説明

換気装置及びこれに用いる熱交換ユニット

【課題】 換気による室内の温度変化を抑制することができる換気装置及びこれに用いる熱交換ユニットを提供すること。
【解決手段】 屋外4の空気を室内に給気するための給気ダクト8と、給気ダクト8を通して流れる空気との間で熱交換を行うための熱交換手段16と、を備える。熱交換手段16は、熱搬送媒体を供給するための熱源機46と、給気ダクト8に配設された伝熱パイプ44と、熱源機46と伝熱パイプ44とを接続する供給ライン48及び戻りライン49と、を有し、熱源機46からの熱搬送媒体は、供給ライン48、伝熱パイプ44及び戻りライン49を通して循環される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を換気するための換気装置及びこれに用いる熱交換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅の高気密化による結露や建材等から発生する有害物質の滞留を防止するという観点から、室内の空気を換気するための換気装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この換気装置は、室内の空気を屋外に排気するための排気ダクトと、排気ダクトに配設された排気ファンと、屋外の空気を室内に給気するための給気ダクトと、給気ダクトに配設された給気ファンと、を備えている。
【0003】
この換気装置では、排気ファンの作用によって、室内の空気が排気ダクトを通して屋外に排気され、また、給気ファンの作用によって、屋外の空気が給気ダクトを通して室内に給気され、このようにして室内の空気の換気が行われる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−203215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の換気装置では、次のような問題がある。例えば冬季において上述のように室内の空気の換気が行われると、屋外の冷たい空気が給気ダクトを通して室内に給気され、換気によって室内の温度が低下してしまい、室内の暖房効率が低下してしまうという問題がある。また、例えば夏季において上述のように室内の空気の換気が行われると、屋外の熱い空気が給気ダクトを通して室内に給気され、換気によって室内の温度が上昇してしまい、室内の冷房効率が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、換気による室内の温度変化を抑制することができる換気装置及びこれに用いる熱交換ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の換気装置では、屋外の空気を室内に給気するための給気ダクトと、前記給気ダクトを通して流れる空気との間で熱交換を行うための熱交換手段と、を備え、
前記熱交換手段は、熱搬送媒体を供給するための熱源機と、前記給気ダクトに配設された伝熱パイプと、前記熱源機と前記伝熱パイプとを接続する供給ライン及び戻りラインと、を有し、前記熱源機からの熱搬送媒体は、前記供給ライン、前記伝熱パイプ及び前記戻りラインを通して循環されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の換気装置では、前記伝熱パイプは、前記給気ダクトの内部において螺旋状に配設されることを特徴とする。
さらに、本発明の請求項3に記載の換気装置では、前記給気ダクトは、ダクト部材及び前記ダクト部材に設けられた螺旋状の補強部材を有するダクト本体から構成され、前記伝熱パイプは、前記ダクト部材の内部において前記補強部材に沿って螺旋状に配設されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の換気装置では、前記給気ダクトの内部には、前記伝熱パイプが配設される熱交換領域が規定され、前記伝熱パイプは、前記熱交換領域の一端部からその他端部に向けて配設されて折り返された後に、前記熱交換領域の前記一端部に向けて配設され、前記伝熱パイプの流入側端部及び流出側端部は、前記熱交換領域の前記一端部に配設されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の請求項5に記載の換気装置では、前記伝熱パイプの配設部位に対応して、前記給気ダクトの外周部は断熱部材により覆われていることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載の熱交換ユニットでは、屋外から室内に給気される空気との間で熱交換を行うための熱交換ユニットであって、
