説明

接続先回線全話中の際の通信処理機能実行方法及びその方法を実行する通信装置

【課題】接続先回線が話中で接続不能の場合、特に一括ダイヤル発信において、通信装置が特番を誤認識して誤接続動作をすることを回避できる。
【解決手段】発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けて接続先回線の接続不能を検出の際には、特番受付タイマー17で所定の時限を経過の後、制御部16が、発呼側回線に、特番信号受信部13で特番信号の受信を準備し、話中信号送信部14から特番送出を促す話中信号を送出する。所定の時限は発呼側から受ける接続先ダイヤル番号を完全に受信可能なだけの時間である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続先回線が全話中の場合、その後の発呼者要求による接続先設定を正確に実行可能な方法及びその方法を実行する通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここで扱う通信装置は、複数の内線と少数の外線とを通信回線として収容接続し、その回線相互間の接続を制御するものであり、小規模のボタン電話装置から構内交換システムを構成する交換装置を含む。
【0003】
従来の通信装置には、例えば特開昭63−164790号公報(特許文献1)に開示されたボタン電話装置がある。このボタン電話装置は、発呼側回線から受信したダイヤル番号のうち最初の所定の桁数を解析し、その結果に基づいて接続先を内線か外線か特番(特殊番号)かを判定した後、回線接続している。また、例えば特開2001−119760号公報(特許文献2)に開示された構内交換装置および端末装置がある。このシステムでは、構内交換装置及び端末装置が協同して、発信されるダイヤル番号をのうち最初の所定桁数の番号情報を解析し、その結果に基づいて発信モードを外線モードまたは自営モードに切替えしている。これらの通信装置では、発信されるダイヤル番号の最初の所定桁の番号をまとめて解析しているため、接続先の内線、外線、または特番が自動的に判定可能であり、例えば、内線から外線へ発信する場合の外線アクセス番号付加を不要にできる。
【0004】
しかしながら、上述の通信装置では、回線全話中の際にその後に発呼者から要求される特殊機能処理についてはその説明がない。例えば、キャンプオン機能を処理する場合である。一方、近年では、殆どの通信端末は、プリセットダイヤル若しくは一括ダイヤルまたはワンタッチダイヤルという、接続先ダイヤル番号を一括して連続送出できる機能を有している。ここではこれらをまとめて、一括ダイヤル機能と呼称する。
【0005】
ここで、通信装置のキャンプオン機能について説明する。
【0006】
通信装置は、一つの発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けた際、その接続先回線が話中の場合、通信回線のうち通信端末の受信路には話中音が接続され、送信路には、例えばPB(押しボタンダイヤル)信号による特番ダイヤルを確実に受信のため、特番受信機が接続される。したがって、通信端末の受信路に話中音が接続されることにより、発呼者は、接続先話中を知るのでキャンプオンのための特番ダイヤルを発信する。一方、通信装置は、キャンプオン機能のため、発呼を受付けした際に予め登録された発呼端末情報を所持しており、特番受信機がキャンプオン用の特番ダイヤルを受付けした場合、その発呼端末情報に先に受付けの接続先ダイヤル番号に加えて記録しておく。この状態で、発呼者のオンフック操作により、発呼側回線は切断解放される。その後、接続先回線に空きが生じた際、通信装置は、その回線を保留して上記記録情報に基づき、まず、発呼端末情報により発呼側を呼出し、その応答に続いて、接続先ダイヤル番号により被呼者側回線を呼出しする。ここで説明される回線には、直接通信端末が接続されるものと、ネットワークまたは交換装置に接続されるものとが含まれる。
【0007】
話中に遭遇の際の特番ダイヤルが必要とされる場合として、接続先回線が外線の全話中がこれに相当する。接続先が内線の場合、ボタン電話装置のように外線からの着呼で内線を一斉呼出しする場合には内線の全話中が対象であり、特定内線呼出しではその内線のみが話中対象である。
【0008】
一般に、通信端末から一括ダイヤルにより接続先ダイヤル番号を受けて例えば所定桁数の番号を解析し外線発信と判定した場合、通信装置は、特番を確実に受信するため、通信端末からの受信路を特番受信機に接続したのち送信路に話中音を送出する。発呼者は話中音を聴取したのちキャンプオンのための特番をダイヤル発信する。一方で、通信装置は、通信端末から一括ダイヤルにより接続先ダイヤル番号を受けている。そのため、接続先全話中で通信端末からの受信路を特番受信機に切替え接続した際に、外線接続のための接続先ダイヤル番号は、なお、継続して受信される。特に、1桁で外線発信と解析され全話中が検出された場合、以降のダイヤル番号桁数が多いので、2桁目以降の番号数字が特番受信機で受付けされる可能性が高い。
