説明

接続用孔を有する近接センサと、その製造方法

本開示は、ボディに取り付けるための容量性センサフィルム(50)に関するものであり、そのフィルムが使用時にボディに面する後部主面(2a)を片側に、前部主面(2b)を他方の側に支承するバッキング層(2)を含み、後部主面(2a)はガード導体(1)を支承し、前部主面(2b)はセンサ導体(7)を支承し、少なくとも1つの貫通孔がフィルムのそれぞれ反対側から導体の1つに電気的接続ができるようにバッキング層(2)を貫いて延在し、そこでは、貫通孔の内壁が少なくとも部分的に電気絶縁フィルム(11)によって覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、例えば、外部の対象物を検知するためにボディに取り付ける容量性センサフィルムに関する。本開示は、また、そのような容量性センサフィルムを製造するための改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容量性近接センサは、対象物又は材料の存在場所を捜し出すために種々の産業用途で使用されている。種々の形態の容量性近接センサは、周知であり、例えば、タッチ操作システム、衡突防止システム、占有率検知システム、及びセキュリティ/警告システムを含む異なる環境及び用途における使用に適している。1つの用途では、容量性近接センサが、例えば車の後側、及び/又はバンパに取り付けられている。車両を後進する場合、運転者が対象物に車を接近させる都合のよい位置決めを可能にしながら衝突を安全に回避できるように、車両がこのような対象物に接近する際に警報を発する。
【0003】
英国特許第2,400,666号は、反対側の主な表面の2つの金属板を有する基板を含む容量性近接センサを開示する。車両のバンパの中に容量性近接センサを提供できる。外側に面している金属板はセンサ導体と呼ばれるが、車体に面している金属板は、ガード導体と呼ばれる。センサ導体は、導電性インクで基板にスクリーン印刷されているが、ガード導体は金属細片であってよい。ガード導体は、センサ導体より通常大きく、センサ導体と車体の間をシールドする。センサ導体とアース間の静電容量の変化を監視し、かつ、自動車と対象物間の距離を表示する。
【0004】
例えば、容量性センサのための制御装置については、英国特許第2,396,015号とPCT国際公開特許第02/19,524号に開示されている。
【0005】
英国特許第2,374,422号は、センサが検出する必要のない非常に接近した対象物に対する容量性近接センサの感度を低減する課題を取り上げている。具体的には、車両のバンパ上におけるセンサの場合、英国特許第2,374,422号は、例えば、降り続く雨が原因となるような水の存在による影響を低減する課題を取り上げている。一実施形態では、センサ導体を支承する基板の主側に特別な伝導板を配置するように提案している。(道路の高さに関して)このようなセンサ導体の上、若しくは、下、若しくは、両方のセンサ導体側に配置することができる、特別な伝導板を、多くの場合スーパーガード導体と称する。動作中に、増幅したガード信号を、ガードをより大きく見せるという効果を有するスーパーガード導体に印加する。スーパーガード導体は、センサの前部を水滴が横切って生じる静電容量の変化を減衰するか、又は最小にするのに効果的である。また、スーパーガード導体を含む容量性近接センサについては、英国特許第2,404,443号に開示されている。
【0006】
英国特許第2,348,505号には、そのような導体の端領域が導体の中央の位置より広くてもよいセンサ導体の幾何学的形状を開示している。これにより、車両の隅部で容量性近接センサの感度が改良される傾向がある。
【0007】
英国特許第2,386,958号には、車のバンパの背面又は中間部のいずれかに一体成形される近接検出用一体型容量性センサが開示されている。
【0008】
米国特許第5、801、340号には、感知領域の対象物の圧力検出用の容量性センサを開示している。このセンサは比較的複雑な構造を有し、所与の順序で、導電性接地板、絶縁体、導電性ガード層、絶縁体及び別の絶縁体に続いて導電性タッチ板又は感知板を含む。
【0009】
米国特許出願公開第2002/0,158,582号には、自動車用途の容量性センサを開示している。このセンサは本質的に非導電性の保護スクリーン、及び、保護スクリーンの後ろに位置し両面の各々が電気導電性材料で少なくとも部分的に被覆されている電気絶縁フィルムを含む。
【0010】
従来検討された容量性センサでは、全ての実際的な必要条件が十分な水準に達していない。容量性センサデバイスの両側から基板の反対側の導電板に通常電気的に接続をするが、このような接続は、例えば自動車バンパ内への所望の位置におけるセンサデバイスの組み込みをさらに複雑にし、かつ耐用期間中のセンサデバイスの信頼性に悪影響を与える。従来技術において開示されている容量性近接センサの製造方法には、例えば、高価であるので大量生産には適さない導電板のスクリーン印刷、又はコーティングが含まれる。従来の他の容量性近接センサ構造は、追加費用の可能性のある機械的固着が必要であり、処理の観点からそれほど望ましくない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、いくつかの実施形態において、本開示では最新型装置の弱点をなくし、又はそれらの弱点を低い水準に抑える容量性近接センサデバイスを提供する。いくつかの実施形態において、本開示では容易に信頼性の高い電気的接続ができる容量性センサデバイスを提供する。いくつかの実施形態において、本開示では最新技術の方法と比較して改良され、かつ大量生産の要件に適合する容量性近接センサの製造方法を提供する。本開示の種々の実施形態の他の特徴及び長所については、下記の詳細な説明から容易に得ることができる。
【0012】
本開示は、ボディに取り付けるための容量性センサフィルムに関するものであり、そのフィルムが使用時にボディに面する後部主面を片側に、前部主面を他方の側に有する誘電性のバッキング層を含み、後部主面はガード導体を支承し、前部主面はセンサ導体を支承し、少なくとも1つの貫通孔(スルーゴーイングホール)がフィルムのそれぞれ反対側から導体の1つに電気的接続ができるようにバッキング層を貫いて延在し、そこでは、貫通穴の内壁が少なくとも部分的に電気絶縁フィルムによって被覆されている。
【0013】
さらに、本開示は下記の方法に関する。本方法は、
(i)後部主面及び前部主面を含むバッキング層を提供する工程と、
(ii)バッキング層の後部主面にガード導体を適用する工程と、
(iii)バッキング層の前部主面にセンサ導体を適用する工程と、
(iv)ガード導体、センサ導体、及び任意にスーパーガード導体が積層体の1つの主面から電気的に接続されるように、バッキング層を貫通して延在する1つ以上の貫通孔を提供する工程と、を含む。
【0014】
さらに、本開示は、特に自動車用途のために本開示の容量性センサフィルムを使用することに関するが、これに限るものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
