説明

接触センサー

【課題】従来の接触を評価する手段としては接触した瞬間、接触部を機械的に稼動させ電気的な接触をOn/Offさせる。あるいは圧電素子による電場を発生させる等が行われてきた。これら方法では高感度を得ようとすると誤動作が多くなる。またこれらに使用される接触センサーにおいては支持体が湾曲した場合接点間にばらつきが生じ、動作自体がばらついてしまい正確な動作が得られない。さらに従来の機械的なスイッチ方式の接触センサーでは透明にするのが困難であり、例えばショウケース等に使用される透明なガラスあるいはプラスティック自体を防犯に使用する用途への使用は困難であった。
【解決手段】この改善策として光導波路の導波面に物体が接触すると導波する光が大きく減衰する原理を利用することにより簡便に且つ高感度に検知できる、また検知部が湾曲しても問題なく動作する。また検知部は支持体を透明体とすることで、全体を透明にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高感度で曲面や擾乱の多い場所でも検知可能で且つ透明にすることが可能な接触センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の接触を評価する手段としては接触した瞬間、接触部を機械的に稼動させ電気的な接触をOn/Offさせる。 あるいは圧電素子による電場を発生させる等が行われてきた。この方法では風圧、水圧といった圧力でも動作してしまい高感度を得ようとすると誤動作が多くなってしまうという問題があった。例えば競泳のタッチパネルがこれに当たる。またこれらに使用される接触センサーにおいては支持体が湾曲した場合接点間にばらつきが生じ、動作自体がばらついてしまい正確な動作が得られない。さらに従来の機械的なスイッチ方式の接触センサーでは透明にするのが困難であった。この為例えばショウケース等に使用される透明なガラスあるいはプラスティック自体を防犯に使用する用途への使用は困難であった。
【0003】
この改善策として光導波路の導波面に物体が接触すると導波する光が大きく減衰する原理を利用することにより簡便に且つ高感度に検知できる。光導波路の屈折率を適切に選ぶことで、検知部が湾曲しても問題なく動作する。また検知部は支持体を透明体とすることで、全体を透明にできる。
【特許文献1】特開平8−257196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の接触部を検知するシステムでは風圧、あるいは水圧の影響を受けやすく微妙な接触を検知することが困難であった。また保持部分が湾曲した場合検知の為の感度が低くなり誤動作しやすくなった。さらに、透明にすることが困難な為、例えば防犯用のガラスに使用することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するために、本発明における接触センサーにおいては、光源及び光導波路に光を導入する手段を待つ発光部及び光学系及び表面に接触したことを検知する光導波路と光導波路で導波している光を外部へ取り出し、光を検知する光学系及び検知部と検知した信号より接触度合いを調べる情報処理部よりなる構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる接触センサーは、光導波路上に生物あるいは物体が触れることにより、導波中の光の一部が生物あるいは物体に吸収され、結果として入射光と出射光の差分の時間変化として検知される。このような方法によれば稼動部が無い為、風圧や水圧の影響を受ける心配も無く、また感度は光導波路の厚さで制御することができる。さらに光導波路のコア部分の屈折率がクラッドとなる部分の屈折率より十分大きければある程度湾曲させて使用することができる。さらに支持体を透明にすれば、外観からセンサーの有無の判別を困難にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明の構成を説明する為の模式図である。発光部1、光学系a2、検知部3、 光学系b4、受光部5、情報処理部6 、により構成される。
【0008】
発光部1は例えば半導体レーザー及び駆動回路並びに発光ダイオードと駆動回路等及より構成され、制御された光を光学系a2に入射させる。この際光の一部を部分反射鏡で分離し、検知器でモニターする場合もある。
【0009】