【0009】
例えば、国際発信で「0101123456789」を端末から一括ダイヤル発信した場合、通信装置が最初の「0」で外線捕捉を解析して外線全話中を検出した際には、直ちに発呼側回線を特番受信機に接続するため、通信装置は次の「101」を特番として受付けしてしまう。その結果、通信装置は、その特番に対応する処理を実行し、発呼者に迷惑をかけるのみならず、通信装置自身も無駄な動作をすることとなる。
【0010】
【特許文献1】特開昭63−164790号公報
【特許文献2】特開2001−119760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする課題は、接続先回線が話中で接続不能の場合、特に一括ダイヤル発信において、通信装置が誤った接続動作をする機会があることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、外線及び内線それぞれに複数回線を収容し接続し、発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けて解析し接続先回線が話中で回線の接続不能を検出の際に所定の通信処理機能を実行する場合、通信装置が確実な接続動作を実行するため、発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けて接続先回線の話中を含む接続不能を検出の際には、所定の時限を経過の後、特番信号受信を準備すると共に発呼側回線に話中信号を送出することを主要な特徴とする。
【0013】
その具体的な構成は、通信装置が、所定の通信処理機能を実行するための特番を受信する特番信号受信部と、話中信号を送出する話中信号送出部と、所定時限を計測するタイマーと、発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けて接続先回線の接続不能を検出の際に、前記タイマーに計測開始を指示し、前記タイマーから所定時限の経過通知を受けた際に、発呼側からの受信路に前記特番信号受信部をかつ発呼側への送信路に前記話中信号送出部をそれぞれ接続する呼処理機能を有する制御部とを備えることにある。
【0014】
上述の所定時限計測開始の際には、発信側回線から受けるダイヤル番号の受付けを拒否するとしてもよい。また、前記所定の時限は、発呼側回線から受付けの接続先一括ダイヤル番号の最大桁数または/および受信ダイヤル番号解析結果に基づいて設定することができる。このような構成により、例えばキャンプオン機能に対処可能である。更に、話中となる接続先回線は、通信装置の外線若しくは内線、または外線及び内線のそれぞれであることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の通信装置は、発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けて接続先回線の接続不能を検出の際に、所定時限経過の後、特番信号受信を準備すると共に発呼側回線に話中信号を送出するため、発呼側から発信されるダイヤル番号の受付けを上記所定時限内に済ませるように時限設定できるので、その後の話中音送出により、発呼側回線から送られる特番信号を正確かつ確実に受信できるのみならず、接続先話中で接続不能を検出の後に発呼のため発信されたダイヤル番号の部分受信するような、受付け番号の誤認識およびそれに伴う誤動作を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
接続先回線が話中で接続不能の場合、特に一括ダイヤル発信において、通信装置の誤った接続動作を回避するという目的を、発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けて接続先回線の接続不能を検出の際には、所定の時限を経過の後、特番信号受信を準備すると共に発呼側回線に話中信号を送出することにより実現した。
【0017】
以降に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図面では主として本発明に係る部分が示され、通信装置として必須の機能でも、図示の省略がある。また、機能ブロックの分離併合または動作手順の順序変更は、本発明の趣旨およびその基本機能を満たす限り自由であり、以下の説明が本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1について図1から図3までを併せ参照して説明する。