「フィルム」という本明細書全体において使用される用語は、2方向における延長部を有する物品を称する。その延長部は3番目の方向における延長部を上回り、3番目の方向は少なくとも5つ以上の、好ましくは10以上の要因によって、2つの方向に基本的に垂直である。より一般的には、「フィルム」という用語は、可撓性のシート状材料を参照するために本明細書で使用され、さらに、シート材料、ホイル、細片、積層体、リボン及び同様なものを含む。
【0016】
「電気的絶縁」という本明細書全体において使用される用語は、少なくとも1×1012オームセンチメートル(Ωcm)、及び好ましくは少なくとも1×1013オームセンチメートル(Ωcm)の、ASTMD257に従って測定した時の特定のバルク抵抗率を有する材料を称する。「導電性の」という本明細書全体において使用される用語は、1オーム/平方センチメートル(Ω/cm)未満の、ASTMB193−01に従って測定した時の表面抵抗率を有する材料を称する。
【0017】
一般に、容量性センサフィルム50は、ガード導体1をその主面の1つの面上で支承し、及びセンサ導体7を反対側の主面上で有する電気的絶縁のバッキング層2を含む。
【0018】
バッキング層は好ましくは連続であり、好ましくは20〜500マイクロメートル(μm)の厚さを有し、いくつかの実施形態では25〜350マイクロメートル(μm)、及びいくつかの実施形態では25〜150マイクロメートル(μm)の厚さを有する。好適なバッキング材料には、例えば、高分子フィルムと層、紙フィルムと層、不織布層、積層物(例えば、両側にポリオレフィンフィルムを積層したポリアクリレート発泡体及びポリエチレンテレフタレートで積層又はジグ溶接した紙類のような)、及びそれらの組み合わせが含まれる。有用な高分子フィルムと層には、例えば、ポリオレフィンポリマー、一軸延伸ポリプロピレン(MOPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、同時二軸延伸ポリプロピレン(SBOPP)、ポリエチレン、ポリエチレンとポリプロピレンの共重合体、ポリ塩化ビニル、任意に塩素化させるか、又はフッ素化させることができる支配的なオレフィン単量体を有する共重合体、ポリエステル重合体、ポリカーボネートポリマー、ポリメタクリレートポリマー、セルロースアセテート、ポリエステル(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタラート)、ビニルアセテート、及びそれらの組み合わせが含まれる。有用なバッキングには、例えば、コロナ放電処理と火炎処理を含むプラズマ放電法、機械的粗化、及び化学的下地調整剤により改良された表面改質バッキングが含まれる。
【0019】
ガード導体1には、導電性材料、及び、いくつかの実施形態ではバッキング層2の主面の1つに層又はフィルムとして適用される1つ以上の金属が含まれる。いくつかの実施形態では、ガード導体1には、アルミニウム層が含まれる。ガード導体を、例えば、感圧接着剤などの接着剤層3でバッキング層2のこのような主面に接着される金属フィルムによって形成できる。また、ガード導体1を、例えば真空金属蒸着法によってバッキング層2のこのような主面に適用することができる。
【0020】
ガード導体1の厚さは、その製造方法により広範囲に変化する可能性がある。真空金属蒸着法によって得たガード導体層1の厚さは、200〜800オングストロームであり、いくつかの実施形態では300〜500オングストロームである。ガード層1としてアルミニウム層1を使用する場合、層の厚さは好ましくは1〜100マイクロメートルであり、いくつかの実施形態では2〜50マイクロメートル、及びいくつかの実施形態では3〜30マイクロメートルである。
【0021】
ガード導体1は、シールドの役割を果たして、ボディ方向のセンサ導体7の背後にある物体の存在に対するその導体7の感度を低減する。自動車の用途において、例えば、センサ導体7が一般的に車両の外部に存在するが車両の内側に対して実際的に不感状態である対象物を検出することが望ましい。
【0022】
したがって、ガード導体1の寸法は、好ましくは少なくともセンサ導体7に一致するように選択されるが、いくつかの実施形態ではガード導体1の寸法がセンサ導体の寸法を少なくとも部分的に上回る。
【0023】
いくつかの実施形態では、ガード導体1は導体が装着されているバッキング層2の主側を基本的には完全に覆っている。
【0024】
センサ導体7はバッキング層2の主面に配置され、その主面はガード導体1に属する主面の反対側である。
【0025】
センサ導体7は導電性の材料を含み、いくつかの実施形態では1つ以上の金属を含む。いくつかの実施形態では、センサ導体7は真空金属蒸着法による適用が可能なアルミニウム層、又は、例えば圧力感受性接着剤層のような、例えば接着剤層による、バッキング2に接着可能なアルミニウムフィルム若しくはホイルのような比較的安価な材料を含む。別の実施形態では、センサ導体7は、例えば接着剤層9によりバッキング層に適用された、例えば任意の扁平な金属線の形態で使用可能な導体材料としての銅層、又はメッキ処理の銅層を含む。また、センサ導体は、例えば真空金属蒸気法、又は接着性の銅フィルム若しくは又はホイルによって適用できる銅層を含んでもよい。
【0026】
センサ導体7では、種々の形状を想定でき、かつ、連続又は非連続な構成を示すことができる。
【0027】
容量性センサフィルムを、例えば車体の後側に装着している自動車の用途では、センサ導体が細長い細片の形状であってもよい。英国特許第2,348,505号では、センサ導体7が長手方向における2つの端領域でローブを含む細片であってもよい、すなわち、センサ導体は長手方向の端領域では中心部より幅が広いと開示している。使用する際には、ローブを車両の縁部のバンパの端部に位置づけをして、自動車の幅方向に沿ってより均一な感度プロファイルを提供する。
【0028】
いくつかの実施形態では、センサ導体7が本質的に長手方向(すなわち、例えば、実質的にバッキング層2の長さ方向に沿ってかつ平行に)に延在する一連の細片を含む。細片は任意に扁平化された金属線、又は金属ホイルの細片によって形成されてもよい。細片が本質的に互いに平行に配置される場合、別の細片を横方向に設置して長手方向に配置された金属線を電気的に接続してもよい。
【0029】
任意に扁平化された金属線の配置によって電気的に接続された領域のような導電性領域の非連続的配置を含むセンサ導体7は、特に有利な感度を示しているので、好ましい。
【0030】
センサ導体7の厚さは、その製造方法により広範囲に変化する可能性がある。任意に扁平化された金属線を含むセンサ導体は、通常20〜200マイクロメートルの厚さであるが、いくつかの実施形態では25〜100マイクロメートルの厚さである。真空金属蒸着法によって得たセンサ導体7は、200〜800オングストロームの厚さで、いくつかの実施形態では300〜500オングストロームの厚さである。センサ層7としてアルミニウムホイルを使用する場合、1〜100マイクロメートルの厚さであり、いくつかの実施形態では2〜50マイクロメートルの厚さであり、さらに、いくつかの実施形態では3〜30マイクロメートルの厚さである。
【0031】
