説明

接着剤、該接着剤を含む複合材料および複合材料の製造方法

【課題】接着剤塗布後の複合材料用原料が堆積している間には反応が進まず、一方、熱圧成型時の硬化においては速い感温性を有する接着剤を提供し、さらに生産性、二次加工性、吸水膨張率、曲げ弾性率、剥離強度に優れた該接着剤を有する複合材料(特に、ボード)およびその製造方法を提供する。
【解決手段】窒素原子を含有しない重量平均分子量150〜4000のポリオール(a)100重量部と、該ポリオール(a)100重量部に対して窒素原子を含有する化合物(b)0.5〜65重量部とを含む第1剤と、有機イソシアネート系化合物を含む第2剤とよりなり、かつ、第2剤中の有機イソシアネート系化合物100重量部に対して、第1剤中の前記(a)と(b)との合計が2〜35重量部を満たす量で第1剤と第2剤とを用いて得られる、少なくとも一種の混合物をJIS K6807に準じて測定した硬化時間が、ある特定の要件を満たすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素原子を含有しないポリオールと窒素原子を含有する化合物と、さらに有機イソシアネート系化合物とを含有し、硬化時間の調整が容易に行える接着剤、該接着剤を含む複合材料、および複合材料の製造方法に関する。特に、複合材料の熱圧成型時に好適な接着剤、該接着剤を含む複合材料、および複合材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーティクルボード、ウェイファーボード、OSB(オリエンテッド・ストランド・ボード)、インシュレーションボード、ハードボード、中質繊維板や籾殻を成型してなる籾殻ボードやコーリャン茎を成型してなるコーリャンボード等のリグノセルロース類や穀物等を利用したボードや、無機材料を原料として製造される無機ボード(以下、これらを総称してボードともいう)の熱圧成型用の接着剤またはバインダーとして、熱硬化性である尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン樹脂、メラミン尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミンフェノール樹脂(以下、これらの樹脂をホルマリン系接着剤ともいう)等が広く利用されている。これらのホルマリン系接着剤は安価で接着力に優れ、比較的短時間で硬化するという性質を有する。しかし、これらホルマリン系接着剤の成型後の製品から放出されるホルマリンが環境上問題視されている。従来の対策としては、ホルマリン系接着剤を配合する際、ホルマリンキャッチャー剤を添加するなどして、放出されるホルマリン量を低減させている。しかし、これらの対策は、製造工程の負担を大きくするだけでなく、実効性の点において必ずしも万全ではない。
【0003】
一方、別の対策として、非ホルマリン系接着剤を使用することが検討されている。例えば、イソシアネート系接着剤が、ボードの熱圧成形用接着剤として提案されている(特許文献1)。しかし、イソシアネート系接着剤を用いて熱圧成型すると、その優れた過度の接着性ゆえに、イソシアネート系接着剤が熱盤表面に付着してしまう。そのため、付着物の除去に多大な労力を費やすのみならず、接着後の成形物は損傷し、商品としての価値を失う。このような問題に対して、イソシアネート系接着剤の配合成分として、金属製の熱盤からの離型性を向上させるために、例えば、ある範囲の融点を有するワックスや乳化剤のある分子量範囲からなる接着剤組成物(特許文献2)、フッ素系燐酸エステルやシリコン系化合物(特許文献3)、ポリオルガノシロキサン含有のシリコンエマルション(特許文献4)などの離型剤組成物が提案されている。
【0004】
しかし、これらの対策から充分な効果を得るためには、ワックスや離型剤を多量に添加する必要があり、その結果、成型品の耐水性の低下や物性低下を招くことになる。さらには、ワックスや離型剤の多量の添加や塗布により、出来上がった製品表面に撥水性成分が残存するため出来上がったボード表面の濡れ性が低下し、二次加工用途が困難となる。
【0005】
また、ボードの物理的強度を上げるための向上剤、およびその反応性化合物や触媒として、イソシアヌレート化触媒(特許文献5)、ポリオキシアルキレンポリアミンおよびケトン化合物とを主成分とする硬化性組成物(特許文献6)、ウレタン化反応触媒(特許文献7)、ウレタンプレポリマー(特許文献8、9)などが提案されている。
【0006】
向上剤により確かにボード成型物の物理的強度は向上するものの、反応性の調整が難しい。また、ポリオキシアルキレンポリアミンおよびケトン化合物とを主成分とする硬化性組成物や、ウレタン化反応触媒は、接着剤塗布後のファイバーやチップがフォーマーに堆積している間にも反応が進んでしまい、ボード成型後の物理的強度が得られ難い。さらに、プレポリマー化したイソシアネートについても、反応性の調整が困難である。
【0007】
以上のいずれの対策においても、種々の問題があり、ボードの製造現場では熱圧成型時間の調整が実質的に困難である。したがって、現在のところ満足できる技術は殆ど確立されていないのが実状である。
【特許文献1】特開昭58−036430号公報
【特許文献2】特開2002−194321号公報
【特許文献3】特開2002−086456号公報
【特許文献4】特開2002−248630号公報
【特許文献5】特開2003−276011号公報
【特許文献6】特開2001−151844号公報
【特許文献7】特開平05−025133号公報
【特許文献8】特開平06−172706号公報
【特許文献9】特開平09−235540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、環境負荷の少ない非ホルマリン系の接着剤であって、接着剤塗布後の複合材料用原料が堆積している間には反応が進まず、一方、熱圧成型時の硬化においては速い感温性を有する接着剤を提供し、さらに生産性、二次加工性、吸水膨張率、曲げ弾性率、剥離強度に優れた該接着剤を有する複合材料(特に、ボード)およびその製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究した結果、特有のポリオールと窒素原子を含有する化合物からなる第1剤と、有機イソシアネート系化合物からなる第2剤とを含む接着剤が、温度60℃での硬化時間が遅く、温度110℃での硬化時間が速いという、感温性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の事項により特定される。
本発明の接着剤は、窒素原子を含有しない重量平均分子量150〜4000のポリオール(a)100重量部と、該ポリオール(a)100重量部に対して窒素原子を含有する化合物(b)0.5〜65重量部とを含む第1剤と、有機イソシアネート系化合物を含む第2剤とよりなり、かつ、第2剤中の有機イソシアネート系化合物100重量部に対して、第1剤中の前記(a)と(b)との合計が2〜35重量部を満たす量で第1剤と第2剤とを用いて得られる、少なくとも一種の混合物が、JIS K6807のゲル化時間試験方法(A法)に準じて測定した60℃での硬化時間を、JIS K6807のゲル化時間試験方法(A法)に準じて測定した110℃での硬化時間で割った数値が30以上であり、かつ、60℃での硬化時間が1時間以上であることを特徴とする。
【0011】
また、前記第1剤が、窒素原子を含有しない重量平均分子量150〜4000のポリオール(a)100重量部と、該ポリオール(a)100重量部に対して窒素原子を含有する化合物(b)0.5〜65重量部のみからなっていてもよく、さらに、前記第2剤が、有機イソシアネート系化合物のみからなっていてもよい。
【0012】
前記接着剤は、前記第1剤が、前記(a)が、窒素原子を含有しないポリエーテルポリオールおよび/または窒素原子を含有しないポリエステルポリオールであり、前記(b)が、窒素原子を含有するポリエーテルポリオールおよび/または窒素原子を含有するポリエステルポリオール(b−1)と、アミン化合物(b−2)とからなり、(a)100重量部に対して、(b−1)0〜50重量部、および(b−2)0.5〜15.0重量部を含有することも好ましい。
【0013】
本発明に係る複合材料は、前記接着剤と、無機材料および/またはリグノセルロース材料とを含む混合物を、熱圧成型して得られることを特徴とする。
本願発明に係る複合材料の製造方法は、前記接着剤と、無機材料および/またはリグノセルロース材料とを混合し、熱圧成型することを特徴とする。
【0014】
前記製造方法は、さらに離型剤を用いてもよい。
前記製造方法は、前記熱圧成型の温度が90〜220℃の範囲であることが好ましい。
