説明

搬送装置

【課題】作業スペースを有効に利用可能な搬送装置を提供すること。
【解決手段】スライドコンベア2と、スライドコンベア2を移動可能なように保持するコンベアベースと、第1傾斜状態と第2傾斜状態との間で傾斜状態を切り替える傾斜変更機構部4と、コンベアストッパ25とを有し、第1傾斜状態で待機位置に固定されたスライドコンベア2上にワーク82が進入した後、ワーク82が自重による推力によってスライドコンベア2上を前方端22まで進む際に、コンベアストッパ25による固定状態を解除してスライドコンベア2を移動可能とし、スライドコンベア2を自重による推力によって伸長して移動させることによりワーク82を供給位置P2まで搬送し、その後、傾斜変更機構部4によってコンベアベースを第2傾斜状態とすることにより、スライドコンベア2を自重による推力によって供給位置P2から待機位置まで縮小して移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業スペースを有効に利用可能な搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用の自動変速機(A/T)等の機械装置は、通常、メインの作業スペースとなるメイン組立ライン上で組み立てられていく。そして、このメイン組立ライン上の作業に必要な部品(ワーク)は、別ライン等から順次供給される。このワークや、これを載置するパレットの搬送に関する技術は、これまでも多数提案されている(例えば、特許文献1、2)
【0003】
【特許文献1】特開平4−323110号公報
【特許文献2】特開平5−186052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品(ワーク)を供給する供給位置は、メイン組立ライン上の作業スペースを確保するために、その作業スペース上ではなくそこに隣接するスペースに設けることとなる。そのため、作業スペースとは別にワーク供給位置となる供給スペースが必要となり、設備全体の面積はその分大型化していたといえる。特に、供給部品が多い場合には、上記供給スペースを確保する影響は大きい。
これに対し、ワークの供給位置と作業スペースとを兼用させることができれば、設備全体の面積の縮小、ひいては設備のコンパクト化による設備費用の低減に結びつけることも可能となる。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、作業スペースを有効に利用可能な搬送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、供給位置にワークを供給すると共に当該ワークの供給後には該供給位置を作業スペースとして解放可能な搬送装置であって、
後方端からのワークの進入が可能であると共に前方端からのワークの退出が不能であるよう構成されたスライドコンベアと、
上記供給位置に隣接する待機位置に配設され、上記スライドコンベアを上記待機位置からその前方の上記供給位置まで伸長して移動可能なように保持するコンベアベースと、
該コンベアベース及び上記スライドコンベアを、該スライドコンベアの前方端が後方端よりも高い位置となる第1傾斜状態と、その逆の位置関係となる第2傾斜状態との間で傾斜状態を切り替える傾斜変更機構部と、
上記第1傾斜状態にある上記スライドコンベアを上記待機位置に固定するために設けられ、進入したワークが上記スライドコンベア上においてその前方端まで移動することによって上記スライドコンベアの固定状態を解除するよう構成されたコンベアストッパとを有し、
上記第1傾斜状態で上記コンベアストッパにより上記待機位置に固定された上記スライドコンベア上にワークが進入した後、当該ワークが上記第1傾斜状態に応じた自重による推力によって上記スライドコンベア上をその前方端まで進む際に、上記コンベアストッパによる固定状態を解除して上記スライドコンベアを移動可能とし、該スライドコンベアを上記第1傾斜状態に応じた自重による推力によって上記待機位置から上記供給位置まで伸長して移動させることによりワークを上記供給位置まで搬送し、
その後、上記傾斜変更機構部によって上記コンベアベースを上記第2傾斜状態とすることにより、上記スライドコンベアを上記第2傾斜状態に応じた自重による推力によって上記供給位置から上記待機位置まで縮小して移動させることができるよう構成されていることを特徴とする搬送装置にある(請求項1)。
【0007】
本発明の搬送装置は、上記スライドコンベアと、上記コンベアベースと、上記傾斜変更機構部と、上記コンベアストッパとを有している。そして、上記スライドコンベアの自重を利用して、上記のごとく、ワークの供給位置までの搬送と、上記待機位置までの復帰が可能なように構成されている。
そのため、本発明の搬送装置を用いれば、例えば作業スペース内にワークの供給位置を設定しても、その作業スペース内にワーク供給時だけ上記スライドコンベアを進入させ、作業スペースでの作業時にはスライドコンベアを退出させてその空間を有効な作業空間として解放することができ、実際の作業に支障を来すことなく作業スペースの有効活用を行うことができる。
【0008】
なお、本明細書においては、上記待機位置は上記供給位置との水平方向における位置関係のみを表す用語であり、上下方向の位置関係については、上昇又は下降という表現で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の搬送装置は、上記のごとくスライドコンベアを備えているが、具体的なコンベア構成としては、ローラコンベア、ベルトコンベア等の公知の各種のものを採用することができる。特に好ましくは、ワークの自重による移動を容易に実現できるローラコンベアがよい。ローラコンベアとしては、例えば横方向全幅のローラを備えるタイプと、ワークあるいは後述するパレットの幅に対応して、両サイドにそれぞれ短いローラを備えるタイプとがある。
