説明

換気装置

【課題】 修理、メンテナンスの作業性を大幅に向上できる換気装置を提供する。
【解決手段】
換気装置8は、本体8aと、作動板40と、操作つまみ80を備えている。本体8aは、細長く直線状に延び、内部空間が換気通路として提供され、長手方向に等間隔をおいて多数の第1通気穴23aを形成してなる支持壁23を有する。作動板40は、長手方向に等間隔をおいて多数の第2通気穴41aを有し、支持壁23の屋内側の面に接しながら長手方向にスライド可能に支持されている。操作つまみ80は、作動板40に着脱可能に連結された状態で、本体8aに長手方向にスライド可能に支持され、作動板40を開閉する。本体8aには、支持壁23の屋内側において、作業口35が形成されており、作動板40を含む構成要素がこの作業口35を介して出し入れ可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に開示されているように、スライド式換気装置は、細長く直線状に延びる本体と、細長い作動板と、操作つまみを備えている。
上記本体は、屋内側に配された正面壁と、それより屋外側に配された支持壁を有している。
【0003】
上記作動板は、上記支持壁の屋内側の面に接し、長手方向にスライド可能に支持されている。
上記正面壁の長手方向一端部には支持穴が形成され、この支持穴につまみモール(つまみ支持部材)が嵌め込まれるようにして固定され、このつまみモールに操作つまみがスライド可能に支持されている。この操作つまみと上記作動板は連結されている。
【0004】
上記支持壁には、長手方向に等間隔をおいて多数の第1通気穴が形成され、上記作動板にも上記第1通気穴と同ピッチで長手方向に間隔をおいて多数の第2通気穴が形成されている。
ユーザーは上記操作つまみを介して作動板を、上記第1、第2通気穴が一致した開き位置と一致しない閉じ位置との間でスライドさせる。
【0005】
なお、特許文献2の換気装置は、作動板を支持板に弾性的に押し付けるための樹脂製の押さえブロックを備えている。この押さえブロックは、作動板の長手方向に間隔をおいて複数配置されており、作動板に相対移動不能に取り付けられている。
【0006】
特許文献1,2の換気装置では、作動板は本体の端から挿入することにより、組み込まれる。特許文献2の押さえブロックも作動板に連結した状態で本体の端から作動板と一緒に組み込まれる。さらに本体の両端にキャップを固定することにより換気装置が完成し、その後でサッシ戸に組みつけられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−115156号公報
【特許文献2】特開2008−164199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2の換気装置では、修理やメンテナンスの必要が生じた時に、換気装置をサッシ戸から取り外し、換気装置の本体からキャップを取り外し、さらに作動板を本体に対して長手方向に移動させて抜かなければならず、その作業が煩雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、
(ア)細長く直線状に延び、内部空間が換気通路として提供され、長手方向に等間隔をおいて多数の第1通気穴を形成してなる支持壁を有する本体と、
(イ)長手方向に等間隔をおいて多数の第2通気穴を有し、上記支持壁の屋内側の面に接しながら長手方向にスライド可能に支持される細長い作動板と、
(ウ)上記作動板に着脱可能に連結された状態で、上記本体に長手方向にスライド可能に支持され、上記作動板を上記第1、第2通気穴が一致した開き位置と一致しない閉じ位置との間で移動させる操作つまみと、
を備えた換気装置において、
上記本体には、上記支持壁の屋内側において、本体の長手方向に少なくとも上記作動板より長く延びる作業口が形成されており、上記作動板がこの作業口を介して出し入れ可能であることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、修理やメンテナンスの際に、作動板を作業口から出し入れすることができ、換気装置を設置場所から取り外したり、作動板を本体から長手方向に抜く作業を省くことができ、作業性を向上させることができる。
【0011】
好ましくは、上記本体が、1つまたは複数の型材を含み、その全長にわたって上記作業口が形成されている。