前記製造方法は、無機材料および/またはリグノセルロース材料が、チップ状、板状、ストランド状、薄くスライスしたフレーク状、細かく粉砕された粉状、または繊維状のいずれか、あるいはこれらの混合形態であることも好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る接着剤は、接着剤塗布後の複合材料用原料が堆積している間には反応が進まず、一方、熱圧成型時には速い硬化性を有するため、接着剤の硬化時間の調整が容易に行なえる。また、このような感温性を有する接着剤を、特に無機材料、リグノセルロース材料に使用することにより、熱圧接着時間の調整が容易に行なえることから、ボードなどの複合材料の生産性が向上し、出来上がった製品の二次加工性、吸水膨張率、曲げ弾性率、剥離強度に優れた、高品質の複合材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る接着剤、該接着剤を用いた複合材料およびその製造方法について具体的に説明する。
本発明の接着剤は、第1剤と第2剤とからなる。また本発明において接着剤とは、接着剤およびバインダーの両方を含む。
【0017】
≪第1剤≫
本発明の第1剤は、下記(a)と下記(b)とを含む。
(a)窒素原子を含有しないポリオール
(b)窒素原子を含有する化合物
<(a)窒素原子を含有しないポリオール>
窒素原子を含有しないポリオール(a)の重量平均分子量は、150〜4000が好ましい。さらに好ましくは、250〜3000である。重量平均分子量が小さい場合には、複合材料を熱圧成型した際の耐水性や複合材料の物理的強度が得られ難く、分子量が大きい場合には、下記の第2剤との混合物が柔らかくなる傾向にあり、複合材料の物理的強度が得られ難い。なお、重量平均分子量は、ポリエーテルおよび/またははポリエステルポリオールの水酸基価(OHV)と、ポリエーテルおよび/またははポリエステルポリオールを製造する際の開始剤の官能基数(f)とを用い、式(1)より求められる。
【0018】
重量平均分子量=56,100×f/OHV …(1)
上記式(1)中の水酸基価(OHV)は、JIS K−1557−1のプラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法に準じて測定した。得られた水酸基価(OHV)の単位は、mgKOH/gで表される。上記式(1)中の官能基数(f)は、ヒドロキシル基を有する多価アルコールの水酸基数であって、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコールの官能基数(f)はf=2、ショ糖はf=8、ソルビトールはf=6、ペンタエリスリトールは、f=4、トリメチロールプロパンおよびグリセリンはf=3を用いる。上記式(1)中の「56,100」は、水酸基価(OHV)の単位と同様のmgKOH/gで表され、KOHの分子量56.1に、g単位をmg単位に換算するために1,000を掛けたものである。以下、重量平均分子量は、上記式(1)にしたがって求めた。
[窒素原子を含有しないポリエーテルポリオールおよび/または窒素原子を含有しないポリエステルポリオール]
上記、窒素原子を含有しないポリオール(a)は、1)窒素原子を含有しないポリエーテルポリオール、2)窒素原子を含有しないポリエステルポリオール、3)窒素原子を含有しないポリエーテルポリオールと窒素原子を含有しないポリエステルポリオールの混合物、のいずれであることが好ましい。
【0019】
上記、窒素原子を含有しないポリエーテルポリオールは、通常のポリオール製造方法により得られる。製造方法については特に限定はなく、ヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)に環式エーテルを付加させることにより製造することができる。ヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)、あるいは、環式エーテルが、一種または二種以上付加したポリエーテルポリオールを用いることもできる。窒素原子を含有しないポリエーテルポリオールであれば、特に限定されるものではない。
【0020】
ヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサントリオール、ショ糖、ブチレングリコール、ジヒドロキシジフェニルプロパン、スクロース、ジプロピレングリコール、ジヒドロキシジフェニルプロパン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、ナフタレンジオール、レゾルシノール、フルオログルシン等が挙げられる。これらの中でも、有機イソシアネート系化合物との反応性や、接着性の観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、ショ糖、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリンが好ましく、エチレングリコール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリンがより好ましい。
【0021】
また、環式エーテルとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、有機イソシアネート系化合物との反応性や接着性の観点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。
【0022】
上記、窒素原子を含有しないポリエステルポリオールも、通常のポリエステルポリオール製造方法により得られる。製造方法については特に限定はなく、ヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)と、カルボキシル基を有する化合物(多塩基酸)とを反応させることにより製造することができる。
【0023】
ヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1、3−または1、4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールFのプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイド付加物、p−キシリレングリコール、1、4−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらの中でも、有機イソシアネート系化合物との反応性の観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールFのプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、エチレングリコール、ビスフェノールAのプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールのアルキレンオキサイド付加物がより好ましい。これらは、単独または2種以上を用いてもよい。
【0024】
また、カルボキシル基を有する化合物(多塩基酸)としては、例えば、アジピン酸、ヒメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、フタール酸、テレフタール酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、シュウ酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヒマシ油等の脂肪酸、またはヒマシ油等の脂肪酸をエステル化反応したものなどが挙げられる。また、プロピオラクトン、ブチロラクトン、カプロラクトン等の環状エステル等も用いることができる。これらは、単独または2種以上を用いてもよい。
【0025】
上記、窒素原子を含有しないポリエステルポリオールは、上記ポリエーテルポリオールと上記環状エステルとから得られてもよい。さらに、上記、窒素原子を含有しないポリエーテルポリオールと併用することもできる。
窒素を含有しないポリオール(a)としては、重量平均分子量が、150〜4000のポリエーテルポリオールを用いることにより、無機材料および/またはリグノセルロース材料へ塗布する際の分散性が良く、さらにはポリエーテルポリオールのみを用いることで、後述する数値(T60/T110)が高い値になり、より堆積許容性、接着性に優れた
接着剤を得ることができる。
【0026】
<(b)窒素原子を含有する化合物>
本発明の接着剤の第1剤中において、窒素原子を含有する化合物(b)は、窒素原子を含有しないポリオール(a)100重量部に対し、0.5〜65重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜40重量部含まれる。
【0027】
