説明

携帯型情報処理装置

【課題】半導体レーザを光源として用いる画像表示装置において、レーザ光を外部に投射する投射窓や投射光学系を保護すると共に、レーザ光の誤投射を防止する。
【解決手段】画像表示装置1は、レーザ光を外部に導く投射窓71およびこれを開閉するシャッタ部材72が設けられた可動体12と、可動体を出し入れ可能に収容する収容ケース11とを備え、可動体が収容ケースに収容された不使用状態において、シャッタ部材により投射窓が閉鎖される一方、可動体が収容ケースから引き出された使用状態において、投射窓が開放される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザを光源として用いる画像表示装置およびこれを備えた携帯型情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置の光源に半導体レーザを用いる技術が注目されている。この半導体レーザは、画像表示装置に多用されてきた水銀ランプに比較して、色再現性がよい点、瞬時点灯が可能である点、長寿命である点、高効率で消費電力を低減することができる点、及び小型化が容易である点など種々の利点を有している。
【0003】
このような半導体レーザを用いた画像表示装置の利点は、携帯型情報処理装置に内蔵する場合に都合が良く、例えば半導体レーザを用いた画像表示装置を携帯電話端末に内蔵する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−316393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の従来技術では、携帯電話端末に内蔵された画像表示装置は、例えば、携帯電話端末の筐体から側方に突出する投射レンズ部を有し、これにより、画像光を外部のスクリーン上に投射する。この種の携帯型情報処理装置では、簡易かつコンパクトな構成とするために、投射レンズ部を予め外側に向けて設けることが望ましいが、投射レンズ部が露出したままの状態にあると、投射窓への塵埃の付着や、投射光学系の損傷などにより、表示画像の画質が低下するという問題がった。
【0006】
また、半導体レーザを光源として用いる画像表示装置では、レーザ光が目に入るとユーザの目に負担がかかることから、取り扱いに注意する必要があるが、ユーザが意図せずにスイッチがオンされてレーザ光が出射されることもあり、そのような事態を未然に防ぐことのできることが望ましい。
【0007】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、レーザ光を外部に投射する投射窓や投射光学系を保護すると共に、レーザ光の誤投射を防止することを可能とした画像表示装置およびこれを備えた携帯型情報処理装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示装置は、光源から出射されたレーザ光を外部のスクリーンに対して投射する画像表示装置であって、前記レーザ光を外部に導く投射窓およびこれを開閉するシャッタ部材が設けられた可動体と、前記可動体を出し入れ可能に収容する収容ケースとを備え、前記可動体が前記収容ケースに収容された不使用状態において、前記シャッタ部材により前記投射窓が閉鎖される一方、前記可動体が前記収容ケースから引き出された使用状態において、前記投射窓が開放されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、レーザ光を外部に投射する投射窓や投射光学系を保護すると共に、レーザ光の誤投射を防止することが可能となるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る画像表示装置1を内蔵した携帯型情報処理装置2の斜視図
【図2】第1実施形態に係る携帯型情報処理装置2のドライブベイ周辺を示す部分斜視図
【図3】第1実施形態に係る光学エンジンユニット13に内蔵される光学エンジン部15の概略構成図
【図4】第1実施形態に係る画像表示装置1の不使用状態を示す斜視図
【図5】第1実施形態に係る画像表示装置1の使用状態を示す斜視図
【図6】第1実施形態に係る使用状態の画像表示装置1におけるシャッタ部材72周辺の詳細を示す部分斜視図
【図7】第1実施形態に係る使用状態から不使用状態への移行時の画像表示装置1におけるシャッタ部材72周辺の詳細を示す部分斜視図
