説明

搬送装置

【課題】記録用紙の位置の検出精度を低下させることなくレバーを保護する。
【解決手段】ガイド部材100は、記録用紙及びメディアトレイが搬送される直線路の下面を区画している。ガイド部材100は、検出部のレバー83が下方から挿通されたスリット110を備えている。このスリット110には、前後方向8におけるスリット110の前端から後端へ向かって、第1幅部113、第2幅部115、第3幅部117が順に設けられている。第2幅部115は、第1幅部113より幅が狭く、第3幅部117より幅が広い。レバー83は、記録用紙により回動されたときは、第1幅部113に保護され、メディアトレイにより回動されたときは第2幅部115に保護され、ジャム処理時には、第3幅部117に保護される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送する被搬送媒体によりレバーを回動させ、このレバーの回動により被搬送媒体の位置を検出する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送する被搬送媒体によりレバーを回動させ、このレバーの回動により被搬送媒体の位置を検出する搬送装置が提供されている(特許文献1参照)。接触端(レバー)は、回動軸から突出されており、用紙搬送路を搬送される記録用紙(被搬送媒体)と接触可能に構成されている。接触端は、搬送される記録用紙との接触により、用紙搬送路の下流側へ回動される。接触端の回動は、検出部により検出される。回動された接触端は、コイルばねの付勢力により、元の姿勢に戻される。
【0003】
また、接触端は、紙ジャム処理等において、記録用紙が用紙搬送路の上流側へ引き抜かれたときに破損しないように、用紙搬送路の上流側へも回動可能に設けられている。上流側へ回動された接触端は、上述のコイルばねとは異なるコイルばねの付勢力により、元の姿勢に戻される。
【0004】
また、搬送装置には、異なる種類の被搬送媒体を同一の搬送路において搬送可能なものがある(特許文献2参照)。特許文献2に記載された画像記録装置では、記録用紙及びメディアトレイが搬送路において搬送される。メディアトレイは、搬送路において、記録用紙の搬送向きとは逆向きへ搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−273486号公報
【特許文献2】特開2011−73367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された双方向に回動可能なレバー(接触端)を利用して、搬送路を互いに反対向きへ搬送される被搬送媒体の位置を1つのレバーにより検出することが考えられる。また、回動軸の軸線方向におけるレバーの位置決め等のために、搬送路を区画するガイド部材にスリットを設け、このスリットから搬送路に突出するようにレバーを設けることが考えられる。このような搬送装置における問題について説明する。
【0007】
ジャム処理においてレバーが回動方向以外に移動されると、回動軸が変形したり外れたりするおそれがある。また、ジャム処理において、ユーザの手などがレバーに誤って当たり、レバーが破損するおそれもある。これらを防止するため、スリットの幅を狭くし、回動軸の回動方向以外の移動を抑制することが考えられる。また、スリットの幅を狭くすると、ユーザがレバーに加えた負荷をスリットの壁面で受けることができ、レバーが根本から折れることを防止できる。しかしながら、スリットの幅を狭くすると、レバーは、被搬送媒体による回動の際にスリットの壁面に摺接してしまう。そうすると、バネなどの付勢部材の付勢力による回動において、レバーの回転速度が遅くなり、被搬送媒体の位置の検出精度が悪くなってしまう。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被搬送媒体の位置の検出精度を低下させることなく、レバーを保護できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、搬送路において、搬送方向の一方の向きである第1向きへ第1被搬送媒体を搬送し、他方の向きである第2向きへ第2被搬送媒体を搬送する搬送装置に関する。本発明の搬送装置は、上記搬送路を区画しており、上記搬送方向に沿って延びるスリットが設けられたガイド部材と、回動軸から上記スリットを通じて上記搬送路へ先端側が突出する第1姿勢から、当該先端側が上記第1向き及び上記第2向きへ回動可能なレバーと、上記レバーの回動を検出するセンサと、上記第1向きへ回動された上記レバーを上記第1姿勢側へ付勢する第1付勢部材と、上記第2向きへ回動された上記レバーを上記第1付勢部材よりも大きな付勢力により上記第1姿勢側へ付勢する第2付勢部材と、を備えている。上記スリットは、上記第1向き側へ回動された上記レバーと上記搬送方向に直交する幅方向において重なる位置に設けられた第1幅部と、上記第2向き側へ回動された上記レバーと上記幅方向において重なる位置に設けられた第2幅部と、を有している。上記第2幅部は、上記第1幅部よりも幅が狭いものである。
【0010】
第1被搬送媒体が搬送されると、第1姿勢にあるレバーは、第1被搬送媒体により第1向きへ押されて回動される。第1向き側へ回動されたレバーは、第1被搬送媒体がレバーから外れると、第1付勢部材の付勢力により回動され、第1姿勢に戻される。
【0011】
第2被搬送媒体が搬送され、または、搬送路に詰まった第1被搬送媒体が第2向き側へ引き抜かれると、レバーは、第1被搬送媒体または第2被搬送媒体により第2向き側へ回動される。回動されたレバーは、第2幅部に位置し、第2幅部により保護される。また、第2向き側へ回動されたレバーは、搬送される第2被搬送媒体や、搬送路から引き抜かれる第1被搬送媒体がレバーから外れると、第2付勢部材の付勢力により回動され、第1姿勢に戻される。レバーは、第2付勢部材の付勢力により回動される際にスリットの壁面から摩擦力を受けるが、第2付勢部材の付勢力は第1付勢部材よりも大きいので、第1姿勢に戻ることができる。
【0012】
(2) 本発明の搬送装置は、上記搬送路が内部に設けられた筐体を更に備えており、上記筐体は、上記第1姿勢の上記レバーよりも上記第2向き側において上記搬送路へアクセス可能な開口と、当該開口を開閉可能な蓋と、を有するものであってもよい。第1被搬送媒体や第2被搬送媒体が搬送路において詰まった場合、ユーザは、蓋を開け、詰まった第1被搬送媒体または第2被搬送媒体を、第2向きへ引き抜く。
【0013】
(3) 上記搬送路は、上記第1姿勢の上記レバーよりも上記第2向き側において、上記レバーの回動軸側へ湾曲する湾曲路を有するものであり、上記レバーは、上記第2向き側へ回動されて上記第2幅部に位置する状態において、その先端側が上記湾曲路へ突出するものであってもよい。レバーは、先端側が湾曲路へ突出しているときには、第2幅部に位置している。よって、湾曲路へ突出するレバーの先端にユーザが誤って触れるおそれがあるが、第2幅部によりレバーが保護されるので、レバーの破損のおそれを低減できる。
