説明

接続プラグおよびそれを用いた床暖房接続構造

【課題】接続が容易で作業効率の良い接続プラグを提供する。
【解決手段】接合一体化した第1ハウジング10および第2ハウジング20の対向面縁部で鍔状ホルダ30を挟持するとともに、前記鍔状ホルダ30に並設した複数の端子孔にピン端子40,40の棒状端子部43,43を挿入し、外方に突出させた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接続プラグ、特に、床暖房等の電気接続に使用される接続プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床暖房等の電気接続としては、例えば、特許文献1の図5に示すように、中継用コネクタであるケース1内に電線5を1本ずつ挿入し、他の電線5に電気接続する電線接続用コネクターがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−55239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の電線接続用コネクターの接続方式では、2本の電線5,5の裸電線5a,5aを前記ケース1内に1本ずつ挿入し、前記ケース1内に組み込んだ導体金属製スプリング板4に電気接続する必要があり、作業効率が悪いという問題点があった。
本発明は、前述の電線接続用コネクターに鑑み、接続が容易で作業効率の良い接続プラグを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る接続プラグは、前述の課題を解決するため、接合一体化した第1ハウジングおよび第2ハウジングの対向面縁部で鍔状ホルダを挟持するとともに、前記鍔状ホルダに並設した複数の端子孔にピン端子の棒状端子部を挿入し、外方に突出させた構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の並設したピン端子を介し、1回の接続作業で複数本の電源線等を簡単に電気接続できるので、作業効率が良くなる。
【0007】
本発明の実施形態としては、鍔状ホルダの両側から延在した折り曲げ可能な連結部を介して第1ハウジングおよび第2ハウジングを一体成形した構成としてもよい。
本実施形態によれば、部品点数が実質的に減少し、組立工数が減少することにより、作業効率がより一層向上する。
【0008】
端子孔を、鍔状ホルダから外方に突設した支持用突部に設けた構成としてもよい。
本実施形態によれば、支持用突部にピン端子の棒状端子部が支持されることにより、支持強度が向上する。
【0009】
支持用突部の側面に誤挿入防止用突起を突設してもよく、また、支持用突部の軸心から同一のハウジング側に偏心した位置に端子孔を設けた構成としてもよい。
本実施形態によれば、誤挿入を防止でき、作業効率がより一層向上する。
【0010】
本発明に係る床暖房の接続構造は、前述の課題を解決すべく、前述の一組の接続プラグのピン端子を、床パネルの裏面両端部に形成した嵌合用凹所に収納した中継用コネクタを介し、相互に電気接続した構成としてある。
本発明によれば、1回の接続作業で複数本の電線を簡単に電気接続できるので、作業効率、特に、施工現場における作業効率が向上し、接続不良を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1Aおよび図1Bは本発明に係る接続プラグの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2Aおよび図2Bは図1で示した接続プラグの要部斜視図、図2Cおよび図2Dはピン端子の斜視図である。
【図3】図3Aは第1ハウジング単体の平面図、図3Bは前記第1ハウジングにピン端子を組み込んだ状態を示す平面図である。
【図4】図4Aおよび図4Bは図1で示した接続プラグの横断面図および縦断面図である。
【図5】図1で示した第1,第2ハウジングおよび鍔部の分解斜視図である。
【図6】図1で示した第1,第2ハウジングおよび鍔部の異なる角度から視た分解斜視図である。
【図7】図7Aは床暖房接続構造を説明するための床面を示す平面図、図7Bは床パネルを接続する前の配線を示す斜視図である。
【図8】図8Aおよび図8Bは、床パネルを縦接続および横接続する場合の配線構造を説明するための斜視図である。
【図9】図8で図示した接続プラグを中継用コネクタに接続した状態を示す横断面図である。
