説明

搬送装置

【課題】被搬送物を複数の搬送路に分岐又は複数の搬送路から合流させながら搬送する搬送装置であっても、迅速に被搬送物を搬送することができる搬送装置を提供すること。
【解決手段】旋回テーブル2を旋回動作及び昇降動作を同期して行うようにした上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22で構成し、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22が下降した第1旋回位置T1にあるときに、上段旋回テーブル21と第1の搬送路11、下段旋回テーブル22と第2の搬送路12がそれぞれ接続され、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22が上昇した第2旋回位置T2にあるときに、上段旋回テーブル21と第3の搬送路13、下段旋回テーブル22と第1の搬送路11がそれぞれ接続されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、特に、被搬送物の搬送方向を切り替える旋回テーブルを備えた搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物の搬送方向を切り替える旋回テーブルと、この旋回テーブルに接続される複数の搬送路とを備えた搬送装置として、図5に示すような搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0003】
ところで、この搬送装置80は、搬送路に被搬送物Wの搬送手段として、ベルトコンベアを備え、被搬送物Wを旋回テーブル81によって、その搬送方向を切り替えることができるように間歇的に被搬送物Wを搬送するようにしている。
また、旋回テーブル81にも搬送手段としてベルトコンベアを備え、搬送路と接続して送られてくる被搬送物Wを引き込むとともに、別の搬送路に送り出すようにしている。
【0004】
次に、この搬送装置80で、被搬送物Wを搬送する手順、例えば、搬送路を、第1、第2及び第3の搬送路11、12、13から構成し、旋回テーブル81によって交互に搬送方向を切り替え、第1の搬送路11から搬送される被搬送物Wを、第2及び第3の搬送路12、13に分岐しながら搬送する手順について説明する。
【0005】
まず、旋回テーブル81が第1の搬送路11と接続された状態で、第1の搬送路11から搬送される被搬送物Wを旋回テーブル81に引き込み(図5(a)参照)、旋回テーブルを旋回して第2の搬送路12と接続し(図5(b)参照)、旋回テーブル81にある被搬送物Wを第2の搬送路12に送り出し(図5(c)参照)、旋回テーブル81を第1の搬送路11と接続した状態に戻す(図5(d)参照)。
これによって、第1の搬送路11から搬送される被搬送物Wが、第2の搬送路12に搬送される。
次に、旋回テーブル81が第1の搬送路11と接続された状態で、第1の搬送路11から搬送される被搬送物Wを旋回テーブル81に引き込み(図5(e)参照)、旋回テーブルを旋回して第3の搬送路13と接続し(図5(f)参照)、旋回テーブル81にある被搬送物Wを第3の搬送路13に送り出し(図5(g)参照)、旋回テーブル81を第1の搬送路11と接続した状態に戻す(図5(h)参照)。
これによって、第1の搬送路11から搬送される被搬送物Wが、第3の搬送路13に搬送される。
そして、この後、図5(a)〜図5(h)までの動作が繰り返される。
なお、被搬送物Wを第2及び第3の搬送路12、13から第1の搬送路11に合流させて搬送するときは、上記手順を逆に行うこととなる。
【0006】
上記手順によって、被搬送物Wを搬送する搬送装置80では、被搬送物Wを分岐、合流させて搬送する際に、第1の搬送路11から搬送される2つの被搬送物Wを、第2及び第3の搬送路12、13に搬送させるために8ステップが必要となり、搬送時間を要するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−149428号公報
【特許文献2】特開平05−92813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の搬送装置の有する問題点に鑑み、被搬送物を複数の搬送路に分岐又は複数の搬送路から合流させながら搬送する搬送装置であっても、迅速に被搬送物を搬送することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の搬送装置は、被搬送物の搬送方向を切り替える旋回テーブルと、該旋回テーブルに接続される第1、第2及び第3の搬送路とを備えた搬送装置において、前記旋回テーブルを旋回動作及び昇降動作を同期して行うようにした上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルで構成し、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが下降した第1旋回位置にあるときに、上段旋回テーブルと第1の搬送路、下段旋回テーブルと第2の搬送路がそれぞれ接続され、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが上昇した第2旋回位置にあるときに、上段旋回テーブルと第3の搬送路、下段旋回テーブルと第1の搬送路がそれぞれ接続されるようにしたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、第1の搬送路を延長した直線に対して両側に第2及び第3の搬送路が等しい角度で旋回テーブルから放射状に延びるように設けられ、第1旋回位置と第2旋回位置のなす旋回角度が、第2及び第3の搬送路のなす角度の1/2に設定されてなることができる。
