説明

搬送波再生回路および擬似引き込み検出方法

【課題】擬似引き込みの検出精度が低くなるという問題点を解決する搬送波再生回路を提供する。
【解決手段】搬送波再生PLL回路は、ディジタル信号Ich105およびQch106と基準信号との位相誤差を検出し、その位相誤差を示す差分信号に基づいてディジタル信号Ich105およびQch106のそれぞれの同期を確立して搬送波を生成する。FRAME同期回路12は、搬送波がフレーム同期状態か否かを判断する。記憶回路14は、FRAME同期回路12にて搬送波がフレーム同期状態でないと判断されると、搬送波が擬似引き込み状態であると判断する。そして、記憶回路14は、その時の位相誤差積算信号117の値を擬似引き込み値として記憶する。また、記憶回路14は、位相誤差積算信号117の値が擬似引き込み値になっていると、搬送波が擬似引き込み状態であると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送波再生回路および擬似引き込み検出方法に関し、特には無線通信システムの復調回路に用いる搬送波再生回路および擬似引き込み検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、マイクロ波ディジタル無線通信システムの復調回路を示したブロック図である。
【0003】
この復調回路は、直交検波器51、発振器52、A/D変換器53および位相回転器54を用いて、入力中間周波数信号IFIN151の同期を確立して、再生信号Ich157およびQch158を生成する。なお、再生信号Ich157およびQch158は、再生信号Ich159およびQch160として復調回路の外部に出力される。
【0004】
C/N推定回路60は、再生信号Ich157およびQch158を使って、C/N比(搬送波対雑音比:Carrier to Noise ratio)を推定する。搬送波同期・非同期検出回路61は、その推定結果に基づいて、再生信号Ich157およびQch158が同期状態か否かを検出する。
【0005】
しかしながら、再生信号Ich157およびQch158が擬似引き込み状態になった場合、C/N推定回路60は、その回路の性質上、疑似引き込み状態の検出を行うことができない。このため、FRAM同期回路63が、再生信号Ich157およびQch158がフレーム同期状態か否かを判断し、その判断結果から疑似引き込み状態を検出しなければならない。
【0006】
ここで、FRAM同期回路63は、再生信号Ich159およびQch160がフレーム単位で同期しているか否かを判断する。このため、搬送波同期・非同期検出回路61による同期・非同期の検出に比べて時間がかかる。したがって、再生信号Ich157およびQch158が擬似引き込み状態から正常な引き込み状態に復旧されるまでの時間が大きかった。その結果、再生信号Ich157およびQch158がフレーム同期するまでに多大な時間を必要としていた。
【0007】
この擬似引き込みの検出にかかる時間を軽減することが可能な技術には、特許文献1に記載の復調回路がある。
【0008】
この復調回路は、再生信号の信号点が信号点配置面上の予め定められた領域内に入る個数を計数する。復調回路は、その個数が予め定められた閾値を超えると、入力信号の擬似引き込みを検出する。
【0009】
これにより、入力信号がフレーム単位で同期しているか否かを判断しなくても良くなるため、擬似引き込みの検出にかかる時間を軽減することが可能になる。
【特許文献1】特開2004−242258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の復調回路では、擬似引き込みを検出するための信号点配置面上の領域を予め定めておかなければならない。このため、その領域を擬似引き込みの検出に適当な領域に定めることが難しい。したがって、擬似引き込みの検出精度が低くなるという問題点を有する。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記の課題である擬似引き込みの検出精度が低くなるという問題点を解決する搬送波再生回路および擬似引き込み検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による搬送波再生回路は、入力信号と基準信号との位相誤差を検出し、該位相誤差を示す差分信号に基づいて前記基準信号と前記入力信号との同期を確立して再生信号を生成する再生手段と、前記再生信号がフレーム基準信号とフレーム同期状態か否かを判断する判断手段と、前記判断手段にて前記再生信号がフレーム基準信号とフレーム同期状態でないと判断されると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断し、その時の前記差分信号の値を擬似引き込み値として記憶し、また、前記差分信号の値が前記擬似引き込み値になると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断する制御手段と、を含む。
【0013】
