説明

接点装置及びガラスアンテナ装置

【課題】接点部材の表皮効果を考慮した上で、抵抗即ち抵抗損失を小さくし、部品コストを安価に止めることができる接点装置の提供。
【解決手段】固定された第1機器5aに電気的に接続され、固定された第2機器に形成された接点4に一端面が接触して、第1機器5a及び第2機器(4)間を電気的に接続する導電ゴム製棒形状の接続部材9と、第1機器5aに固定される固定部材11と、接続部材9を固定部材11から接点4へ付勢する付勢部材10とを備える接点装置2。接続部材9は、外周部分が、中心部より導電率が高い構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のガラスアンテナ装置に使用される接点装置、及びこの接点装置を使用するガラスアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用のガラスアンテナ装置は、車両のリアウィンドウガラス又はフロントウィンドウガラス等の内部又は車室側表面に、埋込み、印刷又は貼付け等により、ラジオ及びテレビジョン等の電波を受信する為の複数のアンテナ素子が形成され、アンテナ素子により受信した信号を、処理回路で増幅等の処理を施してチューナへ送るように構成されている。
ガラスアンテナ装置では、アンテナ素子と処理回路との接続に、ガラスの車室側表面にアンテナ素子の接点を設け、この接点に処理回路側の接触子が当接する接点装置が多用されており、これにより、煩雑な結線作業を不要にし、部品寸法のばらつきにも対応し易いようになっている。
【0003】
特許文献1には、弾性部材によって付勢され被当接体に押付けられ、導電性フィラーを含有する導電性ゴムからなり、被当接体との当接面の端縁に角R(R≧0.1mm)が形成され、JISA硬度を60以上95以下とされた当接部材、及びこの当接部材を備えた接点装置が開示されている。
特許文献2には、弾性部材に付勢されて被当接体に押付けられる導体からなる当接部と、当接部と弾性部材との間に介在する絶縁体と、当接部に接続され導通路の一部となる導線とを備え、弾性部材によらず導線及び当接部を介して被当接体との導通を確保し、寄生キャパシタンスを抑制する高周波回路用接点装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−166307号公報
【特許文献2】特開2005−166311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に開示された接点装置は、車両用ガラスアンテナへ給電する為の接点装置として提案されているが、アンテナの用途、つまり、ラジオ、テレビジョン等の無線高周波信号の導電経路としての課題、即ち、高周波信号が導電部材を通過する際に生じる表皮効果による抵抗値増加の問題が解決されているとは言えない。
ガラスアンテナとアンテナ用給電線との間の電気的接触抵抗は、限り無く小さい方が望ましい。図9は、アンテナ給電線(75Ω同軸ケーブル)の途中に抵抗R(Ω)を挿入した場合の通過損失を、シミュレーションにより計算した結果の例を示す特性図である((b)は(a)の0付近の拡大図)。例えば、5Ωの抵抗値が存在すると、損失は、約0.3dB増加する。損失は、アンテナを通過する信号の減衰をもたらす為、小さい方が望ましく、即ち、線路途中の抵抗は小さい方が望ましい。
【0005】
特許文献1,2に開示された接点装置では、ガラスアンテナのアンテナ素子と給電線との接点部材(当接部材、当接部)として導電ゴムを使用している。導電ゴムは、フィラーと呼称される粉末状の導電材料をゴムと混合したもので、フィラーの粒子同士が接触し、導通することで導電性を得ている。
一般的なフィラー材には、カーボンブラックが用いられることが多い。カーボンブラックは、汎用に用いられている為、材料コストが安価であるが、カーボンブラックをフィラー材とした導電ゴムは、抵抗率が5Ω・cm程度であり、通常の金属導体(例えば、銅の抵抗率ρ=1.72×10-6Ω・cm)と比較して非常に大きい。
【0006】
抵抗率ρ=5Ω・cmの導体を接点部材として、接点部材の寸法を、断面積S=8mm×6mm、長さL=3mmとすると、その抵抗値RC は、
C =ρ・L/S=5×(0.3/(0.8×0.6))
=3.1(Ω)
であり、図9の特性図の例では、その通過損失の増加分は、約0.2dBとなる。
【0007】
このような導電ゴム部材での損失増加を防止する為には、導電ゴム部材の抵抗率をより低くすれば良い。例えば、フィラー材として銀の粉末を混合した導電ゴムが入手可能であるが、銀フィラー混合導電ゴムの抵抗率ρは、ρ=8×10-3Ω・cm程度である。上述したカーボンブラック混合導電ゴムの接点部材と同一寸法とした場合、その抵抗値RAgは、
Ag=ρ・L/S=8×10-3(0.3/(0.8×0.6))