【図10】図10Aおよび図10Bは本発明に係る接続プラグの第2実施形態を示す斜視図である。
【図11】図11Aおよび図11Bは接続プラグに取り付けたピン端子に、リード線を接続する工程を示す組立説明図である。
【図12】図12Aおよび図12Bは図11Bに続く組立説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る接続プラグの実施形態を図1ないし図12の添付図面に従って説明する。
本実施形態に係る接続プラグ50の第1実施形態は、図1ないし図6に図示するように、同一形状を有する第1,第2ハウジング10,20と、前記第1,第2ハウジング10,20の一方側の開口縁部で挟持される鍔状ホルダ30と、電源線51に直接接続される一対のピン端子40と、から構成されている。
【0013】
第1,第2ハウジング10,20は、図5および図6に示すように、同一形状を有する樹脂成形品である。このため、第1ハウジング10について説明し、第2ハウジング20の同一部分については第1ハウジング10の番号に準じた番号を附して説明を省略する。
第1ハウジング10は、その上面中央部に嵌合用突条11および段部12を形成してある。さらに、第1ハウジング10は、その上面の片側縁部に形成した側壁13の外側面に一対の係合用受け部14,14(図6)を形成してあるとともに、その残る片側縁部に前記係合用受け部14に係合可能な係合用爪部15を形成してある。また、第1ハウジング10は、その開口側縁部に嵌合用溝16を形成してあるとともに、その上面中央部に前記嵌合用溝16と平行な抜け止め用突起17を突設してある(図3)。
【0014】
鍔状ホルダ30は、図5に示すように、その外向面に一対の支持用突部31,32を並設してあるとともに、前記支持用突部31,32の軸心上に端子孔33,34をそれぞれ設けてある。また、前記支持用突部32の内向面には誤挿入を防止するための位置決め用突起35を突設してある。さらに、鍔状ホルダ30は、その内向面の中央部に位置規制用突部36を突設してある。
【0015】
ピン端子40は、図2に示すように、両側縁部を曲げ起こして形成した補強用リブ41,41の間に抜け止め用爪部42を切り出してある一方、その一端部に棒状端子部43を形成するとともに、その他端部にカシメ部44を同一軸心上に形成してある。そして、前記カシメ部44に電源線51の芯線52をカシメ固定して電気接続する。
【0016】
前記ピン端子40の棒状端子部43を前記鍔状ホルダ30の端子孔33,34に背後からそれぞれ挿通して組み付けることにより、一対の棒状端子部43,43が平行、かつ、所定のピッチで突出する。特に、鍔状ホルダ30の支持用突部31,32が外方に長く突出しているので、棒状端子部43,43を高い位置決め精度で組み付けることができるとともに、支持強度が高いという利点がある。
【0017】
次に、前述の構成部品からなる接続プラグの組立方法について説明する。
まず、ピン端子40のカシメ部44に電源線51の芯線52をカシメて固定する。そして、鍔状ホルダ30の端子孔33,34に前記ピン端子40の棒状端子部43をそれぞれ圧入して組み付ける。さらに、第1ハウジング10の嵌合用溝16に鍔状ホルダ30を嵌合することにより、前記嵌合用突条11の両側に前記ピン端子40,40をそれぞれ配置する。これにより、ピン端子40の抜け止め用爪部42が第1ベース10の抜け止め用突起17に係止する。ついで、前記第1ハウジング10に第2ハウジング20を組み付け、係合用爪部14,24を係合用受け部25,15にそれぞれ係合して一体化することにより、組立が完了する。このとき、鍔状ホルダ30の位置規制用突部36が第1,第2ハウジング10,20の嵌合用突条11,21に挟持されるので、ガタツキなく、かつ、正確に支持される。
【0018】
次に、図7ないし図9に示すように、前述の接続プラグ50を、中継用コネクタ60(図8)を介し、相互に電気接続する床暖房接続構造について説明する。
【0019】
床暖房に使用される発熱用床パネル80は、図7Aに図示するように、その外周部に形成された雄実および雌実を介して相互に突き合わされて暖房床面を形成する。特に、前記発熱用床パネル80は、図7Bに図示するように、その裏面の両端部に3つの連通溝82,83,84を備えた配線用凹所81をそれぞれ形成するとともに、その裏面全面に裏打ちシート90を裏打ちしてある。前記裏打ちシート90には前記配線用凹所81に連通する略L字形状の切り欠き溝91を設けてある。特に、前記切り欠き溝90は、その一端部に落とし込み用開口部92を形成してあるとともに、その中間部に電源線51のはみ出しを防止するための迫り出し部93を設けてある。
