説明

換気装置

【課題】排気ファン(2)と、排気ファン(2)の作動を制御するコントローラ(3)と、を備えた換気装置(1)において、装置(1)の設置自由度及びメンテナンス性の向上を図りつつ、簡単な構成で、省エネ性に優れた換気制御を行う。
【解決手段】室内(50)の電気機器(12,13)に電力を供給する電灯回路(11)の電流値を検出する電流検出器(7)を備え、コントローラ(3)により、電流検出器(7)の検出電流値を基に排気ファン(2)の排気風量を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を室外に排出する排気手段の排気風量を制御して該室内の換気制御を行う換気装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内空間の環境を快適に保つための換気装置が知られている。この換気装置は、室内空間の空気を排気ファンにより室外へ排出し、この排出した空気に相当する量の室外空気が室内へ自然給気される、あるいは送風手段(給気ファン)によって強制給気されることで室内の換気を行うようにしている。
【0003】
しかしながら、このような換気装置においては、室内空間の換気が十分で室内環境が快適となっているにも拘わらず、過剰な換気を行うことで、送風手段の動力が無駄となってしまったり、この室内空間に設けられた空気調和機が処理すべき空調負荷の増大を招いたりして、省エネルギー性が損なわれてしまうという問題があった。
【0004】
この問題を解決するための従来技術として、例えば、室内空間の二酸化炭素濃度に応じて換気量を制御する換気装置により室内空間の換気を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。この換気装置は、室内空間の二酸化炭素濃度を測定するための二酸化炭素センサを有していて、二酸化炭素センサにより測定された室内の二酸化炭素濃度が、基準濃度以上である場合には、シャッタを開状態にして排気ファンを駆動させる一方、この検出濃度が基準濃度未満である場合には、シャッタを閉状態にして排気ファンの作動を停止するようになっている。これにより、室内の二酸化炭素濃度を、基準濃度以下に維持して室内環境の快適性を保ちながら、省エネ性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−89248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に示す換気装置では、室内の二酸化炭素濃度を計測するべく、他のセンサ類に比して高価な二酸化炭素センサを備える必要があるため、装置の高コスト化を招くという問題がある。また、二酸化炭素センサによって、室内の二酸化炭素濃度を検出しようとした場合、室内の人の分布位置に偏りがあって室内空間内の二酸化炭素の濃度分布が不均一となると、二酸化炭素センサで測定された二酸化炭素濃度と、実際の室内空間の二酸化炭素濃度とに誤差が生じ、室内空間の環境を快適に保つための換気制御ができないという問題がある。
【0007】
また、上記二酸化炭素センサを使用した換気装置では、二酸化炭素センサの光学面が汚れていると、二酸化炭素センサの機能が失われて適切な換気制御(室内空間の環境を快適に保つための換気制御)を行えないため、喫煙室等の光学面に汚れが生じやすい場所には設置することができないという問題がある。
【0008】
またさらに、上記二酸化炭素センサを使用した換気装置では、二酸化炭素センサの構造上、その検出精度を維持するために校正やメンテナンスを定期的に行う必要があり、これらの作業を行うユーザの負担が大きいという問題がある。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、換気装置において、その制御方法に工夫を凝らすことで、装置の設置自由度及びメンテナンス性の向上を図りつつ、簡単な構成で、省エネ性に優れた換気制御を実現しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、室内(50)の電気機器(12,13)に電力を供給する電灯回路(11)の電流値を検出して、この検出電流値に基づいて、排気手段(2)の排気風量を制御するようにした。
【0011】
第1の発明は、室内(50)の空気を室外に排出する排気手段(2)の排気風量を制御して該室内(50)の換気制御を行う換気装置(1)を対象とする。
【0012】
そして、上記室内(50)の電気機器(12,13)に電力を供給する電灯回路(11)の電流値を検出する電流検出手段(7)と、上記電流検出手段(7)により検出された検出電流値に基づいて、上記排気手段(2)による目標排気風量を設定する目標排気風量設定手段(3b)と、上記排気手段(2)の排気風量が上記目標排気風量になるように該排気手段(2)の作動を制御する制御手段(3c)と、を備えているものとする。
【0013】
第1の発明では、二酸化炭素センサを使用せずに、室内(50)の換気制御を適切に行うことができる。すなわち、室内(50)の二酸化炭素濃度は通常、在室者の人数に比例して増加するが、発明者らは、鋭意研究の結果、この在室者の人数と、室内(50)の電気機器(12,13)に電力を供給する電灯回路(11)(いわゆる100V回路)の電流値との間には相関関係があること、つまり、室内(50)の二酸化炭素濃度と、電灯回路(11)の電流値との間には相関関係があることを見出した。本発明では、このことに着目して、電灯回路(11)の電流値に基づいて排気手段(2)による排気風量を制御するようにした。これにより、二酸化炭素センサを使用せずに、建物等の各室ごとに設けられる既存の電灯回路(11)を利用して、低コストで省エネ性に優れた換気制御が可能となる。また、二酸化炭素センサを使用しないので、装置の設置自由度及びメンテナンス性の向上を図ることができる