【0014】
(4) 上記レバーは、上記第1姿勢から上記第2向きへ、上記センサにより回動が検出される第2姿勢を越えて第3姿勢まで回動可能に設けられており、上記第2姿勢において、上記湾曲路へ突出し、上記第3姿勢において、上記湾曲路の湾曲内側を区画する内側ガイド面へ倒伏するものであり、上記第2幅部は、上記第2姿勢にある上記レバーの位置に設けられており、上記第3姿勢にある上記レバーの位置には、上記第2幅部よりも幅が狭い第3幅部が設けられたものであってもよい。
【0015】
レバーは、ジャム処理においてユーザが誤って触れた時や、詰まった第1被搬送媒体が引き抜かれたときなどに第2姿勢を越えて第3姿勢まで回動される。レバーが第2姿勢を越えて回動することにより、レバーに加えられる負荷が低減する。また、第3姿勢になったレバーは、第2幅部よりも幅の狭い第3幅部に位置し、第3幅部により保護される。よって、ジャム処理におけるレバーの破損のおそれを更に低減できる。
【0016】
(5) 上記スリットは、上記第2幅部から上記第1向きへ向かって、その幅が連続的に拡がるテーパ部を有するものであってもよい。これにより、レバーをスムースに回動させることができる。
【0017】
(6) 上記第2幅部は、上記ガイド部材において上記幅方向に対向する第1面及び第2面により形成されており、上記第1面又は上記第2面のいずれか一方には、他方へ向かって上記幅方向へ膨出されており、上記第1姿勢から上記第2向きへの回動において摺接する上記レバーを上記第2幅狭部へ案内する案内部が設けられたものであってもよい。レバーは、搬送路を搬送される第2被搬送媒体により第1姿勢から第2向きへ回動される際に案内部に摺接し、幅方向へ移動されながら第2幅部へ案内される。よって、第1被搬送媒体が搬送されるときのレバーの位置と、第2被搬送媒体が搬送されるときのレバーの位置とを、幅方向において相違させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1姿勢から第2向き側へ回動されたレバーの位置に第2幅部を設け、この第2幅部の幅を第1幅部の幅よりも狭くし、且つ第2付勢部材の付勢力を第1付勢部材の付勢力よりも大きくしたことにより、第1被搬送媒体の位置の検出精度を低下させることなく、レバーを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像記録装置10の外観を示す斜視図である。
【図2】画像記録装置10の背面側の斜視図であり、(A)は蓋21を閉じた状態であり、(B)は蓋21を開いた状態である。
【図3】プリンタ部11の内部の模式的な断面図である。
【図4】メディアトレイ17及び記録メディア16の斜視図である。
【図5】プリンタ部11の一部の斜視図である。
【図6】ガイド部材100及び検知部80の後面側の斜視図である。
【図7】ガイド部材100及び検知部80の前面側の斜視図である。
【図8】検知部80及び保持機構90の斜視図である。
【図9】(A)はガイド部材100の模式的な平面図であり、(B)は変形例1のガイド部材100の模式的な平面図である。
【図10】変形例1のガイド部材100の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照して本発明の一実施形態に係る画像記録装置10について説明がされる。なお、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、画像記録装置10が使用可能に設置された図1の状態を基準として画像記録装置10の上下方向7が定義されている。また、操作部13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義されている。また、画像記録装置10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義されている。
【0021】
[画像記録装置10の概要]
図1に示されるように、画像記録装置10は、記録用紙15(図3)に画像を記録するプリンタ部11と、原稿の画像を取り込むスキャナ部12とを備えており、プリント、スキャン、コピー等を実行可能である。スキャナ部12は任意の構成であり、以下では、スキャナ部12についての説明が省略されている。
【0022】
プリンタ部11は、筐体14(筐体に相当する)内に不図示の制御基板を有している。この制御基板にはマイクロコンピュータが実装されている。このマイクロコンピュータには、パーソナルコンピュータ等の外部機器及び操作部13から信号が入力される。マイクロコンピュータは、入力された信号により、プリンタ部11を動作させる。以下、プリンタ部11の具体的な構成が説明される。
【0023】
[プリンタ部11]
図1,3に示されるように、プリンタ部11は、筐体14と、筐体14に収容される給紙カセット24と、給紙カセット24から記録用紙15を給送する給送部50と、記録用紙15を搬送する搬送装置40と、搬送される記録用紙15に画像を記録する記録部30とを備えている。記録用紙15(第1被搬送媒体に相当する)は、普通紙や葉書や光沢紙などである。また、プリンタ部11は、図4に示されるメディアトレイ17(第2被搬送媒体に相当する)を搬送装置40により搬送可能である。メディアトレイ17には、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア16が載置される。記録メディア16は、メディアトレイ17と共に搬送され、記録部30により画像が記録される。
【0024】
[筐体14]
図1に示されるように、筐体14は、給紙カセット24を収容する収容空間22を下部に有している。収容空間22は、筐体14の前面の下部に設けられた挿入口23により外部と通じている。ユーザは、挿入口23を介して、収容空間22から給紙カセット24を抜き出し、または収容空間22へ給紙カセット24を挿入する。
【0025】
また、図2(A)、(B)に示されるように、筐体14は、ジャム処理用の開口20(開口に相当する)を前後方向8における後壁に有している。開口20は、後述される蓋21(蓋に相当する)により開閉される。なお、図2(B)において、筐体14内に設けられた種々の部材の図示が省略されている。
【0026】
[給紙カセット24]
図3に示されるように、給紙カセット24は、給送される記録用紙15を保持する給紙トレイ26と、画像が記録された記録用紙15を受ける排紙トレイ25とを備えている。給紙トレイ26は、記録用紙15が載置される底板27と、給送される記録用紙15を後方斜め上へ案内する傾斜板28と、排紙トレイ25を支持する側板29とを備えている。
