説明

搬送ボックス

【課題】 安定して荷物を搬送可能であると共に、荷物の組み合わせの変更に容易に対応することが可能な搬送ボックスを提供する。
【解決手段】 本発明の構成によれば、インナーボックス20Aをアウターボックス40における水平第1方向H1の任意の位置に配置して押し込むと、インナー側係合突片25が複数のアウター側係合溝46の何れかに挿入されて、インナーボックス20Aが水平第1方向H1の任意の位置に位置決めされる。このように、本発明によれば、インナーボックス20Aをアウターボックス40に押し込むだけで所望の位置に位置決めすることができ、荷物の組み合わせの変更に容易に対応することが可能になる。しかも、インナーボックス20A自体がボックス構造になっているので、従来の仕切板を備えたものより強度がアップし、荷物を安定して搬送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を収容して搬送するための搬送ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
大きさが異なる複数種類の荷物を、例えば発注先の要求に応じて、組み合わせを変更して搬送する場合、従来は、搬送ボックスの内側に仕切板を備えたものが用いられていた。そして、この搬送ボックスでは、仕切板の装着位置を適宜変更して、荷物の大きさに応じた収容空間を搬送ボックス内に形成していた(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【特許文献1】実公昭45−27552号公報(第1図)
【特許文献2】実開昭63−169439号公報(第2図)
【特許文献3】実開昭61−32029号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記した仕切板は平坦な板構造であるため、例えば電気機器のように比較的重い荷物を搬送するときに荷物の慣性力を受けて変形し、搬送ボックスから外れる事態が生じ得た。このため、比較的重い荷物に対しては、その荷物の形状に合わせた緩衝材(例えば、荷物の形状に対応した発砲スチロール等)を搬送ボックスの内部に設けて、その緩衝材に荷物を保持させていた。しかしながら、緩衝材の種類が増えると、それら緩衝材の製造コスト及び管理コストが増すために、荷物の組み合わせの変更に対応することが困難であった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、安定して荷物を搬送可能であると共に、荷物の組み合わせの変更に容易に対応することが可能な搬送ボックスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る搬送ボックスは、上面開放のアウターボックスと、アウターボックスの内側に収容されて、アウターボックスの縦横の一方の辺に沿った水平第1方向の任意の位置に配置可能でありかつ他方の辺に沿った水平第2方向への移動が規制された上面開放のインナーボックスとを備えて、インナーボックスに荷物を収容可能とした搬送ボックスにおいて、アウターボックスのうち水平第2方向で対向した1対の内側面には、インナーボックスの両側部が上方から挿入されて、そのインナーボックスを水平第1方向の任意の位置に位置決め可能なアウター側挿入係合部が複数形成されたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の搬送ボックスにおいて、アウターボックス内の水平第1方向にインナーボックスを複数並べて収容可能としたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の搬送ボックスにおいて、インナーボックスには、水平第1方向の大きさが異なる複数種類が設けられたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送ボックスにおいて、インナーボックスの両側部には、それら両側部の外面から相反する方向に向けて1対のインナー側係合突片が張り出し形成され、アウター側挿入係合部は、インナー側係合突片を挿入可能な縦溝で構成されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載の搬送ボックスにおいて、インナー側係合突片は、インナーボックスの上端部から下端部に亘って延び、縦溝は、インナー側係合突片の上下方向の全体を収容可能であるところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載の搬送ボックスにおいて、インナー側係合突片から水平第1方向に突出して縦溝の内面に突き合わされるガタ防止突部が設けられ、ガタ防止突部の下面は、下方に向かってインナー側係合突片に接近するように傾斜したところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、所定数のアウター側挿入係合部毎にマークを付したところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、アウターボックスの内側底面又はインナーボックスの外側下面のいずれかに緩衝材を敷設したところに特徴を有する。
【0013】
請求項9の発明は、請求項8に記載の搬送ボックスにおいて、緩衝材はシート状をなしてアウターボックスの内側底面に敷設されかつパイル&フックによってアウターボックスの内側底面に固定されたところに特徴を有する。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、インナーボックスの内側底面に緩衝材を敷設したところに特徴を有する。
【0015】
請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、アウターボックスをネスティング可能とし、ネスティングされた上側のアウターボックスにおける下端部と、下側のアウターボックス内のインナーボックスにおける上端部とが隙間を介して対向するように構成したところに特徴を有する。
【0016】
