説明

接続構造

【課題】この発明は、容易にLED部品をフラットケーブルに接続できる接続構造を提供することを目的とする。
【解決手段】上側ケース7と、ピアス端子6と、下側ケース9と、中間端子5とで構成し、凸状バネ部51でLEDチップ3をピアス端子6に押し当てて、前記LEDチップ3をフラットケーブル100に電気的に接続するLEDユニット1において、フラットケーブル100を構成する導電体101をスズ(Sn)、リン(P)、銅(Cu)及び不回避的不純物からなり、引張強度が480乃至550MPaであるリン青銅で構成し、この導電体101を貫通するピアス端子6のピアスプレート63を導電体101より高強度、且つ導電性を有する高強度導電性部材である銅合金で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両の照明装置等に用いられるLED部品をフラットケーブルに接続する接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の各種コントロールユニットや照明装置等にはプリント基板上に複数の電子部品を実装した電子部品搭載モジュールが用いられている。このような電子部品搭載モジュールは、例えば、半田接続によって電子部品を基板に実装し、電子部品搭載モジュールと外部電気回路とは、基板と半田接続された端子を有するコネクタによって接続される(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、電子部品と回路導体とは半田接続されるため、例えば、平面視2mm×2mm角のLEDチップのようにますます小型化するLED部品を接続する場合には、多くの設備投資と高精度の品質管理を要するという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−111435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、容易にLED部品をフラットケーブルに接続できる接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、LED部品を保持する第一函体と、前記LED部品を電気ケーブルに電気的に接続する接続端子と、前記電気ケーブルの反対側に配して、前記第一函体に嵌着して前記電気ケーブルを挟み込んで取付ける第二函体と、前記第一函体にLED部品を保持させるとともに該LED部品を前記接続端子に結線する端子部材とを備え、前記端子部材に、少なくとも1対の凸状に形成した凸状バネ部を備え、一方の凸状バネ部を前記第一函体に係止し、他方の凸状バネ部により前記LED部品を前記接続端子に押し当てる接続構造であって、前記電気ケーブルを、幅方向に所定間隔を隔てて配設した複数の平型導体と該複数の平型導体を一体的に平板状に被覆する被覆部材とからなるフラットケーブルで構成するとともに、前記接続端子に、前記平型導体を貫通して接続する貫通接続部を設け、前記平型導体を、スズ(Sn)、リン(P)、銅(Cu)及び不回避的不純物からなり、引張強度が480乃至550MPaであるリン青銅で構成するとともに、前記貫通接続部を、前記平型導体より高強度、且つ導電性を有する高強度導電性部材で構成したことを特徴とする。
【0007】
この発明の態様として、前記LED部品と、該LED部品が押し当てられる接続端子とを、一対の凸状バネ部の間に配置することができる。
また、この発明の態様として、前記フラットケーブルに、前記第一函体或いは第二函体に掛合する函体掛合部を備えることができる。
また、この発明の態様として、前記第二函体に、前記フラットケーブルを前記貫通する前記貫通接続部の抜け出しを防止する抜止手段を備えることができる。
【0008】
また、この発明の態様として、前記貫通接続部を、略矩形断面形状で形成して、前記抜止手段を、略円形穴状で形成し、前記略円形穴状の抜止手段の穴径を、前記貫通接続部の矩形断面の長手方向長さに略一致させることができる。
また、この発明の態様として、前記抜止手段を、前記第二函体とは別体に形成することができる。
【0009】
上記LED部品には、LEDチップ等のLEDを用いた光源デバイスであることをいう。
上記電気ケーブルに電気的に接続する複数の接続端子は、LED部品をフラットケーブルに直接接続する端子や、LED部品と他の電子部品、あるいは複数のLED部品同士を接続して間接的にフラットケーブルに接続する端子であることを含む。
上記貫通接続部はピアスプレート、即ちピアス刃であることを含み、上記接続端子はピアス刃を複数備えたピアス端子等であることを含む。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、容易にLED部品をフラットケーブルに接続できる接続構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のLEDユニット1は、LEDチップ3を保持する上側ケース7と、前記LEDチップ3をフラットケーブル100に電気的に接続するLED用ピアス端子6Aと、フラットケーブル100の反対側に配して、上側ケース7に嵌着してフラットケーブル100を挟み込んで取付ける下側ケース9とを備えている。
また、LEDユニット1は、上側ケース7にLEDチップ3を保持させるとともに、該LEDチップ3を前記ピアス端子6に結線する中間端子5を備えている。
【0012】
中間端子5は、1対の凸状に形成した凸状バネ部51を備え、凸状バネ部51(51a,51b)のうちの一方の凸状バネ部51aを上側ケース7に係止し、他方の凸状バネ部51bでLEDチップ3をピアス端子6に押し当てている。
なお、LEDチップ3と、該LEDチップ3が押し当てられるピアス端子6aとは一対の凸状バネ部51a,51bの間に配置されている。
【0013】
また、フラットケーブル100は、幅方向に所定間隔を隔てて配設した2本の導電体101と該2本の導電体101を一体的に平板状に被覆する不導電性ラミネートシート102とで構成し、該フラットケーブル100に、下側ケース9に掛合する掛合凸部110を折り曲げによって形成している。
【0014】