【図8】第2実施形態に係る不使用状態の画像表示装置1を示す斜視図
【図9】第2実施形態に係る画像表示装置1の使用状態から不使用状態への移行時を示す斜視図
【図10】第2実施形態に係る使用状態の画像表示装置1を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、光源から出射されたレーザ光を外部のスクリーンに対して投射する画像表示装置であって、前記レーザ光を外部に導く投射窓およびこれを開閉するシャッタ部材が設けられた可動体と、前記可動体を出し入れ可能に収容する収容ケースとを備え、前記可動体が前記収容ケースに収容された不使用状態において、前記シャッタ部材により前記投射窓が閉鎖される一方、前記可動体が前記収容ケースから引き出された使用状態において、前記投射窓が開放される構成とする。
【0012】
これによると、不使用状態においてはシャッタ部材により投射窓が閉鎖される一方
、使用状態において投射窓が開放される構成であるため、レーザ光を外部に投射する投射窓や投射光学系を保護すると共に、レーザ光の誤投射を防止することが可能となる。
【0013】
また、第2の発明は、上記第1の発明に関し、前記シャッタ部材は、前記可動体の出し入れ動作に伴って開閉動作を行う構成とする。
【0014】
これによると、収容ケースに対する可動体の出し入れ動作に応じてシャッタ部材を確実に開閉動作させることができる。
【0015】
また、第3の発明は、上記第2の発明に関し、前記可動体には、前記シャッタ部材を開方向に付勢する付勢部材が設けられ、前記収容ケースには、前記可動体が収容される際に、前記付勢部材の付勢力に抗して前記シャッタ部材を押圧することにより当該シャッタ部材を閉方向に変位させる押圧部材が設けられた構成とする。
【0016】
これによると、シャッタ部材を開閉するために特別な動力を必要とすることなく、可動体の出し入れ動作を行うだけでシャッタ部材を開閉動作させることができる。
【0017】
また、第4の発明は、上記第1から第3の発明の何れかに関し、前記可動体は、前記投射窓が設けられた第1のユニットと、当該第1のユニットを回動可能に支持する第2のユニットとで構成されたものとする。
【0018】
これによると、第1のユニットからのレーザ光の投射方向(投写角度等)を調整して、スクリーン上に適切に投写することができる。
【0019】
また、第5の発明は、上記第1から第4の発明の何れかに関し、前記収容ケースは、携帯型情報処理装置に形成されたドライブベイに取り付け可能である構成とする。
【0020】
これによると、携帯型情報処理装置に対して容易に取り付けられると共に、その取り付けられた状態において可動体を収容ケースから容易に出し入れ可能となり、携帯型情報処理装置の利便性を高めることができる。
【0021】
また、第6の発明は、上記第1から第5の発明の何れかに係る画像表示装置を備えた携帯情報処理装置である。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
<第1実施形態>
【0024】
図1は第1実施形態に係る画像表示装置1を内蔵した携帯型情報処理装置2の斜視図であり、図2は携帯型情報処理装置2のドライブベイ周辺を示す部分斜視図である。
【0025】
図1に示すように、携帯型情報処理装置2は、CPUやメモリなどが実装された制御基板(図示せず)などが内蔵された本体部3と、液晶パネルを備えた表示部4とを有し、本体部3と表示部4とがヒンジ部5で連結され、本体部3と表示部4とを重ね合わせた折りたたみ状態として携帯性を高めるようにしている。
【0026】
本体部3の筐体8の上面8aには、キーボード6およびタッチパッド7が設けられている。また、本体部3の筐体8におけるキーボード6の裏面側には、光ディスク装置などの周辺機器が取り替え可能に収容される収容スペース、いわゆるドライブベイ9(図2参照)が形成されており、このドライブベイ9に画像表示装置1が取り付けられている。
【0027】
画像表示装置1は、収容ケース11と、収容ケース11に対して出し入れ可能に設けられた可動体12とを有している。可動体12は、レーザ光をスクリーンSに投写するための光学部品が収容された光学エンジンユニット(第1のユニット)13と、この光学エンジンユニット13内の光学部品を制御するための基板などが収容された制御ユニット(第2のユニット)14とで構成されている。
【0028】