【0027】
[給送部50]
図3に示されるように、給送部50は、支軸51と、支軸51に回動可能に支持されたアーム52と、アーム52の回動先端部に回転可能に設けられた給送ローラ53と、アーム52に設けられた複数個のギア54とを備えている。支軸51は、後述の第1フレーム32(図5)に回転可能に支持されており、駆動モータにより回転される。支軸51の回転は、複数個のギア54により給送ローラ53へ伝達される。
【0028】
アーム52が支軸51の中心軸線周りに回動されることにより、給送ローラ53は、給紙トレイ26に載置された記録用紙15に当接される。ギア54を介して支軸51により回転された給送ローラ53は、当接する記録用紙15を後向き49へ送り出す。送り出された記録用紙15は、給紙カセット24の傾斜板28により、搬送装置40の搬送路41へ案内される。
【0029】
[搬送装置40]
図3に示されるように、搬送装置40は、記録用紙15が通過する空間である搬送路41と、搬送路41において記録用紙15を挟んで搬送するローラ対56,60,64と、不図示の駆動部と、検出機構68(図8)とを備えている。駆動部は、マイクロコンピュータにより回転が制御された複数個の駆動モータを有している。検出機構68については後で詳細な説明がされる。
【0030】
搬送装置40の構成部材は、筐体14や、図5に示される第1フレーム32に支持されている。第1フレーム32は、前後方向8における給紙カセット24の後部の上側に配置されている。前後方向8における第1フレーム32の前側には、後述のトレイガイド77を移動可能に支持する第2フレーム70が設けられている。図3では、第1フレーム32及び第2フレーム70の図示が省略されている。
【0031】
図5に示されるように、第1フレーム32は、底板34と、左右方向9において対向する左側板35及び右側板36と、天板37とを備えており、枠状の外形を呈している。底板34と左側板35と右側板36とは、鋼板を折り曲げることにより形成されている。天板37は、左側板35の上端と右側板36の上端との間に架設されている。
【0032】
第2フレーム70は、天板71と、左右方向9において対向する左側板72及び右側板73と、を備えている。左側板72及び右側板73には挿入孔74がそれぞれ設けられている。挿入孔74には、後述のトレイガイド77の挿入突部79が挿入されている。第2フレーム70は、挿入孔74により、トレイガイド77を移動可能に保持している。
【0033】
[搬送路41]
図3に示されるように、搬送路41は、第1搬送路42と、記録用紙15の両面に画像を記録するための第2搬送路43とを備えている。記録用紙15の両面に画像を記録する両面印刷機能は任意の機能であり、以下では、第2搬送路43や両面印刷についての説明は省略されている。
【0034】
第1搬送路42は、給紙カセット24の傾斜板28の上端を基端として湾曲しながら給紙カセット24の上方へ向かう湾曲路44(湾曲路に相当する)と、湾曲路44の終端から前向き48へ直線状に延びる直線路45(搬送路に相当する)とを備えている。給送部50により送り出された記録用紙15は、湾曲路44を搬送向き46へ搬送され、直線路45を前向き48(第1向きに相当する)へ搬送される。
【0035】
湾曲路44は、蓋21と、ガイド部材100(ガイド部材に相当する)とにより区画された空間である。直線路45は、プラテン75や、上側ガイド部材76等により区画された空間である。なお、図3では、搬送路41を区画する部材のうち、いくつかの部材の図示が省略されている。
【0036】
[蓋21]
図3の実線に示されるように、蓋21は、開口20(図2(A))を閉塞する姿勢において湾曲路44の湾曲外側を区画する外側ガイド面21Aを備えている。よって、図2(B),図3の破線に示されるように、蓋21が開かれると、湾曲路44が外部に露出される。ユーザは、蓋21を開いて湾曲路44を露出させ、ジャム処理を行う。
【0037】
[ガイド部材100]
図3に示されるように、ガイド部材100は、前後方向8における蓋21の前側に配置されており、プラテン75に支持されている。ガイド部材100は、湾曲路44の湾曲内側を区画する内側ガイド面101(内側ガイド面に相当する)を備えている。
【0038】
図7に示されるように、ガイド部材100は、スリット110(スリットに相当する)を有している。スリット110は、検出機構68のレバー83を保護するものである。スリット110については、後で詳細な説明がされる。
【0039】
[プラテン75]
図3に示されるように、プラテン75は、前後方向8におけるガイド部材100の前側に配置されており、直線路45の下面の一部を区画している。
【0040】
[第1のローラ対56]
図3に示されるように、第1のローラ対56は、前後方向8におけるプラテン75の後端部側に配置されている。第1のローラ対56は、第1フレーム32(図5)に回転可能に支持された第1回転軸58と、第1回転軸58に設けられた搬送ローラ57と、プラテン75に回転可能に支持された複数個の第1従動ローラ59とを備えている。第1従動ローラ59は、搬送ローラ57の下側に配置されている。第1回転軸58が駆動モータにより回転されると、第1のローラ対56は、記録用紙15を挟んで搬送する。
【0041】
[第2のローラ対60]
図3に示されるように、第2のローラ対60は、前後方向8におけるプラテン75の前端部側に配置されている。第2のローラ対60は、プラテン75に回転可能に支持された第2回転軸62と、第2回転軸62に設けられた複数個の排紙ローラ61と、第1フレーム32(図5)に回転可能に支持された複数個の第2従動ローラ63とを備えている。一の第2従動ローラ63は、一の排紙ローラ61と上下方向7において対向している。駆動モータにより第2回転軸62が回転されると、第2のローラ対60は、記録用紙15を挟んで搬送する。
【0042】
[第3のローラ対64]
図3に示される第3のローラ対64は、前後方向8における第2のローラ対60の前側に配置されている。第3のローラ対64は、後述のリンクプレート47に回転可能に支持された第3回転軸66と、第3回転軸66に設けられた複数個のスイッチバックローラ65と、第1フレーム32(図5)に回転可能に支持された複数個の第3従動ローラ67とを備えている。一の第3従動ローラ67は、一のスイッチバックローラ65と上下方向7において対向している。駆動モータにより第3回転軸66が回転されると、第3のローラ対64は、記録用紙15を挟んで搬送する。
【0043】
[記録部30]
図3に示されるように、記録部30は、プラテン75の上側に配置されたキャリッジ31に搭載されている。キャリッジ31は、不図示のガイドレールにより、左右方向9(図3における紙面に垂直な方向)に沿って往復動が可能なように支持されている。記録部30は、左右方向9に沿って往復動されながら、プラテン75上を間欠搬送される記録用紙15へインク滴を吐出し、画像記録を行う。