これによれば、作業口を切削加工せずに形成することができる。
【0012】
好ましくは、さらに、つまみ支持部材とカバー部材とを備え、上記本体は、最も屋内側に位置するとともに上記作業口を挟んで対峙する一対の係合溝を有し、上記つまみ支持部材は、第1、第2の係合部を有し、これら係合部を上記本体の一対の係合溝に着脱可能に嵌めることにより、上記本体に支持されるとともに上記作業口の一部領域を塞ぎ、このつまみ支持部材に上記操作つまみがスライド可能に支持されており、上記カバー部材は、通気性を有する細長い形状をなすとともに第3、第4の係合部を有し、これら係合部を上記本体の一対の係合溝に着脱可能に嵌めることにより、上記本体に支持されるとともに上記作業口における残りの領域を塞ぐ。
これによれば、つまみ支持部材とカバー部材で作業口を塞ぐことにより、作動板を隠すことができる。
【0013】
好ましくは、上記つまみ支持部材の第1、第2の係合部のうちの一方が弾性変形可能な爪からなる。
これによれば、爪の弾性変形を利用してつまみ支持部材を本体に対して脱着することができ、この脱着のためにつまみ支持部材を本体に対して作業口の幅方向に変位可能とする必要がないので、つまみ支持部材を安定して支持することができる。
【0014】
好ましくは、さらに押さえブロックを備えており、上記本体の支持壁が起立姿勢をなし、この支持壁の上縁,下縁のそれぞれから、上記作動板のための収容空間を区画する天井壁および受壁が屋内に向かって延び、上記作動板は上記支持壁に接するととともに上記受壁に乗っており、さらに上記本体には、上記天井壁より屋内側において下方に突出する第1受け凸部が形成され、上記受壁より屋内側において上方に突出する第2受け凸部が形成され、これら第1、第2受け凸部が上記作業口を挟んで対峙しており、上記押さえブロックは、第1、第2の係止部を有し、これら第1、第2の係止部が上記第1、第2の受け凸部の屋外側面にそれぞれ着脱可能に係止された状態で、上記作動板を上記支持壁に向かって弾性的に押し付け、上記第1、第2係止部の上記第1、第2受け凸部からの係止解除により、上記作業口を介して出し入れ可能である。
これによれば、作動板を支持壁に密着させる押さえブロックも作業口から出し入れすることができる。
【0015】
上記換気装置を二重窓の構成要素として用いることができる。すなわち、二重窓は、窓枠と、この窓枠の屋外側に設置された換気機能付きの外窓装置と、窓枠の屋内側に設置された上記換気装置および内窓装置を備えている。換気装置は、窓開口の一辺と等しい長さを有し、当該一辺を画成する窓枠の枠部に、換気装置の本体が固定される。内窓装置は、その枠体を、上記換気装置の本体と、上記窓枠の当該一辺を除く他の三辺の枠部に固定される。
このように換気装置が窓枠に直接設置される場合、修理、メンテナンスの際に、換気装置を窓枠から取り外すのは非常に面倒であるが、上述したように本体を設置場所に固定したまま作動板を取り出し、修理、メンテナンスを行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の換気装置によれば、修理やメンテナンスの作業性を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】既存の窓に本発明の一実施例に係わる換気装置を取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図2】さらに内窓装置を取り付けて、二重窓にした状態を示す縦断面図である。
【図3】図1の状態を示す正面図である。
【図4】図3中A−A線に沿う拡大平断面図である。
【図5】図1の要部の拡大縦断面図である。
【図6】図2の要部の拡大縦断面図である。
【図7】上記換気装置の本体を示す拡大断面図である。
【図8】上記換気装置の作動板、押さえブロック、カバー部材を分解して示す拡大断面図である。
【図9】上記換気装置のつまみモール近傍部の拡大縦断面である。
【図10】上記つまみモールを示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は図(A)中C−C線に沿う断面図、(D)は図(A)中D−D線に沿う断面図である。
【図11】(A)〜(E)は、上記換気装置から種々の構成要素を取り外す工程を順に示す要部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、既存の窓をリフォームして二重窓にするために、本発明に係わる換気装置が用いられる。