図3は光学エンジンユニット13に内蔵される光学エンジン部15の概略構成図である。この光学エンジン部15は、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光源装置22と、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光源装置23と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光源装置24と、映像信号に応じて各レーザ光源装置22〜24からのレーザ光の変調を行う液晶反射型の空間光変調器25と、各レーザ光源装置22〜24からのレーザ光を反射させて空間光変調器25に照射させるとともに空間光変調器25から出射された変調レーザ光を透過させる偏光ビームスプリッタ26と、各レーザ光源装置22〜24から出射されるレーザ光を偏光ビームスプリッタ26に導くリレー光学系27と、偏光ビームスプリッタ26を透過した変調レーザ光をスクリーンSに投射する投射レンズを含む投射光学系28とを備えている。
【0029】
この光学エンジン部15は、いわゆるフィールドシーケンシャル方式でカラー画像を表示するものであり、各レーザ光源装置22〜24から各色のレーザ光が時分割で順次出力され、各色のレーザ光による画像が視覚の残像効果によってカラー画像として認識される。
【0030】
リレー光学系27は、各レーザ光源装置22〜24から出射される各色のレーザ光を平行ビームに変換するコリメータレンズ31〜33と、コリメータレンズ31〜33を通過した各色のレーザ光を所要の方向に導く第1および第2のダイクロイックミラー34、35と、ダイクロイックミラー34、35により導かれたレーザ光を拡散させる拡散板36と、拡散板36を通過したレーザ光を収束レーザに変換するフィールドレンズ37とを備えている。
【0031】
投射光学系28からスクリーンSに向けてレーザ光が出射される側を前側とすると、青色レーザ光源装置24から青色レーザ光が後方に向けて出射され、この青色レーザ光の光軸に対して緑色レーザ光の光軸および赤色レーザ光の光軸が互いに直交するように、緑色レーザ光源装置22および赤色レーザ光源装置23から緑色レーザ光および赤色レーザ光が出射され、この青色レーザ光、赤色レーザ光、および緑色レーザ光が、2つのダイクロイックミラー34、35で同一の光路に導かれる。すなわち、青色レーザ光と緑色レーザ光が第1のダイクロイックミラー34で同一の光路に導かれ、青色レーザ光および緑色レーザ光と赤色レーザ光が第2のダイクロイックミラー35で同一の光路に導かれる。
【0032】
第1および第2のダイクロイックミラー34,35は、表面に所定の波長のレーザ光を透過および反射させるための膜が形成されたものであり、第1のダイクロイックミラー34は、青色レーザ光を透過するとともに緑色レーザ光を反射させる。第2のダイクロイックミラー35は、赤色レーザ光を透過するとともに青色レーザ光および緑色レーザ光を反射させる。
【0033】
緑色レーザ光源装置22は、側方に向けて突出した状態で内部筐体41に形成された取付板42に取り付けられている。この取付板42は、リレー光学系27の収容スペースの前方と側方にそれぞれ位置する前壁部43と側壁部44とが交わる角部から側壁部44に直交する向きに突出した状態で設けられている。赤色レーザ光源装置23は、ホルダ45に保持された状態で側壁部44の外面側に取り付けられている。青色レーザ光源装置24は、ホルダ46に保持された状態で前壁部43の外面側に取り付けられている。
【0034】
赤色レーザ光源装置23および青色レーザ光源装置24は、いわゆるCANパッケージで構成され、レーザ光を出力するレーザチップが、ステムに支持された状態で缶状の外装部の中心軸上に光軸が位置するように配置されたものであり、外装部の開口に設けられたガラス窓からレーザ光が出射される。この赤色レーザ光源装置23および青色レーザ光源装置24は、ホルダ45,46に開設された取付孔47,48に圧入するなどしてホルダ45,46に対して固定される。青色レーザ光源装置24および赤色レーザ光源装置23のレーザチップの発熱は、ホルダ45,46を介して内部筐体41に伝達されて放熱され、各ホルダ45,46は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成されている。
【0035】