本開示の容量性センサフィルム50は、付加的に、センサ導体7を有するバッキング2の表面に配置されるスーパーガード導体5を含んでもよい。スーパーガード導体は、センサ導体が検出する必要がない対象物の近傍での存在を感知するセンサ導体7の感度を低減するために設置される。自動車の用途において、スーパーガード導体5をセンサ導体の上部又は下部〜道路の水準に対して配置してもよい。使用中に、増幅したガード信号を、ガードをより大きく見せるという効果を有するスーパーガード導体5に印加してもよい。英国特許第2,374,422号では、センサ導体7の信号に関して、バンパ全体にわたる雨降り状態における水滴の流れ落ちる影響を最小にするために、近接センサ50を、例えば、車体の後側バンパに組みつける場合、このスーパーガード導体は自動車の用途では効果的である。
【0032】
スーパーガード導体5は導電性の材料を含み、いくつかの実施形態では1つ以上の金属を含む。いくつかの実施形態では、スーパーガード導体5は、それぞれ、例えば、感圧接着剤層のような接着剤層を用いて、アルミニウムフィルム又はアルミニウムホイルとしてバッキング2に適用されるアルミニウム層のような比較的安価な材料を含む。別の実施形態では、スーパーガード導体5は、真空金属蒸着法によってバッキング層2に適用されるアルミニウム層又は銅層金属層を含んでもよい。あるいは、真空金属蒸着法によるコーティング層を、例えば、ポリマー層を含むキャリアフィルムに適用することも可能である。また、金属コーティング層を支承するキャリアフィルムが、接着剤層を用いてバッキング層2に装着される。さらに、別の実施態様では、スーパーガード導体は非連続であり、かつ、例えば、接着剤層によってバッキング層2に装着した扁平化された金属線で形成されてもよい。
【0033】
スーパーガード導体5が存在する場合には、種々の形状を想定でき、かつ、それぞれ、連続に又は非連続に構成することができる。容量性センサフィルム50を車両の後側バンパに組み付ける自動車の用途では、例えば、スーパーガード導体5では後側バンパに沿って延在する細長い細片の形状を有利に想定することができる。
【0034】
スーパーガード導体5の厚さは、その製造方法により広範囲に変化する可能性がある。真空金属蒸着法によって得たスーパーガード導体層5は、200〜800オングストロームの厚さで、いくつかの実施形態では300〜500オングストロームの厚さである。スーパーガード導体層5としてアルミニウムホイルを使用する場合、1〜100マイクロメートルの厚さであり、いくつかの実施形態では2〜50マイクロメートルの厚さであり、さらに、いくつかの実施形態では3〜30マイクロメートルの厚さである。
【0035】
以下で説明するように、本開示のいくつかの実施形態の容量性センサフィルム50のガード導体1、センサ導体7、及び、存在している場合、スーパーガード導体5は、フィルムの主面51、52(図8参照)の1つから電気的に接続されている。フィルム50の後部主面51を、ガード導体の露出面によって、又は、存在する場合、後部保護層17の露出面(下記参照)によって形成してもよい。フィルム50の前部主面52を、それぞれバッキング層2の前部主面2b、又はセンサ導体7の露出面、又はスーパーガード導体5、又は、存在する場合、前部保護層16の露出面(下記参照)によって形成してもよい。導体1、5、7の接続を設定するために、本開示のいくつかの実施形態の容量性センサフィルム50は、少なくともバッキング層2を貫通してフィルム50の主面51、52まで延在する1つの貫通孔10を含む。後部主面51から容量性センサフィルム50までの電気的接続を行う場合、センサ導体7、存在する場合、及びスーパーガード導体5はこのような1つ以上の貫通孔10を経由して接続することができる。同様に、フィルム50をその前部主面52から接続する場合、ガード導体1をこのような1つ以上の貫通孔10を経由して接続することができる。
【0036】
1つ以上の貫通孔10は、例えば、空気式又は機械的窄孔、機械加工による型抜き又は回転ブロックのような打ち抜き、又は型抜き装置によって形成してもよい。貫通孔10の断面図は、任意の形状、例えば、円形の、楕円の、長方形の、又は不規則な形状であってもよい。貫通孔10の断面寸法は臨界的ではなく、容量性センサの整合性に悪影響を与えずに信頼性の高い接続ができるように選択される。いくつかの実施形態では、貫通孔の断面寸法は0.1〜5平方センチメートルであり、いくつかの実施形態では0.5〜2.5平方センチメートルである。
【0037】
1つ以上の貫通孔10はガード導体1、センサ導体7、及び/又は、存在する場合、スーパーガード導体5の領域の内部又は外部に配置されてもよい。例えば、貫通孔10が、その後部表面51から電気的に接続している容量性センサフィルム50内のセンサ導体7の領域内に配列された場合、このような貫通孔10はセンサ導体7を貫いて延在する又は延在しなくてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の貫通孔10はセンサ導体7の背面まで延在しているが、センサ導体7を貫いて延在していない。この実施形態において、センサ導体7の背面を積層体の背面51から1つ以上の貫通孔10を経由して、容易に接続することができる。この実施形態において、あるいは、センサ導体7の前面を積層体の後側51から1つ以上の貫通孔10を経由して接続ができるように、1つ以上の貫通孔10はセンサ導体7を貫通して延在することは可能である。
【0038】
同様に、スーパーガード導体5が存在し、容量性センサフィルム50をその後側51から接続する場合、このような接続がさらにスーパーガード導体5の背面で終端となる、又はスーパーガード導体5を貫通して延在する1つ以上の貫通孔を経由してそれぞれ行うことができる。また、センサ導体7とスーパーガード導体5が1つの貫通孔10を経由して接続されることができる。
【0039】
容量性センサフィルム50をその前面52から接続する場合、1つ以上の貫通孔10は同様にそれぞれガード導体1の前面まで延在するか、又はガード導体1を貫通して延在する。
【0040】
しかしながら、また、1つ以上の貫通孔10は、ガード導体1、ガードセンサ導体7、及び/又は、存在する場合、スーパーガード導体5の外側に配置される。
【0041】
いくつかの実施形態では、本開示の容量性センサフィルム50をその後側51から電気的に接続する1つ以上の貫通孔10はセンサ導体7及び/又は、存在する場合、スーパーガード導体5の外側に配置される。
【0042】
この場合、1つ以上の補助導体12、13(図5参照)が設置され、センサ導体7及び、存在する場合、スーパーガード導体5に接続される。補助導体12、13を、例えば、導電性接着剤を支承するバッキングを含む導電性接着テープによって形成することができる。このようなテープの細片を、その導電性接着剤層を介してセンサ導体7に装着し、この接着剤細片が貫通孔10の領域内に延在するように、接着剤細片の長さを選択する。したがって、容量性センサフィルム50の後側51からそのような補助導電性接着剤細片を介して、センサ導体7を電気的に接続できる。容量性センサフィルムが、付加的にスーパーガード導体5を含む場合、電気的導電性接着剤細片である分離された補助導体13を設置し、スーパーガード導体5に電気的接続をする。このような細片は、センサ導体7に装着された接着剤細片12に接触することなく、貫通孔10の領域に延在する。
【0043】
また、補助導体12、13を、例えば、真空金属蒸着法によって得られた金属コーティング層を支承する金属ホイル又はキャリアフィルムによって形成することができる。このような導体12、13を、金属ホイル、又は金属コーティング層がセンサ導体7及び、存在する場合、スーパーガード導体5に接続し、例えば、従来の片側接着剤テープによって所定位置に保持することができるように、形成する。