化合物(b)が少な過ぎると、熱圧成型時の最芯層の温度110℃での硬化時間が遅くなり、複合材料の成型時間が長くなってしまい生産性に欠ける。また、化合物(b)が多過ぎると、60℃での硬化時間が1時間以内となってしまい堆積許容性に欠けると共に、常温での反応も進んでしまうことから、熱圧成型後に得られた複合材料の物理的強度が得られ難い。
【0028】
さらに、化合物(b)は、下記の化合物(b−1)と下記の化合物(b−2)とからなるとき、接着剤の低温時60℃の硬化時間を長くでき、110℃の硬化時間を短くすることができるため、好ましい。
【0029】
(b−1)窒素原子を含有するポリエーテルポリオール、窒素原子を含有するポリエステルポリオール、または窒素原子を含有するポリエーテルポリオールと窒素原子を含有するポリエステルポリオールの混合物のいずれか1種から選ばれる。
【0030】
(b−2)アミン化合物
化合物(b−1)と化合物(b−2)は、ポリオール(a)100重量部に対し、(b−1)が0〜50重量部、好ましくは0〜40重量部、さらに好ましくは0〜30重量部、およびポリオール(a)100重量部に対し、(b−2)が0.5〜15.0重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは3〜10重量部含まれる。(a)100重量部に対し、(b−1)が50重量部を超える場合、常温での反応が進み易くなり、60℃での硬化時間が1時間以内となってしまいチップの堆積許容性に欠けるとともに、常温での反応も進んでしまうことから、熱圧成型後の複合材料の物理的強度が得られ難い。また、(a)100重量部に対し、(b−2)が0.5重量部未満の場合、110℃での硬化時間が遅くなり、複合材料成型時間が長くなってしまい生産性に欠ける。(b−2)が15.0重量部を超える場合、60℃での反応時間が短くなり、60℃での硬化時間が1時間以内となってしまいチップの堆積許容性に欠けるとともに、常温での反応も進んでしまうことから、熱圧成型後複合材料の物理的強度が得られ難い。
【0031】
[(b−1)窒素原子を含有するポリエーテルポリオールおよび/または窒素原子を含有するポリエステルポリオール]
上記、窒素原子を含有するポリエーテルポリオール、あるいは、窒素原子を含有するポリエステルポリオールの重量平均分子量は、270〜4000が好ましい。さらに好ましくは、300〜3000である。いずれのポリオールにおいても、重量平均分子量が小さい場合には、複合材料を熱圧成型した際の耐水性や複合材料の物理的強度が得られ難く、大きい場合には、下記の第2剤との混合物が柔らかくなる傾向にあり、複合材料の物理的強度が得られ難い。
【0032】
窒素原子を含有するポリエーテルポリオールは、通常のポリエーテルポリオール製造方法により得られ、製造方法については特に限定はない。開始剤として、具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、オルソトリレンジアミン、メタトリレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、ポリメチルポリフェニルポリアミン、アニリン等のアミン類などが挙げられる。これらの中でも、接着剤としての反応性により、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、メタトリレンジアミン、ポリメチルポリフェニルポリアミン、アニリンが好ましく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アニリンがより好ましい。窒素原子を含有するポリエーテルポリオールは、さらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等を付加重合することによって得られる。
【0033】
これらの付加重合して得られたポリエーテルポリオールは、単独または2種以上用いてもよい。
また、窒素原子を含有するポリエステルポリオールも、通常のポリエステルポリオールの製造方法により得られ、製造方法について特に限定はない。前記、エタノールアミン類、またはアミン類を開始剤とし、上記ヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)と、下記カルボキシル基を有する化合物(多塩基酸)とを反応させることにより、製造することができる。なお、得られた窒素原子を含有するポリエステルポリオールは、単独または2種以上用いられてもよい。また、上記、窒素原子を含有するポリエーテルポリオールと併用することもできる。
【0034】
カルボキシル基を有する化合物(多塩基酸)として、接着剤としての反応性の点から、具体的には、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、イソフタール酸、マロン酸、セバシン酸、ヒメリン酸、ヘキサヒドロフタール酸、フマール酸が好ましく、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、イソフタール酸、セバシン酸、ヒメリン酸、フマール酸がより好ましい。
【0035】
[(b−2)アミン化合物]
アミン化合物(b−2)の分子量は、270未満が好ましい。さらに好ましくは、110℃の硬化時間を短くする観点より、250未満である。分子量が、270を超えると、下記の第2剤と混合後の110℃硬化時間が遅くなり、熱圧成型後の複合材料の物理的強度が得られ難くなる。
【0036】
アミン化合物(b−2)としては、例えば、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリ
ルアミン等のアリルアミン類; プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、2−エチルヘキシオキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、ヒドロキシプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン等のプロピルアミン類; モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、2−アミノエチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコール類; エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルヘキシルアミン、ジエチルヘキシルアミン等のエチルアミン類;
【0037】
ジオクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリオクチルアミン、ジイソブチルアミン、ブチルアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルメタノールアミン、N−エチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、ペンタメ
チレンジエチレントリアミン、トリエチルアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、1,1,3,3−テト
ラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、メチルエチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル、アンモニア水等が挙げられる。これら中でも、高温時の反応性の点から、アリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、エチルアミン、ジエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリス=
ジメチルアミノメチルフェノール、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチレンジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、メチルエチルピペラジンが好ましく、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリス=ジメチルアミノメチルフェノール、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチレンジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンがより好ましい。また、これらのアミン化合物(b−2)は、それぞれ単独または二種以上を用いてもよい。
【0038】
第1剤の窒素原子を含有しないポリオール(a)と窒素原子を含有する化合物(b)の窒素原子を含有するポリエーテルポリオールおよび/または窒素原子を含有するポリエステルポリオール(b−1)とアミン化合物(b−2)は、それぞれ別々に使用しても良いし、予め混合されたものを使用しても良いが、作業性を考慮すると、予め混合されたものを使用することが好ましい。
