説明

揺動選別装置

【課題】
本発明は、穀粒の選別状況を目視できない大型の揺動選別装置において、作業者が選別状況を見ながら容易に仕切板を操作できることを課題とする。
【解決手段】
複数種類の粒径からなる混合穀粒を種類毎の穀粒に分離する揺動選別板(8)と、揺動選別板(8)の選別排出側で穀粒を分離して取り出す仕切板(10)と、揺動選別板(8)面の穀粒の選別分布状態を撮像する撮像手段(23)と、仕切板(10)の仕切り位置を調節操作する仕切板調節スイッチ(38)と、撮像手段(23)で撮像する画像を映す画面(37)とを設け、仕切板調節スイッチ(38)を画面(37)の近傍に設けたことを特徴とする揺動選別装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の穀粒を揺動選別する揺動選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には揺動選別板の上方にテレビカメラを設け、選別板上の籾と玄米の状態を撮像し、その撮像情報に基づき、仕切板や選別板の角度を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−268876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
揺動選別板上を常時流動する穀粒から籾と玄米の分離状況を撮像して把握して仕切板や選別板の角度を制御する技術は現実には困難であり、やはり人の目で見て人が仕切板を操作するのが一番精度が高い。しかしながら、特に大型の籾摺機においては、揺動選別板の設置位置が高いため選別状況が目視できない。
【0005】
本発明は、穀粒の選別状況を目視できない大型の揺動選別装置において、作業者が選別状況を見ながら容易に仕切板を操作できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために次のような技術的手段を講じる。
請求項1記載の発明は、複数種類の粒径からなる混合穀粒を種類毎の穀粒に分離する揺動選別板(8)と、揺動選別板(8)の選別排出側で穀粒を分離して取り出す仕切板(10)と、揺動選別板(8)面の穀粒の選別分布状態を撮像する撮像手段(23)と、仕切板(10)の仕切り位置を調節操作する仕切板調節スイッチ(38)と、撮像手段(23)で撮像する画像を映す画面(37)とを設け、仕切板調節スイッチ(38)を画面(37)の近傍に設けたことを特徴とする揺動選別装置とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、揺動選別板(8)の傾斜角度を調節する角度調節スイッチ(41)を設け、画面には揺動選別板面全域と仕切板付近とを選択して映す選択スイッチ(34,35)を設けたことを特徴とする請求項1記載の揺動選別装置とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、仕切板調節スイッチ(38)と角度調節スイッチ(41)はタッチパネルの構成とし、選択スイッチ(35)で揺動選別板面全域を選択して画面(40)に映したときには角度調節スイッチ(41)を表示し、選択スイッチ(34)で仕切板付近を選択して画面(37)に映したときには仕切板調節スイッチ(38)を表示する構成としたことを特徴とする請求項2記載の揺動選別装置とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によると、仕切板調節スイッチ(38)を画面(37)の近傍に設けたことで、揺動選別板(8)上の穀粒の分布状態を目視しながら仕切板調節スイッチ(38)を調節できるため、揺動選別板(8)の板面の状態が直接目視できない大型の揺動選別装置においても、仕切板(10)を適正な仕切り位置に調節できる。
【0010】
請求項2記載の発明によると、揺動選別板(8)の傾斜角度を調節する角度調節スイッチ(41)を設け、画面には揺動選別板面全域と仕切板付近とを選択して映す選択スイッチ(34,35)を設けたことで、角度調節に適した画面と仕切板調節に適した画面に適宜切り替えることができる。
【0011】
請求項3記載の発明によると、調節するスイッチと必要な画面とを対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】籾摺選別機の正面図
【図2】籾摺選別機の平面図
【図3】揺動選別装置の斜視図
【図4】(A)運転画面、(B)玄米仕切板調節画面
【図5】(A)運転画面、(B)選別板角度調節画面
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明について、籾摺選別機に基づいて説明する。
図1はプラント用の大型の籾摺選別機の正面図で、その主な構成及び作用を以下説明する。
【0014】
籾を貯留する籾タンク1の下方に籾摺ロール(図示せず)を内装する籾摺ケース2を設け、籾摺ケース2の下方には風選装置3を設ける。風選装置3で風選された籾殻は籾殻排出筒4より機外に排出される構成とし、籾と玄米の混合米は混合米昇降機5に供給されて混合米タンク6に搬送される。混合米タンク内の混合米は揺動選別装置7の多段の揺動選別板8にそれぞれ供給され、揺動選別板8で籾層mと混合米層kと玄米層gとに分離される。揺動選別板8の排出側には籾層mと混合米層kとを仕切る籾仕切板9と、混合米層kと玄米層gとを仕切る玄米仕切板10を設ける。
【0015】
籾仕切板9で仕切られた籾は籾昇降機11を経て籾タンク1に供給されて再度籾摺ケース2で籾摺りされる。玄米仕切板10で仕切られた玄米は玄米昇降機12を経て機外に排出されるか、玄米貯留タンク13で貯留される。籾仕切板9と玄米仕切板10とで仕切られた混合米は混合米昇降機5に供給され、再度揺動選別装置7に供給される構成である。
