説明

携帯型発音装置

【課題】ユーザが身に付けて発音可能な携帯型の装置を提供する。
【解決手段】筺体部1にリストバンド22が装着された装置であり、この筺体部1の内部には、電子基板が内蔵されると共に残りの空間の一部には複数の粒状体が内蔵されている。そして、電子基板には、粒状体の音を拾うマイクロマイクと、このマイクロマイクで拾った音を放音するスピーカとを搭載している。この結果、リストバンド22を手首等に装着して筺体部1を振ると、筺体部1の溝部の空間において、粒状体が拡散運動して筺体部1内面に衝突したりする音がマイクロマイクによって集音される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕等に装着する携帯型で発音機能を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、筺体の空洞部に粒状物を封入し、この筺体を揺動させてこの筺体と粒状物との衝撃音を発生させるマラカス等の打楽器であって、空洞部内に近接する2枚の隔壁を適宜の間隔で設け、空洞部を複数の粒状物収納室に分けて、この複数の粒状物収納室の一部に粒状物を封入した打楽器が提供されていた(例えば、特許文献1参照。)。この打楽器によれば、筺体の空洞部は近接する2枚の隔壁にて分割され複数の粒状物収納室が形成され、この複数の粒状物収納室の少なくとも一部に粒状物が封入されているので、演奏者が筺体を振ることにより、粒状物は前後の隔壁に衝突したり、粒状物相互が衝突したりして衝撃音を発する。また、中空な球状のマラカス本体と、このマラカス本体から延長する中空な把持部とが一体に形成され、把持部の後端部にはキャップにより開閉可能な開口部を有し、マラカス本体には発音用の粒体が開口部より交換可能で、把持部には開口部により交換可能に弾力性のある封止材が充填されたマラカスも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−121158号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】登録実用新案第3012952号公報(第4−5頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、上述した打楽器によれば、演奏が容易で音量が大きく且つ耐久性の高い打楽器を実現できるし、また、上述したマラカスによれば、激しく使用しても破損したり、内部の発音用の粒材が飛散して飛び出さないという効果があった。しかしながら、マラカス等の打楽器の小型化には配慮されていなかった。
【0005】
本発明は、かかる従来の課題を解決するためになされたもので、ユーザが身に付けて発音可能な携帯型の装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、筺体部(1)にリストバンド(22)が装着された装置であって、
前記筺体部(1)の内部には、
電子基板(100)が内蔵されると共に残りの空間の一部には複数の粒状体(5)が内蔵されており、
前記電子基板(100)には、
前記粒状体の音を拾うマイク(110)と、このマイク(110)で拾った音を放音するスピーカ(130)とを搭載したことを特徴とするようにした。
【0007】
この発明によれば、筺体部(1)にリストバンド22が装着された装置であり、この筺体部(1)の内部には、電子基板(100)が内蔵されると共に残りの空間の一部には複数の粒状体(5)が内蔵されている。そして、電子基板(100)には、粒状体(5)の音を拾う(マイクロ)マイク(110)と、この(マイクロ)マイク(110)で拾った音を放音するスピーカ(131)とを搭載している。この結果、リストバンド(22)を手首等に装着して筺体部(1)を振ると、筺体部(1)の溝部(4)の空間において、粒状体(5)が拡散運動して筺体部(1)内面に衝突したりする音が(マイクロ)マイク(110)によって集音される。したがって、ユーザが身に付けて発音可能な携帯型の装置を実現することができる。
【0008】
また、前記電子基板(100)に更に、前記マイク(110)で拾った音をアナログデジタル変換するA/D変換部(112)と、このアナログデジタル変換された信号に対して効果付加を施す信号処理部(115)と、効果付加された信号をデジタルアナログ変換するD/A変換部(120)と、を搭載した構成とすれば効果付加を施すことができる。また、この携帯型発音装置において、筺体部(1)の開口面を閉塞する蓋体(7)から突起するロッド(20)の押圧時間によって、前記信号処理部(115)が施す効果付加の内容を変更するように構成すればユーザがより音出力を楽しむことができる。また、この携帯型発音装置において、前記電子基板(100)に更に電源部(140)を搭載し、この電源部(140)から前記信号処理部(115)への電圧供給が、前記ロッド(20)の上面の押圧操作によって制御される構成として、前記ロッド(20)の押圧操作によって前記信号処理部(115)が電圧供給される時間を把握して、対応する効果付加を施すようにすることもできる。そして、この携帯型発音装置において、前記電源部(140)から前記信号処理部(115)への電圧供給が、前記ロッド(20)の上面の押圧操作によって制御される構成は、前記ロッドの下面に装着した金属性部材(25)が下側に押し下げられると前記電源部(140)から前記信号処理部(115)への電圧供給配線(141、142)を導通状態とする一方、前記金属製部材(25)が上側に戻ると前記電源部(140)から前記信号処理部(115)への電圧供給配線(141、142)を非導通状態とする構成とすれば、ロッドの押圧操作で効果付加を行ったり、付加する効果を変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが身に付けて発音可能な携帯型の装置を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】装置の側面、筺体部1の側面の説明図である。