請求項12の発明は、請求項1乃至11の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、インナーボックスには、荷物の側面に密着して摩擦により荷物を抜け止めする荷物抜止手段が備えられ、アウターボックスとインナーボックスとの間には、荷物抜止手段による摩擦係合力より大きな基準係合力でインナーボックスをアウターボックスに抜け止めするように係合しかつ、基準係合力以上の力でインナーボックスを上方に引っ張ったときに係合が解除されるボックス抜止手段を設けたところに特徴を有する。
【0017】
請求項13の発明は、請求項12に記載の搬送ボックスにおいて、ボックス抜止手段は、アウターボックスの内側底面とインナーボックスの外側下面との間に設けたパイル&フックで構成されたところに特徴を有する。
【0018】
請求項14の発明は、請求項12又は13に記載の搬送ボックスにおいて、荷物抜止手段は、インナーボックスの内側面に固定されて、直方体状の荷物の側面に密着する発泡材で構成されたところに特徴を有する。
【0019】
請求項15の発明は、請求項1乃至14の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、インナーボックスの内側面には、直方体状の荷物をインナーボックスに挿入したときに弾性変形して荷物の側面に密着するインナー緩衝部が設けられたところに特徴を有する。
【0020】
請求項16の発明は、請求項15に記載の搬送ボックスにおいて、インナーボックスの内側面に固着した直方体状の緩衝材で、インナー緩衝部を構成したところに特徴を有する。
【0021】
請求項17の発明は、請求項16に記載の搬送ボックスにおいて、インナー緩衝部を構成する緩衝材は、導電性発泡樹脂であるところに特徴を有する。
【0022】
請求項18の発明は、請求項16又は17に記載の搬送ボックスにおいて、インナーボックスの側壁の一部を外側に膨出させ、直方体状の緩衝材における肉厚方向の一部を収容した緩衝材収容部を形成したところに特徴を有する。
【0023】
請求項19の発明は、請求項15乃至18の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、インナー緩衝部を構成する緩衝材を荷物の周りの四方に配置し、それら緩衝材の端面に囲まれた長方形領域の短辺を50[mm]未満、長辺を178[mm]未満にしたところに特徴を有する。
【0024】
請求項20の発明は、請求項15乃至18の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、インナー緩衝部を構成する緩衝材を荷物の周りの四方に配置し、それら緩衝材の端面に囲まれた長方形領域の短辺を100[mm]未満、長辺を178[mm]未満にしたところに特徴を有する。
【0025】
請求項21の発明は、請求項15乃至18の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、インナーボックスには、インナー緩衝部を構成する緩衝材を荷物の周りの四方に配置し、それら緩衝材の端面に囲まれた長方形領域の短辺を50[mm]未満、長辺を178[mm]未満にした第1のインナーボックスと、短辺を100[mm]未満、長辺を178[mm]未満にした第2のインナーボックスとが備えられたところに特徴を有する。
【0026】
請求項22の発明は、請求項1乃至21の何れかに記載の搬送ボックスにおいて、インナーボックスの上端部から側方に向けて鍔部を張り出したところに特徴を有する。
【0027】
請求項23の発明に係る搬送ボックスは、上面開放のアウターボックスと、アウターボックスの内側に収容されて、アウターボックスの縦横の一方の辺に沿った水平第1方向と他方の辺に沿った水平第2方向との両方向で任意の位置に配置可能な上面開放のインナーボックスとを備えて、インナーボックスに荷物を収容可能とした搬送ボックスにおいて、アウターボックスの内部を水平第1方向で複数の領域に区画しかつインナーボックスを水平第1方向で挟んでその水平第1方向への移動を規制する1対の区画板を設け、アウターボックスのうち水平第2方向で対向した1対の内側面には、各区画板の両側部が上方から挿入されて、区画板を水平第1方向の任意の位置に位置決め可能なアウター側挿入係合部が複数形成され、1対の区画板のうち互いの対向面には、インナーボックスの両側部が上方から挿入されて、そのインナーボックスを水平第2方向の任意の位置に位置決め可能な区画板側挿入係合部が複数形成されたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の構成によれば、インナーボックスをアウターボックスにおける水平第1方向の任意の位置に配置して押し込むと、インナーボックスの両側部が、複数のアウター側挿入係合部の何れかに挿入され、インナーボックスがアウターボックス内で水平第1方向の任意の位置に位置決めされる。この状態で、インナーボックスの両側部がアウターボックスの1対の内側面に突き合わされて水平第2方向にも位置決めされる。このように、本発明によれば、インナーボックスをアウターボックスに押し込むだけで所望の位置に位置決めすることができ、荷物の組み合わせの変更に容易に対応することが可能になる。しかも、インナーボックス自体がボックス構造になっているので、従来の仕切板を備えたものより荷物を搬送する部分の強度がアップし、荷物を安定して搬送することができる。
【0029】
請求項2の構成では、アウターボックスに収容するインナーボックスの数を適宜変更して、荷物の数の変更に容易に対応することができる。また、請求項3の構成では、大きさが異なる複数種類の荷物を各インナーボックスに収容して搬送することが可能になる。
【0030】
請求項4の構成では、アウター側挿入係合部を縦溝で構成し、インナーボックスの外面から張り出したインナー側係合突片を縦溝に挿入可能としたので、インナーボックスの位置を水平第1方向で細かく変更することができる。また、異なる大きさのインナーボックスであってもインナー側係合突片を共通した形状にして、アウター側挿入係合部としての縦溝に挿入することができる。また、請求項5の構成では、アウター側挿入係合部としての縦溝が、インナー側係合突片の上下方向の全体を収容して、インナーボックスの傾きを効果的に規制することができる。
【0031】