第2の発明は、第1の発明において、上記電流検出手段(7)により所定期間内に検出された検出電流値の最大値及び最小値をそれぞれ、最大基準電流値及び最小基準電流値として設定する基準電流値設定手段(3a)を備え、上記目標排気風量設定手段(3b)は、上記所定期間が経過した以降において、上記電流検出手段(7)により検出される検出電流値が上記最小基準電流値以下であるときには、上記目標排気風量を第一排気風量に設定し、且つ、該検出電流値が上記最大基準電流値以上であるときには、上記目標排気風量を該第一排気風量よりも大きい第二排気風量に設定するように構成されているものとする。
【0014】
第2の発明では、発明者らは、上記相関関係として「電灯回路(11)の電流値が大きいほど室内(50)の在室者人数も高くなる」という関係が成り立つことを見出し、このことを利用して室内(50)の換気制御を行うようにした。すなわち、この換気制御においては、基準電流値設定手段(3a)によって、電流検出手段(7)が所定期間内に検出した検出電流値の最大値及び最小値をそれぞれ最大基準電流値及び最小基準電流値として予め設定される。そして、目標排気風量設定手段(3b)によって、電流検出手段(7)の検出電流値が上記最小基準電流値以下であると判断されたときには、目標排気風量が第一排気風量に設定され、電流検出手段(7)の検出電流値が上記最大基準電流値以上であると判断されたときには、目標排気風量が該第一排気風量よりも大きい第二排気風量に設定される。したがって、室内(50)の在室者人数が想定される最小人数である場合には、排気手段(2)の排気風量を第一排気風量に制御し、且つ、在室者の人数が想定される最大人数である場合には、排気手段(2)の排気風量を第一排気風量よりも大きい第二排気風量に制御することができる。よって、室内(50)の在室者人数に応じた適切な換気制御(省エネ性と換気性とを両立可能な換気制御)が可能となる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記目標排気風量設定手段(3b)は、上記所定期間が経過した以降において、上記電流検出手段(7)による検出電流値が上記最小基準電流値を超え且つ上記最大基準電流値未満となる範囲内にあるときには、該検出電流値が増加するにしたがって、上記目標排気風量を高く設定するように構成されているものとする。
【0016】
第3の発明では、電流検出手段(7)の検出電流値(想定される室内(50)の在室者人数)が増加するにしたがって、排気手段(2)の排気風量も増加することとなり、これにより、室内(50)の在室者人数に応じた換気制御をより一層確実に行うことができる。
【0017】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記基準電流値設定手段(3a)は、上記所定期間が経過した以降において、上記電流検出手段(7)の検出電流値が、上記最大基準電流値の設定値を上回ったときに、当該設定値を当該検出電流値により更新する最大値更新処理と、上記所定期間が経過した以降において、上記電流検出手段(7)の検出電流値が、上記最小基準電流値の設定値を下回ったときに、当該設定値を当該検出電流値により更新する最小値更新処理と、を実行するように構成されているものとする。
【0018】
第4の発明では、最大基準電流値及び最小基準電流値を、電流検出手段(7)により最も最近に検出された検出電流値に基づいて更新することができる。これにより、室内(50)の在室者人数に応じた換気制御を高精度で実現することができる。
【0019】
第5の発明は、第4の発明において、上記所定期間が経過した以降において、上記電灯回路(11)の電流値が予め設定された一定期間内に所定量以上低下する電流低下状況が発生した場合にその後該状況が解消したときには、上記最小基準電流値の設定値を、所定時間置きに所定量づつ増加させて更新する最小値増加処理を実行するようになっていて、上記電流検出手段(7)による検出電流値が、該最小基準電流値の設定値を下回ったときには、当該処理を停止するように構成されているものとする。
【0020】
第5の発明では、例えば停電等の電流低下状況の発生に起因して、最小基準電流値が低い値のまま推移するのを防止することができる。
【0021】
すなわち、停電等が発生した場合には、電灯回路(11)の電流値が大幅に低下する。このため、基準電流値設定手段(3a)により最小値更新処理が実行されて、最小基準電流値も大幅に低下する。しかし、停電復帰後は、電流検出手段(7)の検出電流値が元のレベルに回復するため、その後は検出電流値が最小基準電流値を下回ることもなく(最小値更新処理が実行されることもなく)、最小基準電流値が停電復帰後における電灯回路(11)の電流値に対してかけ離れた低い値になってしまう。これに対して、本発明では、電流低下状況が発生したときには、基準電流値設定手段(3a)により、最小値増加処理を実行することで、最小基準電流値を、所定時間置きに予め設定した設定量づつ増加させるようにした。これにより、最小基準電流値を、停電復帰後の電灯回路(11)の電流値レベル(電流値の変動領域)まで引き上げることができる。この結果、電流検出手段(7)の検出電流値が該最小基準電流値を下回ったときには、最小基準電流値の増加処理が停止するとともに、基準電流値設定手段(3a)により最小値更新処理が実行されて、最小基準電流値が、停電復帰後の電灯回路(11)の電流値レベルに応じた値に更新される。これにより、室内(50)の在室者人数を反映した換気制御をより一層確実に行うことができる。
【0022】
第6の発明は、第4又は第5の発明において、上記基準電流値設定手段(3a)は、上記所定期間が経過した以降において、上記最大基準電流値の設定値を、所定時間置きに所定量づつ低下させて更新する最大値低下処理を実行するように構成されているものとする。
【0023】
第6の発明では、ファックス等の消費電力の大きい機器が一時的に使用される電流増加状況の発生に起因して、最大基準電流値が高い値のまま推移するのを防止することができる。
【0024】