また、本発明による擬似引き込み検出方法は、搬送波再生回路による擬似引き込み検出方法であって、入力信号と基準信号との位相誤差を検出し、前記位相誤差を示す差分信号に基づいて前記基準信号と前記入力信号との同期を確立して再生信号を生成し、前記再生信号がフレーム基準信号とフレーム同期状態か否かを判断し、前記再生信号が前記フレーム基準信号とフレーム同期状態でないと判断されると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断し、その時の前記差分信号の値を擬似引き込み値として記憶し、前記差分信号の値が前記擬似引き込み値になると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、擬似引き込みの検出精度を高くすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明による第一の実施形態の復調回路の構成を示したブロック図である。
【0017】
図1において、復調回路は、直交検波器1と、発振器2と、A/D変換器(A/D)3と、位相回転器4と、搬送波位相検波器(CARR・PD)5と、搬送波ループフィルタ(CARR・LPF)6と、SWEEPER回路7と、加算器8と、数値制御発振器9と、C/N推定回路10と、搬送波同期・非同期検出回路11と、FRAME同期回路12と、間欠リセット信号発生回路13と、擬似引き込みCARA・APC記憶回路14とを含む。
【0018】
なお、本実施形態では、変調方式は、QPSK(4位相偏移変調:Quadrature Phase Shift Keying)またはQAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの直交変調方式を想定している。また、復調器の検波方式は、準同期検波方式を想定している。
【0019】
直交検波器1は、発振器2が生成した周波数信号fc102に基づいて、入力中間周波数信号IFIN101を、位相が互いに直交するベースバンド信号Ich103およびQch104に直交変換する。なお、入力中間周波数信号IFIN101は、変調器から受信した受信信号から変換された信号である。また、ベースバンド信号Ich103およびQch104は、アナログ信号である。ここで、「Ich」および「Qch」は、互いに直交するベースバンド信号を表す、一般的な表記である。
【0020】
発振器2は、変調器の発振器に近い周波数で自走し、その周波数の周波数信号fc102を生成する。ここで、発振器2の周波数は、変調器の発振器の周波数と同じではないため、ベースバンド信号Ich103およびQch104には、発振器2の周波数と変調器の発振器の周波数との差分に相当する周波数の位相回転が残っている。
【0021】
A/D変換器3は、アナログ信号であるベースバンド信号Ich103およびQch104のそれぞれをディジタル信号Ich105およびQch106のそれぞれに変換する。これは、以降の処理をディジタル処理で行うためである。なお、ディジタル信号Ich105およびQch106は、入力信号の一例である。
【0022】
位相回転器4、搬送波位相検波器5、搬送波ループフィルタ6、SWEEPER回路7、加算器8、数値制御発振器9、C/N推定回路10、搬送波同期・非同期検出回路11と、FRAME同期回路12、間欠リセット信号発生回路13および擬似引き込みCARA・APC記憶回路14は、搬送波再生回路を構成する。
【0023】
また、位相回転器4、搬送波位相検波器5、搬送波ループフィルタ6、SWEEPER回路7、加算器8および数値制御発振器9は、搬送波再生PLL回路を構成する。
【0024】
搬送波再生PLL回路は、再生手段の一例である。搬送波再生PLL回路は、ディジタル信号Ich105およびQch106と基準信号との位相誤差を検出する。搬送波再生PLL回路は、その位相誤差を示す位相誤差積算信号117に基づいて基準信号とディジタル信号Ich105およびQch106のそれぞれとの同期を確立して、再生信号Ich107およびQch108を生成する。搬送波再生PLL回路は、再生信号Ich107およびQch108を出力する。なお、位相誤差積算信号117は、差分信号の一例である。
【0025】
位相回転器4と数値制御発振器9とは、同期回路を構成する。同期回路は、加算器8が生成したCARR・APC信号119に基づいて、ディジタル信号Ich105およびQch106のそれぞれの同期を確立して、再生信号Ich107およびQch108を生成する。
【0026】
位相回転器4は、ディジタル信号Ich105およびQch106の位相回転を除去して、再生信号Ich107およびQch108を生成する。
【0027】
具体的には、位相回転器4は、数値制御発振器9が生成した制御信号cos120に基づいてディジタル信号Ich105に逆回転を与えることで、基準信号とディジタル信号Ich105との同期を確立する。また、位相回転器4は、数値制御発振器9が生成した制御信号sin121に基づいてディジタル信号Qch105に逆回転を与えることで、基準信号とディジタル信号Qch105との同期を確立する。これにより、ディジタル信号Ich105およびQch106の同期が確立され、再生信号Ich107およびQch108が生成される。
【0028】
なお、再生信号Ich107およびQch108は、出力信号IchOUT109およびQchOUT110として復調回路の外部と、FRAME同期回路12とに出力される。以下、再生信号Ich107およびQch108を、搬送波と総称することもある。
【0029】
搬送波位相検波器5は、基準信号を生成する。搬送波位相検波器5は、基準信号と搬送波との位相誤差を検出し、その位相誤差を示す位相誤差信号116を生成する。
【0030】