【0019】
実施例1は、通信装置をボタン電話装置とし、内線端末の送話路から外線に対して一括ダイヤル発信する発呼の場合に発生する誤動作を防止するものである。また、内線端末からのダイヤル発信はPB(押しボタンダイヤル)信号によるものとする。
【0020】
図1は、本発明のボタン電話装置を機能ブロックで示す説明図である。
【0021】
ボタン電話装置は、電話主装置10と複数の内線端末20とで構成され、電話主装置10が複数の外線として電話回線および専用線を接続し、内線同士および内線と外線との間の接続を制御する。電話主装置10は、内線インタフェース11、外線インタフェース12、特番信号受信部13、話中信号送信部14、スイッチ部15、制御部16、特番受付タイマー17および記憶部18を含む構成である。本発明の特徴を有する構成要素は、特番受付タイマー17を用いた制御部16の呼処理機能にある。
【0022】
内線インタフェース11は、複数の内線を収容してスイッチ部15に接続する一方、内線接続先の内線端末20と制御部16との間で授受する制御信号を仲介する。外線インタフェース12は、複数の外線を収容してスイッチ部15に接続する一方、外線接続先と制御部16との間で授受する制御信号を仲介する。特番信号受信部13は、制御部16の制御を受け、スイッチ部15を介して特番を形成する可聴信号を受信して制御部16に通知する。この可聴信号は、電話端末のPB(押しボタンダイヤル)周波数によるPB信号とする。話中信号送信部14は、制御部16の制御を受け、制御部16から所定の話中信号を受け、スイッチ部15を介して接続先に可聴信号として話中音により送出する。スイッチ部15は、内線インタフェース11および外線インタフェース12それぞれと通信路を接続し、制御部16の制御を受けて内線/外線相互の通信路接続を制御する。通信路は電話での送話路および受話路を含む。
【0023】
制御部16は、電話主装置10内の構成要素と接続して電話主装置10の機能動作を記憶部18に格納されたプログラムに基づき制御するもので、受付信号解析機能、ダイヤル番号一時記憶機能、呼処理機能を含み、呼処理機能には特番受付タイマー17を用いたタイマー機能を有する。一時記憶機能は独立した構成要素であってもよい。制御部16は、内線インタフェース11または外線インタフェース12から受付けしたダイヤル番号をダイヤル番号一時記憶機能に一時記憶して受付信号解析機能で解析し、その結果に基づいて機能処理を実行する。制御部16の呼処理機能は、本発明の特徴を有し、後にフローチャートを参照して詳細を説明する。
【0024】
特番受付タイマー17は、本発明の特徴であり、制御部16の制御を受けて所定の時限を計測する。時限値は予め設定されてもよいが、制御部16が制御状況に基づいて設定するものとする。記憶部18は、従来同様、制御部16のためのプログラムなど基本となるデータを予め記憶している。更に、記憶部18は、内線それぞれに接続する内線端末20が有する端末情報、内線端末20が発呼の際に相手接続先ダイヤル番号を上記端末情報に加え一時的に記憶する発呼者情報などの記憶領域を有する。
【0025】
まず、図2のフローチャートに図1を併せ参照して、電話主装置10が内線端末20から発呼を受けた際、外線に空きのある場合における周知の動作手順について説明する。
【0026】
電話主装置10では、制御部16が、内線端末20から内線インタフェース11を介してオフフック信号による発呼を受付け(手順S1)した際、記憶部18の内線端末20に対応の情報記憶領域(図示省略)から発呼者情報を識別して発呼者情報記憶領域に記憶すると共に、内線端末20へ発信音を送出(手順S2)する。その後、制御部16は、内線端末20から接続先のダイヤル番号を受信する。制御部16は、受信ダイヤル番号の第1桁目を受付した際、発呼者対応で少なくともダイヤル番号一時記憶領域に記憶して、外線への発信かその他の発信かを解析(手順S3)する。
【0027】
ここで、外線へアクセスのための外線捕捉番号が「0」であり、国際番号または国内全国番号で発信する場合の第1桁目と同一であるものとする。制御部16は、外線捕捉番号「0」の受付け(手順S4のYES)の場合、外線インタフェース12から空きの外線30を選択(手順S5)する。ここで、空き外線あり(手順S6のYES)の場合、制御部16は、空き回線の一つを選択捕捉し、続いて受信するダイヤル番号に基づいてその外線30で所定の発呼処理(手順S7)を実行する。この送出ダイヤル番号において、第1桁目の「0」をそのまま送出するか、削除するかはこのボタン電話装置10の仕様により選択可能である。
【0028】