すなわち、高消費電力機器が使用されると、電灯回路(11)の電流値(電流検出手段(7)の検出電流値)が大幅に増加する。このため、基準電流値設定手段(3a)により最大値更新処理が実行されて、最大基準電流値も大幅に増加する。しかし、この機器の使用が終了すると、電流検出手段(7)の検出電流値は元のレベルに回復するため、その後は検出電流値が最大基準電流値を上回ることもなく(最大値更新処理が実行されることもなく)、最大基準電流値がこの機器使用が終了した後における電灯回路(11)の電流値に対してかけ離れた高い値になってしまう。これに対して、本発明では、基準電流値設定手段(3a)により、最大値低下処理を実行することで、最大基準電流値を、所定時間置き(例えば24時間置き)に予め設定した設定量づつ低下させるようにした。この結果、電流検出手段(7)の検出電流値が該最大基準電流値を上回ったときには、基準電流値設定手段(3a)により最大値更新処理が実行されて、最大基準電流値が、機器使用終了後の電灯回路(11)の電流値レベルに応じた値に更新される。これにより、室内(50)の在室者人数を反映した換気制御をより一層確実に行うことができる。
【0025】
第7の発明は、第2又は第3の発明において、上記電気機器(12,13)は、上記室内(50)に設置された照明用の蛍光灯(12)を含み、上記基準電流値設定手段(3a)は、上記電灯回路(11)より上記蛍光灯(12)への電力供給が行われる状況下で上記所定期間内に上記電流検出手段(7)により検出された検出電流値の最大値及び最小値をそれぞれ、上記最大基準電流値及び最小基準電流値として設定するように構成され、上記目標排気風量設定手段(3b)は、上記所定期間が経過した以降の、上記蛍光灯(12)への電力供給が行われる時間帯として予め設定された蛍光灯使用時間帯内において、上記電流検出手段(7)の検出電流値に基づく目標排気風量の設定を実行するように構成されているものとする。
【0026】
第7の発明では、在室者の人数との相関が低い蛍光灯(12)の使用電流の増加(蛍光との使用に起因する電灯回路(11)の電流値増加)の影響を受けずに、上記目標排気風量設定手段(3b)により在室者の人数に応じた目標排気風量を高精度で設定することができる。
【0027】
請求項8の発明は、請求項2乃至7のいずれか一つの発明において、上記室内(50)の在室者が減少しない時間帯として予め設定された設定時間帯内において、上記排気手段(2)の排気風量の減少を禁止する風量低下禁止手段(3b)をさらに備えているものとする。
【0028】
第8の発明では、例えば、9時が出社時刻として設定されているオフィスにおいて7時から9時までの時間帯を、在室者の人数が減少しない時間帯として設定すれば、この時間帯において、電流検出手段(7)の検出電流値が低下しても、排気風量が低下することはない。したがって、室内(50)の在室者の人数に応じた換気制御をより一層確実に行うことができる。
【0029】
第9の発明は、第2乃至第8のいずれか一つの発明において、上記第二排気風量は、上記排気手段(2)により排気可能な排気風量の最大値に設定されているものとする。
【0030】
第9の発明では、検出電流値が最大基準電流値になったときには、排気手段(2)の排気風量(目標排気風量)が最大排気風量となる。これにより、室内(50)の在室者人数が想定される最大人数となる状況下では、排気手段(2)の排気風量を最大排気風量に制御して、室内(50)の換気を十分に行うことができる。したがって、室内(50)の二酸化炭素濃度を早急に且つ確実に低下させることができる。
【0031】
第10の発明は、請求項9の発明において、上記第一排気風量は、上記第二排気風量の20%以上で且つ50%以下の範囲内に設定されているものとする。
【0032】
第10の発明では、電流検出手段(7)の検出電流値が最小基準電流値に等しくなったときに、排気手段(2)の排気風量が第二排気量の20%以上で且つ50%以下になる。これにより、室内(50)の在室者の人数が想定される最小人数である場合でも、室内環境を維持する上で必要な最低限の換気風量を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明の換気装置(1)によると、室内(50)の電気機器(12,13)に電力を供給する電灯回路(11)の電流値を検出して、この検出電流値に基づいて、排気手段(2)の排気風量を制御するようにしたことで、装置の設置自由度及びメンテナンス性の向上を図りつつ、簡単な構成で、省エネ性に優れた換気制御を実現することができる。
【0034】
第2の発明によれば、室内(50)の在室者人数が、想定される最大人数である場合には最小人数である場合に比べて、排気手段(2)の排気風量を増加させることができる。したがって、室内(50)の在室者人数に応じた適切な換気制御を確実に行うことができる。
【0035】
第3の発明によれば、想定される室内(50)の在室者人数が増加するほど、排気手段(2)の排気風量を増加させることができる。したがって、室内(50)の在室者人数に応じた適切な換気制御をより一層確実に行うことができる。
【0036】
第4の発明によれば、目標排気風量設定手段(3b)による目標排気風量の設定に使用される最大/最小基準電流値を、常に最新の値に更新することができる。したがって、室内(50)の在室者人数に応じた換気制御を精度良く行うことができる。
【0037】
第5の発明によれば、電灯回路(11)の電流値を一時的に低下させる電流低下状況が発生した場合に、一旦低下した最小基準電流値を、この状況が終了した後に、該終了後の電灯回路(11)の電流値レベルに応じた値まで引き上げることができる。これにより、室内(50)の在室者人数に応じた換気制御をより一層精度良く行うことができる。
【0038】
第6の発明によれば、電灯回路(11)の電流値を一時的に増加させる電流増加状況が発生した場合に、一旦増加した最大基準電流値を、この状況が終了した後に、該終了後の電灯回路(11)の電流値レベルに応じた値まで引き下げることができる。これにより、室内(50)の在室者人数に応じた換気制御をより一層精度良く行うことができる。
【0039】
第7の発明によれば、在室者の人数との相関が低い蛍光灯(12)の使用電流の影響を受けずに、目標排気風量を設定することができる。これにより、室内(50)の在室者人数に応じた換気制御をより一層精度良く行うことができる。
【0040】
第8の発明によれば、在室者が減少しない時間帯における排気手段(2)の排気風量の減少を防止することができる。これにより、室内(50)の在室者の人数に応じた換気制御をより一層確実に行うことができる。