位相誤差信号116は、少なくとも、搬送波の位相が進んでいるか遅れているかが示されていればよい。例えば、搬送波位相検波器5は、搬送波の位相が進んでいれば「+1」の位相誤差信号116を生成し、搬送波の位相が遅れていれば「−1」の位相誤差信号を生成する。また、搬送波位相検波器5は、搬送波の位相の進みおよび遅れの大小に応じた連続の値を有する位相誤差信号116を生成してもよい。
【0031】
搬送波ループフィルタ6は、搬送波位相検波器5が生成した位相誤差信号116から高周波成分を除去して、位相誤差積算信号117を生成する。
【0032】
SWEEPER(掃引)回路7は、位相誤差積算信号117を調節するためのCARR・APC補助信号118を生成する。これは、搬送波が非同期状態の場合に、搬送波の引き込み範囲を調節するためである。
【0033】
例えば、SWEEPER回路7は、搬送波が非同期状態の場合、その搬送波の引き込み範囲を広げるためのCARR・APC補助信号118を生成する。このようなCARR・APC補助信号118は、例えば、図2で示すような三角波である。図2において、縦軸で示したCARR・APC補助信号118の値分、搬送波の引き込み範囲が広がる。以下、CARR・APC補助信号118の値を制御値と称することもある。
【0034】
また、SWEEPER回路7は、搬送波が非同期状態から同期状態になった場合、現在の制御値(引き込みポイント)を維持するためのCARR・APC補助信号118を生成する。このようなCARR・APC補助信号118は、図3で示すように、搬送波が同期状態になる直前の値が保持される。
【0035】
なお、SWEEPER回路7は、位相誤差積算信号117が位相誤差ありを示すと、搬送波が非同期状態であると判断し、位相誤差積算信号117が位相誤差なしを示すと、搬送波が同期状態であると判断する。
【0036】
さらに、SWEEPER回路7は、擬似引き込みCARR・APC記憶回路(以下、記憶回路と称する)14にて搬送波が擬似引き込み状態であると判断されると、記憶回路14が生成した擬似引き込みCARR・APC情報122に基づいて、擬似引き込み値(擬似引き込みポイント)が回避されるようなCARR・APC補助信号118を生成する。
【0037】
具体的には、SWEEPER回路7は、擬似引き込みCARR・APC情報122に基づいて、CARR・APC補助信号118の初期値および初期増減方向を決定する。SWEEPER回路7は、その決定した初期値を有し、その初期値から初期増減方向に値が変化する三角波をCARR・APC補助信号118として生成する。なお、初期増減方向は、CARR・APC補助信号118の初期値からの増減方向である。
【0038】
より具体的には、SWEEPER回路7は、擬似引き込みCARR・APC情報122が+(プラス)の値を示す場合、初期値を0に決定し、初期増減方向を−(マイナス)に決定する。その後、再引き込みの際には、SWEEPER回路7は、初期値をX(+方向の最大値)に決定し、初期増減方向を−に決定する。
【0039】
一方、SWEEPER回路7は、擬似引き込みCARR・APC情報122が−の値を示す場合、初期値を0に決定し、初期増減方向を+に決定する。その後、再引き込みの際には、SWEEPER回路7は、初期値を−X(−方向の最大値)に決定し、初期増減方向を+に決定する。
【0040】
なお、SWEEPER回路7は、搬送波が非同期状態から同期状態になった場合、直前の初期値および初期増減方向を保存し、その後、搬送波が非同期状態になると、その保存した初期値を有し、その保存した初期増減方向に値が変化する擬似引き込みCARR・APC情報122を生成する。
【0041】
加算器8は、調節手段の一例である。加算器8は、SWEEPER回路7で生成されたCARR・APC補助信号118に基づいて、搬送波ループフィルタ6で生成された位相誤差積算信号117を調節する。具体的には、加算器8は、CARR・APC補助信号118を位相誤差積算信号117に加算してCARR・APC信号119を生成する。
【0042】
数値制御発振器9は、CARR・APC信号119に応じて、互いに位相が直交する正弦波信号を、制御信号cos120およびsin121として生成する。例えば、数値制御発振器9は、CARR・APC信号119を角度に対応する値に変換し、その角度に応じた余弦(cos)および正弦(sin)のそれぞれの値を示す制御信号cos120およびsin121を生成する。
【0043】
C/N推定回路10は、位相回転器4が生成した搬送波を使って、受信信号のC/N値を推定し、その推定結果を示す推定C/N値111を生成する。例えば、C/N推定回路10は、先ず、搬送波である再生信号Ich107およびQch108のそれぞれの分散値を求め、それらの分散値を加算して雑音電力を求める。続いて、C/N推定回路10は、その雑音電力に基づいて、C/N値を推定する。
【0044】
搬送波同期・非同期検出回路(以下、検出回路と称する)11は、C/N推定回路10にて生成された推定C/N値111と予め設定されたC/N閾値112とを比較して、搬送波が同期状態か否かを検出する。そして、検出回路11は、その検出結果を示す搬送波非同期検出信号113を生成し、搬送波非同期検出信号を出力する。
【0045】
ここで、検出回路11は、推定C/N値111がC/N閾値112より低い場合、搬送波は非同期状態であると検出し、推定C/N値111がC/N閾値112以上の場合、搬送波は同期状態であると検出する。
【0046】
