説明

搬送装置、記録装置および記録方法

【課題】連続搬送される前後の被記録媒体どうしの衝突を防止して印字品質が低下してしまうのを防ぐことのできる搬送装置、記録装置および記録方法を提供する。
【解決手段】本発明のプリンターは、連続紙を搬送方向の上流側から下流側へ間欠搬送する上流側搬送部と、上流側搬送部よりも搬送方向の下流側に設けられて連続紙を連続搬送する下流側搬送部と、上流側搬送部および下流側搬送部を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、上流側搬送部により連続紙を搬送する際の上流側搬送速度V1と同じ速度あるいは上流側搬送速度V1よりも速い第1下流側搬送速度V2で、下流側搬送部により連続紙を搬送させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、記録装置および記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を被記録媒体に対して付着させて記録を施す記録装置として、インクジェット式プリンターが広く知られている。このプリンターは、液体噴射ヘッドに供給されるインク(液体)を液体噴射ヘッドに形成されたノズルから噴射することにより用紙(被記録媒体)に印刷(画像形成)を施すようになっている。
【0003】
このようなプリンターにおいて、例えば特許文献1に記載されるようにロール状に巻かれた連続紙(被記録媒体)に対して印字処理を行った後、カッターによって切断し、印字済みのカット紙(被記録媒体)を加熱領域に搬送してインク(印字内容)をカット紙に定着させているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、連続紙を間欠的に搬送し、連続紙の搬送を停止した状態で印字処理を行うプリンターにおいては、連続紙から切り出された印字済みのカット紙を下流側へ連続搬送する際に、上流側から搬送されてくる連続紙の先端とカット紙の後端とが衝突して、印字品質を低下させてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、搬送方向に沿って搬送される前後の被記録媒体どうしの衝突を防止して印字品質が低下してしまうのを防ぐことのできる搬送装置、記録装置および記録方法を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送装置は、長尺状の第1被記録媒体を搬送方向の上流側から下流側へ間欠搬送する上流側搬送手段と、前記上流側搬送手段よりも前記搬送方向の下流側に設けられ、前記第1被記録媒体よりも下流側の第2被記録媒体を連続搬送する下流側搬送手段と、前記上流側搬送手段および前記下流側搬送手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記上流側搬送手段により前記第1被記録媒体を搬送する際の上流側搬送速度以上の第1下流側搬送速度で、前記下流側搬送手段により前記第2被記録媒体を搬送させることを特徴とする。
【0008】
これによれば、上流側搬送手段により第1被記録媒体を間欠搬送する場合であっても、下流側搬送手段により第2被記録媒体を連続搬送させる際、上流側搬送速度と同じかそれよりも速い第1下流側搬送速度で搬送させることにより、上流側搬送手段により間欠的に搬送される第1被記録媒体、および下流側搬送手段により搬送される第2被記録媒体どうしの衝突を避けることができる。これにより、第1被記録媒体および第2被記録媒体のダメージを防止してこれらを良好に搬送させることができる。
【0009】
また、前記下流側搬送手段によって連続搬送される前記第2被記録媒体に対して前記液体を定着させる定着処理を施す定着手段をさらに備え、前記制御手段は、前記下流側搬送手段により前記第2被記録媒体を前記第1下流側搬送速度で搬送させた後、前記定着処理を施す際、前記第2被記録媒体を前記上流側搬送速度の平均速度よりも速い第2下流側搬送速度で搬送させる構成としてもよい。
【0010】
これによれば、第2被記録媒体の搬送速度を2段階に変化させており、具体的には、下流側搬送手段により第2被記録媒体を第1下流側搬送速度で搬送させた後、定着処理を施す際に、第2被記録媒体を上流側搬送速度の平均速度よりも速い第2下流側搬送速度により一定の搬送速度で搬送させることとしたので、第2被記録媒体の定着条件のばらつきを抑制することができる。これにより、部分的に定着状態の異なる定着むらが発生するのを防止でき、良好な定着処理を施すことができる。
【0011】
本発明の記録装置は、上記の搬送装置と、前記第1被記録媒体へ前記液体を付着させて記録処理を施す記録手段と、を備える記録装置であって、前記制御手段は、前記記録手段が前記第1被記録媒体へ前記液体を付着させる付着条件に応じて、前記上流側搬送手段による前記第1被記録媒体の搬送停止時間を変更するとともに、前記搬送停止時間が短い場合ほど、前記下流側搬送手段による前記第2被記録媒体の前記第2下流側搬送速度を速くするように制御することを特徴とする。
【0012】
ここでは、記録手段が第1被記録媒体への液体を付着させる付着条件(例えば、被記録媒体の幅や付着内容の解像度等)に応じて上流側搬送手段による第1被記録媒体の搬送停止時間を変更することとした。このため、付着処理に伴う搬送停止時間が短い場合でも、下流側搬送手段による第2被記録媒体の第2下流側搬送速度を速くするように制御することによって、第1被記録媒体と第2被記録媒体どうしの搬送時における衝突を防止することができる。