【0039】
また、第1剤としてポリオール(a)と窒素原子を含有する化合物(b)とを予め混合したものを使用する場合、混合液そのままで使用することが好ましいが、予め蒸留水等の水に分散させたものを使用した方が、第1剤の分散性を考慮するとより好ましい。ただし、予め水分散させたものを使用する場合は、均一に分散している状態であれば、そのまま使用してもよいが、水分散液が分離し分散状態が悪い場合は、使用を前に均一に再混合後使用することが望ましい。
【0040】
しかし、分散状態が悪い場合、第1剤としての成分の比が保たれない場合は、再混合後
の使用は好ましくない。
本発明においては、第1剤が窒素原子を含有しない重量平均分子量150〜4000のポリオール(a)および窒素原子を含有する化合物(b)のみからなることが好ましいが、第1剤は必要に応じて溶媒あるいは分散媒、添加剤などのその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、シランカップリング剤、金属触媒、撥水剤、消泡剤、硬化促進剤、離型剤、離型助剤、タック剤、ホルムアルデヒドキャッチャー剤、架橋剤、安定剤などが挙げられる。その他の成分は、特に限定されるものではないが、その使用量として(a)と(b)との合計100重量部に対して、5重量部以下といった量比で用いられる。
【0041】
≪第2剤≫
本発明に係る第2剤は、有機イソシアネート系化合物を含む。有機イソシアネート系化合物は、ポリウレタンなどの製造に通常使用されるイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されない。たとえば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネートの誘導体や変性体などが挙げられる。
【0042】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート;
リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソジアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、3,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5―イソシアネートメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0043】
脂環族ポリイソシアネートとしては、たとえば、
1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(以下、イソホロンジイソシアネートともいう)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(以下、水添キシリレンジイソシアネートともいう)もしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;
1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)―ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)―ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)−ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0044】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、
1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン(以下、テトラメチルキシリレンジイソシアネートともいう)もしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート;
1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0045】
芳香族ポリイソシアネートとしては、たとえば、
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIともいう)もしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(以下、TDIともいう)もしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;
トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエンなどの芳香族トリイソシアネート;
4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの芳香族テトライソシアネートなどが挙げられる。
【0046】
また、これらのポリイソシアネートの誘導体としては、たとえば、
上記ポリイソシアネートのダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(以下、クルードMDIもしくはポリメリックMDIともいう)、およびクルードTDIなどが挙げられる。
【0047】
上記ポリイソシアネートの変性体としては、たとえば、
上記ポリイソシアネートやポリイソシアネートの誘導体と、後述する低分子量ポリオールまたは低分子量ポリアミンとを、イソシアネート基が残存するように、すなわち、ポリイソシアネートまたはその誘導体のイソシアネート基が、低分子量ポリオールの水酸基または低分子量ポリアミンのアミノ基よりも過剰となる割合で反応させることによって得られるイソシアネートのポリオール変性体やポリアミン変性体などが挙げられる。
【0048】
これらの有機ポリイソシアネート化合物は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記例示した有機ポリイソシアネート系化合物のうち、芳香族ジイソシアネート、またはポリメリックMDIが好ましく、より好ましくは、取り扱い時の作業環境や取り扱い易さより、ポリメリックMDIが良い。
【0049】
本発明においては、第2剤が有機ポリイソシアネート系化合物のみからなることが好ましいが、第2剤は必要に応じて溶媒あるいは分散媒、添加剤などのその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、シランカップリング剤、金属触媒、撥水剤、消泡剤、硬化促進剤、離型剤、離型助剤、タック剤、ホルムアルデヒドキャッチャー剤、架橋剤、安定剤などが挙げられる。その他の成分は、特に限定されるものではないが、その使用量として有機ポリイソシアネート系化合物100重量部に対して、5重量部以下といった量比で用いられる。
≪接着剤≫
本発明において、接着剤とは、接着剤およびバインダーの両方を含む。
【0050】
本発明の接着剤は、上記第1剤と第2剤とからなり、第2剤と第1剤との有効成分の重量比、すなわち第2剤中の有機イソシアネート系化合物と、第1剤中の窒素原子を含有しない重量平均分子量150〜4000のポリオール(a)と窒素原子を含有する化合物(b)との合計重量の重量比が、100:2〜35の範囲、好ましくは、接着性および反応性の観点から、100:5〜25(第2剤:第1剤)を満たす量で用いられるのが望ましい。第2剤の有効成分の重量100重量部に対し、第1剤の使用量が2重量部未満では、硬化時間が従来とあまり変わらず、生産性の向上効果も無く、コスト的にも作業性の面においても無駄な場合がある。第1剤の使用量が35重量部を超えると、接着剤の硬化反応が常で進むため、出来上がった複合材料の物理的強度が得られ難い。
【0051】
また、接着剤中、第2剤の固形分の使用量は、無機材料および/またはリグノセルロース材料などの複合材料用原料の全乾重量100に対して、2〜30%の範囲であり、好ましくは3〜20%の範囲である。この範囲にあるとき、生産性、二次加工性、耐水性、曲げ強度や剥離強度に優れた複合材料を得る事ができる。
【0052】
<接着剤の硬化時間>
本発明に係る接着剤は、第1剤と第2剤とを用いて得られる、少なくとも一種の混合物が、JIS K6807のゲル化時間試験方法(A法)に準じて測定した60℃での硬化時間〔秒〕(T60とする)を、同様に測定した110℃での硬化時間〔秒〕(T110とする)で割った数値(T60/T110)が30以上、好ましくは31以上、さらに好ましくは33以上であり、かつ、60℃での硬化時間が1時間以上、好ましくは1.2時間以上、さらに好ましくは1.5時間以上であることを特徴とする。すなわち本発明の接着剤は、第2剤中の有機イソシアネート系化合物100重量部に対しての第1材中の(a)と(b)との合計量が2〜20重量部の範囲内となる少なくとも一部の量比において、第1剤と第2剤との混合物を調整した場合に、T60とT110とが前記範囲を満たせばよい。本発明の接着剤は、T60とT110とが前記範囲を満たす量比で、第1剤と第2剤とを使用するのが望ましい。