赤色レーザ光は、640nmの波長を有するが、少なくとも赤色と認識できるものであればよく、例えばピーク波長が610〜750nmの範囲となる波長領域のものを用いるとよい。また、青色レーザ光は、450nmの波長を有するが、少なくとも青色と認識できるものであればよく、例えばピーク波長が435〜480nmの範囲となる波長領域のものを用いるとよい。
【0036】
緑色レーザ光源装置22は、励起用レーザ光を出力する半導体レーザ51と、半導体レーザ51から出力された励起用レーザ光を集光する集光レンズであるFAC(Fast-Axis Collimator)レンズ52およびロッドレンズ53と、励起用レーザ光により励起されて基本レーザ光(赤外レーザ光)を出力する固体レーザ素子54と、基本レーザ光の波長を変換して半波長レーザ光(緑色レーザ光)を出力する波長変換素子55と、固体レーザ素子54とともに共振器を構成する凹面ミラー56と、励起用レーザ光および基本波長レーザ光の漏洩を阻止するガラスカバー57と、各部を支持する基台58と、各部を覆うカバー体59とを備えている。
【0037】
半導体レーザ51のレーザチップは、波長808nmの励起用レーザ光を出力する。FACレンズ52は、レーザ光のファースト軸(光軸方向に対して直交し且つ図の紙面に沿う方向)の拡がりを低減する。ロッドレンズ53は、レーザ光のスロー軸(図の紙面に対して直交する方向)の拡がりを低減する。
【0038】
固体レーザ素子54は、いわゆる固体レーザ結晶であり、ロッドレンズ53を通過した波長808nmの励起用レーザ光により励起されて波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)を出力する。この固体レーザ素子54は、Y(イットリウム)VO(バナデート)からなる無機光学活性物質(結晶)にNd(ネオジウム)をドーピングしたものであり、より具体的には、母材であるYVOのYに蛍光を発する元素であるNd+3に置換してドーピングしたものである。
【0039】
波長変換素子55は、いわゆるSHG(Second Harmonics Generation)素子であり、固体レーザ素子54から出力される波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)の波長を変換して波長532nmの半波長レーザ光(緑色レーザ光)を生成する。
【0040】
波長変換素子55では、固体レーザ素子54から入射した波長1064nmの基本波長レーザ光の一部が波長532nmの半波長レーザ光に変換され、変換されずに波長変換素子55を通過した波長1064nmの基本波長レーザ光は、凹面ミラー56で反射されて波長変換素子55に再度入射し、波長532nmの半波長レーザ光に変換される。この波長532nmの半波長レーザ光は、波長変換素子55で反射されて波長変換素子55から出射される。緑色レーザ光源装置22から出力されるレーザ光は、最終的に緑色と認識できるものであればよく、例えばピーク波長が500nm〜560nmの範囲となる波長領域のレーザ光を出力するようにするとよい。
【0041】
なお、ガラスカバー57には、波長808nmの励起用レーザ光および波長1064nmの基本波長レーザ光が外部に漏洩することを防止するため、これらのレーザ光を透過しない膜が形成されている。
【0042】
この緑色レーザ光源装置22は、基台58を内部筐体41の取付板42に取り付けて固定され、緑色レーザ光源装置22と内部筐体41の側壁部44との間に所要の幅(例えば0.5mm以下)の間隙が形成される。これにより、緑色レーザ光源装置22の熱が赤色レーザ光源装置23に伝わりにくくなり、赤色レーザ光源装置23の昇温を抑制して、温度特性の悪い赤色レーザ光源装置23を安定的に動作させることができる。また、赤色レーザ光源装置23の所要の光軸調整代(例えば0.3mm程度)を確保するため、緑色レーザ光源装置22と赤色レーザ光源装置23との間に所要の幅(例えば0.3mm以上)の間隙が設けられている。
【0043】
内部筐体41には、上記緑色レーザ光源装置22を始めとして、光学エンジン部21を構成する各構成要素(空間光変調器25、偏光ビームスプリッタ26、リレー光学系27、及び投射光学系28等)が支持されている。内部筐体41は、光学エンジンユニット13の筐体内に収容され、各レーザ光源装置22〜24で発生した熱を放熱する放熱体として機能し、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い材料で形成されている。