【0013】
また、前記記録手段は、前記第1被記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に移動しながら前記液体を噴射させることにより、停止した状態にある前記第1被記録媒体に対して前記液体を付着させる液体噴射ヘッドであり、前記付着条件は、前記第1被記録媒体の前記走査方向における幅に応じて変化し、前記制御手段は、前記第1被記録媒体の前記走査方向における幅が狭い場合ほど、前記下流側搬送手段による前記第2被記録媒体の前記第2下流側搬送速度を速くするように制御する構成としてもよい。
【0014】
第1被記録媒体の走査方向における幅が狭い場合ほど付着処理が早く終わる。この場合、第1被記録媒体の搬送停止時間が短くて済むこととなる。このため、下流側搬送手段による第2被記録媒体の第2下流側搬送速度を速くするように制御することによって、第1被記録媒体と第2被記録媒体との衝突を防止しつつ、搬送効率を高めることができる。
【0015】
また、前記第1被記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に移動しながら前記液体を噴射させることにより、停止した状態にある前記第1被記録媒体に対して前記液体を付着させる液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドよりも下流側に設けられ、前記液体噴射ヘッドにより記録処理が施されて停止した状態にある前記第1被記録媒体を前記搬送方向に直交する方向に切断して所定の長さにする切断手段と、を備える構成としてもよい。
【0016】
これによれば、高価な装置を別途用いることなく、切断直後の第2被記録媒体の搬送速度の高速化が図れて、第1被記録媒体および第2被記録媒体の衝突が防止されて、印刷品質も維持することができる。
【0017】
本発明の記録方法は、間欠搬送される長尺状の第1被記録媒体を停止させた状態で当該第1被記録媒体に前記液体を付着させて記録処理を施す記録工程と、前記記録工程において記録処理が施されて停止した状態にある前記第1被記録媒体を所定の長さになるように前記搬送方向と直交する方向に切断する切断工程と、前記切断工程において前記第1被記録媒体から切り出された第2被記録媒体を、前記記録工程において前記第1被記録媒体を搬送する上流側搬送速度と同じ速度あるいは前記上流側搬送速度よりも速い第1下流側搬送速度で搬送する液体定着前工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
これによれば、上記した被記録装置にかかる発明と同様の作用効果を奏し得る。
【0019】
また、前記液体定着前工程において前記第1下流側搬送速度で搬送された前記第2被記録媒体を、前記記録工程において前記第1被記録媒体を搬送する平均搬送速度よりも速い前記第2下流側搬送速度で連続搬送して、前記液体を前記第2被記録媒体に定着させる定着処理を施す定着工程を備える方法としてもよい。
【0020】
これによれば、定着処理を施す際に、第2被記録媒体を上流側搬送速度の平均速度よりも速い第2下流側搬送速度により一定の搬送速度で搬送させることとしたので、第2被記録媒体の定着条件のばらつきを抑制することができる。これにより、部分的に定着状態の異なる定着むらが発生するのを防止でき、良好な定着処理を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態のプリンターの概略構成を示す模式図。
【図2】印刷部および排出部の概略構成を示す平面図。
【図3】カム機構の側面図。
【図4】上流側搬送部により連続紙を間欠搬送する様子を示す図。
【図5】連続紙を停止させた様子を示す図。
【図6】連続紙を切断してカット紙を形成する様子を示す図。
【図7】下流側搬送部によりカット紙を連続搬送する様子を示す図。
【図8】上流側搬送部による連続紙の間欠搬送速度および下流側搬送部による2段階搬送速度を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0023】
(第1実施形態)
以下、本発明の記録装置の一実施形態としてインクジェットプリンターについて説明する。
図1は、本実施形態のプリンターの概略構成を示す模式図である。図2は、印刷部および排出部の概略構成を示す平面図である。図3は、カム機構の側面図である。
【0024】
図1に示すように、記録装置としてのインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」と言う。)10には、ロール状に巻かれた被記録媒体としての連続紙(第1被記録媒体)11を繰り出す繰り出し部12と、その連続紙11を印刷部13へと搬送する上流側搬送部(上流側搬送手段)40と、上流側搬送部40より搬送されてきた連続紙11に対してインクを噴射して印刷処理(記録処理)を施す印刷部13と、印刷処理が施された連続紙11を排紙する下流側搬送部(下流側搬送手段)41とが設けられている。
【0025】
すなわち、連続紙11の搬送方向において、印刷部13よりも上流側となる位置(図1では右側寄りの位置)に上流側搬送部40が配設されるとともに、印刷部13よりも下流側となる位置(図1では左側寄りの位置)に下流側搬送部41が配設されている。そして、本実施形態では、繰り出し部12、上流側搬送部40および下流側搬送部41によって、連続紙11に対して搬送経路に沿う搬送力を付与する搬送装置が構成されている。