FRAME(フレーム)同期回路12は、フレーム基準信号を生成する。FRAME(フレーム)同期回路12は、出力信号IchOUT109およびQchOUT110に基づいて、搬送波がフレーム基準信号とFRAME同期状態か否かを判断する。そして、FRAME同期回路12は、その判断結果を示すFRAME非同期信号114を生成し、FRAME非同期信号114を出力する。
【0047】
間欠リセット信号発生回路13は、一定周期で、搬送波ループフィルタ6およびSWEEPER回路7をリセットするためのリセット信号(リセットパルス)を生成する。これにより、搬送波再生PLL回路が一定周期でリセットされる。
【0048】
また、間欠リセット信号発生回路13は、検出回路11から受信した搬送波非同期検出信号113が示す状態が同期状態から非同期状態に変化した場合、および、FRAME同期回路12から受信したFRAME非同期信号が示す状態がフレーム同期状態からフレーム非同期状態に変化した場合、搬送波ループフィルタ6およびSWEEPER回路7をリセットするための間欠リセット信号115を生成する。
【0049】
さらに、間欠リセット信号発生回路13は、記憶回路14から疑似引き込み検出信号123を受信した場合、間欠リセット信号115を生成する。
【0050】
記憶回路14は、検出回路11から同期状態を示す搬送波非同期検出信号113を受信し、かつ、FRAME同期回路12からフレーム非同期状態を示すFRAME非同期信号114を受信した場合、搬送波が疑似引き込み状態であると判断する。そして、記憶回路14は、そのときのCARR・APC信号119の値を、擬似引き込み値として記憶する。このとき、記憶回路14は、その擬似引き込み値で搬送波が疑似引き込み状態であると判断された回数をその値に対応付けて記憶してもよい。
【0051】
また、記憶回路14は、CARR・APC信号119が擬似引き込み値になると、搬送波が疑似引き込み状態であると判断する。このとき、記憶回路14は、CARR・APC信号119が一定時間継続して擬似引き込み値になっていると、搬送波が疑似引き込み状態であると判断することが望ましい。
【0052】
記憶回路14は、搬送波が疑似引き込み状態であると判断すると、記憶している擬似引き込み値を擬似引き込みCARR・APC情報122としてSWEEPER回路7に出力する。さらに、記憶回路14は、擬似引き込み状態を示す疑似引き込み検出信号123を間欠リセット信号発生回路13に出力する。
【0053】
次に動作を説明する。
【0054】
直交検波器1は、発振器2から受信した周波数信号fc102に基づいて、入力中間周波数信号IFIN101をベースバンド信号Ich103およびQch104に直交変換する。直交検波器1は、ベースバンド信号Ich103およびQch104をA/D変換器3に出力する。
【0055】
A/D変換器3は、ベースバンド信号Ich103およびQch104を受信する。A/D変換器3は、ベースバンド信号Ich103およびQch104のそれぞれをディジタル信号Ich105およびQch106のそれぞれに変換する。A/D変換器3は、ディジタル信号Ich105およびQch106を出力する。
【0056】
搬送波再生PLL回路は、ディジタル信号Ich105およびQch106と基準信号との位相誤差を検出する。搬送波再生PLL回路は、その位相誤差を示す誤差信号に基づいて基準信号とディジタル信号Ich105およびQch106のそれぞれの同期を確立して、再生信号Ich107およびQch108(搬送波)を生成する。
【0057】
なお、搬送波再生PLL回路による同期の確立処理は、当業者にとって自明なため詳細な説明は省略する。
【0058】
以下、本発明の中心である、擬似引き込みの検出処理について説明する。
【0059】
先ず、搬送波が同期状態か否かを判断する処理を説明する。
【0060】
C/N推定回路10は、位相回転器4から搬送波を受信すると、その搬送波を使って、その搬送波のC/N値を推定する。そして、C/N推定回路10は、その推定結果を示す推定C/N値111を生成し、推定C/N値111を検出回路11に出力する。
【0061】
検出回路11は、推定C/N値111を受信すると、推定C/N値111とC/N閾値112とを比較して、搬送波が基準信号と同期状態か否かを検出する。検出回路11は、その検出結果を示す搬送波非同期検出信号113を生成する。そして、検出回路11は、搬送波非同期検出信号113を間欠リセット信号発生回路13および記憶回路14に出力する。
【0062】
次に、疑似引き込時の検出から復旧までの時間を短縮するため処理について説明する。
【0063】
先ず、FRAME同期回路12は、出力信号IchOUT109およびQchOUT110を受信する。FRAME同期回路12は、出力信号IchOUT109およびQchOUT110に基づいて、再生信号Ich107およびQch108がフレーム同期信号とフレーム同期状態か否かを判断する。FRAME同期回路12は、その判断結果を示すFRAME非同期信号114を生成し、FRAME非同期信号114を間欠リセット信号発生回路13および記憶回路14に出力する。
【0064】
記憶回路14は、搬送波非同期検出信号113、FRAME非同期信号114およびCARR・APC信号119を受信する。記憶回路14は、搬送波非同期検出信号113が同期状態を示し、かつ、FRAME非同期信号114がフレーム非同期状態を示す時間を計測する。
【0065】
記憶回路14は、その時間が所定時間以上継続すると、搬送波が疑似引き込み状態であると判断する。そして、記憶回路14は、疑似引き込み検出信号123を生成し、疑似引き込み検出信号123を間欠リセット信号発生回路13に出力する。