【0044】
プリンタ部11は、記録メディア16(図4)に画像を記録する機能を有している。以下、当該機能を実現する構成について説明される。
【0045】
プリンタ部11は、記録メディア16が載置されるメディアトレイ17と、メディアトレイ17を第2のローラ対60のニップ位置へ案内するトレイガイド77と、トレイガイド77と連結されたリンクプレート47とを備えている。
【0046】
[メディアトレイ17]
図4に示されるメディアトレイ17は、厚みが3mm程度の矩形板状の外形を呈する。図4における上下方向7、前後方向8及び左右方向9は、メディアトレイ17が搬送装置40(図3)により搬送される姿勢(図3)における方向を示している。メディアトレイ17は、上面側に設けられた位置決め機構18を有している。位置決め機構18は、記録メディア16の中心部に設けられた孔16Aに嵌り、メディアトレイ17に載置された記録メディア16を位置決めする。
【0047】
[トレイガイド77]
図3に示されるように、トレイガイド77は、前後方向8における第3のローラ対64の前側に配置されている。図5に示されるように、トレイガイド77は、板状の基部78と、左右方向9における基部78の左右両側面からそれぞれ突出された挿入突部79とを備えている。挿入突部79は、第2フレーム70に設けられた挿入孔74に挿入されており、挿入孔74内を移動可能である。挿入突部79及び挿入孔74により、トレイガイド77は、第2フレーム70に移動可能に支持されている。トレイガイド77は、ユーザにより、図3の実線に示される位置と、破線に示される位置とに移動される。破線に示される位置にあるトレイガイド77は、第2のローラ対60のニップ位置へメディアトレイ17を案内する。
【0048】
[リンクプレート47]
図5に示されるリンクプレート47は、トレイガイド77の移動に連動して、プラテン75と、第3回転軸66及びスイッチバックローラ65とを上下方向7へ移動させるものである。リンクプレート47は、前後方向8へ移動可能に第1フレーム32(図5)に支持されている。リンクプレート47は、トレイガイド77の挿入突部79と連結されており、トレイガイド77がユーザにより移動されると、前後方向8へ移動される。リンクプレート47は、トレイガイド77により前方へ移動されると、プラテン75及びスイッチバックローラ65を下げる。リンクプレート47は、トレイガイド77により後方へ移動されると、プラテン75及びスイッチバックローラ65を持ち上げる。プラテン75が下げられると、プラテン75と共に、ガイド部材100、第1従動ローラ59、第2回転軸62に設けられた排紙ローラ61も下げられる。プラテン75、ガイド部材100、第1従動ローラ59、排紙ローラ61、及びスイッチバックローラ65が下げられることにより、直線路45が上下方向7において拡張される。図3において、下げられる前のプラテン75、ガイド部材100、第1従動ローラ59、排紙ローラ61、及びスイッチバックローラ65が実線により示されている。下げられた後のプラテン75、ガイド部材100、第1従動ローラ59、排紙ローラ61、及びスイッチバックローラ65が破線により示されている。
【0049】
メディアトレイ17は、ユーザにより、前後方向8における直線路45の前側から直線路45へ挿入され、直線路45を前後方向8における後向き49(第2向きに相当する)へ搬送された後、前向き48へ搬送される。記録メディア16は、前向き48へ搬送される際に、プラテン75上において、記録部30により画像が記録される。
【0050】
[検知機構68]
図8に示される検出機構68は、搬送される記録用紙15及びメディアトレイ17の位置を検出するものである。検出機構68は、検知部80と、不図示のロータリエンコーダとを備えている。検知部80は、直線路45(図3)上の所定位置における記録用紙15及びメディアトレイ17の端の通過を検出する。ロータリエンコーダは、記録用紙15及びメディアトレイ17の移動量を検出する。マイクロコンピュータは、検知部80及びロータリエンコーダから入力される信号により、直線路45における記録用紙15及びメディアトレイ17の位置を算出する。
【0051】
[ロータリエンコーダ]
ロータリエンコーダ(不図示)は、搬送ローラ57の第1回転軸58(図3)に設けられたディスクと、フォトインタラプタとを備えている。ディスクには、ディスクの周方向に沿って、透光部と遮光部とが交互に設けられている。この透光部と遮光部とは、ディスクの回転により、フォトインタラプタの光路を交互に横切る。よって、ディスクの回転に合わせてフォトインタラプタの出力が変化する。マイクロコンピュータは、フォトインタラプタの出力変化の回数により、記録用紙15やメディアトレイ17の移動量を算出する。
【0052】
[検知部80]
検知部80は、回動体81と、回動体81の回動を検出するセンサ87(センサに相当する)と、回動体81を保持する保持機構90とを備えている。
【0053】
[回動体81]
回動体81は、回動軸82(回動軸に相当する)と、回動軸82の周面から径方向へ突出されたレバー83(レバーに相当する)及び突出片84とを備えている。レバー83は、直線路45を搬送される記録用紙15及びメディアトレイ17により押されて回動されるものである。突出片84は、回動体81の回動をセンサ87に検出させるものである。
【0054】
[回動軸82]
直線路45を前後方向8に沿って搬送される記録用紙15及びメディアトレイ17によりレバー83が回動できるように、回動軸82は、中心軸線が左右方向9に一致するように配置されている。また、第1のローラ対56において記録用紙15のレジスト補正を行えるように、回動軸82は、前後方向8における第1のローラ対56の後側に配置されている。なお、レジスト補正についての説明は省略される。
【0055】
また、回動軸82は、左右方向9における右端部が左右方向9における第1搬送路42の中央部に位置するように配置されている。この右端部に、後述のレバー83が設けられている。つまり、レバー83は、左右方向9における第1搬送路42の中央部に位置している。これは、記録用紙15が、センタ合わせで給紙カセット24(図3)に載置されるためである。センタ合わせとは、左右方向9における記録用紙15の中央部を左右方向9における給紙カセット24の中央部に一致させることである。よって、いずれのサイズの記録用紙15も、レバー83を回動させることができる。
【0056】
[レバー83]
