することにより判断し確認するものである。
【0035】
電路に介在する前記変圧器100の中性線102側は第一の電気的端子103により接地され,電圧線101とともに負荷側電路を構成している。
【0036】
ここで,変圧器100の2次巻線の中性線102側が,前記第一の電気的端子103により為される接地は,電気設備に関する技術基準に示されるB種接地であり,電路の負荷側において保護接地導体201が接地線202を介して前記第二の電気的端子203により為される接地は,D種接地である。
【0037】
このとき,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201は,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103を介して中性線102と接続されている状態にある。即ち,B種接地抵抗をRB,D種接地抵抗をRDとすると,前記保護接地導体201と中性線102との間の合成抵抗は,
RTotal=RB+RD・・・(式3)と表される。
【0038】
この場合において,電路の負荷側における中性線102及び保護接地導体201に電源装置301を接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。電源装置301は交流電源を使用してもよいし,直流電源を使用してもよい。電源として,1次側と2次側を絶縁した絶縁電源を用いてもよい。また,直流電源として,例えばコンデンサを用いて構成してもよい。
【0039】
次に,前記中性線102及び保護接地導体201の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段で計測する。ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201と中性線102との間の合成抵抗は,(式3)のとおり,RTotal=RB+RDと表されるため,電圧Eを印加した場合,
E / (R+R) ・・・(式4)
の大きさで表される電流Iが検出される。
【0040】
このとき,該電流Iが検出された場合には,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合であるので,判定部303により前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,該電流Iが検出されない場合には,前記保護接地導体201が,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103を介して中性線102と接続されていない状態であるため,前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
【0041】
このように,接地系統の接続状態を,電路における接地側電線と前記保護接地導体との間に電圧を印加し,前記接地側電線と前記保護接地導体との間に流れる電流を検出することにより確認することができるため,接地抵抗の測定作業にかかる労力を極力低減できるとともに,接地工事自体が正しく為されていることを簡易に確認することができる。

【0042】
(第二の実施の形態)
図2は,本発明における第二の実施形態を示したものである。
【0043】
第二の実施形態は,大地1に設けられた電気的端子203が,該電気的端子203と電気的に接続された接地線202を介して,機器などの接地を行う保護接地導体201と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,電路に介在する変圧器100の2次巻線の中性線102側と,前記保護接地導体201との間の電圧を測定することにより判断し確認するものである。
【0044】
電路に介在する前記変圧器100の中性線102側は第一の電気的端子103により接地され,電圧線101とともに負荷側電路を構成している。
【0045】
ここで,変圧器100の2次巻線の中性線102側が,前記第一の電気的端子103により為される接地は,電気設備に関する技術基準に示されるB種接地であり,電路の負荷側において保護接地導体201が接地線202を介して前記第二の電気的端子203により為される接地は,D種接地である。
【0046】
このとき,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201は,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103を介して中性線102と接続されている状態にある。即ち,B種接地抵抗をRB,D種接地抵抗をRDとすると,前記保護接地導体201と中性線102との間の合成抵抗は,
RTotal=RB+RD・・・(式3)と表される。
【0047】
この場合において,電路の負荷側における中性線102及び保護接地導体201の間の電圧を測定する。
【0048】
ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201と中性線102との間の合成抵抗は,(式3)のとおり,RTotal=RB+RDと表されるため,前記中性線102及び保護接地導体201の間の電圧は,単純に前記合成抵抗が介在する抵抗回路の開放端の電圧に相当し,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略ゼロボルトの測定電圧値が検出される。
【0049】
また,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記前記合成抵抗が介在する抵抗回路の途中に開放区間が存在することとなり,電圧は安定しないものとなる。即ち,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトではない測定電圧値となる。
【0050】