ダクト本体と、前記ダクト本体に配設され、熱搬送媒体が流れる伝熱パイプと、を備え、前記ダクト本体は、屋外の空気を室内に給気するための給気ダクトの一部を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の換気装置によれば、伝熱パイプは給気ダクトに配設され、熱源機からの熱搬送媒体は、供給ライン、伝熱パイプ及び戻りラインを通して循環される。従って、給気ダクトに配設された伝熱パイプを通して流れる熱搬送媒体と給気ダクトを通して流れる空気との間で熱交換が行われ、室内に導入される空気の温度を調整することができ、また換気装置全体を小型化することができ、換気装置の設置・施工を容易に行うことができる。また、既存の換気用のダクト等を給気ダクトとして、また既存の温水管等を供給ライン及び戻りラインとして用いることができ、換気装置の設置コストを低減することができる。また、伝熱パイプの外径や長さ等を調節することにより、伝熱パイプを流れる熱搬送媒体の流量や伝熱パイプの放熱面積又は吸熱面積を調節することができるので、熱交換手段の交換熱量を容易に調節することができる。なお、熱搬送媒体として、例えば温水などの温熱搬送媒体又は例えば冷水などの冷熱搬送媒体を用いることができる。熱源機として温熱を発生し、熱搬送媒体として温熱搬送媒体を用いた場合には、伝熱パイプを流れる温熱搬送媒体の熱により給気が暖められ、この暖められた給気が室内に供給される。従って、例えば冬季において、屋外の冷たい空気が室内に給気されるのが防止され、換気による室内の温度低下を抑制することができる。また、熱源機として冷熱を発生し、熱搬送媒体として冷熱搬送媒体を用いた場合には、伝熱パイプを流れる冷熱搬送媒体の熱により給気が冷却され、この冷却された給気が室内に供給される。従って、例えば夏季において、屋外の熱い空気が室内に給気されるのが防止され、換気による室内の温度上昇を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の換気装置によれば、伝熱パイプは、給気ダクトの内部において螺旋状に配設されるので、伝熱パイプの放熱面積又は吸熱面積をより多く確保することができ、熱交換手段の交換熱量を高めることができる。また、伝熱パイプが例えば弾性復元力を有するゴム材料や樹脂材料等から形成されている場合には、螺旋状の伝熱パイプを径方向に幾分収縮させて装着すると、この伝熱パイプには径方向外方に拡開しようとする弾性復元力が作用し、これにより伝熱パイプが給気ダクトを内側から押圧するようになり、伝熱パイプを給気ダクトの内部に安定して配設することができる。
【0013】
さらに、本発明の請求項3に記載の換気装置によれば、伝熱パイプは、ダクト部材の内部において補強部材に沿って螺旋状に配設されるので、伝熱パイプがダクト部材を内側から押圧するようになり、伝熱パイプをダクト部材の内部に安定して配設することができる。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の換気装置によれば、伝熱パイプの流入側端部及び流出側端部は、給気ダクトの熱交換領域の一端部に配設されているので、伝熱パイプの流入側端部及び流出側端部と熱源機とをそれぞれ接続する供給ライン及び戻りラインの配設状態が複雑になることがなく、換気装置の設置・施工をより容易に行うことができる。
【0015】