【0053】
特に、上記第1剤と第2剤が所望の組成を有するとき、60℃での硬化時間〔秒〕(T60)が、長くなるため、堆積許容性に優れ、さらに作業性に優れる。数値(T60/T110)および硬化時間が上記のような値のとき、堆積許容性、接着性、高温時での硬化時間が短いため、生産性に優れた接着剤を得ることができる。そのため、無機材料および/またはリグノセルロース材料用の接着剤に有用であり、特に堆積許容性に優れ、高温時の硬化時間が短い事から、歩留まりが高く、生産性の優れた複合材料を熱圧成型する際に好適に用いることができる。
【0054】
なお、測定は、第1剤と第2剤とが混合撹拌された混合物の硬化時間を、A法に準じて行い、測定の際に必要な測定器具および測定方法については以下に詳述する。
[測定器具]
測定に必要な測定器具として、溶液温度を60℃±1℃、110℃±1℃に保持できる恒温浴槽(オイルバス)を使用し、60℃で測定するときは、直径4mm、長さ約30cmのガラス製かき混ぜ棒を、110℃で測定するときは、直径3mm、長さ約30cmのガラス製かき混ぜ棒を使用した。また試験管は、JIS R3503に規定されている18×165mmを用いた。恒温浴槽の温度は、JIS B7411に規定される100℃および200℃の温度計を用いて、測定した。試料は、ザルトリウス株式会社製 品番 CP4202−S の天秤を用い計量し、感量は100mg以下のものを用いた。
【0055】
[硬化時間の測定方法]
適切な容器に、第2剤100gおよび第1剤を規定量秤量し、よく混合した後、その2gを試験管に採取し、かき混ぜ棒を入れ、60℃±1℃に保温した恒温浴槽に、試料面が浴液面下約2cmになるように浸した時を開始時間とした。この試料を時々かき混ぜ、かき混ぜ棒が動かなくなり完全に硬化するまでの時間を測定した。なお、この試験は2回以上行い、その平均時間を秒単位で表し、試料の硬化時間とした。
【0056】
また、110℃ゲル化時間も同様、適切な容器に、第2剤100gおよび第1剤を規定量秤量し、よく混合した後、その2gを試験管に採取し、かき混ぜ棒を入れ、110℃±1℃に保温した恒温浴槽に、試料面が浴液面下約2cmになるように浸した時を開始時間とした。この試料を連続してかき混ぜ、かき混ぜ棒が動かなくなり完全に硬化するまでの時間を測定した。なお、この試験は2回以上行い、その平均時間を秒単位で表し、試料の硬化時間とした。
【0057】
上記硬化時間測定方法にて、第2剤100重量部に対し、第1剤2〜35重量部混合撹拌した混合物を、JIS K6807に準じて、60℃および110℃における硬化時間を測定した。
【0058】
<接着剤の使用方法>
本発明の接着剤の使用方法は、特に限定されるものではないが、
接着剤は、第2剤と第1剤とを予め均一混合したものを使用しても良いし、それぞれ別々に使用しても良い。
【0059】
また、接着剤は、複合材料用原料である無機材料および/またはリグノセルロース材料へそれぞれ別々に塗布または分散させても良いし、塗布または分散させる前に混合し使用しても良いが、生産性や作業性等を考慮すると、第1剤と第2剤は別々に塗布または分散させる方法が望ましい。塗布あるいは分散する方法は、種々の方法が用いられるが、特に限定はなく、スプレー等を用い複合材料用原料の無機材料および/またはリグノセルロース材料に均一に塗布または分散できれば良い。
【0060】
接着剤と複合材料用原料の無機材料および/またはリグノセルロース材料との使用比率は、接着剤中の有効成分である第2剤と複合材料用原料のリグノセルロース材料または無機材料とが、全乾燥重量比で2:100〜30:100(第2剤:複合材料用原料のリグノセルロース材料または無機材料)の範囲であり、好ましくは3:100〜20:100の範囲である。第2剤が、複合材料用原料の無機材料および/またはリグノセルロース材料100重量部に対して、2重量部未満では接着剤としての効果が得られにくい傾向にあり、30重量部で充分な複合材料物性が得られるため、30重量部を超える量の接着剤を使用してもコスト的、工業的にも無駄である。
【0061】
なお、本発明の接着剤には、ホルマリン系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、合成ゴム系接着剤や酢酸ビニル系接着剤を併用してもよい。これらの接着剤は、単独あるいは二種以上混合し使用することができる。
【0062】
ホルマリン系接着剤としては、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、メラミン−尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノールメラミン樹脂、メラミンフェノール樹脂等が挙げられる。
【0063】
エポキシ系接着剤としては、例えば、グリシジル基を有する原料を主成分としたエピクロルヒドリン・ビスフェノールA型樹脂、エピクロルヒドリン・ビスフェノールF型樹脂、メチルエピクロルヒドリンをベースとするエポキシ樹脂、鎖状エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂等
の主剤と有機ポリアミンを使用し脂肪族単純アミン、内在アミンアダクト、分離アダクト、ポリアミド樹脂併用、芳香族アミン、アミン予備縮合物、アミン塩等との硬化、有機酸無水物等との硬化、アミノ・フェノール樹脂併用硬化、脂肪酸とのエステル化による硬化、アルキッド樹脂変性による硬化、アミノ基やメルカプタン等の硬化剤、潜在性硬化剤としてヒドラジン等の常温固体で熱により硬化剤が液化し硬化する一液タイプの接着剤等が挙げられる。
【0064】
アクリル系接着剤としては、例えば、
芳香族ビニル系モノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等、
不飽和カルボン酸エステルモノマーとしては、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタアクリレート、tert−ブチルメタアクリレート、酢酸ビニル、アクリルニトリル、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、ラウリルメタアクリレート等の4〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルもしくはメタアクリル酸エステルや、アミド基を有するアクリルモノマーとしてアクリルアミド、メタアクリルアミド、マレイミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−イソプロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−オクチロキシメチルアクリルアミド、N−カルボキシメチルアクリルアミド等、
不飽和カルボン酸として、モノカルボン酸としてアクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等、ジカルボン酸としてイタコン酸、マレイン酸、フマール酸等を原料としたエマルションが挙げられる。
【0065】
合成ゴム系接着剤としては、ブタジエンと、
芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等、
不飽和カルボン酸エステルモノマーとしては、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタアクリレート、tert−ブチルメタアクリレート、酢酸ビニル、アクリルニトリル、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、ラウリルメタアクリレート等の4〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルもしくはメタアクリル酸エステル等、
アミド基を有するアクリルモノマーとしてはアクリルアミド、メタアクリルアミド、マレイミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−イソプロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−オクチロキシメチルアクリルアミド、N−カルボキシメチルアクリルアミド等、