前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略ゼロボルトの測定電圧値が検出された場合には,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合であるので,判定部303により前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトではない測定電圧値となる場合には,前記保護接地導体201が,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103を介して中性線102と接続されていない状態であるため,前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
【0051】
このように,接地系統の接続状態を,電路における接地側電線と前記保護接地導体との間の電圧を測定することにより確認することができるため,接地抵抗の測定作業にかかる労力を極力低減できるとともに,接地工事自体が正しく為されていることを簡易に確認することができる。

【0052】
(第三の実施の形態)
図3は,本発明における第三の実施形態を示したものである。
【0053】
第三の実施形態は,大地1に設けられた電気的端子203が,該電気的端子203と電気的に接続された接地線202を介して,機器などの接地を行う保護接地導体201と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,電路に介在する変圧器100の2次巻線の電圧線101側と,前記保護接地導体201との間に電圧を印加することにより判断し確認するものである。
【0054】
電路に介在する前記変圧器100の電圧線101側は,第一の電気的端子103により接地された中性線102とともに負荷側電路を構成している。
【0055】
ここで,変圧器100の2次巻線の中性線102側が,前記第一の電気的端子103により為される接地は,電気設備に関する技術基準に示されるB種接地であり,電路の負荷側において保護接地導体201が接地線202を介して前記第二の電気的端子203により為される接地は,D種接地である。
【0056】
このとき,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201は,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103,中性線102,変圧器の2次巻線を介して電圧線101側と接続されている状態にある。即ち,B種接地抵抗をRB,D種接地抵抗をRD,変圧器の2次巻線のインピーダンスをZ(=jωL:Lはコイルのインダクタンス)とすると,前記保護接地導体201と中性線102との間の合成インピーダンスは,
Total=RB+R+Z・・・(式5)と表される。
【0057】
この場合において,電路の負荷側における電圧線101及び保護接地導体201に電源装置301を接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。電源装置301は交流電源を使用してもよいし,直流電源を使用してもよい。
【0058】
次に,前記電圧線101及び保護接地導体201の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段で計測する。ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201と電圧線101との間の合成抵抗は,(式5)のとおり,ZTotal=RB+R+Zと表されるため,電圧Eを印加した場合,
E / (R+R+Z) ・・・(式6)
の大きさで表される電流Iが検出される。
【0059】
このとき,該電流Iが検出された場合には,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合であるので,判定部303により前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,該電流Iが検出されない場合には,前記保護接地導体201が,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103,中性線102,変圧器の2次巻線を介して電圧線101側と接続されていない状態であるため,前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
【0060】
このように,接地系統の接続状態を,電路における電圧線と前記保護接地導体との間に電圧を印加し,前記電圧線と前記保護接地導体との間に流れる電流を検出することにより確認することができるため,接地抵抗の測定作業にかかる労力を極力低減できるとともに,接地工事自体が正しく為されていることを簡易に確認することができる。

【0061】
(第四の実施の形態)
図4は,本発明における第四の実施形態を示したものである。
【0062】
第四の実施形態は,大地1に設けられた電気的端子203が,該電気的端子203と電気的に接続された接地線202を介して,機器などの接地を行う保護接地導体201と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,電路に介在する変圧器100の2次巻線の電圧線101側と,前記保護接地導体201との間の電圧を測定することにより判断し確認するものである。
【0063】
電路に介在する前記変圧器100の電圧線101側は,第一の電気的端子103により接地された中性線102とともに負荷側電路を構成している。
【0064】
ここで,変圧器100の2次巻線の中性線102側が,前記第一の電気的端子103により為される接地は,電気設備に関する技術基準に示されるB種接地であり,電路の負荷側において保護接地導体201が接地線202を介して前記第二の電気的端子203により為される接地は,D種接地である。
【0065】