【0010】
また、上記搬送装置は、上記ワークをパレット上に載置した状態で搬送し、上記供給位置においてパレットからワークが分離されて取り除かれた後、当該パレットのみを上記供給位置から上記待機位置へと戻すためのものであり、
上記スライドコンベアには、その前方端側に位置するパレットの後方端側への移動を規制するパレットストッパが設けられており、該パレットストッパは、上記第2傾斜状態において上記スライドコンベアが上記供給位置から上記待機位置に縮小して移動する際には上記パレットに係合して当該パレットを固定し、上記待機位置に到着した後に、パレットの移動が可能となるようパレットとの係合を解除するよう構成されていることが好ましい(請求項2)。
【0011】
すなわち、本発明の搬送装置は、ワークのみ又はパレットに載置されたワークを受領から供給時まで一体として取り扱う場合だけでなく、上記のごとく、供給位置においてワークとパレットを分離し、パレットのみを元の方向に戻ように用いることができる。この場合、最もシンプルな構成としては、上記スライドコンベア上に供給されたパレットとその上のワークを供給位置まで搬送した後、パレットのみを待機位置に戻す構成である。待機位置に戻ったパレットは、スライドコンベア上から作業者の手によって取り除いても良いし、また、後述するように隣接するコンベア装置によって所定の方向に送る構成とすることもできる。
【0012】
また、上記搬送装置は、上記スライドコンベアに上記ワークを受け渡す上部コンベアと上記スライドコンベアからパレットを受け取る下部コンベアとを上下に並べて有する上流側搬送装置に隣接配置されており、上記待機位置において上記第1傾斜状態にある上記スライドコンベアが上記上部コンベアと連通状態となり、上記待機位置において上記第2傾斜状態にある上記スライドコンベアが上記下部コンベアと連通状態となるよう構成されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、スライドコンベアへのワークの供給経路とワークから分離されたパレットの回収経路を、上記上流側搬送装置における上部コンベアと下部コンベアにそれぞれ受け持たせることができ、ワーク及びパレットの搬送をより合理的に行うことができる。
【0013】
また、上記搬送装置は、上記スライドコンベア及び上記コンベアベースを上昇又は下降させる昇降機構部を有しており、上記待機位置において上記第1傾斜状態にあると共に上記昇降機構部によって上昇位置に配置された上記スライドコンベアが上記上部コンベアと連通状態となり、上記待機位置において上記第2傾斜状態にあると共に上記昇降機構部によって下降位置に配置された上記スライドコンベアが上記下部コンベアと連通状態となるよう構成されていることがさらに好ましい(請求項4)。
上記上流側搬送装置との連携は、上記スライドコンベアの後端側の高さ変化を傾斜状態の変化のみよって行って実現ささせることが可能な場合もある。しかし、さらに、上記昇降機構部を用いてスライドコンベアを昇降させることにより、その後端部の高さ変化をより大きくすることができ、これにより、パレットの寸法が比較的大きくなっても上記上流側搬送装置との連携を容易に行うことができる。
【0014】
また、上記パレットストッパは、上記第2傾斜状態において上記スライドコンベアが上記供給位置から上記待機位置に到着した後、さらに、上記コンベアベースが上昇位置から下降する間もパレットの固定状態を維持し、上記コンベアベースが下降位置に到着した際に、パレットの移動が可能となるよう当該パレットとの係合を解除するよう構成されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、パレットを回収する際に、上記スライドコンベアと上記上流側搬送装置の下部コンベアとが確実に連通可能な状態となってから、パレットの移動が許可されるので、より安全性を高めることができる。
【0015】
また、上記コンベアベースは、傾動軸を介して昇降ベース上に連結され、該昇降ベースと共に昇降可能に設けられており、該昇降ベースと上記コンベアベースとの間には、上記傾斜変更機構部を構成するアクチュエータが配設され、該アクチュエータを駆動することによって上記コンベアベースが上記傾動軸を中心に回動して傾斜状態が変化するよう構成されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記昇降ベースは傾斜変化させることなく昇降のみさせればよく、上記コンベアベースは上記昇降ベース上で傾斜変化さえ行えればよいので、上記昇降機構部及び上記傾斜変更機構部の構成を簡易化することができる。また、上記アクチュエータとしては、エアシリンダ、油圧シリンダ、その他の様々なアクチュエータを利用することができる。
【0016】
また、上記昇降ベースは、フロア上に配設される架台部に対して昇降可能に配設されていると共に、該架台部に配設された滑車に掛け渡された連結線を介してウエイト部と連結されており、
該ウエイト部は、上記昇降ベースを含む昇降部位の全重量よりも重く、上記昇降部位の全重量に上記パレットの重量を加えた重量よりも軽い重量を有しており、
上記昇降ベースと上記架台部との間には、上記昇降ベースが上昇位置にある状態を維持するための上昇固定ストッパが設けられ、該上昇固定ストッパは、上記スライドコンベアが上記第2傾斜状態において上記供給位置から上記待機位置まで縮小して移動した後に上記昇降ベースの上昇位置固定状態を解除するよう構成されていることが好ましい(請求項7)。