【0066】
ここで、記憶回路14は、再生信号Ich107およびQch108が疑似引き込み状態であると判断すると、その時に受信しているCARR・APC信号119の値を擬似引き込み値として記憶する。そして、記憶回路14は、その擬似引き込み値を擬似引き込みCARR・APC情報122としてSWEEPER回路7に出力する。
【0067】
また、記憶回路14は、CARR・APC信号119の値と、記憶された擬似引き込み値とを常に比較し、CARR・APC信号119の値が一定時間以上継続して擬似引き込み値になっているか否かを判断する。
【0068】
記憶回路14は、CARR・APC信号119の値が一定時間以上継続して擬似引き込み値になっていると、搬送波が疑似引き込み状態であると判断する。
【0069】
そして、記憶回路14は、疑似引き込み検出信号123を生成し、疑似引き込み検出信号123を間欠リセット信号発生回路13に出力する。さらに、記憶回路14は、その疑似引き込みCARR・APC情報122をSWEEPER回路7に出力する。
【0070】
間欠リセット信号発生回路13は、非同期を示す搬送波非同期検出信号113を受け付けた場合、および、フレーム非同期を示すFRAME非同期信号114を受け付けた場合、間欠リセット信号115を生成する。例えば、間欠リセット信号発生回路13は、搬送波非同期検出信号113とFRAME非同期信号114とのOR(論理和)を求め、その結果が真の場合、間欠リセット信号115を生成する。
【0071】
また、間欠リセット信号発生回路13は、疑似引き込み検出信号123を受信した場合も、間欠リセット信号115を生成する。
【0072】
間欠リセット信号発生回路13は、間欠リセット信号115を生成すると、間欠リセット信号115を搬送波ループフィルタ6およびSWEEPER回路7に出力する。
【0073】
SWEEPER回路7は、間欠リセット信号115を受信した場合、内部の三角波(CARR・APC補助信号118)を生成する回路をリセットする。
【0074】
また、SWEEPER回路7は、間欠リセット信号115および疑似引き込みCARR APC情報122を受信した場合、その生成する回路をリセットした後、疑似引き込みCARR APC情報122に基づいて、三角波の初期値および初期増減方向を決定する。SWEEPER回路7は、その決定した初期値を有し、その初期値から初期増減方向に値が変化する三角波を生成し、その三角波をCARR・APC補助信号118として加算器8に出力する。
【0075】
加算器8は、位相誤差積算信号117およびCARR・APC補助信号118を受信すると、CARR・APC補助信号118を位相誤差積算信号117に加算して、CARR・APC信号119を生成する。加算器8は、CARR・APC信号119を数値制御発振器9および記憶回路14に出力する。
【0076】
次に、CARR・APC補助信号118を生成する動作を詳細に説明する。
【0077】
図4は、SWEEPER回路7が擬似引き込みCARR・APC情報122を用いずに生成したCARR・APC補助信号118の一例を説明するための説明図である。
【0078】
この場合、SWEEPER回路7は、搬送波が非同期状態の場合、初期増減方向が+の三角波をCARR・APC補助信号118として生成する(期間*1)。その後、CARR・APC補助信号118の値が擬似引き込みポイントになると、搬送波の位相誤差がなくなり、SWEEPER回路7は、直前の値を保持するCARR・APC補助信号118を生成する(期間*2)。
【0079】
そして、記憶回路14が搬送波を擬似引き込み状態と判定すると、SWEEPER回路7は、間欠リセット信号発生回路13から間欠リセット信号115を受信する。その後、SWEEPER回路7は、三角波をCARR・APC補助信号118として生成して再引き込みを行う(期間*3)。その後、再び、CARR・APC補助信号118が擬似引き込みポイントになり、SWEEPER回路7は、直前の値を保持するCARR・APC補助信号118を生成する(期間*2)。
【0080】
さらにその後、記憶回路14が搬送波を擬似引き込み状態と判定すると、SWEEPER回路7は、再び、間欠リセット信号発生回路13から間欠リセット信号115を受信する。そして、SWEEPER回路7は、再び三角波をCARR・APC補助信号118として生成して再々引き込みを行う(期間*4)。その後、CARR・APC補助信号118の値が引き込みポイントになり、SWEEPER回路7は、直前の値の信号をCARR・APC補助信号118として生成する
このように、SWEEPER回路7が搬送波の擬似引き込みポイントを識別することができないので、毎回同じ擬似引き込みポイントで誤った引き込みが行われる。このため、再生信号Ich107および108の再引き込みの効率を落とす大きな要因となっていた。
【0081】
図5は、SWEEPER回路7が擬似引き込みCARR・APC情報122を用いて生成したCARR・APC補助信号118の一例を説明するための説明図である。
【0082】
先ず、再生信号Ich107およびQch108が非同期状態の場合、SWEEPER回路7は、0を初期値とし、初期増減方向を+方向とした三角波信号をCARR APC補助信号118として生成する。その後、時刻Aで搬送波の位相誤差がなくなると、SWEEPER回路7は、その直前の値(制御値"Z")を保持するCARR・APC補助信号118を生成する。