上記手順S4が「NO」で受信ダイヤル番号が外線捕捉番号「0」ではない場合、制御部16は、次の2桁目を記憶して上述同様解析し、この実施例では更に3桁目までを記憶すると共に解析(手順S8)する。すなわち、このような解析処理により、外線捕捉番号が「0」以外の外線捕捉および特番検出の場合に対処できる。
【0029】
ここで外線捕捉番号の受付け検出(手順S9のYES)の場合、制御部16は、空きの外線30を選択する上記手順S5へ続く。一方、上記手順S9が「NO」で受信ダイヤル番号が外線捕捉番号ではない場合、制御部16は、受信のダイヤル番号を解析し、対応する内線を呼出し(手順S10)し、接続先話中であればスイッチ部15を制御して話中信号送信部14を発呼側に接続する。または、例えば音声メッセージを送出する音声送信部(図示省略)を接続するなど、所定の内線接続処理が実行される。
【0030】
次いで、図3に図1および図2併せ参照して本発明の特徴である制御部16の処理手順について説明する。すなわち、外線対応の一括ダイヤル発信の場合、制御部16は、外線捕捉番号「0」以降のダイヤル番号を連続して受信する。本実施例の場合、制御を簡素化するため、特番受付タイマー17の時限は、国際番号の一括ダイヤル発信に対する全ダイヤル番号受信予想時間を上回る一つの時間値のみが設定されるものとする。
【0031】
上記手順S6が「NO」で全ての外線が話中の場合、制御部16は、直ちに、ダイヤル番号の受付けを中止して特番受付タイマー17の計測を開始(手順S11)する。特番受付タイマー17で時限到達(手順S12のYES)の場合、制御部16は、特番受付タイマー17の計測を初期化し、スイッチ部15を制御して、発呼の内線端末20に対する内線の受信路に特番信号受信部13を、また送信路に話中信号送信部14をそれぞれ接続する。すなわち、内線端末20では、送話路に特番信号受信部13、また受話路に話中信号送信部14がそれぞれ接続される。したがって、制御部16は、発呼内線端末20からのPB信号によるダイヤル番号受信の準備ができ、かつ、発呼内線端末20へ接続先回線全話中の話中信号を話中音で送出(手順S13)する。
【0032】
話中音を聴取の発呼者が発呼を取りやめる場合、制御部16は、内線端末20のオンフックを切断信号として検出(手順S14のYES)するので、スイッチ部15を制御して接続を解放し、話中音の送出を停止すると共に所定の解放処理(手順S15)を実行する。上記手順S14が「NO」でオンフック信号がなく、PB信号によるダイヤル番号を受信し特番を解析(手順S16のYES)の際、制御部16は、スイッチ部15を制御してそれまでの接続を解放して話中音の送出を停止(手順S17)する。制御部16は、解析結果に基づき可能な処理は実行(手順S18)し、不可能な処理は、例えば周知の音声メッセージ送出機能を用いて発呼側回線に送出し、発呼者にその旨を通知する。
【0033】
上記手順S14のオンフック検出にタイマーを用いて、オンフックによる切断信号および特番信号の何れも検出なしで時限到達の場合、電話主装置10から所定の接続不能手順を実行して接続を解放することが望ましい。また、上記手順S13で手順を終了し、手順S14以降の手順をなしとしてもよい。
【0034】
タイマーの時間設定は、国際番号のように桁数の多い場合にたいし手操作はまれであるとすれば、長時間の設定は不要と思われる。また、手操作によるダイヤル発信の場合、信号の送受時間と発呼者の判断時間とを加味して、話中音送出から例えば1秒間遅らせてPB信号受信を準備するとしてもよい。
【0035】
上述したように、外線全話中を検出した際に、電話主装置10は、一括ダイヤル番号の受付けを中止して、ダイヤル番号受信を完了した時点から後に発呼者に話中音を送ることが、時限の設定により可能なので、所定の外線捕捉番号以後の接続先ダイヤル番号を受けることはない。したがって、話中信号送出後に、一括ダイヤル番号を受信してそれを部分的解析することにより生じる誤動作または誤接続することはない。
【0036】
しかしながら、外線の全話中でタイマー計測が開始された後では、時限到達以前に空き回線が生じても、最初の数桁のみしか受信されていないので、空き回線を選択しても送出するダイヤル番号が欠如しているため、呼処理を進めることができない。また、相手接続先の全ダイヤル番号が受付されていないので、外線の全話中でキャンプオン機能を許可する特番処理ができない。
【実施例2】
【0037】
本発明の実施例2として、図4に図1および図2を併せ参照して上記実施例1で、話中信号送出以前に空き回線が生じた際の外線捕捉、並びにキャンプオン機能の両者を可能とする電話主装置について説明する。図1および図2については実施例1と基本的には同一なのでその説明は省略する。図4についても、図3と手順番号は異なるが、同一記述の手順はほぼ同一の動作である。
【0038】