【0026】
繰り出し部12には、連続紙11の幅方向に延びる繰り出しローラー15が回動自在に設けられている。この繰り出しローラー15には長尺の連続紙11がロール状に巻回されており、繰り出しローラー15の回転によって搬送方向へ繰り出されるようになっている。
【0027】
印刷部13には、繰り出しローラー15から繰り出された連続紙11を支持するための支持面16aを有した平面視矩形状を呈するプラテン16が設けられている。このプラテン16の支持面16aは、繰り出しローラー15の回動軸線よりも高い位置に配置されている。また、プラテン16と繰り出しローラー15との間には、プラテン16の支持面16aと同じ高さに外周面の頂部が位置する中継ローラー17が回動自在に配置されるとともに、その中継ローラー17に対して繰り出しローラー15から繰り出された連続紙11が上記した外周面の頂部を経由するように掛装されている。そして、プラテン16は、繰り出しローラー15から中継ローラー17を経由して下流側へ略水平に搬送される連続紙11を支持面16aに摺接させながら支持するようになっている。
【0028】
また、印刷部13には、プラテン16の支持面16a(連続紙11の紙面)と対向する位置にキャリッジ18が設けられている。このキャリッジ18は、連続紙11の幅方向(連続紙11の搬送方向を直交する方向)に往復移動可能に構成されている。また、キャリッジ18において連続紙11の紙面に対向する面には、記録手段としての記録ヘッド(液体噴射ヘッド)19が設けられている。記録ヘッド19は、プラテン16上に搬送されて停止した状態の連続紙11の紙面に向けてノズルからインクを噴射することにより、連続紙11に対して印刷処理を行う液体噴射ヘッドからなる。
【0029】
図1に示すように、連続紙11の搬送経路上には、上流側搬送部40および下流側搬送部41をそれぞれ構成する搬送ローラー対21,22,23が設けられている。印刷部13に対して連続紙11の搬送方向の上流側となる位置には、上流側搬送部40を構成する上流側搬送ローラー対21が設けられ、印刷部13に対して連続紙11の搬送方向下流側となる位置には、下流側搬送部41を構成する第1下流側搬送ローラー対22および第2下流側搬送ローラー対23がそれぞれ設けられている。
【0030】
上流側搬送部40を構成する上流側搬送ローラー対21は、駆動モーター24に対して動力伝達可能に連結された駆動ローラー27と、この駆動ローラー27に対して連続紙11を挟むように対向する従動ローラー30とが対をなすように配置されてなり、プラテン16の近傍であってプラテン16よりも上流側に設けられている。本実施形態では、中継ローラー17とプラテン16との間に配置されている。
【0031】
下流側搬送部41は、第1下流側搬送ローラー対22および第2下流側搬送ローラー対23から構成されている。
第1下流側搬送ローラー対22は、駆動モーター25に対して動力伝達可能に連結された駆動ローラー28と、この駆動ローラー28に対して連続紙11を挟むように対向する従動ローラー31とが対をなすように配置されてなり、プラテン16の下流側近傍に設けられている。
【0032】
第2下流側搬送ローラー対23は、駆動モーター26に対して動力伝達可能に連結された駆動ローラー29と、この駆動ローラー29に対して連続紙11を挟むように対向する従動ローラー32とが対をなすように配置されてなり、第1下流側搬送ローラー対22よりも連続紙11の搬送方向の下流側に設けられている。
【0033】
上記した搬送ローラー対21〜23は、駆動ローラー27〜29および従動ローラー30〜32によって連続紙11を挟持した状態で、駆動ローラー27〜29が回転駆動した場合に、連続紙11(カット紙)に対して搬送方向の下流側に向かう搬送力を付与するようになっている。
【0034】
また、上流側搬送部40を構成する上流側搬送ローラー対21は、従動ローラー30が連続紙11の紙面と直交する方向(図1では上下方向)に変位不能に構成されている。このため、この上流側搬送ローラー対21は、連続紙11に対して常に挟持力を作用させるようになっている。その一方で、下流側搬送部41を構成する下流側搬送ローラー対22,23は、切断機構(切断手段)36によってカットされた連続紙11の一部(カット紙11A)に対して挟持力を作用させる状態と、カット紙(第2被記録媒体)11Aに対して挟持力を作用させない状態との間で相互に切り替え可能となっている。そして、下流側搬送部41は、各下流側搬送ローラー対22,23による連続紙11に対する挟持状態を互いに切り替えることにより、カット紙11Aの搬送方向における挟持位置を変更できるように構成されている。
なお、本実施形態では、上流側搬送部40および下流側搬送部41として、3つの搬送ローラー対21〜23を設けたが、ローラー対の数はこれに限られるものではない。
【0035】
切断機構36は、連続紙11を所定の長さに切断するもので、プラテン16の下流側であってプラテン16と第1下流側搬送ローラー対22との間に設けられている。