【0041】
第9の発明によれば、室内(50)の在室者人数が想定される最大人数となる状況下において、室内(50)の換気を早急に且つ十分に行うことができる。
【0042】
第10の発明によれば、室内(50)の在室者人数が想定される最小人数となる状況下において、室内環境を維持する上で必要な最低限の換気風量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る換気装置を示す全体概略図である。
【図2】電灯回路の消費電力の時系列変化を示すグラフデータである。
【図3】電流検出器により検出される電灯回路の電流値と、コントローラにおいて設定される排気ファンの目標排気風量との関係を示すグラフである。
【図4】コントローラにおける換気制御処理を示すフローチャートである。
【図5】コントローラの基準電流値設定部における最大/最小基準電流値の更新処理を示すフローチャートである。
【図6】他の実施形態を示す図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施形態に係る換気装置(1)を示し、この換気装置(1)は、オフィス等の各部屋室ごとに設置されて、各室内(50)の二酸化炭素濃度が基準値(例えば1000ppm)を上回るのを防止するべく、室内(50)の換気を行うものである
換気装置(1)は、室内(50)の換気口に配設される排気ファン(2)と、排気ファン(2)の作動を制御するコントローラ(3)とを備えている。
【0046】
排気ファン(2)は、ファン本体(2a)と、ファン本体(2a)を駆動するモータ(2b)とを含んでいる。モータ(2b)は、専用のインバータに接続されていて該インバータにより回転数を制御可能になっている。排気ファン(2)は、このモータの回転数(つまりファン回転数)の制御により排気風量を変更可能に構成されている。インバータは、コントローラ(3)に接続されていて、コントローラ(3)からの制御信号を基にモータ(2b)の回転数を制御する。
【0047】
コントローラ(3)は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータからなるものであって、電源ライン(8)を介して分電盤(10)(電灯盤ともいう)内の機器用ブレーカ(5)に接続されている。
【0048】
上記分電盤(10)は、1相3線式又は1相2線式100V回路(11)(以下、電灯回路(11)という)を有していて、基幹ブレーカ(6)と、複数の機器用ブレーカ(5)と、停電状態を検出する不図示の停電検出回路と、を備えている。基幹ブレーカ(6)は、全ての機器用ブレーカ(5)の電源をまとめて遮断するためのものであり、各機器用ブレーカ(5)に接続されている。各機器用ブレーカ(5)には、上記コントローラ(3)の他に、室内照明用の蛍光灯(12)や、高消費電力機器(13)としてのFAX等が、電源ライン(8)を介して接続されている。基幹ブレーカ(6)と各機器用ブレーカ(5)とを接続する配線途中には、電灯回路(11)に流れる電流を検出する電流検出器(7)が接続されている。そして、コントローラ(3)は、電流検出器(7)の検出電流値を基に、排気ファン(2)の回転数を制御して、室内(50)の二酸化炭素濃度が基準値を超えないように換気制御を行う。
【0049】
図2は、あるオフィスの室内(50)において取得した電灯回路(11)の消費電力の時系列データのグラフを示している。このデータを取得したオフィスの出社時刻は9時であり、また、休憩時間は12時10分から1時までである。そして、この前提を基に上記グラフについて分析した結果、室内(50)の在室者の人数と電灯回路(11)の消費電力との間には相関関係があることがわかった。
【0050】
すなわち、同図によれば、6時半頃に、電灯回路(11)の消費電力が一気に上昇しており、これは、オフィスに最初に出社した人が室内(50)の蛍光灯(12)のスイッチを入れたことによるものと推定される。また、6時半頃から時間が経過するにしたがって、消費電力が徐々に増加し、出社時刻である9時直前から一気に上昇して、9時以降は略一定のまま推移している。これは、出社時刻である9時に近づくにしたがって、室内(50)の在室者の人数(出社人数)が増加することにより、各人が使用するパソコン等の消費電力が増加したためと推定される。また、昼休み休憩に入る12時10分頃に、消費電力が低下して、昼休み休憩が終わる1時頃に元の値まで回復している。これは、昼休み休憩のために外出する人の数が増加して(在室者の人数が減少して)、各人が使用するパソコン等の機器類が省エネモードに切り替わったり、個人照明等をオフにしたりしたことによるものと推定される。以上のことから、在室者の人数と、電灯回路(11)の消費電力との間には、在室者の人数が多いほど電灯回路(11)の消費電力が大きくなるという相関関係があることがわかる。本実施形態では、このことに着目して、電灯回路(11)の電流値(電灯回路(11)の消費電力に比例する値)が大きいほど、室内(50)の在室者の人数が多くなって室内(50)の二酸化炭素濃度も高くなるものとして、コントローラ(3)により排気ファン(2)の排気風量を増加させるようにしている。
【0051】
上記コントローラ(3)は、図1に示すように、排気ファン(2)と上記停電検出回路と電流検出器(7)と高消費電力機器(13)とに信号の授受可能に接続されていて、これらの回路や機器類からの信号を基に、排気ファン(2)の作動を制御する。
【0052】
具体的には、コントローラ(3)は、基準電流値設定部(3a)と目標排気風量設定部(3b)と排気ファン制御部(3c)とを有している。
【0053】
上記基準電流値設定部(3a)は、電灯回路(11)から蛍光灯(12)への電力供給が行われる条件下で、電流検出器(7)により所定期間内に検出された検出電流値の最大値及び最小値をそれぞれ、最大基準電流値及び最小基準電流値として予め設定(以下、初期設定という)する。そして、基準電流値設定部(3a)は、この初期設定後に、電流検出器(7)の検出電流値を基に、最大/最小基準電流値の設定値を更新する。尚、本実施形態において、上記所定期間は、室内(50)に換気装置(1)を設置して最初に使用する日の制御開始時刻(Ts)から制御終了時刻(Tm)までの期間とされている。