【0044】
図4は画像表示装置1の不使用状態(すなわち、可動体12が収容ケース11に格納された状態)を示す斜視図であり、図5は画像表示装置1の使用状態(すなわち、可動体12が収容ケース11から引き出された状態)を示す斜視図である。
【0045】
画像表示装置1の収容スペースであるドライブベイ9は、前出の図2に示したように、携帯型情報処理装置2の筐体8の側面に開口しており、携帯型情報処理装置2の筐体8の側面に対して略直交する向きに可動体12を出し入れする構成となっている。画像表示装置1の収容ケース11は携帯型情報処理装置2の筐体8(ドライブベイ9)内に固定される。前出の図1に示したように、携帯型情報処理装置2ではその側面がスクリーンSに正対するように配置されているため、これにより光学エンジンユニット13に設けられた投射窓71をスクリーンSに正対させることができる。
【0046】
不使用状態の画像表示装置1では、図4に示すように、光学エンジンユニット13と制御ユニット14が、収容ケース11(すなわち、ドライブベイ9)内に格納された状態となる。一方、使用状態の画像表示装置1では、図5に示すように、光学エンジンユニット13と制御ユニット14の一部が、収容ケース11(すなわち、ドライブベイ9)から引き出された状態となる。
【0047】
可動体12を構成する光学エンジンユニット13および制御ユニット14の各筐体は、高さ方向の寸法が短い扁平な箱形状をなしている。光学エンジンユニット13および制御ユニット14の各筐体の両側縁には、収容ケース11内に設けられたここでは図示しないガイドレール(図6中の右ガイドレール82参照)に沿ってスライドするスライダ61、62が設けられており、使用者による押し引き操作で、矢印Aで示すように、収容ケース11に対して可動体12が前後方向に出し入れされる。
【0048】
また、光学エンジンユニット13と制御ユニット14とはヒンジ部63を介して連結されており、図5に示す使用状態では、制御ユニット14が収容ケース11のガイドレールに支持される一方で、光学エンジンユニット13は収容ケース11から完全に抜け出し、矢印Bで示すように、光学エンジンユニット13を上下方向に回動させることができ、また、矢印Cで示すように、前後方向、すなわち可動体12の出し入れ方向の軸回りに光学エンジンユニット13を回動させることができる。これにより、光学エンジンユニット13からのレーザ光の投射方向(投写角度等)を調整して、スクリーン上に適切に投写することができる。
【0049】
また、制御ユニット14の上面には、操作部65が設けられており、操作部65には、電源のオンオフ、輝度切り替え、および台形補正の各操作を行う操作ボタンが配列されている。この他に収容ケース11内には、可動体12を格納位置に保持するために、図示しないラッチロックが設けられている。なお、可動体12は、図示しないばねにより引き出し方向に付勢されており、ユーザの操作によりラッチロックが解除されると、光学エンジンユニット13の少なくとも一部が収容ケース11から押し出される。その後の収容ケース11に対する可動体12の出し入れは、ユーザが手動で行うことが可能である。
【0050】
図6は使用状態の画像表示装置1におけるシャッタ部材72周辺の詳細を示す部分斜視図であり、図7は使用状態から不使用状態への移行時の画像表示装置1におけるシャッタ部材72周辺の詳細を示す部分斜視図である。
【0051】
前出の図5にも示したように、光学エンジンユニット13におけるヒンジ部63と相反する側の端部には投射窓71が配置されている。また、光学エンジンユニット13には投射窓71を開閉するシャッタ部材72が設けられている。
【0052】
シャッタ部材72は、図6に示すように、光学エンジンユニット13の筐体から右方の突設された回動軸75によって回動自在に支持された側壁部76と、この側壁部76の上縁に連なり、その閉鎖位置(図4参照)において投射窓71の上方を覆う上壁部77と、この上壁部77の前縁に連なり、その閉鎖位置において投射窓71の前方を覆う前壁部78と、側壁部76の下縁に連なり、その閉鎖位置において水平方向外側に突出する突出壁部79とを有している。また、シャッタ部材72には、突出壁部79の後端と、光学エンジンユニット13の筐体の側部前端に設けられたばね支持部80とにぞれぞれ端部が接続された引張りばね(付勢部材)85が付設されている。この引張りばね85により、シャッタ部材72は、回動軸75を中心として図6に示す開放位置側に回動する方向に常時付勢されている。
