説明

接続リード端子の洗浄装置

【課題】表示パネルの表示部に光学フィルムが貼着されている状態で、端子部に高温の水蒸気の吹きつけて接続リード端子を洗浄するにあたって、表示部と端子部との間を遮蔽する遮蔽板に光学フィルムからはみ出している接着材が付着しないようにするとともに、表示部と端子部との間を表示パネルの底面および側面を含めてより確実に遮蔽する。
【解決手段】表示パネル10が載置されるパネル載置台10と、表示パネル10の第1基板11の基板エッジ11a側を遮蔽する上部遮蔽手段200と、表示パネル10の左右両側の側面に当接する左右一対の側部遮蔽手段と、パネル載置台100上に配置される下部遮蔽手段400とを含み、上部遮蔽手段200は、第1基板11側の光学フィルム14aの端縁に接することなく第1基板11の基板エッジ11aに所定角度で気密的に当接するテーパ面211を有するゴム材からなる主遮蔽板210を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの端子部に形成されている接続リード端子に高温の水蒸気を噴射して洗浄する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルや有機ELパネルなどの表示パネルには、そのパネル面内の表示電極に連なる接続リード端子が形成された端子部が設けられており、その端子部にフレキシブル基板などの外部制御基板が接続され、また、機種によっては表示駆動用のICチップ部品が実装される。
【0003】
端子部に外部制御基板が接続されるまでの間、表示パネルは例えば偏光フィルム貼着工程や点灯検査工程などの各工程に流され、その間に接続リード端子に異物が付着することがある。その異物としては、液晶の残渣や油脂類,細かなゴミや繊維物などのほかに、汗や唾液,皮膚などの人体分泌物がある。
【0004】
これらの異物は、接続リード端子の電極腐蝕や接続不良の原因となるため、外部制御基板を接続するに先立って洗浄により除去する必要がある。通常、洗浄工程は点灯検査工程後に用意されているため、洗浄は表示部に偏光フィルムが貼着した状態で行われる。
【0005】
その洗浄方法には、大別してウエット洗浄とドライ洗浄がある。このうち、ウエット洗浄では洗浄液が用いられるが、表示パネルには光学フィルムのひとつとしての偏光フィルムが貼着されているため、浸漬洗浄することができない。
【0006】
そこで、ウエット洗浄では、有機溶剤を含ませた布や綿棒などで端子部の接続リード端子を拭くようにしているが、電極を擦る作業であるため電極を傷つけるおそれがある。そればかりでなく、端子部の切り出し端面側の隙間に入り込んでいる液晶の残渣や、人体分泌物でとりわけ乾燥してしまっている汗や唾液は、有機溶剤を含ませた布や綿棒などで拭くだけでは十分に除去することができないという問題がある。
【0007】
ドライ洗浄は、通常、紫外線やプラズマを照射することにより行われる。これによれば、非接触であるため、電極に傷をつけることなく、上記した液晶の残渣や人体分泌物などを比較的容易に除去することができる。
【0008】
しかしながら、紫外線洗浄について言えば、特に端子部の切り出し端面側の隙間に入り込んでいる液晶の残渣を除去する場合、その部分に照射される紫外線の一部が表示部側に回り込み、これにより偏光フィルムが変色(変質)してしまうという問題がある。
【0009】
また、プラズマ洗浄について言えば、接続リード端子の電極表面にプラズマを照射すると、安定な保護膜として機能している金属酸化皮膜までも除去され、かえって腐蝕を増長させてしまうという問題がある。さらに言えば、紫外線,プラズマのいずれのドライ洗浄法によるにしても、その設備に高いコストがかかる。
【0010】
そこで、特許文献1には、表示パネルの表示部に光学フィルム(例えば、偏光フィルム)が貼着されている状態で、端子部に高温の水蒸気の吹きつけて接続リード端子を洗浄することが提案されている。
【0011】
すなわち、特許文献1に記載の発明では、表示パネルをその端子部が側方に突出するようにしてパネル載置台上に載置し、表示パネルの表示部と端子部との間に水蒸気を遮蔽する遮蔽板を配置して、ノズルより高温の水蒸気を端子部に吹き付けて接続リード端子を洗浄するようにしている。