【0054】
また、基準電流値設定部(3a)は、上記高消費電力機器(13)の作動信号を基に、高消費電力機器(13)が作動状態から停止状態へと切換わったと判断したときには、電灯回路(11)の電流値が一定期間内に所定量以上低下したものとして、後述するように、最大基準電流値の低下補正処理を実行する。
【0055】
また、基準電流値設定部(3a)は、停電検出回路からの信号を基に、室内(50)が停電状態にあるか否か(電灯回路(11)への電力供給が停止する状態にあるか否か)を認識する。基準電流値設定部(3a)は、停電状態から停電復帰状態へと切換わったと判断したときには、電灯回路(11)の電流値が一定期間内に所定量以上増加したものとして、後述するように、最小基準電流値の増加補正処理を実行する。
【0056】
上記目標排気風量設定部(3b)は、電流検出器(7)の検出電流値を基に、排気ファン(2)の目標排気風量を設定する。具体的には、目標排気風量設定部(3b)は、図3に示すように、電流検出器(7)の検出電流値が最小基準電流値以下であるときには、目標排気風量を第一排気風量に設定し、検出電流値が最大基準電流値以上であるときには、目標排気風量を該第一排気風量よりも大きい第二排気風量に設定する。また、目標排気風量設定部(3b)は、電流検出器(7)の検出電流値が最大基準電流値未満で且つ最小基準電流値を超える範囲内にあるときには、検出電流値が増加するにしたがって、目標排気風量を直線的に増加させる。尚、電流検出器(7)の検出電流値が最大基準電流値を超えた場合、又は、電流検出器(7)の検出電流値が最小基準電流値を下回った場合には、上記の如く図3に示す関係にしたがって目標排気風量が設定され、その後に、基準電流値の設定値が更新される(後述するステップS103及びS109の処理が実行される)。
【0057】
上記第一排気風量は、排気ファン(2)の最大排気風量(排気ファン(2)の最高回転数に対応する排気風量)とされ、第二排気風量は、第一排気風量の20%の風量とされている。第一排気風量は、室内(50)の在室者の人数が、想定される最大人数(例えば20人が勤務するオフィスでは20人)になった場合でも、室内(50)の二酸化炭素濃度を基準値未満に維持することのできる最低風量以上に設定すればよい。また、第二排気風量は、室内(50)の在室者の人数が、想定される最小人数(例えば1人)になった場合に、室内(50)の二酸化炭素濃度を基準値未満に維持することのできる最低風量以上に設定すればよい。
【0058】
また、目標排気風量設定部(3b)は、室内(50)の在室者の人数(オフィスに出社する人の数)が減少しない時間帯として予め設定された設定時間帯(本実施形態では、制御開始時刻(Ts)から中間時刻(Tm)までの時間帯)内では、目標排気風量の設定値の減少を禁止する。
【0059】
上記排気ファン制御部(3c)は、上記設定された目標排気風量に対応する排気ファン(2)の回転数を目標回転数として算出し、該算出した目標回転数に応じた制御信号をインバータに出力する。インバータは、上述の如く、受信した制御信号を基に、排気ファン(2)の回転数を目標回転数に制御する。
【0060】
次に、コントローラ(3)における換気制御について、図4のフローチャートを基に説明する。尚、以下の説明において、特に断らない場合には、各ステップの処理は、コントローラ(3)全体を制御する主制御部(図示省略)において実行されるものとする。
【0061】
ステップS1では、コントローラ(3)内に組み込まれたタイマーの時刻情報と、電流検出器(7)からの検出電流値情報と、基準電流値設定部(3a)からの最大/最小基準電流値情報と、を読み込む。
【0062】
ステップS2では、ステップS1で読み込んだ時刻情報を基に、現在の時刻tが予め設定された制御開始時刻(Ts)から制御終了時刻(Te)までの時間帯内にあるか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS9に進む一方、YESであるときにはステップS3に進む。
【0063】
この制御開始時刻(Ts)は、室内照明用の蛍光灯(12)に電灯回路(11)より電力供給が開始される時刻(例えばオフィスに最初に出社した人が蛍光灯(12)のスイッチをオンにする時刻)として予め設定されている。したがって、この制御開始時刻(Ts)は、例えばタイムカードが設置されたオフィスにおいては、各人のタイムカードの入室記録等を基に設定することができる。また、制御終了時刻(Te)は、室内照明用の蛍光灯(12)に対する電灯回路(11)からの電力供給が停止する時刻として予め設定されている。この制御終了時刻(Te)についても、同様にタイムカードを利用して、各人の退出記録等を基に設定することができる。
【0064】
ステップS3では、目標排気風量設定部(3b)において、電流検出器(7)の検出電流値を基に、排気ファン(2)の目標排気風量を算出する。この目標排気風量の算出は、図3に示す、目標排気風量と検出電流値との関係を基に行う。そして、上記設定時間帯内を除いては、この算出値が目標排気風量の設定値となる(ステップS4乃至ステップS8を参照)。
【0065】
ステップS4では、時刻tが中間時刻(Tm)以前か否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS8に進む一方、YESであるときには、ステップS5に進む。尚、中間時刻(Tm)は、本実施形態では、オフィスの出社時刻(例えば9時)に設定されている。
【0066】
ステップS5では、ステップS3で算出した目標排気風量が、現時点における目標排気風量の設定値未満であるか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS8に進む一方、YESであるときにはステップS6に進む。
【0067】
ステップS6では、目標排気風量の設定値を現在の値に維持する。
【0068】