【0011】
また、旋回テーブル並びに第1、第2及び第3の搬送路が、被搬送物の搬送手段を備えることができる。
【0012】
また、旋回テーブルの軸を回転自在に支持して昇降させる昇降機構と、前記軸が挿通され、軸に突設したピンを案内するカム溝を形成した固定設置される円筒部材からなる旋回機構とを備えることができる。
【0013】
また、この場合において、前記カム溝の終端部の傾斜を中間部の傾斜に対して急傾斜とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の搬送装置によれば、旋回テーブルを旋回動作及び昇降動作を同期して行うようにした上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルで構成し、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが下降した第1旋回位置にあるときに、上段旋回テーブルと第1の搬送路、下段旋回テーブルと第2の搬送路がそれぞれ接続され、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが上昇した第2旋回位置にあるときに、上段旋回テーブルと第3の搬送路、下段旋回テーブルと第1の搬送路がそれぞれ接続されるようにしたから、被搬送物を複数の搬送路に分岐させながら搬送するときには、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが下降した第1旋回位置にあるときに、第1の搬送路から上段旋回テーブルへの被搬送物の引き込みと、下段旋回テーブルから第2の搬送路への被搬送物の送り出しを同時に行い、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが上昇した第2旋回位置にあるときに、第1の搬送路から下段旋回テーブルへの被搬送物の引き込みと、上段旋回テーブルから第3の搬送路への被搬送物の送り出しを同時に行うことができるとともに、合流させながら搬送するときは引き込みと送り出しを逆に行うことによって、迅速に被搬送物を搬送することができる。
【0015】
また、第1の搬送路を延長した直線に対して両側に第2及び第3の搬送路が等しい角度で旋回テーブルから放射状に延びるように設けられ、第1旋回位置と第2旋回位置のなす旋回角度が、第2及び第3の搬送路のなす角度の1/2に設定することにより、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが下降した第1旋回位置及び上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが上昇した第2旋回位置において、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルと搬送路とが旋回角度の微調整をすることなく、同じ旋回角度で往復させることによって、確実に旋回テーブルと搬送路とが接続される。
【0016】
また、旋回テーブル並びに第1、第2及び第3の搬送路が、被搬送物の搬送手段を備えることにより、被搬送物を、駆動機構を有する台車に載置したり、搬送路を傾斜させたりすることなく確実に搬送することができる。
【0017】
また、旋回テーブルの軸を回転自在に支持して昇降させる昇降機構と、前記軸が挿通され、軸に突設したピンを案内するカム溝を形成した固定設置される円筒部材からなる旋回機構とを備えることにより、旋回テーブルを旋回させるためのロータリアクチュエータ等の機器を配設することなく、昇降機構による上下運動を、ピンとカム溝とによって旋回運動に変換し、旋回テーブルを旋回させることができる。
【0018】
また、前記カム溝の終端部の傾斜を中間部の傾斜に対して急傾斜とことにより、旋回テーブルが旋回を始める際と、旋回が停止する間際の旋回スピードを緩やかにすることができ、被搬送物が、旋回テーブルから落下したり搬送手段から脱落したりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の搬送装置の第1実施例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】同搬送装置を示し、(a)〜(e)は第1の搬送路から搬送される被搬送物を、第2及び第3の搬送路に分岐しながら搬送する手順について説明する平面図である。
【図3】搬送路の別の例を示し、(a)は第2及び第3の搬送路のなす角度が180°を超える場合、(b)は第4の搬送路がある場合を示す平面図である。
【図4】本発明の搬送装置の第2実施例の旋回機構と昇降機構を示し、(a)は下降した第1旋回位置、(b)は上昇した第2旋回位置に旋回テーブルが位置した状態を示す。
【図5】従来の搬送装置を示し、(a)〜(h)は第1の搬送路から搬送される被搬送物を、第2及び第3の搬送路に分岐しながら搬送する手順について説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の搬送装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜図3に、本発明の搬送装置の第1実施例を示す。
