説明

換気扇付きサッシ

【課題】窓サッシの枠体と換気扇の枠体を別体とでき、これらの連結が容易で連結部分の意匠性にも優れた換気扇付きサッシを提供する。
【解決手段】サッシ枠体1と、その上部に結合され内部に換気扇4を納めた換気扇枠体2とを備え換気扇枠体2の下枠21はサッシ上枠10と結合され、換気扇枠体2は室内側に張り出した張出部23を備えると共に、換気扇4は換気扇枠体2の張出部23に取付けられ、サッシ上枠10は室内縁部に室内側に向かって突出するアングル部13を備えて換気扇4の張出部23との間に隙間部45を形成し、隙間部45は室内側からカバー材46が取付けられて覆われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓サッシの上部に換気扇の枠体を結合してなる換気扇付きサッシに関し、特に窓サッシの枠体と換気扇の枠体が別体でありながら一体感のある内観を有する換気扇付きサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物開口部に設けられる窓サッシの上部に換気扇を設けた換気扇付きサッシが知られている。従来の換気扇付きサッシにおいては、窓サッシの上枠と換気扇を納める換気扇枠を構成する下枠とが兼用されており、したがって窓サッシの枠体と換気扇の枠体とが一体化されていた。このような換気扇付きサッシとしては例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平10−131640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、窓サッシには引き違いサッシや開き窓など様々な種類のものがあり、それぞれ枠体の構造が異なっている。窓サッシの枠体と換気扇の枠体とが一体であると、それぞれの種類の窓について、換気扇の枠体を構成する下枠と兼用される窓サッシの枠体の上枠を用意する必要がありコストアップにつながる。窓サッシに通常の枠体を用いるためには、窓サッシの枠体と換気扇の枠体とを別体とする必要があるが、これらの連結が容易でかつ連結部分の意匠性にも優れたサッシが求められていた。
【0004】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、窓サッシの枠体と換気扇の枠体を別体とでき、これらの連結が容易で連結部分の意匠性にも優れた換気扇付きサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る換気扇付きサッシは、サッシ上枠とサッシ下枠及び左右のサッシ縦枠を枠組みしてなるサッシ枠体と、該サッシ枠体の上部に連結され上下枠及び左右の縦枠を枠組みし内部に換気扇を納めてなる換気扇枠体とを備えた換気扇付きサッシにおいて、
前記換気扇枠体の下枠は前記サッシ上枠と結合され、前記換気扇枠体は室内側に張り出した張出部を備えると共に、前記換気扇は前記換気扇枠体の張出部に取付けられ、
前記サッシ上枠は室内縁部に室内側に向かって突出するアングル部を備えて前記換気扇の張出部との間に隙間部を形成し、該隙間部は室内側からカバー材が取付けられて覆われることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係る換気扇付きサッシは、前記換気扇枠体の下枠は少なくとも前記アングル部と前記換気扇の張出部との間の室内側部において前記サッシ上枠と重合されると共に、室内側からネジまたはビス止めされて結合され、該ネジまたはビスは前記カバー材により覆われることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係る換気扇付きサッシは、前記換気扇枠体の下枠とサッシ上枠は室外側部または中間部において互いに係合または当接されていることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係る換気扇付きサッシは、前記換気扇枠体の下枠には室内側に突出し前記張出部を構成する受け片が形成され、該受け片と前記アングル部の間に前記隙間部が形成されることを特徴として構成されている。
【0009】
そして、本発明に係る換気扇付きサッシは、前記受け片は前記アングル部と略同じ高さ突出するように形成され、前記カバー材は室内側面が前記受け片及びアングル部の室内側先端部と連係して連続状とされてなることを特徴として構成されている。
【0010】