【0017】
上記昇降機構部としては、いわゆるアクチュエータを利用して外部からエネルギーを投入して機能させることも可能である。しかし、上記ウエイト部と上記昇降部位とを滑車を介して吊り下げる上記の構成を採用することによって、重力を動力源とした昇降機構部を実現することができる。そして、これにより、省エネルギー化を図ることができる。また、上記上昇固定ストッパを設けることにより、重力による昇降機構部を適切に制御することが可能となる。
【0018】
また、上記昇降ベースと上記架台部との間には、上記昇降ベースが下降位置にある状態を維持するための下降固定ストッパが設けられ、該下降固定ストッパは、上記スライドコンベアが上記第1傾斜状態から上記第2傾斜状態に変化する際に上記昇降ベースの下降位置固定状態を解除するよう構成されていることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記下降固定ストッパを設けることにより、重力による昇降機構部をさらに適切に制御することが可能となる。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
本発明の実施例に係る搬送装置につき、図1〜図23を用いて説明する。なお、本例において用いる図面は、わかりやすくするために、適宜透視した状態で示し、説明に関係のない部分の記載を削除した。
本例の搬送装置1は、図1、図2に示すごとく、作業スペースS1内の供給位置P2に組み付け部品としてのワーク82を供給すると共に当該ワーク82の供給後には供給位置P2を作業スペースとして解放可能な搬送装置である。
【0020】
すなわち、図1に示すごとく、本例の搬送装置1は、自動変速機(A/T)の組立を行うメイン組立ライン90上を流れてくるメインのワーク81に組み付けるための部品としてのワーク82を、作業スペースS1内の供給位置P2に供給するためのものである。作業スペースS1は、本例では上記ワーク81にワーク82を組み付ける際に作業者が利用する空間であるが、その他、組み付け以外の様々なスペースに利用しても良い。
また、上記搬送装置1は、上記ワーク82をパレット83上に載置した状態で搬送し、供給位置P2においてパレット83からワーク82が分離されて取り除かれた後、当該パレット83のみを上記供給位置P2から待機位置P1へと戻すよう構成されている。
【0021】
また、図1に示すごとく、上記搬送装置1は、後述するスライドコンベア2にワーク82を受け渡す上部コンベア911とスライドコンベア2からパレット83を受け取る下部コンベア912とを上下に並べて有する上流側搬送装置91に隣接配置されている。そして、搬送装置1は、待機位置P1において後述する第1傾斜状態にあると共に上昇位置に配置されたスライドコンベア2が、上部コンベア911と連通状態となり、後述する第2傾斜状態にあると共に下降位置に配置されたスライドコンベア2が、下部コンベア912と連通状態となるよう構成されている。
【0022】
以下、上記搬送装置1の構成について詳しく説明する。
本例の搬送装置1は、図1〜図3に示すごとく、スライドコンベア2を有している。スライドコンベア2は、図2に示すごとく、左右両側に複数のローラ20を備えたローラコンベアである。また、図1、図2、図8に示すごとく、スライドコンベア2は、その後方端21からのワーク82の進入が可能であると共に前方端22からのワーク82の退出が不能であるよう構成されている。具体的には、スライドコンベアの前方端22には、ワーク82を載置するパレット83が当接するワークストッパ201が設けられており、それよりも前方へのパレット83の移動が規制されている。
【0023】
また、スライドコンベア2は、図1、図2に示すごとく、コンベアベース3に対して移動可能に配設されている。
コンベアベース3は、図1に示すごとく、供給位置P2に隣接する待機位置P1に配設され、スライドコンベア2を待機位置P1からその前方の供給位置P2まで伸長して移動可能なように保持している。この移動機構は、両者の間に設けられたスライドレール部29によって実現されており、その移動長は、スライドコンベア2の第1下部突起部27とコンベアベース3に設けられた前方のスライドストッパ381及び後方のスライドストッパ382(図6、図2)との当接によって規制される。
【0024】
また、図1、図6に示すごとく、スライドコンベア2には、後述する第1傾斜状態にあるスライドコンベア2を待機位置P1に固定するために設けられたコンベアストッパ25を有している。このコンベアストッパ25は、図6に示すごとく、回動支点250を中心に回動可能に構成されており、その後端側にはコンベアベース3に設けられた被係合部351と係合する係合部251を有し、その前端側にはパレット83に係合して押し下げられるパレット接触部252を有している。また、コンベアストッパ25は、その自重による回転支点250に対するモーメントが、上記係合部251側がパレット接触部252側より大きくなっており、自然状態では、係合部251側が矢印M1方向に付勢された状態となっている。すなわち、コンベアストッパ25は、自然状態では係合部251と被係合部351との係合状態が維持され、一方、進入したワーク83がスライドコンベア2上においてその前方端まで移動することによって、ワーク82を載せたパレット83によってパレット接触部252が押し下げられると共に、係合部251が矢印M1と反対方向に回動して被係合部351との係合状態が解かれ、スライドコンベア2の固定状態を解除するよう構成されている。
【0025】