図4において、図2での上記手順S6が「NO」で全ての外線が話中の場合、制御部16は、ダイヤル番号の受信は継続するが、受付け済みダイヤル番号の解析を中止して特番受付タイマー17の計測を開始(手順S21)する。特番受付タイマー17の時限到達前(手順S22のNO)で外線に空きが発生(手順S23のYES)の場合、制御部16は、その一つの空き回線を捕捉し特番受付タイマー17の計測を初期化(手順S24)し、次いで、受信のダイヤル番号を解析し、この受信ダイヤル番号により捕捉の回線を介して所定の発呼処理(手順S25)をする。外線への送出ダイヤル番号はそのシステム構成により、番号削除、番号変換、または番号追加が可能である。
【0039】
上記手順S22が「YES」の、特番受付タイマー17で時限到達の場合、制御部16は、特番受付タイマー17の計測を初期化し、スイッチ部15を制御して、発呼の内線端末20に対する内線の受信路に特番信号受信部13を、また送信路に話中信号送信部14をそれぞれ接続する。すなわち、内線端末20では、送話路に特番信号受信部13、また受話路に話中信号送信部14がそれぞれ接続される。したがって、制御部16は、発呼内線端末20からのPB信号によるダイヤル番号受信の準備ができ、かつ、発呼内線端末20へ接続先回線全話中の話中信号を話中音で送出(手順S31)する。話中音を聴取の発呼者がこの発呼を取りやめる場合、制御部16は、内線端末20からのオンフックによる切断信号を検出(手順S32のYES)するので、スイッチ部15を制御して接続を解放し、話中音の送出を停止すると共に所定の解放処理(手順S33)を実行する。
【0040】
上記手順S32が「NO」でオンフックによる切断信号がなく、PB信号を特番信号受信部13で受信し特番を解析(手順S34のYES)の場合、制御部16は、スイッチ部15を制御してそれまでの接続を解放して話中音の送出を停止(手順S35)する。制御部16は、解析結果に基づき可能な処理は実行(手順S36)し、不可能な処理は、例えば周知の音声メッセージ送出機能を用いて発呼者にその旨を通知する。
【0041】
実施例1で懸案のキャンプオン機能については、上記手順S31以降で話中信号送信部14から話中音を発呼側に送出している間、制御部16は、手順S34において特番信号受信部13で受信するPB信号を解析して所定のキャンプオン特番を検出できる。一方、制御部16は、手順S3から受信するダイヤル番号を、手順S21で解析中止とするが受信受付けを継続するので、手順S22が「YES」で特番受付タイマー17の時限到達時には、接続先ダイヤル番号を完全に受付け完了している。また、特番受付タイマー17の時限はこの条件を満たすように設定される。
【0042】
例えば、特番受付タイマー17の時限は国際番号の最大桁数を一括ダイヤル受信するのに十分な時間である。この条件では、正常な受信ダイヤル番号の全てを受信できるので、上記手順S21で解析を中止せず、解析を継続して受信番号の解析結果が、外線接続、特番接続、または内線接続などと判明した際には、制御部16は、手順S22の特番受付タイマーの時限到達前でも、上記手順S31に手順を進めることができる。また、特番受付タイマー17の時限は、ダイヤル番号が手動により発呼端末から送出される場合を考慮する。そのため、手順S22が「YES」の時限到達時点以降にダイヤル番号の受信があった場合、制御部16は、この発呼を処理不能として拒絶することが望ましい。
【実施例3】
【0043】
本発明の実施例3として、図4に図1を併せ参照して、電話主装置10の内線着呼の場合について説明する。ボタン電話装置では、例えば外線からの着呼で所定の空きの複数の内線端末が一斉に、またはそのうちの最優先内線端末が呼び出される。この場合、その時点でのダイヤル番号の受信はない。しかし、付加ダイヤルにより、内線接続が可能な電話主装置の場合、この付加ダイヤルの受信がある。そのため、受信ダイヤルによる誤動作の発生する恐れがある。
【0044】
したがって、本発明では、内線着呼を受付けた際に内線全話中を検出しても、上述の特番受付タイマーを動作させて、受信ダイヤルの受付け期間を設定している。すなわち、電話主装置10が外線30から内線に対する着呼を受ける場合、制御部16は外線インタフェース12を介して発信者番号および発呼者情報を受けて記憶するが、内線全話中では特番受付タイマー17の計測を開始する。
【0045】
次いで、本実施例の手順は、図4の手順S22からと同一で、外線とあるのを、内線に読み替えればよい。タイマー時限は、内線番号の桁数から短く設定可能である。
【0046】
このような構成を採用したので、内線着信の場合も、例えばキャンプオン機能を誤動作なく、発揮可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