【0012】
これによれば、人体分泌物などの異物(汚れ)が接続リード端子から離れやすくなり、物によっては浮いた状態となるため、接続リード端子を例えば有機溶剤を含む繊維性のワイパー部材で拭くだけで、接続リード端子の電極表面を傷めたり、金属酸化皮膜を破壊することなく、人体分泌物を含めて異物をきれいに払拭することができる。
【0013】
また、表示パネルの表示部と端子部との間に水蒸気を遮蔽する遮蔽板が配置され、光学フィルムが高温の水蒸気に直接的に晒されることがないため、高温の水蒸気による光学フィルムの変色(変質)を防止できるとともに、水滴付着による水垢跡の発生がほとんど見られない。
【0014】
【特許文献1】特開2006−205108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、水蒸気の遮蔽を確実にするため、遮蔽板の表示パネルに接する部分にゴム弾性を示すシール部材を設けているため、次のような問題が生ずることがある。
【0016】
すなわち、表示パネルの表示部には、光学フィルムとしての例えば偏光フィルムが貼着されているが、その貼着のための接着材がはみ出している場合がある。
【0017】
この状態で、遮蔽板を表示パネルの表示部側の端縁に当接させると、上記シール部材にはみ出している接着材が付着し、次に洗浄する表示パネルに接着材が転写的に付着してしまうことになり、洗浄工程でありながら、かえって表示パネルに汚れを与えてしまうことになりかねない。
【0018】
また、水蒸気は空中を浮遊するため、表示パネルの表示部と端子部との間に遮蔽板を配置するだけの構成では、ノズルより端子部に吹き付けられた水蒸気が表示パネルの側面から偏光フィルムが貼着されている表示部側に回り込むこともあり、水蒸気の遮蔽が完全とは言えない。
【0019】
したがって、本発明の課題は、表示パネルの表示部に光学フィルム(例えば、偏光フィルム)が貼着されている状態で、端子部に高温の水蒸気の吹きつけて接続リード端子を洗浄するにあたって、表示部と端子部との間を遮蔽する遮蔽板に光学フィルムからはみ出している接着材が付着しないようにするとともに、表示部と端子部との間を表示パネルの底面および側面を含めてより確実に遮蔽することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載されているように、電気光学的表示物質を挟んで周辺シール材により接合された第1基板と第2基板とを含み、上記第2基板側に外部基板接続用の端子部が連設されている表示パネルの上記端子部に形成されている接続リード端子に対して、上記表示パネルの表示部の両面に光学フィルムが貼着されている状態で、高温の水蒸気を噴射して洗浄する接続リード端子の洗浄装置において、上記第1基板を上として上記端子部が側方に突出するようにして上記表示パネルの表示部側が載置されるパネル載置台と、上記第1基板の上記端子部に面する基板エッジ側を遮蔽する上部遮蔽手段と、上記表示パネルの左右両側の側面に当接して上記端子部と上記表示部との間を遮蔽する左右一対の側部遮蔽手段と、上記パネル載置台上に配置され上記端子部と上記第2基板側の表示部との間を遮蔽する下部遮蔽手段とを含み、上記上部遮蔽手段は、上記第1基板側の上記光学フィルムの端縁に接することなく上記第1基板の上記基板エッジに所定角度で気密的に当接するテーパ面を有するゴム材からなる主遮蔽板を備えていることを特徴としている。
【0021】
本発明の好ましい態様によると、請求項2に記載されているように、上記上部遮蔽手段は、上記光学フィルムの端縁の上面に気密的に当接する硬質材からなる副遮蔽板を備えている。
【0022】
また、請求項3に記載されているように、上記副遮蔽板の下面には、上記光学フィルムの端縁の側面に接することなく、上記副遮蔽板と上記光学フィルムの端縁の上面との間の気密性を確保するための独立気泡の硬質ゴムからなるシール板が添設される。
【0023】
請求項4に記載されているように、上記側部遮蔽手段は、所定の駆動手段にて上記表示パネルの側面に押し付けられ、その押圧力にて容易に変形する低硬度ゴム製の遮蔽ブロック体を備えてることが好ましい。