【0044】
補助導体12、13として使用できる導電性接着テープのバッキングには、金属フィルム又は高分子フィルムのような導電性の及び非導電性材料が含まれる。導電性フィルムテープには、いずれの場合にも導電性感圧接着剤をそれぞれ支承するアルミニウム又は銅ホイルバッキングを含む。これらの導電性フィルムテープは、3M社(米国、ミネソタ州、セイントポール)から登録商標「3M1170EMIアルミニウムホイルシールドテープ(3M 1170 EMI Aluminium Foil Shielding Tape)」及び「3M1181EMI銅ホイルシールドテープ(3M 1181 EMI Copper Foil Shielding Tape)」で、それぞれ市販されている。導体12、13として使用することができる厚さ20マイクロメートルのアルミニウムホイルは、例えば、テスコ社(Tesco Comp.)から登録商標「クッキングホイル(cooking foil)」で市販されている。
【0045】
一般に、導体12を任意の材料で形成することができ、その任意の材料は、センサ導体7又は、存在する場合、スーパーガード導体5に電気的接続方法で装着することができ、かつ、貫通孔10の領域内で信頼性の高い電気接続領域を提供するように十分に自立している。また、例えば、センサ導体7及びスーパーガード導体5に導電性接着剤を用いて装着した任意の扁平な金属線によって、導体12を形成できる。
【0046】
導体12、13を適用する前に、バッキング層2の前側及び/又は後側の1つ以上の貫通孔10をそれぞれ完全に覆うために、電気絶縁フィルム11を適用する。このような電気絶縁フィルムは、例えば、任意の非導電性高分子フィルム又は紙フィルムによって形成できるバッキングを含む。有用な非導電性の高分子材料には、例えば、ポリオレフィンポリマー、一軸延伸ポリプロピレン(MOPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、同時二軸延伸ポリプロピレン(SBOPP)、ポリエチレン、ポリエチレンとポリプロピレンの共重合体、ポリ塩化ビニル、任意に塩素化させるか、又はフッ素化させることができる支配的なオレフィン単量体を有する共重合体、ポリエステルポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリメタクリレートポリマー、セルロースアセテート、ポリエステル(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタラート)、ビニルアセテート、及びそれらの組み合わせが含まれる。電気的絶縁フィルム11は、それの主面の1つに接着剤層6及び、特に感圧接着剤層を支承する。そのフィルムはその接着剤層を介して容量性センサフィルム50の前側及び/又は後側に装着されている。電気的絶縁フィルム11を、いずれの場合にも貫通孔10を完全に覆うように、バッキングフィルム2の前部主面及び/又はガード導体1の露出面に適用している。次に、孔を、貫通孔10を復元して付加的に絶縁フィルムを貫通して延在するように、1つ以上の電気的絶縁フィルムを貫通して、窄孔する。絶縁フィルムを貫通して窄孔した孔は最初に窄孔した貫通孔より小さい径になるように、電気的絶縁フィルム内に窄孔した孔の断面の延長部及び/又は形状は選択される。貫通孔10の領域内に延在する電気的絶縁フィルム11の縁部は貫通孔10の内壁に接合し、それによってガード導体1をセンサ導体7から、及び、存在する場合、スーパーガード導体5から電気的に絶縁する。いくつかの実施形態では、電気的絶縁フィルム11によって貫通孔の内壁を本質的に完全に覆うように、貫通孔10の領域内に延在する電気的絶縁フィルム11の縁部の長さは選択される。この特定の設計は、ガード導体1をセンサ導体7から及び、任意にスーパーガード導体5から確実に絶縁して、かつ付加的に貫通孔10の領域を補強する。電気的絶縁フィルム11を、バッキングフィルム2の前部主面2b及び貫通孔10のガード導体1の露出面の両方に適用する。
【0047】
上記の例示的な実施形態は、容量性センサフィルム50をその後部主面51から接続する場合について記載している。
【0048】
しかしながら、また、容量性センサフィルム50を、前部主面52から接続することも可能である。このような場合、1つ以上の貫通孔10が前部主面52からガード導体1の前面まで、又はガード導体を経由してその背面まで、それぞれ延在する。ガード導体が、バッキング2の後部主面2aを完全に覆わず、1つ以上の貫通孔がガード導体1の領域外に配置される場合、1つ以上の補助導体12、13及び、所望の場合、1つ以上の絶縁フィルム11は、上述のように使用され、容易で信頼性の高い接続ができる。
【0049】
いくつかの用途では、保護フィルム16、17の間の容量性センサフィルム50をシールして、水又は湿気のような環境上の影響に対して容量性センサフィルムを保護し、さらにフィルム50を電気的に絶縁し、及び/又はより容易に操作ができるようにすることが好ましい。このような保護フィルムを、高分子フィルム、層、及び積層体の群から選択できる。有用なポリマーには、例えば、ポリオレフィンポリマー、一軸延伸ポリプロピレン(MOPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、同時二軸延伸ポリプロピレン(SBOPP)、ポリエチレン、ポリエチレンとポリプロピレンの共重合体、ポリエステルポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリメタクリレートポリマー、セルロースアセテート、ポリエステル(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタラート)、ビニルアセテート、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0050】
保護ポリマーフィルムを、センサ導体7を支承するバッキング層の前部主面2a及び、任意に、スーパーガード導体5に、及びバッキング2の後部主面2aのガード導体1に、例えば、熱溶解型接着剤及び感圧接着剤を含む接着手段、によって、適用することができる。また、別の実施形態では、保護フィルムをバッキング層2の前部主面2b及びガード導体1上に熱積層することができる。いくつかの実施形態では、保護フィルム16、17の長さと幅は、好ましくは、バッキングフィルム2及び/又はガード導体1の長さと幅より大きく、縁部のシールを容量性センサフィルム50に提供して、特に腐食からガード導体の縁部を保護する。いくつかの実施形態では、保護フィルム16、17の長さと幅は、好ましくは、選択されて、1〜50ミリメートルの幅を有する縁部シールの境界を提供する。いくつかの実施形態では、1〜40ミリメートルの幅を、いくつかの実施形態では、2〜20ミリメートルの幅を提供する。いくつかの実施形態では、特に自動車の用途では、フィルムを例えば、バンパの内殻のような三次元の曲率により適切に嵌合することができるように、カットとダーツ(cuts and darts)を容量性センサフィルム50に含めるために。このため、フィルム50を不適切な折り目を受け入れることができない水準に形成せずに、バンパの内殻に対して基本的に水平に置くことができる。少なくとも1つの保護フィルム16、17を含む両方の縁部をシールドしたフィルム50及び縁部をシールドしていないフィルム50に対して、これを適用する。