【図2】筺体部1の平面、蓋体7の平面、組込み平面の説明図である。
【図3】電子基板100の平面の説明図である。
【図4】スイッチ部の断面構造の説明図である。
【図5】テーブル200の説明図である。
【図6】装置の外観を示す模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1(a)は本装置の側面図、図1(b)は本装置の筺体部1の正面図であり、図2(a)は筺体部1の平面図、図2(b)は筺体部1の上面を閉塞する蓋体7の平面図、図6は本装置を斜め前上方から見た外観図である。
【0012】
(構成)
図1(a)、(b)に示すように、筺体部1は外観が略直方体の形状をしており、その下部には図1(a)の正面図を参照して分かるように筺体部1を貫通する開口部2が形成されていて、この開口部2にはリストバンド22が通されていて、本装置を例えば手首等に装着することが可能になっている。
【0013】
図2(a)に示すように、筺体部1は平面視、縦長の長方形状になっていて、縁部を残して溝部4が形成されている。この溝部4には後に説明する電子基板100が固定されており、溝部4の残りの部分には様々な径の球状のプラスチック等で形成された粒状体5が多数存在する。筺体部1を振るとこの粒状体5が拡散運動可能なようになっている。また、筺体部1の縁部には1対のネジ孔3a、3bが形成されている。
【0014】
図2(b)は、この筺体部1の平面視、縦長の長方形状の開口面を閉塞するための蓋体7の平面図であり、この蓋体7には、左端および右端に1対のネジ孔6a、6bが形成されており、後の説明するスピーカ130からの音を放音するために、このスピーカ130の平面視、円形状のスピーカ面131に対応する位置に放音孔9が多数設けられている。また、略中央部のやや上方にロッド20を貫通させるためのロッド孔8が形成されている。
【0015】
図2(c)は、筺体部1の開口部を蓋体で閉塞してネジ10a、10bで止めた筺体部1の平面図である。ネジ10aは、蓋体7のネジ孔6aを介して筺体部1のネジ孔3aにねじ込まれるとともに、ネジ10bは、蓋体7のネジ孔6bを介して筺体部1のネジ孔3bにねじ込まれている。かくして、筺体部1の開口部は蓋体7で閉塞される構成となっている。なお、蓋体7は透明で粒状体5等を目視可能にしても良いし、また、不透明として筺体部1の内部は一切目視不能としても良い。
【0016】
図3は筺体部1の溝部4に固定された電子基板100の平面図である。この電子基板100には、マイクロ(小型)マイク110と、このマイク信号をアナログデジタル変換するA/D変換部112と、アナログデジタル変換された信号に対して効果付加等の処理を行う信号処理部115と、この処理された信号をデジタルアナログ変換するD/A変換部120と、このデジタルアナログ変換された信号を放音するスピーカ130とを有しており、スピーカ130の円形状の放音面であるスピーカ面131は上部を向いて固定されている。かくして、スピーカ面131からの音は、蓋体7の放音孔9から放音するように構成されている。なお、マイクロマイク110の音をそのまま放音するスピーカ130のみを電子基板100に搭載する構成とすることも小型化の点から好ましい。
【0017】
また、電子基板100には電圧供給を行う電源部140が搭載され配線141を介してスイッチ部に例えば5(V)が供給され、スイッチ部がオン状態の時、配線142を介して信号処理部115の電圧供給が行われるようになっている。
【0018】
図4はスイッチ部のAA矢視断面図である。外観視、径の小さな円柱状のロッド20の下面部には、導通性のある薄肉の円板状の金属製円板部25が接着固定されている。そして、この金属製円板部25をその高さの半分程度の位置で挟み込む、平面視円形状の絶縁性のゴム部材30が電子基板100の表面に接着固定されている。この際、ゴム部材30が配線141(図4では不図示)と配線142とを跨ぐように、その下面の円形状の一部に切り込みを設けても良い。
【0019】
この構造のスイッチ部において、通常時は配線141と配線142とが導通状態にはされていない。一方、ゴム部材30の弾性復元力に抗して、ロッド20を下側(図4の符号a側)に押すと、金属性円板部25が下側に移動して、配線141と配線142とが導通状態となって、電源部140から例えば5(V)の電圧が信号処理部115に供給される。この状態でロッド20の押し込みを解除すると、ゴム部材30の弾性復元力によって、金属性円板部25とロッド20は上側(図4の符号b側)に戻って、配線141と配線142とが非導通状態となって、電源部140から信号処理部115の電圧供給は行われなくなる。かくして、筺体部1の開口部を閉塞した蓋体7のロッド孔8を介して、装置外側へと若干突起するロッド20の押圧操作によって、電源部140からの信号処理部115への電源供給を制御することが可能になる。