【0020】
そして、図8に図示するように、前記床パネル80の配線用凹所81から引き出した電源線51,51を接続プラグ50を介して中継用コネクタ60に接続するとともに、同様に引き出したアース線71を接続プラグ70を介して前記中継用コネクタ60に接続する。特に、図9に図示するように、前記中継用コネクタ60に組み込んだ断面略コ字形の導電体60aに一対の接触用バネ61,61が組み付けられている。そして、前記接触用バネ61が棒状端子部43に圧接して電気接続するとともに、前記接触用バネ61から延在した係止部62が棒状端子部43に係止して抜け止めする。
【0021】
ついで、電源線51,51およびアース線71を接続した中継用コネクタ60を、裏打ちシート90の落とし込み用開口部92から配線用凹所81内に落とし込んだ後、前記配線用凹所81の底面に沿ってスライドさせ、切り欠き溝91の迫り出し部93の下方を通過させることにより、接続作業が完了する。
【0022】
そして、床パネル80,80の木口に設けた雄実,雌実を介して相互に突き合わせることにより(図8A)、または、側面に設けた雄実,雌実を介して相互に嵌合することにより(図8B)、床パネル80を敷設しつつ、電気接続する。
【0023】
本実施形態によれば、中継用コネクタ60が切り欠き溝91内で裏打ちシート90を介して抜け止めされているので、前記床パネル80を反転させても前記中継用コネクタ60,電源線51等が脱落することがなく、現場における施工性が良いという利点がある。
【0024】
第2実施形態に係る接続プラグ50は、図10ないし図12に図示するように、第1ハウジング10と第2ハウジング20とを、鍔状ホルダ30の両側から延在した折り曲げ可能な連結部37,37で連結一体化したものである。他は前述の第1実施形態と同様であるので、同一部分には同一番号を附して説明する。
【0025】
すなわち、図10及び図11に図示するように、本実施形態に係る接続プラグ50を構成する第1ハウジング10は、その内面の中央部に嵌合用突状11を突設してあるとともに、その両側縁部に沿って係合用受け部14,14をそれぞれ突設してある。また、前記嵌合用突条11の両側には係合用凹部19,19を形成してあるとともに、前記係合用凹部19の近傍には位置決め用凹部19aを設けてある。さらに、前記第1ハウジング10は、その内面の隅部に位置決め孔18をそれぞれ設けてある。
【0026】
一方、第2ハウジング20は、前記第1ハウジング10に突き合わせ可能な平面形状を有しているとともに、その内面中央に前記第1ハウジングの嵌合用突状11に嵌合する嵌合用段部22を有している。また、前記第2ハウジング20は、その両側縁部に前記係合用受け部14,14に係合可能な係合用爪部25,25を突設してあるとともに、前記嵌合用段部22の両側に一対の係合用溝部29をそれぞれ設けてある。さらに、前記係合用溝部29の近傍には位置決め用凹部29aを設けてある。そして、前記第2ハウジング20は、その内面の隅部に前記位置決め孔18に嵌合する位置決め用突起28をそれぞれ突設してある。
【0027】
鍔状ホルダ30は、連結部37,37を介して第1,第2ハウジング10,20に連結一体化されており、並設した一対の支持用突部31,32に端子孔33,34をそれぞれ設けてある。ただし、前記端子孔33,34は、誤挿入を防止するため、支持用突部31,32の軸心より第1ハウジング側に偏心した位置に設けられている。また、前記鍔状ホルダ30は、その表裏面それぞれに一対の位置決め用突部38,38を設けてある。
なお、前記第1,第2ハウジング10,20および鍔状ホルダ30には、通気孔10a,20a,30aがそれぞれ設けられている。
【0028】
ピン端子40は、その補強用リブ41を第1実施形態よりも高く形成してある。他は前述の第1実施形態とほぼ同様であるので、同一部分に同一番号を附して説明を省略する。
【0029】
次に、本実施形態に係る接続プラグ50の組立方法について説明する。
