説明

搬送可能なタンク内での液体、粉末、またはペースト等の原料組成物の自動製造機

少なくとも一つのタンク(100)内で原料組成物を自動的に製造する機械であって、フロアの上に配置されるガイドアセンブリと、第1の長手方向水平軸に沿ってガイドアセンブリ上で移動する支持フレーム(2)と、上記の長手方向水平軸に対して垂直な第2の水平軸に沿って支持フレーム(2)の上で移動する搬送キャリッジ(3)と、キャリッジ(3)により支持されて、垂直軸に沿って移動する上昇支持部材(40)を含む上昇手段(4)と、上昇手段(4)の上昇支持部材(40)により支持され、計量すべき充填物が載せられる部材(50)を含む計量手段(5)と、計量手段(5)の部材(50)に1つずつ機械的に結合されるタンク(100)の把持手段(6)と、搬送されるタンクが正面に配置されるように構成された、少なくとも一つの原料抽出分配装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な容器内に配置された液体、粉末、ペースト等の原料組成物を、調合される分量に応じて製造する機械に関する。本発明は、特に、数十キログラムの比較的大容量のタンクを取り扱うことが可能であって、これらのタンク内で数キログラムの組成物を高い精度で製造可能な機械に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、この種の組成物は手動または半自動で製造されている。そのため、この仕事を割り当てられた作業員は比較的重い容器を手で取り扱わなければならず、これらの容器を手で移動できない場合はパレットリフトタイプの搬送装置を使用することになる。
【0003】
組成物を製造するために、原料は対応する容器から取り出され、フロアにはめ込まれた秤の上に置かれる1つのタンクの中に配合分量に応じて入れられる。混合タンクに原料を入れる場合は、バルブを手動で作動する。
【0004】
このような操作方法には、次のような複数の欠点がある:
様々な原料を含む容器の手動またはパレットリフトによる搬送や、時間のかかる反復作業の実施に関連する苦痛、および安全性の欠如、
成分の調合を繰り返し行うことや、取り出される分量のトレーサビリティを確保することが困難、
成分の調合において高い精度レベルを確保することが困難。
【0005】
以前は、上記の問題の解決を図るために、エンドレスベルトコンベヤまたは同等装置を含む組成物製造機を利用しており、原料を受け取るタンクは、これらのコンベヤまたは同等装置を介して、原料の取り出しおよび送り出し装置の下に移動し、送り出しの最中に計量が行われていた。
【0006】
このような解決方法の主な欠点は、コンベヤによりフロアが常に占有されるために、農産物加工業等の幾つかの産業においては、現行の衛生基準により課されるようなフロアの完全洗浄が不可能もしくは非常に難しくなることである。洗浄は、また、このコンベヤに必ず悪影響を及ぼすので、この作業は特に長く面倒なものになるといわざるを得ない。そもそも、洗浄剤と接するように構成されたコンベヤの部材は、これらの洗浄剤の腐食力に耐えられる材料で製造されなければならないので、こうしたコンベヤのコストは跳ね上がる。また、原料の取り出しシステムの下に配置されるコンベヤの様々なゾーンの洗浄は、これらの原料の性質そのものにより難しくされていることも強調しておかなければならない。
【0007】
さらに、上記のタイプのコンベヤを用いた重い充填物の搬送に関しては、コンベヤにおけるこれらの充填物の相対的バランスが不安定であるために、安全性の問題が提起される。この問題は、コンベヤのローラがタンクの底壁を常時変形させるために、その平面性を失わせることによってさらに重大化する。
【0008】
最後に、コンベヤは、絶え間ないメンテナンスと非常に正確な調整とが必要であり、そのためにコンベヤの動作信頼性は低くなる。
【0009】
公知の幾つかの設備では、タンクの保管ゾーンと原料の送り出しゾーンとの間、およびその反対のゾーン間における各タンクの輸送が、フォークリフトトラックを用いて行われる。このような輸送手段の使用は、安全性の問題と、作業員育成の問題とを提起する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、コンベヤ手段を必要としない原料組成物の自動製造機を用いることによって、上記の欠点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、液体、粉末、またはペースト等の原料組成物を自動的に製造するための本発明による機械は、主に、
フロアの上に配置されるガイドアセンブリと、
ガイドアセンブリにより支持され、機械の長手方向水平軸(AA')に沿ってガイドアセンブリの上で移動する支持フレーム(2)と、