さらに、本発明の請求項5に記載の換気装置によれば、伝熱パイプの配設部位に対応して、給気ダクトの外周部は断熱部材により覆われているので、伝熱パイプを流れる熱搬送媒体の熱が給気ダクトの外部に放熱されるのを防止することができ、高い交換熱量を保持することができる。また、この断熱部材によって、伝熱パイプに熱搬送媒体が流れる際に発生する音を吸音することができ、室内の静粛性が損なわれるのを防止することができる。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の熱交換ユニットによれば、伝熱パイプはダクト本体に配設され、この伝熱パイプを通して熱搬送媒体が循環されるので、伝熱パイプを通して流れる熱搬送媒体とダクト本体を通して流れる空気との間で熱交換が行われ、室内に導入される空気の温度を調整することができ、またこのような熱交換ユニットを小型化することができる。また、伝熱パイプの外径や長さ等を調節することにより、伝熱パイプを流れる熱搬送媒体の流量や伝熱パイプの放熱面積又は吸熱面積を調節することができるので、熱交換ユニットの交換熱量を容易に調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う換気装置及びこれに用いる熱交換ユニットの各種実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態による換気装置及びこれに用いる熱交換ユニットについて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による換気装置を示す概略断面図であり、図2は、図1の熱交換ユニットの概略断面図である。
【0018】
図1において、図示の換気装置2は、屋外4の空気を室内6に給気するための給気ダクト8と、給気ダクト8に配設された給気ファン装置10と、室内6の空気を屋外4に排気するための排気ダクト12と、排気ダクト12に配設された排気ファン装置14と、給気ダクト8を通して流れる空気との間で熱交換を行うための熱交換手段16と、を備えている。以下、これら各構成要素について詳細に説明する。
【0019】
給気ダクト8は、本実施形態では、屋外4側に配設される屋外側給気ダクト18と、室内6側に配設される室内側給気ダクト20と、屋外側給気ダクト18と室内側給気ダクト20との間に接続される熱交換用給気ダクト22と、から構成されている。この給気ダクト8は、例えば一般家屋やマンション等の屋根裏24等に配設され、屋外側給気ダクト18の上流側開口部は屋外4と連通され、また室内側給気ダクト20の下流側開口部は室内6と連通されている。
【0020】
各給気ダクト18,20,22はそれぞれダクト本体26を備え、このダクト本体26は、ダクト部材28と、ダクト部材28に設けられた螺旋状(即ち、コイル状)の補強部材30と、から構成されている。ダクト部材28は例えばアルミニウム箔等から構成され、また補強部材30は例えば鋼線等から構成されている。ダクト部材28は、螺旋状に形成された補強部材30によってチューブ形状に保持され、自在に屈曲させることができる。
【0021】
また、熱交換用給気ダクト22のダクト部材28の両端部にはそれぞれ挿通用開口部32が設けられ、またこのダクト部材28の内部には熱交換領域34が規定されている。また、熱交換用給気ダクト22の外周部は、例えば断熱ウールなどから構成された筒状の断熱部材36により覆われている。
【0022】
給気ファン装置10は、屋外側給気ダクト18と熱交換用給気ダクト22との間に配設されている。この給気ファン装置10は、給気用モータ(図示せず)によって所定方向に回転駆動され、このように給気ファン装置10が回転駆動されると、屋外4の空気が屋外側給気ダクト18、熱交換用給気ダクト22及び室内側給気ダクト20を通して室内6に給気される。
【0023】
排気ダクト12は、本実施形態では、屋外4側に配設される屋外側排気ダクト38と、室内6側に配設される室内側排気ダクト40と、から構成されている。この排気ダクト12は、例えば一般家屋やマンション等の屋根裏24等に配設され、屋外側排気ダクト38の下流側開口部は屋外4と連通され、また室内側排気ダクト40の上流側開口部は室内6と連通されている。これら各排気ダクト38,40はそれぞれ、上述した各給気ダクト18,20,22と同様に構成されている。
【0024】
排気ファン装置14は、屋外側排気ダクト38と室内側排気ダクト40との間に配設されている。この排気ファン装置14は、排気用モータ(図示せず)によって所定方向に回転駆動され、このように排気ファン装置14が回転駆動されると、室内6の空気が室内側排気ダクト40及び屋外側排気ダクト38を通して屋外4に排気される。
【0025】
熱交換手段16は、上述した熱交換用給気ダクト22のダクト本体26と、この熱交換用給気ダクト22のダクト本体26に配設される伝熱パイプ44と、温水(熱搬送媒体を構成する)を供給するための熱源機46と、伝熱パイプ44と熱源機46とを相互に接続する供給ライン48及び戻りライン49と、を有している。また、これら熱交換用給気ダクト22のダクト本体26及び伝熱パイプ44によって熱交換ユニット42が構成される。