請求項6の構成では、インナー側係合突片に設けたガタ防止突部を縦溝の内面に突き合わせることで、ガタを防止することができる。また、インナー側係合突片を縦溝に挿入する際に、ガタ防止突部の下面の傾斜を案内にしてスムーズに挿入作業を行うことができる。
【0032】
請求項7の構成によれば、所定数のアウター側挿入係合部毎に付したマークに基づいて、インナーボックスの配置を容易に特定することができる。
【0033】
請求項8及び請求項10の構成によれば、緩衝材によって荷物に対する上下方向の衝撃を緩和することができる。また、請求項9の構成のように、緩衝材をシート状にしてアウターボックスの内側底面に敷設しパイル&フックにて保持すれば、緩衝材が劣化した場合に容易に交換することができる。ここで、「パイル&フック」とは、登録商標「マジックテープ」として公知の構造のものをいう。以下同様である。
【0034】
請求項11の構成によれば、複数のアウターボックスをネスティングした状態で、上側のアウターボックスと、下側のアウターボックス内のインナーボックスとの干渉が回避され、インナーボックスの損傷が防がれる。
【0035】
請求項12の構成によれば、荷物抜止手段により荷物の上下動を防ぐことができる。また、ボックス抜止手段によりインナーボックスをアウターボックスに固定した状態でインナーボックスから荷物を引き抜くことができる。そして、インナーボックスを基準係合力以上の力で上方に引っ張ってアウターボックスから離脱し、アウターボックス内におけるインナーボックスの配置を変更することができる。具体的に、ボックス抜止手段は、アウターボックスの内側底面とインナーボックスの外側下面との間に設けたパイル&フックで構成することができる(請求項13の発明)。また、請求項14の構成によれば、荷物抜止手段をインナーボックスの内側面に固定した発泡材で構成したので、荷物抜止手段を衝撃に対する緩衝材に兼用することができる。
【0036】
請求項15の構成によれば、直方体状の荷物をインナーボックスに挿入して収容すると、インナーボックスの内側面に設けたインナー緩衝部が弾性変形してその荷物に密着する。これにより、インナーボックス内で荷物が、がたつかなくなると共に、荷物への水平方向からの衝撃が緩和される。具体的には、インナーボックスの各側壁の内面に固着した直方体状の緩衝材でインナー緩衝部を構成することができる(請求項16の発明)。この場合、インナー緩衝部を構成する緩衝材を導電性発泡樹脂とすることで、静電気の発生を防ぐことができる(請求項17の発明)。また、インナーボックスの側壁の一部を外側に膨出させて形成した緩衝材収容凹所に直方体状の緩衝材における肉厚方向の一部を収容することで緩衝材を厚くすることができ、衝撃の吸収性が向上する(請求項18の発明)。
【0037】
インナーボックスに収容して搬送する荷物として、カーオーディ、カーナビゲーション装置等の電気機器が挙げられる。これら電気機器は、1DINタイプと2DINタイプとに分類することができる。ここで、1DIN、2DINは、ドイツ工業規格により規定されている大きさの規格であって、1DINは、縦横の寸法が、50[mm]及び178[mm]であると規定され、2DINは、縦横の寸法が、100[mm]及び178[mm]であると規定されている。そして、請求項19の構成によれば、1DINの直方体状の電気機器を荷物としてインナーボックスに収容したときに、インナー緩衝部を構成する緩衝材をその荷物に密着させることができる。また、請求項20の構成によれば、2DINの直方体状の電気機器を荷物としてインナーボックスに収容したときに、インナー緩衝部を構成する緩衝材をその荷物に密着させることができる。さらに、請求項21の構成によれば、1DINの直方体状の電気機器を荷物として第1のインナーボックスに収容して緩衝材に密着させることができると共に、2DINの直方体状の電気機器を荷物として第2のインナーボックスに収容して緩衝材に密着させることができる。
【0038】
請求項22の構成では、インナーボックスの上端部から側方に向けて鍔部が張り出しているので、その鍔部に指を係止してインナーボックスをアウターボックスから容易に引き抜くことができる。
【0039】
請求項23の構成によれば、1対の区画板をアウターボックスに対して水平第1方向の任意の位置に配置して押し込むと、それら区画板の両側部が複数のアウター側挿入係合部の何れかに挿入されて、アウターボックス内における水平第1方向の任意の位置に位置決めされる。次いで、インナーボックスを1対の区画板の間において水平第2方向の任意の位置に配置して押し込むと、インナーボックスの両側部が複数の区画板側挿入係合部の何れかに挿入されて、インナーボックスが水平第2方向と水平第1方向の両方向で位置決めされる。このように本発明によれば、1対の区画板をアウターボックスに押し込みかつそれら1対の区画板の間にインナーボックスを押し込むだけで、インナーボックスをアウターボックスにおける所望の位置に位置決めすることができ、荷物の組み合わせの変更に容易に対応することが可能になる。しかも、インナーボックス自体がボックス構造になっているので、従来の仕切板を備えたものより荷物を収容する部分の強度がアップし、荷物を安定して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1に示した本実施形態の搬送ボックス10は、アウターボックス40の内部に、大きさが異なる2種類のインナーボックス20A,20Bを収容してなる。アウターボックス40は、上方から見た平面形状が長方形になっており、その長方形の長辺が延びた方向が本発明に係る水平第1方向H1(図1の矢印H1参照)になっており、短辺が延びた方向が本発明に係る水平第2方向H2(図1の矢印H2参照)になっている。そして、水平第1方向H1に2つのインナーボックス20A,20Bが並べて収容されている。それらのうち比較的小さいインナーボックス20Aは、図2に全体が示されている。このインナーボックス20Aは、上面が開放した箱形構造の樹脂成形品であり、このため各側壁21,22には抜き勾配が備えられ、インナーボックス20A全体が底側に向かうに従って僅かに窄んでいる。また、インナーボックス20Aは、上方から見た平面形状が長方形になっており、その長方形の短辺が前記した水平第1方向H1(図1及び図2の矢印H1参照)と平行になりかつ、長辺が前記した水平第2方向H2(図1及び図2の矢印H2参照)と平行になるようにしてアウターボックス40内に収容される。