機械の長手方向水平(AA')に対して垂直な水平軸(BB')に沿って支持フレームの上で移動するように取り付けられる搬送キャリッジと、
キャリッジにより支持される上昇手段であって、垂直軸に沿って移動する上昇支持部材を含む上昇手段と、
上昇手段の上昇支持部材により支持され、計量すべき充填物が載せられる部材を含む計量手段と、
計量すべき充填物が載せられる計量手段の部材に1つずつ機械的に結合された、タンクの把持手段と、
搬送されるタンクがその正面に配置されるように構成された、調合された分量の原料を抽出して分配する少なくとも一つの装置とを含むことを特徴とする。
【0012】
このような本発明の機械の構成によって、洗浄および汚染除去を阻止または困難にするあらゆる機械部材をフロアから取り除くことが可能であることが容易に分かる。
【0013】
さらに、本発明の機械の可動部だけがフロアの上でフロアから数メートルの最低距離のところに配置されるので、可動部は、機械の周囲で動き回る作業員の手の届かないところにある。そのため、事故の危険性は著しく低減される。
【0014】
本発明の別の特徴によれば、本発明の機械は、原料分配装置の少なくとも一つの作動機構を含み、この作動機構が搬送キャリッジにより支持される。
【0015】
このような構成により、各分配装置に、この分配装置に固有であるような作動装置を結合することを回避でき、作動装置を増やさなくてもすむ。また、このような構成により、これらの作動装置の制御を簡素化することができる。
【0016】
本発明の別の特徴によれば、キャリッジは、その機械部材および電気部材を収容する保護ハウジングを含み、前記キャリッジがこの保護ハウジングにより、抽出装置の終端の上にくる。保護ハウジングの構成およびその位置により、漏れがあった場合に原料がキャリッジの機械部材および電気部材に触れないようにされている。
【0017】
本発明の別の特徴によれば、キャリッジは、把持手段に対してタンクを固定するためのタンクのブロック機構を備えている。このようにして、搬送時にタンクが揺れ、その結果として液体タンク内に波動が生じて計量精度を悪化させることが回避される。
【0018】
本発明は、また、把持手段と協働するように設けられた2個の垂直な取っ手(anses)を含むことを主に特徴とする、組成物用のタンクを提供する。
【0019】
本発明の他の長所および特徴は、添付図面を参照しながら限定的ではない例として挙げられた好適な実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】支持フレームと搬送キャリッジの様々な位置を示した、第1の実施形態による本発明の機械の側面図である。
【図2】図1による機械の上面図である。
【図3】図1による機械の正面図である。
【図4】第2の実施形態による機械の正面図である。
【図5】支持フレームと搬送キャリッジとを示す、本発明による機械の詳細な上面図である。
【図6】本発明による機械の搬送キャリッジを示す図である。
【図7】上昇手段を示す上面図である。
【図8】第2の実施形態による把持手段を備えた機械の搬送キャリッジを示す図である。
【図9】第2の実施形態による把持手段の細部と、この把持手段を受容するように構成されたタンクの細部とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図示されているように、カバー101を備えた少なくとも一つのタンク100内で、液体、粉末、またはペーストとすることができる原料組成物を自動的に製造するための本発明による機械は、信号の処理管理ユニット200と、フロアの上に配置されたガイドアセンブリ1と、このガイドアセンブリ1により支持されて、機械の長手方向水平軸AA'に沿ってガイドアセンブリの上を移動する支持フレーム2と、機械の長手方向水平軸AA'に対して垂直な水平軸BB'に沿って支持フレーム2の上に可動式に取り付けられる搬送キャリッジ3と、前記キャリッジ3により支持される上昇手段4であって、垂直軸CC'に沿って移動する上昇支持部材40を含む上昇手段4と、前記上昇手段4の上昇支持部材40により支持される計量手段5と、計量手段5に、より詳しくは、測定すべき充填物を受容するように構成された計量手段の部材50に、1つずつ機械的に結合されるタンク100の把持手段6と、把持手段により把持されたタンク100が、キャリッジ3と支持フレーム2とからなる搬送位置決めアセンブリにより搬送されて、その正面に位置決めされるように構成された、少なくとも一つの原料抽出分配装置8とを含む。タンク100は、予め決められた重量の原料を受け取るために、抽出分配装置8の正面に配置される。原料の調合は、タンクに原料を注ぐ間にタンク100の連続計量により行われる。
【0022】