【0024】
より好ましくは、請求項5に記載されているように、上記遮蔽ブロック体の上記表示パネルの側面に対する当接面は、上記表示パネルの側面に対して上部側が下部側よりも先に接触するように所定角度で傾斜する逆テーパ面として形成される。
【0025】
また、請求項6に記載されているように、上記下部遮蔽手段は、上記第2基板側の光学フィルムの端縁に接しないように上記パネル載置台上に配置された帯状のゴム遮蔽パッキンを備えていることが好ましい。
【0026】
より好ましくは、請求項7に記載されているように、上記下部遮蔽手段としての上記ゴム遮蔽パッキン内には、上記表示パネルの幅方向に沿って延びていて負圧源に接続されるスリット孔が形成される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上部遮蔽手段の主遮蔽板に、第1基板側の光学フィルムの端縁に接することなく第1基板の基板エッジに所定角度で気密的に当接するテーパ面を形成するようにしたことにより、上部遮蔽手段に光学フィルムからはみ出している接着材が付着することはない。
【0028】
上部遮蔽手段の主遮蔽板の背面側に、光学フィルムの端縁の上面に気密的に当接する硬質材からなる副遮蔽板を備えていることにより、洗浄用の水蒸気が主遮蔽板の背面側に回り込んだとしても、その水蒸気を負圧吸引により排除することが可能なため、第1基板側の光学フィルムに水滴が付着することがない。
【0029】
副遮蔽板の下面に、第1基板側の光学フィルムの端縁の上面のみに接しその側面には接しない独立気泡の硬質ゴムからなるシール板を添設することにより、副遮蔽板と光学フィルムの端縁の上面との間の気密性をより高めることができる。
【0030】
側部遮蔽手段として、所定の駆動手段にて表示パネルの側面に押し付けられ、その押圧力にて容易に変形する低硬度ゴム製の遮蔽ブロック体を用いることにより、表示パネルの側面を確実に遮蔽することができる。
【0031】
遮蔽ブロック体の表示パネルの側面に対する当接面を、表示パネルの側面に対して上部側が下部側よりも先に接触するように所定角度で傾斜する逆テーパ面とすることにより、遮蔽ブロック体を表示パネルの側面に押し付けることに伴って、表示パネルをパネル載置台に押し付ける応力を発生させることができる。
【0032】
下部遮蔽手段を帯状のゴム遮蔽パッキンとし、このゴム遮蔽パッキンを第2基板側の光学フィルムの端縁に接しないようにパネル載置台上に配置することにより、下部遮蔽手段に対する接着材の付着も防止できる。
【0033】
下部遮蔽手段に適用される帯状のゴム遮蔽パッキン内に、表示パネルの幅方向に沿って延びていて負圧源に接続されるスリット孔を設けることにより、第2基板側の光学フィルムに対する水滴の付着を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、図1ないし図4により、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明による接続リード端子の洗浄装置の実施形態を示す分解斜視図,図2は洗浄状態を示す要部縦断面図,図3は表示パネルの側面を遮蔽する側部遮蔽手段を示す断面図,図4は図2の正面図である。
【0035】
図1,図2を参照して、まず、被洗浄物である表示パネル10について説明する。この実施形態において、表示パネル10は、それぞれ内面に表示電極が形成された第1基板11と第2基板12とを図示しない周辺シール材を介して貼り合わせ、それら基板間セル内に液晶物質が封入されている液晶表示パネルである。
【0036】
この例では、第2基板12側に端子部12aが連設されており、端子部12aには各基板11,12の表示電極と所定の引き回し配線を介して接続される接続リード端子13が形成されている。
【0037】
端子部12aに図示しないフレキシブル基板などの外部制御基板が接続される。その接続には、通常、異方性導電フィルムが用いられる。なお、COG(Chip On Glass)機種では、端子部12aに図示しない表示駆動用のICチップが実装される。