切断機構36は、図1および図2に示すように、連続紙11の幅方向(搬送方向に直交する方向)と平行に延びるように配置されたガイド軸37と、ガイド軸37によって連続紙11の幅方向に往復移動可能に支持されたキャリッジ38とを備えてなり、搬送経路よりも従動ローラー30〜32側に配置されている。キャリッジ38の下面側には切断部材としてのカッター39が設けられている。このカッター39は、その刃先が搬送経路に沿って搬送される連続紙11の紙面側に向けられた状態で固定されているとともに、刃先の頂部が連続紙11の紙面と略同じ高さに位置するように配置されている。
【0036】
このような切断機構36は、キャリッジ38を連続紙11の幅方向(搬送方向に直交する方向)に移動させてカッター39の刃先を連続紙11の幅方向全体に亘って摺接させることにより、連続紙11を所定の長さに切断する。連続紙11は幅方向全体が切断されることにより、連続紙11におけるカッター39よりも上流側に位置する部分と、カッター39よりも下流側に位置する部分とが切り離されて、カット紙11Aが形成される。
【0037】
また、下流側搬送部41を構成する第1下流側搬送ローラー対22と第2下流側搬送ローラー対23との間には、インクが付着したカット紙11Aを加熱可能な定着手段としてのヒーター(定着手段)47が設けられている。そして、下流側搬送部41に搬送される際に印刷が施されたカット紙11Aは、下流側搬送部41によって搬送されるとともに乾燥が促進されて印刷が定着され、さらに、第1下流側搬送ローラー対22から第2下流側搬送ローラー対23へと受け渡されて、この第2下流側搬送ローラー対23よりも搬送方向の下流側に配置された排紙トレイ55に排紙されるようになっている。
【0038】
また、第1下流側搬送ローラー対22に対して連続紙11の搬送方向下流側に近接する位置には、連続紙11の有無を検出する検出センサー43,44がそれぞれ設けられている。そして、制御装置(制御手段)45は、これらの検出センサー43,44から出力される検出信号に基づいて、連続紙11の先端部(搬送方向の下流側端部)の搬送位置を検出するようになっている。
【0039】
図2に示すように、カム機構46,47は互いに同一の構成を有しており、連続紙11の幅方向の両側に対をなすように設けられている。
図3に示すように、カム機構46(47)は、その長手方向が連続紙11の搬送方向に沿うように配置されたカム板48を有している。このカム板48は、下流側搬送部41を構成する下流側搬送ローラー対22、23における従動ローラー31,32の回動軸31a,32aを下方から支持している。従動ローラー31,32の回動軸31a,32aがカム板48の上面48aに支持された状態では、従動ローラー31,32と駆動ローラー28,29とが相互間に隙間がないように配置され、その結果、下流側搬送部41が連続紙11に対して挟持力を作用させる状態となる。
【0040】
一方、従動ローラー31,32の回動軸31a,32aがカム板48の上面48aに形成された凹部49および凹部50の各底面49a,50aに支持された状態では、従動ローラー31,32が駆動ローラー28,29から離間して配置され、その結果、下流側搬送部41が連続紙11に対して挟持力を作用させない状態となる。
【0041】
カム板48の底面(上面48aとは幅方向反対側の面)には長さ方向全体に亘ってラック51が形成されている。このラック51には、カム板48の長さ方向と直交する方向に沿う回転軸を中心に回動するピニオン52が噛合されている。このピニオン52には移動モーター53が連結されているとともに、制御装置45によって正転方向および逆転方向への回動が制御されるようになっている。そして、移動モーター53の駆動に伴ってピニオン52が回動することにより、ピニオン52とラック51とが噛合した状態のカム板48が連続紙11の搬送方向に往復移動するようになっている。
【0042】
制御装置45は、上流側搬送部40による連続紙11の搬送速度および下流側搬送部41によるカット紙11Aの搬送速度を設定するとともに、駆動モーター24〜26、記録ヘッド19を制御して印刷を行う。記録ヘッド19を連続紙11の幅方向(搬送方向に直交する方向)に走査させて印刷を行うシリアル型のプリンター10では、プラテン16上に配置されて停止した状態の連続紙11に対してインクを噴射させて印刷を施した後、インクを非噴射の状態で連続紙11を下流側へと搬送する。
本実施形態においては、上流側搬送部40において連続紙11を間欠的に搬送させるとともに、下流側搬送部41においてカット紙11Aを連続的に搬送させる。
【0043】
記録ヘッド19の1回の走査に伴って連続紙11を停止させておく停止時間は、連続紙11の幅Wや解像度Rなどの印刷条件に応じて変化する。すなわち、制御装置45は、連続紙11の幅Wに応じて記録ヘッド19の走査範囲を変更するように制御する。そのため、連続紙11の幅Wが広い場合ほど移動距離が長くなり、移動時間もかかってくる。すなわち、連続紙11の幅Wが広いほど1回の走査に要する時間が長くなるため、連続紙11の停止時間も長くなる。
【0044】
また、制御装置45は、印刷する画像の解像度Rに応じて記録ヘッド19の走査速度を変更する。すなわち、解像度Rが大きい場合ほど、記録ヘッド19の走査速度を遅くした状態でインクを噴射することにより、単位面積当たりにより多くのインク滴の噴射を可能として解像度Rの大きな印刷を行う。そのため、解像度Rが大きいほど、1回の走査に要する時間が長くなるため、連続紙11の停止時間も長くなる。
【0045】
次に、上記のように構成されたプリンターの作用について説明する。