前記フラットケーブル100の導電体101は、スズ(Sn)、リン(P)、銅(Cu)及び不回避的不純物からなり、引張強度が480〜550MPaであるリン青銅で構成されている。なお、上記ピアスプレート63は、上述するリン青銅で構成された導電体101より高強度で、導電性を有する高強度導電性部材である銅合金で構成している。
また、前記下側ケース9には、導電体101を貫通して接続するピアス端子6のピアスプレート63の抜け出しを防止するバックアッププレート8を備えている。
【0015】
なお、上記ピアスプレート63を略矩形断面形状で形成し、上記バックアッププレート8を、略円形穴状、すなわちドーナッツ状に形成し、略円形穴状のバックアッププレート8の穴径dと、前記ピアスプレート63の矩形断面の長手方向長さ、即ち幅Hとを略同一に形成している。また、バックアッププレート8を、前記下側ケース9とは別体に形成している。
【0016】
LEDユニット1に関する上記構成について、LEDユニット1の斜視図を示す図1と、LEDユニット1の分解斜視図を示す図2とともに詳述すると、LEDユニット1は、LEDチップ3をフラットケーブル100に接続するとともに電圧調整を行なう抵抗器4も同時に取付けるための接続ユニットである。
【0017】
フラットケーブル100は、幅方向に所定間隔を隔てて平行に配した2本の帯状の導電体101と、この導電体101を表裏から挟みこんで一体的に囲繞する不導電性ラミネートシート102で構成されている。
導電体101は、スズ(Sn)、リン(P)、銅(Cu)及び不回避的不純物からなり、引張強度が480〜550MPaであるリン青銅で構成されている。
【0018】
そして、可撓性を有しているフラットケーブル100は、折り曲げによって、側面視凸状、すなわち他の部分より高い段状、且つ下側ケース9の長さ分の面状体で構成するケース掛合部110を形成している。
【0019】
なお、図中においてフラットケーブル100の一部のみを示しているが、フラットケーブル100は、必要な長さで形成され、車両内部等において所定箇所に配索されるように構成されている。
【0020】
前述のLEDユニット1は、図2に示すように、第一函体である上側ケース7と、この上側ケース7に装着するLEDチップ3及び抵抗器4と、このLEDチップ3及び抵抗器4をフラットケーブル100に接続するピアス端子6(6A,6B)と、LEDチップ3と抵抗器4を固定する中間端子5と、この中間端子5を上方から覆うカバー部材2と、ピアス端子6の抜け出しを防止するバックアッププレート8と、バックアッププレート8を装着する第二函体である下側ケース9とで構成されている。
【0021】
カバー部材2は、樹脂製のプレートで形成された平面視縦長矩形体のカバー本体2aと、該カバー本体2aにおける、フラットケーブル100の長手方向(以下、単に「長手方向」とする)の両端に、上側ケース7の上面褄部に係止する係止爪部2bとを備えている。
【0022】
そして、カバー部材2は、上側ケース7に組付けられたLEDチップ3、抵抗器4、中間端子5及びピアス端子6を上方から覆うように、上側ケース7に上方から組付けるように構成されている。
【0023】
なお、カバー本体2aにおける、フラットケーブル100の幅方向(以下、単に「幅方向」とする)の中央には、上側ケース7に組付けられた際に、内部に装着されたLEDチップ3の発光部31を外部から視認できる平面視円形の円形窓21を備えている。
【0024】
LEDチップ3は、幅方向及び長手方向の長さに対して高さの低い約1〜2mm角の略直方体で形成されており、上面に平面視円形の発光部31を備えるとともに、両側面に底面から連続するL型の接触端子32,32を備えている。
【0025】
抵抗器4は、LEDチップ3より幅広、同程度の奥行き、並びに1/4程度の高さの横長平板状矩形体で形成されて、両側面に凹字型の接触端子41,41を備えている。
【0026】
このような構成のLEDチップ3と抵抗器4とは、長手方向に沿って、図2における手前側に抵抗器40を、奥側にLED30を、対向する接点32及び接点41が幅方向にそれぞれ並ぶように配置されている。
【0027】
中間端子5は、1枚の適宜の弾性を有する銅製のプレートから形成される。詳しくは、プレス加工により、LEDチップ3および抵抗器4が配置される部品配置開口53,54を打ち抜き、2本の平行する長手方向部5aと、長手方向に所定間隔を隔てて配置した3本の幅方向の渡り部5bとで構成された平面視日の字型に形成されている。
【0028】
また、各渡り部5bの間の中央付近の長手方向部5aのそれぞれ相対する位置を下方に側面視Uの字型にプレスし、中間端子5全体で側面視略W字型に形成している。この側面視Uの字型に形成された下方に凸状部分で凸状バネ部51(51a,51b),52(52a,52b)を構成している。
【0029】
そして、凸状バネ部51bのLEDチップ3の接触端子32と接触する部分と、凸状バネ部52bの抵抗器4の接触端子41と接触部分には接点55を備えている。なお、中間端子5は導電性を有すれば金属製部材以外であってもよい。
【0030】
ピアス端子6は、上から順に、接触端子32,41と接触する接触凸部61aを有する接触プレート61と、該接触プレート61に対して略直角な水平プレート部62と、該水平プレート部62に対して略直角であり、上端に長手方向に突出する凸部63aを備えたピアスプレート63とが連続して、正面視鈎状に形成されている。
【0031】
また、ピアス端子6は、LEDチップ3と接続されるLED用ピアス端子6Aと、抵抗器4と接続される抵抗用ピアス端子6Bとの2種類があり、LED用ピアス端子6Aの水平プレート部62は、抵抗用ピアス端子6Bの水平プレート部62より短く形成されている。また、接触凸部61aは幅方向に付勢力が発生するように湾曲形成している。
なお、ピアス端子6は、導電性を有し、貫通接続するフラットケーブル100の導電体101の引張強度より高強度であればよく、本実施例においては銅合金を用いている。
【0032】
上側ケース7は樹脂製の異形の平面視縦長矩形体で構成しており、長手方向の両側面と上面とに渡るカバー部材2が嵌着するカバー嵌着部71が形成され、幅方向の両側面の中央下端には、下側ケース9に係合する係合爪72を備えている。さらに、長手方向の両褄面の中央下端には、下方に突出する褄部突出片79を備えている。