【0041】
インナーボックス20Aの上端部における開口縁全周からは、側方に向けて鍔部24が張り出されている。また、インナーボックス20Aのうち水平第2方向H2で対向した1対の側壁21,21からは、外方に向けてインナー側係合突片25,25が張り出されている。インナー側係合突片25は、側壁21における左右の中央から直立し、側壁21の上下方向の全体に亘って形成されている。インナー側係合突片25の先端面25Aにも、側壁21と同様に抜き勾配が備えられている。また、インナー側係合突片25の下端角部と上端角部は共に丸みを帯びている。さらに、インナー側係合突片25は、鍔部24の先端より外側に張り出し、インナー側係合突片25の上端部は鍔部24に連続して互いに補強し合っている。
【0042】
インナー側係合突片25には、上下方向の両端寄り位置と中央との3箇所に、ガタ防止突部26が形成されている。ガタ防止突部26はインナー側係合突片25を挟んで左右対称に配置され、水平第2方向H2に延びた突条形状をなしている。また、ガタ防止突部26の上面は水平になっており、ガタ防止突部26の下面は下方に向かってインナー側係合突片25側に接近するように傾斜している。
【0043】
インナーボックス20Aの内側底面には、水平第2方向H2の両端寄り位置の2カ所に薄板状のインナー底面緩衝材30,30が固着されている(図1参照。但し、図1には、一方のインナー底面緩衝材30のみが示されている)。なお、インナー底面緩衝材30は、導電性発泡樹脂で構成されている。後述するインナー側面緩衝材28,アウター底面緩衝材48も同様に導電性発泡樹脂で構成されている。これらにより、静電気の発生を防ぐことができる。
【0044】
図5に示すようにインナーボックス20Aの外側下面には、例えば登録商標「マジックテープ」として公知の面ファスナーテープ50A(本発明に係る「ボックス抜止手段」、「パイル&フック」に相当する)が貼られている。この面ファスナーテープ50Aは、テープ状の布地の表面に複数のフックを備え、裏面がインナーボックス20Aの外側下面に固着されている。また、面ファスナーテープ50Aは、インナーボックス20Aの外側下面のうち水平第1方向H1の中央に配置されかつ水平第2方向H2における一端から他端まで延びている。
【0045】
図2に示すようにインナーボックス20Aのうち水平第2方向H2で対向した1対の側壁21,21における上端部内面には、それらの中央に緩衝材収容凹所27が形成されている。また、水平第1方向H1で対向した1対の側壁22,22における上端部内面には、それらの両端寄り位置に1対の緩衝材収容凹所27,27が形成されている。これら緩衝材収容凹所27は、各側壁21,22の一部を外側に膨出させてなり、内部に扁平直方体状の空間を備え、インナーボックス20Aの内側と上側とに開放している。そして、各緩衝材収容凹所27に、直方体状のインナー側面緩衝材28の一部が収容されて固着している。そして、これらインナー側面緩衝材28によって本発明に係る「荷物抜止手段」と「インナー緩衝部」とが構成されている。なお、インナー側面緩衝材28は、緩衝材収容凹所27に一部が収容されたことにより、肉厚が厚くなり、衝撃の吸収性が向上する。
【0046】
各インナー側面緩衝材28は上面が鍔部24の上面と面一になっている。また、各インナー側面緩衝材28は、側壁21,22から内側に突出している。そして、これらインナー側面緩衝材28のうち突出した側の端面に囲まれた領域の平面形状が長方形になっており、その長方形領域の短辺の寸法が50[mm]未満、長辺の寸法が178[mm]未満になっている。これにより、1DINに規格された直方体状の電気機器80(例えば、カーステレオ)を荷物としてインナーボックス20A内に挿入すると、インナー側面緩衝材28が電気機器80の側面に四方から密着してインナーボックス20A内に電気機器80を安定させることができ、かつインナー側面緩衝材28と電気機器80との摩擦係合力により電気機器80をインナーボックス20A内に抜け止めすることができる。
【0047】
一方、比較的大きいインナーボックス20Bは、全体が図3に示されている。このインナーボックス20Aは、上記した比較的小さいインナーボックス20Aに比べて水平第1方向H1に大きくなった点のみが異なり、それ以外の構成は共通している。具体的には、このインナーボックス20Bにおいて、インナー側面緩衝材28群の端面に囲まれた長方形領域の短辺の寸法は100[mm]未満、長辺の寸法は178[mm]未満になっている。これにより、2DINに規格された直方体状の電気機器90(例えば、カーステレオ)を荷物としてインナーボックス20B内に挿入するとインナー側面緩衝材28が電気機器90の側面に四方から密着する。
【0048】
なお、1DIN,2DINは、ドイツ工業規格により規定されている大きさの規格であって、1DINは、縦横の寸法が、50[mm]及び178[mm]であると規定され、2DINは、縦横の寸法が、100[mm]及び178[mm]であると規定されている。
【0049】
さて、アウターボックス40は、全体が図5に示されており、上面が開放した箱形構造の樹脂成形品である。従って、アウターボックス40の各側壁41,42にも、インナーボックス20Aの側壁21,22と同様に抜き勾配が設けられ、アウターボックス40全体が底側に向かうに従って僅かに窄んでいる。
【0050】
アウターボックス40の外側面には、上下方向の略中央から側方に向かって中間当接壁43が張り出している。また、アウターボックス40の外側面のうち中間当接壁43より下方には、上下方向に延びた複数の縦リブ44が設けられている。これら縦リブ44は、アウターボックス40のうち水平第2方向H2の中心に位置した中心線CL1に対して対称な構造をなす一方、アウターボックス40のうち水平第1方向H1の中心に位置した中心線CL2に対しては非対称な構造になっている。
【0051】