この搬送装置1は、被搬送物Wの搬送方向を切り替える旋回テーブル2と、旋回テーブル2に接続される第1、第2及び第3の搬送路11、12、13(以下、総称するときは、搬送路10という。)とを備え、旋回テーブル2を旋回動作及び昇降動作を同期して行うようにした上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22で構成し、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22が下降した第1旋回位置T1にあるときに、上段旋回テーブル21と第1の搬送路11、下段旋回テーブル22と第2の搬送路12がそれぞれ接続され、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22が上昇した第2旋回位置T2にあるときに、上段旋回テーブル21と第3の搬送路13、下段旋回テーブル22と第1の搬送路11がそれぞれ接続されるようにしている。
【0022】
上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22並びに搬送路10には、被搬送物Wを搬送するための搬送手段5が備えられている。
上段旋回テーブル21と下段旋回テーブル22とに備えられている搬送手段5は、特に限定されるものではないが、本実施例においては、ベルトコンベア21A、22Aからなり、ベルトコンベア21A、22Aを延長した直線がなす角度αは、旋回テーブル2の旋回角度(第1旋回位置T1と第2旋回位置T2とがなす角度α)と等しくなるように構成されている。
そして、上段旋回テーブル21と下段旋回テーブル22とは連結フレーム23によって連結され、旋回機構3によって同時に旋回され、旋回テーブル2の第1旋回位置T1と第2旋回位置T2との水平面における旋回位置が決定される。
旋回機構3は、特に限定されるものではないが、本実施例においては、ロータリアクチュエータを使用するようにしている。
また、旋回テーブル2は、昇降機構4によって昇降され、下降した第1旋回位置T1と上昇した第2旋回位置T2との垂直面における高さ位置が決定される。
昇降機構4も、特に限定されるものではないが、本実施例においては。エアシリンダを使用するようにしている。
【0023】
搬送路10に備えられている搬送手段5も、特に限定されるものではないが、本実施例においては、旋回テーブル2と同様に、ベルトコンベア11A、12A、13Aを使用し、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22のベルトコンベア21A、22Aとの間で被搬送物Wの受け渡しを行うようにしている。
搬送手段5は、ベルトコンベアやロータリコンベアを用いるほかに、被搬送物Wを載置して移動する駆動台車とレールとから構成することもでき、また、搬送路10を搬送方向に向かって傾斜させ、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22にのみ搬送手段5として、ベルトコンベアやロータリコンベアを用いることによって、駆動機構をもたない台車を使用することもできる。
【0024】
次に、第1、第2及び第3の搬送路11、12、13と上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22との位置関係を、図1に基づいて説明する。
【0025】
まず、第1、第2及び第3の搬送路11、12、13と上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22との水平面における旋回位置の関係(平面視したときの位置関係)を説明する。
図1(a)に示すように、第1の搬送路11を延長した直線Lに対して両側に第2及び第3の搬送路12、13が等しい角度αで旋回テーブル2から放射状に延びるように設けられ、第1旋回位置T1と第2旋回位置T2のなす角度αが、第2及び第3の搬送路12、13のなす角度βの1/2に設定することにより、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22からなる旋回テーブル2が下降した第1旋回位置T1及び上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22からなる旋回テーブル2が上昇した第2旋回位置T2において、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22と各搬送路10とが旋回角度を微調整することなく同一直線上に旋回するように構成されており、第1旋回位置T1では、上段旋回テーブル21と第1の搬送路11、下段旋回テーブル22と第2の搬送路12が、第2旋回位置T2にあるときに、上段旋回テーブル21と第3の搬送路13、下段旋回テーブル22と第1の搬送路11が同一直線上に位置するように旋回される。
【0026】
次に、第1、第2及び第3の搬送路11、12、13と上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22との垂直面における高さ方向の位置関係(側面視したときの位置関係)は、図1(b)に示すように、旋回テーブル2の上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22の被搬送物Wの搬送面を距離Htだけ離して構成し、この距離Htと、旋回テーブルの昇降距離とが等しくなるようにする。これにより、下降位置での上段旋回テーブル21の搬送面と、上昇位置での下段旋回テーブル22の被搬送面とが同一高さとなる。
そして、各搬送路10の搬送面は、第1の搬送路11の搬送面F1を基準に、第2及び第3の搬送路12、13の搬送面F2、F3を、それぞれ上下に同じ距離だけ離間した位置となるように搬送路10を配設するとともに、その距離と上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22の搬送面の距離Htとが等しい距離となるようしている。