【0051】
1つ以上の貫通孔10を、容量性センサフィルム50の主面の保護フィルム16、17に窄孔することができる。主面から容量性センサフィルム50を接続して、それによって貫通孔をこの表面に延在する。容量性センサフィルム50をその後部主面51から接続する場合、更なる孔を保護フィルム17内に窄孔して、ガード導体1に接続することができる。同様に、容量性センサフィルム50をその前部主面52から接続する場合、1つ以上の付加的な孔を保護層16内に窄孔してセンサ導体7に、及び、任意にスーパーガード導体5に接続できるが、ガード導体1を1つ以上の貫通孔10を経由して接続する。
【0052】
あるいは、このような予め窄孔した孔が貫通孔(単数又は複数)10からセンサフィルム50の個々の主面まで延在するか、及び/又は所望の導体1、7、及び/又は5へのアクセスを提供するように、積層の前に、1つ以上の孔を、適切な位置で保護フィルム16、17内に窄孔する。
【0053】
接続ケーブル又は細片33は1つ以上の貫通孔10を、または、付加的な孔を経由して供給する。付加的な孔は、ガード導体1、センサ導体7及び、任意にスーパーガード導体5、及び/又は導体1、7、5に装着できる任意の補助導体12、13に接続するためのものである。容量性センサフィルム50を、例えば、その後部主面51から接続する場合、接続細片33を容量センサフィルム50の後側51から1つ以上の貫通孔10を経由して供給し、かつ、センサ導体7、スーパーガード導体5、及び/又は補助導体12、13に対してそれぞれ押圧して電気的に接続する。例えば、コネクタとセンサ導体、スーパーガード導体5、及び/又は補助導体12、13の間の接続領域をそれぞれ継続的に押圧するばね仕掛けパッドを介して、圧力を加えることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、1つ以上の貫通孔10を銀インクのような導電性インクで充填して、その後、導電性インクを蒸発乾燥又は硬化して固体化することができる。貫通孔10を、硬化銀エポキシ系接着剤の前駆体で充填して、前駆体を1つ以上の貫通孔への挿入と同時に熱的に硬化する。これらの構造では、接続細片33を貫通孔10を介して供給する必要はないが、例えば個々の容量性センサフィルム50の主面51、52において供給することができる。したがって、コネクタとセンサ導体7、スーパーガード導体5、及び/又は導体12、13の間を電気的に接続することを容易にして、得られる接続をより信頼性の高い及び機械的に安定したものにする。
【0055】
よって、本開示のいくつかの実施形態の容量性センサフィルム50を、その主面51、52の1つから容易に確実に電気的に接続できる。容量性センサフィルム51をその後部主面51から接続することは、自動車の用途では特に好ましい。
【0056】
ガード導体1、センサ導体7及び、任意に、スーパーガード導体5、及び/又はソケットボディ31内の導体12、13(図8参照)を接続するコネクタを一体化することは、通常望ましい。導体12、13を容量性センサフィルム50に適用して標準接続が可能になる。いくつかの実施形態では、完全な気密シールをソケットボディ31の周囲と容量性センサフィルム50の面との間に好ましく形成する。その結果、水、空気、塵の接続領域への侵入を防止する。一実施形態では、ソケットボディ31は、容量性センサフィルム50を接続するソケットボディの周囲をシール用Oリング32のようなシール手段を含む。シール用Oリングを加圧して所要の密封シールを形成するように、ソケットボディ31は、容量性センサフィルム50に適用される。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態の容量性センサフィルム50を、自動車の他の対象物への接近を感知する自動車の用途で有利に使用することができる。そこでは、例えば後部及び前部バンパ内に導入できる。例えば、容量性センサフィルム50を任意の打ち抜き、型抜き又は、レーザー切断方法で所要の形状に切断する。その柔軟性のため、必要に応じて容易に加工しバンパの形状に合わせて曲げることができる。容量性センサフィルム50はその後側から容易に電気的に接続できることは特に有利である。その理由として、これによりOEM(相手先ブランドによる製造業者)サイトでの組み立てを容易にするだけではなく、例えば、容量性センサフィルム50を組み込んだバンパが事故で損傷した場合、このような容量性センサフィルム50の容易な交換を可能にする。
【0058】
本開示のいくつかの実施形態の容量性センサフィルム50は容易に設置でき、それらは、例えば湾曲した表面を有する成形された基板に適用できる柔軟性がある。容量性センサフィルム50を容易で信頼できる方法で電気的接続できることは、特に有利である。これらの利点を考慮すると、本開示の容量性センサフィルム50は自動車産業における使用に特に適している。
【0059】
センサ導体7の測定及び処理信号に適している装置については、例えば、PCT国際公開特許番号WO02/19,524号で開示しているので、本明細書では説明しない。
【0060】
センサ、ガード導体、および任意のスーパーガード導体のための図面に示されている特定の構成が、説明だけの目的のためにあり、本発明の本質的な特徴でないことが理解される。本明細書に図面を参照して記載された近接センサは、車両バンパの使用に特に適切であるが、センサフィルムの片側からセンサ、及びガード導体(さらに、存在する場合は、スーパーガード導体まで)まで電気的に接続している方法は、他の用途の使用を意図するセンサフィルム及び、例えば、蛇行している形状のセンサ導体又は螺旋形状のセンサ導体、又は2つの一体化されたセンサ導体、又は多様なガード導体を有するセンサフィルムを含む、異なる構成の導体を有するセンサフィルムに適用可能である。
【0061】
容量性センサフィルム50の主面51、52の1つから接続できる、本開示の容量性センサフィルム50の製造の1つの方法では、ガード導体1を形成するアルミニウム層を有するバッキング層2を含むアルミニウム積層が、最初に設置される。センサ導体7及び、存在する場合、スーパーガード導体5は金属フィルム又はホイルであってもよく、それらは、ガード層1の反対側のバッキング層2の他の主面に、例えば接着手段によって適用される。あるいは、センサ導体7及び、存在する場合、スーパーガード導体5を真空金属蒸着被覆によっても適用できる。
【0062】
1つ以上の貫通孔10をバッキング層2に適用する。例えば、容量性センサフィルム50をその後部主面51から接続する場合、及び1つ以上の貫通孔がセンサ導体7及び、任意に、スーパー導体5の領域内に延在する場合、貫通孔10がバッキング層2に対向する導体7、5の後部表面に延在するように、このような貫通孔10を後部主面51から打ち抜くことができる。あるいは、貫通孔10をバッキング層2及びガード導体1に最初に窄孔してもよく、その後、センサ導体7、次に、存在する場合、スーパーガード導体5に適用する。別の実施形態では、1つ以上の貫通孔10はセンサ導体7及び、存在する場合、スーパーガード導体5を貫通することができる。
【0063】