アウターボックス40の内側面には、上記した複数の縦リブ44に対応して、上端部から上下方向の中間位置に亘って複数のリブ挿入溝45が形成されている。これらリブ挿入溝45も中心線CL1に対して対称な構造をなす一方、中心線CL2に対しては非対称な構造になっている。そして、複数のアウターボックス40を上下に積み上げるときに、図8(A)に示すように、上下のアウターボックス40,40の間で、全ての縦リブ44,44が一直線上に並ぶ状態にすると、上側のアウターボックス40の全ての縦リブ44が下側のアウターボックス40の上面に当接したスタッキング状態になる。これに対し、下側のアウターボックス40に対して上側のアウターボックス40を鉛直軸回りに180度旋回させて積み上げると、上側のアウターボックス40の全ての縦リブ44が下側のアウターボックス40の全てのリブ挿入溝45に挿入される。この結果図8(B)に示すように、上側のアウターボックス40のうち中間当接壁43より下側部分が下側のアウターボックス40内に収容されて、上側のアウターボックス40の中間当接壁43が下側のアウターボックス40の上縁部に当接したネスティング状態になる。本実施形態の搬送ボックス10では、このネスティング状態で、下側のアウターボックス40に収容されたインナーボックス20A,20Bの上端部と、上側のアウターボックス40の下端部とが隙間を介して対向するように構成されている。
【0052】
図7(A)に示すように、アウターボックス40のうち水平第2方向H2で対向した1対の内側面41A,41Aには、複数の突条47が水平第1方向H1に等間隔に並べて形成されている。これら突条47群は、図7(B)に示すように、アウターボックス40の上下方向の中間位置から下端部に亘って延びている。また、5つおきの突条47が、他の突条47より上方に若干長くなっており、これら突条47のうち他の突条47より上方に延びた部分が、本発明に係るマーク47Mになっている。さらに、突条47は、中心線CL1を挟んで両内側面41A,41Aに対称に形成され、マーク47Mも両内側面41A,41Aの水平第1方向H1において同じ位置に配置されている。なお、各突条47は、抜き勾配により下方に向かうに従って徐々に肉厚が厚くなっている。
【0053】
上記した突条47群のうち隣り合った突条47,47の間の縦溝が複数のアウター側係合溝46(本発明に係る「アウター側挿入係合部」に相当する)になっている。そして、図1に示すように、インナーボックス20A,20Bのインナー側係合突片25,25が、各内側面41Aにおける何れかのアウター側係合溝46に挿入されて、アウターボックス40の水平第1方向H1において任意の位置に位置決めされる。このとき、インナー側係合突片25に備えたガタ防止突部26がアウター側係合溝46の内面に突き合わされて水平第1方向H1におけるガタが防止される。なお、ガタ防止突部26の下面は傾斜しているので、その傾斜を案内にしてスムーズにインナー側係合突片25の挿入作業を行うことができる。
【0054】
アウターボックス40の内側底面全体には、シート状のアウター底面緩衝材48が敷設され、例えば接着剤により固定されている。また、アウター底面緩衝材48の上面には、前記した面ファスナーテープ50Aと係合可能な面ファスナーテープ50B(本発明に係る「ボックス抜止手段」、「パイル&フック」に相当する)が貼られている。この面ファスナーテープ50Bは、パイル地の裏面に粘着剤を塗布してなる。そして、面ファスナーテープ50Bは、図7(A)に示すように、2列にしてアウター底面緩衝材48に固定され、水平第1方向H1におけるアウター底面緩衝材48の一端から他端に亘って延びている。これにより、アウター底面緩衝材48上にインナーボックス20A,20Bが載置されると、それらインナーボックス20A,20Bの面ファスナーテープ50Aの両端部2箇所にアウター底面緩衝材48の面ファスナーテープ50B,50Bがクロスして当接する。すると、その当接部分において一方の面ファスナーテープ50Aの複数のフックが他方の面ファスナーテープ50Bのパイルに引っ掛かり、インナーボックス20A,20Bがアウター底面緩衝材48を介してアウターボックス40の底壁49(図7(B)参照)に固定される。
【0055】
これら面ファスナーテープ50A,50Bの係合力は、インナーボックス20A,20Bのインナー側面緩衝材28と電気機器80,90との間の摩擦係合力より大きくなっている。さらに、アウター底面緩衝材48とアウターボックス40の底壁49(図7(B)参照)との間の接着剤の固着力も、カーステレオ80,90とアウター底面緩衝材48との間の摩擦係合力より大きくなっている。
【0056】
本実施形態の構成は以上である。次に、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の搬送ボックス10により荷物を搬送する場合には、まず、荷物の種類、組み合わせ等に応じて、アウターボックス40に装着するインナーボックス20A,20Bの種類、数を決定する。そして、インナーボックス20A,20Bから側方への荷物の張り出し量を考慮して、インナーボックス20A,20B同士の間隔を決めて、それらインナーボックス20A,20Bをアウターボックス40の水平第1方向H1における任意の位置に押し込む。すると、インナーボックス20A,20Bのインナー側係合突片25が、アウターボックス40における何れかのアウター側係合溝46に挿入されて、インナーボックス20A,20Bがアウターボックス40の水平第1方向H1で位置決めされる。このときインナー側係合突片25,25の先端面25A,25Aがアウターボックス40の側壁41,41に突き合わされてインナーボックス20A,20Bは水平第2方向H2でも位置決めされる。
【0057】
具体的には、1DINの直方体状の電気機器80を荷物として複数搬送する場合には、例えば、図6(A)に示すように、比較的小さいインナーボックス20Aをアウターボックス40内に複数(例えば、6つ)隣接させて装着する。また、2DINの電気機器90を荷物として複数搬送する場合には、例えば、図6(B)に示すように、比較的大きいインナーボックス20Bをアウターボックス40内に複数(例えば、3つ)隣接させて装着する。そして、各インナーボックス20Bに電気機器90を挿入する。
【0058】