最初に、図1を参照しながら既存の窓の構造について説明する。この窓は窓枠1を有しており、この窓枠1は、例えば木製の上枠部2と下枠部3と左右の縦枠部4とを有し、これら枠部2〜4により矩形の窓開口5が形成されている。
【0019】
上記既存の窓の屋外側には、上記窓開口5を開閉するための窓装置6が設置されている。以下、この窓装置6を、後述する内窓装置9と区別するために外窓装置と称する。
上記外窓装置6の枠体6aは、それぞれアルミ押出型材からなる上枠部6bと、下枠部6cと、左右の縦枠部6dとで矩形に構成されている。この枠体6aは、上記窓枠1に固定されるとともに、建物の壁に固定されている。
【0020】
上記外窓装置6の2枚のアルミ製のサッシ戸6xは、上記上枠部6bと下枠部6cにそれぞれ形成されたレール6e,6fに案内されて走行することにより、窓開口5を開閉するようになっている。なお、符号6yは網戸を示す。
【0021】
各サッシ戸6xには換気装置7が装着されている。この換気装置7は、例えば上框一体型のものであり、周知のものであるので詳細には説明しないが、操作つまみ7aを左右に移動することにより、作動板7bをスライドさせつつカム機構により屋内外方向に回動させることにより、室内側の正面壁に形成された通気穴を開閉するようになっている。
【0022】
上述した既存の窓に、図1に示すように本発明に係わる換気装置8を設置し、さらに図2に示すように内窓装置9を設置することにより二重窓が得られる。
図3に示すように、換気装置8は上記窓開口5の上辺(一辺)と等しい長さを有し、この上辺を画成する窓枠1の上枠部2に固定される。
【0023】
まず、上記換気装置8の構成について、詳述する。
図3〜図5に示すように、上記換気装置8は、本体8aと、作動板40と、複数の押さえブロック50と、カバー部材60と、つまみモール70(つまみ支持部材)と、操作つまみ80と、左右一対のキャップ90を備えている。
【0024】
上記本体8aは、図7に最も良く示されているように、2つの同一長さ(窓開口5の上辺とほぼ同一長さ)のアルミ製押出型材10,20を互いに連結することにより、断面ほぼ矩形をなして構成されている。本体8aの内部空間は換気通路として提供される。
【0025】
一方の型材10は、断面ほぼL字形をなし、水平をなす上壁11と、この上壁11の屋外側の縁から下方に延びる垂直壁12とを有している。上壁11の屋内側の縁部近傍には嵌合部13aが形成され、垂直壁12の下端縁にも嵌合部13bが形成されている。
上記垂直壁12には多数の縦長の通気穴12aが長手方向に等間隔をおいて形成されている。
【0026】
上記上壁11の屋内側の縁部には、下方に垂直に突出する2つの凸部15,16が形成されており、これら凸部15,16間に係合溝17が形成されている。
さらに、上記上壁11には長手方向に間隔をおいて2列の通し穴11aが形成されている。
【0027】
他方の型材20は、水平をなす下壁21と、この下壁21の屋内側の縁部から上方に突出した複雑な断面形状の支持部22とを有している。
上記支持部22は、垂直をなす支持壁23と、この支持壁23の下縁から水平をなして屋内へ延びる受壁24と、支持壁23の上縁から屋内方向に水平に延びる天井壁26とを有している。これら受壁24と天井壁26は、上記作動板40を収容するための収容空間34を画成する。
支持壁23には多数の縦長の通気穴23a(第1通気穴)が長手方向に等間隔をおいて形成されている。
【0028】
上記支持壁23の上縁には屋外へ突出する嵌合部25aが形成され、上記下壁21の屋外側の縁にも嵌合部25bが形成されている。上記型材10の嵌合部13a、13bと型材20の嵌合部25a、25bを互いに嵌合させることにより、上記本体8aが得られる。
【0029】
上記型材20の支持部22は、この天井壁26の屋内側の縁から下方に垂直に突出する受け凸部27(第1受け凸部)を有している。
さらに上記支持部22は、屋内側の縁から上記受壁24に向かって順に、上方に向かって垂直に突出する凸部28、29と、段差部30を有している。これら凸部28,29間に係合溝31が形成され、凸部29と段差部30との間に、保持溝32が形成されている。
【0030】
上記型材20の凸部28、29は、前述した型材10の凸部15,16の真下に位置しており、これにより型材10,20の係合溝17,31も上下方向に対峙している。