【0083】
その後、時刻Bで、記憶回路14は、FRAME同期回路12からFRAME非同期信号114を受信すると、その時のCARR・APC信号119の値を疑似引き込み値として認識し、間欠リセット信号発生回路13に疑似引き込み検出信号123を出力する。
【0084】
ここで、記憶回路14は、その擬似引き込み値を記憶すると共に、その値を疑似引き込みCARR APC情報122としてSWEEPER回路7に出力する。
【0085】
間欠リセット信号発生回路13は、疑似引き込み検出信号123を受信すると、搬送波ループフィルタ6およびSWEEPER回路7に間欠リセット信号115を出力して、搬送波再生PLL回路をリセットする。
【0086】
SWEEPER回路7は、三角波をリセットした直後に、疑似引き込みCARR APC情報122に基づいて、疑似引き込みポイント(制御値"Z")を回避するような三角波を生成する。この場合、SWEEPER回路7は、初期値を0とし、初期増減方向を−方向とした三角波を生成する。
【0087】
これは、正常の引き込みポイントが、ZからXまでの範囲より、0から−Xまでの範囲に含まれる可能性が高いためである。なぜなら、ZからXまでの範囲より、0から−Xまでの範囲の方が広いためである。
【0088】
その後、時刻CでCARR・APC信号119が疑似引き込みポイント(制御値"Z")に到達するが、記憶回路14は、時刻BでそのCARR・APC信号119の値が記憶されているので、時刻Dで再度、間欠リセット信号発生回路13に疑似引き込み検出信号123を出力して、搬送波再生PLL回路をリセットする。また、記憶回路14は、再び、CARR・APC信号119の値を疑似引き込みCARR APC情報122としてSWEEPER回路7に出力する。
【0089】
SWEEPER回路7は、間欠リセット信号115および疑似引き込みCARR APC情報122を受信すると、疑似引き込みポイント(制御値"Z")を回避するような三角波が生成される。この場合、時刻Bで、初期値を0とし、初期増減方向を−方向とした三角波を生成した際に、CARR・APC信号の値が−XからZの間で、再生信号Ich107およびQch108が正常に引き込まなかったことから、初期値をXをとし、初期増減方向を−方向とした三角波を生成する。
【0090】
その後、時刻Eで、再生信号Ich107およびQch108が正常に引き込まれる
なお、時間E以降において、何らかの原因で、再生信号Ich107およびQch108が非同期になった場合、SWEEPER回路7は、初期値をXをとし、初期増減方向を−方向とした三角波を生成する。
【0091】
次に効果を説明する。
【0092】
搬送波再生PLL回路は、ディジタル信号Ich105およびQch106と基準信号との位相誤差を検出し、その位相誤差を示す差分信号に基づいて基準信号とディジタル信号Ich105およびQch106のそれぞれの同期を確立して搬送波(再生信号Ich107およびQch108)を生成する。FRAME同期回路12は、搬送波がフレーム同期信号とフレーム同期状態か否かを判断する。記憶回路14は、FRAME同期回路12にて搬送波がフレーム同期状態でないと判断されると、搬送波が擬似引き込み状態であると判断する。そして、記憶回路14は、その時の位相誤差積算信号117の値を擬似引き込み値として記憶する。また、記憶回路14は、位相誤差積算信号117の値が擬似引き込み値になっていると、搬送波が擬似引き込み状態であると判断する。
【0093】
この場合、搬送波がフレーム同期状態でないと判断されると、その時の位相誤差積算信号117の値が擬似引き込み値として記憶される。また、位相誤差積算信号117の値が擬似引き込み値になっていると、搬送波が擬似引き込み状態であると判断される。
【0094】
このため、疑似引き込みを起こしやすい位相誤差積算信号117の値を正確に把握することが可能になる。したがって、擬似引き込みの検出精度を高くすることが可能になる。また、時間の経過とともに本復調器を組み込んだシステムを安定して運用することが可能になる。
【0095】
また、本実施形態では、SWEEPER回路7は、位相誤差積算信号117を調節するためのCARR・APC補助信号118を生成する。加算器8は、CARR・APC補助信号118に基づいて位相誤差積算信号117を調節する。同期回路は、その調節された位相誤差積算信号117(CARR・APC信号119)に基づいて、ディジタル信号Ich105およびQch106のそれぞれの同期を確立する。そして、記憶回路14は、CARR・APC信号119が擬似引き込み値になっていると、搬送波が擬似引き込み状態であると判断する。
【0096】
この場合、擬似引き込みの検出精度をより高くすることが可能になる。
【0097】
また、本実施形態では、SWEEPER回路7は、記憶回路14にて搬送波が擬似引き込み状態であると判断されると、擬似引き込み値に基づいてCARR・APC補助信号118を生成する。
【0098】
この場合、CARR・APC信号119の値が再び擬似引き込み値になる可能性を軽減することが可能になる。したがって、再引き込み時に速やかに正常な引き込み状態にすることが可能になる。
【0099】
また、本実施形態では、SWEEPER回路7は、擬似引き込み値に基づいてCARR・APC補助信号118の初期値と、初期増減方向を決定する。SWEEPER回路7は、その初期増減方向のCARR・APC補助信号118を生成する。
【0100】