また、コンベアベース3は、図6に示すごとく、上記のごとくスライドコンベア2を移動可能に支持した状態で、傾動軸36を介して昇降ベース5上に連結され、該昇降ベース5と共に昇降可能に設けられている。
昇降ベース5には、コンベアベース3及びスライドコンベア2を、スライドコンベア2の前方端22が後方端21よりも高い位置となる第1傾斜状態(図6〜図12参照)と、その逆の位置関係となる第2傾斜状態(図13〜図20参照)との間で傾斜状態を切り替える傾斜変更機構部4が設けられている。具体的には、昇降ベース5には傾斜変更機構部4を構成するアクチュエータ41としてのエアシリンダが配設され、該アクチュエータ41を駆動することによってコンベアベース3が傾動軸36を中心に回動するよう構成されている。
【0026】
また、アクチュエータ41は、上下両方にロッド411、412を有するタイプのエアシリンダであり、上方のロッド411がコンベアベース3に当接し、下方のロッド412は後述する下降固定ストッパ45に連結され、これを操作可能に構成されている。
また、アクチュエータ41は、図1に示す操作スイッチ46を作業者が操作することによって駆動するように構成されている。
【0027】
また、昇降ベース5は、図3〜図5に示すごとく、フロアFL上に配設される架台部6に対して昇降可能に配設されていると共に、架台部6に配設された滑車65に掛け渡された連結線650を介してウエイト部655と連結されている。
すなわち、架台部6は左右一対の支柱部62を有しており、その上端にそれぞれ滑車65を備えている。この滑車65には、連結線650としてのワイヤが掛け渡されており、その一端651が昇降ベース5に連結され、他端652がウエイト部655に連結されている。
【0028】
ウエイト部655は、昇降ベース5を含む昇降部位の全重量よりも重く、昇降部位の全重量にパレット83の重量を加えた重量よりも軽い重量を有している。そのため、昇降ベース5は、スライドコンベア2上に何も載置されていない場合には上昇方向に付勢され、スライドコンベア2上に少なくともパレット83が載っている場合には自重によって下降方向に付勢される。
【0029】
また、図4、図5に示すごとく、昇降ベース5と架台部6との間には、昇降ベース5が上昇位置にある状態を維持するための左右一対の上昇固定ストッパ67が設けられている。この上昇固定ストッパ67は、スライドコンベア2が第2傾斜状態において供給位置P2から待機位置まで縮小して移動した後に昇降ベース5の上昇位置固定状態を解除するよう構成されている。
【0030】
上昇固定ストッパ67は、図5、図6に示すごとく、架台部6に設けられた回動支点670を中心に回動可能に設けられていると共に、スプリング675によって原位置A(図4参照)に向かって矢印M2方向に付勢されている。また、上昇固定ストッパ67は、昇降ベース5に設けられた係合ローラ部57(図5)に係合する凹部672(図4)を有している。そして、後述する図8、図14〜図28、図22、図23等に示すごとく、昇降ベース5は、上昇固定ストッパ67の凹部672と係合ローラ部57とが係合状態にあるときには上昇位置で固定され、これらの係合状態が解除された場合に、上昇位置での固定状態が解除されるようになっている。
【0031】
一方、昇降ベース5には、図5、図8に示すごとく、上記上昇固定ストッパ67の動きを制御する左右一対の制御バー58が設けられている。制御バー58は、回動支点580(図5)を中心に回動可能に昇降ベース5に設けられていると共にスプリング585によって原位置B(図8参照)に向かって矢印M3方向に付勢されている。また、制御バー58の下端部には、上昇固定ストッパ67の摺動面部679に当接可能な係合レバー部589が設けられている。また、制御バー58の上端部には、第2傾斜状態にあるときにのみスライドコンベア2に設けられた第2下部突起部28と当接可能な当接端部588が設けられている。
【0032】
そして、上昇固定ストッパ67の凹部672と係合ローラ部57とが係合している状態においては、第1傾斜状態にある場合には、スライドコンベア2の位置にかかわらずその係合状態が維持され、第2傾斜状態においては、スライドコンベア2が供給位置P2から待機位置P1に縮小して移動してきた際に、上記制御バー58の動きによって係合状態が解除されるようになっている。
【0033】
すなわち、図14〜図17に示すごとく、スライドコンベア2が第2傾斜状態にしたがって自重により供給位置P2から待機位置P1に戻る際に、その第2下部突起部28が制御バー58の当接端部588に当接することにより、制御バー58が回動する。この回動に伴って制御バー58の係合レバー部589が上昇固定ストッパ67の摺動面部679を押圧して上昇固定ストッパ67を矢印M2の反対方向へと回動させる。これにより、上昇固定ストッパ67の凹部672が係合ローラ部57から離れる方向に移動し、両者の係合状態が解除される。また、図18に示すごとく、その後、昇降ベース5が下降すれば、それに伴って制御バー58及び係合ローラ部57の全体が下降するので、これらと上昇固定ストッパ67とは互いに接触しない位置関係となり、スプリング675の付勢力によって上昇固定ストッパ67は原位置A(図4)に戻る。
【0034】
また、図22、図23に示すごとく、昇降ベース5が下降した位置から上昇してくる際には、後述するごとくスライドコンベア2が第1傾斜状態にあるので、制御バー58は第2下部突起部28との当接状態が解除されて原位置に戻っている。そのため、昇降ベース5が上昇位置に復帰する際には、制御バー58は上昇固定ストッパ67の動きを規制せず、上昇固定ストッパ67は、その摺動面部679を係合ローラ部57に摺動させつつ所定量回動し、図8に示すごとく、最終的に凹部672が係合ローラ部57の位置に到達した際に、スプリング675の付勢力によって両者が係合することとなる。