図3に示されたレバー83は、回動軸82の軸線周りに回動されることにより、太線に示される第1姿勢、細線に示される第2姿勢、点線に示される第3姿勢、及び破線に示される第4姿勢に姿勢変化される。第1姿勢(第1姿勢に相当する)は、レバー83が記録用紙15やメディアトレイ17から負荷を受けていないときの姿勢である。第1姿勢にあるレバー83は、下方から直線路45へ突出している。第2姿勢(第2姿勢に相当する)は、レバー83がメディアトレイ17により後向き49へ押し倒されたときの姿勢である。第2姿勢にあるレバー83は、湾曲路44へ突出している。第3姿勢(第3姿勢に相当する)は、ジャム処理において、レバー83が第2姿勢を越えて回動されたときの姿勢である。第3姿勢にあるレバー83は、湾曲路44の内側ガイド面101へ倒伏している。第3姿勢は、ジャム処理においてレバー83に加わる負荷を低減するために設けられている。詳しくは後述される。第4姿勢は、レバー83が記録用紙15により前向き48へ押し倒されたときの姿勢である。第2姿勢及び第3姿勢にあるレバー83は、後述の保持機構90の第2付勢部材99の付勢力により、第1姿勢に戻される。第4姿勢にあるレバー83は、保持機構90の第1付勢部材98の付勢力により、第1姿勢に戻される。
【0057】
[突出片84]
図7に示されるように、突出片84は、左右方向9における回動軸82の左端部に設けられており、第1搬送路42から外れている。つまり、突出片84は、記録用紙15やメディアトレイ17の搬送を阻害しない。突出片84は、レバー83と共に回動される。突出片84の回動は、センサ87により検出される。
【0058】
[センサ87]
センサ87には、発光ダイオードを有する発光部88と、フォトダイオードを有する受光部89とを備えたフォトインタラプタが用いられている。レバー83が第1姿勢にあるとき、発光部88と受光部89との間には、突出片84が位置している。レバー83が第2姿勢〜第4姿勢にあるとき、突出片84は、発光部88と受光部89との間から外れた位置にある。よって、センサ87の出力は、レバー83が第1姿勢にあるときと、レバー83が第2姿勢〜第4姿勢にあるときときとで相違する。マイクロコンピュータは、センサ87の出力変化により、記録用紙15またはメディアトレイ17がレバー83に到達したか否かを判断する、また、マイクロコンピュータは、センサ87の出力変化により、記録用紙15がレバー83から外れたか否かを判断する。
【0059】
[保持機構90]
図7,8に示される保持機構90は、回動軸82を回動可能に支持する第1保持部材(不図示)及び第2保持部材92と、回動体81を付勢する第1付勢部材98及び第2付勢部材99とを備えている。第1保持部材は、左右方向9における回動軸82の左端部を回動可能に支持するものである。第2保持部材92は、左右方向9における回動軸82の右端部を回動可能に支持するものである。また、第2保持部材92は、第1付勢部材98の付勢力と第2付勢部材99の付勢力とによる回動体81のチャタリングを防止するものである。以下詳しく説明がされる。
【0060】
第2保持部材92は、ガイド部材100に設けられた左右一対の支持リブ104(図7)に回動可能に支持されている。左右方向9における第2保持部材92の左端部には、軸受孔94(図8)が設けられている。軸受孔94に、回動軸82の右端部が挿入されている。
【0061】
図8に示されるように、第2保持部材92は、受部95を有している。受部95は、回動軸82の周面から突出された当接片85を受けるためのものである。受部95は、レバー83が第1姿勢にあるときに、当接片85の第2回動向き39側にあり、当接片85と当接している。よって、レバー83がメディアトレイ17(図4)に押されて第2回動向き39へ回動されると、第2保持部材92は、回動軸82と一体で回動される。このとき、第2保持部材92は、後述の第2付勢部材99(第2付勢部材に相当する)を弾性変形させる。前向き48(図3)へ搬送されたメディアトレイ17がレバー83から外れると、第2保持部材92は、第2付勢部材99の弾性力(付勢力)により、第1回動向き38(図3)へ回動される。第1回動向き38へ回動された第2保持部材92の受部95は、回動軸82の当接片85を押し、回動軸82を第1回動向き38へ回動させる。つまり、第2保持部材92と回動軸82とは一体で第1回動向き38へ回動される。第1回動向き38へ回動された第2保持部材92は、図8に示されるストッパ93により回動が制止される。ストッパ93は、第2保持部材92の周面から突出されており、所定の回動位置において、ガイド部材100に設けられたストッパ受け103(図7)に当接する。所定の回動位置は、第2保持部材92と共に第1回動向き38へ回動されたレバー83が第1姿勢となる位置である。
【0062】
第2保持部材92は、図8に示されるストッパ93により、ストッパ93がストッパ受け103(図7)に当接した回動位置を越えて第1回動向き38へ回動することはできない。しかしながら、回動軸82は、第1回動向き38へ更に回動することができる。第1姿勢にあるレバー83が記録用紙15に押されて第1回動向き38へ回動されると、回動軸82は、第1回動向き38へ回動される。ここに、回動軸82は、後述の第1付勢部材98(第1付勢部材に相当する)により第2回動向き39側へ付勢されている。第1回動向き38へ回動された回動軸82は、第1付勢部材98を弾性変形させる。搬送向き46(図3)における記録用紙15(図3)の上流端がレバー83を通過すると、回動軸82は、第1付勢部材98の弾性力(付勢力)により、第2回動向き39へ回動される。第2回動向き39へ回動された回動軸82の当接片85は、レバー83が第1姿勢となったときに、第2保持部材92の受部95に当接する。当接片85が受部95に当接することにより、回動軸82の回動が制止される。このようにして、回動体81のチャタリングが防止されている。
【0063】
[第1付勢部材98]
図7,8に示されるように、第1付勢部材98には、ねじりコイルバネが用いられている。第1付勢部材98には、回動軸82が挿通されている。第1付勢部材98の一端98Aはガイド部材100に当接されている(図7)。第1付勢部材98の他端98Bはレバー83に引っ掛けられている(図8)。従って、第1付勢部材98は、第1回動向き38へ回動されたレバー83により弾性変形される。弾性変形された第1付勢部材98は、レバー83を第2回動向き39(図3)へ付勢する。第1付勢部材98がレバー83を付勢する付勢力(弾性力)は、搬送される記録用紙15によりレバー83が回動できるような弱い力に設定されている。具体的には、バネ定数の小さなねじりコイルバネが第1付勢部材98に用いられている。
【0064】
[第2付勢部材99]