この場合、CARR・APC信号119の値が再び擬似引き込み値になる可能性を容易に軽減することが可能になる。
【0101】
また、本実施形態では、記憶回路14は、CARR・APC信号119の値が一定時間以上継続して擬似引き込み値になっていると、搬送波が擬似引き込み状態であると判断する。
【0102】
この場合、擬似引き込みの検出精度をより高くすることが可能になる。
【0103】
次に第二の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、本発明による最も簡単な構成を示す。
【0104】
図6は、本実施形態の搬送波再生回路の構成を示したブロック図である。図6において、搬送波再生回路は、FRAME同期回路12と、記憶回路14と、再生回路200とを含む。
【0105】
再生回路200は、基準信号を生成する。再生回路200は、入力信号と基準信号との位相誤差を検出し、その位相誤差を示す差分信号に基づいて入力信号の同期を確立して再生信号を生成する。
【0106】
FRAME同期回路12は、再生信号がフレーム同期信号とフレーム同期状態か否かを判断する。
【0107】
再生回路200は、FRAME同期回路12にて再生信号がフレーム同期状態でないと判断されると、再生信号が擬似引き込み状態であると判断する。再生回路200は、その時の位相誤差積算信号の値を擬似引き込み値として記憶する。
【0108】
また、再生回路200は、差分信号の値が擬似引き込み値になると、再生信号が擬似引き込み状態であると判断する。
【0109】
次に動作を説明する。
【0110】
再生回路200は、入力信号を受信すると、入力信号と基準信号との位相誤差を検出し、その位相誤差を示す差分信号を生成する。再生回路200は、その位相誤差積算信号を記憶回路14に出力すると共に、その位相誤差積算信号に基づいて入力信号の同期を確立して再生信号を生成する。再生回路200は、再生信号をFRAME同期回路12および搬送波再生回路の外部に出力する。
【0111】
FRAME同期回路12は、再生信号を受信すると、その再生信号がフレーム同期状態か否かを判断する。FRAME同期回路12は、その判断結果を示すFRAME非同期信号を記憶回路14に出力する。
【0112】
記憶回路14は、差分信号およびFRAME非同期信号を受信する。記憶回路14は、そのFRAME非同期信号が示す判断結果を確認する。記憶回路14は、その判断結果がフレーム非同期状態を表すと、再生信号が擬似引き込み状態であると判断して、その時の差分信号の値を擬似引き込み値として記憶する。
【0113】
また、記憶回路14は、差分信号の値と、記憶している擬似引き込み値とを常に比較し、その差分信号の値と擬似引き込み値とが同じか否かを判断する。記憶回路14は、差分信号の値が擬似引き込み値と同じであると、再生信号が擬似引き込み状態であると判断する。
【0114】
次に効果を説明する。
【0115】
本実施形態によれば、再生回路200は、ディジタル信号Ich105およびQch106と基準信号との位相誤差を検出し、その位相誤差を示す差分信号に基づいて基準信号とディジタル信号Ich105およびQch106のそれぞれの同期を確立して搬送波(再生信号Ich107およびQch108)を生成する。FRAME同期回路12は、搬送波がフレーム同期信号とフレーム同期状態か否かを判断する。記憶回路14は、FRAME同期回路12にて搬送波がフレーム同期状態でないと判断されると、搬送波が擬似引き込み状態であると判断する。そして、記憶回路14は、その時の位相誤差積算信号117の値を擬似引き込み値として記憶する。また、記憶回路14は、位相誤差積算信号117の値が擬似引き込み値になっていると、搬送波が擬似引き込み状態であると判断する。
【0116】
この場合でも、疑似引き込みを起こしやすい位相誤差積算信号117の値を正確に把握することが可能になる。したがって、擬似引き込みの検出精度を高くすることが可能になる。
【0117】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【0118】
例えば、変調方式は、QPSKに限らず、例えば、他のPSK(偏移変調:Phase Shift Keying)または多値QAMなどでもよい。
【0119】
また、本発明は、マイクロ波ディジタル無線通信システム以外にも、ディジタル無線通信システム全般に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第一の実施形態の復調回路の構成を示したブロック図である。
【図2】CARR・APC補助信号の一例を示した説明図である。
【図3】CARR・APC補助信号の他の例を示した説明図である。
【図4】CARR・APC補助信号の他の例を示した説明図である。
【図5】CARR・APC補助信号の他の例を示した説明図である。
【図6】本発明の第二の実施形態の搬送波再生回路の構成を示したブロック図である。
【図7】関連する技術の復調回路を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0121】
1 直交検波器
2 発振器
3 A/D変換器
4 位相回転器
5 搬送波位相検波器
6 搬送波ループフィルタ
7 SWEEPER回路
8 加算器
9 数値制御発振器
10 C/N推定回路
11 搬送波同期・非同期検出回路
12 FRAME同期回路
13 間欠リセット信号発生回路
14 擬似引き込みCARA・APC記憶回路