光学系a2はシリンドリカルレンズ等を単体あるいは組み合わせることによりなる。この効果は光導波路の平面方向には広がりを持たないように集光し、垂直方向には適度な角度を持つよう集光される。光導波路が薄い場合、集光光学系以外に光導波路に光を結合させる必要がある。図3はグレーティングカプラを使用する場合であり。図4.はプリズムを用いる場合である。
【0010】
検知部3は支持体8の上に構成された光導波路によりなる。これは光を損失無く導波させるものであり、光導波路外部より屈折率が高くなるよう材料が選択される。例えば二酸化チタン、5酸化タンタル、窒化珪素、二酸化珪素、酸化ジルコニア、アクリル、ポリイミド等が考えられる。検知部は図1に示すように単なる平板でも良いがよりS/N比を上げるためには請求項2に示すように複数の短冊状の光導波路を反射体により結合した方が良い、この例を図2に示す。
【0011】
支持体8の全部あるいは光導波路に接する部分には光導波路より屈折率の低い無機物あるいは有機物である。二酸化珪素あるい窒化珪素等あるいはアクリル等が考えられる。さらに接触検知側では光導波路そのものの表面を用いるか、光導波路が外部環境により変化する場合光導波路表面に光導波路より屈折率の低い層を波長の1/100程度以上設ける場合もある。具体的には水分の影響を受けやすい二酸化窒素に対し表面に二酸化珪素を設けたほうが良い場合もある。
【0012】
請求項2に示される反射部は図2、に示されるように例えば一定の角度をつけられた面より構成された光導波より構成される。例えば屈折率2.44のTiO2を用いた場合 屈折率約1.73の媒質まで45°の角度で全反射をおこす。屈折率差が不十分な場合、反射面に誘電体多層膜あるいは金属反射膜が成膜する必要がある。
【0013】
光導波路である検知部3の動作としては、図5.示すように光が導波している略平面に物体あるいは生物が触れた場合、導波している光はそのエバネッセント波として光導波路平面より電界が飛び出しており、これが物体あるいは生物に吸収される。
【0014】
3.検知部より出射された光は光学系b4.により光学系b4で集光され受光部5により検知される。ここで図3、及び図4に示すようにグレーティングあるいはプリズムを用いて一定の角度に導波光を出射させ、この角度で受光する方法がある。通常は集光レンズのみで良いが、外部からの光が強い場合一定角度の光のみを受光する方がよりS/Nを高く取れる。
【0015】
受光部5はフォトダイオード、フォトランジスター、光電子増倍管等で構成され、光学系b4を通ってきた光を電気信号に変換させる。
【0016】
情報処理部6であるが、単純に光の時間変化を調べる方法、入射光に一定周期のパルスあるいは変動を与えておき受光時に入射光と同一周期の変動を持つ信号のみを捕らえる方法(通常ロックインアンプと呼ばれる回路構成)等で外部からの擾乱に対しS/Nを大きくする場合もある。
【0017】
この接触センサーの製造方法としては例えば最初に検知部の光導波路であるがプラスティックあるいはガラス基板よりなる支持基板上に光導波路となる物質をコーティングし、これを個別の光導波路となるようパターニングする方法がある。コーティング方法としては薄いものであればPVDあるいはCVD等の真空装置による成膜、スピンコーターあるいはロールコーターによる液状のプラスティックあるいはレジスト自体あるいは樹脂あるいはゾル状物質のコーティングがある。厚いものでは光導波となるフィルムを貼り付けパターニングする、あるいは感光性のフィルムを貼り付けパターニングする方法等がある。またパターニングを用いず部分的に不純物を導入し屈折率を高め光導波路とする方法もありえる。
【実施例1】
【0018】
図4はグレーティングによる結合部を用いて光を光導波路内へ導入する方式を示している。図6.はグレーティングを用いた例での光導波路への光学系1における作用を示す断面図である。
【0019】
基板は透明樹脂、プラスティックあるいはガラスでありこの上に100nm程度厚のSiO2さらに光導波路となる0.8μm程度のTiO2さらに保護幕である10nm程度厚のSiO2がPVDあるいはイオンプレーティングにより成膜されている。この光導波路はスクリーン印刷あるいはフォトリソ等とウエットあるいはドライエッチングで短冊状の複数の細長い光導波路として形成されている。個々の光導波路は光導波路を分離形成したのと同時にフォトリソ等とウエットあるいはドライエッチングにより形成される。
【0020】
反射部7については光導波路10がTiO2である為空気中あるいは水中で使用する場合は
【0021】