さらに、図4に示した電気機器95(例えば、カーナビゲーション装置)のように、本体95Hが2DINの直方体になっており、その本体95Hの一端からディスプレイ95Dが側方に張り出したものを荷物として搬送する場合には、比較的大きいインナーボックス20Bを複数(例えば、2つ)、アウターボックス40内に装着する。このとき、インナーボックス20B,20B同士の間に間隔を開け、各インナーボックス20Bとアウターボックス40の側壁42(図7(B)参照)との間にも間隔を開けておく。これにより、電気機器95の本体95Hを各インナーボックス20B挿入してディスプレイ95Dがインナーボックス20Bから側方に張り出しても、ディスプレイ95D同士の干渉と、ディスプレイ95Dと側壁42との干渉を防ぐことができる。
【0059】
なお、図1に示すように比較的小さいインナーボックス20Aと比較的大きいインナーボックス20Bとをアウターボックス40内に装着すれば、1DINの電気機器80と2DINの電気機器90とを混在させて搬送することができる。
【0060】
このように本実施形態の搬送ボックス10では、搬送する荷物の種類、組み合わせに応じて、アウターボックス40に装着するインナーボックス20A,20Bの数、種類、配置を変更して対応することができる。ここで、アウター側係合溝46及びインナー側係合突片25の幅は、インナーボックス20A,20Bの側部全体の幅(即ち、側壁22,22の間の寸法)より狭いので、水平第1方向H1においてインナーボックス20A,20Bの位置を細かく変更することができる。また、所定数のアウター側係合溝46毎に付されたマーク47Mに基づいて、インナー側係合突片25を挿入する位置を容易に特定することができる。さらに、インナーボックス20A,20Bをアウターボックス40の底面に載置するだけで、面ファスナーテープ50A,50B同士が係合して、インナーボックス20A,20Bをアウターボックス40に抜け止めすることができる。なお、インナーボックス20A,20Bの鍔部24に指を掛けて所定値以上の力で上方に引っ張っぱれば、面ファスナーテープ50A,50B同士の係合が解除されて、インナーボックス20A,20Bがアウターボックス40から離脱され、配置の変更が可能になる。
【0061】
搬送ボックス10の各インナーボックス20A,20Bに電気機器80,90,95等の荷物を収容したら、必要に応じて搬送ボックス10を上下方向に複数積み上げて搬送用車両に載せる。搬送ボックス10を上下方向に積み上げる際には、上下の搬送ボックス10,10の間でアウターボックス40,40の縦リブ44,44が一直線上に並ぶように配置する。これにより、アウターボックス40,40がスタッキング状態になり(図8(A)参照)、下側の搬送ボックス10に収容した荷物と、上側の搬送ボックス10のアウターボックス40との干渉が防がれる。
【0062】
搬送中に搬送ボックス10が上下方向の振動・衝撃を受けた場合には、アウターボックス40の内側底面に備えたアウター底面緩衝材48と、インナーボックス20A,20Bの内側底面に備えたインナー底面緩衝材30とにより、荷物に対する振動・衝撃が緩和される。また、インナーボックス20A,20Bは、面ファスナーテープ50A,50Bによりアウター底面緩衝材48を介してアウターボックス40の底壁49に保持され、荷物はインナー側面緩衝材28によってインナーボックス20A,20Bに保持されているので、アウターボックス40内における荷物の上下動が防がれる。また、搬送中に搬送ボックス10が水平方向の振動・衝撃を受けた場合には、このインナー側面緩衝材28によって荷物への振動・衝撃が緩和される。
【0063】
搬送車両の加速・減速した場合には、荷物に発生した慣性力がインナーボックス20A,20Bにかかる。ここで、インナーボックス20A,20Bはボックス構造をなしかつ、側壁21,22及び底壁23が一体成形されて互いに補強し合っている。また、側壁21,22に一体形成された鍔部24が補強リブの役割も果たし、インナー側係合突片25も鍔部24によって補強されている。これらにより、本実施形態の搬送ボックス10では、従来の仕切板を備えたものより荷物を収容する部分の強度が増し、荷物に生じた慣性力に抗して、安定して荷物を保持することができる。また、インナー側係合突片25の上下方向の全体がアウター側係合溝46に収容されているので、インナーボックス20A,20Bの傾きも効果的に規制することができる。
【0064】
搬送ボックス10が搬送先に到着したら、荷物をインナーボックス20A,20Bから抜き取る。このとき、インナー側面緩衝材28による荷物の摩擦係止力は、面ファスナーテープ50A,50B同士の係合力、及び、アウター底面緩衝材48とアウターボックス40の底壁49との間の接着剤による固着力より小さいので、インナーボックス20A,20Bをアウターボックス40に固定した状態を保持して、荷物のみを搬送ボックス10から抜き取ることができる。そして、空になった搬送ボックス10,10を積み上げて返却する。このとき、上側のアウターボックス40を下側の40に対して180度旋回させて積み上げることで、アウターボックス40,40がネスティング状態になる(図8(B)参照)。これにより、複数の搬送ボックス10をコンパクトな状態にして返却することができる。このとき、上側のアウターボックス40と、下側のアウターボックス40内のインナーボックス20A,20Bとは干渉せず、インナーボックス20A,20Bの損傷が防がれる。
【0065】
上述したように本実施形態の構成によれば、インナーボックス20A,20Bをアウターボックス40に押し込むだけで所望の位置に位置決めすることができ、荷物の組み合わせの変更に容易に対応することが可能になる。しかも、インナーボックス20A,20B自体がボックス構造になっているので、従来の仕切板を備えたものより強度がアップし、荷物を安定して搬送することができる。
【0066】
[第2実施形態]
本実施形態の搬送ボックス10Xは、図9に示されている。この搬送ボックス10Xは、前記第1実施形態で説明したアウターボックス40の内部にインナーボックス20Cと1対の区画板60,60とが収容されている。このインナーボックス20Cは、前記第1実施形態のインナーボックス20Bを90度旋回させた点以外は、インナーボックス20Bと全て同じ構成になっている。以下、第1実施形態と同じ構成に関しては、同一符号を付して重複した説明は省略し、第1実施形態と異なる構成に関してのみ説明する。
【0067】