200 再生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号と基準信号との位相誤差を検出し、該位相誤差を示す差分信号に基づいて前記基準信号と前記入力信号との同期を確立して再生信号を生成する再生手段と、
前記再生信号がフレーム基準信号とフレーム同期状態か否かを判断する判断手段と、
前記判断手段にて前記再生信号がフレーム基準信号とフレーム同期状態でないと判断されると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断し、その時の前記差分信号の値を擬似引き込み値として記憶し、また、前記差分信号の値が前記擬似引き込み値になると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断する制御手段と、を含む搬送波再生回路。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送波再生回路において、
前記再生手段は、
前記差分信号を調節するための補助信号を生成する掃引手段と、
前記掃引手段にて生成された補助信号に基づいて前記差分信号を調節する調節手段と、
前記調節手段にて調節された差分信号に基づいて前記基準信号と前記入力信号との同期を確立する同期手段と、を含み、
前記制御手段は、前記調節手段にて調節された差分信号の値が前記擬似引き込み値になると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断する、搬送波再生回路。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送波再生回路において、
前記掃引手段は、前記制御手段にて前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断されると、前記擬似引き込み値に基づいて、前記補助信号を生成する、搬送波再生回路。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送波再生回路において、
前記掃引手段は、前記擬似引き込み値に基づいて、前記補助信号の初期値と初期増減方向とを決定し、該決定された初期値を有し、該初期増減方向に値が変化する補助信号を生成する、搬送波再生回路。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の搬送波再生回路において、
前記制御手段は、前記差分信号の値が一定時間以上継続して前記擬似引き込み値になっていると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断する、搬送波再生回路。
【請求項6】
搬送波再生回路による擬似引き込み検出方法であって、
入力信号と基準信号との位相誤差を検出し、
前記位相誤差を示す差分信号に基づいて前記基準信号と前記入力信号との同期を確立して再生信号を生成し、
前記再生信号がフレーム基準信号とフレーム同期状態か否かを判断し、
前記再生信号が前記フレーム基準信号とフレーム同期状態でないと判断されると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断し、その時の前記差分信号の値を擬似引き込み値として記憶し、
前記差分信号の値が前記擬似引き込み値になると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断する、擬似引き込み検出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の擬似引き込み検出方法において、
前記差分信号を調節するための補助信号を生成し、
前記生成された補助信号に基づいて前記差分信号を調節し、
前記調節された差分信号に基づいて前記基準信号と前記入力信号との同期を確立し、
前記調節された差分信号の値が前記擬似引き込み値になると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断する、擬似引き込み検出方法。
【請求項8】
請求項7に記載の擬似引き込み検出方法において、
前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断されると、前記擬似引き込み値に基づいて前記補助信号を生成する、擬似引き込み検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の擬似引き込み検出方法において、
前記擬似引き込み値に基づいて、前記補助信号の初期値と該初期増減方向とを決定し、該決定された初期値を有し、該初期増減方向に値が変化する補助信号を生成する、擬似引き込み検出方法。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項に記載の擬似引き込み検出方法において、
前記差分信号の値が一定時間以上継続して前記擬似引き込み値になっていると、前記再生信号が擬似引き込み状態であると判断する、擬似引き込み検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−164877(P2009−164877A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−453(P2008−453)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】