このとき,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201は,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103,中性線102,変圧器の2次巻線を介して電圧線101側と接続されている状態にある。即ち,B種接地抵抗をRB,D種接地抵抗をRD,変圧器の2次巻線のインピーダンスをZ(=jωL:Lはコイルのインダクタンス)とすると,前記保護接地導体201と中性線102との間の合成インピーダンスは,
Total=RB+R+Z・・・(式5)と表される。
【0066】
この場合において,電路の負荷側における電圧線101及び保護接地導体201の間の電圧を測定する。
【0067】
ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201と電圧線101との間の合成インピーダンスは,(式5)のとおり,ZTotal=RB+R+Zと表されるため,前記電圧線101及び保護接地導体201の間の電圧は,単純に前記合成インピーダンスが介在する抵抗−コイルの直列回路の開放端の電圧に相当し,前記中性線と電圧線との線間電圧と略等しい測定電圧値が検出される。
【0068】
また,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記前記合成インピーダンスが介在する抵抗回路の途中に開放区間が存在することとなり,電圧は安定しないものとなる。即ち,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略等しくない測定電圧値が測定されることとなる。
【0069】
前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略等しい測定電圧値が検出された場合には,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合であるので,判定部303により前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略等しくない測定電圧値となる場合には,前記保護接地導体201が,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103,中性線102,変圧器の2次巻線を介して電圧線101側と接続されていない状態であるため,前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
【0070】
このように,接地系統の接続状態を,電路における電圧線と前記保護接地導体との間の電圧を測定することにより確認することができるため,接地抵抗の測定作業にかかる労力を極力低減できるとともに,接地工事自体が正しく為されていることを簡易に確認することができる。

【0071】
(第五の実施の形態)
図5は,本発明における第五の実施形態を示したものである。
【0072】
第五の実施形態は,大地1に設けられた電気的端子203が,該電気的端子203と電気的に接続された接地線202を介して,機器などの接地を行う保護接地導体201と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,前記保護接地導体と前記接地線とを分離/接続するスイッチ手段を設けて,該スイッチ手段により,前記保護接地導体と接地線とを分離/接続制御することにより接地状態A及び非接地状態Bを作り出し,該接地状態A及び非接地状態Bのそれぞれの状態において,前述した第一の実施の形態若しくは第三の実施形態のいずれか一に示した工程を実施し,前記接地状態A及び非接地状態Bの双方で得られた測定電流値を比較することにより確認するものである。
【0073】
本実施の形態について,前述した第一の実施の形態において,スイッチ手段401を前記保護接地導体201と前記接地線202との間に介在させた場合の説明を行う。
【0074】
この場合,まず,前記スイッチ手段401を閉じた状態(接地状態A)で,電路の負荷側における中性線102及び保護接地導体201に電源装置301を接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。そして,前記中性線102及び保護接地導体201の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段で計測する。ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201と中性線102との間の合成抵抗は,(式3)のとおり,RTotal=RB+RDと表されるため,電圧Eを印加した場合,
E / (R+R) ・・・(式4)
の大きさで表される電流Iが検出される。
【0075】
続いて,前記スイッチ手段401を開いた状態(非接地状態B)で,電路の負荷側における中性線102及び保護接地導体201に電源装置301を接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。そして,前記中性線102及び保護接地導体201の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段で計測する。このときには,前記保護接地導体201と中性線102との間は,前記スイッチ手段401により分離されているため,電流Iは検出されない状態となる。
【0076】
ここで,前記スイッチ手段401を閉じた状態(接地状態A)と開いた状態(非接地状態B)とで得られた前記電流値を比較すると,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,検出される電流値Iは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化し,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記保護接地導体201が,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103を介して中性線102と接続されていない状態であるため,前記電流値Iは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化しないものとなる。