【0033】
また、上側ケース7へのピアス端子6の装着を底面側からの斜視図によって説明する図3に示すように、上側ケース7の底面には、LED用ピアス端子6Aの装着を許容する装着凹部73、抵抗用ピアス端子6Bの装着を許容する装着凹部74を備えている。
【0034】
カバー嵌着部71内側の上面の幅方向中央には、LEDチップ3を収容する第一収容部75と、抵抗器4を収容する第二収容部76と長手方向に所定間隔を隔てて並設している。
【0035】
また、この第一収容部75と第二収容部76は、装着凹部73,74に備えた接触プレート61の貫通を許容する貫通孔73a,74aと連通し、装着凹部73,74に装着したピアス端子6の接触プレート61が貫通孔73a,74aを貫通して、第一収容部75と第二収容部76側に突出する態様となる。
【0036】
また、この第一収容部75と第二収容部76の幅方向両外側には中間端子5の凸状バネ部51,52の挿入を許容する挿入凹部77,78を備えている。貫通孔73a、74a側の外側に配置された挿入凹部77には凸状バネ部51a,52aが挿入される。その対向側の挿入凹部78は第一収容部75,第二収容部76と連通しており、凸状バネ部51b,52bが挿入される。
【0037】
バックアッププレート8は、図2に示すように、導電性の金属製の円形ドーナツ状のプレート部材で構成されており、第1ピアス端子6A、第二ピアス端子6Bに対応するようにそれぞれ一枚ずつ設けられている。
【0038】
そして、バックアッププレート8の中央の嵌合穴81の内径d(図11(d)参照)は、ピアス端子6のピアスプレート63の幅H(図11(d)参照)と略一致するように設定している(なお、バックアッププレートは導電性を有すれば金属製部材以外であってもよい)。
【0039】
下側ケース9は、樹脂製の平面視縦長矩形皿体で構成され、長手方向両側面、すなわち両褄部と上面とに渡ってフラットケーブル100のケース掛合部110が嵌着するケーブル嵌着部91が形成されている。
【0040】
ケーブル嵌着部91内側の上面には、バックアッププレート8の位置を規定する位置規定部92を形成し、幅方向側面の中央付近には、上側ケース7を係合固定するための上側ケース7の係合爪72の係合を許容するケース係止部93を備えている。
【0041】
また、位置規定部92の平面視中央には、バックアッププレート8の嵌合穴81を通過したピアスプレート63との干渉を防止する干渉防止凹部92aを形成している。
【0042】
なお、接触プレート61の幅方向位置が同じ状態で上側ケース7の装着凹部73,74に装着されるピアス端子6の水平プレート部62の長さの差異により、下側に突出するピアスプレート63幅方向位置が異なるが、これは、ピアスプレート63で貫通する導電体101の位置に合わせてあり、その位置にバックアッププレート8が配置されるように、下側ケース9の位置規定部92は形成されている。
【0043】
上述したような構成のLEDユニット1で、引張強度が480〜550MPaである導電体101を有するフラットケーブル100と電気的に接続することによって安定した電気的接続を実現することができる。
【0044】
詳しくは、ピアス端子6のピアスプレート63で導電体101を不導電性ラミネートシート102ごと貫通して、ピアス端子6とフラットケーブル100とを電気的に接続するが、その際に、ピアスプレート63によって貫通される導電体101の強度が480MPa以上であることによって、ピアスプレート63と導電体101との貫通部分に外力等の負荷が生じた場合であっても安定した電気的接続性を確保することができる。
【0045】
例えば、ピアスプレート63が1つであるピアス端子6のピアスプレート63を、従来の純銅製の導電体に突き刺して貫通させた状態で、ピアス端子6と導電体101との接続部分に、貫通方向と同じ方向の外力を負荷した際、接触抵抗が0.3ミリオーム増加し、電気的接続性が低下してしまう。
【0046】
これに対し、引張強度が480MPa以上であるリン青銅で構成した導電体101では、ピアス端子6と導電体101との接続部分に、上記同条件の外力を負荷した場合であっても、接触抵抗の増加を0.05ミリオームに抑えることができる。
【0047】
これは、導電体101と、該導電体101を貫通するピアスプレート63との接続部分が、負荷された外力によって劣化することに起因するが、引張強度が480MPa以上の導電体101を用いることによって、従来の純銅製の導電体の劣化より、劣化度合いを抑えることができるためと考えられる。
【0048】
この外力の負荷によって生じた接触抵抗の増加分0.05ミリオームは、電気的接続において問題とならない程度の接触抵抗の増加レベルであるため、上記構成のLEDユニット1で、引張強度が480MPa以上である導電体101と電気的に接続することによって、安定した電気的接続を維持することができる。
【0049】
しかし、導電体101の引張強度が高ければ高いほど、ピアス端子6と導電体101との電気的接続性は安定すると考えられるが、過度に導電体101の引張強度が高い場合、ピアスプレート63で導電体101を貫通する際に、ピアスプレート63が座屈する惧れがあるため、引張強度の上限を550MPaに設定するとともに、ピアス端子6を導電体101より高強度の銅合金で構成することで、確実に、安定した電気的接続を確保している。
【0050】
なお、このような上記構成による効果は、殊に、各ピアス端子6のピアスプレート63が1つである場合において顕著であるため、小型化が望まれるLEDユニット1にも適している。
【0051】
また、前記フラットケーブル100の導電体101を高強度なリン青銅で構成しているため、下側ケース9にフラットケーブル100を貫通するピアスプレート63の抜け出しを防止するバックアッププレート8を設けずとも接続状態を維持することができるが、上述の実施例のように、下側ケース9にバックアッププレート8をセットし、バックアッププレート8の嵌合穴81の中央をピアスプレート63が貫通するようにすることによって、よりLEDユニット1の接続状態を安定性を高めることができる。
【0052】
次に、LEDユニット1の組付け及びフラットケーブル100の取り付け方法について説明する。