図4は、上流側搬送部により連続紙を間欠搬送する様子を示す図であり、図5は、連続紙を停止させた様子を示す図であり、図6は、連続紙を切断してカット紙を形成する様子を示す図であり、図7は、下流側搬送部によりカット紙を連続搬送する様子を示す図である。また、図8は、上流側搬送部による連続紙の間欠搬送速度および下流側搬送部による2段階搬送速度を示す図である。
【0046】
ここでは、特に、カッター39(切断機構36)が連続紙11を切断することにより、連続紙11から切り出されたカット紙11Aの搬送動作に着目して説明する。
【0047】
(上流側搬送工程)
まず、制御装置45は、図4に示すように、繰り出し部12から繰り出された連続紙11を搬送方向の下流側へ間欠搬送するために、上流側搬送部40における上流側搬送ローラー対21の駆動ローラー27を駆動モーター24の駆動を通じて断続的に回転駆動させる。すると、上流側搬送ローラー対21は、連続紙11を挟持した状態で連続紙11に対して搬送方向の下流側に向かう搬送力を断続的に付与する。これにより、上流側搬送部40では連続紙11が搬送方向の下流側へ上流側搬送速度V1で間欠搬送されるようになる。
一方、下流側搬送部41では、下流側搬送ローラー対22,23の各従動ローラー31,32が連続紙11に対して上方に離間して配置されているため、下流側搬送ローラー対22,23が連続紙11に対して挟持力を作用させることはない。
【0048】
続いて、制御装置45は、連続紙11の搬送方向の上流側に位置する検出センサー43が連続紙11を検出した時点で、連続紙11の先端が下流側搬送部41における第1下流側搬送ローラー対22まで到達したと判断する。同時に、制御装置45は、駆動モーター24の駆動を停止させることにより、上流側搬送部40による連続紙11の搬送動作を停止させる。
【0049】
次に、制御装置45は、移動モーター53の駆動を通じてピニオン52を時計回りに回動させることにより、従動ローラー31,32が駆動ローラー28,29に接するように配置される。従動ローラー31,32および駆動ローラー28,29は、高さ方向において両者間に隙間がなくなるように配置されるため、図5に示すように、下流側搬送部41における第1下流側搬送ローラー対22および第2下流側搬送ローラー対23が連続紙11に対して挟持力を作用させるようになる。
なお、連続紙11の少なくとも一部を第1下流側搬送ローラー対22によって挟持した状態で印刷処理へ移行してもよい。
【0050】
(記録工程)
次に、制御装置45は、図5に示すように、連続紙11の間欠搬送態様に合わせてキャリッジ18の駆動状態を制御して記録ヘッド19を走査する。ここでは、連続紙11が停止している状態でキャリッジ18(記録ヘッド19)を走査方向に往復移動させるとともに、停止させた連続紙11に対してインクを噴射させて印刷(記録)を行う。具体的には、記録ヘッド19を連続紙11の幅方向(搬送方向に直交する方向)に走査させて1行分の印刷を行った後、所定の距離だけ連続紙11を搬送方向下流側へと搬送させる。
一方、連続紙11が搬送方向に移動している状態では、キャリッジ18(記録ヘッド19)の走査方向への往復移動を停止させるとともに、記録ヘッド19のインク噴射を停止させるようにそれぞれの駆動状態を制御する。
このように、制御装置45は、記録ヘッド19を走査させるとともに、停止した連続紙11に対して記録ヘッド19からインクを噴射させて印刷を施す。すなわち、上流側搬送部40は、連続紙11の搬送と停止とを交互に繰り返して印刷処理を施すようになっている。
【0051】
なお、連続紙11の搬送を開始してから停止させるまでの時間は、連続紙11を所定の搬送距離だけ搬送するのに要する時間である。なお、1行分の印刷ではなく、数行分の印刷動作に対して所定の搬送距離を設定することとしてもよい。
【0052】
また、上流側搬送部40における連続紙11の平均搬送速度VAは、停止時間と搬送時間との合計時間で搬送距離Lを割ることにより算出される(VA=L/(停止時間+搬送時間))。制御装置45は、この平均搬送速度VAを印刷条件に応じて変化させ、連続紙11の幅Wが広く且つ解像度Rが大きい場合ほど低速に設定し、また、連続紙11の幅Wが狭く且つ解像度Rが小さい場合ほど速く設定する。
【0053】
(切断工程)
次に、制御装置45は、図6に示すように、上流側搬送部40の上流側搬送ローラー対21と、下流側搬送部41の少なくとも第1下流側搬送ローラー対22が、印刷が施された長尺状の連続紙11を挟持した状態で、連続紙11におけるこれらの挟持部位の間となる部分をカッター39によって切断する。すると、連続紙11におけるカッター39よりも連続紙11の搬送方向下流側に位置する部分が繰り出しローラー15から繰り出された部分から切り離されて、単票状のカット紙11Aが形成される。
【0054】
次に、制御装置45は、駆動モーター25,26を通じて下流側搬送部41の第1下流側搬送ローラー対22および第2下流側搬送ローラー対23を回転駆動させることにより、切り離されたカット紙11Aを下流側搬送部41により排紙トレイ55側へ向けて搬送する。同時に、駆動モーター24を通じて上流側搬送部40の上流側搬送ローラー対21を回転駆動させることにより、繰り出しローラー15から繰り出された連続紙11を所定の長さ分だけ印刷領域へ搬送する。
【0055】