図11に図示するように、鍔状ホルダ30の端子孔33,34にピン端子40の棒状端子部43をそれぞれ挿入した後、カシメ部44に電源線51の芯線52を挿入してカシメ固定する。ついで、前記第1,第2ハウジング10,20を折り曲げることにより、鍔状ホルダ30の位置決め用突部38を第1,第2ハウジング10,20の位置決め用凹部19a,29aにそれぞれ嵌合する。さらに、ピン端子40の抜け止め用爪部42を第1ハウジング10の係合用凹部19に係合するとともに、補強用リブ41を第2ハウジング20の係合用溝部29にそれぞれ係合する。そして、第1ハウジング10の係合用受け部14に第2ハウジング20の係合爪部25を係合することにより、組立作業が完了する。
【0030】
本実施形態によれば、ピン端子40の抜け止め用爪部42および補強用リブ41が、第1,第2ハウジング10,20の係合用凹部19および係合用溝部29にそれぞれ支持される。このため、ピン端子40がより一層脱落しにくくなり、接続信頼性が向上すると共に、接続線の解除が容易に行えるという利点がある。
【0031】
本実施形態に係る接続プラグ50の使用方法は、前述の第1実施形態とほぼ同様であるが、支持用突部31,32の端子孔33,34が第1ハウジング10側に偏心しているので、前述の中継用コネクタ60に接続する際の誤挿入を防止できるという利点がある。
【0032】
なお、ピン端子40の接続信頼性を向上させるべく、そのカシメ部44の外周面に銅等の導電材料からなる筒状カバーを組み付けておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る接続プラグは電源線に限らず、信号線に適用してもよく、また、床暖房だけでなく、他の電気接続にも適用してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
10,20:第1,第2ハウジング
11,21:嵌合用突条
12,22:嵌合用段部
19:係合用凹部
19a:位置決め用凹部
12,22:嵌合用段部
29:係合用溝部
30:鍔状ホルダ
31,32:支持用突部
33,34:端子孔
35:位置決め用突起
36:位置規制用突部
37:連結部
38:位置決め用突部
40:ピン端子
41:補強用リブ
42:抜け止め用爪部
43:棒状端子部
44:カシメ部
50:接続プラグ
51:電源線
52:芯線
60:中継用コネクタ
60a:導電体
61:接触用バネ
70:接続プラグ
71:アース線
80:床パネル
81:配線用凹所
82,83,84:連通溝
90:裏打ちシート
91:切り欠き溝
92:落とし込み用開口部
93:迫り出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合一体化した第1ハウジングおよび第2ハウジングの対向面縁部で鍔状ホルダを挟持するとともに、前記鍔状ホルダに並設した複数の端子孔にピン端子の棒状端子部を挿入し、外方に突出させたことを特徴とする接続プラグ。
【請求項2】
鍔状ホルダの両側から延在した折り曲げ可能な連結部を介して第1ハウジングおよび第2ハウジングを一体成形したことを特徴とする請求項1に記載の接続プラグ。
【請求項3】
端子孔を、鍔状ホルダから外方に突設した支持用突部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の接続プラグ。
【請求項4】
支持用突部の側面に誤挿入防止用突起を突設したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の接続プラグ。
【請求項5】
支持用突部の軸心から同一のハウジング側に偏心した位置に端子孔を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の接続プラグ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の一組の接続プラグのピン端子を、床パネルの裏面両端部に形成した嵌合用凹所に収納した中継用コネクタを介し、相互に電気接続したことを特徴とする床暖房の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−146306(P2011−146306A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7291(P2010−7291)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【出願人】(591028773)株式会社ニチフ端子工業 (23)
【Fターム(参考)】