本発明のフラットケーブル100にLEDチップ3を接続するLEDユニット1の接続方法は端子組付け工程と、中間端子組付け工程と、上側ケース本組み工程と、バックアッププレート組付け工程と、掛合凸部形成工程と、掛合工程と、函体嵌着工程とで構成されている。
【0053】
上記端子組付け工程はLEDチップ3及び抵抗器4を保持する上側ケース2に、該LEDチップ3及び抵抗器4をフラットケーブル100に電気的に接続するピアス端子6を仮組みする工程である。
中間端子組付け工程は、該ピアス端子6を仮組みした上側ケース2に、中間端子5を仮組みする工程である。
【0054】
上側ケース本組み工程は、該中間端子5とピアス端子6を仮組みした上側ケース2にLEDチップ3及び抵抗器4を組付けて、LEDチップ3及び抵抗器4とピアス端子6を上側ケース2に本組みする工程である。
【0055】
バックアッププレート組付け工程は、第二箱体である下側ケース9に、前記フラットケーブル100を貫通するピアス部52の抜け出しを防止するバックアッププレート8を仮組みする工程である。
【0056】
掛合凸部形成工程は、折り曲げによって、下側ケース9に掛合する掛合凸部110を前記フラットケーブル100に形成する工程である。
掛合工程は、前記掛合凸部110を、前記下側ケース9に掛合する工程である。
函体嵌着工程は、前記上側ケース2と前記下側ケース9とを、間に前記フラットケーブル100を挟み込んで嵌着する工程である。
【0057】
上記各工程について、以下において図とともに詳述する。
端子組付け工程について説明する説明図である図3の図3(a)に示すように、上側ケース7を上下逆さまにして、底面側を上側にし、貫通孔73aにLED用ピアス端子6Aの接触プレート61が挿入されるように、LED用ピアス端子6Aを装着凹部73に装着し、貫通孔74aに抵抗用ピアス端子6Bの接触プレート61が挿入されるように、抵抗用ピアス端子6Bを装着凹部74に装着する。
【0058】
これにより、LED用ピアス端子6Aと抵抗用ピアス端子6Bのピアスプレート63が幅方向及び長手方向にずれた位置で上側ケース7の底面から下方向に突出する態様で上側ケース7にLED用ピアス端子6Aと抵抗用ピアス端子6Bを装着することができる。
【0059】
中間端子組付け工程及び上側ケース本組み工程について上側ケース7の斜視図によって説明する図4における図4(a)に示すように、上側ケース7の上面が上側となるように戻すと、ピアス端子6の接触プレート61が貫通孔73a,74aを通過して第一収容部75及び第二収容部76の底面から突出している。
【0060】
この状態で、上側ケース7の上側から、凸状バネ部51a,52aを挿入凹部77に挿入し、凸状バネ部51b,52bを挿入凹部78に挿入して、中間端子5を上側ケース7に装着する。ここで、中間端子5の部品配置開口53と第一収容部75、そして部品配置開口54と第二収容部76とは上下に対応する位置となる。
【0061】
そして、図4(b)に示すように、上側ケース7の上方からLEDチップ3及び抵抗器4を、部品配置開口53及び部品配置開口54を通過させ、図4(c)に示すように第一収容部75及び第二収容部76に装着する。
【0062】
この状態の平面図である図5(a)、図5(a)におけるa−a矢視図である図5(b)に示すように、第一収容部75内にはLED用ピアス端子6Aの接触プレート61と、LEDチップ3と挿入凹部78に挿入された凸状バネ部51bの接点55がこの順で配置され、接点55を介して凸状バネ部51bはLEDチップ3を接触プレート61側に押圧している。したがって、LEDチップ3の接触プレート61側の接触端子32は接触プレート61の接触凸部61aと接触し、反対側の接触端子32は凸状バネ部51bの接点55と接触している。
【0063】
また、図5(a)におけるb−b矢視図である図5(c)に示すように、第二収容部76内に配置された抵抗用ピアス端子6Bの接触プレート61と、抵抗器4と挿入凹部78に挿入された凸状バネ部52bの接点55とはこの順で配置され、接点55を介して凸状バネ部52bは抵抗器4を接触プレート61側に押圧している。したがって、抵抗器4の接触プレート61側の接触端子41は接触プレート61の接触凸部61aと接触し、反対側の接触端子41は凸状バネ部52bの接点55と接触している。
【0064】
接点55を介してLEDチップ3及び抵抗器4と電気的に接続された中間端子5は、導電性部材である銅製のプレートで構成されているため、LED用ピアス端子6A→LEDチップ3→中間端子5→抵抗器4→抵抗用ピアス端子6Bという電子回路を構成している。
【0065】
なお、凸状バネ部51a及び凸状バネ部52aを挿入凹部77に挿入しているため、中間端子5の上側ケース7に対する相対位置は固定されている。また、ピアス端子6も上側ケース7の底面に備えた装着凹部73,74に装着され、接触プレート61が貫通孔73a,74aを貫通することよって上側ケース7に対する相対位置が固定されている。
【0066】
そして、LEDチップ3及び抵抗器4は、上側ケース7に対して相対位置が固定されたピアス端子6と中間端子5とで付勢された状態で挟みこまれて、上側ケース7に対して位置が固定されている。このように、中間端子5は、LEDチップ3及び抵抗器4の固定具として機能するともに、回路構成具としても機能している。
【0067】
また、LEDチップ3及び抵抗器4は、上側ケース本組み工程における上側ケース7が透過した状態の斜視図によるである図6に示すように、LEDチップ3及び抵抗器4は、中間端子5の凸状バネ部51b,52bとLED用ピアス端子6A,抵抗用ピアス端子6Bの接触プレート61とで付勢された状態で挟みこまれて固定されているため、上側ケース7においては宙吊りの状態で固定されていることとなる。
なお、この状態で、LEDチップ3、抵抗器4、中間端子5及びピアス端子6が組み込まれた上側ケース7の上方からカバー部材2を装着する。
【0068】
続いて、バックアッププレート組付け工程、掛合凸部形成工程、掛合工程及び函体嵌着工程について図7及び図8とともに説明する。まず、バックアッププレート組付け工程について説明する図7(a)に示すように、下側ケース9の上方からバックアッププレート8を位置規定部92に装着する。このとき、位置規定部92に装着されたバックアッププレート8の嵌合穴81と位置規定部92の干渉防止凹部92aとの位置が一致する。