図から分かるように、本発明の機械は、タンク100の保管ゾーンの上に延びており、このゾーンで、タンク100は、割り当てられた位置を占有し、たとえば円柱列状に配置されている。
【0023】
本発明の機械が含むそれ自体公知の処理管理ユニット200は、この機械の構成部品から受信する様々な電気信号を処理し、これらの構成部品の動作を管理することができる。
【0024】
好適な実施形態によれば、ガイドアセンブリ1は、同一の高さレベルに配置された平行な2個の水平レール10を含み、これらのレールは搬送構造11に結合されている。この搬送構造11は、有利には、機械を収容する建物の骨組構造(charpente)に固定される垂直直立材から構成され、あるいは、別の実施形態によれば、建物のフロアの上で脇柱(jambage)により支持される門形フレームから構成される。
【0025】
ガイドアセンブリは、モジュールとして組織可能であり、当業者が公知のあらゆる手段により互いに接合することができる。
【0026】
支持フレーム2は、1つの枠(cadre)の形態を取る。この枠2は、ガイドレール10に係合される転がり部材20と、レールに沿ったその移動を保証する駆動手段とを備える。好適には、駆動手段は、一方では、回転出力シャフトが歯付きピニオン22を備えたステッピングモータ21を含み、他方では、前記歯付きピニオンが係合されるラック23を含む。実際には、歯付きピニオン22は、歯付きプーリから構成され、ラックは、一方のガイドレール10に平らに配置された歯付きベルトから構成される。
【0027】
このような構成は、レール10に沿った支持フレーム2の移動制御および支持フレームの位置制御に適している。この位置は、公知のように、ステッピングモータから送られる電気パルスの数のカウントにより決定される。
【0028】
支持フレームの移動および位置の完全な制御のために、それ自体公知のコーダをステッピングモータの出力シャフトに連結することができる。
【0029】
レール10に沿った支持フレームの位置情報の損失による影響を最小化するように、ガイドアセンブリに固定式に設置される機械式のストッパが設けられている。この機械式のストッパは、位置基準点を構成する。情報損失があった場合、支持フレーム3は、ストッパに当接されて、その位置が初期化されるようにされている。
【0030】
支持フレーム2は、同一の高さレベルに配置された2個の平行な水平ガイドレール24を含み、前記ガイドレール24は、ガイドアセンブリ1のガイドレール10に垂直である。
【0031】
キャリッジ3は、サイド部材、縦材、クロス部材の組立から構成される3次元の骨組を含む。この骨組は、下部に、支持フレームのガイドレール24に係合される転がり部材30を備えており、また、ガイドレール24に沿った移動を可能にする駆動手段を支持している。前述のように、駆動手段は、一方では、回転出力シャフトが歯付きピニオン32を備えたステッピングモータ31を含み、他方では、歯付きピニオン22が係合されるラック33を含む。好適には、歯付きピニオン32は、歯付きプーリから構成され、ラックは、一方のガイドレール24に平らに配置された歯付きベルトから構成される。キャリッジ3の移動および位置制御は、ステッピングモータ31に送られる電気パルスの数のカウントにより行われる。
【0032】
搬送キャリッジの移動および位置の完全な制御を行うように、それ自体公知のエンコーダをステッピングモータの出力シャフトに連結することができる。
【0033】
最後に、レール24に沿ったキャリッジの位置情報の損失による影響を最小化するように、機械式のストッパが支持フレームに固定式に設置される。この機械式のストッパは、キャリッジの位置基準点を構成するので、キャリッジの位置情報の損失があった場合、キャリッジはストッパに当接されて、その位置を初期化できるようになっている。
【0034】
搬送キャリッジにより支持される上昇手段4は、搬送キャリッジ3により支持される駆動手段により高さ移動可能な上昇支持部材40を含み、計量手段5は、上昇支持部材40に設置される。この上昇支持部材は、有利には、水平な台40から構成される。
【0035】
駆動手段は、電気ジャッキ、エアジャッキ、膨張式のポケットおよび、当業者が公知の適切な他の駆動部材とすることができる。しかし、好適には、駆動手段は、ねじ切りされた複数の垂直柱41から構成され、これらの柱がその上端と下端とによって、搬送キャリッジの骨組により支持されるガイド軸受に係合され、この係合が、柱41にねじ止め係合されて水平な台40に固定されるナット42によって、また、前記柱41をそれらの長手方向の軸を中心として回転作動させる作動機構によって係合される。
【0036】