【0026】
伝熱パイプ44は、例えば可撓性及び弾性復元力を有するゴム材料や樹脂材料等から形成され、熱交換用給気ダクト22のダクト本体26内の熱交換領域34の一端部からその他端部に向けて補強部材30に沿って螺旋状(即ち、コイル状)に配設される(図2参照)。この伝熱パイプ44は、例えば次のようにして熱交換用給気ダクト22のダクト本体26の内部に配設される。まず、熱交換用給気ダクト22を室内側給気ダクト20及び給気ファン装置10から取り外した状態において、熱交換用給気ダクト22のダクト本体26の外径よりも幾分小さい外径を有する棒状又は筒状の芯部材(図示せず)を用意し、伝熱パイプ44をこの芯部材の外周部に補強部材30の螺旋ピッチとほぼ同一の螺旋ピッチで螺旋状に巻き付け、この伝熱パイプ44を巻き付けた芯部材を熱交換用給気ダクト22のダクト本体26の一方の開口部よりその内部に挿入する。その後に、芯部材のみを熱交換用給気ダクト22のダクト本体26の内部より取り出すことにより、伝熱パイプ44が熱交換用給気ダクト22のダクト本体26の内周部に補強部材30に沿って螺旋状に配設される。そして、このように伝熱パイプ44が配設された熱交換用給気ダクト22(即ち、熱交換ユニット42)を室内側給気ダクト20と給気ファン装置10との間に接続する。
【0027】
上述のように螺旋状に形成した伝熱パイプ44を径方向に幾分収縮した状態で熱交換用給気ダクト22のダクト本体26の内部に装着すると、伝熱パイプ44には径方向外方に拡開しようとする弾性復元力が作用し、これにより螺旋状の伝熱パイプ44が熱交換用給気ダクト22のダクト部材28を内側から押圧するようになり、伝熱パイプ44が熱交換用給気ダクト22のダクト本体26の内部に安定して配設される。
【0028】
また、伝熱パイプ44の流入側端部50及び流出側端部52はそれぞれ、ダクト本体26の両端部に設けられた挿通用開口部32を通して熱交換用給気ダクト22の外部に延びて、供給ライン48及び戻りライン49に接続される。熱源機46にて生成された温水は、供給ライン48を通って伝熱パイプ44の流入側端部50に流入され、伝熱パイプ44を流れた後にその流出側端部52より流出され、更に戻りライン49を通って熱源機46に戻される。
【0029】
上述のようにして構成した換気装置2による室内6の空気の換気方法を説明すると、次の通りである。給気用モータ及び排気用モータがそれぞれ作動すると、給気ファン装置10及び排気ファン装置14がそれぞれ所定方向に回転駆動される。給気ファン装置10の作用によって、屋外4の空気が屋外側給気ダクト18、熱交換用給気ダクト22及び室内側給気ダクト20を通して室内6に供給され、また、排気ファン装置14の作用によって、室内6の空気が室内側排気ダクト40及び屋外側排気ダクト38を通して屋外4に排出される。
【0030】
このような換気状態において熱源機46が作動されると、熱源機46にて生成された温水が供給ライン48、伝熱パイプ44及び戻りライン49を通して循環される。このように温水が伝熱パイプ44を流れると、伝熱パイプ44を流れる温水と熱交換用給気ダクト22を通して流れる空気との間で熱交換が行われ、この熱交換により熱交換用給気ダクト22を通して流れる空気が暖められる。この暖められた空気は、室内側給気ダクト20を流れてその下流側開口部を通して室内6に供給される。従って、例えば冬季において、屋外の冷たい空気(例えば、約5℃)が熱交換手段16により熱交換されて所定温度(例えば、約20℃)まで暖められ、この暖められた空気が室内6に供給されるので、換気による室内6の温度低下を抑制することができる。
【0031】
第1の実施形態の換気装置2では、熱交換用給気ダクト22に配設された伝熱パイプ44を用いるという簡単な構成でもって、熱交換用給気ダクト22を通して流れる空気との間で熱交換を行うことができ、また換気装置2全体を小型化することができ、換気装置2の設置・施工を容易に行うことができる。
【0032】