不飽和カルボン酸としては、モノカルボン酸としてアクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等、ジカルボン酸としてはイタコン酸、マレイン酸、フマール酸等を原料としたエマルションが挙げられる。
【0066】
酢酸ビニル系接着剤としては、酢酸ビニルモノマーを主原料と、前記アクリル系接着剤に記載したモノマーを原料とし、保護コロイド重合したものが挙げられる。
また、本発明の接着剤と従来のホルムアルデヒド系接着剤を併用して使用する場合や、建築廃材等の利用して使用する場合もある。これらの場合、複合材料からの放散ホルムアルデヒド量はゼロにはならない。したがって、このような時には、ホルムアルデヒド量を減少させる目的で、表層および/または芯層部にホルムアルデヒドキャッチャー剤を添加することが有効である。ホルムアルデヒドキャッチャー剤としては、ホルムアルデヒドと反応するものであればいずれでもよく、酸のアンモニウム塩、アルカリ金属の亜硫酸塩等
が挙げられる。それらの中でもアミノ基を有する、例えば尿素、グアニル尿素、メラミン、アンモニア等が好ましい。添加する方法としては、複合材料製造時に複合材料中にホルムアルデヒドキャッチャー剤が存在すれば良く、接着剤中に添加しても良いし、乾燥前の材料エレメント、接着剤塗布時の材料エレメントに添加し混合しても良い。
【0067】
さらに、上記ホルムアルデヒドキャッチャー剤を水に溶解し、複合材料の熱圧成型後に、塗布又は散布し使用しても良い。
≪複合材料≫
本発明に係る接着剤は、無機材料および/またはリグノセルロース材料の接着に好適に用いることができる。そのため、無機材料および/またはリグノセルロース材料に、接着剤を種々の方法により塗布あるいは分散して、熱圧成型することにより接着させることで、生産性、接着力、耐水性、寸法安定性、二次加工性の優れた複合材料を得ることができる。このような複合材料としては、後述する無機材料および/またはリグノセルロース材料の1種または2種以上の原料からなり、パーティクルボード、ウェイファーボード、繊維板、OSB、稲藁ボード、藁ボード、籾殻ボード、これらのボード材料に無機材料を混合させたボード、無機ボードが挙げられる。
無機材料および/またはリグノセルロース材料は、チップ状、板状、ストランド状、薄くスライスしたフレーク状、細かく粉砕された粉状、または繊維状のいずれか、あるいはこれらの混合形態であってもよい。無機材料としては、例えば、ロックウール、真珠岩、黒曜岩、ヒル石、シラス等を加熱発泡させた多孔質のパーミライトやバーミキュライト、発泡シラス、ガラスやアルミナ、フライアッシュ、硅砂、貢岩等を原料とし微小中空体としたガラスバルーン、シラスバルーン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。軽量な成型体を得るためには、無機質含泡粒子の嵩密度は、0.3g/cm以下が望ましい。無機質含泡粒子は、結合剤との接着性を向上させるため、シランカップリング剤等を用いた表面処理を行ってもよい。
【0068】
一方、リグノセルロース材料としては、例えば、パーティクルボードや、OSB(オリエンテッド・ストランド・ボード)、ウェイファーボード、LSL(ラミネーテッド・ストランド・ランバー)に使用される木質削片であるストランドチップ、ダストチップ、フレークチップや、ハードボード、MDF、インシュレーションボードに使用されるファイバーおよびコーリャン茎、バガス、籾殻、稲草、麦草等の農産物が例として挙げられる。これらの原料は単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0069】
また、無機材料および/またはリグノセルロース材料を原料として得られるボードは、特に限定はなく、1層構造あるいは、表層/芯層/表層の構造からなる3層構造、あるいは、表層2層以上/芯層2層以上/表層2層以上の構造からなる多層構造が例として挙げられる。さらに、無機材料およびリグノセルロース材料の混合、あるいはリグノセルロース材料/無機材料/リグノセルロース材料、あるいは無機材料/リグノセルロース材料/無機材料のようにランダムに多層構造を有していても良い。
【0070】
≪複合材料の製造方法≫
本発明に係る複合材料の製造方法の一例を次に示す。
複合材料の製造方法は、通常のボードの製造法と同様、湿式及び乾式の方法があり、特に限定されるものではない。
【0071】
乾式方法での単層の複合材料の製造方法を以下に詳述する。
複合材料用原料に、所定量の有機イソシアネート系化合物、硬化促進剤組成物、内部離型剤を付着させる。この付着方法は、ボード製造に用いられる従来の公知の方法、例えばスプレー等による吹き付けなどの手段が適用できる。
【0072】
上記接着剤を付着させた複合材料用原料を、必要に応じて予め外部離型剤を塗布したコール盤上に、フォーミングし、必要に応じてプリプレスして、マットを形成し、熱圧成型することにより、本発明に係る複合材料を得ることができる。なお、熱圧成型する際のプレス上面には、必要に応じ予め外部離型剤を塗布しておく。プリプレスは通常、圧力0.2〜1.5MPaで10〜30秒行なうことが望ましく、熱圧成型の際の圧力は、通常、0.5〜7.0MPa、温度90〜220℃の条件で、5〜30秒/mm行なうことが望ましい。
【0073】
乾式方法での三層の複合材料の製造方法を以下に詳述する。
表層用複合材料用原料に、所定量の有機イソシアネート系化合物、硬化促進剤組成物、内部離型剤を付着させる。一方、芯層用複合材料用原料に、所定量の有機イソシアネート系化合物、硬化促進剤組成物を付着させる。この付着方法は、ボード製造に用いられる従来の公知の方法、例えばスプレー等による吹き付けなどの手段が適用できる。
【0074】
上記接着剤を付着させた表層用複合材料用原料を、必要に応じて予め外部離型剤を塗布したコール盤上に、フォーミングし、さらに、上記接着剤を付着させた芯層用複合材料用原料および接着剤を付着させた表層用複合材料用原料をこの順で積層し、必要に応じてプリプレスして、表層/芯層/表層からなるマットを形成し、熱圧成型することにより、本発明に係る複合材料を得ることができる。なお、熱圧成型する際のプレス上面には、必要に応じ予め外部離型剤を塗布しておく。プリプレスは通常、圧力0.2〜1.5MPaで10〜30秒行うことが望ましく、熱圧成型の際の圧力は、通常、0.5〜7.0MPa、温度90〜220℃の条件で、5〜30秒/mm行うことが望ましい。
【0075】
本発明に係る接着剤は、接着剤塗布後の複合材料用原料が堆積している間には反応が進まず、一方、熱圧成型時には速い硬化性を有するため、接着剤の硬化時間の調整が容易に行える。そのため、熱圧成型時間の調整が容易に行えることから、特に無機材料、リグノセルロース材料に使用することにより、ボードなどの複合材料の生産性が向上し、出来上がった製品の二次加工性、吸水膨張率、曲げ弾性率、剥離強度に優れた、高品質の複合材料を提供することができる。熱圧成型する工程において、その温度は、90〜220℃の範囲であり、好ましくは110〜220℃、より好ましくは120〜200℃である。下限値より高いと複合材料の熱圧時の硬化性に優れ、また上限値より低いと熱圧成型性、熱圧成型後の複合材料の表面性に優れる。
【0076】
<離型剤>
本発明に係る複合材料の製造方法では、必要に応じて離型剤を用いてもよい。
離型剤は、特に限定されないが、シリコン系、フッ素系、カルナバワックス系、モンタンワックス系、パラフィン系およびポリエチレン系等が挙げられる。これらの中でも、得られた複合材料の二次加工性の点から、ポリエチレン系、カルナバワックス系が望ましい。これらの離型剤は、バインダーシステムとして複合材料用原料の無機材料および/またはリグノセルロース材料等の内部へ添加し利用する内部離型剤として使用できるが、熱圧成型用の設備によっては、プレス表面、コール盤、複合材料用原料の無機材料および/またはリグノセルロース材料のマット表裏面やスチールベルト等に塗布して外部離型剤としても利用できる。内部離型剤と外部離型剤との組み合わせについては特に限定はなく、それぞれ独立に上記例示した離型剤から選択できる。
【0077】
内部離型剤の添加量は、無機材料および/またはリグノセルロース材料の乾燥重量の全量に対し、0.1〜1.0重量%の添加が好ましい。さらに、0.2〜0.7重量%の添加がより好ましい。内部離型剤の添加量が少なすぎると、充分な離型性が得られず、1.0
重量%を超える場合は、経済的でなく、無機材料および/またはリグノセルロース材料から得られた複合材料の二次加工時の接着性や二次加工品の物理的強度が得られ難い。
【0078】
外部離型剤は、プレス表面、コール盤、複合材料用原料の無機材料および/またはリグノセルロース材料のマット表裏面やスチールベルト等へ散布または、塗布し使用するが、散布および塗布する量は、通常1m当たり5〜150g、より好ましくは、10〜100gである。外部離型剤も内部離型剤と同様、散布および塗布する量が少ないと良好な離型性が得られず、多いと得られた複合材料の二次加工時の接着性や二次加工品の物理的強度が得られ難い。