上記凸部29は、後述するように、上記受け凸部27と協働して押さえブロック50を係止するための受け凸部(第2受け凸部)としての役割も担う。
【0031】
上記型材20の下壁21には、上記型材10の上壁11の通し穴11aの真下において、通し穴11aより径の大きな通し穴21aが形成されている。
【0032】
上記本体8aの最も重要な構成は、上記支持壁22の屋内側の空間が、全長にわたって屋内側に開放された作業口35として提供されることである。上記収容空間34は作業口35の一部を構成し、この作業口35は換気通路の一部を構成している。
上記係合溝17、受け凸部27と、上記係合溝31、受け凸部29は、作業口35を挟んで上下に対峙している。
【0033】
次に、図8を参照しながら上記作動板40について説明する。作動板40はアルミ製の押出型材からなり、垂直の平板部41と、この平板部41の下縁から屋外側に水平に突出した脚部42と、この平板部41の屋内側に形成された長手方向に延びる一対の突起43と、脚部42の下面に形成された長手方向に延びる突起44を有している。
【0034】
さらに、上記平板部41には、上記支持壁23の通気穴23aと同形状、同ピッチの多数の通気穴41a(第2通気穴)が形成されている。なお、上記突起43は、これら通気穴41aにより分断されている。
【0035】
図5に示すように、上記作動板40は、その平板部41が上記支持壁23の屋内側の面に接し、上記脚部42が上記受壁24に乗った状態で、上記収容空間34に収容されるとともに、通気穴23a、41aが一致した開き位置と一致しない閉じ位置との間で、長手方向にスライド可能に支持されている。
【0036】
次に、図8を参照しながら上記押さえブロック50について説明する。押さえブロック50は樹脂の射出成形品からなり、ボデイ部51と、このボデイ部51から上方に突出する係止部52(第1係止部)と、ボデイ部51から屋内に向かって斜め下方に突出する係止部53(第2係止部)と、左右両端または左右いずれか一端がボデイ部51に連なり屋外に向かって平面視円弧状に突出する弾性変形部54と、ボデイ部51から屋外に向かって突出する左右一対の係止部55とを有している。
【0037】
図5に示すように、上記押さえブロック50の上記係止部52が本体8aの受け凸部27の屋外側の面に当たり、上記係止部53が上記本体8aの保持溝32に入り込むとともに上記受け凸部29の屋外側の面に当たり、上記弾性変形部54が弾性変形した状態で上記作動板40の突起43に当たることにより、作動板40は、支持壁23に弾性力をもって押し付けられ、支持壁23に接した状態を維持される。
【0038】
図4に示すように、押さえブロック50の係止部55が作動板40の通気穴41aに入り込むことにより、押さえブロック50は作動板40に着脱可能に連結され、作動板40と一緒に本体8aに対してスライドするようになっている。
【0039】
次に、図8を参照しながらカバー部材60について説明する。このカバー部材60は、樹脂の押出型材からなり、左右に細長い平板形状をなし屋外に向かって若干量突出する上下の鍔部を形成してなるボデイ部61と、これらボデイ部61の上下の鍔部の屋外側の縁から上下にそれぞれ突出する一対の係合部62、63(第3、第4の係合部)とを有している。このボデイ部61には長手方向に間隔をおいて多数の通気穴61aが形成されており、ボデイ部61の屋外側にはこのボデイ部61のほぼ全長にわたってフィルタ65が取り付けられている。
【0040】
上記カバー部材60は、図3に示すように、上記作業口35のうち右端部を除く領域を覆うようにして、本体8aに取り付けられている。図5に示すように、カバー60は、その係合部62,63が本体8aの係合溝17,31に嵌まることにより、本体8aに着脱可能に支持されている。
【0041】
次に、図4、図10を参照しながらつまみモール70について説明する。つまみモール70は、樹脂の射出成形品からなり、浅い箱状をなすボデイ部71と、このボデイ部71の下辺部の屋外側の縁から下方に突出する係合部72(第2係合部)と、ボデイ71の上辺部の屋外側の縁から上方に突出した爪状をなす係合部73(第1係合部)とを有している。
【0042】
上記ボデイ部71の平板部中央には、つまみ装着用の細長い開口71aが形成されている。