各区画板60は、インナーボックス20Cと略同じ高さをなすと共に、アウターボックス40における水平第2方向H2で対向した1対の41,41の間隔と略同じ長さになっている。また、区画板60の表裏の両面には、アウターボックス40の突条47と同様の突条61が複数形成され、それら隣り合った突条61,61の間がアウター側係合溝46と同様の区画板側係合溝62(本発明に係る「区画板側挿入係合部」に相当する)になっている。
【0068】
これら1対の区画板60,60は、アウターボックス40に対して水平第1方向H1の任意の位置に配置して押し込むことができる。すると、各区画板60の両側部が、アウターボックス40の何れかのアウター側係合溝46に挿入され、これにより、1対の区画板60,60が水平第1方向H1で位置決めされる。このとき、区画板60,60の間隔をインナーボックス20Cの水平第1方向H1の大きさに対応させると、区画板60,60の間にインナーボックス20Cを挿入することができる。そして、インナーボックス20Cを、水平第2方向H2の任意の位置に配置して区画板60,60の間に押し込むと、インナーボックス20Cのインナー側係合突片25,25が、両区画板60,60における複数の区画板側係合溝62,62の何れかに挿入され、インナーボックス20Cがアウターボックス40の水平第2方向H2と水平第1方向H1との両方向で位置決めされる。
【0069】
このように、本実施形態によれば、1対の区画板60,60をアウターボックス40に押し込みかつそれら1対の区画板60,60の間にインナーボックス20Cを押し込むだけで、インナーボックス20Cをアウターボックス40における所望の位置に容易に位置決めすることができるから、荷物の種類の増加及びそれら荷物の組み合わせパターンの増加に容易に対応することができる。しかも、インナーボックス20C自体がボックス構造になっているので、従来の仕切板を備えた搬送ボックスより強度がアップし、荷物を安定して搬送することができる。
【0070】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0071】
(1)前記第1実施形態で説明したアウター側係合溝46を図10に示すように幅広にして、インナー側係合突片25を有しないインナーボックス20Dの側部全体がアウター側係合溝46内に挿入される構造にしてもよい。
【0072】
(2)前記実施形態では、アウター底面緩衝材48がアウターボックス40の底壁49に接着剤にて固着されていたが、例えば、面ファスナーテープをアウター底面緩衝材48と底壁49との間に設けて、アウター底面緩衝材48をアウターボックス40の底壁49に着脱可能に取り付けてもよい。この構成によれば、アウター底面緩衝材48が劣化した場合に容易に交換することができる。
【0073】
(3)前記第1実施形態のインナー側面緩衝材28に代えて、インナーボックス20A,20Bの側壁21,22に一体形成された可撓片で本発明に係る「インナー緩衝部」を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態に係る搬送ボックスの斜視図
【図2】比較的小さいインナーボックスの斜視図
【図3】比較的大きいインナーボックスの斜視図
【図4】比較的大きいインナーボックスの斜視図
【図5】アウターボックスとインナーボックスとを分離した状態の斜視図
【図6】(A)アウターボックスに比較的小さいインナーボックスを装着した状態の斜視図、(B)アウターボックスに比較的大きいインナーボックスを装着した状態の斜視図
【図7】(A)アウターボックスの平面図、(B)アウターボックスの側断面図
【図8】(A)アウターボックスのスタッキング状態の斜視図、(B)アウターボックスのネスティング状態の斜視図
【図9】(A)第2実施形態の搬送ボックスの斜視図、(B)その一部を破断した斜視図、
【図10】アウター側挿入係合部の変形例を示した斜視図
【符号の説明】
【0075】
10,10X 搬送ボックス
20A,20B,20C,20D インナーボックス
24 鍔部
25 インナー側係合突片
26 ガタ防止突部
27 緩衝材収容凹所
28 インナー側面緩衝材
30 インナー底面緩衝材
40 アウターボックス
41A 内側面
46 アウター側係合溝(アウター側挿入係合部)
47M マーク
48 アウター底面緩衝材
50A,50B 面ファスナーテープ(ボックス抜止手段、パイル&フック)
60 区画板
62 区画板側係合溝(区画板側挿入係合部)
80,90,95 電気機器(荷物)
H1 水平第1方向
H2 水平第2方向



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開放のアウターボックスと、
前記アウターボックスの内側に収容されて、前記アウターボックスの縦横の一方の辺に沿った水平第1方向の任意の位置に配置可能でありかつ他方の辺に沿った水平第2方向への移動が規制された上面開放のインナーボックスとを備えて、前記インナーボックスに荷物を収容可能とした搬送ボックスにおいて、
前記アウターボックスのうち前記水平第2方向で対向した1対の内側面には、前記インナーボックスの両側部が上方から挿入されて、そのインナーボックスを前記水平第1方向の任意の位置に位置決め可能なアウター側挿入係合部が複数形成されたことを特徴とする搬送ボックス。
【請求項2】
前記アウターボックス内の前記水平第1方向に前記インナーボックスを複数並べて収容可能としたことを特徴とする請求項1に記載の搬送ボックス。
【請求項3】
前記インナーボックスには、前記水平第1方向の大きさが異なる複数種類が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の搬送ボックス。
【請求項4】
前記インナーボックスの両側部には、それら両側部の外面から相反する方向に向けて1対のインナー側係合突片が張り出し形成され、
前記アウター側挿入係合部は、前記インナー側係合突片を挿入可能な縦溝で構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送ボックス。
【請求項5】
前記インナー側係合突片は、前記インナーボックスの上端部から下端部に亘って延び、前記縦溝は、前記インナー側係合突片の上下方向の全体を収容可能であることを特徴とする請求項4に記載の搬送ボックス。