【0016】
玄米仕切板10は玄米仕切板調節モータ20の正逆転駆動により玄米仕切板移動レール21上を左右方向に移動できる構成としている。また、籾仕切板は籾仕切板調節モータ22の正逆転駆動により籾仕切板移動レール24上を左右方向に移動できる構成としている。23は最上段の揺動選別板面上を撮像するカメラである。
【0017】
揺動選別装置7は角度制御モータ(図示せず)の正逆転駆動で傾斜角度を調節する構成としている。
図4と図5は操作盤Sを示す図で、液晶画面からなるタッチパネルにより構成している。
【0018】
図4の(A)と図5の(A)は共に籾摺り選別運転中の運転画面28と操作スイッチ群29を示す。操作スイッチ群29は、運転開始スイッチ30、運転停止スイッチ31、各種運転条件を設定する各種設定スイッチ32、各種運転条件の調節画面を表示する表示切替スイッチ33、カメラ23の映像範囲を選択するカメラ映像選択スイッチ34と35を設ける。また、操作スイッチ群29に隣接する運転表示画面36で籾摺選別運転中の各種運転情報を集中して表示している。表示例として運転駆動モータ(図示せず)の負荷電流値や負荷電圧値や揺動選別板8の傾斜角度値や仕上弁24が玄米を循環側か排出側に位置しているか等である。
【0019】
籾摺選別作業中にカメラ映像選択スイッチ34を操作すると、運転表示画面36が仕切板調節画面37に切り換わると共に、操作スイッチ群29が玄米仕切板調節スイッチ38に切り換わる。作業者は玄米仕切板10近傍が拡大して映像され、揺動選別板8面の混合米層kと玄米層gの分布状況を仕切板調節画面37で目視しながら玄米仕切板調節スイッチ38を操作して玄米仕切板10を適正な位置に操作する。そして、玄米仕切板10を適正な位置に操作したら戻りスイッチ39を操作して運転画面に戻る。
【0020】
籾摺選別作業中にカメラ映像選択スイッチ35を操作すると、運転表示画面36が選別板角度調節画面40に切り換わると共に、操作スイッチ群29が選別板角度調節スイッチ41に切り換わる。作業者は籾層と混合米層と玄米層の分布状況が映る選別板角度調節画面40を目視しながら選別板角度調節スイッチ41を調節し、適正な穀物層の分布になる揺動選別装置7の傾斜角度にする。そして、揺動選別装置7を適正な角度に操作したら戻りスイッチ39を操作して運転画面に戻る。
【0021】
なお、図示しないが、第三のカメラ映像選択スイッチを設け、それを操作すると籾仕切板9の近傍を拡大する画面に切り換わると共に、操作スイッチ群29が籾仕切板9の調節スイッチに切り換わるようにしても良い。
【0022】
本実施の形態により、玄米仕切板10の位置を調節するときには玄米仕切板10近傍を拡大する映像を目視しながら玄米仕切板調節スイッチ38で調節できるため、精度の良い玄米仕切板調節を行なえ仕上げ玄米に籾混入し難くすることができる。
【0023】
また、揺動選別板8の傾斜角度を調節するときには揺動選別板の籾層・混合米層・玄米層の全体の映像を目視しながら選別板角度スイッチ41で調節できるため、揺動選別板8上に適正な穀粒の分布層にすることができ、選別能率及び選別精度を適正にすることができる。
【0024】
また、玄米仕切板10近傍を拡大する映像のときには玄米仕切板調節スイッチ38が表示され、揺動選別板の籾層・混合米層・玄米層の全体の映像のときには、選別板角度スイッチ41を表示するため、誤操作を少なくすることができる。
【0025】
本実施の形態では、タッチパネル式の操作スイッチ群に構成しているが、玄米(籾)仕切板調節スイッチ、選別板角度調節スイッチ、カメラ映像選択スイッチを通常のスイッチとし、運転画面に隣接する位置に設ける構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は籾摺選別機以外に、大豆選別機、その他穀物の選別機等、揺動選別板で2つの異なる物に分離する装置に適用できる。
【符号の説明】
【0027】
8 揺動選別板
9 籾仕切板
10 玄米仕切板
23 カメラ(撮像手段)
37 仕切板調節画面
38 玄米仕切板調節スイッチ
40 選別板角度調節画面
41 選別板角度スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の粒径からなる混合穀粒を種類毎の穀粒に分離する揺動選別板(8)と、揺動選別板(8)の選別排出側で穀粒を分離して取り出す仕切板(10)と、揺動選別板(8)面の穀粒の選別分布状態を撮像する撮像手段(23)と、仕切板(10)の仕切り位置を調節操作する仕切板調節スイッチ(38)と、撮像手段(23)で撮像する画像を映す画面(37)とを設け、仕切板調節スイッチ(38)を画面(37)の近傍に設けたことを特徴とする揺動選別装置。
【請求項2】
揺動選別板(8)の傾斜角度を調節する角度調節スイッチ(41)を設け、
画面には揺動選別板面全域と仕切板付近とを選択して映す選択スイッチ(34,35)を設けたことを特徴とする請求項1記載の揺動選別装置。
【請求項3】
仕切板調節スイッチ(38)と角度調節スイッチ(41)はタッチパネルの構成とし、選択スイッチ(35)で揺動選別板面全域を選択して画面(40)に映したときには角度調節スイッチ(41)を表示し、選択スイッチ(34)で仕切板付近を選択して画面(37)に映したときには仕切板調節スイッチ(38)を表示する構成としたことを特徴とする請求項2記載の揺動選別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−25195(P2011−25195A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175529(P2009−175529)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】