次に図5は1.光導波路に光を入射させる部分の断面構造を示す。光導波路となる端部の支持体にはグレーティングとなる凹凸がエンボス技術により形成されている。発光部である半導体レーザーは内蔵されたレンズにより並行光となり、またその一部は部分反射鏡により分岐されモニターされている。この場合、半導体レーザーの偏波方向と光導波路の垂直方向を一致させるほうが望ましい
【0022】
この光は基板に垂直に入射し、基板端部に設けられた傾斜部で部分反射し、望ましい角度でグレーティング部分に入射し、光導波が起こる。導波を終えた光はレンズにより集光され受光部に入射し、電気情報として検知される。発光部の半導体レーザーの出力モニターと受光部の信号の比を基準電位と比較し、基準電位以上であれば以上信号が外部に出力される。
【実施例2】
【0023】
感度が低くても良い場合は、光導波路を波長より十倍程度以上厚くし、単純に光導波路端部より光を入射させる方法がより安価に製作できる。光導波路端部よりレーザー光を入射させ導波させるが、光導波路の垂直方向には広がりを、水平方向はほぼ平行に光を入射させるよう光学系は最適化される。また、さらには半導体レーザーの偏波方向が光導波路検知面を垂直に横切るようさせる方が望ましい。基板はガラスあるいは透明樹脂、透明プラスティック等によりなる。
【0024】
この上に、より屈折率の高い透明樹脂あるいはプラスティックをロールコート、スピンコート、フィルムラミネート等により形成する。支持基板として不透明な材料を用いる場合屈折率の低い材料を支持基板表面に先に成膜しても良い。反射部は金属ミラー、誘電体多層膜、あるいは外部の媒質によっては単純に全反射によるミラーにより構成される。光学系2は単純にレンズで良い。この方式は多少、外部の影響を受けやすい為ロックインアンプ等のノイズ低減化の手段を用いた信号処理を行い、ノイズを減衰させる方がより望ましい。
【0025】
さらにこのような検知部である光導波路を、例えば図7に示すように導波方向に平行、あるいは垂直でも複数並べ、それらを結合部品17により光学的に結合させることにより自由に面積を変更することができる。
【0026】
以上説明したように、本発明の接触センサーによれば非常に軽微な接触を検知することができ且つ外部擾乱に強く、安価に製造することができる。さらに曲面などの他の検知方法が測定困難な場所でも用意に用いることができる。さらに支持基板を透明にすることで見えにくい状態で設置できる。
図の説明
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】.本発明の基本的な構造を示す図である。
【図2】.実施例2に基づく接触センサーの全体の模式図である。
【図3】.外部からの光を光導波路内に入射させるのにグレーティングを用いる場合の模式図である。
【図4】.外部からの光を光導波路内に入射させるのにプリズムを用いる場合の模式図である。
【図5】.簡単な動作原理を示す図である。
【図6】.実施例1に基づく光導波路に光を導く部分の断面図である。
【図7】.実施例3に基づく接触センサーの組み合わせ図である。
【符号の説明】
【0028】
1.発光部
2.光学系a
3.検知部
4.光学系b
5.受光部
6.情報処理部
7.反射部
8.支持体
10.光導波路
11.反射部
12.プリズム
13.グレーティング
14.光線
15.エバネッセント波
16.指
17.結合部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物あるいは物体が略平面に触れることにより反応するセンサーに
おいて、光を導波させた略平板表面に、物体あるいは生物が触れることにより導波
している光の一部を触れた物体あるいは生物に吸収させる検知部と、検知部に光り
を導入させる光導入部と、導波した光を外部に取り出し光を検知し電気信号に変換
する検知部と、変換された信号を接触の状態として測る情報処理部よりなる接触セ
ンサー。
【請求項2】
請求項1において、検知部が複数の光導波路の組み合わせからなることを特徴とした接触センサー
【請求項3】
検知部を光学的に複数組み合わせるにより大きな面積をカバーすることを特徴とした請求項1及び請求項2の接触センサー

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−29883(P2006−29883A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206699(P2004−206699)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(304031209)有限会社NMST技研 (2)
【Fターム(参考)】