=0.005(Ω)
であり、図9の特性図の例では、その通過損失の増加分は、略0dBである。
【0008】
このように、抵抗率が小さい導電ゴム材を用いることで、ガラスアンテナ及びアンテナ給電線間の抵抗を無視できる程度に小さくし、通過損失の増加分を略0dBとすることが、理論的には可能である。
しかし、抵抗率が小さい導電ゴム材を単に用いる方法では、あまり一般的でない銀フィラー等、抵抗率が低いフィラー材を用いた導電ゴムは高価であるという問題がある。また、上記抵抗値の計算式は、直流信号に対する計算式であり、アンテナの用途であるラジオ、テレビジョン等の高周波信号に伴う表皮効果を考慮していないという問題がある。
【0009】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、第1,2発明では、接点部材の表皮効果を考慮した上で、抵抗即ち抵抗損失を小さくし、部品コストを安価に止めることができる接点装置を提供することを目的とする。
第3,4発明では、接点部材の表皮効果を考慮した上で、抵抗即ち抵抗損失を小さくし、部品コストを安価に止めることができる接点装置を使用したガラスアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
交流電流は、導体断面を均一に分布して流れるのではなく、表皮効果によりその表面付近に集中して流れる。
例えば、図7(b)に示すように、断面が方形の導体を電流が流れる場合、その断面の電流密度は、図7(a)に示すように、表面付近が最大となり、導体内部へ向かうに連れて、指数関数的に減少する。
【0011】
表面の最大電流密度に対し、電流密度が1/eに減少する深さδを「表皮深さ」と称し、次式で表される。
δ=1/(πfμσ)1/2 [m]
ここで、f;交流電流の周波数[Hz]
μ;材料の透磁率(磁性体でなければ、
μ=μ0 =4π×10-7[H/m])
σ;材料の導電率[1/Ω・m]
【0012】
例えば、銀フィラーを混合した導電ゴムに、f=100MHz(FMラジオ周波数付近)の交流電流を流すと、その表皮深さδAgは、σAg=1/ρAg=100/8×10-3=12500[1/Ω・m]を用いて、
δAg=1/(πfμσ)1/2
=1/(π×100×106 ×4π×10-7×12500)1/2
=1/2π(125000)1/2
=4.5×10-4[m]
=0.45[mm]
となる。
【0013】
同様に、カーボンブラックを混合した導電ゴムに、f=100MHzの交流電流を流すと、その表皮深さδCBは、σCB=1/ρCB=100/5=20[1/Ω・m]を用いて、
δCB=1/(πfμσ)1/2
=1/(π×100×106 ×4π×10-7×20)1/2
=1/2π(200)1/2
=0.011×10-4[m]
=11[mm]
となる。
【0014】
このように、高周波電流で生じる表皮効果を考えると、周波数が高い程、また、材料の導電率が高い程、表皮深さは「浅い」、即ち、電流が材料の表面近傍に集中して流れる。
従って、表皮深さδよりも充分大きな断面積を有する形状の導電材料を通過する交流信号は、断面積全体に分布して流れるのではなく、表面近傍に集中して流れ、断面積の中央部分には殆ど電流が流れないことになる。
【0015】
これを大まかな近似を行って考え易くする。表皮効果のある導体中では、図8に示すように、電流の流れる方向に直交する断面の、表面から「表皮深さδ」迄の周辺領域のみを均一に電流が流れ、それより内側は、全く流れないとする。
このように簡略化したモデルで考えると、交流電流における抵抗値RACは、電流が流れている周辺部の幅δの部分の断面積Sd とその材料の低効率ρとで求めることができる。電流方向の導体材料の長さをLとすると、抵抗値RACは、
AC=ρL/Sd
である。
【0016】
一方、この導体材料の直流電流に対する抵抗値RDCは、導体材料の電流方向と直交する全断面積SDCを用いて、
DC=ρL/SDC
である。
交流時及び直流時の抵抗比を考えると、
AC/RDC=(ρL/Sd )/(ρL/SDC)=SDC/Sd
となり、電流が流れる部分の面積比に逆比例することが判る。
【0017】
具体例として、上述した導体材料の寸法、断面積S=8mm×6mm、長さL=3mmで、銀フィラーを混合した導電ゴムを用いた場合、100MHzの交流信号時及び直流信号時の抵抗比を計算すると、その表皮深さδAgは、上述した計算により、δAg=0.45[mm]であり、
全断面積SDCは、SDC=8×6=48[mm2
交流信号時に電流が流れている周辺部の幅δAgの部分の断面積SACは、
AC=SDC−(8−0.45×2)×(6−0.45×2)
=12.5[mm2
である。
故に、RAC/RDC=SDC/SAC=48/12.5=3.8
となる。
【0018】