第2付勢部材99には、ねじりコイルバネが用いられている。第2付勢部材99には、第2保持部材92が挿通されている。第2付勢部材99の一端99Aはガイド部材100に当接している(図7)。第2付勢部材99の他端99Bは、第2保持部材92に設けられた引掛片96に引っ掛けられている。従って、第2付勢部材99は、第1姿勢にあるレバー83が第2回動向き39へ回動されると弾性変形される。弾性変形された第2付勢部材99は、第2保持部材92を第1回動向き38へ付勢する。第2付勢部材99が第2保持部材92を付勢する付勢力(弾性力)は、第2姿勢または第3姿勢にあるレバー83を第1姿勢に確実に戻せるように、強い力に設定される。具体的には、第1付勢部材98よりもバネ定数の大きなねじりコイルバネが第2付勢部材99に用いられている。
【0065】
[スリット110]
図6に示されるように、スリット110は、ガイド部材100に設けられた左側壁111及び右側壁112により区画されている。左側壁111と右側壁112とは、左右方向9(幅方向に相当する)において対向している。左側壁111及び右側壁112は、前後方向8におけるガイド部材100の中央部から後端にかけて設けられている。また、左側壁111及び右側壁112は、左右方向9におけるガイド部材100の中央部に設けられている。
【0066】
図6及び図9(A)に示されるように、左側壁111及び右側壁112は、前後方向8における前端から後端へ向かって順に、第1幅部113、第1テーパ部114、第2幅部115、第2テーパ部116、第3幅部117を有している。第1幅部113(第1幅部に相当する)は、第1姿勢及び第4姿勢にあるレバー83の左右方向9における両側に位置する部位である。第2幅部115(第2幅部に相当する)は、第2姿勢にあるレバー83の左右方向9における両側に位置する部位である。第3幅部117(第3幅部に相当する)は、第3姿勢にあるレバー83の左右方向9における両側に位置する部位である。
【0067】
図9(A)に示されるように、第1幅部113及び第2幅部115において、左側壁111の壁面と右側壁の壁面112とはほぼ平行である。左右方向9における第1幅部113の幅は、第1姿勢と第4姿勢との間で回動されるレバー83が左側壁111及び右側壁112から十分に離間される幅にされている。よって、第1姿勢と第4姿勢との間で回動されるレバー83は、左側壁111及び右側壁112に、ほぼ摺接しない。
【0068】
左右方向9における第2幅部115の幅は、第2姿勢にあるレバー83を保護できるように、第1幅部113の幅より狭くされている。具体的には、左右方向9における第2幅部115の幅は、第1姿勢と第2姿勢との間で回動されるレバー83が左側壁111及び右側壁112に摺接するような狭い幅にされている。
【0069】
第3幅117は、第2テーパ部116の前後方向8における後端により構成されている。左右方向9における第3幅部117の幅は、第3姿勢にあるレバー83を保護できるように、第2幅部115の幅より更に狭くされている。レバー83が第2姿勢を越えて回動できないと、直線路45に詰まった記録用紙15をユーザが引き抜くときや、ユーザの手などが当たったときなどにおいて、レバー83に大きな負荷が加わってしまう。第2姿勢を越えてレバー83を回動可能にすることにより、レバー83に大きな負荷が加わることを抑制できる。
【0070】
第1テーパ部114(テーパ部に相当する)は、前後方向8における前方へ向かうにつれてスリット110の幅を広げるように前後方向8に対して傾斜しており、第1幅部113と第2幅部115とを段差なく接続している。第2テーパ部116は、前後方向8における前方へ向かうにつれてスリット110の幅を広げるように前後方向8に対して傾斜しており、第2幅部115と第3幅部117とを段差なく接続している。第1テーパ部114及び第2テーパ部116が設けられたことにより、レバー83は、左側壁111及び右側壁112に引っ掛かることなく回動することができる。
【0071】
[画像記録装置10の動作]
最初に、図3を参照して、記録用紙15に画像を記録するときの画像記録装置10の動作の説明がされる。給送部50により第1搬送路42の湾曲路44へ送り出された記録用紙15は、湾曲路44を通過して直線路45のプラテン75に至る。記録用紙15は、プラテン75に至る前に、図3の太線に示される第1姿勢にあるレバー83を第1回動向き38へ回動させ、図3の破線に示される第4姿勢に姿勢変化させる。レバー83の回動により、センサ87(図8)の出力が変化する。マイクロコンピュータは、センサ87の出力が変化した後のロータリエンコーダの出力変化の回数をカウントすることにより、搬送向き46における記録用紙15の下流端の位置を算出する。算出した位置に基づいて、マイクロコンピュータは、プラテン75上の記録用紙15を間欠搬送する。間欠搬送される間に、記録用紙15は、記録部30により画像が記録される。画像が記録された記録用紙15は、第3のローラ対64により、排紙トレイ25へ排出される。
【0072】
次に、記録メディア16に画像を記録するときの画像記録装置10の動作について説明がされる。ユーザがトレイガイド77を移動させると、トレイガイド77と連結されたリンクプレート47が移動される。リンクプレート47の移動により、プラテン75、第1従動ローラ59、排紙ローラ61及びスイッチバックローラ65が下方へ移動される。そうすると、直線路45が上下方向7へ拡張される。記録メディア16は、ユーザによりメディアトレイ17に載置される。このメディアトレイ17は、プリンタ部11の前面側から、ユーザにより直線路45へ挿入される。このとき、メディアトレイ17は、トレイガイド77により、第2のローラ対60のニップ位置まで案内され、第2のローラ対60に挟まれる。第2のローラ対60に挟まれたメディアトレイ17は、第2のローラ対60により後向き49へ搬送され、第1のローラ対56のニップ位置に至り、第1のローラ対56及び第2のローラ対60に挟まれて更に後向き49へ搬送される。後向き49へ搬送されたメディアトレイ17は、図3の太線に示される第1姿勢にあるレバー83を第2回動向き39へ回動させ、図3の細線に示される第2姿勢に姿勢変化させる。その後、メディアトレイ17は、第1のローラ対56及び第2のローラ対60に挟まれてプラテン75上を前向き48へ搬送される。マイクロコンピュータは、センサ87の出力が変化した後のロータリエンコーダの出力変化の回数をカウントすることにより、プラテン75上におけるメディアトレイ17の位置を算出し、プラテン75上においてメディアトレイ17を間欠搬送する。この間欠搬送において、記録メディア16は、記録部30により画像が記録される。記録メディア16に画像が記録された後、メディアトレイ17は、第2のローラ対60によりトレイガイド77上まで搬送される。
【0073】