上記ボデイ部71の上辺部は2箇所において分断されており、この分断部71x(連結部)は、他の部位より低くかつ薄肉となっており、この分断部71x(連結部)に上記爪状の係合部73が連なっている。これら分断部71xと係合部73は断面ほぼL字形をなし、弾性変形可能である。また、分断部71xの上面には長手方向に延びる浅い溝71bが形成されている。
【0043】
上記つまみモール70は、図3に示すように、上記作業口35の右端部の領域を覆うようにして、本体8aに取り付けられている。上記ボデイ部71の上下方向の幅W(図10(C)参照)は、本体8aの凸部15,28間の間隙とほぼ等しく、そのため、つまみモール70のボデイ部71は凸部15,28間に、実質的に上下動不能に(または上下方向の変位を僅かな量に制限されて)嵌められている。
図9に示すように、つまみモール70は、上記係合部72、73がボデイ8aの係合溝31,17に嵌ることにより、ボデイ8aに着脱可能に支持されている。
【0044】
次に、上記操作つまみ80について図4、図9を参照しながら説明する。操作つまみ80は、上記つまみモール70の開口71aに左右移動可能に挿入された操作部81と、この操作部81から屋外に向かって突出する連結部82と、操作部81の左右上下に延びる鍔部83とを有している。上記連結部82の屋内側の端部の下面には小凸部が形成され、この小凸部が本体8aの凸部29の上縁にスライド可能に乗っている。上記連結部82の屋外側の端部が上記作動板40の突起43に形成された切欠に嵌ることにより、操作つまみ80は作動板40に着脱可能に連結されている。上記鍔部83は、本体8aの凸部16,29とつまみモール70のボデイ部71との間に挟まれるようにして支持されている。
【0045】
次に上記キャップ90について、図3、図4を参照しながら説明する。上記型材10,20には図示しないタッピングホールが形成されており、上記キャップ90を貫通するねじ(図示しない)をこれらタッピングホールにねじ込むことにより、上記本体8aの長手方向両端にキャップ90が固定されている。
【0046】
図3、図4に示すように、上記一対のキャップ90の屋内側の縁には、押さえ鍔91が形成され、一対のキャップ90の押さえ鍔91間に、上記カバー部材60とつまみモール70が隙間無く配置されており、これによりカバー部材60とつまみモール70の横移動が禁じられている。
【0047】
上記一対のキャップ90で本体8aの長手方向の両端開口を塞ぐことにより、運搬時に、上記本体8aに装着された種々の構成要素(作動板40、押さえブロック50、カバー部材60、つまみモール70等)の脱落を防止することができる。
【0048】
上記のように構成され、組み立てられた換気装置8は、図1、図3、図5に示すように、既存の窓(前述したように外窓装置6を設置してなる窓)の窓枠1の上枠部2に、固定される。詳述すると、図5に最も良く示すように、ねじ100を本体8aの通し穴21a,11aに通し、木製の上枠部2にねじ込むことにより、本体8aの上壁11が上枠部2の下面に固定され、ひいては換気装置8全体が上枠部2に固定される。
【0049】
次に、図2、図6に示すように、内窓装置9を後付けする。最初に枠体9aを用意し、この枠体9aの上枠部9bを、換気装置8の本体8aの下壁21にねじ200で固定し、下枠部9cを窓枠1の下枠部3に図示しないねじで固定し、縦枠部9dを窓枠1の縦枠部4に図示しないねじで固定する。
【0050】
次に、サッシ戸9xをいわゆるケンドン式に上枠部9bのレール9eと下枠部9cのレール9fとの間に嵌め込む。
上記のように、換気装置8の本体8aを窓枠1の上枠部2の代わりに提供することにより、内窓装置9を容易に取り付けることができる。
【0051】
上記のように、既存の外窓装置6に内窓装置9を後付けして二重窓とすることにより、断熱効果を高めることができ、ひいては家屋の冷暖房効率を向上させることができる。断熱性を高めるために、内窓装置9の枠体9aやサッシ戸9xの枠は樹脂製が好ましい。
外窓装置6に装着された屋外側の換気装置7を開いた時に、屋内側の換気装置8を開けば、サッシ戸6x、9xを閉じた状態で屋内の換気を行うことができる。
【0052】
次に、上記換気装置8の修理、メンテナンスについて説明する。換気装置8の本体8aは、窓枠1に固定されるとともに、内窓装置9の枠体9aにも固定されているため、取り外すことはできない。そこで、修理、メンテナンスの際には、図11に示すように、換気装置8の本体8aを除く主要構成要素を、本体8aの作業口35から取り外す。以下、詳述する。