前記作動機構が、ねじ切りされた柱41にそれぞれ連結される歯付きプーリ43および、この歯付きプーリ43と、キャリッジの骨組に固定される適切な支持体に固定式に設置されるステッピングモータ46の回転出力シャフトに連結される歯付きプーリ45とに係合された、歯付きベルト44を含む。ステッピングモータ、歯付きピニオン、歯付きプーリおよび歯付きベルトのこのような構成により、台40の移動および高さ位置の厳密な制御を行うことができる。
【0037】
有利には、計量手段5は、少なくとも一つの台秤から構成され、この台秤の台が、計量すべき充填物が載せられる部材50を構成する。計量手段は、単一の秤から構成してもよいが、変形実施形態では、異なる計量範囲で異なる精度をもつ、重ねた複数の秤から構成することもできる。秤は、それが支持する重量荷重の値を示す電気信号を発生することができる。その後、この信号は処理管理ユニット200により処理される。
【0038】
計量手段に結合される把持手段6は、各々が下端に把持フック61を備える2個の垂直アーム60から構成される。これらの2個のアームは、秤5の台50に結合される。実際には、2個の垂直アーム60は、それらの上端により、秤5の台の上に置かれたフレーム62に固定される。
【0039】
好適には、キャリッジ3は、その機械部材および電気部材を収容する保護ハウジングを備えており、前記キャリッジ3は、この保護ハウジングによって、抽出装置の終端の上にくる。ハウジングの配置およびこのハウジングの位置により、漏れがあった場合に原料がキャリッジの機械部材および電気部材に触れないようにされている。
【0040】
上記のような把持手段によって、キャリッジ3は、処理管理ユニットにより指定されるタンク100を把持するように導かれる。柱41の作動機構の作動により、台40、秤、および把持手段が垂直方向に上に向かって移動し、タンクはフロアから持ち上げられて計量され、原料の抽出ゾーンに搬送される。有利には、タンクは数ミリしか持ち上げられないので、タンクの搬送安全性が高くなる。
【0041】
有利には、キャリッジ3は、タンク100の安定化機構34を備えており、特にタンクの搬送時に、2個の把持フック61が決定する水平な幾何学的吊り下げ軸を中心としてタンクが揺れないようにする。この幾何学軸は、フック61で吊り下げられるタンクがこの軸を中心として自在に旋回できるように決定することができる。安定化機構34によって、計量を妨げるタンク内でのあらゆる波動現象が回避される。タンク100をフロアから隔てる距離が短いことを考慮して、安定化機構は、タンクの揺れを妨げることにより、前記タンクの底とフロアとが接触するあらゆるリスクを取り除くことができる。このようにして、好適には、タンクが劣化するリスクが回避される。
【0042】
第1の実施形態によれば、安定化機構34は、キャリッジの骨組にしっかりと固定されて上記の吊り下げ軸に対して対称に配置された、互いに離れた2個の垂直アームから構成される。タンクは、それを持ち上げるときはアームの下端に当接されるので、確実に安定化される。
【0043】
別の実施形態によれば、安定化手段は、吊り下げ軸に対して対称に配置されて、それぞれが本体によりキャリッジの骨組に固定される2個の垂直ジャッキから構成される。各ジャッキのロッドを伸ばすことにより、ロッドは、その端部によってタンク100の上壁に導かれる。
【0044】
先に述べたように、本発明の機械は、少なくとも一つの抽出分配装置8を備えている。
【0045】
好適には、本発明の機械は、幾何学軸AA'に平行な一つまたは複数の水平列に沿って組織される一つまたは複数の抽出装置8を含む。図から分かるように、抽出装置8は、少なくとも2つの向かい合った水平な側面の列から組織される。
【0046】
本発明の機械は、少なくとも一つの液体抽出装置8、および/または少なくとも一つの粉末抽出分配装置、および/または少なくとも一つのペースト抽出分配装置を備えることができる。
【0047】
図から分かるように、本発明の機械は、複数の液体抽出分配装置、複数の粉末抽出分配装置、および複数のペースト抽出分配装置を備えることができる。
【0048】
好適な実施形態によれば、抽出分配装置8の各々が制御部材80を含み、この制御部材の作動により一定量の原料の送り出しが開始される。好適には、制御部材80を作動させるために、搬送キャリッジ3により支持される少なくとも一つの作動機構7が設けられている。
【0049】
キャリッジにより支持される1つまたは各作動機構7は、電動機から構成可能であり、電動機の出力シャフトは、カム70と、たとえば仏国特許出願第0508407号明細書に記載されたものと同じタイプの連結部材とを備える。カムを備えた電動機に関して、抽出装置8は、特に仏国特許出願第0103349号明細書に記載されたものと同じタイプとすることができ、連結部材に関しては、抽出装置は、特に仏国特許出願第0508407号明細書と同じタイプとすることができる。