【0069】
掛合凸部形成工程について説明する図7(b)に示すように、フラットケーブル100を谷折線Aで谷折りし、山折線Bで山折りして、側面視凸状のケース掛合部110を形成する。なお、谷折線Aと山折線Bとの間隔は下側ケース9のケーブル嵌着部91内側の高さと略同一に形成され、山折線B同士の間隔は下側ケース9のケーブル嵌着部91内側の長さと略同一に形成されている。
【0070】
したがって、掛合工程について説明する図8(a)に示すように、位置規定部92にバックアッププレート8を装着した下側ケース9の上方から、ケース掛合部110をケーブル嵌着部91に被せる様にしてケース掛合部110を下側ケース9に掛合することができる。
【0071】
この状態で、函体嵌着工程について説明する図8(b)に示すように、上側ケース本組み工程でカバー部材2、LEDチップ3、抵抗器4、中間端子5及びピアス端子6を組付け、底面からピアスプレート63が突出する上側ケース7の係合爪72を、ケース掛合部110が掛合した下側ケース9のケース係止部93に係止させて上側ケース7と下側ケース9とを嵌着させる。
【0072】
このとき、下側ケース9のケーブル嵌着部91を形成する長手方向の両側面、すなわち両褄部及び上面と、上側ケース7の底面及び褄部突出片79の内側とでフラットケーブル100のケース掛合部110を挟み込むこととなる。
【0073】
また、上側ケース7と下側ケース9との嵌着によって、ピアス端子6とフラットケーブル100の導電体101とを接続することができる。詳しくは、ピアス端子6とバックアッププレート8との接続構造についての説明図である図9〜11とともに詳述する。
【0074】
図9(a)はピアス端子6のピアスプレート63のフラットケーブル100への貫通固定状態を示した上方斜視図、(b)はピアス端子6のピアスプレート63のフラットケーブル100への貫通固定状態を示した下方斜視図、図10(a)はピアスプレート63の貫通固定状態を側方からみた側面図、(b)はピアスプレート63の貫通固定状態を下方からみた底面図、図11(a)は図10(a)のI−I線矢視断面図、(b)は同じくII−II線矢視断面図、(c)は同じくIII−III線矢視断面図、(d)はIV−IV線矢視断面図である。
【0075】
図9に示すように、ピアス端子6(6A,6B)のピアスプレート63は、フラットケーブル100のうち導電体101を貫通して、その裏面側に配置されたバックアッププレート8の嵌合穴81に差込み嵌合させることで、この貫通状態を固定している。
【0076】
この貫通状態は、前述のようピアス端子6のピアスプレート63を、上方から下方に下ろすことによって、ピアスプレート63の下端部を導電体101に差込み、得ることになる。
なお、引張強度が480乃至550MPaである導電体101より高強度である銅合金でピアスプレート63を構成したことによって、このような貫通状態を容易に得ることができる。
【0077】
但し、バックアッププレート8を適切な位置に設定していないと、導電体101の展性により、確実な貫通状態を得ることができないが、バックアッププレート8を下側ケース9の位置規定部92(図2)に装着することで適切な位置に位置するように設定している。
【0078】
このようにして、バックアッププレート8を、適切な位置に設定することで、バックアッププレート8の嵌合穴81とピアス端子6のピアスプレート63との間のクリアランス(距離)を適切に設定して、導電体101にせん断力を作用させ、ピアス端子6のピアスプレート63を適切に貫通させることができる。
【0079】
また、バックアッププレート8は、位置規定部92の範囲内では自由に動くため、ピアス端子6が上方から差込まれる際に、バックアッププレート8が自動的に調芯されることになり、確実に、ピアス端子6の中心とバックアッププレート8の中心とを一致させた状態で、フラットケーブル100の導電体101を貫通させることができる。
【0080】
なお、具体的には、図10及び図11に示すような状態で、差込み固定がなされる。
図11(a)のI−I線矢視断面図に示すように、ピアス端子6の中心Oに近接した位置では、導電体101が大きく下方に折り曲げられる。これは、ピアス端子6とバックアッププレート8までのクリアランスL1が大きいことから、このような変形状態となる。このように導電体101が変形することにより、導電体101のピアス端子6に対する接続圧を有することになる。
【0081】
一方、図11(b)のII−II線矢視断面図に示すように、ピアス端子6の中心Oからやや離間した位置では、導電体101があまり大きく曲げられず、バックアッププレート8も近接した位置にあることから、導電体101のピアス端子6に対する接続圧を高めることができる。このため、この部分では、ピアス端子6へ電流を適切に流すことができる。
【0082】
しかし、さらに図11(c)のIII−III線矢視断面図に示すように、さらにピアス端子6の中心線Oから離れたピアス端子6の側端部では、ピアス端子6とバックアッププレート8までのクリアランスL2が小さい。よって図11(b)の断面よりは小さいが、接続圧を有することになる。
【0083】
このように、ピアス端子6とバックアッププレート8との間のクリアランスL1,L2(距離)が、円弧と平面(直線)によって変化するため、導電体101のせん断状態と展性状態が、各々の場所で変化することになり、少なくとも所定の場所では、適切な接続状態の部分を得ることができる。
このため、このバックアッププレート8を用いた接続構造によると、細かい貫通位置の調整が不要となるため、接続作業が極めて容易になるという利点がある。
【0084】
また、図11(d)のIV−IV線矢視断面図に示すように、ピアス端子6のピアスプレート63の幅Hとバックアッププレート8の嵌合穴81の穴径dを略一致するように設定しているため、ピアス端子6のピアスプレート63の側端面631とバックアッププレート8の内周面81aが確実に当接することになり、両者の間で摩擦力が発生して、ピアス端子6のピアスプレート63とバックアッププレート8との嵌合状態が保持される。このため、確実にピアス端子6とフラットケーブル100との電気的な接続状態を保持することができる。