上述の実施例では通信装置としてボタン電話装置を説明したが、接続先が全塞がりの際に特殊接続処理する場合、全塞がり検出の時点から所定の時限をもって発呼側に接続先の全塞がり状況を通知して、その後の処理を要求しているので、構内電話交換装置、データ交換装置など、通信端末を収容する交換システムにあって、接続先が全塞がりの場合に特殊接続処理する際の誤動作または誤接続の発生防止を必要とする用途に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による通信装置の実施の一形態をブロックで示した説明図である。(実施例1、2、3)
【図2】本発明に関する通信装置における回線選択手順の一例をフローチャートで示した説明図である。
【図3】本発明による通信装置における回線全話中での手順の実施の一形態をフローチャートで示した説明図である。(実施例1)
【図4】本発明による通信装置における回線全話中での手順の実施の一形態をフローチャートで示した説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0049】
10 電話主装置
11 内線インタフェース
12 外線インタフェース
13 特番信号受信部
14 話中信号送信部
15 スイッチ部
16 制御部
17 特番受付タイマー
18 記憶部
20 内線端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数回線を収容し接続する通信装置で接続先ダイヤル番号を受けて解析し接続先回線が話中で回線の接続不能を検出の際に所定の通信処理機能を実行する方法において、発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けて接続先回線の接続不能を検出の際には、所定の時限を経過の後、特番信号受信を準備すると共に発呼側回線に話中信号を送出することを特徴とする通信処理機能実行方法。
【請求項2】
請求項1に記載の通信処理機能実行方法において、所定時限計測開始の際に発信側回線から受けるダイヤル番号の受付けを拒否することを特徴とする通信処理機能実行方法。
【請求項3】
請求項1に記載の通信処理機能実行方法において、前記所定の時限は、発呼側回線から接続先ダイヤル番号の最大桁数を受付けするに十分な時間を想定して設定することを特徴とする通信処理機能実行方法。
【請求項4】
請求項1に記載の通信処理機能実行方法において、前記所定の時限は、発呼側回線から受付けする接続先ダイヤル番号を解析した結果に基づいて設定することを特徴とする通信処理機能実行方法。
【請求項5】
請求項1に記載の通信処理機能実行方法において、接続先回線が通信装置の外線若しくは内線、または外線及び内線のそれぞれであることを特徴とする通信処理機能実行方法。
【請求項6】
外線及び内線それぞれに複数回線を収容し接続し、発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けて解析し接続先回線が話中で回線の接続不能を検出の際に所定の通信処理機能を実行する通信装置において、所定の通信処理機能を実行するための特番を受信する特番信号受信部と、話中信号を送出する話中信号送出部と、所定時限を計測するタイマーと、発呼側回線から接続先ダイヤル番号を受けて接続先回線の接続不能を検出の際に、前記タイマーに計測開始を指示し、前記タイマーから所定時限の経過通知を受けた際に、発呼側からの受信路に前記特番信号受信部をかつ発呼側への送信路に前記話中信号送出部をそれぞれ接続する呼処理機能を有する制御部と、を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通信装置において、前記呼処理機能が、所定時限計測開始の際に発信側回線から受けるダイヤル番号の受付けを拒否することを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項6に記載の通信装置において、前記呼処理機能が、前記所定時限を、発呼側回線から接続先ダイヤル番号の最大桁数を受付けするに十分な時間を想定して設定することを特徴とする通信装置。
【請求項9】
請求項6に記載の通信装置において、前記呼処理機能が、前記所定時限を、発呼側回線から受付けする接続先ダイヤル番号を解析した結果に基づいて設定することを特徴とする通信装置。
【請求項10】
請求項6に記載の通信装置において、前記呼処理機能が、接続先回線を、前記外線若しくは内線、または外線及び内線のそれぞれであることを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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