【0050】
レール10に沿った支持フレーム2の移動と、レール24に沿った搬送キャリッジの移動とにより、タンクおよびキャリッジは、処理管理ユニットにより指定された抽出装置の正面に配置される。より詳細には、支持フレーム2は、ガイドレール10に沿って移動して、指定された取り出し/送り出し装置の正面にキャリッジ3を導き、次いで、キャリッジ3は、ガイドレール24上で、選択された装置8に向かって移動し、それによって、キャリッジに装備されている作動機構7が、抽出装置8の制御部材80と対応して導かれるようにする。
【0051】
原料の取り出し/送り出し制御は、作動機構7の作動により実施され、作動機構は、その場合、制御部材80に働きかける。取り出された分量は、カバー101に設けられた孔を介してタンク100に投入される。
【0052】
指定された装置8に面してキャリッジを正確に位置決めし、制御部材80に対して作動機構を適切に位置決めするために、各抽出装置8が位置合わせ手段を備えており、この位置合わせ手段と、キャリッジにより支持される相補的な位置合わせ手段とが協働する。実際には、各々の把持装置の位置合わせ手段が、前記把持装置の本体に設けられた孔から構成され、キャリッジにより固定支持される位置合わせ手段が、突出するフィンガから構成される。指定された装置に面してキャリッジ3が位置決めされると、キャリッジの突出フィンガが抽出分配装置8の穴に係合される。
【0053】
タンクの中身のあらゆる汚染を回避するために、キャリッジ3は保護部材を備えることができる。この保護部材は、タンクの開口部に向かって原料が注がれる通過孔を備えた、タンクの開口部よりも大きい寸法の遮蔽板から構成される。
【0054】
本発明の機械の動作は次のとおりである。キャリッジ3は、組成物を形成すべきタンク100の上にある保管ゾーンに自動的に配置されている。把持手段は、タンクをつかむように下降し、タンクは、フロアから数ミリメートル持ち上げられて、把持ゾーンに搬送される。フロアからごく短い距離で搬送を行うことにより、この操作の安全性に寄与することがわかる。同様に、タンクが、原料の投入前に計量され、また、原料の投入時に連続して計量されることが分かる。このようにして、タンク内での原料の調合が行われる。
【0055】
所定の分量に従って一つまたは複数の原料を受容した後で、タンク100は、その保管エリアに戻されるか、または、キャリッジにより、ガイドアセンブリの構造によって支持もしくはこの構造に結合される各種のモジュールに搬送することができる。そのため、特に図1から分かるように、機械は、カバー101の取り外しおよび取り付けモジュール12と、攪拌モジュール13と、結集モジュール14と、サンプリングモジュール15と、コンディショニングモジュール16と、タンクの洗浄モジュール17と、たとえば加熱モジュール、遠心分離モジュール、汲み出しモジュールなどの他のモジュールを含むことができる。
【0056】
カバーの取り外しモジュール12は、搬送構造11に固定式に取り付けられた把持装置120を有する。この把持装置は、高さ移動可能なアームを含み、このアームは、たとえば被制御タイプの一つまたは複数の吸着盤から構成可能な把持部材まで続いている。把持部材は、また、カバー101の材質がそれに適していれば、一つまたは複数の電磁石からも構成可能である。可動アームは、それ自体公知のジャッキのロッドから構成される。
【0057】
攪拌モジュール13は、公知の攪拌器を含み、この攪拌器は、その本体によってジャッキのロッドに取り付けられ、ジャッキは、その本体によって把持構造11に固定される。ジャッキのロッドを伸ばすことによって攪拌器はタンクの内部に入り、その中身を攪拌するように導かれ、タンクのカバーは、その前にモジュール12により取り外されている。
【0058】
結集モジュール14は、タンクが配置されるエリアを被覆し、原料を手動または半自動で受け取るようにされている。
【0059】
サンプリングモジュール15は、分析のためにタンクの中身からサンプルを採取することを目的としている。このモジュールは、被制御式の抜き取り注射器を含むことができ、この注射器は、たとえば、ジャッキのロッドにより支持され、ジャッキはその本体により搬送構造11に固定されている。このモジュールは、さらに、得られた製品の品質管理手段、および/または、これらの製品の形成補助手段を含むことができる。こうした手段は、比色分析システム、レオロジー分析システム、水素その他の濃度の測定管理システム、電子式気体検出装置、それ自体公知の電子式液体検出装置およびその他とすることができる。
【0060】