【請求項6】
前記インナー側係合突片から前記水平第1方向に突出して前記縦溝の内面に突き合わされるガタ防止突部が設けられ、
前記ガタ防止突部の下面は、下方に向かって前記インナー側係合突片に接近するように傾斜したことを特徴とする請求項5に記載の搬送ボックス。
【請求項7】
所定数の前記アウター側挿入係合部毎にマークを付したことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項8】
前記アウターボックスの内側底面又は前記インナーボックスの外側下面のいずれかに緩衝材を敷設したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項9】
前記緩衝材はシート状をなして前記アウターボックスの内側底面に敷設されかつパイル&フックによって前記アウターボックスの内側底面に固定されたことを特徴とする請求項8に記載の搬送ボックス。
【請求項10】
前記インナーボックスの内側底面に緩衝材を敷設したことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項11】
前記アウターボックスをネスティング可能とし、ネスティングされた上側の前記アウターボックスにおける下端部と、下側の前記アウターボックス内の前記インナーボックスにおける上端部とが隙間を介して対向するように構成したことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項12】
前記インナーボックスには、荷物の側面に密着して摩擦により荷物を抜け止めする荷物抜止手段が備えられ、
前記アウターボックスと前記インナーボックスとの間には、前記荷物抜止手段による摩擦係合力より大きな基準係合力で前記インナーボックスを前記アウターボックスに抜け止めするように係合しかつ、前記基準係合力以上の力で前記インナーボックスを上方に引っ張ったときに前記係合が解除されるボックス抜止手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項13】
前記ボックス抜止手段は、前記アウターボックスの内側底面と前記インナーボックスの外側下面との間に設けたパイル&フックで構成されたことを特徴とする請求項12に記載の搬送ボックス。
【請求項14】
前記荷物抜止手段は、前記インナーボックスの内側面に固定されて、直方体状の荷物の側面に密着する発泡材で構成されたことを特徴とする請求項12又は13に記載の搬送ボックス。
【請求項15】
前記インナーボックスの内側面には、直方体状の荷物を前記インナーボックスに挿入したときに弾性変形して前記荷物の側面に密着するインナー緩衝部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項16】
前記インナーボックスの内側面に固着した直方体状の緩衝材で、前記インナー緩衝部を構成したことを特徴とする請求項15に記載の搬送ボックス。
【請求項17】
前記インナー緩衝部を構成する前記緩衝材は、導電性発泡樹脂であることを特徴とする請求項16に記載の搬送ボックス。
【請求項18】
前記インナーボックスの側壁の一部を外側に膨出させ、前記直方体状の緩衝材における肉厚方向の一部を収容した緩衝材収容部を形成したことを特徴とする請求項16又は17に記載の搬送ボックス。
【請求項19】
前記インナー緩衝部を構成する前記緩衝材を荷物の周りの四方に配置し、それら緩衝材の端面に囲まれた長方形領域の短辺を50[mm]未満、長辺を178[mm]未満にしたことを特徴とする請求項15乃至18の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項20】
前記インナー緩衝部を構成する前記緩衝材を荷物の周りの四方に配置し、それら緩衝材の端面に囲まれた長方形領域の短辺を100[mm]未満、長辺を178[mm]未満にしたことを特徴とする請求項15乃至18の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項21】
前記インナーボックスには、前記インナー緩衝部を構成する前記緩衝材を荷物の周りの四方に配置し、それら緩衝材の端面に囲まれた長方形領域の短辺を50[mm]未満、長辺を178[mm]未満にした第1のインナーボックスと、前記短辺を100[mm]未満、前記長辺を178[mm]未満にした第2のインナーボックスとが備えられたことを特徴とする請求項15乃至18の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項22】
前記インナーボックスの上端部から側方に向けて鍔部を張り出したことを特徴とする請求項1乃至21の何れかに記載の搬送ボックス。
【請求項23】
上面開放のアウターボックスと、
前記アウターボックスの内側に収容されて、前記アウターボックスの縦横の一方の辺に沿った水平第1方向と他方の辺に沿った水平第2方向との両方向で任意の位置に配置可能な上面開放のインナーボックスとを備えて、前記インナーボックスに荷物を収容可能とした搬送ボックスにおいて、
前記アウターボックスの内部を前記水平第1方向で複数の領域に区画しかつ前記インナーボックスを前記水平第1方向で挟んでその水平第1方向への移動を規制する1対の区画板を設け、
前記アウターボックスのうち前記水平第2方向で対向した1対の内側面には、前記各区画板の両側部が上方から挿入されて、前記区画板を前記水平第1方向の任意の位置に位置決め可能なアウター側挿入係合部が複数形成され、
前記1対の区画板のうち互いの対向面には、前記インナーボックスの両側部が上方から挿入されて、そのインナーボックスを前記水平第2方向の任意の位置に位置決め可能な区画板側挿入係合部が複数形成されたことを特徴とする搬送ボックス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−50910(P2007−50910A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237596(P2005−237596)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】