具体的には、図1(b)に示すように、第1の搬送路11の搬送面F1から第2の搬送路12の搬送面F2までの距離をHa、第1の搬送路11の搬送面F1から第3の搬送路13の搬送面F3までの距離をHbとしたとき、Ha=Hb=Htとなるように各搬送路10の高さ及び上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22の被搬送物Wの搬送面の距離を設定し、下降位置では、上段旋回テーブル21の搬送面と第1の搬送路11の搬送面F1及び下段旋回テーブル22の搬送面と第2の搬送路12の搬送面F2が、上昇位置では、上段旋回テーブル21の搬送面と第3の搬送路13の搬送面F3及び下段旋回テーブル22の搬送面と第1の搬送路11の搬送面F1が同一の高さとなるように昇降機構4によって旋回テーブル2は昇降される。
【0027】
以上の位置関係で、第1の搬送路11から搬送される被搬送物Wを、第2及び第3の搬送路12、13に搬送する手順を、図2に基づいて説明する。
[ステップ1]
旋回テーブル2は、上段旋回テーブル21が第1の搬送路11と接続されるとともに、下段旋回テーブル22が第3の搬送路13と接続される第1旋回位置T1に位置し、第1の搬送路11から搬送される被搬送物Wが、上段旋回テーブル21に引き込まれる。
[ステップ2]
旋回テーブル2は、旋回機構3及び昇降機構4によって旋回動作及び上昇動作が行われ、上段旋回テーブル21が第2の搬送路12と接続されるとともに、下段旋回テーブル22が第1の搬送路11と接続される第2旋回位置T2に位置する。
[ステップ3]
旋回テーブル2を第2旋回位置T2に位置させた状態で、上段旋回テーブル21にある被搬送物Wを第2の搬送路12に送り出し、第1の搬送路11から搬送される被搬送物Wは、下段旋回テーブル22に引き込まれる(送り出しと引き込みを同時に行う。)。
[ステップ4]
旋回テーブル2は、旋回機構3及び昇降機構4によって旋回動作及び下降動作が行われ、上段旋回テーブル21が第1の搬送路11と接続されるとともに、下段旋回テーブル22が第3の搬送路13と接続される第1旋回位置T1に位置する。
[ステップ5]
旋回テーブル2を第1旋回位置T1に位置させた状態で、第1の搬送路11から搬送される被搬送物Wが、上段旋回テーブル21に引き込まれ、下段旋回テーブル22にある被搬送物Wを第3の搬送路13に送り出される(送り出しと引き込みを同時に行う。)。
ステップ1と5とは、下段旋回テーブル22の被搬送物Wの有無だけであり、2サイクル目からは、ステップ5の次はステップ2に以降する。
したがって、従来の搬送装置では、8ステップ必要であった分岐・合流搬送が、4ステップで搬送可能となり、被搬送物Wの搬送において、分岐・合流させながら迅速に搬送することができる。
【0028】
このように、この搬送装置1は、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22が下降した第1旋回位置T1にあるときに、第1の搬送路11から上段旋回テーブル21への被搬送物Wの引き込みと、下段旋回テーブル22から第2の搬送路12への被搬送物Wの送り出しを同時に行うことができるとともに、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22が上昇した第2旋回位置T2にあるときに、第1の搬送路11から下段旋回テーブル22への被搬送物Wの引き込みと、上段旋回テーブル21から第3の搬送路13への被搬送物Wの送り出しを同時に行うことができる。
なお、被搬送物Wを、第2及び第3の搬送路12、13から第1の搬送路11に合流させながら搬送するときには、引き込みと送り出しを逆に行うことによって、迅速に被搬送物Wを搬送することができる。
【0029】
第2及び第3の搬送路12、13のなす角度βは、図1(a)に示すように、180°未満の場合には、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22に配設するベルトコンベア21A、22Aによる被搬送物Wの搬送方向は、第1の搬送路11における被搬送物Wの搬送方向と同一方向とすることが好ましいが、図3(a)に示すように、第2及び第3の搬送路12、13のなす角度が180°を超える場合(第1の搬送路11と対向する側から見て)に、搬送方向を同一方向にしようとすると旋回テーブル2の旋回角度が90°を超えることとなるために、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22の旋回角度γを、(360°−β)/2とし、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22に配設するベルトコンベア21A、22Aによる被搬送物Wの搬送方向を、第1の搬送路11における被搬送物Wの搬送方向と逆方向となるように21A、22Aを駆動して、旋回テーブル2の旋回時間を短縮することが好ましい。
ただし、この場合でも、旋回テーブル2の旋回角度を90°以上(βの1/2の角度)とすることで、上段旋回テーブル21及び下段旋回テーブル22に配設するベルトコンベア21A、22Aによる被搬送物Wの搬送方向を第1の搬送路11における被搬送物Wの搬送方向と同一方向(被搬送物Wを引き込んだときの旋回テーブル2の搬送手段5の駆動方向と同一方向)とすることもできる。
【0030】
また、搬送路10を、第1、第2及び第3の搬送路11、12、13の3本の搬送路を用いた例で説明したが、例えば、図3(b)に示すように、第1の搬送路11を延長した直線L上に第4の搬送路14を配置して、第1の搬送路から搬送される被搬送物Wを第2、第3及び第4の搬送路12、13、14とに分岐するようにすることもできる。