コンディショニングモジュール16は、たとえばフラスコまたはその他の適切な小型の入れ物内で少なくとも一つのタンク100の中身を調整することを目的とする。各容器に注がれる組成物の分量チェックは、分離計量(depesage)により実施される。
【0061】
タンクの洗浄モジュール17は、当該タンクで実施される将来の組成物で使用される溶剤を用いて、タンクをすすぐことを目的としている。この洗浄モジュールは、特に、洗浄液の供給管の下端で支持される散水ヘッドを含み、供給管は、たとえばジャッキのロッドにより支持され、ジャッキは、その本体によって搬送構造11に固定されている。ジャッキのロッドを伸ばすことにより、散水ヘッドが、洗浄すべきタンクの中に入る。
【0062】
好適には、これらのモジュールが、機械の構造体に対して固定されて様々な作業部署を形成するが、変形実施形態では、これらのモジュールの一つまたは複数が、搬送キャリッジに搭載されて、原料の抽出、混合物の攪拌などの複数の作業を並行して、あるいは同時に実施できるようにすることができる。
【0063】
第1の実施形態によるタンク100は、2個の垂直な取っ手102を含み、各々の取っ手は、キャリッジが備える把持手段6と協働するように構成されたフック形状を端に備えている。
【0064】
図8、9に示されたような第2の実施形態では、把持フックが、それぞれ、水平ベースに取り付けられて上向きに配向された尖端を形成する三角形の垂直プレートから構成されている。タンクは垂直な取っ手を備えていないが、フックを受容するように構成された直径方向に向かい合った2個の細長い把持開口部105を含む。これらの開口部は、たとえばフランジの形態を呈する少なくとも一つの半径方向外側の突出部110に形成されている。三角形の把持フックと細長い開口部とのこのような構成によって、たとえタンクがそれらの保管場所からわずかにずれていてもタンクを把持することができ、把持する際には、把持手段に対してこれらのタンク100の中心を合わせることができる。細長い開口部は、それぞれが、タンクの回転軸に中心を合わせた周方向の円弧に沿って展開されていることを指摘しなければならない。この構成によって、垂直な回転軸を中心とするタンクの角方向の位置不良を補正し、タンクを適切な角方向位置に設定し直すことができる。さらに、各把持フックの基部の長さは、比較的正確なセンタリングを行えるように、上記の周方向の円弧の両端を結ぶ弦の長さよりも1から2mm短い。タンクは、その吊り下げ時に、フランジ110の下面によって、各フックが有する水平ベースに当接される。
【0065】
タンクは、あまりにずれが大きいという理由から、把持手段の軌道上にくることがある。このような場合、把持手段がタンクにぶつかることになる。それによって生じる衝撃は計量手段により検知され、処理管理ユニット200により電気信号が受信される。タンクの形状が円筒形であるために、衝撃の作用を受ける搬送キャリッジは、側面に押され、その影響でキャリッジはいずれかの方向に移動する。このキャリッジの移動方向の分析により、処理ユニットは、設計上の場所に対するタンクの右または左側のずれの種類を決定することができる。処理ユニットは、その場合、小さい値のステッピング移動によりタンクに対して把持手段を適切に位置決めし、それによって、タンクが把持されてその場所に戻されるようにする。
【0066】
支持フレームまたはキャリッジの移動速度は遅いので、把持手段6がタンク100にぶつかることで生じる衝撃は弱いままであり、この衝撃は、様々な部材の劣化を招く可能性のある値よりもずっと小さいことを指摘しなければならない。
【0067】
また、記載された手段により、把持手段の軌道上に配置されたあらゆるタイプの障害物を検知可能であることを指摘しなければならない。
【0068】
機械の安全性を高め、たとえば充填物の移動エリア内の所定の範囲に作業員がいるときに充填物の取扱いを回避するために、機械は、それ自体公知の位置特定システムを備えてもよく、これは、たとえば、作業員が身につけている携帯送信部材の検知システムとすることができる。これらの部材は、トランスポンダ、無線周波数識別チップ(RFID)などとすることができ、その長所は、作業員に固有の識別子を有することにある。所定の範囲における1人または複数人の作業員を検知すると、アラーム信号が送信され、機械を停止することができる。このようにしてタンクの搬送時に作業員がタンクにぶつかるリスクが低減される。そのため、機械が置かれている環境にいる作業員が毒性の蒸気を吸入するリスクは、著しく下がる。RFIDチップすなわち識別素子の使用によって作業員を識別することにより、作業員の移動のトレーサビリティを確保し、作業員が場合によってはさらされた危険性の種類を突き止め、医学的な問題がある場合は、すみやかにその原因を特定することができる。
【0069】