【0038】
接続リード端子13の洗浄は、通常、点灯検査後に行われるため、第1基板11と第2基板12の表示部には光学フィルム、この場合、偏光フィルム14a,14bが貼着されている。各偏光フィルム14a,14bには、保護フィルム15がそれぞれ貼着されている。なお、各偏光フィルム14a,14bを特に区別する必要がない場合には、その参照符号に14を用いる。
【0039】
また、各偏光フィルム14a,14bの外形寸法は、第1基板11の外形寸法よりも小さく、各偏光フィルム14a,14bの貼付位置は、第1基板11の基板エッジ11aよりも内側とされる。
【0040】
接続リード端子13の洗浄は、パネル載置台100上に第1基板11側を上として端子部12aが側方に突出するようにして表示パネル10を載置し、図2に示すように、ノズル20より端子部12aに高温の水蒸気(以下、「洗浄用水蒸気」ということがある)を吹き付けることにより行われる。なお、図示しないが、パネル載置台100には表示パネル10を固定するための負圧吸着孔が設けられている。
【0041】
その際、偏光フィルム14が高温の水蒸気に晒されないようにするため、本発明の洗浄装置は、上部遮蔽手段200,左右一対の側部遮蔽手段300および下部遮蔽手段400を備える。
【0042】
上部遮蔽手段200は、図2に示すように、主遮蔽板210と、主遮蔽板210の背面側に一体に取り付けられる副遮蔽板220とを備えている。なお、上部遮蔽手段200は、図示しないエアシリンダなどの昇降手段により、パネル載置台に対して昇降可能に駆動される。
【0043】
主遮蔽板210は、好ましくは硬度60〜90程度のフッ素ゴムからなり、その下端には第1基板11の端子部12a側に面する基板エッジ11aに所定角度で気密的に当接するテーパ面211が形成されている。
【0044】
このテーパ面211の傾斜角は、偏光フィルム14aからはみ出している接着材が付着することがないように、主遮蔽板210の下端が第1基板11側の偏光フィルム14aの端縁に当接しない角度に選定される。
【0045】
副遮蔽板220には、ステンレスなどの金属板が用いられる。副遮蔽板220は、偏光フィルム14aの端縁の上面に当接するように主遮蔽板210の背面側に一体的に取り付けられる。
【0046】
副遮蔽板220の下面には、偏光フィルム14aの端縁の側面に接することなく、偏光フィルム14aの端縁の上面との間の気密性を確保するための独立気泡の硬質ゴムからなるシール板230が添設されることが好ましい。
【0047】
なお、本発明の洗浄装置により接続リード端子を洗浄する際には、上部遮蔽手段200の主遮蔽板210のテーパー面211を基板エッジ11aに当接させるとともに、副遮蔽板220のシール板230を偏光フィルム14aの端縁に当接させる。なお、副遮蔽板220は、偏光フィルム14aの端縁より突出して当接してもよい。
【0048】
第1基板11の基板エッジ11aは主遮蔽板210のテーパ面211にてシールされるが、それでも洗浄用水蒸気が第1基板11の背面側に回り込むことがある。これを防止するため、図2に示すように、主遮蔽板210と副遮蔽板220との間には図示しない負圧源に接続される負圧溝240が設けられる。
【0049】
なお、上部遮蔽手段200は、図1に示すように、側部遮蔽手段300にかかるように表示パネル10の幅よりも大きな幅を有しているが、負圧溝240は、少なくとも表示パネル10の幅に対応する長さ範囲にわたって形成されることが好ましい。
【0050】
図1および図3を参照して、側部遮蔽手段300は、例えばエアシリンダなどのサイドクランプ(駆動手段)320にて表示パネル10の側面10sに押し付けられるゴム製の遮蔽ブロック体310を備え、同一構成として表示パネル10の両側に左右一対として配置される。
【0051】
遮蔽ブロック体310は、硬度5〜30程度の低硬度ゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム)により作成されることが好ましい。なお、耐久性を考慮する場合は、硬度10〜15のゴムを用いる。これによれば、図3(b)に示すように、サイドクランプ320により押圧されたとき、表示パネル10の側面10sになじむように変形して密着するため高い気密性が得られる。