また、本発明に係る換気扇付きサッシは、前記受け片とカバー材は係合により固定され、前記アングル部とカバー材はネジまたはビス止めにより固定されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る換気扇付きサッシによれば、換気扇は換気扇枠体の張出部に取付けられ、サッシ上枠は室内縁部に室内側に向かって突出するアングル部を備えて換気扇の張出部との間に隙間部を形成し、隙間部は室内側からカバー材が取付けられて覆われることにより、換気扇が室内側寄りに配置されることにより形成される張出部とサッシ上枠との間に生じる連結部分をカバー材により覆うことができるので、サッシ枠体と換気扇枠体を別体とでき、かつ連結部分の意匠性にも優れたものとすることができる。
【0012】
また、本発明に係る換気扇付きサッシによれば、換気扇枠体の下枠は少なくともアングル部と換気扇の張出部との間の室内側部においてサッシ上枠と重合されると共に、室内側からネジまたはビス止めされて結合され、ネジまたはビスはカバー材により覆われることにより、ネジまたはビス止めを室内側から行うので連結作業が容易であり、かつそのネジまたはビス止め部分をカバー材により覆うことができるので、意匠性にも優れたものとすることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る換気扇付きサッシによれば、換気扇枠体の下枠とサッシ上枠は室外側部または中間部において互いに係合または当接されていることにより、サッシ枠体と換気扇枠体を強固に連結できると共に、これらの間の水密性も確保することができる。
【0014】
さらにまた、本発明に係る換気扇付きサッシによれば、換気扇枠体の下枠には室内側に突出し張出部を構成する受け片が形成され、受け片とアングル部の間に隙間部が形成されることにより、受け片をカバー材取付けの基準面にすることができ、張出部の他の部分の形状にかかわらずカバー材を容易に取付けることができる。
【0015】
そして、本発明に係る換気扇付きサッシによれば、受け片はアングル部と略同じ高さ突出するように形成され、カバー材は室内側面が受け片及びアングル部の室内側先端部と連係して連続状とされてなることにより、カバー材と受け片及びアングル部を連続的に構成することができて、室内側から見た意匠性をより高めることができる。
【0016】
また、本発明に係る換気扇付きサッシによれば、受け片とカバー材は係合により固定され、アングル部とカバー材はネジまたはビス止めにより固定されることにより、カバー材の受け片側における取付けを容易にすることができると共に、アングル部側はネジ止めにより強固に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1は本実施形態における換気扇付きサッシの室内側から見た正面図である。この図に示すように本実施形態における換気扇付きサッシは、建物開口部に取付けられるサッシ枠体1の上部に、換気扇4を内部に納めた換気扇枠体2を連結し、サッシ枠体1の内部には障子3を納めてなるものである。また、サッシ枠体1と換気扇枠体2の連結部分には、カバー材46を設けてある。
【0018】
図2は本実施形態における換気扇付きサッシの縦断面図、図3は換気扇付きサッシのサッシ部分における横断面図、図4は換気扇付きサッシの換気扇部分における横断面図である。サッシ枠体1は、図2及び図3に示すように、サッシ上枠10とサッシ下枠11及び左右のサッシ縦枠12、12を方形状に枠組みして構成されている。各枠材は、アルミの押出部材により形成される金属部の室内側面を樹脂部により覆われており、断熱性及び意匠性の向上を図っている。また、各枠材の室内縁部には室内側に向かって突出するアングル部13が形成されている。なお、アングル部13はサッシ枠体1の室内端部に設けられることから、各枠材の樹脂部に形成されている。サッシ下枠11とサッシ縦枠12においては、アングル部13がサッシの室内側における内周縁として配置される額縁部材50の内周面に当接し、ビス止め固定される。
【0019】
サッシ枠体1の内部に納められる障子3は、図2及び図3に示すように、上框30と下框31及び左右の縦框32、32を方形状に框組みしてなる框体5内にガラス体6を納めてなるものである。框体5を構成する各框材も、サッシ枠体1の枠材と同様に金属部の室内側露出面を樹脂部により覆ってなるもので、断熱性及び意匠性の向上を図っている。本実施形態では、障子3はサッシ枠体1に対して縦辷り出し窓として納められている。
【0020】