この場合、第2及び第3の搬送路12、13の搬送先において、被搬送物Wの受け入れができない何らかの問題が発生した場合等に、第4の搬送路14を、例えば、被搬送物Wをストックするため搬送先に搬送するための緊急用の搬送路として利用することができる。
【実施例2】
【0031】
図4に、本発明の搬送装置の第2実施例に使用する旋回機構3及び昇降機構4の概略図を示す。
この搬送装置は、旋回テーブル2の軸24を回転自在に支持して昇降させる昇降機構4と、軸24が挿通され、軸24に突設したピン30を案内するカム溝32を形成した固定設置される円筒部材31からなる旋回機構3とを備えるようにしている。
特に、旋回テーブル2を旋回させるための旋回機構3として、ロータリアクチュエータ等の機器を用いることなく、昇降機構4による上下運動を、ピン30とカム溝32とによって旋回運動に変換し、旋回テーブル2を旋回させるようにしている。
【0032】
カム溝32は、昇降機構4による距離Htだけ軸24が昇降することによって、ピン30が、図4(b)に示すように、角度αだけ旋回移動する傾斜して固定設置される円筒部材31に形成されている。
【0033】
また、図4に示すように、カム溝32の終端部32A、32Aの傾斜を中間部32Bの傾斜に対して急傾斜とことができ、緩傾斜であるほど旋回スピードは速く、急傾斜であるほど旋回スピードは遅くなることから、カム溝32の終端部32A、32Aを急傾斜にすることによって、旋回テーブル2が旋回を始める際と、旋回が停止する間際の旋回スピードを緩やかにすることができ、被搬送物Wが、旋回テーブルから落下したり搬送手段から脱落したりすることを防止することができる。
【0034】
なお、本実施例の搬送装置のその他の構成及び作用は、上記第1実施例と同様である。
【0035】
以上、本発明の搬送装置について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
なお、本発明の搬送装置においては、旋回テーブルを、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルの2段で構成したが、3段以上で構成し、これに対応した複数の搬送路を備えるようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の搬送装置は、被搬送物を複数の搬送路に分岐又は複数の搬送路から合流させながら搬送する場合でも、迅速に被搬送物を搬送することができるという特性を有していることから、広く被搬送物複数の搬送路に分岐又は複数の搬送路から合流させながら搬送する搬送装置の用途に好適に用いることができるほか、旋回テーブルの旋回の起動時と停止時における旋回スピードを緩やかにすることができるから、例えば、インゴットから切断した半導体ウエハを搬送する搬送装置の用途にも好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 搬送装置
2 旋回テーブル
21 上段旋回テーブル
22 下段旋回テーブル
23 連結フレーム
24 軸
3 旋回機構
30 ピン
31 円筒部材
32 カム溝
32A 終端部
32B 中間部
4 昇降機構
5 搬送手段
10 搬送路
11 第1の搬送路
12 第2の搬送路
13 第3の搬送路
T1 第1旋回位置
T2 第2旋回位置
L 直線
α 角度
β 角度
W 被搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物の搬送方向を切り替える旋回テーブルと、該旋回テーブルに接続される第1、第2及び第3の搬送路とを備えた搬送装置において、前記旋回テーブルを旋回動作及び昇降動作を同期して行うようにした上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルで構成し、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが下降した第1旋回位置にあるときに、上段旋回テーブルと第1の搬送路、下段旋回テーブルと第2の搬送路がそれぞれ接続され、上段旋回テーブル及び下段旋回テーブルが上昇した第2旋回位置にあるときに、上段旋回テーブルと第3の搬送路、下段旋回テーブルと第1の搬送路がそれぞれ接続されるようにしたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
第1の搬送路を延長した直線に対して両側に第2及び第3の搬送路が等しい角度で旋回テーブルから放射状に延びるように設けられ、第1旋回位置と第2旋回位置のなす旋回角度が、第2及び第3の搬送路のなす角度の1/2に設定されてなることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
旋回テーブル並びに第1、第2及び第3の搬送路が、被搬送物の搬送手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
旋回テーブルの軸を回転自在に支持して昇降させる昇降機構と、前記軸が挿通され、軸に突設したピンを案内するカム溝を形成した固定設置される円筒部材からなる旋回機構とを備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の搬送装置。
【請求項5】
前記カム溝の終端部の傾斜を中間部の傾斜に対して急傾斜としたことを特徴とする請求項4記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224410(P2012−224410A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91002(P2011−91002)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】