このとき、制御装置45は、図8に示すように、下流側搬送部41の第1下流側搬送ローラー対22および第2下流側搬送ローラー対23によるカット紙11Aの搬送速度を2段階に可変させる。まず、連続紙11を切断した直後においては、切り出されたカット紙11Aを上流側搬送速度V1と同じかそれよりも速い第1下流側搬送速度V2で高速搬送させる。ここで、第1下流側搬送速度V2を、下流側搬送部41によるカット紙11Aの搬送量(移動量)が上流側搬送部40による連続紙11の搬送量(移動量)を上回るような搬送速度(V1<V2)に設定する。このように、カット紙11Aを上流側搬送部40による連続紙11の上流側搬送速度V1と同じかそれよりも速い第1下流側搬送速度V2で搬送させることにより、上流側搬送部40によって搬送される連続紙11の先端が、下流側搬送部41によって搬送されるカット紙11Aの後端に衝突することが防止されることとなる。
【0056】
下流側搬送部41によって、カット紙11Aを上流側搬送速度V1よりも速い第1下流側搬送速度V2で搬送する場合、下流側の搬送速度が上流側の搬送速度を上回るため、連続紙11の先端とカット紙11Aの後端同士の間の距離は大きくなっていく。
【0057】
一方、下流側搬送部41よりカット紙11Aを上流側搬送速度V1と同じ速度で搬送する場合には、下流側搬送部41によってカット紙11Aを搬送するのと同時に上流側搬送部40によって連続紙11を搬送することとなる。つまり、連続紙11の先端とカット紙11Aの後端部分の距離はカットされた直後の相互間距離がゼロの状態で、これら連続紙11およびカット紙11Aが同じ速度で同時に搬送される。このため、相互間の距離は一定のまま搬送される。そして、連続紙11の搬送が終了した後(印刷位置への搬送が終了した後)も、カット紙11Aは排紙トレイ55へと向かってさらに下流側へと搬送されるため、連続紙11の先端とカット紙11Aの後端同士の間の距離は大きくなっていく。
【0058】
このように、下流側搬送部41によってカット紙11Aを上流側搬送速度V1と同じかそれよりも速い第1下流側搬送速度V2で搬送するいずれの場合においても、連続紙11とカット紙11A同士の衝突を避けた良好な搬送が可能となる。
【0059】
(定着工程)
そして、図7に示すように、上流側搬送部40による連続紙11の搬送が終了するとともに、下流側搬送部41によるカット紙11Aの1段階搬送が終了した後は、第1下流側搬送速度V2よりも遅く且つ上流側の平均搬送速度VAよりも速い第2下流側搬送速度V2’(VA<V2’<V2)に切り換えて搬送する。この際、カット紙11A上に噴射されたインクを定着させるためのインク定着処理が施される。第1下流側搬送ローラー対22と第2下流側搬送ローラー対23との間に配置されたヒーター47によってカット紙11Aが加熱されてインクが定着する。
【0060】
このとき、制御装置45は、下流側搬送部41において連続紙11を搬送方向下流側へ搬送するために駆動ローラー対22,23を回転駆動する駆動モーター25,26は、印刷条件(連続紙11の幅Wと解像度R)に応じて設定された搬送速度V1で連続紙11が連続搬送されるように、その駆動状態が制御される。すなわち、カット紙11Aに対して定着処理を施す場合には、加熱条件がカット紙11A内で部分的に定着状態の異なる定着むらが現れて印刷品質を低下させてしまうおそれがある。そのため、下流側搬送部41では、カット紙11Aを連続的に搬送するように駆動モーター25,26は断続的ではなく連続的に駆動される。したがって、一定の搬送速度(第2下流側搬送速度V2’)で連続搬送されつつヒーター47の下方を通過させることにより、カット紙11Aにおける加熱条件のばらつきを抑制することができる。
【0061】
なお、上述したように、下流側搬送部41による第2下流側搬送速度V2’は、上流側搬送部40による平均搬送速度VAよりも速い速度となるように設定されている。このため、連続紙11とカット紙11Aとの間隔が徐々に大きくなるように搬送されて排紙トレイ55へと搬送される。
【0062】
ここで、制御装置45は、記録ヘッド19が連続紙11へインクを付着(噴射)させる付着条件に応じて、上流側搬送部40による連続紙11の搬送停止時間を変更するとともに、搬送停止時間が短い場合ほど、下流側搬送部41の第2下流側搬送速度V’を速くするように制御する。
【0063】
本実施形態のプリンター10には、下流側搬送部41内にカット紙11Aを乾燥させるためのヒーター47が組み込まれており、均一な乾燥性を低消費電力で得るため可能な限り低速かつ一定の速度で搬送させる必要がある。
また、連続紙11とカット紙11Aとの衝突を阻止するために、下流側の搬送速度が上流側の平均的な搬送速度を上回るように速度設定する必要がある。
【0064】
一方、上流側搬送部40における連続紙11の搬送手法はシリアル搬送であり、生産性を向上させるために、瞬間最高速度は下流側の搬送速度を上回る必要がある。そのため、連続紙11がカッター39で切断されて十分な時間が経過した後では、下流側の用紙搬送速度が上流側の搬送速度を上回るため、連続紙11の先端とカット紙11Aの後端との間の距離は離れていくことになる。
【0065】
しかしながら、連続紙11をカットした直後は、連続紙11とカット紙11Aとの距離がゼロであり、上流側搬送部40および下流側搬送部41ともに動作を同時に開始させるため、上記の上流側搬送速度、下流側搬送速度の各要件により、連続紙11の先端がカット紙11Aの後端に衝突してしまう。