【0077】
したがって,前記電流値の比較の結果該電流値に変化がある場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記電流値の比較の結果該電流値に変化がない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する。

【0078】
続いて,前述した第三の実施の形態において,スイッチ手段401を前記保護接地導体201と前記接地線202との間に介在させた場合の説明を行う。
【0079】
この場合,まず,前記スイッチ手段401を閉じた状態(接地状態A)で,電路の負荷側における電圧線101及び保護接地導体201に電源装置301を接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。そして,前記電圧線101及び保護接地導体201の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段で計測する。ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201と電圧線101との間の合成抵抗は,(式5)のとおり,ZTotal=RB+R+Zと表されるため,電圧Eを印加した場合,
E / (R+R+Z) ・・・(式6)
の大きさで表される電流Iが検出される。
【0080】
続いて,前記スイッチ手段401を開いた状態(非接地状態B)で,電路の負荷側における電圧線101及び保護接地導体201に電源装置301を接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。そして,前記電圧線101及び保護接地導体201の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段で計測する。このときには,前記保護接地導体201と電圧線101との間は,前記スイッチ手段401により分離されているため,電流Iは検出されない状態となる。
【0081】
ここで,前記スイッチ手段401を閉じた状態(接地状態A)と開いた状態(非接地状態B)とで得られた前記電流値を比較すると,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,検出される電流値Iは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化し,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記保護接地導体201が,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103を介して中性線102と接続されていない状態であるため,前記電流値Iは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化しないものとなる。
【0082】
したがって,前記電流値の比較の結果該電流値に変化がある場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記電流値の比較の結果該電流値に変化がない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する。

【0083】
(第六の実施の形態)
図6は,本発明における第六の実施形態を示したものである。
【0084】
第六の実施形態は,大地1に設けられた電気的端子203が,該電気的端子203と電気的に接続された接地線202を介して,機器などの接地を行う保護接地導体201と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,前記保護接地導体と前記接地線とを分離/接続するスイッチ手段を設けて,該スイッチ手段により,前記保護接地導体と接地線とを分離/接続制御することにより接地状態A及び非接地状態Bを作り出し,該接地状態A及び非接地状態Bのそれぞれの状態において,前述した第二の実施の形態若しくは第四の実施形態のいずれか一に示した工程を実施し,前記接地状態A及び非接地状態Bの双方で得られた測定電圧値を比較することにより確認するものである。
【0085】
本実施の形態について,前述した第二の実施の形態において,スイッチ手段401を前記保護接地導体201と前記接地線202との間に介在させた場合の説明を行う。
【0086】
この場合,まず,前記スイッチ手段401を閉じた状態(接地状態A)で,電路の負荷側における中性線102及び保護接地導体201の間の電圧を測定する。
【0087】
ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201と中性線102との間の合成抵抗は,(式3)のとおり,RTotal=RB+RDと表されるため,前記中性線102及び保護接地導体201の間の電圧は,単純に前記合成抵抗が介在する抵抗回路の開放端の電圧に線当し,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略ゼロボルトの測定電圧値が検出される。
【0088】
続いて,前記スイッチ手段401を開いた状態(非接地状態B)で,電路の負荷側における中性線102及び保護接地導体201の間の電圧を測定する。
【0089】
この場合には,前記保護接地導体201と中性線102との間は,前記スイッチ手段401により分離されているため,電圧は安定しないものとなる。即ち,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトではない測定電圧値となる。
【0090】
