説明

携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向を変更するための方法および装置

【課題】ユーザにより携帯型パソコンが物理的に回転された後に携帯型パソコンのモニタ上の表示方向を変更するための、より良い方法および装置を提供すること。
【解決手段】本方法によって、携帯型コンピュータ100がユーザによって回転された後に、携帯型コンピュータ100のモニタ106上の表示方向を変更する。携帯型コンピュータ100が物理的に回転したことが検出されると、新たな物理的配置が所定時間内において不変であるか否かが判断される。所定時間内において新たな物理的配置が変更した場合、携帯型コンピュータ100は、物理的な回転がなされたか否かを検出し続ける。所定時間内において新たな物理的配置が変更しなかった場合、新たな物理的配置に合わせて携帯型コンピュータ100のモニタ106上の表示方向が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して携帯型コンピュータに関し、特に表示方向を変更可能な携帯型コンピュータに関する。より詳細には、ユーザにより携帯型コンピュータが回転された後に、該携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向を変更するための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド型パソコン、タブレット型パソコン、またはウルトラモバイルパソコン等の携帯型パソコン(PC)を使用する際、作業中の内容に合わせて携帯型PCを物理的に回転させることによりモニタの向きを変えることが頻繁に望まれる。例えば、テキスト文書は、縦長(portrait)方向のモニタ表示がより適している傾向がある一方、写真は、横長(landscape)方向のモニタ表示がより適している場合がある。
【0003】
従来、ユーザは、携帯型PCを物理的に回転した後、該携帯型PCのモニタ上の表示方向を変更するためのソフトウェアインタフェースを使用する必要があった。また、携帯型PCのモニタ上の表示方向を変更するための別の解決策としては、物理的なボタンの利用がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ソフトウェアインタフェースを使用する例では、咄嗟に回転が求められる場合に煩わしいと考えられる。また、物理的なボタンを利用する例では、ユーザがボタンを押下するたびに、Windows(登録商標)オペレーティングシステムによってディスプレイモードが変更されて全てのアイコン表示が再編成されるまでの、何秒ともなり得る時間、待つ必要がある。よって、ユーザにより携帯型PCが物理的に回転された後に該携帯型PCのモニタ上の表示方向を変更するための、より良い方法および装置を提供することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザにより携帯型PCが物理的に回転された後に該携帯型PCのモニタ上の表示方向を変更するための、より良い方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、携帯型コンピュータが物理的に回転されたことが検出されると、その検出に応じて、その回転後の物理的配置が所定の時間内に変更されないか否かが判断される。所定の時間内に変更があった場合、携帯型コンピュータは、物理的な回転の検出を引き続き行う。所定の時間内に変更されなかった場合、携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向は、回転後の物理的配置に合わせて調整されることを特徴とする。
本発明の特徴および利点は全て、以下の詳細な説明において明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明およびその好ましい実用の形態と、これらの更なる課題と利点とは、以下の実施の形態の詳細な説明を図面と共に参照することで理解される。以下に、本発明にかかる携帯型コンピュータ、該携帯型コンピュータのモニタの表示方向を変更するための方法、および該方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムプロダクトを有するコンピュータ使用可能媒体の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0008】
図1は、本発明の実施の形態が組み込まれた携帯型コンピュータを示すブロック図である。図1に示すように、携帯型コンピュータ100は、システムバス108に接続されるCPU102を備える。また、携帯型コンピュータ100は、システムバス108に接続されてユーザインタフェース情報をモニタ106に提供するグラフィックスアダプタ104を備える。
【0009】
システムバス108には、さらに、システムメモリ110と、入出力(I/O)バスブリッジ112が接続される。I/Oバスブリッジ112は、I/Oバス114をシステムバス108に接続して、一方のバスから他方のバスへとデータトランザクションを中継および/または変換(transform)する。また、ハードディスクドライブなどの不揮発性記憶デバイス116と、キーボードおよびタッチパッドなどの入力デバイス118が、I/Oバス114に接続される。
【0010】
携帯型コンピュータ100は、さらにモーションセンサ120を備える。モーションセンサ120は、 好ましくは、1以上の加速度計を含む。携帯型コンピュータ100が物理的に移動すると、モーションセンサ120は、移動の加速量と方向を示す信号を検出して送信することができる。モーションセンサ120は、好ましくは、3次元の動作情報を提供することができる。例えば、ユーザにより携帯型コンピュータ100が90度回転して携帯型コンピュータ100の物理的配置が変更されると、モーションセンサ120内の少なくとも2つの加速度計が作動して、複数の信号を送信する。これらの信号は、組み合わせることによって、携帯型コンピュータ100の回転の加速量と方向を示すことができる。また、これらの信号は、好ましくはCPU102によって解読されるが、特定用途向け集積回路(ASIC)などの別の専用回路(図示せず)によって解読されてもよい。