即ち、このモデルの例では、銀フィラー混合導電ゴムは、上述した計算による直流信号
時の抵抗値RAg=0.005Ωに対し、100MHzの信号が流れる場合には、その3.8倍(約0.019Ω)の抵抗として作用していることになる。このとき、図9から、導電ゴム部分の抵抗により生じる通過損失は、充分小さく、この寸法の銀フィラー混合導電ゴムを100MHzの信号に対して用いることは、問題がないことが判る。
【0019】
従って、導電ゴム材として抵抗値は小さいが高価である銀フィラー混合導電ゴムは、ガラスアンテナへの給電線接続部の押当て構造部材として好適であるが、交流信号を流す用途から考えると、材料断面の中央部分には信号は流れないので、この部分に高価な材料を用いることは無駄である。
そこで、接点装置の押当て構造部材として、図6に示すように、交流信号が流れる外周部に低抵抗の導電ゴム(例えば、銀フィラー混合導電ゴム)を使用し、内部に通常の導電ゴム(カーボンブラック混合ゴム)を使用することにより、抵抗損失が小さく、部品コストを安価に止めることができる接点装置を実現する。
【0020】
第1発明に係る接点装置は、固定された第1機器に電気的に接続され、固定された第2機器に形成された接点に一端面が接触して、前記第1機器及び第2機器間を電気的に接続する導電ゴム製棒形状の接続部材と、前記第1機器に固定される固定部材と、前記接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを備える接点装置において、前記接続部材は、外周部分が、中心部より導電率が高いことを特徴とする。
【0021】
この接点装置では、導電ゴム製棒形状の接続部材が、固定された第1機器に電気的に接続され、固定された第2機器に形成された接点に一端面が接触して、第1機器及び第2機器間を電気的に接続する。固定部材が第1機器に固定され、付勢部材が接続部材を固定部材から第2機器の接点へ付勢する。接続部材は、外周部分が、中心部より導電率が高くなっている。
【0022】
第2発明に係る接点装置は、固定された第1機器に電気的に接続され、固定された第2機器に形成された接点に一部分が接触して、前記第1機器及び第2機器間を電気的に接続する導電ゴム製の接続部材と、前記第1機器に固定される固定部材と、前記接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを備える接点装置において、前記接続部材は、筒形状であり、一端部が前記接点に接触するように構成してあることを特徴とする。
【0023】
この接点装置では、導電ゴム製の接続部材が、固定された第1機器に電気的に接続され、固定された第2機器に形成された接点に一部分が接触して、第1機器及び第2機器間を電気的に接続する。固定部材が第1機器に固定され、付勢部材が接続部材を固定部材から第2機器の接点へ付勢する。接続部材は、筒形状であり、一端部が第2機器に形成された接点に接触している。
【0024】
第3発明に係るガラスアンテナ装置は、車両の窓ガラスに形成されるアンテナ素子と、該アンテナ素子により受信した信号を処理する為の信号処理回路とを備え、該信号処理回路に電気的に接続され、前記アンテナ素子に形成された接点に一端面が接触して、前記信号処理回路及びアンテナ素子を電気的に接続する導電ゴム製棒形状の接続部材と、前記信号処理回路に固定される固定部材と、前記接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを有する接点装置を備えるガラスアンテナ装置において、前記接続部材は、外周部分が、中心部より導電率が高いことを特徴とする。
【0025】
このガラスアンテナ装置では、アンテナ素子が、車両の窓ガラスに形成され、信号処理回路が、アンテナ素子により受信した信号を処理する。接点装置は、導電ゴム製棒形状の接続部材が、信号処理回路に電気的に接続され、アンテナ素子に形成された接点に一端面
が接触して、信号処理回路及びアンテナ素子を電気的に接続し、固定部材が信号処理回路に固定され、付勢部材が接続部材を固定部材からアンテナ素子の接点へ付勢する。接続部材は、外周部分が、中心部より導電率が高くなっている。
【0026】
第4発明に係るガラスアンテナ装置は、車両の窓ガラスに形成されるアンテナ素子と、該アンテナ素子により受信した信号を処理する為の信号処理回路とを備え、該信号処理回路に電気的に接続され、前記アンテナ素子に形成された接点に一部分が接触して、前記信号処理回路及びアンテナ素子を電気的に接続する導電ゴム製の接続部材と、前記信号処理回路に固定される固定部材と、前記接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを有する接点装置を備えるガラスアンテナ装置において、前記接続部材は、筒形状であり、一端部が前記接点に接触するように構成してあることを特徴とする。