タンク100は、場合によっては、温度その他の管理システム、ならびに、攪拌器、分析器、汲み出し部材等の技術設備を備えることができる。
【0070】
最後に、本発明の機械の3軸運動の使用により、組成物中に想定されていない原料を含む材料をタンク内のバルブの下に導入する孔が開いているというような、危機的な状況を回避できることを指摘しなければならない。
【0071】
上記の機械では、また、たとえば特殊コーティング、塗料、ワニス、糊、さらにはサンドプラストの塗布からなる表面処理等の様々な加工を受けることになっている部品の把持および自動計量も可能であり、その実行品質は、部品の重量変化を介して制御可能である。
【0072】
この場合、塗装ノズルまたは他のあらゆる吹きつけシステムが利用される。
【0073】
本発明は、本特許の範囲を逸脱することなく、同等の技術範囲におけるあらゆる修正例および変形例を受け入れられることは言うまでもない。そのため、同一のガイドアセンブリに、それぞれが1個の支持フレームと1個のキャリッジとから構成されて各アセンブリがその機能と専門のテリトリーとを有する複数のアセンブリを設置することができる。テリトリーにおける衝突の管理は、処理管理ユニット200によって行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体、粉末、またはペースト等の原料組成物を少なくとも一つのタンク(100)内で自動的に製造する機械であって、
フロアの上に配置されるガイドアセンブリ(1)と、
ガイドアセンブリ(1)により支持され、機械の長手方向水平軸(AA')に沿ってガイドアセンブリの上で移動する支持フレーム(2)と、
機械の長手方向水平軸(AA')に対して垂直な水平軸(BB')に沿って支持フレーム(2)の上で移動するように取り付けられる搬送キャリッジ(3)と、
キャリッジ(3)により支持される上昇手段(4)であって、垂直軸に沿って移動する上昇支持部材(40)を含む上昇手段(4)と、
上昇手段(4)の上昇支持部材(40)により支持され、計量すべき充填物が載せられる部材(50)を含む計量手段(5)と、
計量手段(5)の部材(50)に1つずつ機械的に結合されるタンク(100)の把持手段(6)と、
搬送されるタンクがその正面に配置されるように構成された、少なくとも一つの原料抽出分配装置(8)と、を含むことを特徴とする機械。
【請求項2】
1つまたは各々の原料抽出分配装置(8)が制御部材(80)を含み、この制御部材の作用により一定量の原料の送り出しを開始し、また、搬送キャリッジ(3)により支持されて1つまたは各々の前記原料抽出分配装置の前記制御部材(80)を作動させるための少なくとも一つの作動機構(7)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記ガイドアセンブリ(1)が同一の高さレベルに従って配置された平行な2個の水平なガイドレール(10)を含み、前記ガイドレール(10)が搬送構造(11)に結合されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の機械。
【請求項4】
前記支持フレーム(2)が、前記ガイドレール(10)に係合される転がり部材(20)と、前記ガイドレール(10)に沿ってその移動を行うための駆動部材(21)とを備えていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の機械。
【請求項5】
前記支持フレーム(2)が同一の高さレベルに従って配置された平行な2個の水平レール(24)を含み、前記レール(24)が前記ガイドアセンブリ(1)の前記ガイドレール(10)に垂直であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機械。
【請求項6】
前記キャリッジ(3)が、支持フレーム(2)のガイドレール(24)に係合される転がり部材(30)と、前記ガイドレール(24)に沿ってその移動を行うための駆動部材(31)とを備えていることを特徴とする、請求項5に記載の機械。
【請求項7】
前記上昇手段(4)の上昇支持部材(40)は、水平な台(40)から構成され、前記搬送キャリッジ(3)により支持される駆動手段により高さ移動可能であり、計量手段(5)が水平な台(40)の上に設置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の機械。
【請求項8】