ここで,前記スイッチ手段401を閉じた状態(接地状態A)と開いた状態(非接地状態B)とで得られた前記電圧値を比較すると,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,検出される電圧値Eは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化し,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記保護接地導体201が,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103を介して中性線102と接続されていない状態であるため,前記電圧値Eは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化しないものとなる。
【0091】
したがって,前記電圧値の比較の結果該電圧値に変化がある場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記電圧値の比較の結果該電圧値に変化がない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
【0092】
続いて,前述した第四の実施の形態において,スイッチ手段401を前記保護接地導体201と前記接地線202との間に介在させた場合の説明を行う。
【0093】
この場合,まず,前記スイッチ手段401を閉じた状態(接地状態A)で,電路の負荷側における電圧線101及び保護接地導体201間の電圧を測定する。
【0094】
ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記保護接地導体201と中性線102との間の合成抵抗は,(式5)のとおり,ZTotal=RB+R+Zと表されるため,前記中性線102及び保護接地導体201の間の電圧は,単純に前記合成インピーダンスが介在する抵抗−コイルの直列回路の開放端の電圧に相当し,前記中性線と電圧線との線間電圧と略等しい測定電圧値が検出される。
【0095】
続いて,前記スイッチ手段401を開いた状態(非接地状態B)で,電路の負荷側における電圧線101及び保護接地導体201の間の電圧を測定する。
【0096】
この場合には,前記保護接地導体201と電圧線101との間は,前記スイッチ手段401により分離されているため,電圧は安定しないものとなる。即ち,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略等しくない測定電圧値となる。
【0097】
ここで,前記スイッチ手段401を閉じた状態(接地状態A)と開いた状態(非接地状態B)とで得られた前記電圧値を比較すると,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,検出される電圧値Eは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化し,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記保護接地導体201が,前記接地線202,第2の電気的端子203,大地1,第一の電気的端子103,中性線102,変圧器の2次巻線を介して電圧線101側と接続されていない状態であるため,前記電圧値Eは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化しないものとなる。
【0098】
したがって,前記電圧値の比較の結果該電圧値に変化がある場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記電圧値の比較の結果該電圧値に変化がない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する。

【0099】
(第七の実施の形態)
図7は,本発明における第七の実施形態を示したものである。
【0100】
第七の実施形態は,大地1に設けられた電気的端子203が,該電気的端子203と電気的に接続された接地線202を介して,機器などの接地を行う保護接地導体201と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,所定の時間間隔で確認する反復確認手段501を設けて,前述した第一の実施の形態乃至第六の実施形態のいずれか一に示した実施形態の工程を実施し,経年的に確認するものである。
【0101】
前記反復確認手段501は,電子的なタイマーや,プログラミングされたマイコンを用いて構成し,定期的に前述した一連の工程が実施されるように構成するとよい。
【0102】
前記反復手段501により,所定の時間間隔で接地系統の接続状態を確認できるため,経年的に変化する接地抵抗,ならびに,前記接地系統における各種接続部分の経年変化による機能性低下が簡易に確認できる。
【0103】
なお,反復確認手段501のほかに,前述した実施の形態における測定した電流値や電圧値,接地状態の確認結果などのデータを経年的に蓄積する記憶手段,例えばマイコン内部のメモリや外部メモリなどを設けて,前記電流値や電圧値,接地状態の確認結果などのデータを経年的に確認できるように構成すれば,一連の工程を実施した都度得られる各種データを種々活用することができる。
【0104】
また,所定の時間間隔で確認するほか,所定のタイミング,例えば季節の変わり目であるとか,手動にて確認を行いたい場合に確認を行うようにしてもよい。また,天候の変化や,温度,湿度を測定するセンサを設けて,所定の変化があった場合に確認を行うようにしてもよい。
【0105】
(第八の実施の形態)
図8は,本発明における第八の実施形態を示したものである。
【0106】