【0052】
また、図3(a)に示すように、遮蔽ブロック体310の表示パネル10の側面10sに対する当接面311は、表示パネル10の側面10sに対して上部311a側が下部311b側よりも先に接触するように所定角度で傾斜する逆テーパ面として形成されることが好ましい。
【0053】
これによれば、遮蔽ブロック体310を図3(b)に示すように表示パネル10の側面10sに押し付けることに伴って、表示パネル10をパネル載置台100に押し付ける応力を発生させることができる。
【0054】
図1,図2に示すように、下部遮蔽手段400には、好ましくは上記遮蔽ブロック体310と同じく、硬度5〜30程度の低硬度ゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム)からなる帯状のゴム遮蔽パッキン410が用いられる。
【0055】
このゴム遮蔽パッキン410は、表示パネル10のパネル幅とほぼ同サイズの長さを有し、第2基板12側の偏光フィルム14bの端縁に接しないようにパネル載置台100上に配置されることが好ましい。
【0056】
また、ゴム遮蔽パッキン410内に、表示パネル10の幅方向に沿って延びるスリット孔411を形成するとともに、パネル載置台100側に図示しない負圧源に接続されスリット孔411に連通する負圧排気孔110を形成することにより、下部遮蔽手段400側からの洗浄用水蒸気の侵入を確実に阻止することができる。
【0057】
本発明によれば、図4に示すように、表示パネル10の端子部12aの周りが上部遮蔽手段200,左右一対の側部遮蔽手段300および下部遮蔽手段400により遮蔽されるが、次にその遮蔽手順の一例について説明する。
【0058】
まず、第1基板11側を上にして表示パネル10の偏光フィルム14が貼着されている表示部をパネル載置台100上に載置し、図示しない負圧吸着孔に負圧を発生させて表示パネル10を固定する。これにより、下部遮蔽手段400のゴム遮蔽パッキン410にて端子部12aの裏面と第2基板12の表示部との間が遮蔽される。
【0059】
次に、サイドクランプ320を移動させて、図3(b)に示すように、側部遮蔽手段300の遮蔽ブロック体310を表示パネル10の両側面10sに押し当てる。
【0060】
しかる後、上部遮蔽手段200を下降させて、主遮蔽板210の下端に形成されているテーパ面211を第1基板11の基板エッジ11aおよび側部遮蔽手段300の遮蔽ブロック体310のエッジに当接させるとともに、副遮蔽板220の下端に添設されているシール板230を偏光フィルム14aの端縁の上面および側部遮蔽手段300の遮蔽ブロック体310の上面に当接させる。
【0061】
そして、上部遮蔽手段200の負圧溝240および下部遮蔽手段400のゴム遮蔽パッキン410内に形成されているスリット孔411を図示しない負圧源に接続して、負圧溝240およびスリット孔411内を負圧状態として、ノズル20より洗浄用水蒸気を端子部12aに吹き付けて接続リード端子13を洗浄する。
【0062】
また、上部遮蔽手段200は、負圧溝240を図示しない正圧源と接続してもよい。この場合、負圧溝240内を一旦正圧状態としてから、負圧状態もしくは気体を流動させることにより、侵入する洗浄用水蒸気の除去がより確実になる。
【0063】
その際、上部遮蔽手段200内に侵入する洗浄用水蒸気は負圧溝240により外部に排気され、また、下部遮蔽手段400内に侵入する洗浄用水蒸気はスリット孔411により外部に排気されるため、偏光フィルム14が洗浄用水蒸気に晒されることはない。
【0064】
なお、上記実施形態では、側部遮蔽手段300に負圧排気手段を設けていないが、例えばパネル載置台100内に形成されている負圧排気孔110を分岐し、その枝孔を表示パネル10の遮蔽ブロック体310が当接される側面10sの部分に開口させて、側部遮蔽手段300に侵入する洗浄用水蒸気を負圧により排気するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明による接続リード端子の洗浄装置の実施形態を示す分解斜視図。