【0085】
このように、カバー部材2、LEDチップ3、抵抗器4、中間端子5及びピアス端子6を組付けた上側ケース7と、ケース掛合部110が掛合した下側ケース9とを嵌着させることによって、ピアス端子6と導電体101と接続することができ、それにより、LEDチップ3及び抵抗器4を導電体101に接続することができる。
【0086】
次に、本実施形態におけるLEDユニット1の作用効果について説明すると、LEDユニット1は、LEDチップ3及び抵抗器4を保持する上側ケース7と、LEDチップ3及び抵抗器4をフラットケーブル100に電気的に接続するピアス端子6と、フラットケーブル100の反対側に配して、上側ケース7に嵌着してフラットケーブル100を挟み込んで取付ける下側ケース9と、上側ケース7にLEDチップ3及び抵抗器4を保持させるとともに該LEDチップ3及び抵抗器4をピアス端子6に結線する中間端子5を備えている。
【0087】
そして、中間端子5には、2対の凸状に形成した凸状バネ部51(51a,51b),52(52a,52b)を備え、一方の凸状バネ部51a,52aを上側ケース7の挿入凹部77に係止し、凸状バネ部51b,52bによりLEDチップ3及び抵抗器4をピアス端子6に押し当てている。
【0088】
これにより、中間端子5がLEDチップ3及び抵抗器4と電気的に接続して、LEDユニット1はLED用ピアス端子6A→LEDチップ3→中間端子5→抵抗器4→抵抗用ピアス端子6Bという電子回路を安定して構成することができる。
【0089】
また、上側ケース7に対して相対位置が固定されたピアス端子6と中間端子5とでLEDチップ3及び抵抗器4を挟み込んで固定することができるため、中間端子5はLEDチップ3及び抵抗器4の上側ケース7に対する固定具として機能するともに、回路構成具としても機能している。
【0090】
このように、中間端子5の凸状バネ部51bとLED用ピアス端子6Aの接触プレート61とでLEDチップ3を挟み込み、凸状バネ部52bと抵抗用ピアス端子6Bの接触プレート61とで抵抗器4を挟みこんで固定することにより、挿入凹部77に挿入されて上側ケース7に位置固定された凸状バネ部51aと、凸状バネ部51bとの間には、その間隔を広げられることによる付勢力が作用し、この付勢力によってLEDチップ3、LED用ピアス端子6A及び中間端子5の電気的な接続を維持することができる。
【0091】
同様に、挿入凹部77に挿入されて上側ケース7に位置固定された凸状バネ部52aと凸状バネ部52bとの間には、その間隔を広げられることによる付勢力が作用し、この付勢力によって、抵抗器4、抵抗用ピアス端子6B及び中間端子5の電気的な接続を維持することができる。
【0092】
なお、凸状バネ部51間及び凸状バネ部52間に生じる付勢力は、中間端子5の渡り部5bが部材の長手方向に伸ばされることで発生している。このように、板状部材の長手方向の変位に対する付勢力は、例えば板状部材の厚み方向の変形による付勢力と比較して、わずかな変位によって大きな付勢力が生じる。
【0093】
したがって、小さな空間における小さな変位によって安定な接続に必要な付勢力を得ることができ、部品を小型化することができるとともに、電気的接続の信頼性を向上することができる。
【0094】
また、LEDチップ3及び抵抗器4は、中間端子5の凸状バネ部51b,52bとLED用ピアス端子6A,抵抗用ピアス端子6Bの接触プレート61とで付勢された状態で挟みこまれて固定されており、上側ケース7においては宙吊りの状態で固定されているため、安定した電気的接続を得ることができ、信頼性を向上することができる。
【0095】
詳しくは、LEDチップ3の発光部31が発光することによってLEDチップ3や抵抗器4が発熱し、その発熱によって、LEDチップ3及び抵抗器4の周辺の各部材が熱膨張する。しかし、各部材の熱膨張率はその材質によって異なり、金属製部材である中間端子5やピアス端子6より樹脂製部材である上側ケース7の方が熱膨張しやすい。
したがって、LEDチップ3及び抵抗器4が上側ケース7に直接位置固定されている場合、部品同士で位置関係がずれてしまい、接続が不安定になる可能性がある。
【0096】
しかし、本発明のLEDユニット1においては、中間端子5を用いることで、部品同士の位置関係がずれたとしても、中間端子5が随時変形することでピアス端子6−LEDチップ3及び抵抗器4−上側ケース7の位置関係を保持するため、発熱による寸法変化が発生しても、安定した電気的接続を得ることができ、信頼性を向上することができる。
【0097】
また、LEDチップ3と、LEDチップ3が押し当てられるLED用ピアス端子6Aとを、一対の凸状バネ部51a,51bの間に配置し、抵抗器4と、該抵抗器4が押し当てられる抵抗用ピアス端子6Bとを、一対の凸状バネ部52a,52bの間に配置したことにより、凸状バネ部51a,51bの間および凸状バネ部52a,52bの間に生じる付勢力の方向、すなわち中間端子5の渡り部5bの方向と、LEDチップ3や抵抗器4をピアス端子6に押し付ける方向とが一致する。
【0098】
したがって、中間端子5で生じる付勢力を効率よく、LEDチップ3及び抵抗器4に作用させることができ、より部品を小型化することができるとともに、電気的接続の信頼性をより向上することができる。
【0099】
また、引張強度が480〜550MPaである導電体101とピアス端子6とを、電気的に接続することによって、たとえば従来の純銅製の導電体をピアスプレート63で貫通して接続する場合と比較し、たとえば外力が負荷された場合であっても、接触抵抗の増加を抑制し、安定した電気的接続を確保することができる。
【0100】
また、引張強度の上限を550MPaに設定するとともに、導電体101より高強度である銅合金でピアスプレート63を構成したことにより、導電体101を貫通する際にピアスプレート63が座屈する惧れを低減し、確実な電気的接続を実現することができる。
【0101】
また、幅方向に所定間隔を隔てて配設した2本の導電体101と2本の導電体101を一体的に平板状に被覆する不導電性ラミネートシート102とからなるフラットケーブル100に、下側ケース9のケーブル嵌着部91に掛合するケース掛合部110を備えたことにより、LED用ピアス端子6Aのピアスプレート63と、抵抗用ピアス端子6Bのピアスプレート63の2箇所の導電体101との接続をより確実にすることができる。