また、上述のように熱交換用給気ダクト22の外周部は断熱部材36により覆われているので、伝熱パイプ44を流れる温水の熱が熱交換用給気ダクト22の外部に放熱されるのが防止され、熱交換手段16の高い交換熱量を保持することができる。また、この断熱部材36によって、温水が伝熱パイプ44を流れる際に発生する音が吸音され、室内6の静粛性が損なわれるのを防止することができる。
【0033】
また、伝熱パイプ44の外径を調節することにより伝熱パイプ44を流れる温水の流量を調節することができ、また伝熱パイプ44の長さ(即ち、伝熱パイプ44の巻き数)を調節することにより伝熱パイプ44の放熱面積を調節することができ、これにより熱交換手段16の交換熱量を容易に調節することができる。
【0034】
また、既存の換気用のダクト等を給気ダクト8として、また既存の温水管等を供給ライン48及び戻りライン49として用いることができ、換気装置2の設置コストを低減することができる。なお、既存の換気用のダクト(図示せず)を給気ダクト8として用いる場合には、既存の換気用のダクトの一部を切断し、この切断した部位に上述した熱交換ユニット42の熱交換用給気ダクト22のダクト本体26を接続すればよい。
【0035】
なお、第1の実施形態の熱交換ユニット42では、図2に示すように、伝熱パイプ44が補強部材30と所定の間隔を置いて螺旋状に配設されるように構成したが、これに限られず、例えば次のように構成してもよい。即ち、図3に示すように、この熱交換ユニット42’では、伝熱パイプ44’が補強部材30と相互に隣接して螺旋状に配設されており、かく構成した場合であっても、上述したのと同様の作用効果が達成される。
【0036】
[第2の実施形態]
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第2の実施形態による換気装置及びこれに用いる熱交換ユニットについて説明する。図4は、本発明の第2の実施形態による換気装置を示す概略断面図であり、図5は、図4の熱交換ユニットの概略断面図である。なお、以下の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
第2の実施形態の換気装置2Aでは、伝熱パイプ44Aは、熱交換用給気ダクト22Aのダクト本体26A内の熱交換領域34の一端部からその他端部に向けて補強部材30に沿って螺旋状に配設され、熱交換領域34の他端部において折り返された後に、熱交換領域34の一端部に向けて上述と同様に補強部材30に沿って螺旋状に配設されている。熱交換用給気ダクト22Aのダクト本体26Aの一端部には挿通用開口部32Aが設けられており、伝熱パイプ44Aの流入側端部50及び流出側端部52はそれぞれ、熱交換用給気ダクト22Aのダクト本体26A内の熱交換領域34の一端部に配設され、この挿通用開口部32Aを通して熱交換用給気ダクト22Aのダクト本体26Aの外部に延びて、供給ライン48A及び戻りライン49Aに接続される。
【0038】
従って、この第2の実施形態の換気装置2Aでは、熱交換用給気ダクト22Aの一端部より伝熱パイプ44Aの流入側端部50及び流出側端部52をそれぞれ外部に取り出すことができるので、供給ライン48A及び戻りライン49Aの配設状態が複雑になることがなく、換気装置2Aの設置・施工を容易に行うことができる。
【0039】
[第3の実施形態]
次に、図6を参照して、本発明の第3の実施形態による換気装置及びこれに用いる熱交換ユニットについて説明する。図6は、本発明の第3の実施形態による換気装置に用いる熱交換ユニットを示す概略断面図である。
【0040】
第3の実施形態の換気装置の熱交換ユニット42Bでは、伝熱パイプ44Bは、熱交換用給気ダクト22のダクト本体26内の熱交換領域34の一端部からその他端部に向けて、補強部材30と交差しながら螺旋状に配設される。従って、上記第1及び第2の実施形態と同様に、螺旋状の伝熱パイプ44Bが熱交換用給気ダクト22のダクト部材28を内側から押圧するようになり、伝熱パイプ44Bが熱交換用給気ダクト22のダクト本体26の内部に安定して配設される。
【0041】
なお、図示しないが、上記第2の実施形態と同様に、熱交換用給気ダクト22のダクト本体26内の熱交換領域34の一端部からその他端部に向けて補強部材30と交差しながら伝熱パイプ44Bを螺旋状に配設し、熱交換領域34の他端部において折り返した後に、熱交換領域34の一端部に向けて上述と同様に補強部材30と交差しながら伝熱パイプ44Bを螺旋状に配設するように構成してもよい。