【0035】
また、図6、図13、図19に示すごとく、昇降ベース5と架台部6との間には、昇降ベース5が下降位置にある状態を維持するための下降固定ストッパ45も設けられている。この下降固定ストッパ45は、スライドコンベア2が第1傾斜状態から第2傾斜状態に変化する際に昇降ベース5の下降位置固定状態を解除するよう構成されている。
【0036】
すなわち、図8、図13に示すごとく、下降固定ストッパ45は、上述したごとく、第2傾斜状態を実現すべく、アクチュエータ41が操作され、そのロッド412が下方に突出した場合に、それに伴って回動支点450を中心に矢印M4方向へ回動し、水平な状態となるように構成されている。また、下降固定ストッパ45は、第2傾斜状態から第1傾斜状態に戻る際にアクチュエータ41のロッド412が上方へ移動するのに伴って、矢印M4と反対の方向へ回動してその先端が斜め下方に向くように構成されている。
【0037】
一方、架台部6には、下降固定ストッパ45が水平状態になっているときにのみ係合する架台係合部65が設けられている。架台係合部65は、図示しないスプリングの付勢力に抗して矢印M5方向に回動してその先端位置を後退させることができるように構成されている。そのため、水平状態の下降固定ストッパ45が昇降ベース5と共に下降してきた場合には、下降固定ストッパ45が架台係合部65を乗り越えてその下方に進入して、両者が係合する。これにより、昇降ベース5の下降位置での状態は、下降固定ストッパ45と架台係合部65の係合状態によって維持される。一方、アクチュエータ41の駆動に伴って下降固定ストッパ45が水平状態から矢印M4と反対方向に回動して斜め下を向く状態に復帰した場合には、下降固定ストッパ45と架台係合部65との係合状態が解除され、昇降ベース5の下降位置での固定状態が解除される。
【0038】
また、図7、図13、図19に示すごとく、スライドコンベア2には、その前方端22側に位置するパレット83の後方端21側への移動を規制するパレットストッパ26が設けられている。このパレットストッパ26は、上記第2傾斜状態においてスライドコンベア2が供給位置P2から待機位置P1に縮小して移動する際にはパレット83に係合して当該パレットを固定し、待機位置P1に到着した後、さらに、コンベアベース3が後述する上昇位置から下降する間もパレット83の固定状態を維持し、コンベアベース3が下降位置に到着した際に、パレット83の移動が可能となるよう当該パレット83との係合を解除するよう構成されている。
【0039】
具体的には、パレットストッパ26は、図7に示すごとく、回動支点260を中心に回動可能であると共に、スプリング264によって、矢印M6方向に付勢されている。そして、その先端側上方には、実際にパレット83と係合するパレット係合部266が配設されている。このパレット係合部266は、図示しないスプリングの付勢力に抗して回動支点265を中心に矢印M7方向に回動してその上端位置を下降させることができるように構成されている。そのため、スライドコンベア2上を後端21側から先端22側へ進行するパレット83は、上記パレット係合部266を乗り越えて進むことが可能となっている。
【0040】
また、パレットストッパ26の後端には、架台6に立設されたパレット解放ピン61と当接可能な当接端部263を有している。この当接端部263と上記パレット解放ピン61とは、図19に示すごとく、第2傾斜状態において、スライドコンベア2が下降位置まで下がった際にはじめて当接し、この当接によってパレットストッパ26が回動支点260を中心に矢印M6の反対方向に回動するように構成されている。
【0041】
次に、以上のような構成の搬送装置1を用いた一連の動作について説明する。
まず、図6〜図8に示す状態を全体の初期位置として説明すると、これらの図に示すごとく、上流側搬送装置91の上部コンベア911と、待機位置P1で第1傾斜状態にあるスライドコンベア2とが連通状態にある。
【0042】
この状態においては、上流側搬送装置91の上部コンベア911にある上流ストッパ92によってパレット83の進行が妨げられ、停止している状態となっている。そのため、図9に示すごとく、上流ストッパ92を下降させてパレット83との当接状態を解除することにより、パレット83に載置されたワーク82が、パレット83と共に上部コンベア911の傾斜に応じた自重の推力によってスライドコンベア2上に進入する。
【0043】
図10に示すごとく、スライドコンベア2上においては、その第1傾斜状態に応じた自重による推力によって、ワーク82及びパレット83が前方端22まで進み、パレット83がワークストッパ201に当接したところで停止する。このとき、パレット83は、コンベアストッパ25の先端側のパレット接触部252を押し下げ、その後端側の係合部251を矢印M1方向の反対側に回動させる。これにより、コンベアストッパ25によるスライドコンベア2の固定状態が解除され、スライドコンベア2の自重による移動が可能となる。
【0044】
次に、自重による移動が可能となったスライドコンベア2は、図11に示すごとく、第1傾斜状態に応じた自重による推力によって待機位置P1から供給位置P2まで伸長して移動する。この移動は、スライドコンベア2の第1下部突起部27とコンベアベース3のスライドストッパ381との当接によって、伸長端において止められる。そして、この伸長した状態にあるスライドコンベア2は、メイン組立ライン90上における作業スペースS1内の供給位置P2内に存在し、その位置へのワーク82の搬送が完了した状態となる。