サッシ枠体1の上部に連結される換気扇枠体2は、図2及び図4に示すように、上枠20と下枠21及び左右の縦枠22、22を方形状に枠組みして構成されている。換気扇4は換気扇枠体2内の室内側寄りに配置され、それに対応して換気扇枠体2は室内側に張り出した張出部23を有している。また、換気扇枠体2の室内側面には室内側パネル24が、室外側面には室外側パネル25が、それぞれ取付けられる。室内側パネル24には、換気扇4に室内側の空気を取り込むための吸入口24aが形成され、また室外側パネル25には、換気扇4からの空気を室外に排出するための排出口25aが形成される。
【0021】
図4に示すように、換気扇4は回転軸が室内外方向と直交するように配置されており、室内側パネル24の中央部付近に設けられた吸入口24aから取り込まれた室内側の空気は、換気扇4により図4中の右側のサッシ縦枠12側に導かれ、その領域から室外側パネル25の排出口25aを介して室外側に排出される。
【0022】
図2に示すように、室外側パネル25の排出口25a近傍の室内側面には当接片25bが室内外方向に振れることができるように支持されている。また、下枠21の上部には上方に向かって突出し当接片25bの下端部と対向する突起部21aが形成されており、突起部21aの室外面には気密材21bが設けられている。当接片25bは室外側から風が吹き込んだ際に室内側に揺動し、下端部が下枠21の突起部21aに設けられた気密材21bに当接することで、換気扇枠体2において室内側に向かって空気が逆流しないようにしている。
【0023】
次に、サッシ枠体1と換気扇枠体2の連結構造について説明する。図5には、図2のうちサッシ枠体1と換気扇枠体2の連結部分を拡大した縦断面図を示している。上述のように、サッシ枠体1のサッシ上枠10と換気扇枠体2の下枠21とが連結されることで、サッシ枠体1と換気扇枠体2とが一体化されている。
【0024】
サッシ上枠10の室外側上面には室外側に向かって開口する溝状の被係合部15が形成されており、一方で下枠21の下面には被係合部15と対応する部分に、断面L字状の係合部27が形成されていて、これらによってサッシ上枠10と下枠21は室外側部において係合固定がなされている。また、下枠21の下面の室内外方向中間位置には、断面略L字状に突出する当接部28が形成されると共に、その先端部には水密材28aが設けられていて、水密材28aがサッシ上枠10の上面に当接する。これによってサッシ上枠10と下枠21は室内外中間部において当接による水密がなされている。
【0025】
また、下枠21の下面室内側端部には、下方に向かって突出する突出部29が形成され、サッシ上枠10の金属部における室内側面16と重合状態とされると共に、室内側からネジ40により固定されている。このように、サッシ上枠10と下枠21は、室外側で係合固定され、中間部で当接による水密がなされ、室内側でネジ固定される連結構造を有している。これにより、水密材28aにより水密性を確保しつつ、係合及びネジ固定によって両者を強固に固定することができると共に、ネジ固定を室内側から行うことができるので、作業性をよくすることができる。なお、係合固定と水密については逆の配置、すなわち室外側で水密をなし、中間部で係合固定するようにしてもよい。また、ネジ固定に代えてビス固定してもよい。
【0026】
下枠21の室内側面の下端部近傍には、室内側に向かって突出し換気扇枠体2の張出部23の下面の一部を構成する受け片26が形成されている。受け片26はサッシ上枠10の樹脂材に形成されたアングル部13と略同じ高さだけ突出しており、受け片26とアングル部13及びサッシ上枠10と下枠21の突出部29との重合部分によって、凹状の隙間部45を形成している。この隙間部45には、それを室内側から覆うようにカバー材46が設けられる。これによって、サッシ上枠10と下枠21の連結部分、特にネジ止めした部分を覆うことができて、サッシの内観を向上させることができる。
【0027】
カバー材46は断面中空状の樹脂材からなり、受け片26側の側面は受け片26に対して係合固定され、アングル部13側の側面はアングル部13に対してネジ41によって固定される。受け片26は張出部23の一部を構成しており、受け片26の上面側からカバー材46をネジ止めするのは困難であるため、カバー材46と受け片26は係合により固定している。また、カバー材46の室内側面46aは両端部がそれぞれ受け片26の先端部とアングル部13の先端部に連係し、略連続状となるようにされていて、サッシ枠体1と換気扇枠体2が一体感を奏するようにしている。
【0028】
図6には、サッシ枠体1と換気扇枠体2及びカバー材46の分解図を示している。サッシ上枠10と下枠21は、上述のように室外側で係合部27と被係合部15が係合固定され、中間部で当接部28の水密材28aがサッシ上枠10上面に当接し、室内側でサッシ上枠10の室内側面16と下枠21の突出部29が重合状態とされてネジ40によりネジ止めされることによって連結される。なお、ネジ止めに代えてビス止めしてもよい。