【0042】
[第4の実施形態]
次に、図7を参照して、本発明の第4の実施形態による換気装置及びこれに用いる熱交換ユニットについて説明する。図7は、本発明の第4の実施形態による換気装置に用いる熱交換ユニットを示す概略断面図である。
【0043】
第4の実施形態の換気装置の熱交換ユニット42Cでは、熱交換用給気ダクト22Cのダクト本体26Cは、ダクト部材28Cと、ダクト部材28Cに所定の間隔をおいて設けられた複数(本実施形態では7個)のリング状の補強部材30Cと、から構成されている。伝熱パイプ44Cは、熱交換用給気ダクト22Cのダクト本体26C内の熱交換領域34の一端部からその他端部に向けて、補強部材30Cと交差しながら螺旋状に配設される。この第4の実施形態においても、上述したのと同様の作用効果が達成される。
【0044】
なお、図示しないが、上述したのと同様に、熱交換用給気ダクト22Cのダクト本体26C内の熱交換領域34の一端部からその他端部に向けて補強部材30Cと交差しながら伝熱パイプ44Cを螺旋状に配設し、熱交換領域34の他端部において折り返した後に、熱交換領域34の一端部に向けて上述と同様に補強部材30Cと交差しながら伝熱パイプ44Cを螺旋状に配設するように構成してもよい。
【0045】
以上、本発明に従う種々の換気装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0046】
例えば、上記各実施形態では、熱源機46からの温水(温熱搬送媒体)が供給ライン48(48A)、伝熱パイプ44(44’)(44A)(44B)(44C)及び戻りライン49(49A)を通して循環されるように構成したが、この温水に代えて、例えば冷水などの冷熱搬送媒体が循環されるように構成してもよい。かかる場合において、伝熱パイプ44(44’)(44A)(44B)(44C)を流れる冷水と熱交換用給気ダクト22(22A)(22C)を通して流れる空気との間で熱交換が行われると、給気ダクト8(8A)を通して流れる空気が冷却され、この冷却された空気が室内6に供給される。従って、例えば夏季において、室内6の空気を換気した際に、屋外4の熱い空気が室内6に供給されて室内6の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0047】
また例えば、熱源機46に切換器(図示せず)を設け、この切換器を切り換え操作することによって、熱源機46からの温水の供給先を換気装置2(2A)と室内6に設置された床暖房装置等(図示せず)とに切り換えるように構成してもよい。
【0048】
また例えば、上記各実施形態では、熱交換用給気ダクト22(22A)(22C)の外周部を断熱部材36により覆うように構成したが、熱交換用給気ダクト22(22A)(22C)及び室内側給気ダクト20の外周部をそれぞれ断熱部材36により覆うように構成してもよく、このように構成することにより、室内側給気ダクト20を通して流れる空気の熱が外部に放熱されるのを防止することができる。
【0049】
また例えば、上記各実施形態では、給気ダクト8(8A)を屋外側給気ダクト18、熱交換用給気ダクト22(22A)(22C)及び室内側給気ダクト20から構成したが、これに限られることなく、例えば給気ダクト8(8A)を屋外側給気ダクト18及び室内側給気ダクト20から構成し、これら屋外側給気ダクト18と室内側給気ダクト20との間に給気ファン装置10を配設し、室内側給気ダクト20に熱交換手段16(16’)(16A)(16B)(16C)を設けるように構成してもよい。
【0050】
また例えば、上記各実施形態では、排気装置2(2A)は、給気ダクト8(8A)、給気ファン装置10、排気ダクト12、排気ファン装置14及び熱交換手段16(16’)(16A)(16B)(16C)を備えるように構成したが、これらのうち排気ダクト12及び排気ファン装置14を省略してもよい。
【0051】