容量性センサフィルム50を、例えば後部主面51から接続する場合、しかし、貫通孔10をセンサ導体7及びスーパー導体5の領域の外側で適用する場合、補助導体12、13を、それらをセンサ導体7及び、存在する場合、スーパーガード導体5に電気的に接続するように、適用することができる。補助導体12、13は1つ以上の貫通孔10の領域に延在し、積層体の後部主面51から接続され得る。
【0064】
容量性センサフィルム50をその主面52から接続する場合、1つ以上の貫通孔を上記の実施形態に同じように適用して、ガード導体1に接続することができる。1つ以上の貫通孔が通常ガード導体1の領域に延在する。導体1は、一般に、少なくともバッキング層2の後部主面2aの主部を覆う。貫通孔10は、バッキング層2に対向するガード導体1の前面まで延在することができ、又はガード導体1を貫通することもできる。後者の場合では、補助導体12、13を電気的接続の提供を容易にするために使用できる。
【0065】
いずれの場合でも、貫通孔10の形成に続いて、センサ導体7(又は、存在する場合、スーパーガード導体5)からガード導体1を絶縁するために、絶縁フィルムの周囲の縁部が元の孔10に延在し、元の孔10の壁を覆うように、絶縁フィルム11を孔の上に適用して、より小さい穴はフィルム内に打ち抜く。いくつかの実施形態では、フィルム(単数及び複数)11の折り返された部分(単数及び複数)は孔10の全体の壁を覆うのが好ましいが、しかし、孔10を介して、ガード導体からセンサ又はスーパーガード導体までの電気接続の不具合を防止するために十分なその全体の壁の一部を覆うだけでもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、保護層16、17を、容量性のセンサフィルム50に対して、例えば、加熱積層又は、熱溶解型接着剤を用いて、シールをする。配置される1つ以上の孔は、1つ以上の貫通孔10上に、及び/又はフィルム50が例えばその後部主面から接続される場合のガード導体1上に、保護フィルム16、17を適用する前に保護フィルム16、17内に窄孔されてもよい。
【0067】
あるいは、このような孔(単数又は複数)は、保護フィルム16、17を容量性センサフィルム50にシールした後、適用してもよい。
【0068】
容量性センサフィルム50を連続的に製造できる。このような場合、容量性センサフィルム50を連続ウェブから切断する。
【0069】
容量性センサフィルム50を、例えば、型抜き、レーザー切断、又XYテーブルカッターのV字型ナイフによって所要の形状に整える。次に、電気的接続は、例えば圧力接触を用いて、フィルムの主面51、52の1つから1つ以上の貫通孔10を経由して提供される。貫通孔10を、例えば銀インク又は銀エポキシ接着剤のような導電性流体によって充填することによって、接続を容易に行うことができ、その後、この流体を硬化又は加熱乾燥することができる。容量性センサフィルム50をその後部主面か51から電気的に接続する場合、貫通孔10を経由してセンサ導体7及び、任意にスーパーガード導体5に接続をすることができる。この実施形態では、ガード導体1を、例えば後部保護層17内に窄孔した更なる孔によって、接続することができる。
【0070】
保護フィルム16、17が縁部シールを提供するように、保護フィルム16、17は通常バッキング層2より大きい。
【0071】
例えば、これらの方法は連続的に又は半連続的に操作することができ、かつ、例えば自動車の製造ラインに含むこともできるので、これらの製造方法は高度に有利である。
【0072】
図表の詳細な説明
以下の図は概略図であり、一律の縮尺に従って描かれていない。
【0073】
図1は、本開示の容量性センサフィルム50の一実施形態における前駆体の平面図であり、センサフィルム50は、センサ領域4内に配置されたセンサ導体7及びスーパーガード導体5を支承するバッキング層2を含む。センサ導体7は非連続的な設計であり、バッキング層2の長辺に平行に、すなわち長手方向に延在するいくつかの任意に扁平化した金属線から構成されている。センサ導体7の両端では、端領域でセンサ導体7の感度を向上させるために、ローブ型の端領域を提供するように、センサ導体7はこのような付加的なより短い片の金属線を含む。センサ導体7の異なった金属線が、各バッキング層2の長辺の方向に対して各々横切って傾斜し延在する2つの金属線によって、両方の端領域で接続する。スーパーガード導体5は、バッキング層2の長辺に平行に延在する薄い金属細片によって形成される。
【0074】
図2は、図1で示す線分A−Aに沿った図1の前駆体フィルムの断面図である。ガード層1はバッキング層2の幅方向に沿って全体に延在し、接着剤層3によって装着される。スーパーガード導体5及びセンサ導体7を形成する金属線は、接着剤層8、9によってガード層1の反対側のバッキング層2の前部主面に装着される。センサ導体7の金属線及び金属細片は接着剤層9内に埋め込まれるが、例えば金属線又は金属細片を各々小さい接着剤スポットによって装着することも可能である。接着剤層に埋め込まれた金属線又は細片の上に存在する小さい正方形が、埋め込まれた金属線及び細片を接続する、横切って傾斜した金属線又は細片に相当する。
【0075】
図3は、スーパーガード導体5及びセンサ導体7の間の領域内に2つの貫通孔10を適用することによって、図1の前駆体から得た容量性センサフィルム50の平面図である。
【0076】
図4は、電気的絶縁フィルム11が最初に作製された2つの貫通孔10を覆うようにバッキング層2の前面に適用された、図3の容量性センサフィルム50の平面図である。次に、絶縁フィルム11内に孔を窄孔し貫通孔10を再生する。絶縁フィルム11に窄孔した孔は、最初に作製した貫通孔10より小さい。
【0077】
図5は、補助導体12、13が適用され、それぞれスーパーガード導体5及びセンサ導体7からそれぞれの貫通孔10の領域内に延在する、図3と4の容量性センサフィルム50の平面図である。容量性センサフィルムは、自動車のバンパに挿入するために必要な形状に既に切断されている。
【0078】
図6は、図5に示す線分B−Bに沿った図5の容量性センサフィルム50の断面図である。絶縁フィルム11は、容量性センサフィルム50の前側及び後側の両方に適用され、孔はこのような絶縁フィルム11内に窄孔されて、その孔は最初に作製された貫通孔10より小さく、フィルムの周囲の縁部を孔10内に延在させ、かつ孔10の壁を覆わせていることが明らかである。絶縁フィルム11は、所定の位置で絶縁フィルム11を保持する接着剤層6を含む。バッキング15及び導電性接着剤層14を含む補助導体13はセンサ導体7に装着され、貫通孔10上を超えて孔の反対側の絶縁フィルム11まで延在している。センサ導体7を、貫通孔10を経由して容量性センサフィルム50の後側から電気的に接続可能であるが、ガード導体1を用いた電気的接続は、絶縁フィルム11の折り返された部分によって防止されることが明らかである。
【0079】