【0027】
このガラスアンテナ装置では、アンテナ素子が、車両の窓ガラスに形成され、信号処理回路が、アンテナ素子により受信した信号を処理する。接点装置は、導電ゴム製の接続部材が、信号処理回路に電気的に接続され、アンテナ素子に形成された接点に一部分が接触して、信号処理回路及びアンテナ素子を電気的に接続し、固定部材が信号処理回路に固定され、付勢部材が接続部材を固定部材からアンテナ素子の接点へ付勢する。接続部材は、筒形状であり、一端部がアンテナ素子の接点に接触している。
【発明の効果】
【0028】
第1,2発明に係る接点装置によれば、接点部材の表皮効果を考慮した上で、抵抗即ち抵抗損失を小さくし、部品コストを安価に止めることができる接点装置を実現することができる。
【0029】
第3,4発明に係るガラスアンテナ装置によれば、接点部材の表皮効果を考慮した上で、抵抗即ち抵抗損失を小さくし、部品コストを安価に止めることができる接点装置を使用したガラスアンテナ装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明に係るガラスアンテナ装置及び接点装置の実施の形態の要部構成を示す説明図である。
このガラスアンテナ装置は、略同形状で対向配置されてダイバシティを構成する2つのアンテナ1,7を備えている。各アンテナ1,7は、例えば、車両のリアウィンドウガラス6の合わせガラスに、L字型の4本のアンテナ素子3が挟持され、各アンテナ素子3の一方の端部には、リアウィンドウガラス6と車両のルーフパネル8とが重なった領域Aで、車室側に各接点4が露出形成されている。各接点4は、車幅方向に略等間隔に形成されている。
【0031】
ルーフパネル8には、アンテナ素子3で受信した信号を処理する為のアンプ等の処理回路を支持するベース基板5がボルト等で固定されている。ベース基板5及び各接点4間には、接点装置2が挿設されている。尚、領域Aは、図示しないカバー又は着色ガラス等により、ベース基板5及び接点4等が見えないようにされている。
【0032】
図2は、図1に示す接点装置2の要部構成例を示す断面図である。
接点装置2は、ベース基板5(図1)に固定され、断面が方形の有底筒形状の固定部材11と、固定部材11の一方の底部に開口された孔から突出して、接点4(図1)に当接し、断面が方形の導電ゴム製棒形状の接続部材9と、固定部材11内で内底から接続部材9を接点4方向へ付勢する金属導体からなるスプリング(付勢部材)10とを備えている

【0033】
接続部材9は、断面の寸法が固定部材11の内のりより僅かに小さい基部14をスプリング10側に有しており、接続部材9が固定部材11の孔の縁に接触し、基部14が固定部材11の内壁に接触することにより、接続部材9が接点4に当接する角度が保持される。
固定部材11は、他方の底部に突設されたピンが、ベース基板5(図1)を貫通してベース基板5の導体パターン5aに半田付けされて固定され、スプリング10は、固定部材11内でこのピンに導通している。これにより、接点4、接続部材9、スプリング10、固定部材11のピン、導体パターン5aの経路の導通状態が保持される。
【0034】
図3は、接続部材9の構成例を示す斜視図である。
接続部材9は、上述したように、断面が方形の導電ゴム製棒形状であるが、基部14を含めてその外周部13に、銀フィラー混合導電ゴムを使用し、内部12にカーボンブラック混合ゴムを使用している。
これにより、接続部材9は、交流信号が流れる外周部13の導電率が、交流信号が流れない内部12の導電率より高くなり、接続部材9全体として、従来のカーボンブラック混合ゴム製の接続部材より、抵抗損失を小さくすることができる。
【0035】
このガラスアンテナ装置は、アンテナ1,7の各アンテナ素子3が、ラジオ及びテレビジョン等の電波を受信し、受信した高周波信号は、アンテナ素子3の接点4、接続部材9、スプリング10、固定部材11のピン、導体パターン5aの経路で、ベース基板5のアンプ等の処理回路へ伝送される。高周波信号が接続部材9を流れる際は、その殆どが外周部13の銀フィラー混合導電ゴムを流れる。処理回路で処理された高周波信号は、車両内の図示しないチューナへ伝送される。
【0036】
尚、接続部材9に代えて、図4に示すような接続部材9aを使用しても同様の効果を得ることが可能である。接続部材9aは、接続部材9同様、断面が方形の導電ゴム製棒形状であり、基部14を含めてその外周部13aに、銀フィラー混合導電ゴムを使用しているが、内部12aを空洞に形成している。
これにより、接続部材9aは、交流信号が流れる外周部13aの導電率が、外周部をカーボンブラック混合ゴム製とする場合より高くなり、接続部材9a全体として、従来のカーボンブラック混合ゴム製の接続部材より、抵抗損失を小さくすることができる。