第八の実施形態は,大地1に設けられた電気的端子203が,該電気的端子203と電気的に接続された接地線202を介して,機器などの接地を行う保護接地導体201が複数設けられている場合に該保護接地導体201を取りまとめた集中接地端子と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,前記保護接地導体に代えて該集中接地端子に対して前述した第一の実施の形態乃至第七の実施形態のいずれか一に示した実施形態の工程を実施し確認するものである。
【0107】
集中接地端子601は,機器などの接地を行う前記保護接地導体201が複数設けられている場合に,前記第二の電気的端子203と電気的に接続された接地線202を共用する目的で該保護接地導体201を取りまとめて接続するためのものである。
【0108】
前述した第一の実施の形態乃至第七の実施形態における保護接地導体201に代えて,該集中接地端子601に対して,一連の工程を実施することにより,複数の保護接地導体が設けられている場合に,それぞれの保護接地導体201について一連の工程を実施することなく,1回の工程で全ての保護接地導体201に対する接地の状態を確認することができるという点で有効である。
【0109】
なお,本発明は,前述した実施の形態に限定されることなく,発明の要旨を逸脱しない限りにおいて,適宜,必要に応じて応用が可能である。
【0110】
例えば,接地系統が正常に機能する状態であるか否かをより詳細に確認する場合には,前記B種接地ならびにD種接地が正常に為された状態を基本状態として,該基本状態における前述した実施の形態に示した測定電流値ならびに測定電圧値を基本データとして記憶部に記憶しておき,経年的に前記工程を反復して行う場合に,得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータを前記基本データと比較することにより,正常な状態からのずれがあるか否かを把握し,該ずれの大きさが所定の大きさになった場合には,接地の状態が正常に機能していないと判断することができる。
【0111】
また,前記基本データから,実際に接地系統における抵抗値データを求めておき,経年的に前記工程を反復して行った結果得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータから抵抗値データを求め,各々の抵抗値データのずれが所定の大きさになった場合には,接地の状態が正常に機能していないと判断することができる。
【0112】
また,前記基本データから得られる接地系統における抵抗値データ,ならびに,経年的に前記工程を反復して行った結果得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータから求められる抵抗値データが,前述した電気設備に関する技術基準に記載された,例えばD種接地工事の場合の接地抵抗値100Ω以内であるか否かを求めて,該接地抵抗値よりも大きい場合には,接地の状態が正常に機能していないと判断することができる。
【0113】
また,接地状態確認装置300に,通信部を設けて,前述の基本データや,経年的に前記工程を反復して得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータ,また,これらのデータから求められた抵抗値データや,接地の状態が正常であるか否かといったデータを,外部の機器で得られるようにすることで,外部の機器で設置の状態が正常に機能しているか否かを確認できるようにできる。
【0114】
前記通信部としては,RS−232Cを用いたシリアル通信部を設けて構成したり,IEEE802.3で定められるイーサネット(登録商標)方式による通信部を設けて一般的な住宅内LANに接続できるよう構成してもよい。また,この他,特定小電力無線や,無線LAN方式などによる無線方式の通信部や,電力千二データを重畳させる電力線搬送方式の通信部を設けて構成してもよい。
【0115】
そして,外部の機器としては,一般的なインターネットに接続可能な携帯電話や,コンピュータとしてもよいし,前述の各種データを蓄積し演算処理を行い表示を行う専用のデータ処理装置としてもよい。また,前記接地状態確認装置300で得られたデータを,ゲートウエイ装置を介し,インターネット網を経由して,インターネット上に設けられたデータ蓄積サーバに集積し,電力会社側から該データ蓄積サーバにアクセスし,対象となる前記接地状態確認装置300からのデータを参照することにより,接地の状態が正常に機能しているか否かを確認できるようにしてもよい。
【0116】
これにより,従来では接地の状態を確認する場合には,該当する現地に赴き確認を行う必要があったが,電力会社側で接地の状態を確認することができ,また,各電力会社の管轄内もしくは管轄内外における場所においても,地域の制約を受けることなく,広い範囲の接地の状態を統計的に確認することができる。
【0117】
さらには,得られた接地の状態のデータから,経年的なデータの変化を得ることにより,接地の状態が経年的にどのような変化を行っているのか,また,定められた接地抵抗値を超えた場合や,定められた接地抵抗値を超えそうな場合には,例えば,当該場所における接地の状態を確認し,接地の状態が正常になるよう改善を行うことができる。
【0118】
また,接地状態確認装置300に,報知部を設けて,前述の基本データや,経年的に前記工程を反復して得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータ,また,これらのデータから求められた抵抗値データや,接地の状態が正常であるか否かといったデータが,所定の値を超えたり,大きくずれたりしたような場合には,前記報知部から,接地の状態が正常ではない旨を報知させ,接地の状態が周囲で確認できるようにしてもよい。
【0119】
また,電力会社側のサーバと前記接地状態確認装置300とで双方向通信を行うようにしておき,電力会社側で把握した接地の状態を,前記報知部から報知させるようにすることで,接地の状態をより適切に確認することができる。
【0120】