図7及び図8は、図5の線分B−Bに沿った図5の容量性センサフィルム50の断面図であり、フィルム50は、熱溶解型接着剤18(図示せず)によって、バッキング2の前部及び後部主面2a、2bの両方にシールされた保護層16、17を付加的に含む。貫通孔10を保護層17の後面まで延在するために、孔はバッキング層2の後部主面2aに適用された保護層17内に切りこまれている。ガード導体1に接続している接続細片33、センサ導体7及びスーパーガード導体5をソケットハウジング31内に一体化できるように、保護層17内の貫通孔10の幅は、バッキング層内の貫通孔10の幅を上回る。これについては、図8に示されている。図8は、線B−Bに沿った図5の容量性センサフィルム50の断面図であり、そこでは、容量性センサフィルムが付加的に、容量性センサフィルム50の後部主面51に適用されているソケット31を含む。ガード導体1とコネクタ13(センサ導体7に電気的接続されている)を、ソケット31に給電する接続用細片33に接続する。ソケット31は、加圧され、かつ密閉封止を形成するOシールリング32を含む。接着剤のガスケットをOシールリングの代わりに使用することができる。
【0080】
本開示の実施形態は、以下の非限定的な実施例にさらに示す。
【実施例】
【0081】
実施例1
クッキングホイルとして、テスコ社(Tesco Comp.,イギリス)から市販されている従来のアルミニウムホイル(厚さ20マイクロメートル)を積層して、25マイクロメートルのエチレンビニルアセテート(EVA)接着剤層を支承する、100マイクロメートルの、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを作製する。接着剤層を支承するPETフィルムは、GBC社(イギリス)から市販されていた。積層は、オフィス型ラミネーターを使用して、約110℃の温度で実施された。アルミニウム層は、ガード層として作用した。
【0082】
アルミニウムガード層の反対側のPETフィルムの主側で、3M社から登録商標「3Mアルミニウムホイルテープ425(3M Aluminum Foil Tape 425)で市販の12ミリメートル幅のアルミニウムホイルテープをPETフィルムの全長に沿って適用した。このアルミニウム細片テープは、スーパーガード層として作用した。次に、両面接着テープ(3M社から登録商標「9512」で市販)を、ガード層の反対側で、スーパーガード層隣に位置するバッキング層の主面に適用した。PETフィルムの長さ方向に沿って延在していた、一連の扁平化された銅線(すずメッキされた銅線、厚さ50マイクロメートル及び幅0.5ミリメートル、チャピオンブロス社(Chaplin Bros)イギリス、バーミンガム、から市販)を両面接着テープの露出面に適用した。金属線は、PETフィルム(すなわち、長手方向)の長辺に各々平行に配置され、間隔を5ミリメートル空けた。このような長手方向に平行に配置された金属線は、長手方向に対して横切って傾斜した方向に延在している別の扁平化された銅線によって互いに電気的に接続された。この扁平化された金属線の非連続の配置はセンサ導体を形成していた。
【0083】
コネクタ用孔をガード導体とスーパーガード導体の間のバッキング層の領域内に、技術者の窄孔道具によって、バッキング層及びガード導体を貫通して窄孔した。
【0084】
貫通孔がバッキング層の前側及び後側において覆われるように、ポリエステルフィルム感圧接着剤テープ(登録商標「8417」、3M社から市販)を、それぞれバッキング層の前部主面及びガード層の露出面に適用した。元の孔より小さい孔を、絶縁リングを得るために、ポリエステルフィルムフィルムを貫通して切り込んだ。アルミニウムホイルテープ(登録商標「Alテープ1170(Al tape 1170)」、3M社から市販)及び銅ホイルテープ(登録商標「銅ホイルテープ1181(Copper foil tape: Cu tape 1181)、3M社から市販)を適用した。アルミニウムホイル導電接着剤テープ1170、幅5ミリメートル及び25ミリメートル幅片のポリエステルテープ8417から形成される細片の積層体を、反対側の端部が貫通孔の1つの領域に延在するように、センサ導体に電気的に接続した。25ミリメートル幅片のポリエステルテープ8417上の幅5ミリメートルの銅ホイル導電接着剤テープ1181の細片の積層体を、反対側の端部が他の貫通孔の領域に延在するように、スーパーガード導体に電気的に接続した。2つの導電性テープ細片の間が5ミリメートルの間隙になるように、積層体細片を適用した。
【0085】
このように得た容量性センサフィルムを、熱融着保護ポリエステルフィルム(25マイクロEVA熱溶融接着剤、GBC社、イギリス、から市販)を有する50マイクロPETフィルム)の2つの片の間に積層した。適切な孔を、貫通孔を覆う容量性センサフィルムの後側の領域に適用された保護ポリエステルフィルム内に切り込んだ。
【0086】
最後に、サンケミカル社(Sun Chemiclas)から入手可能な導電性の銀インクを貫通孔に充填して乾燥した。そこで、ソケットボディを適用した。容量性センサフィルムを成形するために整えて、コネクタを電気的に接続するために適用した。
【0087】
実施例2
実施例1を、イギリス、アルカン社(Alcan)から入手可能な厚さが6.35マイクロメートルのアルミニウムホイルを使用して、繰り返した。ホイルを積層して80マイクロメートルの厚さの、充填されたポリプロピレンフィルム(登録商標「FPO」(20マイクロメートルの酢酸ビニルエチレン接着剤層を支承する)、スウェーデン、RKW社から入手可能)を作製する。FPOフィルムは、吹込みフィルムであり、ポリプロピレンマトリックス内で結合した炭酸カルシウム及びタルク粒子を含む。アルミニウムホイルを、温度90℃でオフィスラミネーターを使用して、積層して接着剤層をFPOフィルム上に作製する。
【0088】
次に、センサ導体とスーパーガード導体を適用して、貫通孔を提供して、8417テープで覆って、実施例1で記載されているように元の貫通孔より小さい孔を提供するために窄孔された。
【0089】
幅5ミリメートルの細片アルミニウムホイル(厚さ20マイクロメートル、テスコ社(Tesco Comp.,)イギリスからクッキングホイルとして市販)及び幅25ミリメートルの細片のポリエステルテープ登録商標「8417」からなる細片の積層体は、各々反対側の端部が貫通孔の1つの領域に延在するように、センサ導体及びスーパーガード導体の各々にそれぞれ電気的に接続された。他の詳細については、実施例1で記載されているように選択された。
【0090】
得られた容量性センサフィルムを、実施例1で記載されている2つの熱と保護FPOフィルム(25マイクロメートルEVA層を有する厚さ60マイクロメートル)の間で積層した。それぞれ各接続領域を通じてクロスカットを形成して、小さな機械ネジを押し込み、座金とナットをガード導体側に適用して、締め付けてセンサ導体とスーパーガード導体とをそれぞれに電気的接続を形成することによる圧力接触を用いて、接続が得られる。
【0091】
実施例3
実施例1を繰り返した。しかし、アルミニウムホイル及びPETフィルムの積層体の代わりに実施例2で使用されたように、300〜500オングストロームのアルミニウム蒸気塗膜(アムコール社(Amcor)、イギリス)を支承する12マイクロメートルのPETフィルムを含むアルミニウムフィルムを積層してFPOフィルムを作製した。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本開示の一実施形態の容量性センサフィルム50の前駆体のバッキング層2の前部主面の平面図である。
【図2】図1に示される線分A−Aに沿った図1の前駆体フィルムの断面図である。
【図3】2つの貫通孔10を含む容量性センサフィルム50の断面の平面図である。
【図4】貫通孔10を覆う電気絶縁フィルム11を付加的に含む図3の容量性センサフィルムの平面図である。