そこで、本実施形態では、連続紙11をカットした直後のみ、下流側の搬送速度を上流側の搬送速度と同じかそれよりも上回るように設定した。すなわち、上流側の搬送量とおなじかそれよりも下流側の搬送量の方が上回るように、下流側の搬送速度を適宜設定することにより、連続紙11とカット紙11Aとの衝突を防ぎ、用紙のダメージや紙ジャムの防止を図ることとした。
【0066】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態のプリンター10によれば、上流側搬送部40が連続紙11の搬送と停止とを繰り返して連続紙11を間欠搬送する場合であっても、上述したように、カット直後のカット紙11Aを下流側搬送部41により上流側搬送速度V1よりも速い第1下流側搬送速度V2で搬送させており、下流側搬送部41によるカット紙11Aの搬送量の方が、上流側搬送部40による連続紙11の搬送量よりも大きくなるように搬送できるようになっている。すなわち、先にインクが付着されて下流側搬送部41によって連続搬送されるカット紙11Aは、上流側搬送部40によって間欠搬送される連続紙11との間隔が徐々に拡がるように連続搬送されるため、連続紙11およびカット紙11A同士の衝突が抑制される。
【0067】
具体的には、上流側搬送部40によって連続紙11が間欠的に搬送されるのと同時に、下流側搬送部41によりカット紙11Aを第1下流側搬送速度V2によって搬送させ、連続紙11の搬送が終了すると略同じタイミングで(連続紙11の搬送が停止されるのと略同じタイミングで)、搬送速度を第1下流側搬送速度V2からこれよりも低速の第2下流側搬送速度V2’に切り換えてカット紙11Aを搬送させることとした。このとき、ヒーター47による加熱によってカット紙11Aに対する定着処理が施されることとなるが、下流側搬送部41により、カット紙11Aの搬送速度を第2下流側搬送速度V2’に維持した状態でカット紙11Aを連続搬送させつつ、ヒーター47の下方を通過させている。これにより、カット紙11Aにおける加熱条件のばらつきを抑制して、部分的に定着状態の異なる定着むらが発生するのを防止でき、良好な印刷品質を確保することができる。
【0068】
また、連続紙11の幅Wに合わせて下流側搬送部41の第2下流側搬送速度V2’を変更することができる。すなわち、記録ヘッド19は、走査方向に移動しながら連続紙11にインクを付着(噴射)させるため、連続紙11の幅Wに応じて移動する距離が変化する。そのため、連続紙11の幅Wが狭いほど停止時間を短くすることができるため、上流側搬送部40が連続紙11を搬送する平均搬送速度VAが速くなる。これに伴い、下流側搬送部41によるカット紙11Aの第1下流側搬送速度V2および第2下流側搬送速度V2’の搬送速度を速くするように制御する。したがって、連続紙11の幅が狭く、印刷処理に伴う搬送停止時間が短くなった場合でも、下流側搬送部41による第1下流側搬送速度V2および第2下流側搬送速度V2’を速めて連続紙11とカット紙11Aどうしの衝突を抑制しつつ、搬送効率を高めることができる。
【0069】
また、記録ヘッド19が連続紙11にインクを付着させる際の解像度Rに応じて下流側搬送部41によるカット紙11Aの搬送速度Vを変更することができる。すなわち、一般に、連続紙11にインクを付着させる場合には、解像度Rが小さい場合ほど短時間でインクを付着させることができる。そのため、解像度Rが小さい場合ほど連続紙11の搬送停止時間を短くすることができるため、上流側搬送部40が連続紙11を搬送する平均搬送速度VAが速くなる。したがって、解像度Rが小さく、記録ヘッド19による印刷処理に伴う停止時間が短くなった場合でも、下流側搬送部41による第1下流側搬送速度V2および第2下流側搬送速度V2’を速めて連続紙11とカット紙11A同士の衝突を抑制しつつ、搬送効率を高めることができる。
【0070】
これにより、高速駆動可能な駆動モーターや高速乾燥可能な乾燥装置を用いることなく、カット紙11Aの搬送速度の高速化が図れて、印刷品質も維持することができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
上記実施形態において、ターゲットは、連続紙に限定されず、布やフィルム、樹脂シート、金属シートなどでもよい。
上記実施形態では、記録装置として、インクジェット式プリンター10が採用されているが、インク以外の他の流体を噴射したりする流体噴射装置を採用しても良い。また、美少量の液滴を噴射させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。この場合、液滴とは、上記液体噴射装置から噴射される液体の状態を言い、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここで言う液体とは、液体噴射装置が噴射させることができる材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。
【0073】