また、このとき、パレット83は、上述したスライドコンベア2上における前進動作によって、パレットストッパ26のパレット係合部266を乗り越えてその前方へ進んでいるので(図12参照)、その後後退しようとするとパレット83の後端がパレット係合部266に当接してその動きが規制される状態となっている。
【0045】
次に、図13に示すごとく、搬送されたワーク82が作業者によってパレット83上から取り除かれた後、作業者の操作によって、傾斜変更機構部4のアクチュエータ41が作動し、コンベアベース3及びスライドコンベア2が第1傾斜状態から第2傾斜状態へと変わる。
【0046】
この傾斜状態の変化により、スライドコンベア2の自重による推力の方向が逆転し、スライドコンベア2は第2傾斜状態に応じた自重による推力によって供給位置P2から待機位置P1まで縮小して移動する。このとき、上述したごとく、パレット83は、若干後退するものの、パレットストッパ26のパレット係合部266との当接によって後端側への移動が規制され、スライドコンベア2上の先端側の位置に保持される。
【0047】
また、図14に示すごとく、第2傾斜状態になることによって、制御バー58の当接端部588がコンベアベース3内に突出して、スライドしてくるスライドコンベア2の第2下部突起部28と当接可能な状態となる。
そして、図15〜図17に示すごとく、スライドコンベア2が供給位置P2から待機位置P1まで縮小して移動する間に、スライドコンベア2の第2下部突起部28が昇降ベース5の制御バー58の当接端部588に当接し、制御バー58が矢印M3の反対側へと回動する。この回動に伴って制御バー58の係合レバー部589が上昇固定ストッパ67の摺動面部679を押圧して上昇固定ストッパ67が矢印M2の反対方向へと回動する。これにより、上昇固定ストッパ67の凹部672が係合ローラ部57から離れる方向に移動し、図17に示すごとく、両者の係合状態が解除され、昇降ベース5の上昇位置固定状態が解除される。
【0048】
次に、上昇位置固定状態が解除された昇降ベース5及びこれと一体的に昇降可能な昇降部位はパレット83を伴っているので、滑車65を介して連結されたウエイト部655よりも総重量が重い。そのため、重量差に基づく推力により、図18に示す状態を経て、図19に示すごとく、昇降ベース5を含む昇降部位が下降端まで下降する。
【0049】
また、このとき、図13、図19に示すとごとく、傾斜状態は第2傾斜状態となっているので、上記アクチュエータ41のロッド412によって操作された下降固定ストッパ45が水平状態になっている。そのため、図19に示すごとく、昇降部位が下降端まで到達した際には、下降固定ストッパ45が架台係合部65と係合し、昇降ベース5の下降位置での固定状態が実現される。そして、この状態において、スライドコンベア2と上流側搬送装置91の下部コンベア912とが連通状態となる。
【0050】
また、図19に示すごとく、昇降部位が下降位置に到達した際には、架台6に立設されたパレット解放ピン61が、スライドコンベア2におけるパレットストッパ26の当接端部263に当接してこれを押し上げ、その他端のパレットストッパ26とパレット83との係合状態が解除される。これにより、図20に示すごとく、パレット83が第2傾斜状態に応じた自重による推力によって進行し、スライドコンベア2から下部コンベア912へと移動して上流側に回収される。
【0051】
次に、図21に示すごとく、作業者が傾斜変更機構部4のアクチュエータ41を操作して、コンベアベース3及びスライドコンベア2を第1傾斜状態へと変化させる。これにより、アクチュエータ41の駆動に伴って、下降固定ストッパ45が回動し、架台係合部65との係合状態が解除され、これにより、昇降ベース5の下降位置での固定状態が解除される。
【0052】
このとき、スライドコンベア2上には何も載置されていない状態であるので、昇降ベース5を含む昇降部位全体の総重量は、ウエイト部655よりも軽くなっている。そのため、その重量差によって、昇降ベース5が上昇を開始する。また、このとき、昇降ベース5における制御バー58と、架台部6における上昇固定ストッパ67は、その高低差によって互いに離隔しており、係合していない。
【0053】
そして、図22、図23に示すごとく、昇降ベース5の上昇に伴って、昇降ベース5に配設された係合ローラ部57は、架台部6の上昇固定ストッパ67における摺動面部679に接触し、これを徐々に矢印M2の反対方向へと回動させる。これにより、上昇固定ストッパ67の凹部672とが係合ローラ部57とが同じ高さ、すなわち、昇降ベース5が上昇端まで到達した際には、スプリング675の付勢力によって上昇固定ストッパ67の凹部672と係合ローラ部57とが係合し、上昇位置固定状態が実現される。
【0054】
また、昇降ベース5の上昇によって、架台6に立設されたパレット解放ピン61とパレットストッパ26の当接端部263との係合状態が解除され、パレットストッパ26は、パレットストッパ26側を上昇させた初期位置に復帰し、全ての状態が、図6〜図8に示す上記初期位置に復帰する。
このような、一連の動作を繰り返すことにより、ワーク82の搬送及びパレット83の回収を繰り返すことができる。
【0055】
以上のように、本例の搬送装置1用いれば、作業スペースS1内にワーク82の供給位置を設定しても、その作業スペースS1内にワーク供給時だけスライドコンベア2を進入させ、作業スペースS1での作業時にはスライドコンベア2を退出させてその空間を有効な作業空間として解放することができ、実際の作業に支障を来すことなく作業スペースS1の有効活用を行うことができる。