【図5】センサ導体7及びスーパーガード導体5とそれぞれ電気的に接続し、貫通孔の領域に延在する2つの付加的な補助導体12、13を含む図4の容量性センサフィルム50の平面図である。
【図6】図5に示される線分B−Bに沿った図5の容量性センサフィルム50の断面図である。
【図7】2つの保護層16と17を付加的に含む図5の容量性センサフィルム50の断面図である。
【図8】フィルム50の後部主面51に適用されるソケット31を有する図5の容量性センサフィルムの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディに取り付けるための容量性センサフィルム(50)であって、前記フィルムが、使用時にボディに面する後部主面(2a)を片側に、前部主面(2b)を他方の側に有する誘電性のバッキング層(2)を含み、前記後部主面(2a)はガード導体(1)を支承し、前記前部主面(2b)はセンサ導体(7)を支承し、内壁によって画定される少なくとも1つの貫通孔(10)が前記フィルムのそれぞれ反対側から前記導体の1つに電気的接続ができるように前記バッキング層を貫いて延在し、そこでは、前記貫通孔の前記内壁が少なくとも部分的に電気絶縁フィルム(11)によって覆われている、容量性センサフィルム(50)。
【請求項2】
前記前部主面(2b)がスーパーガード導体(5)を付加的に支承し、前記ガード導体(1)及び前記センサ導体(7)と接続することができる前記フィルムの前記の側と前記スーパーガード導体(5)を電気的に接続することができる、請求項1に記載の容量性センサフィルム。
【請求項3】
前記電気絶縁フィルム(11)が前記バッキング層(2)の少なくとも前記主面の1つから前記貫通孔(10)内に延在する、請求項1又は2に記載の容量性センサ。
【請求項4】
電気絶縁フィルム(11)が前記貫通孔(10)の内壁に接着している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容量性センサフィルム。
【請求項5】
前記電気絶縁フィルムが前記貫通孔(10)の周囲の前記バッキング層(2)の主面にも接着している、請求項4に記載の容量性センサフィルム。
【請求項6】
前記電気絶縁フィルムが前記貫通孔の前記壁及び前記バッキング層の前記主面に接着剤により接着している、請求項5に記載の容量性センサフィルム。
【請求項7】
前記貫通孔(10)に位置合わせされて前記フィルムに孔が形成され、前記フィルムの周囲部を前記貫通孔に押し込み、その貫通孔の内壁に接着している、請求項5又は6に記載の容量性センサフィルム。
【請求項8】
前記又は各貫通孔(10)が、前記センサ導体(7)の領域を貫いて延在しないように配置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の容量性センサフィルム。
【請求項9】
補助コネクタ(13)が前記センサ導体(7)に電気的に接続され、前記バッキング層(2)の前記主面(2b)に本質的に平行に、少なくとも部分的に前記貫通孔(10)の上に延在する、請求項8に記載の容量性センサフィルム。
【請求項10】
電気コネクタ(33)が前記フィルムの片側に配置されているソケット(31)に給電できるように、前記ガード導体(1)、前記センサ導体(7)、及び、存在する場合は、前記スーパーガード導体(5)が、前記電気コネクタ(33)を備えていて、そこでは前記電気コネクタの1つが前記貫通孔(10)を貫いて延在する、請求項1〜9のいずれかに記載の容量性センサフィルム。
【請求項11】
前記貫通孔(10)が導電性材料で充填されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の容量性センサフィルム。
【請求項12】
前記バッキング層(2)の前記後部主面(2a)及び/又は前記バッキング層(2)の前記前部主面(2a)に適用される1つ以上の保護層(16、17)を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の容量性センサフィルム。
【請求項13】
前記保護層(16、17)が互いに前記センサフィルム(50)の縁部(53)の周囲に積層され、それによって縁部のシールを形成するように、前記保護層の延在部が、前記センサフィルム(50)の長さ方向と幅方向の両方向における前記バッキング層(2)の延在部を超える、請求項12に記載の容量性センサフィルム。
【請求項14】
前記センサ導体(7)が、前記バッキング層(2)の前記前部表面に接着剤層により接合されている金属フィルムであるか、又は前記バッキング層(2)の前記前部表面に金属蒸気被膜法によって適用されている、請求項1〜13のいずれかに記載の容量性センサフィルム。
【請求項15】
前記センサ導体(7)が導電性フィルム又は導電性インクを含む導電性パターンである、請求項1〜14のいずれかに記載の容量性センサフィルム。
【請求項16】
前記センサ導体(7)が連続的な若しくは非連続的な1つ以上の金属領域を形成し、前記複数の非連続的な領域が電気的に接続される、請求項1〜15のいずれかに記載の容量性センサフィルム。
【請求項17】
前記ガード導体(1)が、前記バッキング層(2)の前記後部表面に接着剤層(3)により接合されている金属フィルムであるか、又は前記バッキング層(2)の前記後部表面に金属蒸気被膜法によって適用されている、請求項1〜16のいずれかに記載の容量性センサフィルム。
【請求項18】
前記ガード導体(1)の領域が前記センサ導体(7)及び、存在している場合、前記スーパーガード導体(5)をシールドするために選択される、請求項1〜17のいずれかに記載の容量性センサフィルム。
【請求項19】
容量性センサフィルムの製造方法であって、
(i)後部主面(2a)及び前部主面(2b)を含むバッキング層(2)を提供する工程と、
(ii)前記バッキング層(2)の前記後部主面(2a)にガード導体(1)を適用する工程と、
(iii)前記バッキング層(2)の前記前部主面(2b)にセンサ導体(7)を適用する工程と、
(iv)前記ガード導体(1)、前記センサ導体(7)、及び所望により前記スーパーガード導体(5)が積層体の1つの主面(51、52)から電気的に接続されるように、前記バッキング層(2)を貫通して延在する1つ以上の貫通孔(10)を提供する工程と、を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の容量性センサフィルムの製造方法。
【請求項20】
電気絶縁フィルムを貫通孔全体にわたり前記バッキング層の主表面に適用し、電気絶縁フィルムに前記貫通孔に位置合わせして孔を形成し、さらに前記電気絶縁フィルムの周囲部を前記貫通孔に押し込み、少なくともその壁の一部を被覆する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−524199(P2009−524199A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551404(P2008−551404)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/001395
【国際公開番号】WO2007/084646
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】