【図2】洗浄状態を示す要部縦断面図。
【図3】表示パネルの側面を遮蔽する側部遮蔽手段を示す断面図。
【図4】図2の正面図。
【符号の説明】
【0066】
10 表示パネル
10s 側面
20 ノズル
11 第1基板
11a 基板エッジ
12 第2基板
12a 端子部
13 接続リード端子
14,14a,14b 偏光フィルム
100 パネル載置台
110 負圧排気孔
200 上部遮蔽手段
210 主遮蔽板
211 テーパ面
220 副遮蔽板
230 シール板
240 負圧溝
300 側部遮蔽手段
310 遮蔽ブロック
311 当接面
400 下部遮蔽手段
410 ゴム遮蔽パッキン
411 スリット孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学的表示物質を挟んで周辺シール材により接合された第1基板と第2基板とを含み、上記第2基板側に外部基板接続用の端子部が連設されている表示パネルの上記端子部に形成されている接続リード端子に対して、上記表示パネルの表示部の両面に光学フィルムが貼着されている状態で、高温の水蒸気を噴射して洗浄する接続リード端子の洗浄装置において、
上記第1基板を上として上記端子部が側方に突出するようにして上記表示パネルの表示部側が載置されるパネル載置台と、上記第1基板の上記端子部に面する基板エッジ側を遮蔽する上部遮蔽手段と、上記表示パネルの左右両側の側面に当接して上記端子部と上記表示部との間を遮蔽する左右一対の側部遮蔽手段と、上記パネル載置台上に配置され上記端子部と上記第2基板側の表示部との間を遮蔽する下部遮蔽手段とを含み、
上記上部遮蔽手段は、上記第1基板側の上記光学フィルムの端縁に接することなく上記第1基板の上記基板エッジに所定角度で気密的に当接するテーパ面を有するゴム材からなる主遮蔽板を備えていることを特徴とする接続リード端子の洗浄装置。
【請求項2】
上記上部遮蔽手段は、上記光学フィルムの端縁の上面に気密的に当接する硬質材からなる副遮蔽板を備えていることを特徴とする請求項1に記載の接続リード端子の洗浄装置。
【請求項3】
上記副遮蔽板の下面には、上記光学フィルムの端縁の側面に接することなく、上記副遮蔽板と上記光学フィルムの端縁の上面との間の気密性を確保するための独立気泡の硬質ゴムからなるシール板が添設されていることを特徴とする請求項2に記載の接続リード端子の洗浄装置。
【請求項4】
上記側部遮蔽手段は、所定の駆動手段にて上記表示パネルの側面に押し付けられ、その押圧力にて容易に変形する低硬度ゴム製の遮蔽ブロック体を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の接続リード端子の洗浄装置。
【請求項5】
上記遮蔽ブロック体の上記表示パネルの側面に対する当接面は、上記表示パネルの側面に対して上部側が下部側よりも先に接触するように所定角度で傾斜する逆テーパ面として形成されていることを特徴とする請求項4に記載の接続リード端子の洗浄装置。
【請求項6】
上記下部遮蔽手段は、上記第2基板側の光学フィルムの端縁に接しないように上記パネル載置台上に配置された帯状のゴム遮蔽パッキンを備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の接続リード端子の洗浄装置。
【請求項7】
上記下部遮蔽手段としての上記ゴム遮蔽パッキン内には、上記表示パネルの幅方向に沿って延びていて負圧源に接続されるスリット孔が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の接続リード端子の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−296146(P2008−296146A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145429(P2007−145429)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】