また例えば、上記各実施形態では、熱交換用給気ダクト22(22A)(22C)のダクト本体26(26A)(26C)は、ダクト部材28(28A)(28C)及びこのダクト部材28(28A)(28C)に設けられた補強部材30(30C)から構成したが、この補強部材30(30C)を省略してもよい。かかる場合には、螺旋状の伝熱パイプ44(44’)(44A)(44B)(44C)が熱交換用給気ダクト22(22A)(22C)のダクト部材28(28A)(28C)を内側から押圧するので、ダクト部材28(28A)(28C)は、その内部に螺旋状に配設された伝熱パイプ44(44’)(44A)(44B)(44C)によりチューブ形状に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態による換気装置を示す概略断面図である。
【図2】図1の熱交換ユニットの概略断面図である。
【図3】図1の熱交換ユニットの変形形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による換気装置を示す概略断面図である。
【図5】図4の熱交換ユニットの概略断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態による換気装置の熱交換ユニットを示す概略断面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態による換気装置の熱交換ユニットを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0053】
2,2A 換気装置
4 屋外
6 室内
8,8A 給気ダクト
16,16’,16A,16B,16C 熱交換手段
26,26A,26C ダクト本体
28,28A,28C ダクト部材
30,30C 補強部材
34 熱交換領域
36 断熱部材
42,42’,42A,42B,42C 熱交換ユニット
44,44’,44A,44B,44C 伝熱パイプ
46 熱源機
48,48A 供給ライン
49,49A 戻りライン
50 流入側端部
52 流出側端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外の空気を室内に給気するための給気ダクトと、前記給気ダクトを通して流れる空気との間で熱交換を行うための熱交換手段と、を備え、
前記熱交換手段は、熱搬送媒体を供給するための熱源機と、前記給気ダクトに配設された伝熱パイプと、前記熱源機と前記伝熱パイプとを接続する供給ライン及び戻りラインと、を有し、前記熱源機からの熱搬送媒体は、前記供給ライン、前記伝熱パイプ及び前記戻りラインを通して循環されることを特徴とする換気装置。
【請求項2】
前記伝熱パイプは、前記給気ダクトの内部において螺旋状に配設されることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記給気ダクトは、ダクト部材及び前記ダクト部材に設けられた螺旋状の補強部材を有するダクト本体から構成され、前記伝熱パイプは、前記ダクト部材の内部において前記補強部材に沿って螺旋状に配設されることを特徴とする請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記給気ダクトの内部には、前記伝熱パイプが配設される熱交換領域が規定され、前記伝熱パイプは、前記熱交換領域の一端部からその他端部に向けて配設されて折り返された後に、前記熱交換領域の前記一端部に向けて配設され、前記伝熱パイプの流入側端部及び流出側端部は、前記熱交換領域の前記一端部に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の換気装置。
【請求項5】
前記伝熱パイプの配設部位に対応して、前記給気ダクトの外周部は断熱部材により覆われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の換気装置。
【請求項6】
屋外から室内に給気される空気との間で熱交換を行うための熱交換ユニットであって、
ダクト本体と、前記ダクト本体に配設され、熱搬送媒体が流れる伝熱パイプと、を備え、前記ダクト本体は、屋外の空気を室内に給気するための給気ダクトの一部を構成することを特徴とする熱交換ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−196738(P2008−196738A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30459(P2007−30459)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】