【0020】
図5は信号処理部115が格納するテーブル200の説明図である。このテーブル200は、オン時間(ロッド20の押圧操作によって、電源部140からの信号処理部115へ電源供給が行われている時間)と付加する効果とを対応付けて登録してものである。例えば、オン時間tが「0<t≦t1」なる場合には「パターンA」の効果を付加し、オン時間tが「t1<t≦t2」なる場合には「パターンB」の効果を付加し、オン時間tが「t2<t≦t3」なる場合には「パターンC」の効果を付加する。そして、オン時間tが「t3<t」なる場合には「効果付加なし」即ち効果付加を行わない。
【0021】
信号処理部115は、オン時間tを把握して、テーブル200を参照して、これに対応する効果付加を施す動作を行う。かくして、ロッド20の押圧操作によって、付加する効果を変更したり、効果付加を行わなくしたりすることが可能になる。
【0022】
(動作)
リストバンド22を手首に装着して手等を振ると、筺体部1の溝部4の空間において、粒状体5が拡散運動して筺体部1の内面に衝突したりする音がマイクロマイク110によって集音される。集音される音は、粒状体5の材質を変えれば様々に変化させることができる。これがA/D変換部112でアナログデジタル変換されて信号処理部115を介して、D/A変換部120でデジタルアナログ変換されて、スピーカ130のスピーカ面131から放音される。かくして、筺体部1の内面空間にて運動する粒状体5の音が放音孔9から聞くことができる。
【0023】
また、手首に装着したリストバンド22に装着された筺体部1の開口部を閉塞する蓋体7から突起するロッド20の上面を押圧することによって、マイクロマイク110が拾った音に対して効果を付加して放音させることが可能になる。
【0024】
以上述べてきた実施形態によれば、ユーザが身に付けて発音可能な携帯型発音装置を実現することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上説明してきたように、音楽分野において携帯型の発音を行う装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 筺体部
2 開口部
4 溝部
5 粒状体
6a、6b ネジ孔
7 蓋体
8 ロッド孔
9 放音孔
10a、10b ネジ
20 ロッド
22 リストバンド
25 金属性円板部
30 ゴム部材
100 電子基板
110 マイクロマイク
112 A/D変換部
115 信号処理部
120 D/A変換部
130 スピーカ
131 スピーカ面
141 配線
142 配線
150 電源部
200 テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体部にリストバンドが装着された装置であって、
前記筺体部の内部には、
電子基板が内蔵されると共に残りの空間の一部には複数の粒状体が内蔵されており、
前記電子基板には、
前記粒状体の音を拾うマイクと、このマイクで拾った音を放音するスピーカとを搭載したことを特徴とする携帯型発音装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型発音装置において、
前記電子基板に更に、
前記マイクで拾った音をアナログデジタル変換するA/D変換部と、このアナログデジタル変換された信号に対して効果付加を施す信号処理部と、効果付加された信号をデジタルアナログ変換するD/A変換部と、を搭載したことを特徴とする携帯型発音装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯型発音装置において、
筺体部の開口面を閉塞する蓋体から突起するロッドの押圧時間によって、前記信号処理部が施す効果付加の内容を変更することを特徴とする携帯型発音装置。
【請求項4】
請求項3の記載の携帯型発音装置において、
前記電子基板に更に電源部を搭載し、
この電源部から前記信号処理部への電圧供給が、前記ロッドの上面の押圧操作によって制御される構成として、前記ロッドの押圧操作によって前記信号処理部が電圧供給される時間を把握して、対応する効果付加を施すことを特徴とする携帯型発音装置。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯型発音装置において、
前記電源部から前記信号処理部への電圧供給が、前記ロッドの上面の押圧操作によって制御される構成は、前記ロッドの下面に装着した金属性部材が下側に押し下げられると前記電源部から前記信号処理部への電圧供給配線を導通状態とする一方、前記金属製部材が上側に戻ると前記電源部から前記信号処理部への電圧供給配線を非導通状態とする構成であることを特徴とする携帯型発音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−211985(P2012−211985A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77128(P2011−77128)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000130329)株式会社コルグ (111)
【Fターム(参考)】