【0011】
携帯型コンピュータ100の筐体は、矩形形状を有し、比較的薄いことが好ましい(すなわち、その厚みは筐体の幅と長さと比べてはるかに小さい)。モニタ106も矩形形状を有し、その物理的寸法は筐体と比べて僅かに小さい。横長方向とは、矩形の長い方の両辺が表示枠の上下の辺となる配置として定義される。縦長方向とは、矩形の短い方の両辺が表示枠の上下の辺となる配置として定義される。横長方向も縦長方向も、携帯型コンピュータ100の筐体の配置とモニタ106を見ているユーザに対するモニタ106の配置とを説明するために用いることができる。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態にかかる携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向を変更する方法の高レベル論理フローチャートである。ステップ200で開始すると、ステップ210において、図1のモーションセンサ120などのモーションセンサは、図1の携帯型コンピュータ100などの携帯型コンピュータに物理的な回転が生じた場合に、その回転を検出する状態にある。ステップ220では、携帯型コンピュータが新たな物理的配置に回転されたか否かが判断される。例えば、回転により携帯型コンピュータの筐体は(モニタと共に)、横長方向から縦長方向、または縦長方向から横長方向へと変更され得る。
【0013】
携帯型コンピュータが新たな物理的配置へと回転されなかった場合、ステップ220に戻り、新たな物理的配置へと回転された場合、ステップ230において、その新たな物理的配置がN秒間変更されないか否かが判断される。Nは任意の数値であっても良いが、好ましくは2である。
【0014】
上記新たな物理的配置がN秒の間に変更された場合、ステップ220に戻る。上記新たな物理的配置がN秒の間に変更されなかった場合、ステップ240において、携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向は、上記新たな物理的配置と一致するように調整される。例えば、上記新たな物理的配置が縦長方向である場合、モニタ上の表示方向は、縦長方向に調整される。上記新たな物理的配置が横長方向である場合、モニタ上の表示方向は、横長方向に調整される。
【0015】
また、上記新たな物理的配置は、携帯型コンピュータの傾きにも基づいている。例えば、上記新たな物理的配置が縦長方向(または横長方向)であり、モニタが携帯型コンピュータの保持者の方を向いている場合、表示方向は、保持者にとって見やすい縦長方向(または横長方向)に変更される。しかし、上記新たな物理的配置が縦長方向(または横長方向)で、モニタが携帯型コンピュータの保持者の向こう側を向いている場合、表示方向は、別の者にとって見やすい縦長方向(または横長方向)(この方向は、保持者にとって見やすい表示方向から180度回転された方向である)に変更される。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態にかかる携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向を変更するための方法の高レベル論理フローチャートである。ステップ300で開始すると、ステップ310において、図1のモーションセンサ120などのモーションセンサは、図1の携帯型コンピュータ100などの携帯型コンピュータに物理的な回転が生じた場合に、その回転を検出する状態にある。ステップ320において、携帯型コンピュータが新たな物理的配置へと回転されたか否かが判断される。例えば、この回転により、携帯型コンピュータの筐体は(モニタと共に)、横長方向から縦長方向、または縦長方向から横長方向へと変更され得る。
【0017】
携帯型コンピュータが新たな物理的配置へと回転されなかった場合、ステップ320に戻る。携帯型コンピュータが新たな物理的配置へと回転された場合、ステップ330において、携帯型コンピュータがN秒の間に、同じ該新たな物理的配置に2度置かれたか否かが判断される。Nは、任意の数値であっても良いが、好ましくは2である。携帯型コンピュータの保持者が、携帯型コンピュータを同じ上記新たな物理的配置に2度置くこととは、例えば、はじめに携帯型コンピュータを第1の物理的配置から新たな第2の物理的配置へと回転し、次に、元の第1の物理的配置に戻してから、再び同じ第2の物理的配置へと回転することである。
【0018】
上記新たな物理的配置がN秒の間に変更された場合、ステップ320に戻る。携帯型コンピュータがN秒の間に上記新たな物理的配置に2度置かれた場合、ステップ330に示されているように、モニタ上の表示方向は、上記新たな物理的配置と一致するように調整される。上記新たな物理的配置は、携帯型コンピュータの傾きにも基づいている。例えば、上記新たな物理的配置が縦長方向(または横長方向)であり、モニタが携帯型コンピュータの保持者の方を向いている場合、表示方向は、保持者にとって見やすい縦長方向(または横長方向)へと変更される。そして、上記新たな物理的配置が縦長方向(または横長方向)であり、モニタが携帯型コンピュータの保持者の向こう側を向いている場合、表示方向は、別の者にとって見やすい縦長方向(または横長方向)へと変更される。
【0019】
上述の通り、本発明は、携帯型コンピュータがユーザによって回転された後に携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向を変更するための方法および装置を提供するものである。
【0020】
本発明は、完全に機能的なコンピュータシステムに関して説明したが、本発明の機構が、種々の形でコンピュータプログラムプロダクトとして配布され得ることや、本発明は、実際の配布に用いられる信号保持媒体の種類にかかわらず、同様に実施することができることは、当業者には明らかである。信号保持媒体の例としては、フロッピー(登録商標)ディスクまたはコンパクトディスクなどの記録可能型媒体や、アナログまたはデジタル通信リンクなどの送信型媒体などが挙げられるが、その例は、これらに限定されない。
【0021】