【0056】
また、本例の搬送装置1は、スライドコンベア2にワーク82を受け渡す上部コンベア911とスライドコンベア2からパレット83を受け取る下部コンベア912とを上下に並べて有する上流側搬送装置91に隣接配置されており、待機位置P1において第1傾斜状態にあるスライドコンベア2が上部コンベア911と連通状態となり、待機位置P1において第2傾斜状態にあるスライドコンベア2が下部コンベア912と連通状態となるよう構成されている。そのため、スライドコンベア2へのワーク82の供給経路とワーク82から分離されたパレット83の回収経路を、上流側搬送装置91における上部コンベア911と下部コンベア912にそれぞれ受け持たせることができ、ワーク82及びパレット83の搬送をより合理的に行うことができる。
【0057】
特に本例では、スライドコンベア2及びコンベアベース3を上昇又は下降させる昇降機構部4を有しているので、その昇降による高低差分以上の高さ寸法を上部コンベア911と下部コンベア912との間に確保することができる。そのため、ワーク82がある程度高さ寸法の大きい部品であっても、スライドコンベア2と上流側搬送装置91との連携を容易に実現することができる。
【0058】
また、本例では、上記傾斜変更機構部4のアクチュエータ41以外のほとんど全ての機構部を、外部の動力源を用いることなく、自重又はスプリングの付勢力によって機能するように構成した。これにより、設備全体の省エネルギー化を図ることができ、非常に環境保護に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施例1における、搬送装置を側面から見た構成を示す説明図。
【図2】実施例1における、搬送装置を上面から見た構成を示す説明図。
【図3】実施例1における、搬送装置を正面から見た構成を示す説明図。
【図4】実施例1における、昇降ベースとウエイト部を吊り下げる滑車部の構成を示す説明図。
【図5】実施例1における、架台部と昇降ベースとの関係を示す説明図。
【図6】実施例1における、初期位置におけるコンベアストッパの状態を示す説明図。
【図7】実施例1における、初期位置におけるパレットストッパの状態を示す説明図。
【図8】実施例1における、初期位置における上昇固定ストッパの状態を示す説明図。
【図9】実施例1における、上流側搬送装置の上部コンベアからワークの投入を開始した直後の状態を示す説明図。
【図10】実施例1における、スライドコンベア上にワークが進入してその先端位置まで移動完了しコンベアストッパが回動した状態を示す説明図。
【図11】実施例1における、ワークを載置したスライドコンベアが供給位置まで伸長して移動した状態を示す説明図。
【図12】実施例1における、スライドコンベアが供給位置まで伸長して移動した際のパレットストッパの状態を示す説明図。
【図13】実施例1における、スライドコンベアが供給位置まで伸長して移動した状態で第2傾斜状態とした状態を示す説明図。
【図14】実施例1における、スライドコンベアが供給位置から待機位置へと縮小して移動している状態を示す説明図。
【図15】実施例1における、スライドコンベアが供給位置から待機位置へと縮小して移動する途中にその第2下部突起部が制御バーに当接した状態を示す説明図。
【図16】実施例1における、スライドコンベアが供給位置から待機位置へと縮小して移動する途中にその第2下部突起部によって制御バー及び上昇固定ストッパが回動されている状態を示す説明図。
【図17】実施例1における、スライドコンベアの待機位置への縮小して移動が完了し、制御バーと上昇固定ストッパとの係合状態が解除された状態を示す説明図。
【図18】実施例1における、昇降ベースを含む昇降部が下降を開始した状態を示す説明図。
【図19】実施例1における、昇降ベースを含む昇降部の下降が完了した状態を示す説明図。
【図20】実施例1における、スライドコンベア上のパレットが後端側へ移動している状態を示す説明図。
【図21】実施例1における、スライドコンベア及びコンベアベースを第1傾斜状態に戻した直後の状態を示す説明図。
【図22】実施例1における、昇降ベースを含む昇降部が上昇を開始した状態を示す説明図。
【図23】実施例1における、昇降ベースを含む昇降部がさらに上昇した状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送装置
2 スライドコンベア
25 コンベアストッパ
26 パレットストッパ
28 第2下部突起部
3 コンベアベース
4 傾斜変更機構部
41 アクチュエータ
45 下降固定ストッパ
5 昇降ベース
57 係合ローラ部
58 制御バー
6 架台部
61 パレット解放ピン
65 滑車
655 ウエイト部
67 上昇固定ストッパ
82 ワーク
83 パレット
91 上流側搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給位置にワークを供給すると共に当該ワークの供給後には該供給位置を作業スペースとして解放可能な搬送装置であって、
後方端からのワークの進入が可能であると共に前方端からのワークの退出が不能であるよう構成されたスライドコンベアと、
上記供給位置に隣接する待機位置に配設され、上記スライドコンベアを上記待機位置からその前方の上記供給位置まで伸長して移動可能なように保持するコンベアベースと、
該コンベアベース及び上記スライドコンベアを、該スライドコンベアの前方端が後方端よりも高い位置となる第1傾斜状態と、その逆の位置関係となる第2傾斜状態との間で傾斜状態を切り替える傾斜変更機構部と、