ステップS7では、排気ファン制御部(3c)において、上記設定された目標排気風量を得るために必要な排気ファン(2)の目標回転数を算出し、該算出した目標回転数に対応する制御信号をインバータへと出力し、しかる後にリターンする。
【0069】
ステップS4及びステップS5の判定がNOであるときに進むステップS8では、目標排気風量設定部(3b)において、目標排気風量の設定値を、ステップS3で算出した目標排気風量により更新する。
【0070】
ステップS2の判定がNOであるときに進むステップS9では、基準電流値設定部(3a)における最大/最小基準電流値の更新処理を禁止し、しかる後にリターンする。
【0071】
次に、コントローラ(3)の基準電流値設定部(3a)における最大/最小基準電流値の設定値更新処理について、図5のフローチャートを基に説明する。
【0072】
ステップS101では、停電検出回路からの検出信号と、高消費電力機器(13)からの作動信号と、排気ファン(2)からの作動信号とを読み込む。
【0073】
ステップS102では、電流検出器(7)の検出電流値が最小基準電流値未満であるか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS104に進む一方、YESであるときにはステップS103に進む。
【0074】
ステップS103では、最小基準電流値を電流検出器(7)の検出電流値により更新する。
【0075】
ステップS104では、停電検出回路からの検出信号を基に、停電状態にあると判断した場合においてその後に停電状態が解消したか否か(停電状態から復帰したか否か)を判定し、この判定がNOであるときにはステップS108に進み、YESであるときにはステップS105に進む。
【0076】
ステップS105では、最小基準電流値の増加補正処理を実行する。具体的には、停電復帰時から現時点までの経過時間が、所定時間の整数倍であるときには、最小基準電流値を所定量だけ増加させる。この所定量は、例えば、停電復帰後において想定される電灯回路(11)の平均電流値の1/n(n≧1であって、本実施形態ではn=5)倍に設定される。
【0077】
ステップS106では、検出電流値が最小基準電流値以下であるか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS105に戻る一方、YESであるときにはステップS107に進む。
【0078】
ステップS107では、最小基準電流値の増加補正処理を停止する。
【0079】
ステップS108では、電流検出器(7)の検出電流値が最大基準電流値よりも大きいか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS110に進む一方、YESであるときにはステップS109に進む。
【0080】
ステップS109では、最大基準電流値を電流検出器(7)の検出電流値により更新する。
【0081】
ステップS110では、高消費電力機器(13)が作動している場合においてその作動が停止したか否かを判定して、この判定がNOであるときにはリターンする一方、YESであるときにはステップS111に進む。
【0082】
ステップS111では、最大基準電流値の低下補正処理を開始する。具体的には、高消費電力機器(13)の作動が停止してから現在までの経過時間が、所定時間の整数倍であるときには、最大基準電流値を所定量だけ低下させる。この所定量は、例えば、高消費電力機器(13)の作動停止後において電灯回路(11)の平均電流値として想定される値と、高消費電力機器の作動状態において電灯回路(11)の平均電流値として想定される値との差分値の1/n(n≧1であって、本実施形態ではn=5)倍に設定される。
【0083】
ステップS112では、検出電流値が最大基準電流値以上であるか否かを判定し、この判定がNOであるときにはステップS111に戻り、YESであるときにはステップS113に進む。
【0084】
ステップS113では、最大基準電流値の低下補正処理を停止し、しかる後にリターンする。
【0085】
以上のように、発明者らは、あるオフィスの室内(50)において取得した消費電力データを基に、「電灯回路(11)の電流値が増加するほど在室者人数(二酸化炭素濃度)も増加するという関係がある」ことを見出した。そして、上記実施形態では、このことを利用して換気装置(1)による室内(50)の換気制御を行うようにしている。すなわち、コントローラ(3)により換気制御が実行されると、電流検出器(7)の検出電流値が最小基準電流値以下であるときには、目標排気風量が第一排気風量に設定され、検出電流値が最大基準電流値以上であるときには、目標排気風量が第二排気風量に設定され、電流検出器(7)の検出電流値が最大基準電流値未満で且つ最小基準電流値を超える範囲内にあるときには、検出電流値が増加するほど目標排気風量が高く設定される。そして、排気ファン制御部(3c)により排気ファン(2)の排気風量が目標排気風量に制御される。
【0086】
この結果、室内(50)の在室者人数が、想定される最大人数である場合には、排気ファン(2)の排気風量が最大排気風量(第一排気風量)となる。したがって、室内(50)の二酸化炭素濃度を確実に基準値以下に抑制することができる。また、室内(50)の在室者人数が少なくなるにつれて、排気ファン(2)の排気風量(排気ファン(2)の回転数)が低下する。したがって、省エネ性の向上を図ることができる。また、室内(50)の在室者人数が、想定される最小人数である場合には、排気ファン(2)の排気風量が最小排気風量(第二排気風量)になる。したがって、室内(50)の二酸化炭素濃度を基準値以下に維持するための最低限の排気風量を確保することができる。また、二酸化炭素センサを使用する必要もないので、換気装置(100)の設置自由度やメンテナンス性の向上を図るとともに低コスト化を図ることができる。
【0087】
また、上記実施形態では、基準電流値設定部(3a)は、電流検出器(7)の検出電流値が、最大基準電流値の設定値を上回ったときには、当該設定値を当該検出電流値により更新する(ステップS109の処理)。また、基準電流値設定部(3a)は、電流検出器(7)の検出電流値が、最小基準電流値の設定値を下回ったときには、当該設定値を当該検出電流値により更新する(ステップS103の処理)ようになっている。