本発明を、好ましい実施の形態を参照しながら具体的に図示および説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱せずに、これらの実施の形態および詳細に種々の変更を加えられることは、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態が組み込まれた携帯型コンピュータを示す図である。
【図2】図1の携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向を変更するための実施の形態にかかる方法の高レベル論理フローチャートである。
【図3】図1の携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向を変更するための実施の形態にかかる方法の高レベル論理フローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
100 携帯型コンピュータ
102 CPU
104 グラフィックスアダプタ
106 モニタ
108 システムバス
110 システムメモリ
112 I/Oバスブリッジ
114 I/Oバス
116 不揮発性記憶デバイス
118 入力デバイス
120 モーションセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向を変更するための方法であって、
前記携帯型コンピュータの回転を検出する検出ステップと、
前記携帯型コンピュータが新たな物理的配置へと回転されたことが検出されると、該新たな物理的配置が目的の配置であるか否かを判断する判断ステップと、
前記新たな物理的配置が目的の配置ではないと判断されると、前記携帯型コンピュータの回転の検出を続ける検出続行ステップと、
前記新たな物理的配置が目的の配置であると判断された場合に、該新たな物理的配置に合わせて前記モニタの表示方向を調整する調整ステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記判断ステップは、前記新たな物理的配置が所定時間内に変更されないか否かを判断する判断ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記判断ステップは、前記携帯型コンピュータが所定時間内に前記新たな物理的配置に2度置かれたか否かを判断する判断ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記新たな物理的配置は、前記携帯型コンピュータの傾きを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
携帯型コンピュータのモニタ上の表示方向を変更するためのコンピュータプログラムを有するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記携帯型コンピュータの回転を検出するための第1のコンピュータプログラムコードと、
前記携帯型コンピュータが新たな物理的配置へと回転されたことが検出された場合に、該新たな物理的配置が目的の配置であるか否かを判断するための第2のコンピュータプログラムコードと、
前記新たな物理的配置が目的の配置ではないと判断された場合に、前記携帯型コンピュータの回転の検出を続けるための第3のコンピュータプログラムコードと、
前記新たな物理的配置が目的の配置であると判断された場合に、該新たな物理的配置に合わせて前記モニタの表示方向を調整するための第4のコンピュータプログラムコードと、
を含むことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】
前記第2のコンピュータプログラムコードは、 前記新たな物理的配置が所定時間内に変更されないか否かを判断するための第5のコンピュータプログラムコードを含むことを特徴とする請求項5に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
前記第2のコンピュータプログラムコードは、前記携帯型コンピュータが所定時間内において前記新たな物理的配置に2度置かれたか否かを判断するための第6のコンピュータプログラムコードを含むことを特徴とする請求項5に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
前記新たな物理的配置は、前記携帯型コンピュータの傾きを含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
モニタ上の表示方向を変更可能な携帯型コンピュータであって、
前記携帯型コンピュータの回転を検出するためのモーションセンサと、
前記携帯型コンピュータが新たな物理的配置へと回転されたことが検出されると、該新たな物理的配置が目的の配置であるか否かを判断するためのプロセッサと、
前記新たな物理的配置が目的の配置ではないと判断されると、前記携帯型コンピュータの回転を検出し続けるためのグラフィックスアダプタと、を備え、
前記グラフィックスアダプタは、前記新たな物理的配置が目的の配置であると判断されると、該新たな物理的配置に合わせて前記モニタの表示方向を調整することを特徴とする携帯型コンピュータ。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記新たな物理的配置が所定時間内に変更されないか否かを判断するためのプロセッサを含むことを特徴とする請求項9に記載の携帯型コンピュータ。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記携帯型コンピュータが所定時間内に前記新たな物理的配置に2度置かれたか否かを判断するためのプロセッサを含むことを特徴とする請求項9に記載の携帯型コンピュータ。
【請求項12】
前記新たな物理的配置は、前記携帯型コンピュータの傾きを含むことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の携帯型コンピュータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−269603(P2008−269603A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104842(P2008−104842)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】