【0053】
一方、光学エンジンユニット13が収容ケース11に格納される際には、光学エンジンユニット13が図6中の矢印D方向に押し込まれることにより、シャッタ部材72の突出壁部79対して、光学エンジンユニット13の筐体を構成する略コ字状の断面を有する右サイドフレーム(押圧部材)81の前端81a上部が当接する。そして、その当接状態から光学エンジンユニット13が更に押し込まれると、図7に示すように、シャッタ部材72は、右サイドフレーム81により引張りばね85の付勢力に抗して閉鎖位置(図4参照)側に回動するように押圧される。その後は、突出壁部79の上面79aが、略コ字形の断面を有する右ガイドレール82における上壁82aの下面に摺接するようにガイドされることにより、最終的に、シャッタ部材72は図4に示した閉鎖位置まで回動する。
【0054】
なお、シャッタ部材72は、少なくとも収容ケース11から光学エンジンユニット13が使用可能(制御ユニット14に対して回動可能)な位置まで引き出されたときに投射窓71を開放する構成であればよい。
【0055】
このような構成により、画像表示装置1では、光学エンジン部15の投射光学系28(図3参照)を通過したレーザ光は、シャッタ部材72の開放時には投射窓71から投射される一方、シャッタ部材72の閉鎖時には遮断される。
【0056】
画像表示装置1では、図4に示した不使用状態においてはシャッタ部材72により投射窓71が閉鎖される一方、図5に示した使用状態において投射窓71が開放される構成であるため、レーザ光を外部に投射する投射窓71や投射光学系28を保護することができる。このようなシャッタ部材72による投射窓の開閉構造は、ドライブベイ9に収容される画像表示装置1に特に好適である。また、画像表示装置1の誤動作やユーザの誤操作により、ユーザが意図せずに(すなわち、収容ケース11から光学エンジンユニット13が引き出されない状態で)投射窓71からレーザ光が出射された場合でも、シャッタ部材72により遮断して誤投射を防止することが可能となる。
【0057】
また、シャッタ部材72は、収容ケース11に対する光学エンジンユニット13の出し入れ動作に応じて開閉する構成であるため、その開閉動作を確実に実行させることが可能である。また、シャッタ部材72は引張りばね85の付勢力によって開放されると共に、右サイドフレーム81の押圧によって閉鎖される構成としたため、ユーザは、シャッタ部材72を開閉するために特別な動力を必要とすることなく(すなわち、光学エンジンユニット13の出し入れの操作力を駆動力として利用して)、可動体の出し入れ動作を行うだけでシャッタ部材を開閉動作させることができる。
【0058】
また、収容ケース11は、携帯型情報処理装置2に形成されたドライブベイ9に取り付けられる構成であるため、その取り付けが容易であると共に、その取り付けられた状態において画像表示装置1を収容ケースから容易に出し入れ可能となり、携帯型情報処理装置の利便性を高めることができる。
【0059】
なお、シャッタ部材72による投射窓71の開閉構造については、種々の変更が可能である。次の第2実施形態において、シャッタ部材72の構成の変形例について説明する。
【0060】
<第2実施形態>
【0061】
図8は第2実施形態に係る不使用状態の画像表示装置1を示す斜視図であり、図9は画像表示装置1の使用状態から不使用状態への移行時を示す斜視図であり、図10は使用状態の画像表示装置1を示す斜視図である。図8〜図10では、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してある。また、第2実施形態では、以下で特に言及する事項を除いて上述の第1実施形態の場合と同様とし、詳細な説明を省略する。
【0062】
図8〜図10に示すように、シャッタ部材72は、光学エンジンユニット13の筐体の前部を構成するフロントフレーム91の内側に配置され、左右方向に延在する平板状の部材からなる。シャッタ部材72は、左右方向に移動自在に設けられており、これにより、投射窓71の側方に設けられたフロントフレーム91の開口部91aから出没自在となっている。
【0063】