前記報知させる音声データは,前記接地状態確認装置300にマイコンを設けて,想定される音声を予め該マイコン内部に格納しておくとよい。もしくは,インターネット網を介して,音声データを前記接地状態確認装置300の通信部に送信し,該音声データを前記報知部から報知させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は,接地系統における接地の状態を確認する方法に適用可能である。主には,各種分電機器が収容された分電盤内に為される接地の確認に有効である。分電盤は,住宅用分電盤のほか,産業用分電盤についても適用することにより,住宅用,産業用を問わず,種々の場所に為される接地に対して該接地の状態を確認できる可能性がある。

【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】第一の実施の形態に係わる接地の状態を確認する方法の説明図
【図2】第二の実施の形態に係わる接地の状態を確認する方法の説明図
【図3】第三の実施の形態に係わる接地の状態を確認する方法の説明図
【図4】第四の実施の形態に係わる接地の状態を確認する方法の説明図
【図5】第五の実施の形態に係わる接地の状態を確認する方法の説明図
【図6】第六の実施の形態に係わる接地の状態を確認する方法の説明図
【図7】第七の実施の形態に係わる接地の状態を確認する方法の説明図
【図8】第八の実施の形態に係わる接地の状態を確認する方法の説明図
【図9】電路に設置される負荷機器の絶縁が劣化した場合の対地電圧ならびに接地抵抗の説明図
【符号の説明】
【0123】
1 大地
100 変圧器
101 電圧線
102 中性線
103 第1の電気的端子
201 保護接地導体
202 接地線
203 第2の電気的端子
300 接地状態確認装置
301 電源装置
302 電流計測手段
303 判定部
304 電圧計測手段
401 スイッチ手段
501 反復確認手段
601 集中接地端子




【特許請求の範囲】
【請求項1】
電路に介在する変圧器2次巻線の中性線側が大地に第一の電気的端子を設けて接地されるとともに,
前記変圧器電路の負荷側の電路において,大地に設けられた第二の電気的端子が,
該第二の電気的端子と電気的に接続された接地線を介して,
機器などの接地を行う複数の保護接地導体と,
前記第二の電気的端子と電気的に接続された接地線及び前記複数の保護接地導体がそれぞれ接続される集中接地端子と,電気的に接続されることにより構成された接地系統において,
前記電路における接地側電線と前記保護接地導体との間の電圧を測定する工程と,
前記電圧を測定した場合に前記変圧器2次巻線の中性相と電圧相との相間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトである場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する工程と,
前記電圧を測定した場合に前記変圧器2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトでない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する工程とを包含することを特徴とする接地系統接続状態確認方法。

【請求項2】
前記接地系統において,
前記電路における接地側電線と前記保護接地導体との間の電圧を測定する工程に代えて,前記変圧器2次巻線の電圧線と前記保護接地導体との間の電圧を測定する工程と,
前記電圧を測定した場合に前記変圧器2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧と測定電圧値が略等しい電圧値である場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する工程と,
前記電圧を測定した場合に前記変圧器2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略等しくない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する工程とを包含することを特徴とする請求項1に記載の接地系統接続状態確認方法。

【請求項3】
前記接地系統において,
前記複数の保護接地導体と前記接地線とを分離/接続するスイッチ手段を前記集中接地端子に設け,
該スイッチ手段を入切制御する工程と,
該スイッチ手段が入状態及び切状態のそれぞれの場合において
前記電圧を測定する工程と,
前記スイッチ手段が入状態の場合に得られた前記電圧値と,前記スイッチ手段が切状態の場合に得られた前記電圧値とを比較する工程と,
該比較の結果前記電圧値に変化がある場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する工程と,
該比較の結果前記電流値に変化がない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する工程とを包含することを特徴とする
請求項1又は請求項2記載の接地系統接続状態確認方法。
【請求項4】
前記接地系統統において,
所定の時間間隔で前記記載の一連の工程を実施する工程を包含することを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のうちいずれか一項記載の接地系統接続状態確認方法。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−79974(P2013−79974A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−273781(P2012−273781)
【出願日】平成24年12月14日(2012.12.14)
【分割の表示】特願2008−47112(P2008−47112)の分割
【原出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000109598)テンパール工業株式会社 (217)
【Fターム(参考)】