【0102】
詳しくは、ピアスプレート63が導電体101を貫通する際に、ピアスプレート63の貫通方向、すなわちピアスプレート63の平面視貫通中心に向かって、導電体101は引き寄せられる。
【0103】
しかし、2つのピアスプレート63が導電体101を貫通するタイミングが相違すると、接続部分が移動することがある。
本実施例のように、フラットケーブル100を凸状に曲げたケース掛合部110を下側ケース9のケーブル嵌着部91に掛合してから、上側ケース7と下側ケース9で挟み込むように固定したことによって、LED用ピアス端子6Aのピアスプレート63と、抵抗用ピアス端子6Bのピアスプレート63の導電体101を突き抜けるタイミングがずれた場合であっても、ケース掛合部110はケーブル嵌着部91に掛合しているため、ケース掛合部110のケーブル嵌着部91に対する位置は移動しない。
【0104】
したがって、2つのピアスプレート63の貫通タイミングのずれによって生じるフラットケーブル100の移動によるピアスプレート63と導電体101との接続部分への負荷を防止することができる。よって、上側ケース7と下側ケース9との接続における、複数のピアスプレート63が貫通する際の困難性を解消し、ピアスプレート63と導電体101との接続の信頼性をより向上させることができる。
【0105】
また、ケーブル嵌着部91に掛合したケース掛合部110をケーブル嵌着部91を形成する下側ケース9の長手方向側面及び上面と、上側ケース7の底面及び褄部突出片79内面とで挟み込むため、LEDユニット1に長手方向の外力が負荷された場合であっても、フラットケーブル100はケース掛合部110によって上側ケース7及び下側ケース9に位置固定されており、ピアスプレート63とケース掛合部110との接続部分に大きな外力が負荷されることを防止することができる。したがって、ピアスプレート63と導電体101との電気的接続状態を安定して確保することができる。
【0106】
また、上側ケース7と下側ケース9の間にケース掛合部110を挟みこんでいるため、ケース掛合部110を挟み込むことによる反力によって、上側ケース7の装着凹部73と下側ケース9のケース係止部93との係止をより強固にすることができる。
【0107】
また、ピアス端子6に、導電体101を貫通して接続するピアスプレート63を設け、下側ケース9に、フラットケーブル100を貫通するピアスプレート63の抜け出しを防止するバックアッププレート8を備えたことにより、導電体101を貫通したピアスプレート63が不用意にフラットケーブルから抜け出ることを容易に防止でき、フラットケーブルとピアス端子6との電気的接続が安定するため、LEDユニット1における接続の信頼性が向上する。
【0108】
また、ピアスプレート63を、略矩形断面形状で形成して、バックアッププレート8を、嵌合穴81を有する略円形穴状で形成し、略円形穴状のバックアッププレート8の嵌合穴81の穴径dを、ピアスプレート63の矩形断面の長手方向長さ、即ち幅Hに略一致させたことにより、略円形穴状のバックアッププレート8で略矩形断面のピアスプレート63の抜け出しを防止するとともに、バックアッププレート8とピアスプレート63との間の調芯が容易になり、組付けの方向性の自由度を高めることができる。
【0109】
また、バックアッププレート8の嵌合穴81の内周縁とピアスプレート63の両側端が確実に当接することになり、確実にピアスプレート63の抜け出しを防止することができる。よって、フラットケーブル100の導電体101とピアス端子6の接続作業を、容易に行なうことができるとともに、フラットケーブルとピアス端子6の接続構造の信頼性を、より高めることができる。
【0110】
また、バックアッププレート8を、下側ケース9とは別体に形成したことによって、バックアッププレート8の材質や硬度等を、下側ケース9の材質等に影響されることなく、自由に設定できるため、下側ケース9等の生産コストを高めることなく、確実にバックアッププレート8の抜止力を高めることができる。よって、生産コストを高めることなく、確実にフラットケーブルとピアス端子6の接続構造の信頼性を高めることができる。
【0111】
さらにまた、中間端子5に、配置するLEDチップ3及び抵抗器4の個数に応じた2対の凸状バネ部51,52を備えたことにより、確実に凸状バネ部51,52に生じる不勢力をLEDチップ3及び抵抗器4に作用させることができ、電気的接続の信頼性をさらに向上することができる。
【0112】
なお、他の実施形態として、バックアッププレート8を下側ケース9に一体に形成することも可能である。この場合は、下側ケース9に、例えばガラス繊維等を混入して強度を高める必要があるが、組付けの作業工程のうち、バックアッププレート8の組付け工程が不要となるため、作業工程を一工程削減することができる。
【0113】
この実施形態では、フラットケーブル100にLEDチップ3及び抵抗器4を接続する接続方法を、端子組付け工程と、中間端子組付け工程と、上側ケース本組み工程と、バックアッププレート組付け工程と、函体掛合部形成工程と、掛合工程と、函体嵌着工程とを備えているため、上側ケース7に保持させたLEDチップ3及び抵抗器4等を容易にフラットケーブル100に接続することができる。
【0114】
特に、一旦、ピアス端子6及び中間端子5を上側ケース7に仮組みした後に、LEDチップ3及び抵抗器4を組付けることによって、LEDチップ3及び抵抗器4等の「保持」と「結線」を中間端子5を用いて、同時に行なえるため、組付け作業性を向上することができる。
よって、この実施形態の方法によると、容易にLEDチップ3及び抵抗器4をフラットケーブル100に接続できる接続方法を提供することができる。
【0115】
なお、本実施例におけるLEDユニット1は、車両に配策されたフラットケーブル100に取付けること前提としており、供給電圧12VをLEDチップ3に適した3.7Vに電圧を調整するための抵抗器4を装備したが、もともと供給電圧が3.7Vなら抵抗器4は不要となり、中間端子5には一対の凸状バネ部51でよく、より単純化した構造となる。この場合においても、本実施例におけるLEDユニット1と同様の効果を得ることができる。