【0037】
また、接続部材9に代えて、図5に示すような接続部材9bを使用しても同様の効果を得ることが可能である。接続部材9bは、断面が方形の銀フィラー混合導電ゴム製棒形状であり、高周波信号が流れる表皮深さ程度の太さである。基部14においても、外周部は銀フィラー混合導電ゴムを使用し、内部にはカーボンブラック混合ゴムを使用する。
固定部材11の一方の底部の孔は、接続部材9bの断面より僅かに大きく、接続部材9bが固定部材11の孔の縁に接触し、基部14が固定部材11の内壁に接触することにより、接続部材9bが接点4に当接する角度が保持される。
尚、固定部材11及び接続部材9,9a,9bの断面は、方形に限定されることはなく、円形、楕円形、多角形等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るガラスアンテナ装置及び接点装置の実施の形態の要部構成を示す説明図である。
【図2】図1に示す接点装置の要部構成例を示す断面図である。
【図3】接続部材の構成例を示す斜視図である。
【図4】接続部材の他の構成例を示す斜視図である。
【図5】接続部材の他の構成例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る接点装置の接続部材を説明する為の説明図である。
【図7】従来の接点装置の接続部材を説明する為の説明図である。
【図8】本発明に係る接点装置の接続部材を説明する為の説明図である。
【図9】アンテナ給電線の途中に抵抗を挿入した場合の通過損失を、シミュレーションにより計算した結果の例を示す特性図である。
【符号の説明】
【0039】
1,7 アンテナ
2 接点装置
3 アンテナ素子
4 接点
5 ベース基板
5a 導体パターン
6 リアウィンドウガラス
8 ルーフパネル
9,9a,9b 接続部材
10 スプリング(付勢部材)
11 固定部材
12,12a 内部
13,13a 外周部
14 基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された第1機器に電気的に接続され、固定された第2機器に形成された接点に一端面が接触して、前記第1機器及び第2機器間を電気的に接続する導電ゴム製棒形状の接続部材と、前記第1機器に固定される固定部材と、前記接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを備える接点装置において、
前記接続部材は、外周部分が、中心部より導電率が高いことを特徴とする接点装置。
【請求項2】
固定された第1機器に電気的に接続され、固定された第2機器に形成された接点に一部分が接触して、前記第1機器及び第2機器間を電気的に接続する導電ゴム製の接続部材と、前記第1機器に固定される固定部材と、前記接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを備える接点装置において、
前記接続部材は、筒形状であり、一端部が前記接点に接触するように構成してあることを特徴とする接点装置。
【請求項3】
車両の窓ガラスに形成されるアンテナ素子と、該アンテナ素子により受信した信号を処理する為の信号処理回路とを備え、該信号処理回路に電気的に接続され、前記アンテナ素子に形成された接点に一端面が接触して、前記信号処理回路及びアンテナ素子を電気的に接続する導電ゴム製棒形状の接続部材と、前記信号処理回路に固定される固定部材と、前記接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを有する接点装置を備えるガラスアンテナ装置において、
前記接続部材は、外周部分が、中心部より導電率が高いことを特徴とするガラスアンテナ装置。
【請求項4】
車両の窓ガラスに形成されるアンテナ素子と、該アンテナ素子により受信した信号を処理する為の信号処理回路とを備え、該信号処理回路に電気的に接続され、前記アンテナ素子に形成された接点に一部分が接触して、前記信号処理回路及びアンテナ素子を電気的に接続する導電ゴム製の接続部材と、前記信号処理回路に固定される固定部材と、前記接続部材を該固定部材から前記接点へ付勢する付勢部材とを有する接点装置を備えるガラスアンテナ装置において、
前記接続部材は、筒形状であり、一端部が前記接点に接触するように構成してあることを特徴とするガラスアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−287974(P2008−287974A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130678(P2007−130678)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】