【0088】
これにより、最大/最小基準電流値を常に最新の値に更新して、室内(50)の在室者人数に応じた換気制御を高精度で行うことができる。
【0089】
また、上記実施形態では、基準電流値設定部(3a)は、電灯回路(11)への電力供給が停止する停電状態になった場合において、その停電状態が解消したときには、上記最小基準電流値の設定値を、所定時間置きに所定量づつ増加させて更新する(ステップS105の処理を実行する)。そして、基準電流値設定部(3a)は、電流検出器(7)の検出電流値が、該最小基準電流値の設定値を下回ったときには、当該処理を停止する(ステップS107の処理を停止する)。
【0090】
これによれば、停電状態から復帰したときには、最小基準電流値をその値が更新されるまで段階的に増加させることができる。よって、最小基準電流値を、停電復帰後における電灯回路(11)の電流値レベルに応じた適切な値に設定することができる。
【0091】
また、上記実施形態では、基準電流値設定部(3a)は、高消費電力機器(13)が作動している場合において、その作動が停止したときには、上記最大基準電流値の設定値を、所定時間置きに所定量づつ低下させて更新する(ステップS111の処理を実行する)。そして、基準電流値設定部(3a)は、電流検出器(7)の検出電流値が、該最大基準電流値の設定値を上回ったときには、当該処理を停止する(ステップS113の処理を実行する)。
【0092】
これによれば、高消費電力機器(13)の作動が停止したときには、最大基準電流値をその値が更新されるまで段階的に引き下げることができる。よって、最大基準電流値を、機器作動停止後の電灯回路(11)の電流値レベルに応じた適切な値に設定することができる。
【0093】
上記実施形態では、上記基準電流値設定部(3a)は、上記電灯回路(11)より上記蛍光灯(12)への電力供給が行われる状況下で上記所定期間内に電流検出器(7)により検出された検出電流値の最大値及び最小値をそれぞれ、最大基準電流値及び最小基準電流値の初期値として設定する。そして、目標排気風量設定部(3b)は、蛍光灯(12)への電力供給が行われる時間帯として予め設定された制御開始時刻(Ts)から制御終了時刻(Te)までの時間帯内において(ステップS2でYESと判定された場合において)、上記最大/最小基準電流値と、電流検出器(7)の検出電流値とを基に目標排気風量を設定する。
【0094】
これにより、室内(50)の在室者の人数との相関が低い蛍光灯(12)の使用電流の影響を受けずに、目標排気風量を設定することができる。したがって、室内(50)の在室者人数に応じた換気制御をより一層精度良く行うことができる。
【0095】
また、上記実施形態では、目標排気風量設定部(3b)は、室内(50)の在室者の人数が減少しない時間帯として予め設定された設定時間帯(制御開始時刻(Ts)から中間時刻(Tm)までの時間帯)内では(ステップS4の判定がYESである場合には)、目標排気風量の減少を禁止する(ステップS5乃至8の処理を実行する)。
【0096】
これにより、室内(50)の在室者の人数に応じた適切な換気制御をより一層確実に行うことができる。
【0097】
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、換気装置(1)は、一つの排気ファン(2)により室内(50)の空気を室外に排出するようになっているが、これに限ったものではなく、例えば、図6に示すように、排気ファン(2)の他に、吸気ファン(14)を設置するようにしてもよい。これにより、室内(50)の空気の流れを円滑化して、排気ファン(2)の排気性能を向上させることができる。また、排気ファン(2)及び吸気ファン(14)をそれぞれ二つ以上設けてもよいことは言うまでもない。
【0098】
また、上記実施形態では、基準電流値設定部(3a)における最大/最小基準電流値の初期設定を、換気装置(1)の使用を開始する際に一回だけ行うようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、一日一回の頻度で毎日行う等してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、上記基準電流値設定部(3a)において初期設定を行うにあたって、電流検出器(7)による電流値計測時間(所定期間)を、制御開始時刻(Ts)から制御終了時刻(Te)までとしているが、これよりも長くしてもよいし短くしてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、目標排気風量設定部(3b)において、目標排気風量を設定するにあたって、検出電流値が増加するにしたがって目標排気風量の設定値を直線的に増加させるようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、ステップ状(階段状)に増加させたり、二次関数的に増加させたり、指数関数的に増加させたりしてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、基準電流値設定部(3a)における最大基準電流値の低下補正処理(ステップS111の処理)を、高消費電力機器の作動停止後に開始するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、基準電流値設定部(3a)における設定値更新処理の開始直後から実行するようにしてもよい。具体的には、基準電流値設定部(3a)において、ステップS101の処理の開始時から所定時間置き(例えば24時間置き)に最大基準電流値を所定量づつ低下させるようにすればよい。
【0102】