また、液体の代表的な例としては上記実施形態で用いたようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的は水性インクおよび油性インクならびにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形で含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造などに用いられる生態有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられる試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計や精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信装置等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用しても良い。そして、これらのうちいずれか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10…プリンター(記録装置)、V…搬送速度、W…幅、11…連続紙(第1被記録媒体)、19…記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、36…切断機構(切断手段)、40…上流側搬送部(上流側搬送手段)、41…下流側搬送部(下流側搬送手段)、45…制御装置(制御手段)、47…ヒーター(定着手段)、V1…上流側搬送速度、V2…第1下流側搬送速度、V2’…第2下流側搬送速度、VA…平均搬送速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被記録媒体を搬送方向の上流側から下流側へ間欠搬送する上流側搬送手段と、
前記上流側搬送手段よりも前記搬送方向の下流側に設けられ、前記第1被記録媒体よりも下流側の第2被記録媒体を連続搬送する下流側搬送手段と、
前記上流側搬送手段および前記下流側搬送手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記上流側搬送手段により前記第1被記録媒体を搬送する際の上流側搬送速度以上の第1下流側搬送速度で、前記下流側搬送手段により前記第2被記録媒体を搬送させる
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記下流側搬送手段によって連続搬送される前記第2被記録媒体に対して液体を定着させる定着処理を施す定着手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記下流側搬送手段により前記第2被記録媒体を前記第1下流側搬送速度で搬送させた後、前記定着処理を施す際、前記第2被記録媒体を前記上流側搬送速度の平均速度よりも速い第2下流側搬送速度で搬送させる
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送装置と、
前記第1被記録媒体へ前記液体を付着させて記録処理を施す記録手段と、を備える記録装置であって、
前記制御手段は、前記記録手段が前記第1被記録媒体へ前記液体を付着させる付着条件に応じて、前記上流側搬送手段による前記第1被記録媒体の搬送停止時間を変更するとともに、前記搬送停止時間が短い場合ほど、前記下流側搬送手段による前記第2被記録媒体の前記第2下流側搬送速度を速くするように制御する
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
前記記録手段は、前記第1被記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に移動しながら前記液体を噴射させることにより、停止した状態にある前記第1被記録媒体に対して前記液体を付着させる液体噴射ヘッドであり、
前記付着条件は、前記第1被記録媒体の走査方向における幅に応じて変化し、
前記制御手段は、前記第1被記録媒体の前記走査方向における幅が狭い場合ほど、前記下流側搬送手段による前記第2被記録媒体の前記第2下流側搬送速度を速くするように制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録手段よりも下流側に設けられ、前記液体噴射ヘッドにより記録処理が施されて停止した状態にある前記第1被記録媒体を前記搬送方向に直交する方向に切断して所定の長さにする切断手段と、を備える
ことを特徴とする請求項3または4に記載の記録装置。
【請求項6】
間欠搬送される長尺状の第1被記録媒体を停止させた状態で当該第1被記録媒体に前記液体を付着させて記録処理を施す記録工程と、
前記記録工程において記録処理が施されて停止した状態にある前記第1被記録媒体を所定の長さになるように前記搬送方向と直交する方向に切断する切断工程と、
前記切断工程において前記第1被記録媒体から切り出された第2被記録媒体を、前記記録工程において前記第1被記録媒体を搬送する上流側搬送速度以上の第1下流側搬送速度で搬送する液体定着前工程と、を備える
ことを特徴とする記録方法。
【請求項7】
前記液体定着前工程において前記第1下流側搬送速度で搬送された前記第2被記録媒体を、前記記録工程において前記第1被記録媒体を搬送する平均搬送速度よりも速い前記第2下流側搬送速度で連続搬送して、前記液体を前記第2被記録媒体に定着させる定着処理を施す定着工程を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−121713(P2012−121713A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275458(P2010−275458)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】