【0053】
まず、図11(A)に示すように、カバー部材60を本体8aの係合溝17,31から取り外す。カバー部材60のボデイ部61の上下方向の幅は、係合溝17,31の屋内側の凸部15,28間の間隔より小さいので、カバー部材60の上方への移動が可能であり、このカバー部材60を持ち上げることにより、下側の係合部63を係合溝31から離脱させることができる。その後で図示のようにカバー部材60を傾けてカバー部材60の下縁部を屋内方向へ移動させた後、上側の係合部62を係合溝17から離脱させる。このようにして、カバー部材60を本体8aから取り外し、作業口35の右端部を除く領域を開放する。
【0054】
次に、図11(B)に示すように、つまみモール70を本体8aの係合溝17,31から取り外す。この際、図9に示すように、ドライバー等の工具300の先端をつまみモール70のボデイ部71の溝71bに差込み、本体8aの凸部15の先端を支点として矢印方向に工具300を回すことにより、係合部73と分断部71xを弾性変形させ、図11(B)に示すように係合部73を係合溝17から外す。その後で、下側の係合部72を係合溝31から外す。このようにして、つまみモール70を本体8aから取り外し、作業口35の右端部の領域を開放する。
【0055】
次に、図11(C)に示すように、つまみモール70による拘束を解除された操作つまみ80を屋内に向けて引くことにより、操作つまみ80を作動板40から抜き、作業口35を介して本体8aから取り外す。
【0056】
次に、図11(D)に示すように、押さえブロック50を取り外す。図5に示すように、この押さえブロック50の係止部53が本体8aの保持溝32に嵌り、係止部52,53が受け凸部27、29に係止された状態において、係止部52の上端と本体8aの天井壁26との間には余裕がある。そのため、押さえブロック50は上方へ移動可能である。押さえブロック50を所定量持ち上げることにより、係止部53を受け凸部29から外すことができる。その後で図11(D)に示すように押さえブロック50を傾けることにより、係止部53を、受け凸部29を越えて屋内方向に移動させることができる。次に、係止部52を受け凸部27から外し、押さえブロック50を作業口35から取り出す。
【0057】
次に、図11(E)に示すように、押さえブロック50による拘束を解除された作動板40を作業口35から取り出す。作動板40は本体8aの支持壁23に接し、受壁24に乗っているだけなので、傾かせた状態で作業口35から容易に取り出すことができる。
【0058】
次に、空になった本体8aを点検し、支持壁23や受壁24に付着した塵埃を除去する等して本体8aを清掃する。また、取り出した上記作動板40、押さえブロック50、カバー部材60、つまみモール70、操作つまみ80を点検したり清掃し、故障がある場合には修理したり新しい部品と交換する。
【0059】
修理やメンテナンスが終了した後、上記とは逆の順序で、すなわち作動板40、押さえブロック70、操作つまみ80、つまみモール70、カバー部材60の順序で、作業口35を介して本体8aに再装着する。
【0060】
上記押さえブロック50はいわゆるケンドン式に本体8aに装着する。詳述すると、最初に押さえブロック50を図11(D)に示すような傾いた姿勢で作業口35から挿入し、係止部52を受け凸部27より屋外側に位置させた後、係止部53を受け凸部29を越えて保持溝32の上方に位置させ、さらに押さえブロック50を下方に移動させて係止部53を保持溝32に嵌め込む。
また、カバー部材60も同様にケンドン式に係合溝17,31に装着する。
【0061】
上記つまみモール70の場合、傾いた状態で最初に係合部72を係合溝31に挿入した後、屋外に向かって押しながら垂直に起立させる。この過程で、係合部73が弾性変形して凸部15を乗り越え、弾性復帰して係合溝17に嵌る。この際、工具を用いて係合部73を弾性変形させてもよい。
【0062】
上記構成要素の取り外し、再装着の順序は、図11に限定されない。例えば、カバー部材60、つまみモール70の取り外し、再装着の順序を逆にしてもよい。ただし、作動板40の取り外しは最後に行い、再装着は最初に行う。
【0063】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の形態を採用可能である。例えば、換気装置を窓開口の下辺に設置してもよいし、左右の縦辺に設置してもよい。