また、上記実施形態では、基準電流値設定部(3a)における最小基準電流値の増加補正処理(ステップS105の処理)を、停電復帰後に開始するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、基準電流値設定部(3a)における設定値更新処理の開始直後から実行するようにしてもよい。具体的には、基準電流値設定部(3a)において、ステップS101の処理の開始時から所定時間置き(例えば24時間置き)に最小基準電流値を所定量づつ低下させるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、室内の空気を室外に排出する排気手段の排気風量を制御して該室内の換気制御を行う換気装置に有用であり、特に、電灯回路(100V回路)を備えた室内に適用する場合に有用である。
【符号の説明】
【0104】
1 換気装置
2 排気ファン制御部(排気手段)
3a 基準電流値設定部(基準電流値設定手段)
3b 目標排気風量設定部(目標排気風量設定手段,風量低下禁止手段)
3c 排気ファン制御部(制御手段)
7 電流検出器(電流検出手段)
11 電灯回路
12 蛍光灯
50 室内

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内(50)の空気を室外に排出する排気手段(2)の排気風量を制御して該室内(50)の換気制御を行う換気装置であって、
上記室内(50)の電気機器(12,13)に電力を供給する電灯回路(11)の電流値を検出する電流検出手段(7)と、
上記電流検出手段(7)により検出された検出電流値に基づいて、上記排気手段(2)による目標排気風量を設定する目標排気風量設定手段(3b)と、
上記排気手段(2)の排気風量が上記目標排気風量になるように該排気手段(2)の作動を制御する制御手段(3c)と、を備えていることを特徴とする換気装置。
【請求項2】
請求項1記載の換気装置において、
上記電流検出手段(7)により所定期間内に検出された検出電流値の最大値及び最小値をそれぞれ、最大基準電流値及び最小基準電流値として設定する基準電流値設定手段(3a)を備え、
上記目標排気風量設定手段(3b)は、上記所定期間が経過した以降において、上記電流検出手段(7)により検出される検出電流値が上記最小基準電流値以下であるときには、上記目標排気風量を第一排気風量に設定し、且つ、該検出電流値が上記最大基準電流値以上であるときには、上記目標排気風量を該第一排気風量よりも大きい第二排気風量に設定するように構成されていることを特徴とする換気装置。
【請求項3】
請求項2記載の換気装置において、
上記目標排気風量設定手段(3b)は、上記所定期間が経過した以降において、上記電流検出手段(7)による検出電流値が上記最小基準電流値を超え且つ上記最大基準電流値未満となる範囲内にあるときには、該検出電流値が増加するにしたがって、上記目標排気風量を高く設定するように構成されていることを特徴とする換気装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の換気装置において、
上記基準電流値設定手段(3a)は、
上記所定期間が経過した以降において、上記電流検出手段(7)の検出電流値が、上記最大基準電流値の設定値を上回ったときに、当該設定値を当該検出電流値により更新する最大値更新処理と、
上記所定期間が経過した以降において、上記電流検出手段(7)の検出電流値が、上記最小基準電流値の設定値を下回ったときに、当該設定値を当該検出電流値により更新する最小値更新処理と、
を実行するように構成されていることを特徴とする換気装置。
【請求項5】
請求項4記載の換気装置において、
上記基準電流値設定手段(3a)は、上記所定期間が経過した以降において、上記電灯回路(11)の電流値が予め設定された一定期間内に所定量以上低下する電流低下状況が発生した場合にその後該状況が解消したときには、上記最小基準電流値の設定値を、所定時間置きに所定量づつ増加させて更新する最小値増加処理を実行するようになっていて、上記電流検出手段(7)による検出電流値が、該最小基準電流値の設定値を下回ったときには、当該処理を停止するように構成されていることを特徴とする換気装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の換気装置において、
上記基準電流値設定手段(3a)は、上記所定期間が経過した以降において、上記最大基準電流値の設定値を、所定時間置きに所定量づつ低下させて更新する最大値低下処理を実行するように構成されていることを特徴とする換気装置。
【請求項7】
請求項2又は3記載の換気装置において、
上記電気機器(12,13)は、上記室内(50)に設置された照明用の蛍光灯(12)を含み、
上記基準電流値設定手段(3a)は、上記電灯回路(11)より上記蛍光灯(12)への電力供給が行われる状況下で上記所定期間内に上記電流検出手段(7)により検出された検出電流値の最大値及び最小値をそれぞれ、上記最大基準電流値及び最小基準電流値として設定するように構成され、
上記目標排気風量設定手段(3b)は、上記所定期間が経過した以降の、上記蛍光灯(12)への電力供給が行われる時間帯として予め設定された蛍光灯使用時間帯内において、上記電流検出手段(7)の検出電流値に基づく目標排気風量の設定を実行するように構成されていることを特徴とする換気装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれか一項に記載の換気装置において、
上記室内(50)の在室者が減少しない時間帯として予め設定された設定時間帯内において、上記排気手段(2)の排気風量の減少を禁止する風量低下禁止手段(3b)をさらに備えていることを特徴とする換気装置。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれか一項に記載の換気装置において、
上記第二排気風量は、上記排気手段(2)により排気可能な排気風量の最大値に設定されていることを特徴とする換気装置。
【請求項10】
請求項9記載の換気装置において、
上記第一排気風量は、上記第二排気風量の20%以上で且つ50%以下の範囲内に設定されていることを特徴とする換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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