【0079】
また、複合材料の製造においては、本願発明に係る接着剤の所望の効果を阻害しない範囲により、目的に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、シランカップリング剤、金属触媒、撥水剤、消泡剤、離型助剤、タック剤、ホルムアルデヒドキャッチャー剤、架橋剤、安定剤等を併用してもよい。
【0080】
[実施例]
次に、本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、例中の部および%は、特に指定のない限り重量基準による。
【0081】
≪製造例1〜8:(a)窒素原子を含有しないポリオール≫
下記の製造例1〜8に示すように、窒素原子を含有しないポリエーテルポリオールおよび窒素原子を含有しないポリエステルポリオールを製造し、得られたポリオール(a)の重量平均分子量を測定し、それぞれ示した。
【0082】
<製造例1>
エチレングリコールに、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを2対3のモル比の割合で付加し、重量平均分子量150のポリエーテルポリオールを得た。
【0083】
<製造例2>
グリセリンに、プロピレンオキサイドを付加し、重量平均分子量1500のポリエーテルポリオールを得た。
【0084】
<製造例3>
ペンタエリスリトールに、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを3対2のモル比の割合で付加し、重量平均分子量3000のポリエーテルポリオールを得た。
【0085】
<製造例4>
ソルビトールに、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを2対3のモル比の割合で付加し、重量平均分子量4000のポリエーテルポリオールを得た。
【0086】
<製造例5>
イソフタール酸とエチレングリコールから、重量平均分子量150のポリエステルポリオールを得た。
【0087】
<製造例6>
コハク酸とビスフェノールAに平均3モルのプロピレンオキサイド付加物から、重量平均分子量2900のポリエステルポリオールを得た。
【0088】
<製造例7>
アジピン酸とビスフェノールAに平均4モルのエチレンオキサイド付加物から、重量平均分子量4000のポリエステルポリオールを得た。
【0089】
<製造例8>
コハク酸とビスフェノールAに平均3モルのプロピレンオキサイド付加物から、重量平均分子量6000のポリエステルポリオールを得た。
【0090】
≪製造例9〜16:(b)窒素原子を含有する化合物≫
下記の製造例9〜16に示すように、窒素原子を含有する化合物(b)のうち、窒素原子を含有するポリエーテルポリオールおよび窒素原子を含有するポリエステルポリオール(b−1)を製造し、得られたポリオール(b−1)の重量平均分子量を測定し、それぞれ示した。
【0091】
<製造例9>
アニリンにエチレンオキサイドを付加し、重量平均分子量270のポリエーテルポリオールを得た。
【0092】
<製造例10>
ジエチレントリアミンに、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを3対2のモル比の割合で付加し、重量平均分子量1500のポリエーテルポリオールを得た。
【0093】
<製造例11>
オルソトリレンジアミンに、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを2対3のモル比の割合で付加し、重量平均分子量4000のポリエーテルポリオールを得た。
【0094】
<製造例12>
エチレンジアミンに、エチレングリコール、マレイン酸を付加し、重量平均分子量400のポリエステルポリオールを得た。
【0095】
<製造例13>
アニリンに、ジエチレングリコール、アジピン酸を付加し、重量平均分子量4000のポリエステルポリオールを得た。
【0096】
<製造例14>
ポリメチルポリフェニルポリアミンに、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを3対2のモル比の割合で付加し、分子量4000のポリエーテルポリオールを得た。
【0097】
<製造例15>
エチレンジアミンに、エチレンオキサイドを付加し、重量平均分子量130のポリエーテルポリオールを得た。
【0098】
<製造例16>
アニリンに、プロピレングリコール、フマール酸を付加し、重量平均分子量6000のポリエステルポリオールを得た。
【0099】
≪実施例1〜6≫
上記製造例で得られた窒素原子を含有しないポリエーテルポリオールおよび/または窒素原子を含有しないポリエステルポリオール(a)(製造例1〜7)と、窒素原子を含有するポリエーテルポリオールおよび/または窒素原子を含有するポリエステルポリオール(b−1)(製造例9〜14)、およびアミン化合物(b−2)を表1の割合で混合し、第1剤を得た。また、第1剤を表1に示した重量部と、第2剤100重量部を混合撹拌した混合物の60℃および110℃の硬化時間を、それぞれ2回JIS K6807に準じ
測定し、平均値を表1に示した。また、60℃の硬化時間〔秒〕を110℃の硬化時間〔秒〕で割った数値(T60/T110)を表1に示した(硬化時間の測定方法は上記参照)。なお、実施例1〜6の各成分の組成割合を表1に示す。
【0100】
≪比較例1〜4≫
表1と同様に、比較例1〜5の各成分の組成割合、測定結果を表2に示す。
表1および2中の原料表示については、以下を参照されたい。
【0101】
アミン化合物(b−2):
TEA:トリエタノールアミン
DMAEE:ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル
TAP:トリスジメチルアミノメチルフェノール
PEHA:ペンタエチレンヘキサミン
PMDETA:ペンタメチレンジエチレントリアミン
第2剤(有機イソシアネート系化合物):
PlyM−S180:三井化学ポリウレタン(株)製、商品名:コスモネートPlyM−S180芳香族ポリイソシアネート(ポリメリックMDI)
PlyM−120F:三井化学ポリウレタン(株)製、商品名:コスモネートPlyM−120F芳香族ポリイソシアネート(ポリメリックMDI)
PlyM−130F:三井化学ポリウレタン(株)製、商品名:コスモネートPlyM−130F芳香族ポリイソシアネート(ポリメリックMDI)
窒素原子を含有しないポリオール(a):
PG:プロピレングリコール
EG:エチレングリコール
【0102】
【表1】

【0103】
【表2】

【0104】
≪実施例7:複合材料の作製≫
ブレンダーに、全乾燥したストランドチップの重量と、第2剤の重量と、第1剤の重量との総重量に対し、蒸留水を12%になる量の水の重量からストランドチップに含まれる3%の水の量を差し引いた量を計量して入れ、特殊機化工業(株)製ホモジナイザーにより1分当たりの回転数6000にて撹拌した。攪拌中に、第1剤(実施例1と同じ組成物;後に添加する第2剤100重量部に対して5重量部)を徐々に添加し、均一分散させ、次いで予め計量しておいた全乾燥したストランドチップの重量に対し、有効成分として0.5重量%となる量の離型剤〔商品名:MK−56(カルナバワックス系離型剤)〕[三井化学ポリウレタン(株)製]を徐々に添加し、均一分散させた。次いで、予め計量しておいた全乾燥したストランドチップの重量に対し、10%(w/w)になる量の第2剤(実施例1と同じ化合物)を徐々に添加し、均一に分散するまで撹拌し、接着剤混合液とした。
【0105】
予め4000g計量しておいた含水率3%のストランドチップをブレンダー中へ入れ、前記均一分散させた蒸留水、上記の接着剤混合液を計量し、ブレンダー羽根を回転させながら、スプレーガンを用いて噴霧塗布し均一分散させた。
【0106】
均一分散させたストランドチップを設定した密度になるよう、それぞれ2つのビニール袋へ計量し、1つは、予め上記離型剤を外部離型剤として塗布しておいた鋼製コール盤上に、40cm×40cmの大きさに均一にフォーミングし、下記複合材料製造条件で熱圧プレスし複合材料を成型した。
【0107】
また、もう一方の均一分散させたストランドチップをビニール袋より水分が飛ばないようにし、60℃オーブンに1時間養生後、同様に予め上記の離型剤を外部離型剤として塗布しておいた鋼製コール盤上に、40cm×40cmの大きさに均一にフォーミングし、下記複合材料製造条件で熱圧プレスし複合材料を成型した。成型した複合材料は、通風の良い所へ1週間放置し、後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
【0108】
≪実施例8:複合材料の作製≫