前記上昇手段(4)の駆動手段がねじ切りされた垂直柱(41)から構成され、これらの垂直柱(41)がその上端と下端とによってキャリッジ(3)の骨組により支持されるガイド軸受に係合され、この係合が、垂直柱(41)にねじ止め係合されて水平な台(40)に固定されるナット(42)によって、また、前記柱(41)をそれらの長手方向の軸を中心として回転作動させる作動機構によって行われ、前記作動機構が、ねじ切りされた柱41にそれぞれ連結される歯付きプーリ(43)および、この歯付きプーリ(43)と、キャリッジ(3)の骨組に固定される適切な支持体に固定式に設置されるステッピングモータ(46)の回転出力シャフトに連結される歯付きプーリ(45)とに結合される歯付きベルト(44)を含むことを特徴とする、請求項7に記載の機械。
【請求項9】
前記計量手段(40)が台(50)を含む少なくとも一つの秤から構成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の機械。
【請求項10】
前記把持手段(6)が2個の把持フック(61)の下端に備えられる2個の垂直アーム(60)から構成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の機械。
【請求項11】
前記把持システム(6)の2個のアーム(60)が秤の台(50)に結合されていることを特徴とする、請求項9および10に記載の機械。
【請求項12】
前記各フック(61)が水平ベースに取り付けられて上向きの尖端を形成する三角形の垂直プレートから構成されることを特徴とする、請求項10または11に記載の機械。
【請求項13】
前記キャリッジ(3)が、前記タンク(100)の安定化機構(34)を備えることにより、搬送時のタンクの揺れを阻止することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の機械。
【請求項14】
前記キャリッジ(3)が、その機械部材および電気部材を収容する保護ハウジングを含み、この保護ハウジングにより抽出装置(8)の終端の上にくることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の機械。
【請求項15】
前記タンク(100)のカバー(101)の取り外しおよび取り付けモジュール(12)を備えていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の機械。
【請求項16】
前記タンク(100)の中身の攪拌モジュール(13)を備えていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の機械。
【請求項17】
結集モジュール(14)を備えていることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の機械。
【請求項18】
サンプリングモジュール(15)を備えていることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の機械。
【請求項19】
少なくとも一つの前記タンク(100)の中身を容器内でコンディショニングするモジュール(16)を備えており、各容器に注がれる組成物の品質管理が、分離計量(depesage)により行われることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の機械。
【請求項20】
前記タンク(100)の洗浄モジュール(17)を備えていることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の機械。
【請求項21】
各種の構成部品から受信する様々な電気信号を処理可能で、かつこれらの構成部品の動作を管理可能な処理管理ユニット(200)を備えていることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の機械。
【請求項22】
フック(91)を受容するために設けられた、直径方向に向かい合った細長い2個の把持開口部(105)を有する少なくとも一つの前記タンク(100)を備えており、前記開口部が、少なくとも一つの半径方向の端部突出部(110)に形成され、各前記開口部が、前記タンク(100)の回転軸に中心を合わせた周方向の円弧形に展開されていることを特徴とする、請求項12に記載の機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−513155(P2010−513155A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542107(P2009−542107)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064503
【国際公開番号】WO2008/077960
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(503302861)
【Fターム(参考)】