次に、図3,8を参照して検知部80の詳細な動作の説明がされる。図3の太線に示される第1姿勢にあるレバー83は、搬送される記録用紙15により押されて第1回動向き38へ回動され、図3の破線に示される第4姿勢になる。レバー83が第1回動向き38へ回動されることにより、図8に示される第1付勢部材98が弾性変形されると共に、突出片84がセンサ87の発光部88の光路から退避される。突出片84が光路から退避されることにより、センサ87の出力が変化する。搬送向き46における記録用紙15の上流端がレバー83を通過すると、レバー83は、弾性変形された第1付勢部材98の弾性力(付勢力)により第2回動向き39へ回動され、図3の太線に示される第1姿勢に戻される。レバー83が第1姿勢に戻されると、突出片84は、発光部88と受光部89との間に侵入し、発光部88から受光部89へ向かう光を遮光する。そうすると、センサ87の出力が変化する。このように、検知部80は、搬送向き46における記録用紙15の上流端または下流端の位置を検出する。下流端の位置の検出は、搬送向き46における記録用紙15の長さの算出などに用いられる。
【0074】
図3の太線に示される第1姿勢にあるレバー83は、直線路45を後向き49へ搬送されるメディアトレイ17(図4)により押されて第2回動向き39へ回動され、図3の細線に示される第2姿勢になる。第2姿勢になったレバー83は、湾曲路44へ突出する。レバー83が第2回動向き39へ回動されることにより、図8に示される第2付勢部材99が弾性変形されると共に、突出片84がセンサ87の発光部88の光路から退避される。突出片84が光路から退避されることにより、センサ87の出力が変化する。前向き48へ搬送されるメディアトレイ17の後端がレバー83を通過すると、レバー83は、弾性変形された第2付勢部材99の弾性力(付勢力)により第1回動向き38へ回動され、図3の太線に示される第1姿勢に戻される。レバー83が第1姿勢に戻されると、突出片84は、発光部88と受光部89との間に侵入し、発光部88から受光部89へ向かう光を遮光する。そうすると、センサ87の出力が変化する。
【0075】
第1搬送路42において記録用紙15またはメディアトレイ17が詰まったとき、ユーザは、蓋21を開いて湾曲路44を露出させ、詰まった記録用紙15またはメディアトレイ17を後方へ引き抜く。レバー83は、後方へ引き抜かれる記録用紙15により第2回動向き39へ回動され、図3の細線に示される第2姿勢を経て、図3の点線に示される第3姿勢になる。レバー83が第2姿勢を越えて回動することにより、引き抜かれる記録用紙15からレバー83が受ける負荷が低減される。
【0076】
[実施形態の効果]
上述されたように、左右方向9における第1幅部113(図9(A))の幅は、第1姿勢(図3の太線)と第4姿勢(図3の破線)との間で回動するレバー83と、スリット110の左側壁111及び右側壁112とが摺接しないように設定されている。よって、第1付勢部材98の付勢力により第2回動向き39へ回動されるレバー83の回転速度の低下が抑制される。その結果、搬送向き46における記録用紙15の上流端の位置の検出精度の低下が抑えられ、搬送向き46における記録用紙15の長さを正確に検出することができる。また、第2姿勢にあるレバー83の左右両側に位置する第2幅部115(図9(A))の幅は、第1姿勢(図3の太線)と第2姿勢(図3の細線)との間で回動されるレバー83が摺接可能な程度に狭くされている。上述されたように、第2姿勢にあるレバー83は湾曲路44へ突出しており、ジャム処理等においてユーザが誤って触れるおそれがあるが、幅を狭くされた第2幅部115により、保護される。つまり、第2幅部115が左右方向9においてレバー83に当接しないと、左右方向9においてレバー83に加えられた負荷が、レバー83と回動軸82との接続部(レバー83の根本)に加わり、レバー83が根本から折れるおそれがある。本実施形態では、レバー83が左右方向9において第2幅部115と当接することにより、レバー83が根本から折れることを防止できる。その結果、本実施形態では、搬送向き46における記録用紙15の上流端の位置の検出精度の低下を抑えながら、レバー83を保護することができる。
【0077】
また、スリット110の第2幅部115により、第2姿勢にあるレバー83の左右方向9における移動を制止できるので、ジャム処理においてユーザの手がレバー83に誤って触れたときに、回動軸82が第1保持部材(不図示)や第2保持部材92から外れることを防止できる。
【0078】
また、上述されたように、第2姿勢を越えて第3姿勢まで回動可能にレバー83が設けられている。レバー83が第3姿勢まで回動可能であるので、ジャム処理においてレバー83に加えられる負荷が低減される。また、第3姿勢になったレバー83は、第2幅部115より更に幅の狭い第3幅部117により保護される。このように、ジャム処理におけるレバー83の破損を防止することができる。
【0079】
また、上述されたように、第1幅部113と第2幅部115とは第1テーパ部114により接続されており、第2幅部115と第3幅部117とは、第2テーパ部116により接続されている。よって、レバー83は、左側壁111及び右側壁112に引っ掛かることなく回動することができる。
【0080】
[変形例1]
図6に示された第2幅部115及び第3幅部117の代わりに、図9(B)及び図10に示された第2幅部118がガイド部材100に設けられている。第2幅部118は、右側壁112の左側面から左側壁111へ向かって突出された案内部119(案内部に相当する)の突出の先端面121(第1面に相当する)と、左側壁111の壁面122(第2面に相当する)とにより構成されている。第2幅部118と第1幅部113とは、第3テーパ部120により段差なく接続されている。
【0081】
図9(B)の実線に示される第1姿勢にあるレバー83が第2回動向き39(図3)へ回動されると、レバー83は、第3テーパ部120に摺接し、図9(B)、図10の破線に示される第2姿勢になる。レバー83は、第3テーパ部120に摺接することにより、左向きへ移動される。以下、レバー83の位置を左方へずらす理由が説明される。
【0082】
上述されたように、記録用紙15は、そのサイズによらず、左右方向9における中央部を左右方向9における給紙カセット24の中央部に一致させて給紙カセット24に載置されている。そのため、レバー83は、左右方向9における直線路45の中央部に配置されている。また、上述されたように、メディアトレイ17には、記録メディア16を位置決めするための位置決め機構18(図4)が設けられている。位置決め機構18は、メディアトレイ17を貫通する貫通孔を有することがある。この貫通孔は、左右方向9におけるメディアトレイ17の中央部に位置する。よって、レバー83が貫通孔に引っ掛かるおそれがある。
【0083】
本変形例では、第3テーパ部120によりレバー83を左方へずらすことができるので、レバー83が上述の貫通孔に引っ掛かることを防止できる。また、第2幅部118が設けられているので、上述の実施形態と同様に、第2姿勢にあるレバー83を保護することができる。なお、本変形例では、スリット110の右側壁112に案内部119が設けられた例が説明されたが、案内部119は、スリット110の左側壁111に設けられてもよい。