【0116】
なお、本実施例におけるLEDユニット1は、フラットケーブル100のケース掛合部110を下側ケース9のケーブル嵌着部91に掛合して、上側ケース7と下側ケース9とを嵌着する構成であったが、ピアス端子6を装着した上側ケース7にピアスプレート63でフラットケーブル100を貫通させながらケース掛合部110を上側ケース7に掛合させてから上側ケース7と下側ケース9とを嵌着する構成であってもよい。
【0117】
以上、この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のLED部品は、LEDチップ3に対応し、
以下同様に、
第一函体は、上側ケース7に対応し、
接続端子は、ピアス端子6及びLED用ピアス端子6Aに対応し、
第二函体は、下側ケース9に対応し、
接続構造は、LEDユニット1に対応し、
端子部材は、中間端子5に対応し、
平型導体は、導電体101に対応し、
被覆部材は、不導電性ラミネートシート102に対応し、
函体掛合部は、ケース掛合部110に対応し、
貫通接続部は、ピアスプレート63に対応し、
抜止手段は、バックアッププレート8に対応し、
長手方向長さは、幅Hに対応するも
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0118】
フラットケーブル100は、ピアス端子6が接続しやすい絶縁部材である不導電性ラミネートシート102で被覆されたフラットケーブル100であればよく、特に、本実施形態のものに限定されるものではないが、不導電性ラミネートシート102の材質としては、具体的にはPET樹脂が好ましい。
【0119】
特に、なお、端子部材は、図に示した「日」形状のほかに、「H」「□」「U」等の形状でも良いく、組付け時に、LEDチップ3及び抵抗器4を「保持」するとともに「結線」するものであればどのような形状であってもよい。
【0120】
上記LEDとは発光ダイオード(Light Emitting Diode)のことである。
なお、ピアスプレート63は、先端に行くに従い、先細り形状であると好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】LEDユニットの斜視図。
【図2】LEDユニットの分解斜視図。
【図3】上側ケースへのピアス端子の装着を底面側からの斜視図による説明図。
【図4】中間端子組付け工程及び上側ケース本組み工程について上側ケースの斜視図による説明図。
【図5】上側ケース本組み工程完了後の上側ケースの平面図。
【図6】上側ケース本組み工程における上側ケースが透過した説明斜視図。
【図7】バックアッププレート組付け工程、掛合凸部形成工程、掛合工程及び函体嵌着工程についての説明図。
【図8】バックアッププレート組付け工程、掛合凸部形成工程、掛合工程及び函体嵌着工程についての説明図。
【図9】ピアス端子とバックアッププレートとの接続構造についての説明図。
【図10】ピアス端子とバックアッププレートとの接続構造についての説明図。
【図11】ピアス端子とバックアッププレートとの接続構造についての説明図。
【符号の説明】
【0122】
1…LEDユニット
3…LEDチップ
5…中間端子
6…ピアス端子
6A…LED用ピアス端子
7…上側ケース
8…バックアッププレート
9…下側ケース
51a,51b…凸状バネ部
63…ピアスプレート
100…フラットケーブル
101…導電体
102…不導電性ラミネートシート
110…ケース掛合部
d…穴径
H…幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED部品を保持する第一函体と、
前記LED部品を電気ケーブルに電気的に接続する接続端子と、
前記電気ケーブルの反対側に配して、前記第一函体に嵌着して前記電気ケーブルを挟み込んで取付ける第二函体と、
前記第一函体にLED部品を保持させるとともに該LED部品を前記接続端子に結線する端子部材とを備え、
前記端子部材に、少なくとも1対の凸状に形成した凸状バネ部を備え、
一方の凸状バネ部を前記第一函体に係止し、
他方の凸状バネ部により前記LED部品を前記接続端子に押し当てる接続構造であって、
前記電気ケーブルを、幅方向に所定間隔を隔てて配設した複数の平型導体と該複数の平型導体を一体的に平板状に被覆する被覆部材とからなるフラットケーブルで構成するとともに、
前記接続端子に、前記平型導体を貫通して接続する貫通接続部を設け、
前記平型導体を、スズ(Sn)、リン(P)、銅(Cu)及び不回避的不純物からなり、引張強度が480乃至550MPaであるリン青銅で構成するとともに、前記貫通接続部を、前記平型導体より高強度、且つ導電性を有する高強度導電性部材で構成した
接続構造。
【請求項2】
前記LED部品と、該LED部品が押し当てられる接続端子とを、
一対の凸状バネ部の間に配置した
請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記フラットケーブルに、
前記第一函体或いは第二函体に掛合する函体掛合部を備えた
請求項1又は2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記第二函体に、
前記フラットケーブルを貫通する前記貫通接続部の抜け出しを防止する抜止手段を備えた
請求項1、2又は3に記載の接続構造。
【請求項5】
前記貫通接続部を、略矩形断面形状で形成して、
前記抜止手段を、略円形穴状で形成し、
前記略円形穴状の抜止手段の穴径を、前記貫通接続部の矩形断面の長手方向長さに略一致させた
請求項4に記載の接続構造。
【請求項6】
前記抜止手段を、前記第二函体とは別体に形成した
請求項4または5に記載の接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−283756(P2009−283756A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135331(P2008−135331)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】