図9に示すように、光学エンジンユニット13において、シャッタ部材72の後端側(左端側)には、フロントフレーム91の内面に沿って左右方向にスライド可能に設けられた第1ラック92と、このラック92と噛合するピニオン93とが設けられている。ピニオン93は、光学エンジンユニット13の筐体の左方から露出され、収容ケース11に固定された前後方向に延在する第2ラック94と噛合している。
【0064】
このような構成により、画像表示装置1では、ユーザが図8に示す不使用状態の収容ケース11から光学エンジンユニット13を矢印Fの方向に引き出すと、図9に示すピニオン93は、第2ラック94と相対移動することにより、図9中の矢印E方向に回転する。このピニオン93の回転により、第1ラック92がシャッタ部材72と共に左方向にスライドし、最終的に、図10に示すように投射窓71が開放される。一方、ユーザが光学エンジンユニット13を収容ケース11内に押し込むと、上記と逆の動作を行うことにより、図8に示すように投射窓71が閉鎖される。
【0065】
本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。なお、上記実施形態に示した本発明に係る画像表示装置の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る画像表示装置およびこれを備えた携帯型情報処理装置は、レーザ光を外部に投射する投射窓や投射光学系を保護すると共に、レーザ光の誤投射を防止することを可能とし、半導体レーザを光源として用いる画像表示装置およびこれを備えた携帯型情報処理装置として有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 画像表示装置
2 情報処理装置
9 ドライブベイ
11 収容ケース
12 可動体
13 光学エンジンユニット(第1のユニット)
14 制御ユニット(第2のユニット)
15 光学エンジン部
28 投射光学系
71 投射窓
72 シャッタ部材
81 右サイドフレーム(押圧部材)
82 右ガイドレール
85 引張りばね(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射されたレーザ光を外部のスクリーンに対して投射する画像表示装置であって、
前記レーザ光を外部に導く投射窓およびこれを開閉するシャッタ部材が設けられた可動体と、
前記可動体を出し入れ可能に収容する収容ケースと
を備え、
前記可動体が前記収容ケースに収容された不使用状態において、前記シャッタ部材により前記投射窓が閉鎖される一方、前記可動体が前記収容ケースから引き出された使用状態において、前記投射窓が開放されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記シャッタ部材は、前記可動体の出し入れ動作に伴って開閉動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記可動体には、前記シャッタ部材を開方向に付勢する付勢部材が設けられ、
前記収容ケースには、前記可動体が収容される際に、前記付勢部材の付勢力に抗して前記シャッタ部材を押圧することにより当該シャッタ部材を閉方向に変位させる押圧部材が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記可動体は、前記投射窓が設けられた第1のユニットと、当該第1のユニットを回動可能に支持する第2のユニットとで構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記収容ケースは、携帯型情報処理装置に形成されたドライブベイに取り付け可能であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の画像表示装置を備えた携帯情報処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−189854(P2012−189854A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53943(P2011−53943)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【特許番号】特許第4880790号(P4880790)
【特許公報発行日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】