本発明は、サッシ戸装着型の換気装置に適用してもよい。この場合にも、修理、メンテナンスを容易に行うことができる。
本体を構成する型材は一つでもよいし、3つ以上でもよい。
作業口は、本体の全長でなくてもよく、作動板より長ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、家屋等の換気装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
8 換気装置
8a 本体
10,20 型材
23 支持壁
23a 第1通気穴
24 受壁
26 天井壁
17,31 係合溝
27 第1受け凸部
29 第2受け凸部
34 収容空間
35 作業口
40 作動板
41a 第2通気穴
50 押さえブロック
52 第1係止部
53 第2係止部
60 カバー部材
62,63 第3、第4係合部
70 つまみモール(つまみ支持部材)
72,73 第1、第2係合部
80 操作つまみ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(ア)細長く直線状に延び、内部空間が換気通路として提供され、長手方向に等間隔をおいて多数の第1通気穴を形成してなる支持壁を有する本体と、
(イ)長手方向に等間隔をおいて多数の第2通気穴を有し、上記支持壁の屋内側の面に接しながら長手方向にスライド可能に支持される細長い作動板と、
(ウ)上記作動板に着脱可能に連結された状態で、上記本体に長手方向にスライド可能に支持され、上記作動板を上記第1、第2通気穴が一致した開き位置と一致しない閉じ位置との間で移動させる操作つまみと、
を備えた換気装置において、
上記本体には、上記支持壁の屋内側において、本体の長手方向に少なくとも上記作動板より長く延びる作業口が形成されており、上記作動板がこの作業口を介して出し入れ可能であることを特徴とする換気装置。
【請求項2】
上記本体が、1つまたは複数の型材を含み、その全長にわたって上記作業口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
さらに、つまみ支持部材とカバー部材とを備え、
上記本体は、最も屋内側に位置するとともに上記作業口を挟んで対峙する一対の係合溝を有し、
上記つまみ支持部材は、第1、第2の係合部を有し、これら係合部を上記本体の一対の係合溝に着脱可能に嵌めることにより、上記本体に支持されるとともに上記作業口の一部領域を塞ぎ、このつまみ支持部材に上記操作つまみがスライド可能に支持されており、
上記カバー部材は、通気性を有する細長い形状をなすとともに第3、第4の係合部を有し、これら係合部を上記本体の一対の係合溝に着脱可能に嵌めることにより、上記本体に支持されるとともに上記作業口における残りの領域を塞ぐことを特徴とする請求項1または2に記載の換気装置。
【請求項4】
上記つまみ支持部材の第1、第2の係合部のうちの一方が弾性変形可能な爪からなることを特徴とする請求項3に記載の換気装置。
【請求項5】
さらに押さえブロックを備えており、
上記本体の支持壁が起立姿勢をなし、この支持壁の上縁,下縁のそれぞれから、上記作動板のための収容空間を区画する天井壁および受壁が屋内に向かって延び、上記作動板は上記支持壁に接するととともに上記受壁に乗っており、
さらに上記本体には、上記天井壁より屋内側において下方に突出する第1受け凸部が形成され、上記受壁より屋内側において上方に突出する第2受け凸部が形成され、これら第1、第2受け凸部が上記作業口を挟んで対峙しており、
上記押さえブロックは、第1、第2の係止部を有し、これら第1、第2の係止部が上記第1、第2の受け凸部の屋外側面にそれぞれ着脱可能に係止された状態で、上記作動板を上記支持壁に向かって弾性的に押し付け、上記第1、第2係止部の上記第1、第2受け凸部からの係止解除により、上記作業口を介して出し入れ可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−7750(P2012−7750A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141376(P2010−141376)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(504254770)株式会社佐原 (26)
【Fターム(参考)】