ホモジナイザーの回転数を2000に、離型剤として三井化学ポリウレタン(株)製;MK−004(ポリエチレン系離型剤)に変更し、第1剤および第2剤として実施例2と同じものを使用した以外は、実施例7と同様の方法により複合材料を作製した。
【0109】
後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
≪実施例9:複合材料の作製≫
ホモジナイザーの回転数を2000に、離型剤として三井化学ポリウレタン(株)製;MK−004(ポリエチレン系離型剤)に変更し、第1剤および第2剤として実施例3と同じものを使用した以外は、実施例7と同様の方法により複合材料を作製した。
【0110】
後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
≪実施例10:複合材料の作製≫
ホモジナイザーの回転数を2000に、離型剤として三井化学ポリウレタン(株)製;MK−521(ポリエチレン系離型剤)に変更し、第1剤および第2剤として実施例4と同じものを使用した以外は、実施例7と同様の方法により複合材料を作製した。
【0111】
後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
≪実施例11:複合材料の作製≫
ホモジナイザーの回転数を2000に変更し、第1剤および第2剤として実施例5と同じものを使用した以外は、実施例7と同様の方法により複合材料を作製した。
【0112】
後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
≪実施例12:複合材料の作製≫
ホモジナイザーの回転数を2000に変更し、第1剤および第2剤として実施例6と同じものを使用した以外は、実施例7と同様の方法により複合材料を作製した。
【0113】
後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
≪比較例6:複合材料の作製≫
ホモジナイザーの回転数を2000に変更し、第1剤および第2剤として比較例1と同じものを使用した以外は、実施例6と同様の方法により複合材料を作製した。
【0114】
後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
≪比較例7:複合材料の作製≫
ホモジナイザーの回転数を2000に、離型剤として三井化学ポリウレタン(株)製;MK−521(ポリエチレン系離型剤)に変更し、第1剤および第2剤として比較例2と同じものを使用した以外は、実施例6と同様の方法により複合材料を作製した。
【0115】
後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
≪比較例8:複合材料の作製≫
離型剤として三井化学ポリウレタン(株)製;MK−521(ポリエチレン系離型剤)に変更し、第1剤および第2剤として比較例3と同じものを使用した以外は、実施例6と同様の方法により複合材料を作製した。
【0116】
後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
≪比較例9≫
ホモジナイザーの回転数を2000に、離型剤として三井化学ポリウレタン(株)製;MK−521(ポリエチレン系離型剤)に変更し、第1剤および第2剤として比較例5と同じものを使用した以外は、実施例6と同様の方法により複合材料を作製した。
【0117】
後述する評価試験を実施し、その結果を表3に示した。
≪複合材料の製造条件≫
原料:ストランドチップ(含水率3%)
複合材料構成:1層
設定厚み:15mm
設定密度:750Kg/m
設定マット含水率:12%
熱圧温度:190℃
プレス圧力:40Kgf/cm
プレス時間:3分30秒
接着剤中、第2剤の固形分の塗布量:全乾燥したストランドチップに対し10%
≪評価試験≫
実施例7〜12および比較例6〜9で成型した複合材料を、JIS A5908の「パーティクル複合材料」の試験項目に準じ評価を行い、それぞれの結果を表3に示した。
【0118】
<1.曲げ強さ>
実施例7〜12および比較例6〜9で得られた試料を、幅50mm、長さ275mm(スパン225mm)に裁断し、その試験片について曲げ強さの試験を行った。その結果を、「常態曲げ強度(N/mm)」として表示した。
【0119】
<2.湿潤曲げ強さ(B試験)>
上記試料を、<1.曲げ強さ>と同様の方法により裁断した。次に、その試験片を沸騰水中に2時間浸せきし、常温水中に1時間浸せきした後、濡れたままの状態で曲げ強さの試験を行った。結果を、「湿潤B曲げ強度(N/mm)」として表示した。
【0120】
<3.中核剥離強度試験>
実施例7〜12および比較例6〜9で得られた試料を、50mm×50mmに裁断し、その試験片について中核剥離強度試験を行った。結果を、「中核剥離強度(N/mm)」として表示した。
【0121】
<4.20℃吸水厚さ膨張率>
実施例7〜12および比較例6〜9で得られた試料を、50mm×50mmに裁断し、その試験片について、20℃の水に24時間浸漬させ、吸水厚さ膨張率試験を行った。結果を、「20℃吸水厚さ膨張率(%)」として表示した。
【0122】
<5.総合判定>
評価試験1〜4について、JIS A5908のJIS適合基準により、合否の総合判定を表示した。
【0123】
A:JIS基準に適格
B:JIS基準に不適合
【0124】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素原子を含有しない重量平均分子量150〜4000のポリオール(a)100重量部と、該ポリオール(a)100重量部に対して窒素原子を含有する化合物(b)0.5〜65重量部とを含む第1剤と、
有機イソシアネート系化合物を含む第2剤とよりなり、かつ、
第2剤中の有機イソシアネート系化合物100重量部に対して、第1剤中の前記(a)と(b)との合計が2〜35重量部を満たす量で第1剤と第2剤とを用いて得られる、少なくとも一種の混合物が、
JIS K6807のゲル化時間試験方法(A法)に準じて測定した60℃での硬化時間を、JIS K6807のゲル化時間試験方法(A法)に準じて測定した110℃での硬化時間で割った数値が30以上であり、かつ、60℃での硬化時間が1時間以上であることを特徴とする接着剤。
【請求項2】
前記第1剤が、窒素原子を含有しない重量平均分子量150〜4000のポリオール(a)100重量部と、該ポリオール(a)100重量部に対して窒素原子を含有する化合物(b)0.5〜65重量部のみからなることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記第2剤が、有機イソシアネート系化合物のみからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項4】
前記第1剤が、
前記(a)が、窒素原子を含有しないポリエーテルポリオールおよび/または窒素原子を含有しないポリエステルポリオールであり、
前記(b)が、窒素原子を含有するポリエーテルポリオールおよび/または窒素原子を含有するポリエステルポリオール(b−1)と、アミン化合物(b−2)とからなり、
(a)100重量部に対して、(b−1)0〜50重量部、および(b−2)0.5〜15.0重量部を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤と、無機材料および/またはリグノセルロース材料とを含む混合物を、熱圧成型して得られることを特徴とする複合材料。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤と、無機材料および/またはリグノセルロース材料とを混合し、熱圧成型することを特徴とする複合材料の製造方法。
【請求項7】
さらに離型剤を用いることを特徴とする、請求項6に記載の複合材料の製造方法。
【請求項8】
熱圧成型の温度が90〜220℃の範囲であることを特徴とする、請求項6または7に記載の複合材料の製造方法。
【請求項9】
無機材料および/またはリグノセルロース材料が、チップ状、板状、ストランド状、薄くスライスしたフレーク状、細かく粉砕された粉状、または繊維状のいずれか、あるいはこれらの混合形態であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の複合材料の製造方法。

【公開番号】特開2009−19120(P2009−19120A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183133(P2007−183133)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(501140544)三井化学ポリウレタン株式会社 (115)
【Fターム(参考)】