【0084】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、スリット100に第3幅部117が設けられた例が説明されたが、スリット100に第3幅部117が設けられない構成を採用することもできる。
【0085】
また、チャタリングを防止可能な構成の検知部80に本発明を用いた例が説明されたが、チャタリングを防止しない構成の検出部にも、本発明を用いることができる。
【0086】
また、本実施形態では、蓋21が回動可能に設けられた例が説明されたが、蓋21は、着脱可能に設けられてもよいし、スライド可能に設けられてもよい。
【0087】
また、本実施形態では、湾曲路44を露出させる蓋21が設けられた例が説明されたが、記録用紙15を後方へ引き抜くことができれば、蓋21を設けない構成とすることもできる。
【0088】
また、本実施形態では、第1付勢部材98及び第2付勢部材99に、ねじりコイルバネを用いられた例が説明された。しかしながら、板バネやコイルバネなど、他の弾性部材が第1付勢部材98及び第2付勢部材99に用いられてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、搬送装置40が湾曲路44と直線路45とを備える例が説明された。しかしながら、搬送装置40が直線路45のみを備える場合にも、本発明を用いることができる。
【0090】
また、本実施形態では、第2テーパ部116の後端により第3幅部117を構成した例が説明されたが、第3幅部117は、第2幅部115と同様に、互いに平行な壁面により構成されてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、第2幅部115において、スリット110の左側壁111の壁面と右側壁112の壁面とがほぼ平行となるように設けられた例が説明された。しかしながら、第2幅部115をテーパ形状に設けることもできる。第1テーパ部114と第2幅部115と第2テーパ部116とは、異なる傾斜面でそれぞれ構成されてもよいし、1つの傾斜面で構成されてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、第1テーパ部114及び第2テーパ部116を傾斜面により構成した例が説明されたが、第1テーパ部114や第2テーパ部116は、湾曲面により構成されてもよい。
【符号の説明】
【0093】
8・・・前後方向(搬送方向)
10・・・画像記録装置
11・・・プリンタ部
14・・・筐体
20・・・開口
21・・・蓋
40・・・搬送装置
44・・・湾曲路
45・・・直線路
48・・・前向き(第1向き)
49・・・後向き(第2向き)
82・・・回動軸
83・・・レバー
87・・・センサ
98・・・第1付勢部材
99・・・第2付勢部材
100・・ガイド部材
101・・内側ガイド面
110・・スリット
113・・第1幅部
114・・第1テーパ部(テーパ部)
115・・第2幅部
117・・第3幅部
119・・案内部
121・・先端面(第1面)
122・・壁面(第2面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路において、搬送方向の一方の向きである第1向きへ第1被搬送媒体を搬送し、他方の向きである第2向きへ第2被搬送媒体を搬送する搬送装置であって、
上記搬送路を区画しており、上記搬送方向に沿って延びるスリットが設けられたガイド部材と、
回動軸から上記スリットを通じて上記搬送路へ先端側が突出する第1姿勢から、当該先端側が上記第1向き及び上記第2向きへ回動可能なレバーと、
上記レバーの回動を検出するセンサと、
上記第1向きへ回動された上記レバーを上記第1姿勢側へ付勢する第1付勢部材と、
上記第2向きへ回動された上記レバーを上記第1付勢部材よりも大きな付勢力により上記第1姿勢側へ付勢する第2付勢部材と、を備えており、
上記スリットは、上記第1向き側へ回動された上記レバーと上記搬送方向に直交する幅方向において重なる位置に設けられた第1幅部と、上記第2向き側へ回動された上記レバーと上記幅方向において重なる位置に設けられた第2幅部と、を有しており、
上記第2幅部は、上記第1幅部よりも幅が狭いものである搬送装置。
【請求項2】
上記搬送路が内部に設けられた筐体を更に備えており、
上記筐体は、上記第1姿勢の上記レバーよりも上記第2向き側において上記搬送路へアクセス可能な開口と、当該開口を開閉可能な蓋と、を有するものである請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記搬送路は、上記第1姿勢の上記レバーよりも上記第2向き側において、上記レバーの回動軸側へ湾曲する湾曲路を有するものであり、
上記レバーは、上記第2向き側へ回動されて上記第2幅部に位置する状態において、その先端側が上記湾曲路へ突出するものである請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記レバーは、上記第1姿勢から上記第2向きへ、上記センサにより回動が検出される第2姿勢を越えて第3姿勢まで回動可能に設けられており、上記第2姿勢において、上記湾曲路へ突出し、上記第3姿勢において、上記湾曲路の湾曲内側を区画する内側ガイド面へ倒伏するものであり、
上記第2幅部は、上記第2姿勢にある上記レバーの位置に設けられており、
上記第3姿勢にある上記レバーの位置には、上記第2幅部よりも幅が狭い第3幅部が設けられたものである請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
上記スリットは、上記第2幅部から上記第1向きへ向かって、その幅が連続的に拡がるテーパ部を有するものである請求項1から4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
上記第2幅部は、上記ガイド部材において上記幅方向に対向する第1面及び第2面により形成されており、
上記第1面又は上記第2面のいずれか一方には、他方へ向かって上記幅方向へ膨出されており、上記第1姿勢から上記第2向きへの回動において摺接する上記レバーを上記第2幅狭部へ案内する案内部が設けられたものである請求項1から5のいずれかに記載の搬送装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−1527(P2013−1527A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135627(P2011−135627)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】