上記第1傾斜状態にある上記スライドコンベアを上記待機位置に固定するために設けられ、進入したワークが上記スライドコンベア上においてその前方端まで移動することによって上記スライドコンベアの固定状態を解除するよう構成されたコンベアストッパとを有し、
上記第1傾斜状態で上記コンベアストッパにより上記待機位置に固定された上記スライドコンベア上にワークが進入した後、当該ワークが上記第1傾斜状態に応じた自重による推力によって上記スライドコンベア上をその前方端まで進む際に、上記コンベアストッパによる固定状態を解除して上記スライドコンベアを移動可能とし、該スライドコンベアを上記第1傾斜状態に応じた自重による推力によって上記待機位置から上記供給位置まで伸長して移動させることによりワークを上記供給位置まで搬送し、
その後、上記傾斜変更機構部によって上記コンベアベースを上記第2傾斜状態とすることにより、上記スライドコンベアを上記第2傾斜状態に応じた自重による推力によって上記供給位置から上記待機位置まで縮小して移動させることができるよう構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、上記搬送装置は、上記ワークをパレット上に載置した状態で搬送し、上記供給位置においてパレットからワークが分離されて取り除かれた後、当該パレットのみを上記供給位置から上記待機位置へと戻すためのものであり、
上記スライドコンベアには、その前方端側に位置するパレットの後方端側への移動を規制するパレットストッパが設けられており、該パレットストッパは、上記第2傾斜状態において上記スライドコンベアが上記供給位置から上記待機位置に縮小して移動する際には上記パレットに係合して当該パレットを固定し、上記待機位置に到着した後に、パレットの移動が可能となるようパレットとの係合を解除するよう構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項2において、上記搬送装置は、上記スライドコンベアに上記ワークを受け渡す上部コンベアと上記スライドコンベアからパレットを受け取る下部コンベアとを上下に並べて有する上流側搬送装置に隣接配置されており、上記待機位置において上記第1傾斜状態にある上記スライドコンベアが上記上部コンベアと連通状態となり、上記待機位置において上記第2傾斜状態にある上記スライドコンベアが上記下部コンベアと連通状態となるよう構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項3において、上記搬送装置は、上記スライドコンベア及び上記コンベアベースを上昇又は下降させる昇降機構部を有しており、上記待機位置において上記第1傾斜状態にあると共に上記昇降機構部によって上昇位置に配置された上記スライドコンベアが上記上部コンベアと連通状態となり、上記待機位置において上記第2傾斜状態にあると共に上記昇降機構部によって下降位置に配置された上記スライドコンベアが上記下部コンベアと連通状態となるよう構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項4において、上記パレットストッパは、上記第2傾斜状態において上記スライドコンベアが上記供給位置から上記待機位置に到着した後、さらに、上記コンベアベースが上昇位置から下降する間もパレットの固定状態を維持し、上記コンベアベースが下降位置に到着した際に、パレットの移動が可能となるよう当該パレットとの係合を解除するよう構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、上記コンベアベースは、傾動軸を介して昇降ベース上に連結され、該昇降ベースと共に昇降可能に設けられており、該昇降ベースと上記コンベアベースとの間には、上記傾斜変更機構部を構成するアクチュエータが配設され、該アクチュエータを駆動することによって上記コンベアベースが上記傾動軸を中心に回動して傾斜状態が変化するよう構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項6において、上記昇降ベースは、フロア上に配設される架台部に対して昇降可能に配設されていると共に、該架台部に配設された滑車に掛け渡された連結線を介してウエイト部と連結されており、
該ウエイト部は、上記昇降ベースを含む昇降部位の全重量よりも重く、上記昇降部位の全重量に上記パレットの重量を加えた重量よりも軽い重量を有しており、
上記昇降ベースと上記架台部との間には、上記昇降ベースが上昇位置にある状態を維持するための上昇固定ストッパが設けられ、該上昇固定ストッパは、上記スライドコンベアが上記第2傾斜状態において上記供給位置から上記待機位置まで縮小して移動した後に上記昇降ベースの上昇位置固定状態を解除するよう構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項6又は7において、上記昇降ベースと上記架台部との間には、上記昇降ベースが下降位置にある状態を維持するための下降固定ストッパが設けられ、該下降固定ストッパは、上記スライドコンベアが上記第1傾斜状態から上記第2傾斜状態に変化する際に上記昇降ベースの下降位置固定状態を解除するよう構成されていることを特徴とする搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2008−239277(P2008−239277A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79761(P2007−79761)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】