【0029】
サッシ上枠10と下枠21が連結されることによって、サッシ上枠10のアングル部13と下枠21の受け片26との間に隙間部45が形成され、隙間部45にはカバー材46が室内側から取付けられる。カバー材46は受け片26とは係合固定され、アングル部13とはネジ41によりネジ止めされて固定され、その室内側面46aは受け片26の先端部及びアングル部13の先端部と連係して略連続状とされる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用はこの実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態ではサッシ枠体1には縦辷り出し窓が納められる構成であるが、窓の種類はこれに限られず、嵌め殺し窓や開き窓、あるいは引き違い窓などどのような種類の窓であってもよい。また、本実施形態では金属材の室内側露出面に樹脂材を設けた複合サッシを示したが、金属材のみからなる金属サッシであっても本発明を適用することができる。さらには、本実施形態では張出部23の一部である受け片26にカバー材46を取付けたが、受け片26を必ず設ける必要はなく、張出部23とアングル部13の間に隙間部45を形成し、そこにカバー材46を取付けるような構造とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態における換気扇付きサッシの室内側から見た正面図である。
【図2】換気扇付きサッシの縦断面図である。
【図3】換気扇付きサッシのサッシ枠体部分の横断面図である。
【図4】換気扇付きサッシの換気扇枠体部分の横断面図である。
【図5】サッシ枠体と換気扇枠体の連結部分を拡大した縦断面図である。
【図6】サッシ枠体と換気扇枠体及びカバー材の分解図である。
【符号の説明】
【0032】
1 サッシ枠体
2 換気扇枠体
3 障子
4 換気扇
5 框体
6 ガラス体
10 サッシ上枠
11 サッシ下枠
12 サッシ縦枠
13 アングル部
20 上枠
21 下枠
22 縦枠
23 張出部
26 受け片
45 隙間部
46 カバー材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ上枠とサッシ下枠及び左右のサッシ縦枠を枠組みしてなるサッシ枠体と、該サッシ枠体の上部に連結され上下枠及び左右の縦枠を枠組みし内部に換気扇を納めてなる換気扇枠体とを備えた換気扇付きサッシにおいて、
前記換気扇枠体の下枠は前記サッシ上枠と結合され、前記換気扇枠体は室内側に張り出した張出部を備えると共に、前記換気扇は前記換気扇枠体の張出部に取付けられ、
前記サッシ上枠は室内縁部に室内側に向かって突出するアングル部を備えて前記換気扇の張出部との間に隙間部を形成し、該隙間部は室内側からカバー材が取付けられて覆われることを特徴とする換気扇付きサッシ。
【請求項2】
前記換気扇枠体の下枠は少なくとも前記アングル部と前記換気扇の張出部との間の室内側部において前記サッシ上枠と重合されると共に、室内側からネジまたはビス止めされて結合され、該ネジまたはビスは前記カバー材により覆われることを特徴とする請求項1記載の換気扇付きサッシ。
【請求項3】
前記換気扇枠体の下枠とサッシ上枠は室外側部または中間部において互いに係合または当接されていることを特徴とする請求項2記載の換気扇付きサッシ。
【請求項4】
前記換気扇枠体の下枠には室内側に突出し前記張出部を構成する受け片が形成され、該受け片と前記アングル部の間に前記隙間部が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の換気扇付きサッシ。
【請求項5】
前記受け片は前記アングル部と略同じ高さ突出するように形成され、前記カバー材は室内側面が前記受け片及びアングル部の室内側先端部と連係して連続状とされてなることを特徴とする請求項4記載の換気扇付きサッシ。
【請求項6】
前記受け片とカバー材は係合により固定され、前記アングル部とカバー材はネジまたはビス止めにより固定されることを特徴とする請求項5または6記載の換気扇付きサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−170107(P2007−170107A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371716(P2005−371716)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】